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特許7405262遠隔制御装置、遠隔制御方法、及び遠隔制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】遠隔制御装置、遠隔制御方法、及び遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G08G1/16
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022539943
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029438
(87)【国際公開番号】W WO2022024346
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】沢辺 亜南
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝法
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-27606(JP,A)
【文献】特開2018-106676(JP,A)
【文献】特開2014-147105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
H04L 7/00- 7/10
H04L 12/00-12/26
H04L 12/50-12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える、遠隔制御装置。
【請求項2】
前記危険度特定部は、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項1に記載の遠隔制御装置。
【請求項3】
前記危険度特定部は、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項2に記載の遠隔制御装置。
【請求項4】
前記遅延ジッター特定部は、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記危険度特定部は、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
請求項3に記載の遠隔制御装置。
【請求項5】
前記遅延ジッター特定部は、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記危険度特定部は、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項3又は4に記載の遠隔制御装置。
【請求項6】
前記特定された危険度を表示する表示部、
をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の遠隔制御装置。
【請求項7】
遠隔制御装置が行う遠隔制御方法であって、
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する第1ステップと、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する第2ステップと、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する第3ステップと、
を含む、遠隔制御方法。
【請求項8】
前記第2ステップでは、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項7に記載の遠隔制御方法。
【請求項9】
前記第2ステップでは、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項8に記載の遠隔制御方法。
【請求項10】
前記第1ステップでは、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記第2ステップでは、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
請求項9に記載の遠隔制御方法。
【請求項11】
前記第1ステップでは、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記第2ステップでは、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項9又は10に記載の遠隔制御方法。
【請求項12】
前記特定された危険度を表示する第4ステップ、
をさらに含む、請求項7から11のいずれか1項に記載の遠隔制御方法。
【請求項13】
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える、遠隔制御システム。
【請求項14】
前記危険度特定部は、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項13に記載の遠隔制御システム。
【請求項15】
前記危険度特定部は、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項14に記載の遠隔制御システム。
【請求項16】
前記遅延ジッター特定部は、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記危険度特定部は、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
請求項15に記載の遠隔制御システム。
【請求項17】
前記遅延ジッター特定部は、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記危険度特定部は、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
請求項15又は16に記載の遠隔制御システム。
【請求項18】
前記特定された危険度を表示する表示部、
をさらに備える、請求項13から17のいずれか1項に記載の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔制御装置、遠隔制御方法、及び遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交差点等での車両の衝突事故を回避するための技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、車両が衝突するまでの残余時間であるTTC(Time to collision。衝突余裕時間)が基準値以下である場合や、車間距離を車両の走行速度で除算することで算出される車頭時間が基準値以下である場合に、ブレーキアシスト制御を作動させることが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両の走行速度、減速すべきタイミング、車両が停止線に停止するための必要な減速度に基づいて、車両に対して減速の注意喚起を行うことの要否を判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-142265号公報
【文献】特開2010-191625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、監視対象である車両等の移動体が移動する場所から離れた遠隔地にある遠隔制御装置において、移動体を制御することがある。この場合、遠隔制御装置は、移動体とネットワーク経由で通信して、移動体の状態を示す情報を取得し、取得された情報に基づいて、移動体を制御する。
【0006】
しかし、遠隔制御装置において、移動体を制御する場合には、移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッターによって大きな影響を受ける。遅延ジッターは、通信の遅延変動の安定性を示す指標となるものである。
【0007】
遅延ジッターが大きいと、移動体の制御は、ネットワークの通信状態に大きく依存する。そのため、ネットワークの通信状態によっては、移動体を適切に制御することが困難な場合があるという問題がある。
【0008】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、移動体を適切に制御することができる遠隔制御装置、遠隔制御方法、及び遠隔制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様による遠隔制御装置は、
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える。
【0010】
一態様による遠隔制御方法は、
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する第1ステップと、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する第2ステップと、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する第3ステップと、
を含む。
【0011】
一態様による遠隔制御システムは、
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
上述の態様によれば、移動体を適切に制御できる遠隔制御装置、遠隔制御方法、及び遠隔制御システムを提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る遠隔制御システムの全体構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る車両及び遠隔制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る遠隔制御システムの動作の概要を示す図である。
図4】関連技術の動作例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る危険指標特定部の動作例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る遠隔制御装置の動作の流れの例を示すフロー図である。
図7】実施の形態2に係る車両及び遠隔制御装置の構成例を示すブロック図である。
図8】実施の形態2に係る危険指標表示部による、車両の危険指標の表示例を示す図である。
図9】実施の形態2に係る危険指標表示部による、車両の危険指標の表示例を示す図である。
図10】実施の形態2に係る危険指標表示部による、車両の危険指標の表示例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る遠隔制御装置の動作の流れの例を示すフロー図である。
図12】実施の形態を概念的に示した遠隔制御システムの構成例を示すブロック図である。
図13図12に示される遠隔制御システムの動作の流れの例を示すフロー図である。
図14】実施の形態に係る遠隔制御装置及び遠隔制御システムを実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、以下の各実施形態では、監視対象となる移動体が、自動車等の車両であるものとして説明するが、移動体は車両に限定されるものではない。
【0015】
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る遠隔制御システム1の全体構成例について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態1に係る遠隔制御システム1は、車両10及び遠隔制御装置50を備えている。
【0016】
車両10は、無線ネットワークを経由して、基地局20に接続されている。無線ネットワークは、3G(Generation)、4G/LTE(Long Term Evolution)、5G、ローカル5G、Wi-Fi(Wireless Fidelity)等のネットワークである。
【0017】
車両10は、さらに、基地局20から、インターネット30を経由して、クラウド40上に配置された遠隔制御装置50に接続されている。ただし、これには限定されず、車両10は、インターネット30を経由せず、無線ネットワークから、遠隔制御装置50側のネットワークに直接接続される態様であっても良い。
【0018】
続いて、図2を参照して、本実施の形態1に係る車両10及び遠隔制御装置50の構成例について説明する。
図2に示されるように、本実施の形態1に係る車両10は、車両情報特定部11、車両情報送信部12、運行指示受信部13、及び運行制御部14を備えている。
【0019】
車両情報特定部11は、車両10の状態を特定する。
車両情報送信部12は、車両情報特定部11により特定された車両10の状態を示す車両情報を含むパケットを遠隔制御装置50に送信する。
【0020】
なお、本実施の形態1では、車両情報特定部11は、少なくとも、車両10の位置及び速度を特定し、車両情報は、少なくとも、タイムスタンプと、そのタイムスタンプの時刻での車両10の位置及び速度の情報と、を含むものとする。ただし、これには限定されず、車両情報は、車両10のハンドル、燃料の残量の状態等の情報も含んでも良い。
【0021】
運行指示受信部13は、後述のように、遠隔制御装置50から、運行指示を含むパケットを受信する。
運行制御部14は、遠隔制御装置50から受信されたパケットに含まれる運行指示に基づいて、車両10の運行を制御する。例えば、車両10が自動運転車であれば、運行制御部14は、急ブレーキをかける、走行速度を落とす等の制御を行うことが考えられる。また、運行制御部14は、車両10が自動運転車であり、自動運転から遠隔運転に切り替えられた場合は、自動運転の制御を停止することが考えられる。また、車両10が自動運転車でなければ、運行制御部14は、音声メッセージや表示メッセージ等によって、急ブレーキをかけることや、走行速度を落とすこと等を運転者に報知することが考えられる。
【0022】
本実施の形態1に係る遠隔制御装置50は、車両情報受信部51、遅延ジッター特定部52、危険指標特定部53、運行管理部54、及び運行指示部55を備えている。
車両情報受信部51は、車両10から、車両情報を含むパケットを受信する。
【0023】
遅延ジッター特定部52は、まず、車両10と通信するネットワークにおける遅延ジッターを算出する。車両10と通信するネットワークとは、図1の例では、車両10と基地局20との間の無線ネットワーク、インターネット30、及び遠隔制御装置50側のネットワークからなるネットワークとなる。例えば、遅延ジッター特定部52は、以下の数式1を用いて、遅延ジッターを算出することができる。
【数1】
【0024】
続いて、遅延ジッター特定部52は、上記で算出された遅延ジッターに基づいて、遅延ジッター分布を算出する。遅延ジッター分布は、例えば、遅延ジッターの確率密度関数として、算出することができる。
【0025】
危険指標特定部53は、まず、車両10から受信されたパケットに含まれる車両情報に基づいて、車両10が衝突するまでの残余時間であるTTC(衝突余裕時間)を算出する。
ここで、例えば、先行車両iの速度をv、先行車両iの位置をp、先行車両iから車両情報が受信された受信時刻をτ、後続車両jの速度をv、後続車両jの位置をp、後続車両jから車両情報が受信された受信時刻をτ、先行車両iと後続車両jとの距離をdijとすると、ある時刻τにおけるTTCは、以下の数式2を用いて、定義される。
【数2】
【0026】
上述したように、車両10から受信された車両情報には、タイムスタンプと、そのタイムスタンプの時刻での車両10の位置及び速度の情報と、が含まれる。
そのため、危険指標特定部53は、車両10から受信された車両情報と、上述した数式2と、を用いて、車両10のTTCを算出することができる。
【0027】
そして、危険指標特定部53は、上記で算出されたTTCと、遅延ジッター特定部52により算出された遅延ジッター分布と、に基づいて、車両10の危険指標を特定する。
【0028】
運行管理部54及び運行指示部55は、危険指標特定部53により特定された車両10の危険指標に基づいて、車両10を制御する。具体的には、運行管理部54は、車両10の危険指標に基づいて、車両10の運行内容を決定し、運行指示部55は、運行管理部54により決定された車両10の運行内容を示す運行指示を含むパケットを、車両10に送信する。例えば、運行管理部54は、車両10の運行内容として、急ブレーキをかける、走行速度を落とす等に決定することが考えられる。また、車両10が自動運転車であれば、運行管理部54は、自動運転から遠隔運転に切り替えると決定することが考えられる。
【0029】
なお、運行管理部54は、危険指標特定部53により特定された車両10の危険指標が監視者の定めた値以上の場合(例えば、危険指標が後述の「危険」又は「注意」の領域にある場合)にのみ、車両10の運行内容を決定しても良い。例えば、運行管理部54は、車両10の危険指標が「危険」である場合は、車両10が急ブレーキをかけるよう決定し、危険指標が「注意」である場合は、車両10の走行速度を落とすよう決定することが考えられる。
【0030】
ここで、図3を参照して、本実施の形態1に係る遠隔制御システム1の動作の概要について説明する。
図3に示されるように、車両10は、現在位置及び将来移動する将来位置において、車両情報を遠隔制御装置50に送信する。
【0031】
遅延ジッター特定部52は、車両10が移動する区間毎に、遅延ジッター及び遅延ジッター分布を算出し、また、危険指標特定部53は、車両10が移動する区間毎に、車両10の危険指標を特定する。
【0032】
このとき、遅延ジッターは、地理的特性に依存して変動する。図3の例では、区間A,Cは遅延ジッターが小さいのに対し、区間Bは遅延ジッターが大きくなっている。
そのため、遅延ジッターが大きな区間Bを走行中の車両10に対しては、安全をとって、走行速度を下げる等の運行指示を与えるのが好ましいと考えられる。
【0033】
そこで、危険指標特定部53は、遅延ジッター特定部52により算出された遅延ジッター分布に基づいて、車両10のTTCを修正し、修正されたTTCに基づいて、車両10の危険指標を特定する。
【0034】
図3の例では、危険指標は、閾値によって、「危険」、「注意」、及び「安全」の3つに区分けされている。危険指標特定部53は、区間Bにおいて、車両10のTTCを算出するが、算出したTTCは「安全」の範囲に入っている。しかし、区間Bは、区間A,Cと比べて、遅延ジッターが大きい。そのため、危険指標特定部53は、区間A,Cと比べて、TTCを短めに修正する。その結果、修正されたTTCは「注意」の範囲に入るため、危険指標特定部53は、車両10の危険指標を「注意」と特定する。
【0035】
続いて、図4及び図5を参照して、本実施の形態1に係る危険指標特定部53の動作について、詳細に説明する。なお、図4は、本実施の形態1との比較のために関連技術の動作を示しており、図5は、本実施の形態1の動作を示している。
【0036】
図4に示されるように、関連技術は、車両10のTTCを算出し、算出されたTTCに基づいて、危険指標を特定する。図4の例では、算出されたTTCは「安全」の範囲に入っている。そのため、関連技術は、車両10の危険指標を「安全」と特定する。そのため、関連技術では、車両10が移動する区間が、遅延ジッターが大きな区間であったとしても、車両10に対して、走行速度を下げる等の運行指示を与えることができない。
【0037】
これに対して、図5に示されるように、本実施の形態1では、危険指標特定部53は、車両10について算出されたTTCを、遅延ジッター特定部52により算出された遅延ジッター分布に基づいて、修正する。
【0038】
ここでは、図5に示されるように、遅延ジッター分布が確率密度関数fθ(x)で与えられていると仮定する。図5の右上に示される遅延ジッター分布において、横軸は遅延ジッターを示し、縦軸はその遅延ジッターである確率に相当するPDF(Probability Density Function)を示している。
【0039】
図5の例では、危険指標特定部53は、車両10について算出されたTTCから、遅延ジッター分布を減算することにより、TTCを修正している。図5の例では、修正されたTTCをmTTCと表記している。
【0040】
続いて、危険指標特定部53は、「危険(z)」、「注意(z)」、及び「安全(z)」のそれぞれのゾーンにおけるmTTCの面積を、以下の数式3を用いて、算出する。
【数3】
【0041】
そして、危険指標特定部53は、以下の数式4のように、面積が最大の危険指標を、車両10の最終的な危険指標として特定する。
【数4】
【0042】
図5の例では、「注意(z)」の面積が最大となっている。そのため、危険指標特定部53は、車両10の最終的な危険指標を「注意(z)」と特定する。
【0043】
続いて、図6を参照して、本実施の形態1に係る遠隔制御装置50の動作の流れの例について説明する。
図6に示されるように、まず、遅延ジッター特定部52は、車両10と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を算出する(ステップS11)。
【0044】
続いて、危険指標特定部53は、車両10のTTCを算出する(ステップS12)。続いて、危険指標特定部53は、ステップS11で算出された遅延ジッター分布に基づいて、ステップS12で算出されたTTCを修正する(ステップS13)。続いて、危険指標特定部53は、ステップS13で修正されたTTCに基づいて、車両10の危険指標を特定する(ステップS14)。
【0045】
その後、運行管理部54及び運行指示部55は、ステップS14で特定された車両10の危険指標に基づいて、車両10を制御する(ステップS15)。具体的には、運行管理部54は、車両10の危険指標に基づいて、車両10の運行内容を決定し、運行指示部55は、その決定された車両10の運行内容を示す運行指示を車両10に送信する。
【0046】
上述したように本実施の形態1によれば、遅延ジッター特定部52は、車両10と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を算出する。危険指標特定部53は、車両10のTTCを算出し、算出された遅延ジッター分布に基づいて、算出されたTTCを修正し、修正されたTTCに基づいて、車両10の危険指標を特定する。運行管理部54及び運行指示部55は、特定された車両10の危険指標に基づいて、車両10を制御する。
【0047】
このように、ネットワークにおける遅延ジッター分布を考慮して、車両10の危険指標を特定するため、ネットワークの通信状態を踏まえて、車両10を適切に制御することができる。
【0048】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る遠隔制御システム1Aは、上述した実施の形態1と比較して、遠隔制御装置50の構成が異なる。
そこで、以下では、図7を参照して、本実施の形態2に係る遠隔制御装置50の構成例について説明する。
【0049】
図7に示されるように、本実施の形態2に係る遠隔制御装置50は、上述した実施の形態1の図2の構成と比較して、危険指標表示部56が追加されている点が異なる。
危険指標表示部56は、危険指標特定部53により特定された車両10の危険指標を、遠隔制御装置50の画面に表示する。
【0050】
危険指標表示部56による、車両10の危険指標の表示例を図8に示す。図8の例では、危険指標表示部56は、道路上の各区間における車両10の危険指標を模様で区分けして表示している。
【0051】
ただし、図8の表示例には限定されない。例えば、危険指標表示部56は、道路上の各区間における車両10の危険指標を色で区分けしても良い。また、危険指標が監視者の定めた値以上の場合(例えば、危険指標が「危険」又「注意」の領域にある場合)に、該危険指標の区画を通る車両10に注意喚起のマークを表したり、枠で囲む等して通知しても良い。
【0052】
また、危険指標表示部56は、車両10の危険指標を、車両情報(位置情報等)と併せてリスト表示しても良い。また、危険指標表示部56は、いずれかの区間がクリック等で指定されると、指定された区間の詳細情報を表示しても良い。
【0053】
また、遅延ジッター特定部52及び危険指標特定部53は、複数の車両10を同時に監視しても良い。この場合、危険指標特定部53は、複数の車両10の各々の危険指標を算出する。危険指標表示部56による、車両10の危険指標の表示例として、複数の車両10を同時に監視する場合の表示例を図9に示す。図9の表示例では、危険指標表示部56は、複数の車両10を表示する。そして、危険指標表示部56は、いずれかの車両10がクリック等で指定されると、指定された車両10の詳細情報を表示する。図9において、車両10の詳細情報を吹き出しで、監視画面上に重畳するように表示する例を記載したが、表示方法はこれには限定されものではない。
【0054】
また、危険指標表示部56による、車両10の危険指標の別の表示例を図10に示す。図10の表示例では、危険指標表示部56は、図10の左上に監視用画面を表示しているが、車両10の詳細情報を重畳して表示しても良い。また、危険指標表示部56は、図10の左下に示されるように、車両10をす監視カメラの映像や近くの監視カメラの映像を表示しても良い。また、危険指標表示部56は、図10の右上に示されるように、危険度が高い車両10の一覧を表示しても良い。また、危険指標表示部56は、図10の右下に示されるように、クリック等で指定された車両10を拡大表示したりしても良いし、車両10を自動運転から遠隔運転に切り替える場合には、遠隔運転用の画面を表示したりしても良い。
【0055】
また、図8から図10の表示例では、危険指標表示部56は、車両10の危険指標を、遠隔制御装置50の画面に表示しているが、これには限定されない。危険指標表示部56は、遠隔制御装置50以外の任意の表示装置(例えば、道路を監視する監視センターの表示装置等)に車両10の危険指標を表示しても良い。
【0056】
なお、危険指標表示部56は、危険指標特定部53により特定された車両10の危険指標が監視者の定めた値以上の場合(例えば、危険指標が「危険」又は「注意」の領域にある場合)にのみ、車両10の危険指標を表示しても良い。
【0057】
続いて、図11を参照して、本実施の形態2に係る遠隔制御装置50の動作の流れの例について説明する。
図11に示されるように、まず、上述した実施の形態1の図6のステップS11~S14と同様のステップS21~S24の処理が行われる。
続いて、危険指標表示部56は、ステップS4で特定された車両10の危険指標を表示する(ステップS25)。
その後、上述した実施の形態1の図6のステップS15と同様のステップS26の処理が行われる。
なお、図11において、ステップS25とステップS26は、順番を入れ替えても良いし、同時に行われても良い。
【0058】
上述したように本実施の形態2によれば、危険指標表示部56は、危険指標特定部53により特定された車両10の危険指標を表示する。これにより、車両10の危険指標を、車両を監視する監視者等に知らせることができる。また、車両10が自動運転車であれば、この表示を見た監視者は、自動運転を、監視者による遠隔運転に切り替えても良い。この場合、監視者が遠隔運転を操作しても良いし、別の遠隔操作要員に遠隔運転の操作を依頼しても良い。なお、自動運転から遠隔運転への切り替えは、上述のように、監視員が切り替えることには限定されず、運行管理部54及び運行指示部55が、車両10の危険指標に基づいて、強制的に切り替えても良い。
その他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0059】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態1,2では、遅延ジッター特定部52は、確率密度関数として遅延ジッター分布を算出し、危険指標特定部53は、その遅延ジッター分布を用いて、TTCを修正していたが、これには限定されない。遅延ジッター特定部52は、α-パーセント点のような所定の確率であるときの遅延ジッターを算出し、危険指標特定部53は、その遅延ジッターを用いて、TTCを修正しても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態1,2では、遠隔制御装置50が、車両10の危険指標を特定し、車両10を制御していたが、これには限定されない。車両10が、他の車両10から、直接又は遠隔制御装置50を経由して、車両情報を取得して、他の車両10の危険指標を特定し、他の車両10を制御しても良い。この場合、車両10は、車両情報受信部51、遅延ジッター特定部52、危険指標特定部53、運行管理部54、及び運行指示部55に対応する構成要素を備えていれば良い。
【0061】
また、上述した実施の形態1,2では、車両10が、1つのデータを1つのパケットで送信することを前提として、遅延ジッター特定部52は、遅延ジッターを算出していたが、これには限定されない。上述した実施の形態1,2は、車両10が、1つのデータを複数のパケットで送信する場合(例えば、動画データを送信する場合)にも適用可能である。この場合、遅延ジッター特定部52は、例えば、データの先頭パケットの受信時刻と、データの末尾パケットの受信時刻と、を用いて、上述した数式1により、遅延ジッターを算出すれば良い。この場合、パケットに識別子を付与可能であれば、遅延ジッター特定部52は、その識別子により、末尾パケットを識別可能である。また、動画データ等の大容量データを送信する場合、MTU(Maximum Transmission Unit)のパケットが連続した後に、末尾パケットはMTU以下のパケットになると考えられる。そのため、遅延ジッター特定部52は、パケットサイズを閾値と比較することにより、末尾パケットを識別可能である。
【0062】
また、上述した実施の形態1,2では、運行管理部54及び運行指示部55は、車両10の危険指標に基づいて、車両10の運行を制御していたが、これには限定されない。例えば、運行管理部54及び運行指示部55、又は、その他の制御部は、車両10のネットワーク優先度を高くする等のネットワーク制御を行っても良い。これにより、車両10に対し、優先的に通知を行うこと等が可能になる。
【0063】
<実施の形態の概念>
続いて、図12を参照して、上述した実施の形態1,2に係る遠隔制御システム1,1Aを概念的に示した遠隔制御システム100の構成例について説明する。
図12に示される遠隔制御システム100は、遅延ジッター特定部101、危険度特定部102、及び制御部103を備えている。
遅延ジッター特定部101、危険度特定部102、及び制御部103は、上述した実施の形態1,2に係る遠隔制御装置50側又は車両10側のどちらに設けられても良い。
【0064】
遅延ジッター特定部101は、上述した実施の形態1,2に係る遅延ジッター特定部52に対応する。遅延ジッター特定部101は、監視対象である車両等の移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する。
【0065】
危険度特定部102は、上述した実施の形態1,2に係る危険指標特定部53に対応する。危険度特定部102は、遅延ジッター特定部101により特定された遅延ジッター分布と、移動体の状態と、に基づいて、移動体の危険度を特定する。
【0066】
移動体の状態は、例えば、移動体の位置及び速度の状態である。移動体の状態が位置及び速度の状態である場合、危険度特定部102は、移動体の状態に基づいて、移動体のTTC(衝突余裕時間)を特定し、特定されたTTCと、遅延ジッター特定部101により特定された遅延ジッター分布と、に基づいて、移動体の危険度を特定しても良い。より具体的には、危険度特定部102は、特定された遅延ジッター分布に基づいて、特定されたTTCを修正し、修正されたTTCに基づいて、移動体の危険度を特定しても良い。
【0067】
また、移動体の状態は、移動体が自動車であればハンドルの状態でも良い。移動体の状態がハンドルの状態である場合、危険度特定部102は、移動体が急ハンドルを切ったか否かに応じて、危険度を仮決定し、特定された遅延ジッター分布に基づいて、仮決定した危険度を修正しても良い。
【0068】
また、遅延ジッター特定部101は、遅延ジッター分布を確率密度関数として特定しても良い。また、危険度特定部102は、特定されたTTCから、特定された遅延ジッター分布を減算することにより、特定されたTTCを修正しても良い。
【0069】
また、遅延ジッター特定部101は、移動体が移動する区間毎に、ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定しても良い。また、危険度特定部102は、移動体が移動する区間毎に、特定された遅延ジッター分布に基づいて、特定されたTTCを修正し、移動体が移動する区間毎に、修正されたTTCに基づいて、移動体の危険度を特定しても良い。
【0070】
制御部103は、上述した実施の形態1,2に係る運行管理部54及び運行指示部55に対応する。制御部103は、危険度特定部102により特定された移動体の危険度に基づいて、移動体を制御する。
【0071】
なお、制御部103は、危険度特定部102により特定された移動体の危険度が所定の閾値よりも高い場合にのみ、移動体を制御しても良い。また、制御部103は、移動体の運行を制御しても良いし、移動体のネットワーク優先度等を制御するネットワーク制御を行っても良い。
【0072】
また、遠隔制御システム100は、特定された危険度を表示する表示部をさらに備えていても良い。この表示部は、上述した実施の形態2に係る危険指標表示部56に対応する。この表示部は、危険度特定部102により特定された移動体の危険度が監視者の定めた値以上の場合にのみ、危険度を表示しても良い。
【0073】
続いて、図13を参照して、図12に示される遠隔制御システム100の動作の流れの例について説明する。
【0074】
図13に示されるように、まず、遅延ジッター特定部101は、監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する(ステップS31)。
続いて、危険度特定部102は、ステップS31で特定された遅延ジッター分布と、移動体の状態と、に基づいて、移動体の危険度を特定する(ステップS32)。
その後、制御部103は、ステップS32で特定された移動体の危険度に基づいて、移動体を制御する(ステップS33)。
【0075】
上述したように、図12に示される遠隔制御システム100によれば、遅延ジッター特定部101は、監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する。危険度特定部102は、特定された遅延ジッター分布と、移動体の状態と、に基づいて、移動体の危険度を特定する。制御部103は、特定された移動体の危険度に基づいて、移動体を制御する。
このように、ネットワークにおける遅延ジッター分布を考慮して、移動体の危険度を特定するため、ネットワークの通信状態を踏まえて、移動体を適切に制御することができる。
【0076】
<実施の形態に係る遠隔制御装置及び遠隔制御システムのハードウェア構成>
続いて、図14を参照して、上述した実施の形態1,2に係る遠隔制御装置50及び上述した実施の形態の概念に係る遠隔制御システム100を実現するコンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0077】
図14に示されるように、コンピュータ90は、プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース(入出力I/F)94、及び通信インタフェース(通信I/F)95等を備える。プロセッサ91、メモリ92、ストレージ93、入出力インタフェース94、及び通信インタフェース95は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0078】
プロセッサ91は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。ストレージ93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカード等の記憶装置である。また、ストレージ93は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0079】
ストレージ93は、遠隔制御装置50及び遠隔制御システム100が備える構成要素の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ91は、これら各プログラムを実行することで、遠隔制御装置50及び遠隔制御システム100が備える構成要素の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ91は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ92上に読み出してから実行しても良いし、メモリ92上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ92やストレージ93は、遠隔制御装置50及び遠隔制御システム100が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0080】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ90を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0081】
入出力インタフェース94は、表示装置941、入力装置942、音出力装置943等と接続される。表示装置941は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ91により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置942は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサ等である。表示装置941及び入力装置942は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置943は、スピーカのような、プロセッサ91により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0082】
通信インタフェース95は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース95は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0083】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0084】
また、上述した実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える、遠隔制御装置。
(付記2)
前記危険度特定部は、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記1に記載の遠隔制御装置。
(付記3)
前記危険度特定部は、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記2に記載の遠隔制御装置。
(付記4)
前記遅延ジッター特定部は、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記危険度特定部は、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
付記3に記載の遠隔制御装置。
(付記5)
前記遅延ジッター特定部は、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記危険度特定部は、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記3又は4に記載の遠隔制御装置。
(付記6)
前記特定された危険度を表示する表示部、
をさらに備える、付記1から5のいずれか1項に記載の遠隔制御装置。
(付記7)
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する第1ステップと、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する第2ステップと、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する第3ステップと、
を含む、遠隔制御方法。
(付記8)
前記第2ステップでは、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記7に記載の遠隔制御方法。
(付記9)
前記第2ステップでは、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記8に記載の遠隔制御方法。
(付記10)
前記第1ステップでは、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記第2ステップでは、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
付記9に記載の遠隔制御方法。
(付記11)
前記第1ステップでは、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記第2ステップでは、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記9又は10に記載の遠隔制御方法。
(付記12)
前記特定された危険度を表示する第4ステップ、
をさらに含む、付記7から11のいずれか1項に記載の遠隔制御方法。
(付記13)
監視対象である移動体と通信するネットワークにおける遅延ジッター分布を特定する遅延ジッター特定部と、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記移動体の状態と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する危険度特定部と、
前記特定された危険度に基づいて、前記移動体を制御する制御部と、
を備える、遠隔制御システム。
(付記14)
前記危険度特定部は、
前記移動体の状態に基づいて、前記移動体が衝突するまでの残余時間である衝突余裕時間を特定し、
前記特定された遅延ジッター分布と、前記特定された衝突余裕時間と、に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記13に記載の遠隔制御システム。
(付記15)
前記危険度特定部は、
前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記14に記載の遠隔制御システム。
(付記16)
前記遅延ジッター特定部は、前記遅延ジッター分布を確率密度関数として特定し、
前記危険度特定部は、前記特定された衝突余裕時間から、前記特定された遅延ジッター分布を減算することにより、前記特定された衝突余裕時間を修正する、
付記15に記載の遠隔制御システム。
(付記17)
前記遅延ジッター特定部は、前記移動体が移動する区間毎に、前記ネットワークにおける遅延ジッター分布を特定し、
前記危険度特定部は、
前記移動体が移動する区間毎に、前記特定された遅延ジッター分布に基づいて、前記特定された衝突余裕時間を修正し、
前記移動体が移動する区間毎に、前記修正された衝突余裕時間に基づいて、前記移動体の危険度を特定する、
付記15又は16に記載の遠隔制御システム。
(付記18)
前記特定された危険度を表示する表示部、
をさらに備える、付記13から17のいずれか1項に記載の遠隔制御システム。
【符号の説明】
【0085】
1,1A 遠隔制御システム
10 車両
11 車両情報特定部
12 車両情報送信部
13 運行指示受信部
14 運行制御部
20 基地局
30 インターネット
40 クラウド
50 遠隔制御装置
51 車両情報受信部
52 遅延ジッター特定部
53 危険指標特定部
54 運行管理部
55 運行指示部
56 危険指標表示部
90 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
93 ストレージ
94 入出力インタフェース
941 表示装置
942 入力装置
943 音出力装置
95 通信インタフェース
100 遠隔制御システム
101 遅延ジッター特定部
102 危険度特定部
103 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14