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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】駆動制御装置及び超音波モータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/14 20060101AFI20231219BHJP
   H02N 2/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02N2/14
H02N2/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022528443
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009528
(87)【国際公開番号】W WO2021246015
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2020096229
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 光城
(72)【発明者】
【氏名】水島 裕三
(72)【発明者】
【氏名】串間 貴仁
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-285963(JP,A)
【文献】特開平06-062588(JP,A)
【文献】特開平09-285150(JP,A)
【文献】特開平07-123757(JP,A)
【文献】特開2000-224875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/14
H02N 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体上の複数の圧電素子にそれぞれ電極が設けられており、複数の前記電極に、互いに異なる位相の信号を印加することで前記振動体を振動させる駆動制御装置であって、
前記複数の電極のうち一部の電極に選択的に、または前記複数の電極のうち全部の電極に信号を印加する信号印加部と、
前記複数の電極のうち前記信号印加部が選択的に印加した電極とは異なる電極からのフィードバック信号を受信するフィードバック信号受信部と、
前記フィードバック信号に基づいて前記信号印加部が印加する信号条件を制御する信号条件制御部と、
を備え、
前記振動体が円板状であり、
前記振動体と接触しているロータをさらに備え、
前記複数の圧電素子が、進行波を発生させるように、前記振動体上に分散配置されており、前記信号印加部が、前記信号条件制御部の制御に基づき、前記進行波を発生させるように、前記複数の電極のうち全部の電極に信号を印加し、
前記信号印加部が前記複数の電極に印加する信号が、A相の信号及びB相の信号を含み、
前記複数の電極が、前記A相の信号が印加されるA相電極と、前記B相の信号が印加されるB相電極と、を含み、
前記信号印加部が前記B相電極に前記B相の信号を印加し、かつ前記A相電極に信号を印加していないときに、前記フィードバック信号受信部が受信する前記フィードバック信号は、前記A相電極からの信号である、駆動制御装置。
【請求項2】
前記複数の電極と、前記フィードバック信号受信部との間に接続されており、前記フィードバック信号をフィルタリングするフィルタ部をさらに備える、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記複数の電極のうち前記信号印加部が選択的に印加した電極とは異なる電極と、前記フィードバック信号受信部とが接続するように、接続を切り替える指示を前記フィードバック信号受信部に対して行う切り替え制御部をさらに備える、請求項1または2に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記複数の電極のうち前記信号印加部が選択的に印加した電極とは異なる電極と、前記フィードバック信号受信部とが接続するように、接続を切り替える切り替えスイッチをさらに備える、請求項1または2に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記フィードバック信号の電圧の測定と、前記フィードバック信号の電圧が目標電圧以上であるか否かの判定と、前記圧電素子の振動の条件の設定と、前記圧電素子への信号の印加と、の動作を繰り返す、請求項1~のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の駆動制御装置と、
前記振動体と、
前記振動体上の前記圧電素子に設けられている前記複数の電極と、
を備え、
フィードバック用の電極を備えない、超音波モータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を有する駆動体を駆動させる駆動制御装置及び圧電素子を有する超音波モータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子によりステータを振動させる超音波モータが種々提案されている。例えば、超音波モータは、複数に分極された圧電素子を含むステータと、ステータに接触しているロータとを有する。複数に分極された圧電素子に、互いに異なる位相の信号が印加されることにより、ステータが振動する。この振動によりロータが回転する。
【0003】
圧電素子に印加される信号の最適な周波数は、ステータ及びロータの接触圧力、超音波モータの温度や超音波モータに加わる負荷によって変動する。そのため、上記信号の周波数に対して適切なフィードバック制御を行うことにより、超音波モータを効率的に駆動し得る。
【0004】
下記の特許文献1に記載の超音波モータにおいては、弾性体に、圧電素子と、フィードバック用圧電素子とが貼り付けられている。弾性体の振動に応じて、フィードバック用圧電素子からフィードバック信号が出力される。フィードバック信号に基づき、圧電素子に印加する駆動電圧信号が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2683237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の超音波モータにおいては、弾性体にフィードバック用圧電素子を配置する必要がある。そのため、部品の点数を減らすこと、及び超音波モータを小型にすることが困難となる。
【0007】
本発明の目的は、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる、駆動制御装置、及びこれを用いた超音波モータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る駆動制御装置は、振動体上の圧電素子に設けられた複数の電極に、互いに異なる位相の信号を印加することで前記振動体を振動させる駆動制御装置であって、前記複数の電極のうち一部の電極に選択的に信号を印加する信号印加部と、前記複数の電極のうち前記信号印加部が選択的に印加した電極とは異なる電極からのフィードバック信号を受信するフィードバック信号受信部と、前記フィードバック信号に基づいて前記信号印加部が印加する信号条件を制御する信号条件制御部とを備える。
【0009】
本発明に係る超音波モータシステムは、本発明に従い構成されている駆動制御装置と、前記振動体と、前記振動体上の前記圧電素子に設けられている前記複数の電極とを備え、フィードバック用の電極を備えない。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る駆動制御装置によれば、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。また、本発明に係る超音波モータシステムによれば、小型化を容易に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態における超音波モータ素子及びその駆動制御回路の接続関係図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態におけるステータの底面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態における第1の圧電素子の正面断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態における駆動制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
図6図6は、周波数及びフィードバック電圧との関係の例を示す図である。
図7図7(a)~図7(c)は、進行波を分かりやすく説明するための、ステータの模式的底面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図9図9は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図10図10は、本発明の第2の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図11図11は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図12図12は、本発明の第3の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
図13図13は、本発明の第3の実施形態の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0013】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態における超音波モータ素子及びその駆動制御回路の接続関係図である。
【0015】
超音波モータシステム1は、駆動制御装置2と超音波モータ素子を有する。超音波モータ素子は、ステータ3と、ロータ8とを有する。超音波モータシステム1においては、駆動制御装置2からステータ3に、駆動用の信号が印加される。それによって、ステータ3を振動させることにより、軸方向Zを中心として周回する進行波を発生させる。ここで、ステータ3とロータ8とは接触している。ステータ3において生じた進行波により、ロータ8を回転させる。以下において、超音波モータシステム1の具体的な構成を説明する。
【0016】
図1に示すように、ステータ3は振動体4を有する。振動体4は円板状である。振動体4は第1の主面4a及び第2の主面4bを有する。第1の主面4a及び第2の主面4bは対向し合っている。本明細書において、軸方向Zとは、第1の主面4a及び第2の主面4bを結ぶ方向であって、回転中心に沿う方向をいう。なお、振動体4の形状は円板状には限定されない。軸方向Zから見た振動体4の形状は、例えば、正六角形、正八角形または正十角形などの正多角形であってもよい。振動体4は適宜の金属からなる。もっとも、振動体4は必ずしも金属からなっていなくともよい。振動体4は、例えば、セラミックス、シリコン材料または合成樹脂などの他の弾性体により構成されていてもよい。
【0017】
ここで、以下の実施形態に示す圧電素子は複数に分極されている。複数に分極された圧電素子としては、例えば、領域毎に異なる分極方向を有する1つの圧電素子が挙げられる。もしくは、複数に分極された圧電素子としては、互いに分極方向の異なる複数の圧電素子を挙げることができる。第1の実施形態においては、複数に分極された圧電素子が複数の圧電素子である場合を示す。
【0018】
振動体4の第1の主面4aには、複数に分極された圧電素子が設けられている。より具体的には、互いに分極方向の異なる複数の圧電素子が設けられている。第2の主面4bはロータ8に接触している。ロータ8は、ロータ本体8aと、回転軸8bとを有する。ロータ本体8aは円板状である。回転軸8bの一端がロータ本体8aに連ねられている。ロータ本体8aが振動体4の第2の主面4bに接触している。なお、ロータ本体8aの形状は円板状には限定されない。軸方向Zから見たロータ本体8aの形状は、例えば、正六角形、正八角形または正十角形などの正多角形であってもよい。
【0019】
駆動制御装置2から、複数に分極された圧電素子に信号が印加される。これにより、ステータ3の振動体4が振動する。なお、駆動制御装置2は、ステータ3からのフィードバック信号を受信する。駆動制御装置2は、このフィードバック信号に基づき、ステータ3の振動及び超音波モータ素子における回転速度を制御する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【0021】
駆動制御装置2は、切り替えスイッチ13と、フィルタ部14と、振幅検出部15と、信号条件制御部16と、信号印加部17と、切り替え制御部18とを有する。切り替えスイッチ13と信号印加部17との間に、フィルタ部14、振幅検出部15及び信号条件制御部16がこの順序において接続されている。複数に分極された圧電素子には、複数の電極が設けられている。切り替えスイッチ13は、複数の電極のうち接続する電極を選択することにより、受信するフィードバック信号を選択する。フィルタ部14は、フィードバック信号をフィルタリングする。振幅検出部15は、フィードバック電圧から、振動体4の振幅を検出する。振幅検出部15は、本発明における「フィードバック信号受信部」である。信号条件制御部16は、検出された振動体4の振幅などに基づいて、圧電素子の各電極に印加する信号の周波数を設定する。信号印加部17は、複数の電極に信号を印加する。また、複数の電極のうち一部の電極に選択的に信号を印加することもできる。より具体的には、信号印加部17は、複数に分極された圧電素子に設けられた複数の電極のうち選択した電極に、圧電素子を振動させる信号を送信する。なお、切り替え制御部18は、切り替えスイッチ13における、接続する圧電素子の電極の選択と、信号印加部17における、振動させる圧電素子の選択とを制御する。
【0022】
なお、フィルタ部14、振幅検出部15、信号条件制御部16、信号印加部17、及び切り替え制御部18は各々の機能を説明するために概念的に分けて記載するが、互いに物理的に分離されている必要はない。例えば、振幅検出部15、信号条件制御部16、信号印加部17、及び切り替え制御部18は同一のマイコンに含まれてもよい。また、フィルタ部14もフィルタ回路部品で構成されるものに限らず、振幅検出部15などと同様にマイコン内のデジタルフィルタとして構成されていてもよい。
【0023】
本実施形態の特徴は、超音波モータシステム1が、振動体4上の圧電素子に設けられた複数の電極と、駆動制御装置2とを有し、フィードバック用の電極を有さないことにある。さらに、本実施形態の特徴は、駆動制御装置2が切り替えスイッチ13、信号印加部17及び振幅検出部15を有し、信号印加部17が選択的に印加した電極とは異なる電極と振幅検出部15とが接続するように、切り替えスイッチ13が切り替えを行うことにある。超音波モータシステム1が駆動制御装置2を有することにより、超音波モータシステム1においては、フィードバック用の圧電素子及びその電極は不要となる。よって、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。この詳細を、本実施形態の構成の詳細と共に、以下において説明する。
【0024】
図3は、第1の実施形態におけるステータの底面図である。
【0025】
本実施形態において、複数に分極された圧電素子は、第1の圧電素子5A、第2の圧電素子5B、第3の圧電素子5C及び第4の圧電素子5Dである。複数の圧電素子は、振動体4に接着剤により貼り付けられている。接着剤には、例えば、エポキシ樹脂やポリエチレン樹脂などを用いることができる。
【0026】
複数に分極された圧電素子は、軸方向Zに平行な軸を中心として周回する進行波を発生させるように、該進行波の周回方向に沿って分散配置されている。軸方向Zから見たときに、第1の圧電素子5A及び第2の圧電素子5Bは軸を挟んで対向し合っている。第3の圧電素子5C及び第4の圧電素子5Dは軸を挟んで対向し合っている。
【0027】
図4は、第1の実施形態における第1の圧電素子の正面断面図である。
【0028】
第1の圧電素子5Aは圧電体6を有する。圧電体6は第3の主面6a及び第4の主面6bを有する。第3の主面6a及び第4の主面6bは対向し合っている。第1の圧電素子5Aは第1の電極7A及び第2の電極7Bを有する。圧電体6は、第3の主面6aから第4の主面6bに向けて分極されている。圧電体6の第3の主面6aに第1の電極7Aが設けられており、第4の主面6bに第2の電極7Bが設けられている。
【0029】
第2の圧電素子5B、第3の圧電素子5C及び第4の圧電素子5Dも、第1の圧電素子5Aと同様に構成されている。もっとも、第1の圧電素子5Aにおける圧電体6と、第2の圧電素子5Bにおける圧電体6とは、互いに逆方向に分極されている。よって、第1の圧電素子5A及び第2の圧電素子5Bに同じ信号が印加された場合には、互いに逆位相において振動する。第3の圧電素子5Cの圧電体6及び第4の圧電素子5Dの圧電体6も、互いに逆方向に分極されている。つまり、複数の、第1,第2,第3,第4の圧電素子5A,5B,5C,5Dは、複数に分極された圧電素子である。
【0030】
複数に分極された圧電素子は、上記駆動制御装置2に電気的に接続されている。駆動制御装置2は、複数に分極された圧電素子を、互いに異なる位相において振動させる。ここで、互いに異なる位相における一方をA相とし、他方をB相とする。本実施形態におけるA相とB相の位相差は90°である。さらに、A相において互いに180°異なる位相のうち一方をA相+とし、他方をA相-とする。B相において互いに180°異なる位相のうち一方をB相+とし、他方をB相-とする。なお、以下の実施形態ではA相、B相の2相で制御する例を示すが、本発明の技術はA相、B相、C相の3つの位相で制御する場合にも適用可能である。
【0031】
図2に示すように、第1の圧電素子5A及び第2の圧電素子5Bには、駆動制御装置2から同じ信号が印加される。本実施形態においては、第1の圧電素子5AはA相+において振動し、第2の圧電素子5BはA相-において振動する。なお、第1の圧電素子5A及び第3の圧電素子5Cには、異なる信号が印加される。そして、第3の圧電素子5C及び第4の圧電素子5Dには、同じ信号が印加される。第3の圧電素子5CはB相+において振動し、第4の圧電素子5DはB相-において振動する。以下においては、A相において振動する圧電素子を圧電素子A相と記載することがある。B相において振動する圧電素子を圧電素子B相と記載することがある。
【0032】
なお、駆動制御装置2からは、圧電素子における第1の電極に信号が印加される。よって、圧電素子の複数の第1の電極は、A相の信号が印加されるA相電極と、B相の信号が印加されるB相電極とを含む。圧電素子A相の第1の電極がA相電極であり、圧電素子B相の第1の電極がB相電極である。もっとも、各圧電素子の各第2の電極がA相電極またはB相電極であってもよい。駆動制御装置2は、図5に示すフローにより、ステータ3を振動させる。
【0033】
図5は、第1の実施形態における駆動制御装置の動作手順を示すフローチャートである。図6は、周波数及びフィードバック電圧との関係の例を示す図である。なお、フィードバック電圧はフィードバック信号の電圧である。
【0034】
図5に示すように、ステップS1において動作を開始する。ステップS2では、圧電素子A相のみにおいて周波数掃引を行う。このとき、切り替え制御部18によって信号印加部17を制御することにより、信号印加部17から圧電素子A相のみに信号を送信する。さらに、切り替え制御部18によって切り替えスイッチ13を制御することにより、切り替えスイッチ13を圧電素子B相の電極のみに接続する。このように、複数の圧電素子のうち、切り替えスイッチ13が選択する圧電素子と、信号印加部17により振動させる圧電素子とが異なるように、切り替え制御部18が切り替えスイッチ13及び信号印加部17を制御する。それによって、圧電素子A相における周波数掃引に際し、圧電素子B相からのフィードバック信号を受信する。このフィードバック信号を、フィルタ部14によりフィルタリングする。そして、圧電素子A相に印加した信号の周波数に応じた、圧電素子B相のフィードバック電圧を測定する。これにより、図6に示すような、周波数及びフィードバック電圧の関係を導出する。なお、フィルタ部14を通ったフィードバック電圧から、振幅検出部15によって、振動体4の振幅の検出も行う。これらの関係及び目標電圧から、信号条件制御部16において、圧電素子A相に送信する信号の最適周波数を算出する。
【0035】
なお、目標電圧は、具体的には、フィードバック電圧に対する目標電圧である。目標電圧は、信号条件制御部16に格納されている。目標電圧は、例えば、超音波モータ素子の用途に応じて、必要となる振動体4の変位や超音波モータ素子の回転速度などに応じて定めてもよい。同様に、最適周波数も、図6に示すような関係及び目標電圧に基づき、必要となる振動体4の変位や超音波モータ素子の回転速度などに応じて定めてもよい。
【0036】
ステップS3において、圧電素子A相を励振させ、かつ圧電素子B相の励振を停止させる。ステップS3においては、ステップS2と同様に、切り替え制御部18によって信号印加部17を制御する。より具体的には、信号印加部17から圧電素子A相のみに信号を送信する。このとき、信号印加部17は、A相及びB相における振動の条件から、A相における振動の条件を選択し、圧電素子A相のA相電極に信号を印加する。なお、信号の周波数は、信号条件制御部16において設定する。信号条件制御部16により、信号印加部17によって各圧電素子を振動させる周波数を制御する。
【0037】
信号印加部17が位相の条件、つまりA相もしくはB相を選択するに際し、信号条件制御部16の制御下において、選択が行われてもよい。もっとも、これに限られず、信号印加部17自体の制御の下、位相の条件の選択が行われてもよい。この場合には、信号印加部17が、位相を選択するための制御部を内蔵していてもよい。信号を印加する圧電素子の電極に応じて、A相及びB相のうちいずれの位相を印加するかが、信号印加部17にプログラミングされていてもよい。
【0038】
ステップS4において、圧電素子B相のフィードバック電圧を測定する。ステップS4においては、ステップS2と同様に、切り替え制御部18によって切り替えスイッチ13を制御する。より具体的には、切り替えスイッチ13を圧電素子B相のB相電極のみに接続する。これにより、B相電極のみと振幅検出部15とを接続する。
【0039】
ステップS5では、圧電素子B相のみにおいて周波数掃引を行う。このとき、切り替え制御部18によって信号印加部17を制御することにより、信号印加部17から圧電素子B相のみに信号を送信する。さらに、切り替え制御部18によって切り替えスイッチ13を制御することにより、切り替えスイッチ13を圧電素子A相の電極のみに接続する。そして、圧電素子B相における周波数掃引に際し、圧電素子A相からのフィードバック電圧を測定する。それによって、圧電素子A相に送信する信号の最適周波数を算出する。
【0040】
ステップS6において、圧電素子B相を励振させ、かつ圧電素子A相の励振を停止させる。ステップS6においては、ステップS5と同様に、切り替え制御部18によって信号印加部17を制御する。より具体的には、信号印加部17から圧電素子B相のみに信号を送信する。このとき、信号印加部17は、A相及びB相における振動の条件から、B相における振動の条件を選択し、圧電素子B相のB相電極に信号を印加する。
【0041】
ステップS7において、圧電素子A相のフィードバック電圧を測定する。ステップS7においては、ステップS5と同様に、切り替え制御部18によって切り替えスイッチ13を制御する。より具体的には、切り替えスイッチ13を圧電素子A相のA相電極のみに接続する。これにより、A相電極のみと振幅検出部15とを接続する。
【0042】
ステップS8において、圧電素子A相及び圧電素子B相のフィードバック電圧のうち低い側のフィードバック電圧が目標電圧以上であるか否かを判定する。フィードバック電圧が目標電圧以上である場合には、ステップS9に進む。他方、上記フィードバック電圧が目標電圧未満である場合には、ステップS2に戻る。
【0043】
ステップS9において、目標電圧を基にステータ3の圧電素子に印加する信号の周波数を計算する。具体的には、ステップS2またはステップS5において導出した関係、振幅検出部15において検出された振動体4の振幅、及び目標電圧に基づき、圧電素子A相または圧電素子B相に印加する信号の最適周波数を計算する。
【0044】
ステップS10において、ステータ3の圧電素子に最適周波数の信号を印加する。ここで、ステップS10では、信号印加部17は、圧電素子A相及び圧電素子B相の双方に信号を印加する。このように、信号印加部17の信号の印加が選択的であるのは、常時ではない。なお、信号印加部17は、圧電素子A相のA相電極にA相の信号を印加し、圧電素子B相のB相電極にB相の信号を印加する。ステップS10の実行後、ステップS2に戻る。駆動制御装置2は以上のような動作を繰り返す。
【0045】
なお、超音波モータ素子の用途に応じて、ステップS10からステップS2に戻る条件を別途設けてもよい。上記条件としては、例えば、超音波モータ素子を一定時間回転させた場合や、異常を検知した場合などを挙げることができる。あるいは、上記条件としては、ステップS10の後に信号の印加を停止し、かつ停止後に一定時間が経過した場合などを挙げることもできる。
【0046】
上記のように、本実施形態における駆動制御装置2は、圧電素子A相または圧電素子B相からのフィードバック信号を受信する。これにより、超音波モータ素子の回転を制御する。よって、フィードバック用の圧電素子は不要である。従って、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。さらに、複数に分極された圧電素子のフィードバック電圧をそれぞれ測定することによって、超音波モータシステム1全体の異常を検出することができる。加えて、フィードバック電圧の測定に基づいて各圧電素子を振動させるため、ステータ3とロータ8との接触圧や超音波モータ素子の温度などに対して、超音波モータ素子を安定的に制御することができる。各圧電素子を効率的に振動させることができるため、各圧電素子からの発熱を抑制することもできる。
【0047】
本実施形態のように、駆動制御装置2はフィルタ部14を有することが好ましい。それによって、より正確なフィードバックを行うことができる。フィルタ部14にはローパスフィルタを用いることがより好ましい。フィルタ部14の通過帯域は、複数に分極された圧電素子の共振周波数の3倍以下の周波数帯域であることがさらに好ましい。これらの場合には、ノイズを十分に除去することができ、かつ周波数及びフィードバック電圧の関係を十分に把握することができる。よって、より一層正確なフィードバックを行うことができる。
【0048】
図7(a)~図7(c)は、進行波を分かりやすく説明するための、ステータの模式的底面図である。なお、図7(a)~図7(c)では、グレースケールにおいて、黒色に近いほど一方の方向の応力が大きく、白色に近いほど他方の方向の応力が大きいことを示す。
【0049】
本実施形態の場合、ステップS3では、圧電素子A相において励振させ、圧電素子B相における励振を停止させている。このときには、図7(a)に示すような三波の定在波Xが生じる。他方、ステップS6では、圧電素子B相において励振させ、圧電素子A相における励振を停止させている。このときには、図7(b)に示すような三波の定在波Yが生じる。位相が90°異なる三波の定在波X及び定在波Yが励振され、両者が合成されることにより、図7(c)に示す進行波が生じる。なお、三波の例を示したが、これに限定されない。九波の場合も同様に、位相が90°異なる2つの定在波が励振され、両者の合成により進行波が生じる。上記のように、振動体4に周回方向に進む進行波を発生させることにより、振動体4の第2の主面4bに接触しているロータ8が軸方向Z中心周りに回転することとなる。なお、本発明において、進行波を発生させる構成は、本実施形態の構成に限らず、従来より公知の様々な進行波を発生させる構成を用いることができる。
【0050】
ロータ本体8aにおけるステータ3側の面には、摩擦材が固定されていてもよい。それによって、ステータ3の振動体4とロータ8との間に加わる摩擦力を大きくすることができる。
【0051】
本実施形態においては、進行波の中心は、ステータ3の中心及び振動体4の中心と一致する。もっとも、進行波の中心は、ステータ3の中心及び振動体4の中心とは必ずしも一致しなくともよい。
【0052】
切り替えスイッチ13は、A相接続部13a、B相接続部13c及びニュートラル部13eを有する。A相接続部13aは圧電素子A相の電極に電気的に接続されている。B相接続部13cは圧電素子B相の電極に電気的に接続されている。ニュートラル部13eは、圧電素子A相及び圧電素子B相のいずれにも電気的に接続されていない。切り替えスイッチ13は、A相接続部13aとの接続またはB相接続部13cとの接続の選択により、接続する圧電素子の電極を選択する。ここで、駆動制御装置2の動作手順は、切り替えスイッチ13がニュートラル部13eに接続された状態とするステップを含んでいてもよい。この場合には、超音波モータシステム1における信号のアンバランスなどを抑制することができる。
【0053】
本実施形態においては、圧電素子A相のフィードバック信号は、切り替えスイッチ13によって同時に選択される。さらに、各圧電素子A相には、信号印加部17によって同時に同じ信号が送信される。圧電素子B相においても同様である。もっとも、これに限られず、各圧電素子が独立して、切り替えスイッチ13及び信号印加部17により選択されてもよい。この例を以下において示す。
【0054】
図8は、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。なお、図8では、A相+において振動する圧電素子をA+の符号により示し、A相-において振動する圧電素子をA-の符号により示す。B相+において振動する圧電素子をB+の符号により示し、B相-において振動する圧電素子をB-の符号により示す。図8以降の模式的制御回路図においても同様である。
【0055】
本変形例では、駆動制御回路22Aの切り替えスイッチ23は、第1のA相接続部23aと、第2のA相接続部23bと、第1のB相接続部23cと、第2のB相接続部23dと、ニュートラル部13eとを有する。第1のA相接続部23aはA相+において振動する圧電素子の電極に接続されている。第2のA相接続部23bはA相-において振動する圧電素子の電極に接続されている。第1のB相接続部23cはB相+において振動する圧電素子の電極に接続されている。第2のB相接続部23dはB相-において振動する圧電素子の電極に接続されている。切り替えスイッチ23は、切り替え制御部18の制御の下、上記各接続部との接続の選択により、接続する圧電素子を選択する。
【0056】
A相+において振動する圧電素子、A相-において振動する圧電素子、B相+において振動する圧電素子及びB相-において振動する圧電素子は、それぞれ独立して信号印加部17に接続されている。信号印加部17は、切り替え制御部18の制御の下、複数に分極された圧電素子のうち振動させる圧電素子を選択する。
【0057】
図9は、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【0058】
本変形例では、駆動制御回路22Bにおいて、切り替えスイッチは設けられていない。駆動制御回路22Bはフィルタ部24A及びフィルタ部24Bを有する。フィルタ部24Aの通過帯域は、圧電素子A相からの信号のフィルタリングに適している。フィルタ部24Bの通過帯域は、圧電素子B相からの信号のフィルタリングに適している。なお、フィルタ部24A,24Bは、一体として構成されていてもよい。
【0059】
切り替え制御部18が振幅検出部15に切り替え制御を指示することで、振幅検出部15自体がフィードバック信号を受信する電極を切り替える。これにより、部品素子数の低減に加え、切り替えスイッチによるノイズの低減やA相・B相間のインピーダンス不整合の問題を解消することができる。このように、切り替えスイッチを用いないことにより、圧電素子の電極と、振幅検出部15との電気的な接続の安定性を高めることができ、ループ安定度の向上を図ることができる。
【0060】
本変形例においては、例えば、圧電素子の電極が振幅検出部15を含むマイコンの入出力端子に接続される。該マイコンは、駆動制御回路22Bのフィルタ部24A,24B、振幅検出部15、信号条件制御部16、信号印加部17、及び切り替え制御部18のうち少なくとも2つを含んでいてもよい。マイコンがフィルタ部24A,24Bを含む場合には、フィルタ部24A,24Bをデジタルフィルタとしてもよい。マイコンは、フィルタ部24A,24B、振幅検出部15、信号条件制御部16、信号印加部17、及び切り替え制御部18の全てを含んでいることが好ましい。この場合には、駆動制御回路22B全体を単一のマイコンにすることができる。それによって、部品点数をより一層低減することができ、かつノイズのより一層の低減を図ることができる。
【0061】
図10は、第2の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。図10においては、圧電素子をハッチングにより示す。後述する図11においても同様である。
【0062】
本実施形態は、駆動制御装置2に接続されている圧電素子35の構成が第1の実施形態と異なる。上記の点以外においては、本実施形態の超音波モータシステムは第1の実施形態の超音波モータシステム1と同様の構成を有する。
【0063】
圧電素子35は、複数に分極された1つの圧電素子である。以下において、圧電素子35の詳細を説明する。圧電素子35は円環状である。圧電素子35は複数の領域を有する。圧電素子35は、領域毎に異なる分極方向を有する。これにより、圧電素子35は、互いに異なる領域では、互いに異なる位相において振動する。複数の領域は圧電素子35における周回方向に並んでいる。より具体的には、複数の領域は、複数の第1のA相領域と、複数の第2のA相領域と、複数の第1のB相領域と、複数の第2のB相領域とを含む。圧電素子35は、第1のA相領域ではA相+において振動し、第2のA相領域ではA相-において振動する。圧電素子35は、第1のB相領域ではB相+において振動し、第2のB相領域ではB相-において振動する。
【0064】
上記のように、圧電素子35における各領域は、互いに異なる位相において振動する。圧電素子35は上記各領域を3箇所ずつ含む。なお、圧電素子35は、上記各領域を少なくとも1箇所ずつ含んでいればよい。
【0065】
圧電素子35は複数の第1の電極を有する。各第1の電極は円弧状である。圧電素子35の隣接する領域に設けられている各第1の電極は、接触していない。本実施形態の圧電素子35の圧電体は、第1のA相領域及び第2のA相領域においては、互いに逆方向に分極されている。同様に、圧電素子35の圧電体は、第1のB相領域及び第2のB相領域においては、互いに逆方向に分極されている。つまり、圧電素子35は、複数に分極された圧電素子である。
【0066】
駆動制御装置2における切り替えスイッチ13のA相接続部13aは、複数の第1のA相領域及び複数の第2のA相領域の電極に電気的に接続されている。他方、B相接続部13cは、複数の第1のB相領域及び複数の第2のB相領域の電極に電気的に接続されている。よって、切り替えスイッチ13は、切り替え制御部18の制御の下、A相接続部13aまたはB相接続部13cとの接続の選択により、接続する領域の電極を選択する。
【0067】
複数の第1のA相領域及び複数の第2のA相領域の電極は、信号印加部17に共通接続されている。同様に、複数の第1のB相領域及び複数の第2のB相領域は、信号印加部17に共通接続されている。信号印加部17は、切り替え制御部18の制御の下、複数に分極された圧電素子のうち振動させる圧電素子を選択する。
【0068】
本実施形態においても、駆動制御装置2の動作手順は図5に示すフローと同様である。駆動制御装置2は、圧電素子35の第1のA相領域及び第2のA相領域、または第1のB相領域及び第2のB相領域からのフィードバック信号を受信する。これにより、超音波モータの回転を制御する。よって、フィードバック用の圧電素子は不要である。従って、第1の実施形態と同様に、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。
【0069】
図11は、第2の実施形態の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【0070】
本変形例では、切り替えスイッチ23は、第1の実施形態の第1の変形例と同様の構成を有する。第1のA相接続部23aは第1のA相領域の電極に接続されている。第2のA相接続部23bは第2のA相領域の電極に接続されている。第1のB相接続部23cは第1のB相領域の電極に接続されている。第2のB相接続部23dは第2のB相領域の電極に接続されている。切り替えスイッチ23は、切り替え制御部18の制御の下、上記各接続部との接続の選択により、圧電素子35の複数の領域の電極のうち接続する領域の電極を選択する。
【0071】
第1のA相領域、第2のA相領域、第1のB相領域及び第2のB相領域の電極は、それぞれ独立して信号印加部17に接続されている。信号印加部17は、切り替え制御部18の制御の下、圧電素子35の複数の領域のうち振動させる領域を選択する。本変形例においても、第2の実施形態と同様に、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。
【0072】
ところで、本発明に係る駆動制御装置は、超音波リニアモータにも用いることができる。この例を以下において示す。
【0073】
図12は、第3の実施形態に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【0074】
本実施形態の超音波モータシステム41における超音波モータ素子は超音波リニアモータである。超音波モータシステム41は振動子43を有する。振動子43は直方体状の振動体44を有する。振動体44上に複数の圧電素子が設けられている。より具体的には、振動子43は、2個の圧電素子A相と、2個の圧電素子B相とを有する。なお、一方の圧電素子A相はA相+において振動し、他方の圧電素子A相はA相-において振動する。一方の圧電素子B相はB相+において振動し、他方の圧電素子B相はB相-において振動する。
【0075】
図12においては、A相+において振動する圧電素子A相を符号A+により示し、A相-において振動する圧電素子A相を符号A-により示す。さらに、図12においては、B相+において振動する圧電素子B相を符号B+により示し、B相-において振動する圧電素子B相を符号B-により示す。複数の圧電素子は、振動体44の長手方向に並んでいる。圧電素子A相及び圧電素子B相は交互に配置されている。より具体的には、A相+において振動する圧電素子A相、B相+において振動する圧電素子B相、A相-において振動する圧電素子A相、B相-において振動する圧電素子B相がこの順序において並んでいる。
【0076】
超音波モータシステム41は、第1の実施形態と同様の駆動制御装置2を有する。駆動制御装置2における切り替えスイッチ13のA相接続部13aは、複数の圧電素子A相の電極に電気的に接続されている。他方、B相接続部13cは、複数の圧電素子B相の電極に電気的に接続されている。よって、切り替えスイッチ13は、切り替え制御部18の制御の下、A相接続部13aまたはB相接続部13cとの接続の選択により、接続する圧電素子の電極を選択する。
【0077】
複数の圧電素子A相の電極は信号印加部17に共通接続されている。同様に、複数の圧電素子B相の電極は信号印加部17に共通接続されている。信号印加部17は、切り替え制御部18の制御の下、複数の圧電素子のうち振動させる圧電素子を選択する。
【0078】
本実施形態においても、駆動制御装置2の動作手順は図5に示すフローと同様である。駆動制御装置2は、圧電素子A相または圧電素子B相からのフィードバック信号を受信する。これにより、超音波モータの回転を制御する。よって、フィードバック用の圧電素子及びその電極は不要である。従って、第1の実施形態と同様に、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。
【0079】
図13は、第3の実施形態の変形例に係る超音波モータシステムの模式的制御回路図である。
【0080】
本変形例では、切り替えスイッチ23は、第1の実施形態の第1の変形例と同様の構成を有する。第1のA相接続部23aは、A相+において振動する圧電素子A相の電極に接続されている。第2のA相接続部23bは、A相-において振動する圧電素子A相の電極に接続されている。第1のB相接続部23cは、B相+において振動する圧電素子B相の電極に接続されている。第2のB相接続部23dは、B相-において振動する圧電素子B相の電極に接続されている。切り替えスイッチ23は、切り替え制御部18の制御の下、上記各接続部との接続の選択により、接続する圧電素子の電極を選択する。
【0081】
各圧電素子の電極は、それぞれ独立して信号印加部17に接続されている。信号印加部17は、切り替え制御部18の制御の下、振動させる圧電素子を選択する。本変形例においても、第3の実施形態と同様に、超音波モータ素子の小型化を容易に進めることができる。
【符号の説明】
【0082】
1…超音波モータシステム
2…駆動制御装置
3…ステータ
4…振動体
4a,4b…第1,第2の主面
5A~5D…第1~第4の圧電素子
6…圧電体
6a,6b…第3,第4の主面
7A,7B…第1,第2の電極
8…ロータ
8a…ロータ本体
8b…回転軸
13…切り替えスイッチ
13a…A相接続部
13c…B相接続部
13e…ニュートラル部
14…フィルタ部
15…振幅検出部(フィードバック信号受信部)
16…信号条件制御部
17…信号印加部
18…切り替え制御部
22A,22B…駆動制御回路
23…切り替えスイッチ
23a,23b…第1,第2のA相接続部
23c,23d…第1,第2のB相接続部
24A,24B…フィルタ部
35…圧電素子
41…超音波モータシステム
43…振動子
44…振動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13