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特許7405296端子付き可撓性基板、およびコネクタ付き可撓性基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】端子付き可撓性基板、およびコネクタ付き可撓性基板
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20231219BHJP
【FI】
H01R12/77
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023078263
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2019112788の分割
【原出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2023095997
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-87833(JP,A)
【文献】特開平5-109455(JP,A)
【文献】特開平3-4465(JP,A)
【文献】特開平9-58769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00,12/50-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する可撓性基板と、複数の端子と、を備えた端子付き可撓性基板であって、
前記可撓性基板は長手方向に延びて形成されており、前記可撓性基板は、前記可撓性基板の上面または下面に形成された複数の導電路を有し、
前記複数の端子は、前記導電路に接続される導電路接続部と、前記導電路接続部から延出方向に延びるとともに相手側端子と接続される端子接続部と、を有し、
前記可撓性基板の前記長手方向と前記複数の端子の前記延出方向とが交差した状態で、前記複数の端子が前記可撓性基板に配列されており、前記複数の端子は、前記可撓性基板の前記長手方向に沿う両側縁に並んで配されており、
前記可撓性基板は、
前記長手方向と直交する方向の中央位置において、前記可撓性基板の前端部から、前記長手方向について前記複数の端子よりも後方の位置まで延びるとともに上面が凸状に折り曲げられる第1山折り線と、
前記第1山折り線の後端部よりも後方の位置において、前記長手方向と直交する方向に延びるとともに上面が凹状に折り曲げられる第1谷折り線と、
前記第1山折り線の後端部から、前記可撓性基板の両側縁と前記第1谷折り線との交点にそれぞれ延びる、第2山折り線、及び第3山折り線と、
前記第1山折り線の後端部から、前記長手方向と直交する方向に沿って前記可撓性基板の一方の側縁に延びる第2谷折り線と、を有しており、
前記可撓性基板が、前記第1山折り線、前記第2山折り線、前記第3山折り線、前記第1谷折り線、および前記第2谷折り線で折れ曲がった状態で、前記複数の端子が複数段に並んでいる端子付き可撓性基板。
【請求項2】
前記可撓性基板には、前記第1山折り線の後端部に、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている請求項1に記載の端子付き可撓性基板。
【請求項3】
可撓性を有する可撓性基板と、複数の端子と、を備えた端子付き可撓性基板であって、
前記可撓性基板は長手方向に延びて形成されており、前記可撓性基板は、前記可撓性基板の上面または下面に形成された複数の導電路を有し、
前記複数の端子は、前記導電路に接続される導電路接続部と、前記導電路接続部から延出方向に延びるとともに相手側端子と接続される端子接続部と、を有し、
前記可撓性基板の前記長手方向と前記複数の端子の前記延出方向とが交差した状態で、前記複数の端子が前記可撓性基板に配列されており、前記複数の端子は、前記可撓性基板の前記長手方向に沿う一方の側縁に並んで配されており、
前記可撓性基板は、
前記長手方向について前記可撓性基板の前端部から後方の位置に、前記可撓性基板の一方の側縁から前記長手方向と直交する方向に延びる第1スリットと、
前記第1スリットよりも後方の位置に、前記可撓性基板の一方の側縁から前記長手方向と直交する方向に延びるとともに、前記第1スリットよりも前記長手方向についての幅寸法が前記第1スリットよりも大きな第2スリットと、を有し、
前記可撓性基板は、
前記第1スリットの端部から前記可撓性基板の他方の側縁まで、前記長手方向と直交する方向に沿って延びるとともに上面が凸状に折り曲げられる山折り線と、
前記第2スリットの前側の端部から、前記可撓性基板の他方の側縁のうち前記第2スリットの後端部と対応する位置まで延びるとともに上面が凹状に折り曲げられる谷折り線と、を有し、
前記可撓性基板が、前記山折り線、および前記谷折り線で折れ曲がった状態で、前記複数の端子が複数段に並んでいる端子付き可撓性基板。
【請求項4】
前記可撓性基板が折れ曲がった状態で、前記複数の端子の前記延出方向と、前記可撓性基板の前記長手方向と、が平行になっている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子付き可撓性基板。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子付き可撓性基板と、
前記複数の端子が収容される複数段に並ぶキャビティを有するコネクタハウジングと、を備えたコネクタ付き可撓性基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子付き可撓性基板、およびコネクタ付き可撓性基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有する可撓性基板にコネクタが接続されたフラットハーネスが知られている(特開2013-20800号公報)。このフラットハーネスは、複数の導電路が形成された可撓性を有する平坦な回路構成体と、回路構成体の各導電路に接合された導電路接合部を備える複数の端子金具と、端子金具を収容する複数の端子収容室が回路構成体の幅方向に並びつつ複数段に備えられたコネクタハウジングと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-20800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、可撓性基板の先端は櫛歯状に分岐している。分岐した部分には端子金具が接続されている。分岐した部分が折り重ねられることにより複数段に端子金具が並ぶようになっている。
【0005】
上記の構成によると、可撓性基板の先端が櫛歯状に分岐しているため、1つの大きな基材から複数の可撓性基板を所定の形状に切り出す際に廃棄される部分が多くなり、可撓性基板の歩留まりを向上させることが難しいという問題がある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子付き可撓性基板、およびコネクタ付き可撓性基板に関し、歩留まりを向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、可撓性を有する可撓性基板と、複数の端子と、を備えた端子付き可撓性基板であって、前記可撓性基板は長手方向に延びて形成されており、前記可撓性基板は複数の導電路を有し、前記複数の端子は、前記導電路に接続される導電路接続部と、前記導電路接続部から延出方向に延びるとともに相手側端子と接続される端子接続部と、を有し、前記可撓性基板の前記長手方向と前記複数の端子の前記延出方向とが交差した状態で、前記複数の端子が前記可撓性基板に配列されており、前記可撓性基板が折れ曲がった状態で、前記複数の端子が複数段に並んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、可撓性基板の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかるコネクタ付き可撓性基板を示す平面図である。
図2図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図3図3は、可撓性基板を示す平面図である。
図4図4は、可撓性基板に端子が接続された状態を示す平面図である。
図5図5は、可撓性基板に端子が接続された状態を示す斜視図である。
図6図6は、可撓性基板が第1山折り線、第2山折り線、第3山折り線、および第1谷折り線で折り曲げられた状態を示す平面図である。
図7図7は、可撓性基板が第1山折り線、第2山折り線、第3山折り線、および第1谷折り線で折り曲げられた状態を示す斜視図である。
図8図8は、可撓性基板がさらに第2谷折り線で折り曲げられた状態を示す平面図である。
図9図9は、可撓性基板がさらに第2谷折り線で折り曲げられた状態を示す斜視図である。
図10図10は、端子の端子接続部がコネクタのキャビティ内に収容された状態を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態2にかかるコネクタ付き可撓性基板を示す平面図である。
図12図12は、可撓性基板を示す平面図である。
図13図13は、可撓性基板に端子が接続された状態を示す平面図である。
図14図14は、可撓性基板に端子が接続された状態を示す斜視図である。
図15図15は、可撓性基板が山折り線で山折りされた後に谷折り線で折り曲げられている途中の状態を示す斜視図である。
図16図16は、可撓性基板が谷折り線で折り曲げられた状態を示す平面図である。
図17図17は、可撓性基板が谷折り線で折り曲げられた状態を示す斜視図である。
図18図18は、端子の端子接続部がコネクタのキャビティ内に収容された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様が列挙されて説明される。
【0011】
(1)本開示は、可撓性を有する可撓性基板と、複数の端子と、を備えた端子付き可撓性基板であって、前記可撓性基板は長手方向に延びて形成されており、前記可撓性基板は複数の導電路を有し、前記複数の端子は、前記導電路に接続される導電路接続部と、前記導電路接続部から延出方向に延びるとともに相手側端子と接続される端子接続部と、を有し、前記可撓性基板の前記長手方向と前記複数の端子の前記延出方向とが交差した状態で、前記複数の端子が前記可撓性基板に配列されており、前記可撓性基板が折れ曲がった状態で、前記複数の端子が複数段に並んでいる。
【0012】
上記の構成によれば、可撓性基板を櫛歯状に分岐させることなく、複数の端子を複数段に並べることができるので、可撓性基板の歩留まりを向上させることができる。
【0013】
(2)前記複数の端子は、前記可撓性基板の前記長手方向に沿う両側縁に並んで配されていることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、可撓性基板の長手方向について、単位長さ当たりに多くの端子を可撓性基板に取り付けることができるので、歩留まりをさらに向上させることができる。
【0015】
(3)前記複数の端子は前記可撓性基板の前記長手方向に沿う一方の側縁に並んで配されており、前記可撓性基板の前記一方の側縁には前記一方の側縁から前記延出方向に沿って延びるスリットが形成されており、前記可撓性基板は前記スリットに対応する位置で折れ曲がっていることが好ましい。
【0016】
可撓性基板の一方の側縁に配された複数の端子は、切欠部に対応する位置で可撓性基板が折れ曲がることにより、切欠部よって区切られた領域ごとに複数の段を形成することができる。これにより、複数の端子が容易に3段以上に並べられる。
【0017】
(4)前記可撓性基板が折れ曲がった状態で、前記複数の端子の前記延出方向と、前記可撓性基板の前記長手方向と、が平行になっていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、長手方向に沿って延びる可撓性基板の端末から、長手方向に沿って複数の端子が延びた端子付き可撓性基板につき、可撓性基板の歩留まりを向上させることができる。
【0019】
(5)本開示にかかるコネクタ付き可撓性基板は、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の端子付き可撓性基板と、前記複数の端子が収容される複数段に並ぶキャビティを有するコネクタハウジングと、を備える。
【0020】
複数の端子のそれぞれが、コネクタの各キャビティ内に収容されることにより、可撓性基板の端末に、複数段に端子が並べられたコネクタを配することができる。これによりコネクタを幅狭に形成できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態が説明される。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1が図1から図10を参照しつつ説明される。本実施形態のコネクタ付き可撓性基板10は、図示しないバッテリと、図示しない制御ユニットとの間に接続される電圧検知線に適用した場合を例示するものであって、コネクタ11と、端子付き可撓性基板12と、を備える。端子付き可撓性基板12は、コネクタ11に収容される端子20と、端子20に接合される導電路31が形成された可撓性基板30と、を備える。以下、矢線Zで示す方向を上方とし、矢線Yで示す方向を前方とし、矢線Xで示す方向を左方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
[コネクタ11]
図1に示されるように、コネクタ11は、略直方体形状をなしており、絶縁性の合成樹脂が射出成型されて形成される。図2に示されるように、コネクタ11は、端子20が収容される複数のキャビティ13を有する。キャビティ13はコネクタ11を前後方向に貫通している。キャビティ13は、上下2段、幅方向に5室ずつ並列して配設されている。キャビティ13の内部には端子20が収容されている。キャビティ13の各前端は、板状をなす相手側端子15が矢線Aで示される方向から挿通される挿通孔13Aとされている。詳細には図示しないが、端子20は、ランス、リテーナ等の公知の技術により、キャビティ13内に保持されている。
【0024】
[端子20]
図2に示されるように、端子20は、金属板材を所定の形状にプレス成形されることにより形成される。端子20を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。端子20の表面には、スズ、ニッケル等のメッキ層が形成されていてもよい。
【0025】
端子20は、可撓性基板30の導電路31に接続される導電路接続部22と、導電路接続部22から延びる端子接続部21と、を有する。端子接続部21は図示しない相手側端子15が挿入可能な角筒状をなしている。
【0026】
端子接続部21の内部には相手側端子15と弾性的に接触することにより相手側端子15と電気的に接続される板状の弾性片23が後方へ延びて設けられている。導電路接続部22は、後述する可撓性基板30のランド36に重ね合わせた状態で接合されている。ランド36は導電路31に連なっており、導電路31の一部を構成している。
【0027】
[可撓性基板30]
図1に示されるように、可撓性基板30は、コネクタ11の後端から後方に導出されている。詳細には図示しないが、可撓性基板30には、導出方向に沿って導電路31が形成されている。この導電路31により、可撓性基板30は、図示しないバッテリとバッテリを制御する制御ユニットとの間を接続する電圧検知線様の機能を有する。
【0028】
本実施形態にかかる可撓性基板30は、フレキシブルプリント基板(FPC)である。可撓性基板30は、絶縁フィルムからなる支持基板の上面または下面に銅製の導体箔によって導電路31が形成されており、導電路31が保護フィルムによって覆われている。可撓性基板30には電子部品37が実装されている。詳細には図示しないが、電子部品37は導電路31に接続されている。電子部品37は特に限定されず、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、マイコン等、任意の電子部品37を適宜に選択できる(図1参照)。
【0029】
図3に示されるように、可撓性基板30は、前後方向(長手方向の一例)に延びる帯状をなしている。可撓性基板30の前端部には、複数(本実施形態では10個)のランド36が形成されている。可撓性基板30の左側縁に5個のランド36が前後方向に並んで形成されると共に、可撓性基板30の右側縁に5個のランド36が前後方向に並んで形成されている。ランド36は、左右方向に細長い略長方形状をなしている。各ランド36は、左右方向について可撓性基板30の内側の端部において、可撓性基板30に形成された導電路31に接続されている。なお、図中、導電路31については、ランド36との接続部分の近傍のみを図示し、他の部分は省略してある。
【0030】
図4には、ランド36に端子20の導電路接続部22が接続された状態が示される。可撓性基板30の左側縁に接続された端子20の端子接続部21は、可撓性基板30の左側縁から左方(延出方向の一例)に突出しており、可撓性基板30の右塞源に接続された端子20の端子接続部21は、可撓性基板30の右側縁から右方(延出方向の一例)に突出している。
【0031】
可撓性基板30には、ランド36が形成された領域からやや後方の位置であって、左右方向の中央位置付近に、可撓性基板30を上下方向に貫通孔40が形成されている。貫通孔40は上方から見て円形状をなしている。
【0032】
可撓性基板30の左右両側縁には、それぞれ、貫通孔40よりもやや後方の位置に、半円形状をなす左凹部41および右凹部42が形成されている。可撓性基板30の左側縁に形成された左凹部41と、右側縁に形成された右凹部42は、可撓性基板30の前端部から同じ長さ寸法だけ後退した位置に形成されている。
【0033】
[可撓性基板30の折れ曲がり構造]
図4および図5には、折り曲げられる前の状態における、端子20が接続された可撓性基板30が示されている。図4および図5においては、山折り線は破線で示されており、谷折り線は1点鎖線で示されている。山折り線は可撓性基板30の上面が凸状に折り曲げられる折り線であり、谷折り線は可撓性基板30の上面が凹状に折り曲げられる折り線である。
【0034】
可撓性基板30には、貫通孔40から前方に延びる第1山折り線51と、貫通孔40から左凹部41に延びる第2山折り線52と、貫通孔40から右凹部42に延びる第3山折り線53とが設けられる。また、可撓性基板30には、左凹部41から右凹部42に延びる第1谷折り線61と、貫通孔40から可撓性基板30の右側縁に向けて延びる第2谷折り線62と、が設けられる。貫通孔40、左凹部41、および右凹部42により、第1山折り線51、第2山折り線52、第3山折り線53、第1谷折り線61、および第2谷折り線62に沿って、可撓性基板30が折れ曲がりやすくなっている。
【0035】
図6および図7には、第1山折り線51、第2山折り線52、および第3山折り線53が山折りされるとともに、第1谷折り線61が谷折りされた可撓性基板30が示される。この状態では、可撓性基板30のうち端子20が配設された部分が、左右方向に重なるとともに、上方に立ち上がった状態になっている。また、左側縁に配された端子20の端子接続部21と、右側縁に配された端子20の端子接続部21とは、前方に延びた状態になっている。
【0036】
図8および図9には、可撓性基板30がさらに第2谷折り線62で谷折りされた状態が示される。この状態では、可撓性基板30のうち端子20が配設された部分が、上下方向について可撓性基板30に重ね合わされた状態になっている。また、左側縁に配された端子20の端子接続部21と、右側縁に配された端子20の端子接続部21とは、上下方向について2段に並んだ状態で、前方に延びている。図8および図9に示されるように、可撓性基板30が折れ曲がった状態では、端子20の端子接続部21は、導電路接続部22から前方(延出方向の一例)に延出している。このように、可撓性基板30の延びる方向(前後方向)と、端子20の端子接続部21が延びる方向(前方)とは平行になっている。
【0037】
[本実施形態の製造工程]
続いて、本実施形態の製造工程に一例について説明する。なお、本実施形態の製造工程は、以下の記載に限定されない。
【0038】
続いて、本実施形態のコネクタ付き可撓性基板10の組付方法が説明される。まず、図3に示されるフラットな状態の可撓性基板30のランド36に端子20が接合される。具体的には、各ランド36に端子20の端子接続部21がリフロー半田付けにより接合される。また、電子部品37が導電路31に半田付けされる。続いて、図6および図7に示されるように、第1山折り線51、第2山折り線52、および第3山折り線53に沿って可撓性基板30が山折りされるとともに、第1谷折り線61に沿って可撓性基板30が谷折りされる。続いて、図8および図9に示されるように、第2谷折り線62に沿って可撓性基板30が谷折りされる。これにより、端子付き可撓性基板12が完成する。
【0039】
続いて、コネクタ11の各キャビティ13内に、後方から端子20の端子接続部21を、それぞれ挿入する。これにより、図10に示されるようにコネクタ付き可撓性基板10が完成する。
【0040】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果が説明される。本実施形態は、可撓性を有する可撓性基板30と、複数の端子20と、を備えた端子付き可撓性基板12であって、可撓性基板30は前後方向に延びて形成されており、可撓性基板30は複数の導電路31を有し、複数の端子20は、導電路31に接続される導電路接続部22と、導電路接続部22から左方および右方にそれぞれ延びるとともに相手側端子15と接続される端子接続部21と、を有し、可撓性基板30の長手方向(前後方向)と複数の端子20の延出方向(左方および右方)とが交差した状態で、複数の端子20が可撓性基板30に配列されており、可撓性基板30が折れ曲がった状態で、複数の端子20が上下2段に並んでいる。
【0041】
図3に示されるように、本実施形態にかかる可撓性基板30は、左右方向に突出した櫛歯状に分岐していない。つまり、本実施形態にかかる可撓性基板30は、左右方向について等幅に形成されている。これにより、可撓性基板30を櫛歯状に分岐させることなく、複数の端子20を複数段に並べることができるので、1つの基材から複数の可撓性基板30が切り出される場合において、可撓性基板30の歩留まりを向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、複数の端子20は、可撓性基板30の長手方向(前後方向)に沿う両側縁に並んで配されている。これにより、可撓性基板30の長手方向(前後方向)について、単位長さ当たりに多くの端子20を可撓性基板30に取り付けることができるので、歩留まりをさらに向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、可撓性基板30が折れ曲がった状態で、複数の端子20の延出方向(前方)と、可撓性基板の長手方向(前後方向)と、が平行になっている。
【0044】
上記の構成によれば、前後方向に沿って延びる可撓性基板30の端末から、複数の端子20が前方に延出された端子付き可撓性基板12につき、可撓性基板30の歩留まりを向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態にかかるコネクタ付き可撓性基板10は、上記の端子付き可撓性基板12と、複数の端子20が収容される複数段に並ぶキャビティ13を有するコネクタ11と、を備える。
【0046】
本実施形態によれば、複数の端子20のそれぞれが、コネクタ11の各キャビティ13内に収容されることにより、可撓性基板30の端末に、複数段に端子20が並べられたコネクタ11を配することができる。これによりコネクタ11を幅狭に形成できる。
【0047】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2が図11から図18を参照して説明される。図11に示されるように、本実施形態にかかるコネクタ付き可撓性基板70は、端子付き可撓性基板72の前端部にコネクタ11が接続されている。
【0048】
図12に示されるように、可撓性基板80には、前端部からやや後方の位置に、可撓性基板80の右側縁から左方に延びる第1スリット83が形成されている。第1スリット83は、左右方向について可撓性基板80の中央位置付近にまで延びている。
【0049】
さらに可撓性基板80には、第1スリット83よりも後方の位置に、可撓性基板80の右側縁から左方に延びる第2スリット84が形成されている。第2スリット84は、左右方向について可撓性基板80の中央位置付近にまで延びている。左右方向について、第1スリット83と第2スリット84の長さ寸法は同じに形成されている。前後方向について第2スリット84の幅寸法は、第1スリット83の幅寸法よりも大きく形成されている。
【0050】
可撓性基板80には、第1スリット83の左端部に、上方から見て略円形状をなす第1右凹部87が形成されている。また、可撓性基板80には、第2スリット84の左前隅に第2右凹部88が形成されている。第2右凹部88は、上方から見て、円形のうち右斜め後ろの四分の一が欠けた形状となっている。
【0051】
可撓性基板80の左側縁には、第1右凹部87の左方の位置に、第1左凹部89が形成されている。第1左凹部89は上方から見て半円形状をなしている。可撓性基板80の左側縁には、第1左凹部89よりも後方の位置に、第2左凹部90が形成されている。第2左凹部90は、第2スリット84の後縁部の左方の位置に形成されている。第2左凹部90は上方から見て半円形状をなしている。
【0052】
可撓性基板80のうち、前端縁と第1スリット83との間の領域は、端子20が接続される前側接続片部93とされる。可撓性基板80のうち、第1スリット83と第2スリット84との間の領域は、端子20が接続される後側接続片部94とされる。前側接続片部93と後側接続片部94の前後方向についての幅寸法は同じに設定されている。
【0053】
前側接続片部93の上面には、前後方向に間隔を空けて、5つのランド86が形成されている。後側接続片部94の上面にも、前後方向に間隔を空けて、5つのランド86が形成されている。ランド86は、左右方向に細長く延びた長方形状をなしている。ランド86の左端部は導電路81に接続されている。
【0054】
図12に示されるように、前側接続片部93と、後側接続片部94は、可撓性基板80の右側縁に第1スリット83および第2スリット84を設けることにより形成されているので、前側接続片部93の右端縁および後側接続片部94の右端縁は、可撓性基板80の右側縁よりも右方に突出しないようになっている。
【0055】
図13および図14に示されるように、各ランド86にそれぞれ、端子20の導電路接続部が22が接合されることにより、端子20の端子接続部21は、可撓性基板80の右側縁から右方(延出方向の一例)に延びている。
【0056】
[折れ曲がり構造]
図13および図14には、折り曲げられる前の状態における、端子20が接続された可撓性基板80が示されている。
【0057】
可撓性基板80には、第1右凹部87から第1左凹部89へ延びる山折り線91と、第2右凹部88から第2左凹部90へ延びる谷折り線92とが設けられる。第1右凹部87、第2右凹部88、第1左凹部89、および第2左凹部90により、山折り線91、および谷折り線92に沿って、可撓性基板80が折れ曲がりやすくなっている。
【0058】
図15には、山折り線91に沿って山折りされた可撓性基板80が、谷折り線92に沿って谷折りされる途中の工程が示されている。山折り線91に沿って可撓性基板80が山折りされることにより、前側接続片部93と後側接続片部94とが重なり合った状態になっている。前側接続片部93に接続された端子20の端子接続部21と、後側接続片部94に接続された端子20の端子接続部21とは、同じ方向に延出されている。
【0059】
図16および図17には、可撓性基板80が谷折り線92に沿って谷折りされた状態が示されている。この状態においては、前側接続片部93と後側接続片部94とは上下方向に重なった状態で、可撓性基板80の上面に重なっている。この状態で、前側接続片部93に接続された端子20の端子接続部21と、後側接続片部94に接続された端子20の端子接続部21とは、前方(延出方向の一例)に延出されている。
【0060】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0061】
[本実施形態の製造工程]
続いて、本実施形態のコネクタ付き可撓性基板の製造工程に一例が説明される。なお、本実施形態の製造工程は、以下の記載に限定されない。まず、図12に示されるフラットな状態の可撓性基板80のランド86に端子20が接合される。各ランド86に端子20の端子接続部21がリフロー半田付けにより接合される(図13および図14参照)。続いて、図15図16および図17に示されるように、山折り線91に沿って可撓性基板80が山折りされた後、谷折り線92に沿って可撓性基板80が谷折りされる。これにより、端子付き可撓性基板72が完成する。
【0062】
続いて、コネクタ11の各キャビティ13内に、後方から端子20の端子接続部21を、それぞれ挿入する。これにより、図18に示されるように、コネクタ付き可撓性基板70が完成する。
【0063】
[本実施形態の作用効果]
続いて本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、複数の端子20は可撓性基板80の長手方向(前後方向)に沿う右側縁に並んで配されており、可撓性基板80の右側縁には右側縁から左方(延出方向の一例)に沿って延びる第1スリット83が形成されており、可撓性基板80は第1スリット83に対応する位置で折れ曲がっている。
【0064】
可撓性基板80の右側縁に配された複数の端子20は、第1スリット83に対応する位置で可撓性基板80が折れ曲がることにより、第1スリット83によって区切られた領域ごとに複数の段を形成することができる。これにより、複数の端子20が容易に複数段に並べられる。本実施形態においては、複数の端子20は上下方向について2段に並べられる構成であるが、山折り線および谷折り線の数を増やすことによって端子20が接続される接続片部を上下方向について3段以上に重ねることにより、複数の端子20を3段以上の任意の段数に並べることができる。
【0065】
図12に示されるように、本実施形態にかかる可撓性基板80は、左右方向に突出した櫛歯状に分岐していない。これにより、本実施形態にかかる可撓性基板80は、左右方向について突出する部分を有しない。これにより、可撓性基板30を左右方向に突出させることなく、複数の端子20を複数段に並べることができるので、1つの基材から複数の可撓性基板80が切り出される場合において、可撓性基板80の歩留まりを向上させることができる。
【0066】
<他の実施形態>
(1)上記した実施形態では、端子20はいわゆる雌型のものを例示したが、これに限られず、雄型のものであってもよいし、丸型端子であってもよい。
【0067】
(2)上記した実施形態では、端子20の導電路接続部22はランド36,86に対してリフロー半田付けにより接合されていたが、これに限られず、溶接やろう付けによって接合されるものであってもよい。
【0068】
(3)上記した実施形態では、コネクタ11のキャビティ13は上下2段とされていたが、これに限られず、3段以上であってもよい。
【0069】
(4)上記した実施形態では、可撓性基板30,80はフレキシブルプリント基板としたが、これに限られず、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。
【0070】
(5)可撓性基板30に電子部品37が実装されない構成としてもよい。
【0071】
(6)可撓性基板が折り曲げられた状態で、可撓性基板の長手方向と、端子の延出方向とが平行でなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10,70: コネクタ付き可撓性基板
11: コネクタ
12,72: 端子付き可撓性基板
13: キャビティ
13A: 挿通孔
15: 相手側端子
20: 端子
21: 端子接続部
22: 導電路接続部
23: 弾性片
30,80: 可撓性基板
31: 導電路
36,86: ランド
37: 電子部品
40: 貫通孔
41: 左凹部
42: 右凹部
51: 第1山折り線
52: 第2山折り線
53: 第3山折り線
61: 第1谷折り線
62: 第2谷折り線
81: 導電路
83: 第1スリット
84: 第2スリット
87: 第1右凹部
88: 第2右凹部
89: 第1左凹部
90: 第2左凹部
91: 山折り線
92: 谷折り線
93: 前側接続片部
94: 後側接続片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18