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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/14 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023041568
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-262619(JP,A)
【文献】特許第6447794(JP,B1)
【文献】特開2015-105160(JP,A)
【文献】特開2023-104130(JP,A)
【文献】特開2023-018418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードの読取りに用いられるコード読取部と、乗場呼びに用いられる登録部と、を備えたエレベータ、に適用可能な制御システムであり、
前記コード読取部での読取りが可能なコードごとに、当該コードに対して、それに紐付く主目的情報及び対象階と、当該主目的情報に付随するサービス情報及び対象階と、が対応付けられている情報管理データと、
前記コード読取部にて前記コードが読み取られた場合に、前記情報管理データから、当該コードに対応付けられている前記主目的情報及び前記サービス情報を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部が抽出した前記主目的情報及び前記サービス情報を、前記登録部に選択可能に表示させる表示処理部と、
前記登録部に表示された前記主目的情報及び前記サービス情報の何れか1つが選択された場合に、それを対象情報として、前記情報管理データにて当該対象情報に対応付けられている前記対象階を用いてエレベータの呼び登録を行う呼び登録処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記コード読取部にて前記コードが読み取られた場合において、前記情報管理データにて当該コードに前記サービス情報が複数対応付けられている場合には、前記抽出処理部は、当該複数のサービス情報を前記情報管理データから抽出し、
前記表示処理部は、前記抽出処理部が抽出した前記複数のサービス情報を、該当するジャンルへそれぞれ振り分けて前記登録部に表示させる、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記情報管理データにおいて、前記主目的情報には、その主目的を達成できる利用者の属性が対応付けられており、
前記表示処理部は、前記抽出処理部が前記主目的情報及び前記サービス情報を抽出した場合において、当該サービス情報を前記登録部に表示させる場合には、当該主目的情報に対応付けられている前記属性に関係するものだけを選択可能に表示させる、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
前記情報管理データにおいて、前記サービス情報には、そのサービスで利用できる支払方法が対応づけられており、
前記表示処理部は、前記サービス情報を前記登録部に表示させる場合、前記サービス情報と共に、当該サービス情報に対応付けられている前記支払方法を表示させる、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。
【請求項5】
前記情報管理データにおいて、前記サービス情報には、そのサービスを利用できる利用時間帯が対応付けられており、
前記表示処理部は、前記サービス情報を前記登録部に表示させる場合には、そのときの時刻が前記利用時間帯内であるものだけを選択可能に表示させる、請求項1又は2に記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードを用いて行先階を登録することが可能なエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、行先階登録装置でのコード(QRコード(登録商標)など)の読取りによって行先階が登録され、それによって登録された行先階を用いて呼び登録を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-80033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コードは、様々な情報を持つことができるため、多くの分野で利用されており、その1つとして映画やコンサートなどのチケットにも利用されている。具体的には、従来から使用されている紙チケットには、チケットの内容やIDの情報を持ったコードが印刷されることが多くなってきている。また、紙チケットに代えて、チケットの内容やIDの情報を持ったコードを電子データで利用者に提供する電子チケットが普及しつつある。電子チケットの場合、利用者は、提供されたコードを自身の端末装置に取り込んでおいて、映画やコンサートなどの会場の入口にて当該コードの提示(コードリーダでの読取り)を行うことで、電子チケットを利用することができる。
【0005】
一方、上記のようなチケットには、それを購入した利用者への特典として、飲食店やアミューズメントの割引きなどのサービスが付随していることがある。しかし、そのようなサービスは、以下のような理由から、利用者にとって利便性が良いとは必ずしも言えるものではなかった。
【0006】
利用者は、自身が購入したチケットに付随しているサービスを利用しようとした場合、当該サービスの内容を確認するために、その内容が記載されたウェブサイトを探し出さなければならなかった。しかも利用者は、内容の確認後、サービスを利用できる場所へ実際に移動する際には、建物に設置されているフロアマップなどで確認して移動しなければならず、そのときの移動にエレベータを利用する場合には、サービスを利用できる場所がある階を認識した上で、乗場にて行先階を手入力で登録しなければならなかった。このように、利用者は、サービスを利用しようとすると、そのために煩わしい作業を強いられ、しかも、その作業に多くの時間を消費しなければならなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、映画やコンサートなどの主目的情報に割引きなどのサービス情報が付随している場合において、利用者がサービス情報を利用するときの利便性を、エレベータの制御技術によって向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る制御システムは、エレベータに適用可能であり、そのエレベータは、コードの読取りに用いられるコード読取部と、乗場呼びに用いられる登録部と、を備える。そして、制御システムは、情報管理データと、抽出処理部と、表示処理部と、呼び登録処理部と、を備える。情報管理データでは、コード読取部での読取りが可能なコードごとに、当該コードに対して、それに紐付く主目的情報及び対象階と、当該主目的情報に付随するサービス情報及び対象階と、が対応付けられている。抽出処理部は、コード読取部にてコードが読み取られた場合に、情報管理データから、当該コードに対応付けられている主目的情報及びサービス情報を抽出する。表示処理部は、抽出処理部が抽出した主目的情報及びサービス情報を、登録部に選択可能に表示させる。呼び登録処理部は、登録部に表示された主目的情報及びサービス情報の何れか1つが選択された場合に、それを対象情報として、情報管理データにて当該対象情報に対応付けられている対象階を用いてエレベータの呼び登録を行う。
【0009】
上記制御システムによれば、コード読取部でのコードの読取りが実行されることにより、そのコードに対応した主目的情報及びサービス情報が登録部の画面に表示されることになる。従って、利用者は、エレベータの利用前にコード読取部でのコードの読取りを実行するだけで、登録部の画面を通じて主目的情報及びサービス情報を確認することができる。そして、その画面にて利用者が主目的情報及びサービス情報の何れか1つを選択することにより、その情報に対応する階へ行くための呼び登録が自動的に実行される。このように、利用者は、コード読取部でのコードの読取りと、登録部での情報の確認及び選択、といった簡単な操作を行うだけで、迷うことなく、自身が行きたい場所のある階までエレベータを利用して移動することが可能になる。
【0010】
上記制御システムの具体的な構成として、コード読取部にてコードが読み取られた場合において、情報管理データにて当該コードにサービス情報が複数対応付けられている場合には、抽出処理部は、当該複数のサービス情報を情報管理データから抽出してもよい。この構成において、表示処理部は、抽出処理部が抽出した複数のサービス情報を、該当するジャンルへそれぞれ振り分けて登録部に表示させてもよい。この構成によれば、サービス情報がジャンルに振り分けて表示されるため、利用者は、自身が所望するサービス情報を画面から見付け出すときに、そのサービス情報がどのジャンルに属しているかという観点から探し始めることができる。従って、利用者は、自身が所望するサービス情報を画面から見付けやすくなる。
【0011】
上記制御システムの具体的な構成として、情報管理データにおいて、主目的情報には、その主目的を達成できる利用者の属性が対応付けられていてもよい。この構成において、表示処理部は、抽出処理部が主目的情報及びサービス情報を抽出した場合において、当該サービス情報を登録部に表示させる場合には、当該主目的情報に対応付けられている属性に関係するものだけを選択可能に表示させてもよい。この構成によれば、サービス情報のうちの利用者に関係するものだけが登録部にて選択可能に表示されることになる。従って、その利用者に関係のないサービス情報までもが選択可能に表示される場合に比べて、利用者は、自身が所望するサービス情報を選択しやすくなる。
【0012】
上記制御システムの具体的な構成として、情報管理データにおいて、サービス情報には、そのサービスで利用できる支払方法が対応づけられていてもよい。この構成において、表示処理部は、サービス情報を登録部に表示させる場合、サービス情報と共に、当該サービス情報に対応付けられている支払方法を表示させてもよい。この構成によれば、利用者は、登録部の画面に表示されたサービス情報を選択する際に、その画面にて支払方法をも確認することができ、従って、自身にとって利用可能な支払方法に対応しているものだけを選択することができる。よって、利用者にとっては、サービスを受けることができる場所へ移動してから、その場所での支払方法が自身にとっては利用できないものであることが判明し、それまでの移動が無駄になる、といったことを未然に防ぐことが可能になる。
【0013】
上記制御システムの具体的な構成として、情報管理データにおいて、サービス情報には、そのサービスを利用できる利用時間帯が対応付けられていてもよい。この構成において、表示処理部は、サービス情報を登録部に表示させる場合には、そのときの時刻が利用時間帯内であるものだけを選択可能に表示させてもよい。この構成によれば、サービス情報のうちの、そのときの時刻が利用時間帯内であるものだけが、登録部にて選択可能に表示されることになる。従って、利用者が、サービス情報を選択するときに、そのときの時刻が利用時間帯外であるものを誤って選択してしまう、といったことを未然に防ぐことが可能になる。その結果として、利用者にとっては、サービスを受けたい場所へ移動してから利用時間帯外であることが判明し、それまでの移動が無駄になる、といったことを未然に防ぐことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、主目的情報に付随したサービス情報を利用するときの利便性を、エレベータの制御技術によって向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
図2】実施形態において行先階登録装置の登録部に表示される(A)待機画面、(B)登録画面、(C)第1通知画面、(D)案内画面、(E)選択画面、及び(F)第2通知画面、をそれぞれ例示した概念図である。
図3】実施形態で用いられる(A)情報管理データ及び(B)装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
図4A】実施形態において、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図4B】実施形態において、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図5】第1変形例において、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図6】第1変形例で用いられる(A)情報管理データ及び(B)ジャンルへの振分け内容をそれぞれ例示した概念図である。
図7】第1変形例において行先階登録装置の登録部に表示される(A)第1選択画面及び(B)第2選択画面をそれぞれ例示した概念図である。
図8】第2変形例で用いられる(A)情報管理データ及び(B)属性に応じた選択内容をそれぞれ例示した概念図である。
図9】第2変形例において、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図10】第3変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
図11】第3変形例において、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図12】第3変形例において行先階登録装置の登録部に表示される選択画面を例示した概念図である。
図13】第4変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
図14】第4変形例において、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
図15】第4変形例において行先階登録装置の登録部に表示される選択画面を例示した概念図である。
図16】第5変形例において行先階登録装置の登録部に表示される選択画面を例示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。図1の例では、エレベータは、行先階登録装置1と、群管理制御装置2と、を備える。以下、各部について具体的に説明する。
【0017】
<行先階登録装置>
行先階登録装置1は、エレベータの利用前に利用者が行う乗場呼びに用いられる装置であり、建物の各階に設置される。本実施形態では、行先階登録装置1は、乗場呼びのための利用者による行先階Fdの入力(選択を含む)を可能にする本来の機能(以下、「行先階登録モード」と称す)に加えて、映画やコンサートなどのチケットに関連する情報(後述する主目的情報Pm及びサービス情報Pn)についての利用者による確認を可能にし、且つ、利用者が所望する情報に対応した階(後述する対象階Ft)へ行くための乗場呼びを、当該利用者による上記情報の選択といった簡単な操作で行えることを可能にした新たな機能(以下、「情報選択モード」と称す)を備えている。
【0018】
具体的な構成として、行先階登録装置1は、登録部11と、コード読取部12と、を備える。また、各行先階登録装置1には、それを他の装置と識別するための装置情報Pdが設定されている。
【0019】
登録部11は、利用者が乗場呼びを行うときの操作や情報の確認に用いられる部分であり、タッチパネルなど、入力部としての機能と表示部としての機能とを兼ね備えたデバイスによって構成される。尚、登録部11は、入力部と表示部とが別個に構成されたものであってもよい。例えば、表示部が、表示専用のモニタで構成され、入力部が、行先階Fdなどを入力するための機械式のボタン(テンキーなど)で構成されてもよい。
【0020】
そして、登録部11には、乗場呼びに関連する様々な画面が表示される。本実施形態では、そのような画面として、待機画面(図2(A)参照)、登録画面(図2(B)参照)、第1通知画面(図2(C)参照)、案内画面(図2(D)参照)、選択画面(図2(E)参照)、及び第2通知画面(図2(F)参照)が、登録部11に適宜表示される。
【0021】
ここで、待機画面は、行先階登録装置1をどちらのモード(行先階登録モード又は情報選択モード)で使用するのかを選択するための最初の画面である。
【0022】
登録画面は、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に表示される画面であり、行先階Fdを入力(選択を含む)して登録することによって乗場呼びを行うための画面である。登録画面で行先階Fdが登録された場合、その行先階Fdは、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、登録画面にて行先階Fdの登録が行われるごとに、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する。第1通知画面は、登録画面での行先階Fdの登録後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当てを行った場合に表示される画面であり、その乗りかごの情報(かご情報Pg)を利用者に通知するための画面である。
【0023】
案内画面は、待機画面にて情報選択モードが選択された場合に表示される画面であり、後述するチケットのコードSの読取りを利用者に促すための画面である。選択画面は、チケットのコードSの読取りが行われた場合に表示される画面であり、当該チケットに関連する情報(後述する主目的情報Pm及びサービス情報Pn)を利用者に提供すると共に、当該情報が選択可能に表示される画面である。選択画面で何れかの情報が選択された場合、その情報(後述する対象情報Pt)は、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、選択画面にて情報の選択が行われるごとに、その情報(対象情報Pt)を群管理制御装置2へ送信する。第2通知画面は、選択画面での情報の選択後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当て行った場合に表示される画面であり、その乗りかごのかご情報Pgを、選択画面で選択された情報(対象情報Pt)と共に利用者に通知するための画面である。
【0024】
コード読取部12は、映画やコンサートなどのチケットに利用されるコードSの読取りに用いられる部分であり、CCDセンサなどの読取センサによって構成される。ここで、コードSは、1次元コード(1次元バーコード)又は2次元コード(QRコード(登録商標)や2次元バーコードなど)であり、紙チケットに印刷されたものであってもよいし、電子チケットとして利用者に電子データで提供されるものであってもよい。電子チケットの場合、利用者は、提供されたコードSを自身の端末装置に取り込んでおいて、コード読取部12での読取りが必要になったときに当該端末装置にコードSを表示させることができる。紙チケット及び電子チケットの何れの場合であっても、各チケットには、それを他のチケットと識別するための識別情報Piが付与されており、その識別情報Piをコード化したものが、コードSとして各チケットに対応付けられている。
【0025】
コード読取部12がコードSを読み取った場合、そのコードSで特定される識別情報Piが、群管理制御装置2にて実行される制御処理(抽出処理や呼び登録処理など)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、コード読取部12にてコードSの読取りが行われるごとに、そのコードSで特定される識別情報Piを群管理制御装置2へ送信する(後述する図4BのステップS112参照)。
【0026】
<群管理制御装置>
群管理制御装置2は、上記エレベータが備える複数の乗りかごを一元的に管理する装置であり、制御処理の1つとして、行先階登録モード時の行先階登録装置1にて行先階Fdの登録が行われた場合、当該行先階Fdを用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。また本実施形態では、群管理制御装置2は、情報選択モード時の行先階登録装置1にてチケットのコードSの読取りが行われた場合、制御処理の1つとして、当該チケットに関連する情報(そのチケットのコードSに紐付く情報。後述する主目的情報Pm及びサービス情報Pn)を、行先階登録装置1を通じて利用者に提供し(抽出処理及び表示処理)、そこで当該利用者が選んだ情報に対応した階(後述する対象階Ft)を用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0027】
具体的な構成として、群管理制御装置2は、記憶部21と制御部22とを備える。
【0028】
記憶部21は、上述した制御処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、制御処理に必要な情報として、情報管理データDpと、装置管理データDrと、が記憶部21に保存されている。
【0029】
図3(A)は、本実施形態で用いられる情報管理データDpの一例を示した概念図である。ここで、情報管理データDpでの管理の対象は、群管理制御装置2が制御するエレベータを備えた建物において利用可能なチケットのうちの、コードSが対応付けられているチケット(コードSが印刷された紙チケット、又はコードSが電子データで適用された電子チケット)に関連する情報である。そして図3(A)に示されるように、情報管理データDpでは、コードSごとに、当該コードSで特定される識別情報Piに対して、それに紐付く主目的情報Pm及び対象階Ftと、当該主目的情報Pmに付随するサービス情報Pn及び対象階Ftと、が対応付けられている。この情報管理データDpは、上述した建物において利用可能なチケット(コードSが対応付けられたチケット)が発行されるごとに更新(追加)される。
【0030】
ここで、主目的情報Pmは、チケットの主目的(映画やコンサートなど)が何かを示す情報であり、主目的情報Pmには、当該主目的の内容(目的名、場所、時間、席番など)が含まれている。サービス情報Pnは、チケットで利用できるサービス(割引きなど)が何かを示す情報である。図3(A)の例では、1つの識別情報Piに複数のサービス情報Pnが対応付けられている場合が示されている。対象階Ftのうち、主目的情報Pmに対応付けられているものは、その主目的を達成できる場所がある階であり、サービス情報Pnに対応付けられているものは、そのサービスを利用できる場所がある階である。
【0031】
図3(B)は、本実施形態で用いられる装置管理データDrの一例を示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrでは、行先階登録装置1ごとに、装置情報Pdが設置階Fsと対応付けられている。
【0032】
ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される行先階登録装置1が設置されている階である。本実施形態では、エレベータを利用するためには、その都度、行先階登録装置1にて乗場呼びを行う必要があり、利用者は、乗場呼びに用いた行先階登録装置1の設置階Fsから乗りかごに乗車することになる。従って、行先階登録装置1の設置階Fsは、群管理制御装置2が呼び登録処理(乗りかごへの割当てを含む)を行う際に、利用者の出発階(乗車階)として用いられる。
【0033】
制御部22は、上述した制御処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。本実施形態では、制御部22は、抽出処理、表示処理、及び呼び登録処理を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0034】
行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(図2(A)参照)にて行先階登録モードが選択され、且つ、登録画面(図2(B)参照)にて行先階Fdが登録された場合には、制御部22は、当該行先階Fdを用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0035】
一方、行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(図2(A)参照)にて情報選択モードが選択され、且つ、案内画面(図2(D)参照)に従ってコード読取部12にてチケットのコードSが読み取られた場合には、制御部22は、情報管理データDpから、当該コードSで特定される識別情報Piに対応付けられている主目的情報Pm及びサービス情報Pnを抽出する(抽出処理)。このとき、情報管理データDpにて当該識別情報Piにサービス情報Pnが複数対応付けられている場合(図3(A)参照)には、制御部22は、その識別情報Piに対応付けられている全てのサービス情報Pnを抽出する。
【0036】
その後、制御部22は、抽出処理で抽出した主目的情報Pm及びサービス情報Pnを、登録部11に選択可能に表示させる(表示処理)。
【0037】
そして制御部22は、登録部11に表示された主目的情報Pm及びサービス情報Pnの何れか1つが選択された場合に、それを対象情報Ptとして、情報管理データDpにて当該対象情報Ptに対応付けられている対象階Ftを用いてエレベータの呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0038】
このような制御処理(抽出処理、表示処理、呼び登録処理を含む)は、群管理制御装置2の制御部22内に構築される処理部によって実行される。図1では、そのような処理部として、抽出処理部221、表示処理部222、及び呼び登録処理部223が、制御部22内に構築されている。本実施形態では、これらの処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0039】
そして、このようなエレベータの一部又は全部によって、利用者がサービス情報Pnを利用するときの利便性を向上させるための制御システムが構成されている。以下では、当該制御システムが実行する制御処理として、行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理について、具体的に説明する。
【0040】
尚、上記エレベータは、乗りかごを1つだけ備えたものであってもよい。この場合、当該1つの乗りかごを制御するエレベータ制御装置が、上記制御システムが実行する制御処理の一部を、群管理制御装置2に代わって担うことになる。
【0041】
[1-2]制御処理
本実施形態では、エレベータの利用前に、行先階登録装置1にて乗場呼びを行うことが必要とされる。そして、行先階登録装置1の登録部11に表示された最初の画面(待機画面。図2(A)参照)では、利用者は、行先階登録モード及び情報選択モードの何れか一方を選択することができる。
【0042】
そこで、先ず、行先階登録装置1の待機画面にて行先階登録モードが選択された場合について説明する。図4Aは、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0043】
待機画面にて行先階登録モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて登録画面(図2(B)参照)を表示する(ステップS101)。そして、当該登録画面にて利用者が行先階Fdを登録した場合、行先階登録装置1は、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する(ステップS102)。このとき、行先階登録装置1は、当該行先階Fdがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その行先階Fdと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。尚、図2(B)の例では、行先階Fdとして「3階」が選択された場合が示されている。
【0044】
群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS201)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS202)。
【0045】
具体的には、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS201で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が行先階Fdの登録に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS202A)。
【0046】
そして、群管理制御装置2は、ステップS202Aで抽出した設置階Fsを利用者の出発階(乗車階)とした上で、当該出発階とステップS201で受信した行先階Fd(即ち、登録画面で登録された行先階Fd)とを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS202B)。
【0047】
その後、群管理制御装置2は、ステップS201で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第1通知画面(図2(C)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS202C)。このとき、群管理制御装置2は、第1通知画面に表示させる情報として、ステップS202Bにて乗場呼びを割り当てた乗りかごのかご情報Pgを上記行先階登録装置1へ送信する。尚、図2(C)に示されるように、第1通知画面には、かご情報Pgに加えて、ステップS202Bでの割当てに用いられた行先階Fdが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該行先階Fdも行先階登録装置1へ送信する。
【0048】
そして、行先階登録装置1が、登録部11への第1通知画面の表示(ステップS103)を行うことにより、利用者は、当該第1通知画面から、登録した行先階Fdへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になる。
【0049】
次に、行先階登録装置1の待機画面にて情報選択モードが選択された場合について説明する。図4Bは、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0050】
待機画面にて情報選択モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて案内画面(図2(D)参照)を表示する(ステップS111)。そして、その案内画面を確認した利用者がチケットのコードSをコード読取部12に読み取らせた場合、行先階登録装置1は、そのコードSで特定される識別情報Piを群管理制御装置2へ送信する(ステップS112)。このとき、行先階登録装置1は、当該識別情報Piがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その識別情報Piと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。
【0051】
群管理制御装置2は、識別情報Piなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS211)、情報管理データDpから、当該識別情報Piに対応付けられている主目的情報Pm及びサービス情報Pnを抽出する(抽出処理。ステップS212)。このとき、情報管理データDpにて当該識別情報Piにサービス情報Pnが複数対応付けられている場合(図3(A)参照)には、群管理制御装置2は、その識別情報Piに対応付けられている全てのサービス情報Pnを抽出する。
【0052】
その後、群管理制御装置2は、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への選択画面(図2(E)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS213)。このとき、群管理制御装置2は、選択画面に表示させる情報として、ステップS212で抽出した主目的情報Pm及びサービス情報Pnを上記行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、それらの情報がどの識別情報Piに対応したものであるのかを行先階登録装置1に認識させるべく、ステップS212での抽出に用いた識別情報Pi(換言すれば、ステップS211で受信した識別情報Pi)も行先階登録装置1へ送信する。
【0053】
更に本実施形態では、群管理制御装置2は、サービス情報Pnのうちの、情報管理データDpにて対応付けられている対象階Ftが送信先の行先階登録装置1の設置階Fsと同じであるものについては、選択画面で選択できないようにするために、選択不可情報Pxを対応付けた状態で当該行先階登録装置1へ送信する。
【0054】
行先階登録装置1は、主目的情報Pmなどの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS113)、それらの情報を用いて登録部11への選択画面の表示を行う(ステップS114)。このとき、行先階登録装置1は、サービス情報Pnのうちの、選択不可情報Pxが対応付けられているものについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で選択画面に表示すると共に、同じ階であることを利用者に通知するための表記を付加する(図2(E)参照)。
【0055】
図2(E)の例では、選択画面として、主目的情報Pmとサービス情報Pnとが同じ1つの画面に表示されたものが示されている。更に、この図では、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsが1階であって、サービス情報Pnのうちの、対象階Ftが1階である「B店 1回無料」が選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。また、「B店 1回無料」には、同じ階であることを利用者に通知するための「この階です」という表記が付加されている。
【0056】
そして、選択画面の表示により、利用者は、その選択画面から、自身のチケットの主目的が何かを示す主目的情報Pmに加えて、そのチケットで利用できるサービスが何かを示すサービス情報Pnを確認することができる。しかも、選択画面には、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階で利用できるサービス情報Pnも表示されるため、利用者は、そのときにいる階と同じ階で利用できるサービス情報Pnをも確認することができる。また、この選択画面では、利用者がいる階とは別の階で利用できる情報については選択可能に表示されるため、そのうちの何れか1つを利用者は選択することができる。
【0057】
選択画面(図2(E)参照)にて主目的情報Pm及びサービス情報Pnの何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、選択された情報を対象情報Ptとして群管理制御装置2へ送信する(ステップS115)。このとき、行先階登録装置1は、その対象情報Ptがどの識別情報Piに対応したものであるのかを群管理制御装置2に認識させるべく、ステップS113で受信した識別情報Piも群管理制御装置2へ送信する。また、行先階登録装置1は、それらの情報がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。尚、図2(E)の例では、サービス情報Pnとして「A店 10%割引」が選択された場合が示されている。
【0058】
群管理制御装置2は、対象情報Ptなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS214)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS215)。
【0059】
具体的には、群管理制御装置2は、情報管理データDpから、ステップS214で受信した対象情報Ptに対応付けられている対象階Ftを抽出する(ステップS215A)。ここで、対象情報Ptが主目的情報Pmである場合には、群管理制御装置2は、当該主目的情報Pmに対応付けられている対象階Ftを情報管理データDpから抽出し、対象情報Ptがサービス情報Pnである場合には、群管理制御装置2は、当該サービス情報Pnに対応付けられている対象階Ftを情報管理データDpから抽出する。更にステップS215Aでは、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS214で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が対象情報Ptの選択を行った行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する。
【0060】
そして、群管理制御装置2は、ステップS215Aで抽出した設置階Fs及び対象階Ftをそれぞれ利用者の出発階(乗車階)及び行先階Fdとした上で、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS215B)。
【0061】
その後、群管理制御装置2は、ステップS214で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2通知画面(図2(F)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS215C)。このとき、群管理制御装置2は、第2通知画面に表示させる情報として、ステップS215Bにて乗場呼びを割り当てた乗りかごのかご情報Pgを上記行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、その割当てがどの対象情報Ptに対応したものであるのか利用者に認識させるべく、ステップS215Aでの対象階Ftの抽出に用いた対象情報Ptも行先階登録装置1へ送信する。尚、図2(F)に示されるように、第2通知画面には、かご情報Pg及び対象情報Ptに加えて、ステップS215Bでの割当てに用いられた対象階Ftが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該対象階Ftも行先階登録装置1へ送信する。
【0062】
そして、行先階登録装置1が、登録部11への第2通知画面の表示(ステップS116)を行うことにより、利用者は、当該第2通知画面から、選択した主目的を達成できる場所や選択したサービスを利用できる場所への移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきか認識することが可能になる。
【0063】
上述した制御システム及び制御処理によれば、コード読取部12でのコードSの読取りが実行されることにより、そのコードSに対応した主目的情報Pm及びサービス情報Pnが登録部11の画面に表示されることになる。従って、利用者は、エレベータの利用前にコード読取部12でのコードSの読取りを実行するだけで、登録部11の画面を通じて主目的情報Pm及びサービス情報Pnを確認することができる。そして、その画面にて利用者が主目的情報Pm及びサービス情報Pnの何れか1つを選択することにより、その情報(対象情報Pt)に対応した階へ行くための呼び登録が自動的に実行される。このように、利用者は、コード読取部12でのコードSの読取りと、登録部11での情報(主目的情報Pm及びサービス情報Pn)の確認及び選択、といった簡単な操作を行うだけで、迷うことなく、自身が行きたい場所のある階までエレベータを利用して移動することが可能になる。
【0064】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した抽出処理(ステップS212。図4B参照)において、群管理制御装置2が、情報管理データDp(図3(A)参照)から、識別情報Piに対応付けられているサービス情報Pnを複数抽出した場合の変形例について説明する。この場合、群管理制御装置2は、表示処理において、抽出処理で抽出した複数のサービス情報Pnを、該当するジャンルPjへそれぞれ振り分けて行先階登録装置1の登録部11に表示させてもよい。
【0065】
図5は、第1変形例において、行先階登録装置1の待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0066】
群管理制御装置2は、抽出処理(ステップS212)の実行後、抽出したサービス情報Pnが複数であるか否かを判断する(ステップS220)。群管理制御装置2は、ステップS220で「複数である(Yes)」と判断した場合、ステップS212で抽出した複数のサービス情報Pnを、該当するジャンルPjへそれぞれ振り分ける(ステップS221)。このとき、群管理制御装置2は、ジャンルPjとして、予め設定されたものを用いてもよいし、ステップS212で抽出した複数のサービス情報Pnから学習モデルなどで生成したものを用いてもよい。
【0067】
図6(A)には、情報管理データDpとして、「ID*****01」の識別情報Piに6つのサービス情報Pnが対応付けられたものが示されている。また、図6(B)には、それら6つのサービス情報Pnについての、2つのジャンルPj(「アミューズメント」と「飲食店」)への振分け内容が模式的に示されている。
【0068】
そして表示処理では、群管理制御装置2は、選択画面(以下で説明する第1選択画面及び第2選択画面)に表示させる情報として、ステップS221での振分けに用いたジャンルPjごとに、当該ジャンルPjと、そのジャンルPjに振り分けたサービス情報Pnと、を対応付けた状態で行先階登録装置1へ送信する(ステップS222)。
【0069】
行先階登録装置1は、ジャンルPjなどの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS120)、先ず、主目的情報PmとジャンルPjとを登録部11の画面に選択可能に表示する(ステップS121。第1選択画面(図7(A))参照)。そして、第1選択画面にて主目的情報Pmが選択された場合には、行先階登録装置1は、当該主目的情報Pmを対象情報Ptとして群管理制御装置2へ送信する(ステップS123)。
【0070】
一方、第1選択画面(図7(A)参照)にてジャンルPjの何れか1つが選択された場合には、行先階登録装置1は、ステップS120で受信したサービス情報Pnのうちの、選択されたジャンルPjに対応付けられているものを、登録部11の画面に選択可能に表示する(ステップS122。第2選択画面(図7(B))参照)。尚、図7(A)の例では、ジャンルPjとして「飲食店」が選択された場合が示されている。
【0071】
そして、第2選択画面(図7(B)参照)にてサービス情報Pnの何れか1つが選択せれた場合には、行先階登録装置1は、選択されたサービス情報Pnを対象情報Ptとして群管理制御装置2へ送信する(ステップS123)。
【0072】
第1変形例によれば、サービス情報PnがジャンルPjに振り分けて表示されるため、利用者は、自身が所望するサービス情報Pnを画面から見付け出すときに、そのサービス情報PnがどのジャンルPjに属しているかという観点から探し始めることができる。従って、利用者は、自身が所望するサービス情報Pnを画面から見付けやすくなる。
【0073】
[2-2]第2変形例
図8(A)は、第2変形例で用いられる情報管理データDpを例示した概念図である。この図に示されるように、情報管理データDpにおいて、主目的情報Pmには、その主目的を達成できる利用者の属性Qmが対応付けられていてもよい。図8(A)の例では、情報管理データDpとして、「ID*****01」の識別情報Piについての主目的情報Pmに属性Qmとして「大人」が対応付けられ、「ID*****02」の識別情報Piについての主目的情報Pmに属性Qmとして「子供」が対応付けられたものが示されている。
【0074】
この場合、群管理制御装置2は、抽出処理(ステップS212。図4B参照)にて主目的情報Pm及びサービス情報Pnを抽出した後に実行する表示処理において、当該サービス情報Pnを行先階登録装置1の登録部11に表示させる場合には、当該主目的情報Pmに対応付けられている属性Qmに関係するものだけを選択可能に表示させてもよい。
【0075】
図9は、第2変形例において、行先階登録装置1の待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0076】
群管理制御装置2は、抽出処理(ステップS212)での主目的情報Pm及びサービス情報Pnの抽出後、情報管理データDpにて当該主目的情報Pmに対応付けられている属性Qmを用いて、当該サービス情報Pnのうちの、その属性Qmに関連するものだけを選択する(ステップS230)。図8(B)には、属性Qmに応じた選択内容が模式的に示されている。このときの選択方法として、群管理制御装置2は、属性Qmとサービス情報Pnとの対応関係が予め設定されたデータを参照する方法を用いてもよいし、属性Qmとサービス情報Pnとから学習モデルなどで選別する方法を用いてもよい。
【0077】
そして表示処理では、群管理制御装置2は、選択画面(図2(E)参照)に表示させる情報として、サービス情報Pnのうちの、ステップS230にて属性Qmに応じて選択したものだけを(図8(B)参照)、行先階登録装置1へ送信する(ステップS231)。
【0078】
第2変形例によれば、サービス情報Pnのうちの利用者に関係するものだけが行先階登録装置1の登録部11(選択画面)にて選択可能に表示されることになる。従って、その利用者に関係のないサービス情報Pnまでもが選択可能に表示される場合に比べて、利用者は、自身が所望するサービス情報Pnを選択しやすくなる。
【0079】
[2-3]第3変形例
図10は、第3変形例で用いられる情報管理データDpを例示した概念図である。この図に示されるように、情報管理データDpにおいて、各サービス情報Pnには、そのサービスで利用できる支払方法Rnが対応づけられていてもよい。図10の例では、支払方法Rnとして「現金」、「カード」、「電子マネー」、「コード決済」の一部又は全部が、サービス情報Pnのうちの支払いが必要となるものに対応付けられた場合が示されている。また、支払方法Rnとして、各種決済方法を示すロゴマークがサービス情報Pnに対応付けられてもよい。
【0080】
この場合、群管理制御装置2は、表示処理においてサービス情報Pnを行先階登録装置1の登録部11に表示させる場合、サービス情報Pnと共に、当該サービス情報Pnに対応付けられている支払方法Rnを表示させてもよい。このとき、支払方法Rnは、図12に示されるように文字で表示されてもよいし、上述したロゴマークで表示されてもよい。
【0081】
図11は、第3変形例において、行先階登録装置1の待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0082】
群管理制御装置2は、抽出処理にて主目的情報Pm及びサービス情報Pnを抽出する場合、各サービス情報Pnに対応付けられている支払方法Rnも、そのまま当該サービス情報Pnに対応付けた状態で情報管理データDpから抽出する(ステップS240)。
【0083】
そして表示処理では、群管理制御装置2は、選択画面(図12参照)に表示させる情報として、主目的情報Pm及びサービス情報Pnに加えて、ステップS240で抽出した支払方法Rnも当該サービス情報Pnに対応付けた状態で行先階登録装置1へ送信する(ステップS241)。
【0084】
行先階登録装置1は、支払方法Rnなどの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS140)、主目的情報Pm及びサービス情報Pnを登録部11の画面に選択可能に表示すると共に、サービス情報Pnごとに、それに対応付けられている支払方法Rnも表示する(ステップS141。選択画面(図12)参照)。
【0085】
第3変形例によれば、利用者は、行先階登録装置1の登録部11の画面に表示されたサービス情報Pnを選択する際に、その画面にて支払方法Rnをも確認することができ、従って、自身にとって利用可能な支払方法Rnに対応しているものだけを選択することができる。よって、利用者にとっては、サービスを受けることができる場所へ移動してから、その場所での支払方法Rnが自身にとっては利用できないものであることが判明し、それまでの移動が無駄になる、といったことを未然に防ぐことが可能になる。
【0086】
[2-4]第4変形例
図13は、第4変形例で用いられる情報管理データDpを例示した概念図である。この図に示されるように、情報管理データDpにおいて、各サービス情報Pnには、そのサービスで利用できる利用時間帯Tnが対応づけられていてもよい。
【0087】
この場合、群管理制御装置2は、表示処理においてサービス情報Pnを行先階登録装置1の登録部11に表示させる場合には、そのときの時刻が利用時間帯Tn内であるものだけを選択可能に表示させてもよい。
【0088】
図14は、第4変形例において、行先階登録装置1の待機画面にて情報選択モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0089】
群管理制御装置2は、抽出処理にて主目的情報Pm及びサービス情報Pnを抽出する場合、各サービス情報Pnに対応付けられている利用時間帯Tnも、そのまま当該サービス情報Pnに対応付けた状態で情報管理データDpから抽出する(ステップS250)。
【0090】
そして表示処理では、群管理制御装置2は、選択画面(図15参照)に表示させる情報として、ステップS250で抽出した主目的情報Pm及びサービス情報Pnを行先階登録装置1へ送信する(ステップS251)。このとき、群管理制御装置2は、それらの情報に加えて、ステップS250で抽出した利用時間帯Tnもサービス情報Pnに対応付けた状態で行先階登録装置1へ送信する。
【0091】
行先階登録装置1は、利用時間帯Tnなどの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS150)、受信した主目的情報Pmを登録部11の画面に選択可能に表示すると共に、受信したサービス情報Pnについては、そのときの時刻が利用時間帯Tn内であるものだけを登録部11の画面に選択可能に表示する(ステップS151。選択画面(図15)参照)。
【0092】
一方、行先階登録装置1は、受信したサービス情報Pnのうちの、そのときの時刻が利用時間帯Tn外であるものについては、登録部11の画面に表示しないか、或いは、選択不可(グレーアウトなど)の状態で登録部11の画面に表示する。図15の例では、選択画面において、「ID*****01」の識別情報Piについての情報が表示された場合であって、そのときの時刻が例えば10:30であるが故に、利用時間帯Tnが「11:00-21:00」である「A店 10%割引」のサービス情報Pnが選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。このとき、行先階登録装置1は、図15に示されるように、サービス情報Pnのうちの、そのときの時刻が利用時間帯Tn外であるものについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で選択画面に表示すると共に、利用時間帯Tn外であることを利用者に通知するための表記を付加してもよい。
【0093】
第4変形例によれば、サービス情報Pnのうちの、そのときの時刻が利用時間帯Tn内であるものだけが、行先階登録装置1の登録部11(選択画面)にて選択可能に表示されることになる。従って、利用者が、サービス情報Pnを選択するときに、そのときの時刻が利用時間帯Tn外であるものを誤って選択してしまう、といったことを未然に防ぐことが可能になる。その結果として、利用者にとっては、サービスを受けたい場所へ移動してから利用時間帯Tn外であることが判明し、それまでの移動が無駄になる、といったことを未然に防ぐことが可能になる。
【0094】
尚、更なる変形例として、利用時間帯Tnに代えて、サービス情報Pnごとに、そのサービスを利用できる有効期限が対応付けられていてもよい。そして、サービス情報Pnのうちの、そのときの日時が有効期限内であるものだけが選択可能に行先階登録装置1の登録部11にされてもよい。また、そのような利用時間帯や有効期限は、主目的情報Pmに対応付けられてもよい。
【0095】
[2-5]第5変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、表示処理(図4BのステップS213や図5のステップS222など)では、群管理制御装置2は、選択画面に表示させる情報として、主目的情報Pm及びサービス情報Pnと共に、情報管理データDpにてそれらの情報に対応付けられている対象階Ftも行先階登録装置1へ送信してもよい。
【0096】
そして、行先階登録装置1は、主目的情報Pm及びサービス情報Pnを登録部11の画面に選択可能に表示すると共に、それらの情報ごとに、その情報に対応付けられている対象階Ftを表示してもよい(選択画面(図16)参照)。
【0097】
第5変形例によれば、利用者は、主目的情報Pm及びサービス情報Pnにそれぞれ対応する対象階Ftを選択画面にて確認することにより、そのときに自身がいる場所(階)と各情報が示す場所(対象階Ft)との位置関係を把握することができ、その位置関係に基づいて情報を選択することが可能になる。
【0098】
[2-6]他の変形例
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、抽出処理(図4BのステップS212など)は、群管理制御装置2とは別の装置である管理サーバ(チケットの情報を管理する管理サーバなど)で実行されてもよい。この場合、管理サーバが備える記憶部に情報管理データDpが保存され、行先階登録装置1で読み取られたコードSは管理サーバへ送信されることになる。また、群管理制御装置2は、管理サーバが抽出処理を実行することで抽出した主目的情報Pm及びサービス情報Pnを当該管理サーバから受け取ることになり、受け取った情報に基づいて表示処理及び呼び登録処理を実行することになる。
【0099】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0100】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 行先階登録装置
2 群管理制御装置
S コード
11 登録部
12 コード読取部
21 記憶部
22 制御部
Dp 情報管理データ
Dr 装置管理データ
Fd 行先階
Fs 設置階
Ft 対象階
Pd 装置情報
Pg かご情報
Pi 識別情報
Pj ジャンル
Pm 主目的情報
Pn サービス情報
Pt 対象情報
Px 選択不可情報
Qm 属性
Rn 支払方法
Tn 利用時間帯
221 抽出処理部
222 表示処理部
223 呼び登録処理部
【要約】
【課題】主目的情報に付随したサービス情報を利用するときの利便性を、エレベータの制御技術によって向上させる。
【解決手段】制御システムは、抽出処理部と、表示処理部と、呼び登録処理部と、を備える。情報管理データでは、コードごとに、当該コードに対して、それに紐付く主目的情報及び対象階と、当該主目的情報に付随するサービス情報及び対象階と、が対応付けられている。抽出処理部は、コード読取部にてコードが読み取られた場合に、情報管理データから、当該コードに対応付けられている主目的情報及びサービス情報を抽出する。表示処理部は、抽出処理部が抽出した主目的情報及びサービス情報を、登録部に選択可能に表示させる。呼び登録処理部は、登録部に表示された主目的情報及びサービス情報の何れか1つが選択された場合に、それを対象情報として、情報管理データにて当該対象情報に対応付けられている対象階を用いてエレベータの呼び登録を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16