(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】認証装置、認証方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/18 20220101AFI20231219BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231219BHJP
【FI】
G06V40/18
G06T7/00 510D
(21)【出願番号】P 2022510253
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2020013584
(87)【国際公開番号】W WO2021192134
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】青木 百孝
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128630(JP,A)
【文献】特開2005-071009(JP,A)
【文献】特開2004-318248(JP,A)
【文献】特開2005-004524(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/10 - 40/19
G06T 1/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、
前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、
を備え
、
前記画像変換手段は、
前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成する変換処理手段と、
前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、前記特徴量抽出手段に出力する選択手段と、
を備える認証装置。
【請求項2】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、
前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、
を備え、
前記画像変換手段は、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する認証装置。
【請求項3】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、
前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、
を備え、
前記画像変換手段は、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する認証装置。
【請求項4】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、
前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、
を備え、
前記画像変換手段は、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、
前記特徴量抽出手段は、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、
前記照合手段は、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する認証装置。
【請求項5】
前記画像変換手段は、前記可視光画像をモノクロ画像に変換する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項6】
前記照合手段は、前記変換画像における各画素の輝度値に基づいて、光の反射により生じる映り込み領域を検出し、前記変換画像及び前記赤外線画像の前記映り込み領域以外の領域における特徴量を照合する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項7】
画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、
照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、
前記画像変換手段が、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、前記特徴量抽出手段に出力する認証方法。
【請求項8】
画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、
照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、
前記画像変換手段が、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する認証方法。
【請求項9】
画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、
照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、
前記画像変換手段が、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する認証方法。
【請求項10】
画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、
照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、
前記画像変換手段が、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、
前記特徴量抽出手段が、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、
前記照合手段が、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する認証方法。
【請求項11】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、
前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、
前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、当該選択した変換画像の特徴量を抽出する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項12】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、
前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項13】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、
前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項14】
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、
前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、
前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、
前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹彩認証に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証の一方法として、虹彩認証が知られている。可視光による撮影画像には角膜の反射や人種による相違などの影響が生じるため、虹彩認証に用いる画像としては、赤外線カメラによる撮影画像を用いることが一般的である。これに対し、特許文献1では、カラーのビデオカメラによるカラー画像を用いる手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手法では、照合に用いる登録済みの特徴量の方もカラー画像データをベースにして用意されているため、それまでに蓄積されてきた赤外線画像の特徴量を使用することができず、照合用の特徴量を新たに生成する必要がある。
【0005】
本発明の1つの目的は、可視光画像から抽出した特徴量を用いて虹彩認証を行うことが可能な認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点は、認証装置であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、抽出された特徴量と、予め用意された、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、を備え、前記画像変換手段は、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成する変換処理手段と、前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、前記特徴量抽出手段に出力する選択手段と、を備える。
本発明の他の観点は、認証装置であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、を備え、前記画像変換手段は、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する。
本発明の他の観点は、認証装置であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、を備え、前記画像変換手段は、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する。
本発明の他の観点は、認証装置であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、を備え、前記画像変換手段は、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記特徴量抽出手段は、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、前記照合手段は、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する。
【0007】
本発明の他の観点は、認証方法であって、画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、前記画像変換手段が、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、前記特徴量抽出手段に出力する。
本発明の他の観点は、認証方法であって、画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、前記画像変換手段が、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する。
本発明の他の観点は、認証方法であって、画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、前記画像変換手段が、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する。
本発明の他の観点は、認証方法であって、画像変換手段が、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、特徴量抽出手段が、前記変換画像の特徴量を抽出し、照合手段が、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行い、さらに、前記画像変換手段が、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記特徴量抽出手段が、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、前記照合手段が、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する。
【0008】
本発明の他の観点は、記録媒体であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、前記変換画像の特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、当該選択した変換画像の特徴量を抽出する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録する。
本発明の他の観点は、記録媒体であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、前記変換画像の特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録する。
本発明の他の観点は、記録媒体であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、前記変換画像の特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録する。
本発明の他の観点は、記録媒体であって、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、前記変換画像の特徴量を抽出し、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させ、さらに、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する処理を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可視光画像から抽出した特徴量を用いて虹彩認証を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る認証装置を適用した認証システムの概略構成を示す。
【
図2】認証装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】認証装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】画像変換部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】認証装置により行われる虹彩認証処理のフローチャートである。
【
図7】管理画面に映り込み領域を表示した例を示す。
【
図8】第2実施形態に係る認証装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[認証システム]
図1は、第1実施形態に係る認証装置を適用した認証システムの概略構成を示す図である。認証システム1は、可視光カメラ2と、1つ又は複数の認証装置10と、虹彩画像データベース(以下、「データベース」を「DB」とも記す。)4と、管理装置5とを備える。各認証装置10は、対応する可視光カメラ2に接続されている。また、各認証装置10と、虹彩画像DB4と、管理装置5とはネットワーク6を通じて接続されている。
【0012】
可視光カメラ2は、虹彩認証の対象者Xの顔の可視光画像を撮影する。可視光カメラ2としては、一般的なカラー画像を撮影するカメラを用いることができる。可視光カメラ2は、撮影した可視光画像D1を認証装置10へ出力する。
【0013】
虹彩画像DB4には、特定の人物(以下、「登録済人物」と呼ぶ。)について、赤外線カメラを用いて撮影された虹彩の赤外線画像と、その赤外線画像から抽出された特徴量(以下、「登録特徴量」とも呼ぶ。)とが記憶されている。なお、虹彩画像DB4には、各登録済人物について、例えば性別、年齢、国籍、その他の属性情報がさらに記憶されていてもよい。
【0014】
認証装置10は、可視光カメラ2から入力された可視光画像D1と、虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量とを用いて、対象者Xの虹彩認証を行う。虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量は、登録済人物の虹彩を撮影した赤外線画像に対して、所定の特徴抽出方法を適用して抽出した特徴量である。なお、本実施形態では、特徴抽出方法としては、ドーグマンアルゴリズム、その他の各種のアルゴリズムを使用することができる。
【0015】
管理装置5は、認証システム1の管理者などが使用するものである。管理装置5は、表示装置を備え、各認証装置10による認証結果を表示する。管理装置5は、例えば、各認証装置10の認証結果を一覧で表示したり、管理者が選択した1つの認証装置10の認証結果を詳しく表示したりすることができる。
【0016】
[認証装置のハードウェア構成]
図2は、認証装置のハードウェア構成を示すブロック図である。認証装置10は、IF(InterFace)11と、プロセッサ12と、メモリ13と、記録媒体14と、データベース(DB)15と、を備える。
【0017】
IF11は、データの入出力を行う。具体的に、IF11は、可視光カメラ2から、対象者Xの顔を撮影した可視光画像D1を取得するとともに、その可視光画像D1に基づいて認証装置10が生成した認証結果を管理装置5へ出力する。
【0018】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、認証装置10の全体を制御する。特に、プロセッサ12は、後述する虹彩認証処理を行う。
【0019】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12により実行される各種のプログラムを記憶する。また、メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0020】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、認証装置10に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。
【0021】
DB15は、IF11から入力される可視光画像D1を記憶する。また、DB15には、後述するように可視光画像D1を画像変換するための複数のアルゴリズムに関する情報が記憶されている。なお、このほかに、認証装置10は、管理者が必要な設定などを行う際に使用する入力部や表示部を備えていてもよい。
【0022】
[機能構成]
図3は、認証装置10の機能構成を示すブロック図である。認証装置10は、画像変換部20と、特徴量抽出部30と、照合部40とを備える。画像変換部20には、可視光カメラ2から対象者Xの顔の可視光画像D1が入力される。画像変換部20は、対象者Xの顔全体の可視光画像D1から目の領域を切り出し、モノクロ変換を行ってモノクロ画像を生成する。そして、画像変換部20は、得られたモノクロ画像を、モノクロ変換画像D2として特徴量抽出部30に出力する。
【0023】
特徴量抽出部30は、モノクロ変換画像D2に対して所定の特徴抽出方法を適用して特徴量D3を抽出する。なお、特徴量抽出部30が使用する特徴量抽出方法は、基本的に虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量を抽出する際に使用した方法と同一である。前述のように、虹彩画像DB4には、登録済人物の虹彩の赤外線画像に対してある特徴量抽出方法を用いて生成された登録特徴量が記憶されており、特徴量抽出部30は基本的にそれと同一の特徴量抽出方法を用いてモノクロ変換画像D2から特徴量D3を抽出する。以下、説明の便宜上、特徴量抽出部30により抽出された特徴量D3を「抽出特徴量D3」とも呼ぶ。特徴量抽出部30は、生成した抽出特徴量D3を照合部40へ出力する。
【0024】
照合部40は、ネットワーク6を介して虹彩画像DB4から登録済人物の登録特徴量D4を取得し、特徴量抽出部30が生成した抽出特徴量D3と照合する。いま、対象者Xが登録済人物のいずれかに該当するか否かを判定するとする。この場合、照合部40は、抽出特徴量D3と、ある登録済人物の登録特徴量D4とを照合して一致度(又は類似度)のスコアを算出し、そのスコアが所定値以上であるとき、対象者Xがその登録済人物であると判定する。また、照合部40は、照合により得られたスコアが所定値より低いとき、対象者Xがその登録済人物ではないと判定する。照合部40は、こうして得られた認証結果を管理装置5へ送信する。
【0025】
次に、画像変換部20について詳しく説明する。
図4は、画像変換部20の機能構成を示すブロック図である。画像変換部20は、複数の変換処理部21と、選択部22とを備える。複数の変換処理部21は、それぞれ異なる画像変換アルゴリズムを用いて可視光画像D1のモノクロ変換を行う。例えば、
図4の例では、変換処理部21aは画像変換アルゴリズムAを用いて画像変換を行い、変換処理部21bは画像変換アルゴリズムBを用いて画像変換を行う。各変換処理部21は、変換後の画像を選択部22へ出力する。選択部22は、入力された複数の画像から1つの画像を選択し、モノクロ変換画像D2として特徴量抽出部30へ出力する。
【0026】
次に、選択部22によるモノクロ変換画像D2の選択方法について説明する。選択部22は、入力された複数の画像のうち、最も品質値が高い画像をモノクロ変換画像D2として出力する。ここで、1つの例では、最も品質値が高い画像とは、虹彩認証に用いる特徴量が良く表れている画像、具体的には特徴量を抽出できる範囲が広い画像とする。この場合、選択部22は、入力された複数の画像に対して、後段の特徴量抽出部30と同じ特徴抽出方法を用いて特徴量を算出し、虹彩の特徴を最もよく表している画像をモノクロ変換画像D2として選択する。これにより、特徴量の抽出能力が最も高い方法で画像変換を行うことができ、認証制度の向上が可能となる。
【0027】
他の例では、最も品質値が高い画像とは、濃淡がはっきりしている画像とする。この場合、選択部22は、入力された複数の画像を構成する各画素値に基づいて、隣接する画素値の差を算出し、画像全体においてその差が大きい画像をモノクロ変換画像D2として選択する。なお、個々の画素値の差を算出する代わりに、画像全体を複数のブロックに分割し、各ブロック間の画素値の平均値、最大値、最小値などの差を用いてもよい。また、選択部22は、各画像のコントラストを示す指数を算出し、その指数が最も大きい画像をモノクロ変換画像D2として選択してもよい。
【0028】
[虹彩認証処理]
図5は、認証装置10により行われる虹彩認証処理のフローチャートである。この処理は、
図2に示すプロセッサ12が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0029】
まず、可視光カメラ2が対象者Xを撮影し、認証装置10は可視光カメラ2から対象者Xの可視光画像D1を取得する(ステップS11)。画像変換部20は、可視光画像D1に対してモノクロ画像への画像変換を行い、生成されたモノクロ変換画像D2を特徴量抽出部30に出力する(ステップS12)。特徴量抽出部30は、予め決められた特徴量抽出方法を用いて、モノクロ変換画像D2から特徴量D3を抽出し、照合部40へ出力する(ステップS13)。
【0030】
照合部40は、虹彩画像DB4から複数の登録済人物の登録特徴量D4を順に取得し、モノクロ変換画像D2から抽出された特徴量D3と照合し(ステップS14)、認証結果を出力する(ステップS15)。例えば、照合部40は、対象者Xの特徴量D3と、ある登録済人物の登録特徴量D4の照合により得られた一致度のスコアが所定値以上である場合、その対象者Xはその登録人物であると判定する。そして、処理は終了する。
【0031】
以上のように、本実施形態では、対象者Xの可視光画像D1をモノクロ画像に変換し、モノクロ画像から特徴量を抽出して、虹彩画像DB4に登録済の特徴量と照合することにより虹彩認証を行う。これにより、従来のように赤外線カメラを用いる必要が無くなり、システムのコストを低減することができる。
【0032】
[画像変換アルゴリズムの他の選択方法]
上記の実施形態では、画像変換部20において、複数の変換処理部21がそれぞれ異なる画像変換アルゴリズムを用いて可視光画像D1をモノクロ変換し、選択部22がそのうち最も品質値が高いものをモノクロ変換画像D2として選択している。その代わりに、画像変換部20は以下の方法で画像変換アルゴリズムを選択してもよい。
【0033】
(第1の方法)
第1の方法では、選択部22は、虹彩画像DB4に記憶されている赤外線画像の撮影条件に基づき、その撮影条件に適した画像変換アルゴリズムを選択する。虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量D4は、登録済人物の虹彩を撮影した赤外線画像に対して特徴量の抽出を行って生成したものであるので、モノクロ変換画像D2側も、それと同じ撮影条件に合わせることが有効である。具体的な処理としては、虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量D4の元になった赤外線画像の撮影条件を認証装置10に設定しておき、選択部22はその撮影条件に基づいて最適な画像変換アルゴリズムを選択し、その画像変換アルゴリズムを用いて変換された画像をモノクロ変換画像D2とする。この方法では、
図4に示す複数の変換処理部21のうち、撮影条件に基づいて選択された画像変換アルゴリズムを用いる1つの変換処理部21で可視光画像D1のモノクロ変換を行えばよい。
【0034】
具体的に、虹彩画像DB4に記憶されている赤外線画像について、その撮影条件が属性情報などとして記憶されている場合、選択部22は、その撮影条件に適した画像変換アルゴリズムを選択する。なお、撮影条件が虹彩画像DB4に記憶されていない場合でも、撮影条件が既知である場合には、その撮影条件を使用すればよい。例えば、ある虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量が、全て同一の部屋で同一の照明下で撮影されていることがわかっていれば、選択部22はその撮影条件に適した画像変換アルゴリズムを選択すればよい。
【0035】
撮影条件としては、例えば、撮影時の照明条件、カメラ性能(解像度、フォーカス性能)などを用いることができる。なお、実際には、画像変換部20が使用する複数の画像変換アルゴリズムを、各撮影条件に対する適否で分類しておき、その分類結果に基づいて、適切な画像変換アルゴリズムを選択してもよい。例えば、照明条件に関して、画像変換アルゴリズムAは明るい環境に適しており、画像変換アルゴリズムBは暗い環境に適していることがわかっているとする。この場合、虹彩画像DB4に記憶されている赤外線画像の撮影条件が明るい環境であった場合、選択部22は画像変換アルゴリズムAを用いて変換した画像をモノクロ変換画像D2として使用すればよい。これにより、照合する画像の撮影条件を揃えることができ、認証の精度を向上させることが可能となる。
【0036】
(第2の方法)
第2の方法では、対象者Xの属性に基づいて、その属性に適した画像変換アルゴリズムを選択する。人間の瞳の色には人種毎の相違があり、一般的にアジア人の瞳はブラウン系であり、欧米人の瞳はブルー系である。よって、瞳の色ごとに適切な画像変換アルゴリズムを予め決定しておき、実際に可視光画像D1を撮影した対象者Xの人種などの情報に応じて適切な画像変換アルゴリズムを選択してもよい。これにより、対象者の属性に応じて適切な画像変換を行うことができる。
【0037】
この場合、実際には、対象者Xが自らの人種などの情報を認証装置10に入力してもよい。また、入国審査などの場合には、対象者Xの入国審査を担当する審査官が人種に関する情報を入力してもよい。また、人種などの情報を入力する代わりに、可視光カメラ2が撮影した対象者Xの顔画像から対象者Xの瞳の色を検出してもよい。具体的には、画像変換部20が対象者Xの顔全体の可視光画像D1から目の領域を切り出し、瞳の色を検出する。そして、選択部22は、検出された瞳の色に適した画像変換アルゴリズムを選択する。なお、上記の方法では、
図4に示す複数の変換処理部21のうち、対象者Xの属性に基づいて選択されたアルゴリズムを用いる1つの変換処理部21で可視光画像D1のモノクロ変換を行えばよい。
【0038】
[複数の画像変換アルゴリズムの適用方法]
上記の実施形態では、画像変換部20は、複数の画像変換アルゴリズムのうちの1つを用いて変換された画像をモノクロ変換画像D2として出力している。その代わりに、認証装置10は、複数の画像変換アルゴリズムを適用して虹彩認証を行ってもよい。
【0039】
この場合の1つの方法としては、認証装置10は、可視光画像D1を全ての画像変換アルゴリズムを用いてモノクロ変換し、得られた全てのモノクロ変換画像を用いて、特徴量抽出部30による特徴量の抽出、及び、照合部40による照合を行う。この場合、照合部40は、得られた複数のスコアの平均値、最大値、最小値、標準偏差などの統計量を用いて認証結果を求めることができる。
【0040】
別の方法としては、認証装置10は、異なる画像変換アルゴリズムを1つずつ順に適用し、一定の信頼度のスコアが得られた時点で処理を終了する。例えば、認証装置10は、可視光画像D1に対してある画像変換アルゴリズムを用いてモノクロ変換を行い、そのモノクロ変換画像D2を用いて特徴量の抽出、照合を行って一致度のスコアを算出する。得られたスコアが、十分な信頼度を有すると考えられる所定値以上である場合、認証装置10はそのときに得られた認証結果を採用し、処理を終了する。一方、得られたスコアが所定値未満の場合、認証装置10は、次の画像変換アルゴリズムを用いてモノクロ変換を行い、そのモノクロ変換画像D2を用いて特徴量の抽出、照合を行ってスコアを算出する。こうして、認証装置10は、所定値以上のスコアが得られるまで、画像変換アルゴリズムを変更しつつ照合を行う。この方法によれば、複数の画像変換アルゴリズムを適用する順序次第で、認証処理に要する時間を短縮することができる。この際、虹彩画像DB4に記憶されている赤外線画像の撮影条件や、対象者Xの属性などを考慮して、複数の画像変換アルゴリズムを適用する順序を決定してもよい。
【0041】
[画像変換アルゴリズムの例]
具体的に、画像変換部20は以下のような画像変換アルゴリズムを使用することができる。
(1)コントラスト調整を行うアルゴリズム
画像変換アルゴリズムを使用して可視光画像をモノクロ変換する際に、画像を高コントラスト化する。これにより、画像中の瞳孔を検出しやすくなり、虹彩を読み取り易くなる。
【0042】
(2)ガンマ値補正を行うアルゴリズム
画像変換アルゴリズムを使用して可視光画像をモノクロ変換する際に、ガンマ値を補正し、輝度を調整する。これにより、画像中の瞳孔を検出しやすくなり、虹彩を読み取り易くなる。
【0043】
(3)深層学習の利用
深層学習を用いた画像変換モデルを使用して可視光画像をモノクロ画像に変換する。即ち、入力された可視光画像をモノクロ変換してモノクロ画像を出力する画像変換モデルを学習する。画像変換モデルの学習時には、入力データとしての可視光画像に対して、予め正解データを用意しておく。例えば、同一人物の顔を可視光カメラで撮影した画像と、赤外線カメラで撮影した画像を用意し、前者を入力データ、後者を正解データとしてもよい。もしくは、入力データとして使用する可視光画像に対して、特徴量の抽出がしやすいような画像処理を行って正解データを生成してもよい。学習時には、用意された可視光画像の入力データを画像変換モデルに入力し、その出力と正解データとの損失に基づいて画像変換モデルのパラメータを最適化し、学習済みの画像変換モデルを生成する。実際の画像変換時には、学習済みの画像変換モデルを用いて、入力された可視光画像をモノクロ変換する。
【0044】
[管理装置の表示例]
図6は、管理装置5の表示例を示す。
図6の例は、ある一人の対象者Xについての表示例である。管理画面50は、顔画像51と、モノクロ変換画像52と、赤外線画像53と、一致度のスコア54とを含む。顔画像51は、可視光カメラ2で撮影された対象者Xの顔全体の可視光画像である。モノクロ変換画像52は、可視光画像から切り出された対象者Xの目の領域を、ある画像変換アルゴリズムを用いて変換して得られた画像である。なお、モノクロ変換画像52の近傍には、モノクロ変換に用いられた画像変換アルゴリズム(
図6の例では、アルゴリズムB)を示す情報が表示される。赤外線画像53は、照合の対象となっている登録特徴量D4を抽出する元となった赤外線画像である。赤外線画像53は、虹彩画像DB4に記憶されている画像である。スコア54は、モノクロ変換画像52から抽出された特徴量と、赤外線画像53に対応する登録特徴量との一致度を示すスコアであり、照合部40により算出されたものである。このように、管理画面50によれば、認証システム1の管理者などは、可視光画像の変換に用いた画像変換アルゴリズム、変換により得られたモノクロ変換画像、照合に用いた赤外線画像、一致度のスコアなどを容易に認識することができる。
【0045】
なお、
図6の例以外に、管理装置5は、可視光画像に画像変換アルゴリズムを適用して虹彩認証を行う過程の一部又は全てを表示するように設計可能である。例えば、管理装置5は、可視光画像に対して複数の画像変換アルゴリズムを適用した場合に、処理の過程で使用した画像変換アルゴリズムの名称や、各画像変換アルゴリズムを使用した場合のスコア値などを表示してもよい。
【0046】
[映り込みの検出]
可視光画像には、照明などの映り込みが発生することがある。映り込みとは、滑らかな表面などに反射した光源や他の像が画像として撮影されることを言う。虹彩認証のために撮影した可視光画像では、瞳の領域などに照明や対象者の背景などが映り込むことがある。この場合、可視光画像を変換したモノクロ変換画像では、映り込みの領域においては虹彩の模様が見えにくくなり、照合に使用することができない。そこで、特徴量抽出部30は、入力されたモノクロ変換画像D2の画素値が所定値以上である領域を映り込み領域として検出し、映り込み領域以外の領域で特徴量を抽出する。また、照合部40も、その映り込み領域以外の領域の登録特徴量を用いて照合を行う。これにより、可視光画像を使用する場合の映り込みの問題を解消することができる。
【0047】
なお、モノクロ変換画像D2において検出された映り込み領域を、管理装置5の表示画面に表示してもよい。
図7は、管理画面50に映り込み領域を表示した例を示す。
図7の例では、モノクロ変換画像52内に、映り込み領域55が表示されている。なお、管理画面50において、
図7のように映り込み領域を表示する代わりに、映り込み領域以外の領域、即ち、照合に使用した領域を色付けなどにより強調表示してもよい。
【0048】
[変形例]
次に、上記の実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて適用することができる。
(変形例1)
上記の実施形態では、可視光画像をモノクロ変換して特徴量の抽出を行っているが、完全なモノクロ変換以外の手法で可視光画像を変換してもよい。欧米人の虹彩の場合は、可視光画像を完全なモノクロ画像(2値画像)に変換しなくても、例えばコントラスト調整などにより特徴量を抽出できる場合がある。よって、虹彩の色調などに応じて、特徴量の抽出を可能とする他の画像変換を採用してもよい。また、同様の観点から、虹彩画像DB4に記憶されている赤外線画像との照合に用いられる変換画像も、完全なモノクロ画像(2値画像)でなくてもよい。
【0049】
(変形例2)
上記の実施形態では、可視光画像をモノクロ変換し、特徴量の照合を行っているが、その代わりに、可視光画像をRGBの各成分に変換し、それらを用いて特徴量の照合を行ってもよい。この場合、画像変換部20は可視光画像D1をRGB各色の画像に変換し、特徴量抽出部30は各色の変換画像から特徴量を抽出し、照合部40は抽出された各色の特徴量を、虹彩画像DB4に記憶されている登録特徴量と照合する。照合部40は、得られた各色のスコアに基づいて認証結果を生成する。例えば、照合部40は、得られた3つのスコアの平均値、最大値などに基づいて認証結果を決定してもよい。もしくは、照合部40は、得られた3つのスコア毎に認証結果(認証成功、認証失敗など)を判定し、それらの多数決などにより最終的な認証結果を決定してもよい。この方法によっても、可視光画像を用いて虹彩認証が可能となる。
【0050】
(変形例3)
上記の認証システム1は虹彩認証のみを行っているが、さらに顔認証を行ってもよい。上記の本実施形態によれば可視光画像を用いて虹彩認証を行うことができるので、可視光カメラで撮影された可視光画像を用いて虹彩認証と顔認証の両方を行うことができる。具体的には、まず、上記の実施形態による虹彩認証を行い、虹彩認証に失敗した場合に、可視光カメラで撮影された顔画像を用いて顔認証を行ってもよい。また、一般的には顔認証よりも虹彩認証の方が認証精度が高いので、まず、可視光カメラで撮影された顔画像を用いて顔認証を行い、顔認証に失敗した場合に、上記の実施形態による虹彩認証を行ってもよい。なお、認証に失敗した場合とは、具体的には、特徴量の照合により得られた類似度のスコアが閾値以下の場合である。
【0051】
また、高いセキュリティが要求される場合には、顔認証と虹彩認証の2要素認証を行ってもよい。この場合、認証システム1は、まず、可視光カメラで顔画像を撮影し、顔認証を行う。次に、可視光カメラのフォーカスを変えて瞳の画像を撮影し、虹彩認証を行う。通常の虹彩認証は赤外線画像を用いるため、顔認証と虹彩認証の2要素認証を行うためには、可視光カメラと赤外線カメラを用意し、別々に撮影を行う必要がある。この点、本実施形態の虹彩認証を用いれば、1つの可視光カメラで顔認証と虹彩認証を行うことが可能となるので、システムの簡素化が可能となる。
【0052】
(変形例4)
上記の実施形態では、可視光カメラ2で撮影した可視光画像と、虹彩画像DB4に登録されている赤外線画像とを照合している。その代わりに、虹彩画像DB4に可視光画像を登録しておき、可視光カメラ2で撮影した可視光画像と、虹彩画像DB4に登録されている可視光画像とを照合してもよい。この場合、可視光画像同士の照合の方法としては、例えば、両方の可視光画像をRGBの各成分に変換し、RGB各色毎に特徴量を抽出し、それらを照合してもよい。この場合には、得られた3色のスコアの平均値、最大値などに基づいて認証結果を決定してもよいし、得られた3色のスコア毎に認証結果(認証成功、認証失敗など)を判定し、それらの多数決などにより最終的な認証結果を決定してもよい。また、別の方法では、両方の可視光画像をモノクロ変換し、モノクロ画像から得られた特徴量を用いて照合を行ってもよい。
【0053】
(変形例5)
上記の実施形態では、複数の認証装置10と、虹彩画像DB4と、管理装置5とをネットワーク6で接続しているが、その代わりに、スタンドアローン型の1つの認証装置を構成してもよい。その場合には、1つの認証装置内のデータベースに虹彩画像DBを設け、表示部に管理画像50を表示すればよい。
【0054】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る認証装置の機能構成を示すブロック図である。認証装置70は、画像変換手段71と、特徴量抽出手段72と、照合手段73とを備える。画像変換手段71は、対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する。特徴量抽出手段72は、変換画像の特徴量を抽出する。照合手段73は、抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、対象者の認証を行う。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成する画像変換手段と、
前記変換画像の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う照合手段と、
を備える認証装置。
【0057】
(付記2)
前記画像変換手段は、
前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成する変換処理手段と、
前記複数の変換画像のうち最も品質の良い変換画像を選択し、前記特徴量抽出手段に出力する選択手段と、
を備える付記1に記載の認証装置。
【0058】
(付記3)
前記画像変換手段は、前記赤外線画像の撮影条件に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する付記1に記載の認証装置。
【0059】
(付記4)
前記画像変換手段は、前記対象者の属性に基づいて、複数のアルゴリズムから少なくとも1つのアルゴリズムを選択し、選択したアルゴリズムを用いて前記可視光画像を変換する付記1に記載の認証装置。
【0060】
(付記5)
前記画像変換手段は、前記可視光画像を複数のアルゴリズムを用いて変換して、複数の変換画像を生成し、
前記特徴量抽出手段は、前記複数の変換画像から特徴量を抽出し、
前記照合手段は、前記複数の変換画像から抽出された特徴量を順に選択して前記赤外線画像から生成された特徴量と照合する付記1に記載の認証装置。
【0061】
(付記6)
前記画像変換手段は、前記可視光画像をモノクロ画像に変換する付記1乃至5のいずれか一項に記載の認証装置。
【0062】
(付記7)
前記照合手段は、前記変換画像における各画素の輝度値に基づいて、光の反射により生じる映り込み領域を検出し、前記変換画像及び前記赤外線画像の前記映り込み領域以外の領域における特徴量を照合する付記1乃至6のいずれか一項に記載の認証装置。
【0063】
(付記8)
前記画像変換手段は、前記可視光画像を、RGB各色の画像に変換し、
前記特徴量抽出手段は、前記RGB各色の変換画像から特徴量を抽出し、
前記照合手段は、前記RGB各色の画像から抽出された特徴量を、それぞれ前記赤外線画像から生成された特徴量と照合し、得られた結果に基づいて前記対象者の認証を行う付記1に記載の認証装置。
【0064】
(付記9)
前記可視光画像は、前記対象者の顔を含む領域の画像であり、
前記可視光画像を用いて、前記対象者の顔認証を行う顔認証手段を備える付記1乃至8のいずれか一項に記載の認証装置。
【0065】
(付記10)
前記顔認証手段は、前記照合手段により前記対象者の認証結果が得られた場合には前記顔認証を行わず、前記照合手段により前記対象者の認証結果が得られなかった場合に前記顔認証を行う付記9に記載の認証装置。
【0066】
(付記11)
前記照合手段は、前記顔認証手段により前記対象者の認証結果が得られた場合には前記認証を行わず、前記顔認証手段により前記対象者の認証結果が得られなかった場合に前記認証を行う付記9に記載の認証装置。
【0067】
(付記12)
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う認証方法。
【0068】
(付記13)
対象者の虹彩を含む領域を可視光で撮影した可視光画像を変換し、変換画像を生成し、
前記変換画像の特徴量を抽出し、
抽出された特徴量と、虹彩の赤外線画像から生成された特徴量とを照合し、前記対象者の認証を行う処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【0069】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 認証システム
2 可視光カメラ
4 虹彩画像データベース
5 管理装置
6 ネットワーク
10 認証装置
11 IF(InterFace)
12 プロセッサ
13 メモリ
14 記録媒体
15 データベース(DB)
20 画像変換部
21 変換処理部
22 選択部
30 特徴量抽出部
40 照合部
50 管理画像
51 顔画像
52 モノクロ変換画像
70 認証装置
71 画像変換手段
72 特徴量抽出手段
73 照合手段
53 赤外線画像
54 スコア
D1 可視光画像
D2 モノクロ変換画像
D3 特徴量