(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】地図生成装置及び地図生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20231219BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20231219BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2022575491
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2021047633
(87)【国際公開番号】W WO2022153809
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2021002915
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 智
(72)【発明者】
【氏名】武藤 茂裕
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-66191(JP,A)
【文献】特開2018-5629(JP,A)
【文献】特開2008-123443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/13
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得部(9a)と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定部(9b)と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定部(9c)と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング部(9e)と、を備え
、
前記ペアリング部は、前記信号機情報と前記停止線情報とを仮にペアリングする仮ペアリング処理を行い、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記仮ペアリング処理により生成した仮ペアリング情報を前記統合処理の結果を用いて統計処理し、前記信号機情報と前記停止線情報とを正式にペアリングする正式ペアリング処理を行う地図生成装置。
【請求項2】
前記ペアリング部は、
前記ペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングする請求項1に記載した地図生成装置。
【請求項3】
前記ペアリング部は、
ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置である場合には、車両の走行軌跡を遡って特定し、車両が当該交差点に進入した際に跨いだ停止線をペアリング候補として特定する請求
項2に記載した地図生成装置。
【請求項4】
前記ペアリング部は、
ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入前の位置である場合には、車両の走行軌跡を予測して特定し、車両が当該交差点に進入する際に跨ぐ停止線をペアリング候補として特定する請求項
2に記載した地図生成装置。
【請求項5】
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得部(9a)と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定部(9b)と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定部(9c)と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング部(9e)と、を備え、
前記ペアリング部は、
複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記統合処理の結果を用いて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行い、前記ペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングし、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に存在する停止線をペアリング候補として特定す
る地図生成装置。
【請求項6】
前記ペアリング部は、ペアリング候補の信号機
の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に存在し、且つ当該ペアリング候補の信号機からの距離が所定距離未満である停止線をペアリング候補として特定する請求項
5に記載した地図生成装置。
【請求項7】
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得部(9a)と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定部(9b)と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定部(9c)と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング部(9e)と、を備え、
前記ペアリング部は、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記統合処理の結果を用いて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行
い、前記ペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングし、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも停止線が存在しない場合に、当該ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に存在する停止線をペアリング候補として特定する地図生成装置。
【請求項8】
前記ペアリング部は、
ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも停止線が存在しない場合に、当該ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に存在し、且つ当該ペアリング候補の信号機からの距離が所定距離未満である停止線をペアリング候補として特定する請求項7に記載した地図生成装置。
【請求項9】
前記プローブデータに基づいてレーンを特定するレーン特定部(9d)を備え、
前記ペアリング部は、
前記信号機情報と前記停止線情報とを、前記レーン特定部により特定されたレーン単位でペアリングする請求項
1から8
の何れか一項に記載した地図生成装置。
【請求項10】
前記ペアリング部は、
車速が所定速度以上のときのプローブデータに基づいて特定された停止線情報をペアリング候補として特定する請求項
1から9
の何れか一項に記載した地図生成装置。
【請求項11】
地図生成装置(3)の制御部(9)に、
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得手順と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定手順と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定手順と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング手順と、を実行させ、
前記ペアリング手順は、前記信号機情報と前記停止線情報とを仮にペアリングする仮ペアリング処理を行い、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記仮ペアリング処理により生成した仮ペアリング情報を前記統合処理の結果を用いて統計処理し、前記信号機情報と前記停止線情報とを正式にペアリングする正式ペアリング処理を行う地図生成
プログラム。
【請求項12】
地図生成装置(3)の制御部(9)に、
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得手順と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定手順と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定手順と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング手順と、を実行させ、
前記ペアリング手順は、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記統合処理の結果を用いて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行い、前記ペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングし、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に存在する停止線をペアリング候補として特定す
る地図生成
プログラム。
【請求項13】
地図生成装置(3)の制御部(9)に、
プローブデータを複数の車両から取得するプローブデータ取得手順と、
前記プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各前記信号機に関する信号機情報を特定する信号機情報特定手順と、
前記プローブデータに基づいて前記交差点の複数の停止線について、各前記停止線に関する停止線情報を特定する停止線情報特定手順と、
前記交差点の複数の信号機と、前記交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる前記信号機と前記停止線の組み合わせを特定し、前記組み合わせの特定結果に基づいて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング手順と、を実行させ、
前記ペアリング手順は、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記統合処理の結果を用いて前記信号機情報と前記停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行い、前記ペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングし、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも停止線が存在しない場合に、当該ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に存在する停止線をペアリング候補として特定す
る地図生成
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年1月12日に出願された日本出願番号2021-002915号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、地図生成装置及び地図生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、車両の進行方向のカメラ画像が含まれているプローブデータを車両から取得し、その取得したプローブデータに基づいて地図を生成する地図生成装置が供されている。例えば自動運転の分野で利用される地図では、交差点の停止線の手前で自動運転車両が停止可能となるように、交差点の信号機に関する信号機情報と停止線に関する停止線情報とがペアリングされて管理される必要がある。例えば特許文献1には、1つの情報収集車が交差点の赤信号により停止線の後方にて停車するという特定シーンの発生により、1つの信号機に関する信号機情報と1つの停止線に関する停止線情報とをペアリングすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1の手法では、1つの信号機と1つの停止線とを対象とする部分最適により信号機情報と停止線情報とをペアリングする。そのため、交差点の全ての信号機に関する信号機情報と停止線情報とをペアリングするためには、全ての信号機に対して、1つの情報収集車が上記した特定シーンを発生させなければならない。その結果、ペアリング対象の交差点の全ての信号機に対して、信号機情報と停止線情報とのペアリングを完了させるのが困難であるという問題がある。
【0006】
本開示は、ペアリング対象の交差点の全ての信号機に対して、信号機情報と停止線情報とのペアリングを容易に完了させることを目的とする。
【0007】
本開示の一態様によれば、プローブデータ取得部は、プローブデータを複数の車両から取得する。信号機情報特定部は、プローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各信号機に関する信号機情報を特定する。停止線情報特定部は、プローブデータに基づいて交差点の複数の停止線について、各停止線に関する停止線情報を特定する。ペアリング部は、交差点の複数の信号機と、交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる信号機と停止線の組み合わせを特定し、組み合わせの特定結果に基づいて信号機情報と停止線情報とをペアリングする。前記ペアリング部は、前記信号機情報と前記停止線情報とを仮にペアリングする仮ペアリング処理を行い、複数のプローブデータを統合する統合処理を行った後に、前記仮ペアリング処理により生成した仮ペアリング情報を前記統合処理の結果を用いて統計処理し、前記信号機情報と前記停止線情報とを正式にペアリングする正式ペアリング処理を行う。
【0008】
複数の車両から取得したプローブデータに対し、交差点の複数の信号機と、交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる信号機と停止線の組み合わせを特定する。そして、組み合わせの特定結果に基づいて信号機情報と停止線情報とをペアリングするようにした。複数の信号機と複数の停止線とを対象とする全体最適により信号機情報と停止線情報とをペアリングすることで、ペアリング対象の交差点の全ての信号機に対して、信号機情報と停止線情報とのペアリングを容易に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
【
図1】
図1は、一実施形態の地図生成システムの全体構成を示す機能ブロック図であり、
【
図2】
図2は、車両位置と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図3】
図3は、車両位置と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図4】
図4は、車両位置と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図5】
図5は、車両位置と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図6】
図6は、信号機と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図7】
図7は、信号機と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図8】
図8は、交差点の信号機及び停止線の態様を示す図であり、
【
図9】
図9は、信号機情報と停止線情報との対応テーブルを示す図であり、
【
図10】
図10は、交差点の信号機及び停止線の態様を示す図であり、
【
図11】
図11は、信号機情報と停止線情報との対応テーブルを示す図であり、
【
図12】
図12は、交差点の信号機及び停止線の態様を示す図であり、
【
図13】
図13は、信号機情報と停止線情報との対応テーブルを示す図であり、
【
図14】
図14は、プローブデータ送信処理を示すフローチャートであり、
【
図15】
図15は、プローブデータ受信処理を示すフローチャートであり、
【
図16】
図16は、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理を示すフローチャートであり、
【
図17】
図17は、仮ペアリング情報及び正式ペアリング情報を示す図であり、
【
図18】
図18は、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理を示すフローチャートであり、
【
図20】
図20は、信号機と停止線との位置関係を示す図であり、
【
図21】
図21は、信号機情報と停止線情報との対応テーブルを示す図であり、
【
図22】
図22は、信号機と横断歩道との位置関係を示す図であり、
【
図23】
図23は、信号機情報と横断歩道情報との対応テーブルを示す図であり、
【
図24】
図24は、ペアリング正否判定処理を示すフローチャートであり、
【
図25】
図25は、ペアリング正否判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、地図生成システム1は、車両に搭載されている車載機2と、ネットワーク側に配置されているサーバ3とが例えばインターネット等を含む通信ネットワーク4を介してデータ通信可能に構成されている。車載機2が搭載されている車両は、自動運転機能を有する車両であっても良いし、自動運転機能を有しない車両であっても良い。車載機2とサーバ3とは複数対1の関係にあり、サーバ3は複数の車載機2との間でデータ通信可能である。サーバ3は地図生成装置に相当する。
【0011】
車載機2は、制御部5と、データ通信部6と、プローブデータ記憶部7と、地図データ記憶部8とを備える。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、車載機2の動作全般を制御する。
【0012】
制御部5は、情報入力部5aと、プローブデータ生成部5bと、通信制御部5cと、走行制御部5dとを備える。情報入力部5aは、車両周辺に関する周辺情報、車両走行に関する走行情報及び車両位置に関する位置情報を入力する。情報入力部5aは、周辺情報として、車載カメラにより撮影された車両の進行方向のカメラ画像、例えばミリ波センサ等のセンサにより車両周囲が検知されたセンサ情報、レーダにより車両周囲が検知されたレーダ情報、ライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)により車両周囲が検知されたライダ情報等を入力する。カメラ画像には、道路上に設置されている信号機、交通標識、看板、路面上にペイントされている停止線、レーン区画線、横断歩道等が含まれる。情報入力部5aは、走行情報として、車速センサにより検知された車速情報を入力する。情報入力部5aは、位置情報として、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS信号に基づいて測位されたGPS位置座標を入力する。GPS位置座標は自車位置を示す座標である。尚、衛星測位システムとしては、GPSに限らず、GLONASS、Galileo、BeiDou、IRNSS等の多様なGNSS(Global Navigation Satellite System)を採用することができる。
【0013】
プローブデータ生成部5bは、周辺情報、走行情報及び位置情報が情報入力部5aに入力されると、その入力された各種情報からプローブデータを生成し、その生成したプローブデータをプローブデータ記憶部7に記憶させる。プローブデータは、周辺情報、走行情報及び位置情報を含んで構成されるデータであり、道路上に設置されている信号機、交通標識、看板、路面上にペイントされている停止線、レーン区画線、横断歩道等の位置、色、特徴、相対的な位置関係等を示すデータである。又、プローブデータは、車両が走行中の道路に関する道路形状、道路特徴、道路幅等の種々の情報を示すデータも含む。
【0014】
通信制御部5cは、例えば所定時間が経過したこと又は車両の走行距離が所定距離に到達したことを契機とし、プローブデータ記憶部7に記憶されているプローブデータを読出し、その読出したプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させる。又、通信制御部5cは、上記したような時間や車両の走行距離を契機とすることに代えて、サーバ3がプローブデータ送信要求を車載機2に所定周期で送信する構成であれば、サーバ3から送信されたプローブデータ送信要求がデータ通信部6により受信されたことを契機とし、プローブデータ記憶部7に記憶されているプローブデータを読出し、その読出したプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。通信制御部5cは、プローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させる際に、地図を管理する上で予め決められたエリアの単位であるセグメント単位でプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良いし、セグメント単位とは無関係なエリアの単位でプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。
【0015】
走行制御部5dは、サーバ3から送信された地図データがデータ通信部6により受信されると、その受信された地図データを地図データ記憶部8に記憶させ、自車位置に応じて必要な情報を含む地図データを地図データ記憶部8から読出し、その読出した地図データにしたがって車両の走行制御を行う。走行制御部5dは、予め広範囲な地図データを地図データ記憶部8に記憶させておき、自車位置に応じたローカルな地図データを広範囲な地図データから逐一読出して車両の走行制御を行っても良いし、自車位置に応じた地図データ送信要求をデータ通信部6からサーバ3に送信させ、自車位置に応じたローカルな地図データをサーバ3から逐一取得しても良い。
【0016】
サーバ3は、制御部9と、データ通信部10と、プローブデータ記憶部11と、地図データ記憶部12とを備える。制御部9は、CPU、ROM、RAM及びI/Oを有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、サーバ3の動作全般を制御する。マイクロコンピュータが実行するコンピュータプログラムには地図生成プログラムが含まれる。
【0017】
制御部9は、プローブデータ取得部9aと、信号機情報特定部9bと、停止線情報特定部9cと、レーン特定部9dと、ペアリング部9eとを備える。プローブデータ取得部9aは、車載機2から送信されたプローブデータがデータ通信部10により受信されると、その受信されたプローブデータをプローブデータ記憶部11に記憶させ、必要な情報のプローブデータをプローブデータ記憶部11から読出すことで、プローブデータを取得する。プローブデータ取得部9aは、複数の車両に搭載されている各車載機2から送信されたプローブデータがデータ通信部10により受信されることで、複数の車両からプローブデータを取得する。
【0018】
信号機情報特定部9bは、プローブデータ取得部9aにより取得されたプローブデータに基づいて交差点の複数の信号機について、各信号機に関する信号機情報を特定する。信号機情報は、信号機を特定可能な信号機IDにより対応付けられて管理される情報であり、信号機の位置を特定可能な信号機位置、信号機のサイズを特定可能な信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機の種別を特定可能な信号機種別等を含む情報である。信号機位置は、例えば信号機の中心を示す3次元座標等により表される。信号機サイズは、例えば信号機の中心の位置座標、端点の位置座標、幅方向(水平方向)の寸法、高さ方向(垂直方向)の寸法等により表される。灯火方向は、灯火ランプが並列されている方向に対して垂直な法線ベクトルにより表され、信号機の法線ベクトル方向である。灯火色は、交差点エリア内への進入許可を提示する色(青色)、他の交通に注意した上での進行許可を提示する色(黄色)、交差点エリア内への進入禁止を提示する色(赤色)等により表される。信号機種別は、例えば右折許可、左折許可の有無等により区分される種別である。
【0019】
停止線情報特定部9cは、プローブデータ取得部9aにより取得されたプローブデータに基づいて交差点の複数の停止線について、各停止線に関する停止線情報を特定する。停止線情報は、停止線を特定可能な停止線IDにより対応付けられて管理される情報であり、停止線の位置を特定可能な停止線位置、停止線のサイズを特定可能な停止線サイズ、停止線の種別を特定可能な停止線種別等を含む情報である。停止線位置は、例えば停止線の中心を示す3次元座標等により表される。停止線サイズは、例えば停止線の中心の位置座標、端点の位置座標、幅方向(道路幅方向)の寸法、奥行き方向(車線方向)の寸法等により表される。停止線種別は、例えば当該停止線と並列する横断歩道の有無等により区分される種別である。
【0020】
レーン特定部9dは、プローブデータ取得部9aにより取得されたプローブデータに基づいて車両が走行中である走行レーンを特定する。この場合、レーン特定部9dは、車両の走行軌跡やレーン区画線を示す複数のデータ群を統計処理してレーン中心線を特定し、走行レーンを特定する。即ち、レーン特定部9dは、例えば車両の走行軌跡やレーン区画線を示す複数のデータ群の中から所定範囲外のデータを除外した上で所定範囲内のデータを平均化処理する等してレーン中心線を特定し、走行レーンを特定する。
【0021】
ペアリング部9eは、交差点の複数の信号機と、交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる信号機と停止線の組み合わせを特定する。ペアリング部9eは、信号機と停止線の組み合わせを特定すると、その組み合わせの特定結果に基づいて信号機情報と停止線情報とをペアリングし、ペアリング情報を生成する。即ち、上記したように信号機情報が、信号機IDに対して信号機位置、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別等が対応付けられて管理される情報であり、停止線情報が、停止線IDに対して停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等が対応付けられて管理される情報であるので、ペアリング情報は、信号機IDに対して対応付けられて管理される信号機位置、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別等と、停止線IDに対して対応付けられて管理される停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等とが対応付けられる情報である。又、ペアリング部9eは、走行レーンがレーン特定部9dにより特定されていない場合には、信号機情報と停止線情報とを道路単位でペアリングし、一方、走行レーンがレーン特定部9dにより特定されている場合には、信号機情報と停止線情報とをレーン特定部9dにより特定されたレーン単位でペアリングし、ペアリング情報を生成する。尚、ペアリング部9eは、走行レーンがレーン特定部9dにより特定されている場合でも、信号機情報と停止線情報とを道路単位でペアリングし、ペアリング情報を生成しても良い。
【0022】
ペアリング部9eは、信号機情報と、車両が走行中のときのプローブデータに基づいて特定された停止線情報とをペアリングする。車速が比較的高速であれば、測位精度が比較的高く、一方、車速が比較的低速であれば、測位精度が比較的低い事情がある。そのため、ペアリング部9eは、車速が所定速度以上のときのプローブデータに基づいた信号機情報や停止線情報を、信頼度が比較的高いペアリング候補として扱う。一方、ペアリング部9eは、車速が所定速度未満のときのプローブデータに基づいた信号機情報や停止線情報を、信頼度が比較的低いペアリング候補として扱う。即ち、車速が所定速度未満のときのプローブデータを除外してしまうと、例えば赤色点滅の信号機や感知式の信号機が設置されているような交通法規上で一時停止を必要とする交差点について信号機情報や停止線情報とをペアリングすることが不可となってしまう。そのため、ペアリング部9eは、車速が所定速度未満のときのプローブデータについては信頼度が比較的低いデータとして扱い、そのような交差点についても信号機情報や停止線情報とをペアリングする。
【0023】
ペアリング部9eは、複数のペアリング候補を特定する手法として、ペアリング候補の信号機に対するペアリング候補の停止線を以下のようにして特定する。ペアリング部9eがペアリング候補の停止線を特定する手法としては、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定する手法(以下、第1手法とも称する)と、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定する手法(以下、第2手法とも称する)とがある。
【0024】
最初に、第1手法について
図2から
図5を参照して説明する。尚、
図2等において車両の進行方向に対して直交方向に3個の表示灯が並ぶように図示する信号機は、現実世界において路面に対して3個の表示灯が水平方向に並列されている横型の信号機であり、車両の進行方向から見て左側から右側に向かって、交差点エリア内への進入許可を提示する表示灯(青色の表示灯)、他の交通に注意した上での進行許可を提示する表示灯(黄色の表示灯)、交差点エリア内への進入禁止を提示する表示灯(赤色の表示灯)が並列されている信号機である。
【0025】
ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置であれば、車両の走行軌跡を遡って特定し、その遡って特定した車両の走行軌跡が跨いだ停止線を、その車両が当該交差点に進入した際に跨いだ停止線として特定し、ペアリング候補として特定する。
【0026】
具体的には、
図2に示すように、ペアリング部9eは、車両Aの進行方向から見て交差点の奥側に設置されている信号機に対し、遡った車両Aの走行軌跡が交差点の手前で交差する停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=11の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングする。車両Aの進行方向から見て交差点の手前に信号機が設置されている場合も同様であり、
図3に示すように、ペアリング部9eは、車両Aの進行方向から見て交差点の手前側に設置されている信号機に対し、遡った車両Aの走行軌跡が交差点の手前で交差する停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=12の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングする。
【0027】
尚、
図2に示した信号機ID=11の信号機と、
図3に示した信号機ID=12の信号機とが共存する場合には、ペアリング部9eは、先に信号機ID=11の信号機情報と信号機ID=12の信号機情報とをペアリングし、後から当該ペアリングした信号機ID=11,12の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングしても良い。即ち、同一の交差点において、車両Aの進行方向から見て交差点の奥側に設置されている信号機と手前側に設置されている信号機とでは基本的に灯火状態が連動するので、それらの信号機情報同士をペアリングしても良い。
【0028】
又、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入前の位置であれば、車両の走行軌跡を予測して特定し、その予測して特定した車両の走行軌跡が跨ぐ停止線を、その車両が当該交差点に進入する際に跨ぐ停止線として特定し、ペアリング候補として特定する。この場合、ペアリング部9eは、信号機が特定されたカメラフレームから先の走行軌跡を辿ることで、車両の走行軌跡を予測して特定する。
【0029】
具体的には、
図4に示すように、ペアリング部9eは、車両Aの進行方向から見て交差点の奥側に設置されている信号機に対し、予測した車両Aの走行軌跡が交差点の手前で交差する停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=11の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングする。車両Aの進行方向から見て交差点の手前に信号機が設置されている場合も同様であり、
図5に示すように、ペアリング部9eは、車両Aの進行方向から見て交差点の手前側に設置されている信号機に対し、予測した車両Aの走行軌跡が交差点の手前で交差する停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=12の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングする。
【0030】
この場合も、
図4に示した信号機ID=11の信号機と、
図5に示した信号機ID=12の信号機とが共存する場合には、ペアリング部9eは、先に信号機ID=11の信号機情報と信号機ID=12の信号機情報とをペアリングし、後から当該ペアリングした信号機ID=11,12の信号機情報と停止線ID=11の停止線情報とをペアリングしても良い。尚、例えばペアリング候補の停止線を特定した後に車両がレーン変更する可能性もあるので、ペアリング部9eは、走行軌跡を予測したレーンと車両が実際に走行するレーンとが異なる場合には、車両がレーン変更する前に直進予測して跨ぐ停止線をペアリング候補としても良い。
【0031】
又、ペアリング部9eは、信号機の灯火状態や車両状態を利用しても良く、信号機が青信号の場合に、信号機を特定した位置から半径数メートル以内に停止線が存在するか否かを判定し、停止線が存在する場合には、走行軌跡が跨いだ停止線をペアリング候補として特定し、停止線が存在しない場合には、予測した走行軌跡が最初に跨ぐ停止線をペアリング候補として特定しても良い。即ち、信号機の位置や法線ベクトル方向だけでは狭角の道路等ではペアリング候補の停止線を特定することが難しくなる場合も想定されるが、信号機の灯火状態や車両状態を利用することで、ペアリング候補の停止線を特定し易くすることができる。
【0032】
又、現実世界において信号機は、その灯火方向が対象の走行レーンからは視認し易く、対象外の走行レーンからは視認し難くなるように設置されているが、信号機の灯火状態を利用する際に、自車の走行レーンに対する信号機であるか否かを判定することで、ペアリング候補の停止線を特定する精度を高めることができる。
【0033】
次に、第2手法について
図6から
図7を参照して説明する。ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に停止線が存在する場合には、ペアリング候補の信号機から停止線までの距離が所定距離未満であれば、その停止線をペアリング候補として特定する。一方、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に停止線が存在する場合であっても、ペアリング候補の信号機から停止線までの距離が所定距離以上であれば、その停止線をペアリング候補として特定しない。所定距離は、例えば交差点の規模により決定され、直交する道路の幅、レーンの本数、レーンの幅等により決定される。
【0034】
又、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも停止線が存在しない場合には、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に停止線が存在し、ペアリング候補の信号機から停止線までの距離が所定距離未満であれば、その停止線をペアリング候補として特定する。一方、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に停止線が存在する場合であっても、ペアリング候補の信号機から停止線までの距離が所定距離以上であれば、その停止線をペアリング候補として特定しない。所定距離は、例えば交差点の規模等により決定される。
【0035】
具体的には、
図6に示すように、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機ID=21の信号機の法線ベクトル方向に停止線ID=21の停止線が存在し、信号機ID=21の信号機から停止線ID=21の停止線までの距離が所定距離未満であれば、停止線ID=21の停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=21の信号機情報と停止線ID=21の停止線情報とをペアリングする。又、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機ID=22の信号機の法線ベクトル方向の反対方向に停止線ID=21の停止線が存在し、信号機ID=22の信号機から停止線ID=21の停止線までの距離が所定距離未満であれば、停止線ID=21の停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=22の信号機情報と停止線ID=21の停止線情報とをペアリングする。
【0036】
又、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機ID=31の信号機の法線ベクトル方向に停止線ID=31の停止線が存在し、信号機ID=31の信号機から停止線ID=31の停止線までの距離が所定距離未満であれば、停止線ID=31の停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=31の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングする。
【0037】
ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機ID=32の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも所定距離未満に停止線が存在しない場合に、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に停止線ID=31の停止線が存在し、信号機ID=32の信号機から停止線ID=31の停止線までの距離が所定距離未満であれば、停止線ID=31の停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=32の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングする。
【0038】
この場合、ペアリング部9eは、信号機ID=31,32の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングするが、信号機ID=31の信号機と信号機ID=32の信号機のうち何れの灯火状態を先に認識したかの情報を管理しても良い。
図6の例示では、車両が西方向から交差点に接近して左折して交差点に進入する場合には、車両が左折前でも信号機ID=32の信号機を見通せるので、先に信号機ID=32の信号機の灯火状態を認識し、車両が交差点に接近して左折後でないと信号機ID=31の信号機を見通せないので、後から信号機ID=31の信号機の灯火状態を認識することになる。ペアリング部9eは、先に信号機ID=32の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングし、後から信号機ID=31の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングする。ペアリングした順序に関する情報をサーバ3で管理し、ペアリングした順序に関する情報をサーバ3から車載機2に配信することで、車載機2において、車両が接近する停止線に対して最初にペアリングされた信号機の灯火状態を■定可能となり、加減速制御等の車両制御を実施可能となる。
【0039】
又、
図7に示すように、ペアリング部9eは、ペアリング候補の信号機ID=33の信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも所定距離未満に停止線が存在しない場合に、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に停止線ID=31の停止線が存在し、信号機ID=33の信号機から停止線ID=31の停止線までの距離が所定距離未満であれば、停止線ID=31の停止線をペアリング候補として特定し、信号機ID=33の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングする。
【0040】
この場合も、ペアリング部9eは、信号機ID=31,33の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングするが、信号機ID=31の信号機と信号機ID=33の信号機のうち何れの灯火状態を先に認識したかの情報を管理しても良い。
図7の例示でも、ペアリング部9eは、先に信号機ID=33の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングし、後から信号機ID=31の信号機情報と停止線ID=31の停止線情報とをペアリングする。
【0041】
ペアリング部9eが信号機情報と停止線情報とをペアリングする態様として、信号機情報と停止線情報とを1対1でペアリングする態様、信号機情報と停止線情報とを1対複数でペアリングする態様、信号機情報と停止線情報とを複数対1でペアリングする態様がある。
【0042】
即ち、
図8に示すように、西方向から交差点に接続する道路がレーンID=101_01,101_02,101_03の3レーンに区分されて特定され、その全てのレーンに対し、信号機ID=101の信号機が道路上に設置され、停止線ID=101の停止線が路面上にペイントされていれば、
図9に示すように、ペアリング部9eは、レーンID=101_01,101_02,101_03の3レーンに対し、信号機ID=101の信号機情報と停止線ID=101の停止線情報とをペアリングする。
【0043】
同様に、ペアリング部9eは、北方向から交差点に接続する道路について、レーンID=201_01,201_02の2レーンに対し、信号機ID=201の信号機情報と停止線ID=201の停止線情報とをペアリングする。ペアリング部9eは、東方向から交差点に接続する道路について、レーンID=301_01,301_02,301_03の3レーンに対し、信号機ID=301の信号機情報と停止線ID=301の停止線情報とをペアリングする。ペアリング部9eは、南方向から交差点に接続する道路について、レーンID=401_01,401_02の2レーンに対し、信号機ID=401の信号機情報と停止線ID=401の停止線情報とをペアリングする。
【0044】
ペアリング部9eは、並行するレーンで停止線の位置が異なる場合には、一の信号機情報と別々の停止線情報とをペアリングする。即ち、
図10に示すように、西方向から交差点に接続する道路の3レーンのうちレーンID=101_01,101_02の2レーンに対し、停止線ID=102の停止線が路面上にペイントされ、レーンID=101_03の1レーンに対し、停止線ID=103の停止線が路面上にペイントされていれば、
図11に示すように、ペアリング部9eは、レーンID=101_01,101_02の2レーンに対し、信号機ID=101の信号機情報と停止線ID=102の停止線情報とをペアリングし、レーンID=101_03の1レーンに対し、信号機ID=101の信号機情報と停止線ID=103の停止線情報とをペアリングする。
【0045】
同様に、ペアリング部9eは、東方向から交差点に接続する道路について、レーンID=301_01,301_02の2レーンに対し、信号機ID=301の信号機情報と停止線ID=302の停止線情報とをペアリングし、レーンID=301_03の1レーンに対し、信号機ID=301の信号機情報と停止線ID=303の停止線情報とをペアリングする。
【0046】
ペアリング部9eは、一の道路に対して複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機情報と一の停止線情報とをペアリングする。即ち、
図12に示すように、西方向から交差点に接続する道路に対し、信号機ID=101の信号機に加え、信号機ID=102の信号機が道路上に設置されていれば、
図13に示すように、ペアリング部9eは、レーンID=101_01,101_02の2レーンに対し、信号機ID=101,102の信号機情報と停止線ID=102の停止線情報とをペアリングし、レーンID=101_03の1レーンに対し、信号機ID=101、102の信号機情報と停止線ID=103の停止線情報とをペアリングする。
【0047】
この場合も、ペアリング部9eは、信号機ID=101の信号機と信号機ID=102の信号機のうち何れの灯火状態を先に認識したかの情報を管理しても良い。
図12の例示では、車両からの距離が交差点の手前側に設置されている信号機ID=102の信号機では相対的に近く、交差点の奥側に設置されている信号機ID=101の信号機では相対的に遠いので、先に信号機ID=102の信号機の灯火状態を認識し、後から信号機ID=101の信号機の灯火状態を認識することになる。ペアリング部9eは、先に信号機ID=102の信号機情報と停止線ID=102の停止線情報とをペアリングし、後から信号機ID=101の信号機情報と停止線ID=102の停止線情報とをペアリングする。
【0048】
次に、上記した構成の作用について
図14から
図23を参照して説明する。ここでは、車載機2が行う処理としてプローブデータ送信処理を説明し、サーバ3が行う処理としてプローブデータ受信処理、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理を説明する。仮ペアリングありのペアリング情報生成処理では、ペアリング候補を特定する手法として上記した第1手法を採用してペアリング候補の停止線を特定する。仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理では、ペアリング候補を特定する手法として上記した第2手法を採用してペアリング候補の停止線を特定する。尚、サーバ3は、地図生成プログラムを実行することで、プローブデータ受信処理、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理を行う。
【0049】
(1)プローブデータ送信処理(
図14参照)
車載機2において、制御部5は、例えばイグニッションオンの状態でプローブデータを生成するプローブデータ送信処理を所定周期で定期的に行う。制御部5は、プローブデータ送信処理の開始イベントが成立すると、プローブデータ送信処理を開始し、周辺情報、走行情報及び位置情報からプローブデータを生成し(A1)、その生成したプローブデータをプローブデータ記憶部7に記憶させる(A2)。制御部5は、プローブデータの送信条件が成立したか否かを判定し(A3)、プローブデータの送信条件が成立していないと判定すると(A3:NO)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0050】
制御部5は、プローブデータの送信条件が成立したと判定すると(A3:YES)、プローブデータ記憶部7に記憶されているプローブデータを読出し(A4)、その読出したプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A5)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0051】
即ち、制御部5は、例えば所定時間が経過したことをプローブデータの送信条件とすれば、所定時間が経過する毎にプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させ、車両の走行距離が所定距離に到達したことをプローブデータの送信条件とすれば、車両の走行距離が所定距離に到達する毎にプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させる。尚、制御部5は、例えばカメラ画像を画像解析し、カメラ画像中に信号機データが存在すると判定したことを送信条件としても良く、カメラ画像中に信号機データの存在を判定する毎に信号機データを含むプローブデータをデータ通信部6からサーバ3に送信させても良い。
【0052】
(2)プローブデータ受信処理(
図15参照)
サーバ3において、制御部9は、車両からプローブデータを受信するプローブデータ受信処理を所定周期で定期的に行う。制御部9は、プローブデータ受信処理の開始イベントが成立すると、プローブデータ受信処理を開始し、車載機2から送信されたプローブデータがデータ通信部10により受信されたか否かを判定する(B1)。制御部9は、プローブデータがデータ通信部10により受信されていないと判定すると(B1:NO)、プローブデータ受信処理を終了し、次のプローブデータ受信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0053】
制御部9は、プローブデータがデータ通信部10により受信されたと判定すると(B1:YES)、プローブデータを取得し(B2、プローブデータ取得手順に相当する)、その取得したプローブデータ中に信号機を示す信号機データが存在するか否かを判定する(B3)。制御部9は、プローブデータ中に信号機データが存在しないと判定すると(B3:NO)、プローブデータ受信処理を終了し、次のプローブデータ受信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0054】
制御部9は、プローブデータ中に信号機データが存在すると判定すると(B3:YES)、ペアリング情報生成処理に移行する(B4)。制御部9は、ペアリング情報生成処理として、仮ペアリングを行う仮ペアリングありのペアリング情報生成処理、又は仮ペアリングを行わない仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理の何れかを行う。以下、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理及び仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理について順次説明する。尚、制御部9は、ペアリング情報生成処理を終了すると、プローブデータ受信処理に復帰し、プローブデータ受信処理を終了し、次のプローブデータ受信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0055】
(3-1)仮ペアリングありのペアリング情報生成処理(
図16参照)
制御部9は、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理を開始すると、プローブデータ中の信号機データからペアリング候補の信号機を特定する(B11)。即ち、制御部9は、信号機データが一の信号機を示す場合には、一の信号機をペアリング候補とし、複数の信号機を示す場合には、複数の信号機をペアリング候補とし、ペアリング候補の信号機を特定する。
【0056】
制御部9は、そのペアリング候補として特定した信号機に対し、プローブデータに基づいて信号機情報を特定する(B12、信号機情報特定手順に相当する)。即ち、制御部9は、ペアリング候補の信号機に信号機IDを付与し、その付与した信号機IDに対し、信号機位置、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別等を対応付けて信号機情報を特定する。
【0057】
次いで、制御部9は、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置であるか否かを判定する(B13)。制御部9は、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置であると判定すると(B13:YES)、車両が停止線を既に跨いでいるので、車両の走行軌跡を遡ってペアリング候補の停止線を特定する(B14)。一方、制御部9は、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置でなく進入前の位置であると判定すると(B13:NO)、車両が停止線を未だ跨いでいないので、車両の走行軌跡を予測してペアリング候補の停止線を特定する(B15)。
【0058】
次いで、制御部9は、そのペアリング候補として特定した停止線に対し、プローブデータに基づいて停止線情報を特定する(B16、停止線情報特定手順に相当する)。即ち、制御部9は、ペアリング候補の停止線に停止線IDを付与し、その付与した停止線IDに対し、停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等を対応付け、停止線情報を特定する。
【0059】
次いで、制御部9は、それら特定した信号機情報と停止線情報とを仮にペアリングする仮ペアリング処理を行い(B17)、仮ペアリング情報を生成する(B18、ペアリング情報生成手順に相当する)。制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対して仮ペアリング情報を生成したか否かを判定する(B19)。制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対して仮ペアリング情報を生成していないと判定すると(B19:NO)、ステップB12に戻り、ステップB12以降を繰返す。
【0060】
制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対して仮ペアリング情報を生成したと判定すると(B19:YES)、複数のプローブデータを統合する統合処理を行う(B20)。統合処理は、複数の車両から送信されたプローブデータを受信して収集し、その収集したプローブデータに基づいて地物の位置情報や属性情報を擦り合わせて位置精度や属性精度を高めて地図データを生成する処理である。属性情報は、例えば区画線の種別(実線、破線等)や色(白、黄等)の情報である。即ち、制御部9は、統合処理において、プローブデータから信号機及び停止線を地物として特定し、その信号機及び停止線の位置情報や属性情報を擦り合わせて信号機及び停止線の位置精度や属性精度を高める。制御部9は、このように統合処理を行うことで、現実世界の一の信号機を別々の信号機として誤って特定してしまう可能性を低減可能となる。
【0061】
制御部9は、仮ペアリング情報を統合処理の結果に基づいて統計処理し、信号機情報と停止線情報とを正式にペアリングする正式ペアリング処理を行い(B21)、ペアリング情報を生成し(B22、ペアリング情報生成手順に相当する)、仮ペアリングありのペアリング情報生成処理を終了する。
【0062】
統合処理を行う前の仮ペアリング処理では、プローブデータ毎に信号機情報と停止線情報とをペアリングするので、信号機情報と停止線情報とをペアリングするのに用いるプローブデータのデータ数が「1」であり、信号機情報及び停止線情報の確からしさが十分でない。即ち、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別、停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等が収束していない状態でペアリングするので、信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングしてしまう可能性があり、ペアリングの精度を担保することができない場合がある。これに対し、上記した仮ペアリングありのペアリング情報生成処理では、仮ペアリング処理を行った後に統合処理を行い、統合処理を行った後に、仮ペアリング処理により生成した仮ペアリング情報を統合処理の結果に基づいて統計処理し、信号機情報と停止線情報とを正式にペアリングすることで、ペアリングの精度を高めることができる。
【0063】
図17に示すように、制御部9は、例えばプローブデータID=1~10の10個のプローブデータに対し、信号機ID=111の信号機情報と停止線ID=111の停止線情報とをペアリングした仮ペアリング情報を8個生成し、信号機ID=111の信号機情報と停止線ID=112の停止線情報とをペアリングした仮ペアリング情報を2個生成した場合であれば、統合処理の結果に基づいて統計処理し、信号機ID=111の信号機情報と停止線ID=111の停止線情報とのペアリングが確からしいと判定し、信号機ID=111の信号機情報と停止線ID=111の停止線情報とを正式にペアリングする。尚、プローブデータIDは統合処理を行うことで保持されなくなるので、統合処理により生成された地図データの地
図IDが付与される。
【0064】
(3-2)仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理(
図18参照)
制御部9は、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理を開始すると、複数のプローブデータを統合する統合処理を行う(B31)。即ち、制御部9は、信号機情報と停止線情報とをペアリングする前に信号機及び停止線の位置座標や属性情報を擦り合わせて位置精度や属性精度を高めて地図データを生成する。
【0065】
次いで、制御部9は、統合処理により生成した地図データ中の信号機データからペアリング候補の信号機を特定する(B32)。即ち、制御部9は、信号機データが一の信号機を示す場合には、一の信号機をペアリング候補とし、複数の信号機を示す場合には、複数の信号機をペアリング候補とし、ペアリング候補の信号機を特定する。
【0066】
制御部9は、そのペアリング候補として特定した信号機に対し、プローブデータに基づいて信号機情報を特定する(B33、信号機情報特定手順に相当する)。即ち、制御部9は、ペアリング候補の信号機に信号機IDを付与し、その付与した信号機IDに対し、信号機位置、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別等を対応付けて信号機情報を特定する。
【0067】
次いで、制御部9は、信号機の位置情報及び属性情報からペアリング候補の停止線を特定する(B34)。信号機の属性情報は例えば法線ベクトル方向である。制御部9は、信号機が交差点の奥側に存在する場合には、信号機の法線ベクトル方向の交差点手前の停止線をペアリング候補の停止線として特定する。制御部9は、信号機が交差点の手前側に存在する場合には、信号機の法線ベクトルの手前側又は奥側の再近傍に存在する停止線をペアリング候補の停止線として特定する。
【0068】
次いで、制御部9は、そのペアリング候補として特定した停止線に対し、プローブデータに基づいて停止線情報を特定する(B35、停止線情報特定手順に相当する)。即ち、制御部9は、ペアリング候補の停止線に停止線IDを付与し、その付与した停止線IDに対し、停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等を対応付け、停止線情報を特定する。
【0069】
次いで、制御部9は、それら特定した信号機情報と停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行い(B36)、ペアリング情報を生成する(B37、ペアリング情報生成手順に相当する)。制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対してペアリング情報を生成したか否かを判定する(B38)。制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対してペアリング情報を生成していないと判定すると(B39:NO)、ステップB33に戻り、ステップB33以降を繰返す。
【0070】
制御部9は、ペアリング候補として特定した全ての信号機に対してペアリング情報を生成したと判定すると(B39:YES)、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理を終了する。
図19に示すように、制御部9は、例えばプローブデータID=1~10の10個のプローブデータに対し、統合処理を行った後に、信号機ID=111の信号機情報と停止線ID=111の停止線情報とをペアリングする。この場合も、プローブデータIDは統合処理を行うことで保持されなくなるので、統合処理により生成された地図データの地
図IDが付与される。
【0071】
このような仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理では、上記した仮ペアリングありのペアリング情報生成処理とは異なり、信号機サイズ、灯火方向、灯火色、信号機種別、停止線位置、停止線サイズ、停止線種別等が収束した状態でペアリングするので、信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングしてしまう可能性を低減可能となる。又、ペアリング処理として仮ペアリング処理と正式ペアリング処理とを2段階で行う仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理に対し、仮ペアリングなしのペアリング情報生成処理では、ペアリング処理を1回で完了可能となる。
【0072】
又、制御部9は、信号機情報と停止線情報とペアリングする際に、プローブデータの信頼度を考慮し、ペアリング候補を選別して特定しても良い。プローブデータの信頼度として、例えば位置信頼度や認識信頼度を採用することができる。位置信頼度は、絶対位置や相対位置を安定して測位しているか否かを示す指標であり、横滑りや振動等の急激な位置変化の有無、位置情報の測位に影響する遮蔽物の有無等で表される指標である。即ち、横滑りや振動等の急激な位置変化が無かったり、位置情報の測位に影響する遮蔽物が無かったりすれば、位置信頼度は相対的に高くなる。横滑りや振動等の急激な位置変化が有ったり、位置情報の測位に影響する遮蔽物が有ったりすれば、位置信頼度は相対的に低くなる。認識信頼度は、地物データを安定して認識しているか否かを示す指標であり、車両周辺の照度、天候、前方車両の有無等で表される指標である。即ち、車両周辺の照度が適切であったり、天候が晴天で良好であったり、前方車両が無かったりすれば、認識信頼度は相対的に高くなる。車両周辺の照度が不適切であったり、天候が降雨や降雪で劣悪であったり、前方車両が有ったりすれば、認識信頼度は相対的に低くなる。尚、プローブデータの信頼度として、上記した位置信頼度や認識信頼度の他に、SFM(Structure from Motion)を認識する際に生成する情報、地物を検出する際に生成する情報、道路勾配を推定する際に生成する情報、センサ視認性を推定する際に生成する情報等に基づいた信頼度を採用することができる。
【0073】
即ち、制御部9は、プローブデータに信頼度を対応付け、信頼度が所定レベル以上のプローブデータに基づいて特定された信号機情報と停止線情報とをペアリングしても良い。この場合、サーバ3において、車載機2から送信されたプローブデータの信頼度を判定し、信号機情報や停止線情報を生成するのに採用するプローブデータを選別しても良い。又、車載機2において、周辺情報、走行情報及び位置情報から生成したプローブデータの信頼度を判定し、サーバ3に送信するプローブデータを選別しても良い。
【0074】
信号機の形状としては、上記した横型の信号機の他に縦型の信号機もある。
図20において車両の進行方向に3個の表示灯が並ぶように図示する信号機は、現実世界において路面に対して3個の表示灯が垂直方向に並列されている縦型の信号機であり、車両の進行方向から見て下側から上側に向かって、交差点エリア内への進入許可を提示する表示灯(青色の表示灯)、他の交通に注意した上での進行許可を提示する表示灯(黄色の表示灯)、交差点エリア内への進入禁止を提示する表示灯(赤色の表示灯)が並列されている信号機である。このような縦型の信号機がレーン毎に設置されている場合でも、ペアリング部9eは、信号機情報と停止線情報とをレーン毎にペアリングする。
【0075】
図20に示すように、レーン毎に信号機が設置されている場合に、ペアリング部9eは、信号機情報と停止線情報とをレーン単位でペアリングし、ペアリング情報を生成する。具体的には、
図21に示すように、ペアリング部9eは、左折レーンであるレーンID=51_01に対し、信号機ID=51_01の信号機情報と停止線ID=51の停止線情報とをペアリングし、直進レーンであるレーンID=51_02に対し、信号機ID=52の信号機情報と停止線ID=51の停止線情報とをペアリングし、右折レーンであるレーンID=51_03に対し、信号機ID=51_03の信号機情報と停止線ID=51の停止線情報とをペアリングし、ペアリング情報を生成する。
【0076】
又、
図22に示すように、路面上に停止線ではなく横断歩道がペイントされている場合がある。この場合、停止線情報特定部9cは、停止線情報を特定する代わりに、プローブデータ取得部9aにより取得されたプローブデータに基づいて交差点の横断歩道に関する横断歩道情報を特定し、その特定した横断歩道情報を停止線情報として扱う。横断歩道情報は、横断歩道を特定可能な横断歩道IDにより対応付けられて管理される情報であり、横断歩道の位置を特定可能な横断歩道位置、横断歩道のサイズを特定可能な横断歩道サイズ、横断歩道の種別を特定可能な横断歩道種別等が対応付けられて管理される。横断歩道位置は、例えば3次元座標により表される。横断歩道サイズは、横断歩道の中心の位置座標、端点の位置座標、幅方向(道路幅方向)の寸法、奥行き方向(車線方向)の寸法により表される。横断歩道種別は、例えば当該横断歩道と並列する停止線の有無等により区分される種別である。具体的には、
図23に示すように、ペアリング部9eは、レーンID=61_01,61_02,61_03の3レーンに対し、信号機ID=61の信号機情報と横断歩道ID=61の横断情報とをペアリングし、ペアリング情報を生成する。
【0077】
サーバ3において、制御部9は、このように生成したペアリング情報を地図データに反映させ、そのペアリング情報を反映させた地図データを地図データ記憶部12に記憶させることで、ペアリング情報を反映させた地図データを管理することができる。又、制御部9は、そのペアリング情報を反映させた地図データをデータ通信部10から車載機2に配信させることで、信号機情報と停止線情報とがペアリングされた地図データを車両に提供することができる。車載機2において、制御部5は、サーバ3から送信された地図データがデータ通信部6により受信されると、その受信された地図データに含まれるペアリング情報を利用して走行制御を行うことができる。即ち、制御部5は、例えばカメラ画像から信号機を検出すると、ペアリング情報を参照することで、その検出した信号機の信号機情報とペアリングされている停止線情報を特定することで自車が停止すべき位置を算出し、自車位置から停止線までの距離を算出することができ、状況に応じて減速支援等を行うことができる。自動運転車両であれば、停止線の手前で停止させる走行制御を行うことができ、安全安心を提供することができる。又、例えば夜間、雨、逆光等による悪条件下でカメラ画像から信号機や停止線の位置を正確に特定することができない場合でも、ペアリング情報を反映させた地図データを参照することで、信号機や停止線の位置を正確に特定することができる。更に、複数の信号機を特定した場合に、どの信号機がどの走行レーンに対応するかを特定することができる。
【0078】
次に、車載機2の処理について説明する。サーバ3においては、上記した一連の処理を行うことで信号機情報と停止線情報とをペアリングしてペアリング情報を生成するが、上記した例えば夜間、雨、逆光等による悪条件下に限らず様々な要因で信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングする可能性がある。又、例えば複数の道路が並走して敷設されている状況でも信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングする可能性がある。これに対し、車載機2は、サーバ3から配信されたペアリング情報の正否を判定する。ペアリング情報の正否を判定する手法として、信号機の灯火状態に基づいて判定する手法と、車両の走行軌跡に基づいて判定する手法とがある。以下、それぞれの手法について説明する。
【0079】
車載機2は、サーバ3から配信されたペアリング情報が反映された地図データを地図データ記憶部8に記憶し、ペアリング情報の正否を判定するタイミングで、その記憶しておいたペアリング情報を取得してペアリング情報の正否を判定する。車載機2は、トリップ中又はトリップ後の何れでペアリング情報の正否を判定しても良い。車載機2は、トリップ中であれば、信号機が併設されている停止線を車両が通過する毎に当該信号機情報と停止線情報とがペアリングされたペアリング情報の正否を判定する。車載機2は、トリップ後であれば、トリップ中に信号機が併設されている停止線を車両が通過した履歴を走行軌跡に基づいて取得し、その履歴を解析することで信号機情報と停止線情報とがペアリングされたペアリング情報の正否を判定する。即ち、車載機2は、トリップ中にリアルタイムでペアリング情報の正否を判定しても良いし、トリップ後に非リアルタイムでペアリング情報の正否を判定しても良い。以下、トリップ中にリアルタイムでペアリング情報の正否を判定する場合について説明する。
【0080】
(4-1)信号機の灯火状態に基づいたペアリング正否判定処理(
図24参照)
車載機2において、制御部5は、ペアリング正否判定処理の開始イベントが成立すると、
地図データに反映されているペアリング情報を取得する(A11)。制御部5は、周辺情報、走行情報及び位置情報から生成したプローブデータに基づいて車両が通過する信号機を特定し(A12)、その信号機に対応する停止線を特定する(A13)。
【0081】
制御部5は、車載機2が搭載されている車両が当該停止線を通過したか否かを判定する(A14)。制御部5は、車両が当該停止線を通過したと判定すると(A14:YES)、例えば車載カメラにより撮影された車両の進行方向のカメラ画像に基づいて停止線を通過時の信号機の灯火色を取得する(A15)。
【0082】
制御部5は、停止線を通過時の信号機の灯火色が交差点エリア内への進入禁止を提示する色であるか否かを判定する(A16)。この場合、制御部5は、単純に進入禁止を提示する色を判定するのではなく、右折許可や左折許可の有無をも判定する。制御部5は、停止線を通過時の信号機の灯火色が交差点エリア内への進入禁止を提示する色であると判定すると(A16:YES)、車両が停止したか否かを判定する(A17)。
【0083】
制御部5は、車両が停止したと判定すると(A17:YES)、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が正であると特定し(A18)、ペアリング情報が正であることを示す判定結果をデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A19)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0084】
一方、制御部5は、車両が停止しなかったと判定すると(A17:NO)、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が否であると特定し(A20)、ペアリング情報が否であることを示す判定結果をデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A21)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0085】
又、制御部5は、停止線を通過時の信号機の灯火色が交差点エリア内への進入禁止を提示する色でなく、交差点エリア内への進入許可を提示する色、又は他の交通に注意した上での進行許可を提示する色であると判定すると(A16:NO)、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング正否を判定せずにペアリング正否判定処理を終了し、次のペアリング正否判定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0086】
尚、以上は、停止線を通過時の信号機の灯火色が交差点エリア内への進入禁止を提示する色であって車両が停止しなかったと判定すると、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が否であると特定する場合をしたが、停止線を通過時の信号機の灯火色が交差点エリア内への進入許可を提示する色であって車両が交差点を通過しなかったと判定すると、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が否であると特定しても良い。その場合、現実世界では信号機の先に先行車両が渋滞していれば、車両が交差点を通過不可となるので、例えば道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)、車車間通信、路車間通信等から取得される交通情報を考慮して判定することが望ましい。
【0087】
(4-2)車両の走行軌跡に基づいたペアリング正否判定処理(
図25参照)
車載機2において、制御部5は、ペアリング正否判定処理の開始イベントが成立すると、サーバ3により生成されたペアリング情報を取得する(A31)。制御部5は、周辺情報、走行情報及び位置情報から生成したプローブデータに基づいて車両が通過する信号機を特定し(A32)、その信号機に対応する停止線を特定する(A33)。
【0088】
制御部5は、例えば車載カメラにより撮影された車両の進行方向のカメラ画像に基づいて信号機を認識したか否かを判定する(A34)。制御部5は、信号機を認識したと判定すると(A34:YES)、信号機を認識時前後の車載機2が搭載されている車両の走行軌跡に基づいて停止線を特定する(A35)。制御部5は、その認識した信号機と特定した停止線とのペアがペアリング情報と合致しているか否かを判定する(A36)。
【0089】
制御部5は、その認識した信号機と特定した停止線とのペアがペアリング情報と合致していると判定すると(A36:YES)、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が正であると特定し(A37)、ペアリング情報が正であることを示す判定結果をデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A38)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0090】
一方、制御部5は、その認識した信号機と特定した停止線とのペアがペアリング情報と合致していないと判定すると(A36:NO)、その信号機の信号機情報と停止線の停止線情報とのペアリング情報が否であると特定し(A39)、ペアリング情報が否であることを示す判定結果をデータ通信部6からサーバ3に送信させ(A40)、プローブデータ送信処理を終了し、次のプローブデータ送信処理の開始イベントの成立を待機する。
【0091】
サーバ3は、このようにして車載機2から送信されるペアリング情報の正否の判定結果を受信すると、その判定結果に基づいてペアリング情報を検証する。サーバ3は、ペアリング情報が否であることを示す判定結果が複数の車載機2から送信され、その判定結果の個数が閾値以上になった場合に、そのペアリング情報を無効とし、そのペアリング情報が無効であることを車載機2に配信することで、誤っているペアリング情報が参照されて誤った走行制御を行ってしまう事態を未然に回避することができる。
【0092】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。サーバ3において、プローブデータに対し、交差点の複数の信号機と、交差点の複数の停止線との中から、複数のペアリング候補を特定する手法を併用することによってペアリング候補となる信号機と停止線の組み合わせを特定する。そして、組み合わせの特定結果に基づいて信号機情報と停止線情報とをペアリングするようにした。1つの信号機1つの停止線とを対象とする部分最適により信号機情報と停止線情報とをペアリングする従来とは異なり、複数の信号機と複数の停止線とを対象とする全体最適により信号機情報と停止線情報とをペアリングするので、ペアリング対象の交差点の全ての信号機に対して、信号機情報と停止線情報とのペアリングを容易に完了させることができる。
【0093】
又、サーバ3において、信号機情報と停止線情報とをレーン単位でペアリングするようにした。例えば夜間や悪天候時等ではカメラ画像中の信号機データが走行レーンの信号機に対応する画像データであるか、又は走行レーンに隣接する隣接レーンや走行レーンに対して交差する道路に対応する画像データであるかを特定不能となり、信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングする可能性があるが、車両が走行中のレーンを特定し、信号機情報と停止線情報とをレーン単位でペアリングすることで、信号機情報と停止線情報とを誤ってペアリングする可能性を低減することができる。又、レーン中心線を特定することで、レーン中心線と停止線とを対応付けることができ、結果的にレーン中心線と信号機とを対応付けることができる。
【0094】
又、サーバ3において、仮ペアリングありの仮ペアリング処理を行う場合に、ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングするようにした。ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入後の位置であれば、車両の走行軌跡を遡って特定し、車両が当該交差点に進入した際に跨いだ停止線をペアリング候補として特定することで、信号機情報と停止線情報とを適切にペアリングすることができる。ペアリング候補の信号機を特定したときの車両位置が交差点エリア内への進入前の位置であれば、車両の走行軌跡を予測して特定し、車両が当該交差点に進入する際に跨ぐ停止線をペアリング候補として特定することで、信号機情報と停止線情報とを適切にペアリングすることができる。
【0095】
又、サーバ3において、仮ペアリングなしの仮ペアリング処理を行う場合に、ペアリング候補の信号機を基準とした停止線の位置に基づいてペアリング候補の停止線を特定し、ペアリング候補の信号機に関する信号機情報と、そのペアリング候補として特定した停止線に関する停止線情報とをペアリングするようにした。信号機の法線ベクトル方向又は当該法線ベクトル方向の反対方向に存在する停止線をペアリング候補として特定することで、信号機情報と停止線情報とを適切にペアリングすることができる。信号機の法線ベクトル方向及び当該法線ベクトル方向の反対方向の何れにも停止線が存在しない場合でも、ペアリング候補の信号機の法線ベクトル方向の道路において車両の進行方向に存在する停止線をペアリング候補として特定することで、信号機情報と停止線情報とを適切にペアリングすることができる。この場合、信号機からの距離が所定距離未満である停止線をペアリング候補として特定すれば、信号機から極端に離れている停止線をペアリング候補として誤って特定する可能性を低減することができる。
【0096】
又、サーバ3において、仮ペアリングありの仮ペアリング処理を行うようにすれば、統合処理を行う前に信号機情報と停止線情報とを仮にペアリングする仮ペアリング処理を行うことで、仮ペアリング処理を行う際に、信号機の灯火色に関する情報、車速に関する情報、車両の走行軌跡に関する情報等の動的な情報を収集することができ、その収集した動的な情報を活用することができる。
【0097】
又、サーバ3において、仮ペアリングなしの仮ペアリング処理を行うようにすれば、統合処理を行った後に信号機情報と停止線情報とをペアリングするペアリング処理を行うことで、信号機情報と停止線情報とのペアリングを1回で完了させることができる。
【0098】
車載機2において、交差点の信号機に関する信号機情報と停止線に関する停止線情報とがペアリングされたペアリング情報をサーバ3から取得し、その取得したペアリング情報の正否を判定し、その判定結果をサーバ3に送信するようにした。サーバ3において、車載機2から送信されるペアリング情報の正否の判定結果に基づいてペアリング情報を検証することができる。その結果、ペアリング情報の精度を高め、車両の走行制御の精度を高めることができ、安全安心なシステムを構築することができる。
【0099】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0100】
自動車に対する信号機情報と停止線情報とをペアリングする構成を例示したが、歩行者や自転車に対する信号機が併設されている場合には、自動車に対する信号機情報及び停止線情報に、歩行者や自転車に対する信号機情報を加えてペアリングしても良い。
【0101】
同じ車両から送信されたプローブデータに基づいた信号機に関する信号機情報と停止線に関する停止線情報とをペアリングすることに限らず、異なる車両から送信されたプローブデータに基づいた信号機に関する信号機情報と停止線に関する停止線情報とをペアリングしても良い。例えば車両Aから送信されたプローブデータに基づいた信号機に関する信号機情報Xと、車両Bから送信されたプローブデータに基づいた停止線に関する停止線情報Yとをペアリングしても良い。必ずしも同じ車両から送信されたプローブデータに基づいて信号機情報と停止線情報とのペアリングを完了させなくても良く、異なる車両から送信されたプローブデータに基づいて信号機情報と停止線情報とのペアリングを完了させても良い。
【0102】
複数のペアリング候補を特定する手法を併用することとして第1手法と第2手法と併用しても良く、同じペアリング候補の信号機に対し、第1手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定すると共に、第2手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。
【0103】
同じペアリング候補の信号機に対し、第1手法に対応するプログラムを実行したがペアリング候補の停止線を特定することができなかった場合に、第2手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。又、これとは反対に、第2手法に対応するプログラムを実行したがペアリング候補の停止線を特定することができなかった場合に、第1手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。第1手法及び第2手法とは異なる別の手法があれば、第2手法に対応するプログラムを実行したがペアリング候補の停止線を特定することができなかった場合に、別の手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。
【0104】
ペアリング候補の信号機を例えば各信号機の位置情報に基づいて第1手法を適用すべき信号機と第2手法を適用すべき信号機とに区分し、第1手法を適用すべき信号機に対しては第1手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定し、第2手法を適用すべき信号機に対しては第2手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。更に、第1手法及び第2手法とは別の手法があれば、別の手法を適用すべき信号機に対しては別の手法に対応するプログラムを実行してペアリング候補の停止線を特定しても良い。
【0105】
車載カメラは、車両前方を撮影する前方カメラに限らず、車両側方を撮影する側方カメラや車両後方を撮影する後方カメラを併用しても良い。
ウインカーを点灯せずに最初に進入した交差点の信号機をペアリング候補の信号機として特定しても良い。
【0106】
車両が交差点の手前で停止した場合に、その交差点の信号機と、その車両が停止した停止線とをペアリング候補の信号機及び停止線として特定しても良く、その車両が走行中のレーンを特定すれば、ペアリング候補の信号機及び停止線をレーン単位で特定しても良い。
【0107】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。