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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/15 20160101AFI20231219BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20231219BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20231219BHJP
   B60K 6/28 20071001ALI20231219BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20231219BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20231219BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20231219BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20231219BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20231219BHJP
   B60L 58/14 20190101ALI20231219BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20231219BHJP
   F01P 7/04 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60W20/15
B60W10/06 900
B60W10/30 900
B60K6/28 ZHV
B60K6/48
B60W20/20
B60W20/13
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/14
B60L1/00 L
F01P7/04 M
F01P7/04 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022559027
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2021038542
(87)【国際公開番号】W WO2022091858
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2020179303
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】西脇 洋渡
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-098650(JP,A)
【文献】特開2011-160613(JP,A)
【文献】特開2014-150684(JP,A)
【文献】特開2010-081704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/15
B60W 10/06
B60W 10/30
B60K 6/28
B60K 6/48
B60W 20/20
B60W 20/13
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/14
B60L 1/00
F01P 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームに搭載され、前記車両の動力源として機能するエンジン及びモータと、
前記モータに電力を供給する高電圧バッテリと、
前記車両の補機に電力を供給する補機バッテリと、
前記エンジンルームに空気を導入するファンと、
前記ファンの駆動を制御する制御部と、
前記高電圧バッテリからの電力を降圧するDCDCコンバータと、を有し、
外部充電器によって前記高電圧バッテリを充電可能なハイブリッド車両であって、
前記制御部は、前記エンジンの駆動中に前記ファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合は前記エンジンが停止した後も前記ファンを所定期間駆動するように制御し、
前記ファン駆動条件が成立するとき、前記エンジンが停止した後も前記高電圧バッテリから前記DCDCコンバータを介することで前記ファンを駆動し、第1条件が成立した場合、前記高電圧バッテリによる前記ファンの駆動を停止し、前記補機バッテリで前記ファンを駆動し、前記第1条件は、前記高電圧バッテリの電力量が第1所定値を下回ることを含み、前記補機バッテリで前記ファンを駆動しているときに、前記高電圧バッテリが前記外部充電器によって外部充電された場合、前記補機バッテリによる前記ファンの駆動を停止し、前記高電圧バッテリから前記DCDCコンバータを介することで前記ファンを駆動する、
ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記第1条件は、前記高電圧バッテリのメンテナンス作業の開始を検知することである
請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記第1条件は、前記補機バッテリの電圧が第2所定値以上であることであり、前記補機バッテリの電圧が前記第2所定値を下回った場合、前記補機バッテリによる前記ファンの駆動を停止し、前記高電圧バッテリにより前記ファンを駆動する、
請求項1又はに記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記エンジンルームに導入する空気の量を演算する演算部を有し、
前記演算部の演算結果に応じ、前記所定期間を設定する、
請求項1から3いずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記車両の走行モードとして、前記エンジンを駆動させつつ走行するエンジン駆動走行モードと、前記エンジンを停止させつつ前記モータで走行するEV走行モードとを有し、
前記制御部は、前記エンジン駆動走行モードから前記EV走行モードに切り替わると判定された際、前記ファン駆動条件が成立する場合は前記ファンを前記所定期間駆動するように制御し、前記エンジン駆動走行モードから前記EV走行モードへの切り替えを行わず、前記エンジンを所定の燃料噴射量で駆動させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンルーム内に配設された冷却ファンを駆動制御する冷却ファン駆動制御装置が開示されている。かかる冷却ファン駆動制御装置は、エンジンルーム温度を予測するエンジンルーム温度予測手段と、エンジンルーム温度予測手段の予測結果に基づいて、エンジン周辺部品温度を予測するエンジン周辺部品温度予測手段と、少なくともエンジン周辺部品温度予測手段の予測結果に基づいて、冷却ファンの駆動設定を行う駆動設定手段とを備えている。そして、駆動設定手段は、エンジン周辺部品温度予測手段の予測結果に基づいて、冷却ファンのエンジン停止後の駆動時間を設定する。冷却ファンは、ファンモータによって回転駆動される電動ファンであって、例えば、補機類の電源となる補機バッテリからファンモータに電力が供給され、ファンモータが回転駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-175171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド車両においても補機バッテリからファンモータに電力が供給され、ファンモータが回転駆動されると、高電圧バッテリを搭載しているにもかかわらず大きな容量の補機バッテリを搭載する必要があり、効率的ではない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の実施形態は、補機バッテリの容量を小さくできるハイブリッド車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るハイブリッド車両は、車両のエンジンルームに搭載され、前記車両の動力源として機能するエンジン及びモータと、前記モータに電力を供給する高電圧バッテリと、前記車両の補機に電力を供給する補機バッテリと、前記エンジンルームに空気を導入するファンと、前記ファンの駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記エンジンの駆動中に前記ファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合は前記エンジンが停止した後も前記ファンを所定期間駆動するように制御し、前記ファン駆動条件が成立するとき、前記エンジンが停止しても前記高電圧バッテリで前記ファンを駆動し、第1条件が成立した場合、前記高電圧バッテリによる前記ファンの駆動を停止し、前記補機バッテリで前記ファンを駆動する。
【0007】
上記の構成によれば、高電圧バッテリからファンに供給された電力によってファンを駆動し、第1条件が成立した場合、高電圧バッテリからファンへの電力供給を停止するとともに、補機バッテリからファンに電力を供給することでファンを駆動する。すなわち、第1条件が成立した場合、ファンの電力供給源を高電圧バッテリから補機バッテリに切り換えることでファンの駆動を継続する。よって、第1条件が成立するまで高電圧バッテリからファンに電力が供給されるので、補機バッテリの容量を小さくできる。
【0008】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記第1条件は、前記高電圧バッテリの電力量が第1所定値を下回ることである。
【0009】
上記の構成によれば、高電圧バッテリの電力量が第1所定値を下回った場合に、高電圧バッテリからファンへの電力供給を停止するとともに、補機バッテリからファンに電力を供給することでファンを駆動する。すなわち、高電圧バッテリの電力量(残量)が予め定められた第1所定値を下回った場合、ファンの電力供給源を高電圧バッテリから補機バッテリに切り換えることでファンの駆動を継続する。よって、高電圧バッテリの電力量(残量)が予め定められた第1所定値を下回るまで高電圧バッテリからファンに電力が供給されるので、補機バッテリの容量を小さくできる。
【0010】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記第1条件は、前記高電圧バッテリのメンテナンス作業の開始を検知することである。
【0011】
上記の構成によれば、高電圧バッテリのメンテナンス作業を開始した場合に、高電圧バッテリからファンへの電力供給を停止するとともに、補機バッテリからファンに電力を供給することでファンを駆動する。これにより、高電圧バッテリのメンテナンス作業を開始した場合、ファンの電力供給源を高電圧バッテリから補機バッテリに切り換えることでメンテナンス作業者の安全を確保できる。
【0012】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記第1条件は、前記補機バッテリの電圧が第2所定値以上であることであり、前記補機バッテリの電圧が前記第2所定値を下回った場合、前記補機バッテリによる前記ファンの駆動を停止し、前記高電圧バッテリにより前記ファンを駆動する。
【0013】
上記の構成によれば、補機バッテリの電圧が第2所定値以上である場合、高電圧バッテリからファンへの電力供給を停止するとともに、補機バッテリからファンに電力を供給することでファンを駆動する。そして、補機バッテリの電圧が第2所定値を下回った場合、補機バッテリからファンへの電力供給を停止するとともに、高電圧バッテリからファンに電力を供給することでファンを駆動する。これにより、補機バッテリの電圧が第2所定値以上に確保され、エンジンが始動できない等の不具合を防止できる。
【0014】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記制御部は、前記エンジンルームに導入される空気の量を演算する演算部を有し、前記演算部の演算結果に応じ、前記所定期間を設定する。
【0015】
上記の構成によれば、エンジンが停止した後もファン駆動条件が成立する場合に制御部が有する演算部で演算したエンジンルームに導入する空気量に応じてファンを所定期間駆動できる。
【0016】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記車両の走行モードとして、前記エンジンを駆動させつつ走行するエンジン駆動走行モードと、前記エンジンを停止させつつ前記モータで走行するEV走行モードとを有し、前記制御部は、前記エンジン駆動走行モードから前記EV走行モードに切り替わると判定された際、前記ファン駆動条件が成立する場合は前記ファンを前記所定期間駆動するように制御し、前記エンジン駆動走行モードから前記EV走行モードへの切り替えを行わず、前記エンジンを所定の燃料噴射量で駆動させる。
【0017】
上記の構成によれば、エンジン駆動走行モードからEV走行モードに切り替わると判定された際、ファン駆動条件が成立する場合は、走行モードをEVモードに切り替えずにエンジンを所定の燃料噴射量で駆動する。これにより、エンジンの燃焼室に燃料が噴射され、該燃料の気化熱によってエンジンが冷却されるので、エンジンルーム内の温度を効率的に低下させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、第1条件が成立するまで高電圧バッテリからファンに電力が供給されるので、補機バッテリの容量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態2に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態3に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態4に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両は、エンジンルーム(図示せず)にエンジン1及びモータ2が搭載され、エンジン1及びモータ2が動力源として機能する。本発明の実施形態に係るハイブリッド車両は、エンジン1を駆動させつつ走行するハイブリッド走行と、エンジン1を停止させつつモータ2で走行するEV走行とが可能であり、ユーザ(運転者)の選択や車両の状態(走行速度や走行負荷、後述する高電圧バッテリ3の電力量など)により走行モードが切り替え可能となっている。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両は、エンジン1及びモータ2のほか、高電圧バッテリ3、補機バッテリ4、ファン5及び制御部6を有する。高電圧バッテリ3は、モータ2に電力を供給するバッテリであり、補機バッテリ4に比べて高い電圧のバッテリである。補機バッテリ4は、車両の補機類に電力を供給するバッテリである。ファン5は、エンジンルームに空気を導入する電動ファンであり、車両前方に配置されたラジエータ(図示せず)の後方に配置される。
【0023】
制御部6は、ファン5の駆動を制御する部分であり、エンジン1の駆動中にファン5を駆動させるとともに、エンジン1が停止した後もファン駆動条件が成立する場合はファン5を所定期間駆動するように制御する(「アフターランファン(ARF)」という)。ファン駆動条件は、例えば、エンジン1が駆動する走行モード(エンジン走行やハイブリッド走行)の終了判定時、若しくは終了後のエンジンルーム内の温度が予め設定された所定温度(第1の所定温度)以上の場合に成立する。本実施形態においては、所定期間は、予め設定された所定時間であり、例えば、エンジンルーム内の温度が予め設定された所定温度(第2の所定温度)以下になるまでに必要な時間である。所定期間は、実験などで予め求めておけばよく、例えば、エンジンルーム内が取り得る最高温度から第2の所定温度まで減少するまでの時間とすればよい。なお、所定期間はエンジンルーム内の温度を計測し、エンジンルーム内の温度が所定温度となるまでの期間としてもよい。
【0024】
そして、ファン駆動条件が成立するとき、エンジン1が停止しても高電圧バッテリ3でファン5を駆動し、第1条件が成立した場合、高電圧バッテリ3からのファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からの電力供給によりファン5を駆動する。第1条件は、例えば、ユーザが操作すること、高電圧バッテリ3の電力量(SOC(State Of Charge))が予め設定された第1所定値を下回ること、高電圧バッテリ3のメンテナンス作業の開始を検知すること、又は、補機バッテリ4の電圧が予め設定された第2所定値以上であることなどである。高電圧バッテリ3の電力量は、例えば、高電圧バッテリ3に付随する電圧センサ31及び電流センサ32で検出された電圧及び電流を制御部6で管理することで求められる。高電圧バッテリ3のメンテナンス作業の開始は、例えば、サービスプラグ7が開かれたことを検出する開閉センサ71により検出される。また、補機バッテリ4の電圧は、補機バッテリ4に付随する電圧センサ41で検出される。
【0025】
尚、制御部6は、例えば、制御装置及び演算装置を含むプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Acesess Memory)等のメモリを含み構成されるが、これに限られるものではない。
【0026】
図2は、本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
【0027】
図2に示すように、本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両では、エンジン1が駆動する走行モード(以下、「エンジン駆動走行モード」と表記する)での走行中に高電圧バッテリ3からモータ2やファン5に電力供給が可能(高電圧ON)となっており、エンジン駆動走行モード中にエンジン停止後(EV走行モードに切り替わったときや、アイドルストップに入ったときなど)のファン駆動(以下、「ARF」と表記する)が必要か否かを判断する、例えば、エンジン駆動走行モードからEV走行モードに切り替わる所定の条件が成立したと判定された際に、ファン駆動条件が成立するか否かを判断する(ステップS1)。ARFが必要であると判断すると(ステップS1:Yes)、エンジン走行終了直前から高電圧バッテリ3からファン5に電力を供給することでARFを開始する(ステップS2,S3)。ARF開始後、エンジン1が停止される。尚、高電圧バッテリ3の電圧はファン5が必要とする電圧よりも高いためDCDCコンバータ8を介することで降圧して供給する。また、エンジン走行終了直前からARFを開始するのは、エンジン停止処理中(エンジン走行終了を待つ少しの間)にもエンジンルームの温度が上昇するためであり、このようにエンジン走行終了直前からARFを開始することでエンジンルーム内の部品を保護できる。
【0028】
そして、エンジン駆動走行モードを終了しても高電圧バッテリ3からファン5に電力を供給することでARFを継続し(ステップS4,S5)、高電圧バッテリ3からの電力供給の停止(高電圧OFF)が必要か否かを判断する、すなわち、第1条件が成立するか否かを判断する(ステップS6)。
【0029】
高電圧バッテリ3からの電力供給の停止(高電圧OFF)が必要である(第1条件が成立する)と判断すると(ステップS6:Yes)、高電圧バッテリ3からの電力供給を停止する(ステップS7)。そして、ARFを終了するか否かを判断する(ステップS8)。ARFを終了しない場合には(ステップS8:No)、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでARFを継続する(ステップS9)。
【0030】
そして、高電圧バッテリ3からの電力供給が可能(高電圧を再度ON可能)になると(ステップS10)、高電圧バッテリ3からの電力供給を再開する(高電圧OFF→ON)(ステップS11)。なお、高電圧バッテリ3からの電力供給が可能となる条件は、例えば第1条件が不成立となる場合である。このように高電圧バッテリ3からの電力供給を再開するのは、補機バッテリ4からの電力供給を停止することができ、補機バッテリ4の容量を小さなものにできるからである。尚、高電圧バッテリ3からの電力供給を再開するとメインコンタクタ(図示せず)の駆動回数が増えるため高電圧バッテリ3からの電力供給を再開しないようにしてもよい。
【0031】
一方、ARFが必要でない(ファン駆動条件が成立しない)と判断すると(ステップS1:No)、エンジン駆動走行モード終了後(ステップS12)高電圧バッテリ3からの電力供給を停止し(高電圧ON→OFF)(ステップS13)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS14)。
【0032】
また、ARFが終了すると(ステップS8:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS14)。
【0033】
上述した本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両によれば、ARFを行う際に高電圧バッテリ3からファン5に供給された電力によってファン5を駆動し、第1条件が成立した場合、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。すなわち、第1条件が成立した場合、ファン5の電力供給源を高電圧バッテリ3から補機バッテリ4に切り換えることでファン5の駆動を継続する。よって、第1条件が成立するまで高電圧バッテリ3からファン5に電力が供給されるので、補機バッテリ4の容量を小さくできる。
【0034】
また、例えば、第1条件が高電圧バッテリ3の電力量が第1所定値を下回ることである場合、高電圧バッテリ3の電力量が第1所定値を下回った場合に、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。すなわち、高電圧バッテリ3の電力量(残量)が予め定められた第1所定値を下回った場合、ファン5の電力供給源を高電圧バッテリ3から補機バッテリ4に切り替えることでファン5の駆動を継続する。よって、高電圧バッテリ3の電力量(残量)が予め定められた第1所定値となるまで高電圧バッテリ3からファン5に電力が供給されるので、補機バッテリ4の容量を小さくできる。また、高電圧バッテリ3の電力量(残量)が第1所定値を下回った場合、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給が停止されるため、高電圧バッテリ3の電力量(残量)が極端に低下することを防止できる。
【0035】
また、例えば、第1条件が高電圧バッテリ3のメンテナンス作業の開始を検知することである場合、高電圧バッテリ3のメンテナンス作業を開始した場合に、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。これにより、高電圧バッテリ3のメンテナンス作業を開始した場合、ファン5の電力供給源を高電圧バッテリ3から補機バッテリ4に切り替えることでメンテナンス作業者の安全を確保できる。
【0036】
また、例えば、第1条件が補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上である場合、補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上である場合に、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。これにより、補機バッテリ4の電圧が極端に低下することを防止でき、エンジン1が始動できない等の不具合を防止できる。
【0037】
上記した高電圧バッテリ3の電力量が第1所定値を下回る場合、高電圧バッテリ3のメンテナンス作業の開始を検知する場合は、高電圧バッテリ3から電力を持ち出すことが適切ではない条件である。また、補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上である場合は、補機バッテリ4から電力を持ち出すことが適切な条件である。これら条件を基に、高電圧バッテリ3と補機バッテリ4のどちらから電力を持ち出すのが適切かを判断する。これにより、補機バッテリ4の容量を小さくしても適切にARFを行うことができるとともに、車両の走行やメンテナンスなどに大きな影響を与えることを抑制することができる。
【0038】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係るハイブリッド車両は、上述した本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御構成において、上述した第1条件が補機バッテリ4の電圧が予め設定された第2所定値以上であることであり、制御部6は、補機バッテリ4の電圧が第2所定値を下まわった場合、補機バッテリ4によるファン5の駆動を停止するとともに、高電圧バッテリ3によるファン5の駆動を再開する。
【0039】
図3は、本発明の実施形態2に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。実施形態1に係るハイブリッド車両と同一の制御内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本発明の実施形態2に係るハイブリッド車両では、第1条件が成立したか否かの判断(ステップS6)において、補機バッテリ4の電圧が予め設定された第2所定値以上であるか否かを判断する。そして、補機バッテリ4の電圧が予め設定された第2所定値以上である場合に第1条件が成立したと判断する(ステップS6:Yes)。
【0041】
そして、補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上であると判断すると、高電圧バッテリ3からの電力供給を停止する(高電圧ON→OFF)(ステップS7)。そして、ARFを終了するか否かを判断する(ステップS8)。ARFを終了しない場合には(ステップS8:No)、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでARFを継続し(ステップS9)、再度補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上であるか否かを判断する(ステップS21)。
【0042】
補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上であれば上記フローを繰り返し(ステップS21:No)、補機バッテリ4の電圧が第2所定値を下回ると(ステップS21:Yes)、補機バッテリ4からの電力供給を停止するとともに、高電圧バッテリ3からファン5へ電力供給を行う(ステップS10,S11)。本実施形態では、高電圧バッテリ3からの電力供給が可能となる条件(ステップS10:Yesとなる条件)は、高電圧バッテリ3のSOCが十分に高い状態(第1所定値以上)であることなどである。
【0043】
一方、ステップS6で第1条件が成立しない(補機バッテリ4の電圧が第2所定値未満)と判断された場合は(ステップS6:No)、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給(高電圧ON)が継続可能であるか否かを判断する(ステップS22)。そして、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給(高電圧ON)が継続可能であると判断した場合(ステップS22:Yes)には、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を継続することでARFを継続する。一方、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給(高電圧ON)が継続可能でないと判断した場合には、高電圧バッテリ3からの電力供給を停止して(高電圧ON→OFF)補機バッテリ4からファン5への電力供給を開始する(ステップS7以降)。
【0044】
上述した本発明の実施形態2に係るハイブリッド車両によれば、補機バッテリ4の電圧が第2所定値以上である場合、高電圧バッテリ3からファン5への電力供給を停止するとともに、補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。そして、補機バッテリ4の電圧が第2所定値を下回った場合、補機バッテリ4からファン5への電力供給を停止するとともに、高電圧バッテリ3からファン5に電力を供給することでファン5を駆動する。これにより、補機バッテリ4の容量を小さくしたとしても補機バッテリ4の電圧が第2所定以上に確保され、エンジン1が始動できない等の不具合を防止しつつARFを行うことができる。
【0045】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係るハイブリッド車両は、上述した本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御構成において、制御部6は、エンジンルームに導入される空気の量を演算する演算部61を有し、演算部61の演算結果に応じ、上述した所定時間を設定する。
【0046】
図4は、本発明の実施形態3に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両と同一の制御内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図4に示すように、本発明の実施形態3に係るハイブリッド車両では、演算部61は、走行風によりエンジンルームに導入される空気量を演算する(ステップS31)。例えば、演算部61は、車速とエンジンルームに導入される空気量との関係を特定するマップを参照し、車速センサ9で検出された車速に基づいてエンジンルームに導入される空気量を演算する。
【0048】
また、演算部61は、エンジンルームに導入する必要がある空気量を演算する(ステップS32)。例えば、エンジンルーム内の温度が高くなるにつれてエンジンルームに導入する必要がある空気量を多く設定する。そして、エンジンルームに導入する必要がある空気量とエンジンルームに導入される空気量とを基にARFを継続する所定時間を設定する。本実施形態では、エンジンルームに導入する必要がある空気量がエンジンルームに導入される空気量よりも少ない場合には(ステップS33:Yes)、ファン5を駆動しなくてもエンジンルームに必要な空気量が導入されるので、ファン駆動を終了する(ステップS4)。すなわち、所定時間をゼロに設定する。一方、エンジンルームに導入する必要がある空気量がエンジンルームに導入される空気量よりも多い場合には、ファン5を駆動しなければエンジンルームに必要な空気量が導入されないので、ファン5を所定時間駆動する。このとき、所定時間をエンジンルームに導入する必要がある空気量とエンジンルームに導入される空気量の差分が大きくなるにつれて長く設定するとよい。尚、車速は一定とは限らず、走行風によりエンジンルームに導入される空気量も変動する可能性があるので、走行風によりエンジンルームに導入される空気量を逐次演算する。
【0049】
尚、上述した例では、エンジンルームに導入する必要がある空気量と走行風によりエンジンルームに導入される空気量の差分に基づいてファン5を駆動するが、車速が所定値以上の場合にファン5を駆動し、所定値以下の場合にファン5を停止するものとしてもよい。
【0050】
上述したように、本発明の実施形態3に係るハイブリッド車両によれば、ARFの駆動時間を適切に設定できるため、ARFによる消費電力を低減できる。
【0051】
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係るハイブリッド車両は、上述した本発明の実施形態1に係るハイブリッド車両の制御構成において、制御部6は、ハイブリッド走行モードからEV走行モードに切り替わると判定された際、ファン駆動条件が成立する場合はファン5を所定期間駆動するように制御しつつ、EV走行モードへの切り替えを行わずエンジン1を所定の燃料噴射量で駆動させる。なお、本来ARFはエンジン1停止後のファン駆動を指すが、本実施形態では、ファン駆動条件が成立した後にエンジン1を所定の燃料噴射量で駆動させつつファン5を駆動させるモードも、ファン駆動条件成立によるファン駆動であるため、ARFと呼称する。
【0052】
図5は、本発明の実施形態4に係るハイブリッド車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施形態1や実施形態2に係るハイブリッド車両と同一の制御内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、本発明の実施形態4に係るハイブリッド車両では、ARFを行う際に、高電圧バッテリ3の充電量(SOC(State Of Charge))が第1所定値よりも少ないときはエンジン1の駆動を継続させるように所定の燃料噴射量でのエンジン駆動を行う(ステップS41:Yes,S42)。所定の燃料噴射量は、噴射した燃料の気化熱によってエンジン1が冷却される程度の噴射量とする。そして、エンジン1の駆動を継続させながら高電圧バッテリ3からファン5に電力を供給することでARFを継続する。
【0054】
次に、車両がREADY-ONの状態を継続しているか否かを判断する。(ステップS43)。READY-ONの状態でない(READY-OFFとなった)場合(ステップS43:No)には、エンジン1の駆動を継続させることは適切ではないため、エンジン1を停止させる(エンジン駆動走行モード終了)(ステップS4)。そして、高電圧バッテリ3若しくは補機バッテリ4からファン5に電力を供給することでARFを継続し(ステップS5以降)、ARFを終了すると判断すると(ステップS8:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS14)。
【0055】
一方、高電圧バッテリ3の充電量(SOC)が第1所定値以上のときは(ステップS41:No)、エンジン1を停止してステップS5へ移行し、高電圧バッテリ3若しくは補機バッテリ4からの電力供給によりARFを行う。そして、ARFを終了すると判断すると(ステップS8:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS14)。
【0056】
なお、ステップS43でREADY-OFFとなる場合は、ステップS41の段階で高電圧バッテリ3の充電量(SOC)が第1所定値より小さくなっているため、READY-OFF後に高電圧バッテリ3によりARFを行うことが適さないことが多い。そのため、その後のステップでステップS6やステップS22を省略し、ステップS43でREADY-OFFとなる場合は常に補機バッテリ4からの電力供給によりARFを行うようにしてもよい。
【0057】
また、ステップS41の段階で高電圧バッテリ3の充電量(SOC)が第1所定値より小さくなっていたとしても、ステップS43までの間のエンジン駆動によって高電圧バッテリ3が十分に高いSOCまで充電されたり、ステップS43でREADY-OFFとなった後に外部充電器によって高電圧バッテリ3が充電されるような場合は、高電圧バッテリ3によりARFを行うことができるため、ステップS43でREADY-OFFとなった後このような状態を検知した場合は、常に高電圧バッテリ3からの電力供給によりARFを行うようにしてもよいし、上記した実施形態と同様に高電圧バッテリ3の状態と補機バッテリ4の状態とに基づきどちらのバッテリでARFを行うかを切り替えてもよい。
【0058】
上述したように、本発明の実施形態4に係るハイブリッド車両によれば、エンジン駆動走行モードからEV走行モードに切り替わる際、ファン駆動条件が成立する場合は、エンジン1を所定の燃料噴射量で駆動する。これにより、エンジン1の燃焼室に燃料が噴射され、該燃料の気化熱によってエンジン1が冷却されるので、エンジンルーム内の温度を効率的に低下させることができ、ARFの駆動時間を低下させることができる。
【0059】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0060】
1 エンジン
2 モータ
3 高電圧バッテリ
31 電圧センサ
32 電流センサ
4 補機バッテリ
41 電圧センサ
5 ファン
6 制御部
61 演算部
7 サービスプラグ
71 開閉センサ
8 DCDCコンバータ
9 車速センサ
図1
図2
図3
図4
図5