(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ポンプの装着構造
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20231219BHJP
F04B 53/22 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F04B53/00 H
F04B53/22
(21)【出願番号】P 2023514541
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2022013145
(87)【国際公開番号】W WO2022220025
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2021066932
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 友徳
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 寛基
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/217843(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0094633(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102322646(CN,A)
【文献】国際公開第2019/124060(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
F04B 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを電子機器に装着する装着構造であって、
前記ポンプは、ポンプ筐体と、前記ポンプ筐体から突出する第1ノズルと、前記第1ノズルの突出方向の異なる方向に突出する第2ノズルと、前記第1ノズルの突出方向および前記第2ノズルの突出方向と異なる方向に突出する駆動用端子部と、を備え、
前記電子機器は、
前記ポンプが収容される大きさを有し、前記電子機器の少なくとも一面から開口する凹部と、
前記凹部に配置され、前記ポンプの前記駆動用端子部への接続が可能な端子固定部材と、
前記凹部における前記端子固定部材よりも前記開口に近い位置に配置され、前記第1ノズルへの接続が可能な第1配管と、
前記凹部における前記端子固定部材よりも前記開口に近い位置に配置され、前記第2ノズルへの接続が可能な第2配管と、
前記駆動用端子部と前記端子固定部材との物理的な接続状態の変化を用いて、前記第1ノズルの前記第1配管への接続状態と、前記第2ノズルの前記第2配管への接続状態とを変化させる接続状態制御部材と、
を備える、
ポンプの装着構造。
【請求項2】
前記第1配管と前記第2配管とが並ぶ方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記端子固定部材は、前記第1方向において、少なくとも一部は前記第1配管と前記第2配管との間に位置し、
前記接続状態制御部材は、
前記端子固定部材を前記第1方向に移動可能に保持し、前記第2方向に移動可能な第1可動部材と、
前記第1配管を保持し、前記第2配管側の面で前記第1可動部材に接触し、前記第1可動部材の前記第2方向における位置とノズル用付勢力発生部材からのノズル用付勢力によって前記第1方向に移動可能な第2可動部材と、
前記第2可動部材に対して、前記第1方向において、前記第1配管から前記第2配管に向く方向に前記ノズル用付勢力を発生する前記ノズル用付勢力発生部材と、
を備え、
請求項1に記載のポンプの装着構造。
【請求項3】
前記接続状態制御部材は、
前記第1可動部材に対して、前記第2方向において、前記ポンプの装着方向と逆方向に端子用付勢力を発生する端子用付勢力発生部材と、
前記駆動用端子部と前記端子固定部材とが接続していない状態で、前記端子用付勢力とともに、前記第1可動部材の前記第1方向および前記第2方向の位置を保持する位置保持部材と、
を備える、
請求項2に記載のポンプの装着構造。
【請求項4】
前記ノズル用付勢力を解除することで、前記第2可動部材を前記第2方向に移動させ、前記第1配管と前記第1ノズルとの接続を解除し、
前記第2可動部材の移動によって、前記第1可動部材を移動させ、前記第2配管と前記第2ノズルとの接続を解除し、
前記位置保持部材、前記第2可動部材、および、前記端子用付勢力によって、前記第1可動部材の位置を保持することで、前記駆動用端子部と前記端子固定部材との接続を解除可能にする、
請求項3に記載のポンプの装着構造。
【請求項5】
前記第1配管と前記第2配管とが並ぶ方向を第1方向とし、前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記端子固定部材は、前記第1方向において、少なくとも一部は前記第1配管と前記第2配管との間に位置し、
前記接続状態制御部材は、
前記端子固定部材を前記第2方向に移動可能に保持し、第2可動部材および第3可動部材の前記第1方向への移動を生じさせる移動力発生部材を有する第1可動部材と、
前記第1配管を保持し、前記移動力発生部材に接触し、前記第1方向に移動可能な第2可動部材と、
前記第2配管を保持し、前記移動力発生部材に接触し、前記第1方向に移動可能な第3可動部材と、
を備える、
請求項1に記載のポンプの装着構造。
【請求項6】
前記接続状態制御部材は、
前記第1可動部材に対して、前記第2方向において、前記ポンプの装着方向と逆方向に付勢力を発生する付勢力発生部材を備える、
請求項5に記載のポンプの装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器へのポンプの装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネブライザが記載されている。特許文献1のネブライザは、超音波振動子の振動によって、液体を霧化する。
【0003】
このような超音波振動子を用いたネブライザとは別の構成として、所定流量および所定圧力の空気によって液体を霧化する霧化装置も考えられる。この場合、霧化装置は、空気を搬送するポンプを装着する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような霧化装置は、ポンプが着脱可能でなければ、例えば、ポンプの劣化、故障等によって、霧化装置自体を交換しなければならない。これは、霧化装置に限らず、ポンプを装着して所定機能を実現する各種の電子機器に共通の問題である。
【0006】
ここで、ポンプは、気体の吸入口、気体の吐出口、および、電力供給端子を備えている。このため、ポンプを電子機器に対して容易に装着することは、難しかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、電子機器にポンプを容易に装着可能な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ポンプを電子機器に装着する装着構造である。ポンプは、ポンプ筐体と、ポンプ筐体から突出する第1ノズルと、第1ノズルの突出方向と異なる方向に突出する第2ノズルと、第1ノズルの突出方向および第2ノズルの突出方向と異なる方向に突出する駆動用端子部と、を備える。電子機器は、凹部、端子固定部材、第1配管、第2配管、および、接続状態制御部材を備える。凹部は、ポンプが収容される大きさを有し、電子機器の少なくとも一面から開口する。端子固定部材は、凹部に配置され、ポンプの駆動用端子部への接続が可能な形状である。第1配管は、凹部における端子固定部材よりも開口に近い位置に配置され、第1ノズルへの接続が可能な形状である。第2配管は、凹部における端子固定部材よりも開口に近い位置に配置され、第2ノズルへの接続が可能な形状である。接続状態制御部材は、駆動用端子部と端子固定部材との物理的な接続状態の変化を用いて、第1ノズルの第1配管への接続状態と、第2ノズルの第2配管への接続状態とを変化させる。
【0009】
この構成では、接続状態制御部材を介することで、駆動用端子部と端子固定部材との物理的な接続状態の変化に連動して、第1配管および第2配管の位置が変化し、第1配管と第1ノズルとが接続し、第2配管と第2ノズルとが接続する。これにより、駆動用端子部と端子固定部材との接続、第1配管と第1ノズルとの接続、および、第2配管と第2ノズルとの接続を個別に行わなくてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電子機器にポンプを容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は、第1の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す側面断面図であり、
図1(B)は、第1の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す背面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るポンプの一例を示す外観斜視図である。
【
図3】
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)は、第1の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)は、第1の実施形態に係る電子機器からポンプを外す際の各過程での状態を示す側面断面図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す側面断面図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)は、第2の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
【
図7】
図7(A)、
図7(B)は、第2の実施形態に係る電子機器からポンプを外す際の各過程での状態を示す側面断面図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)は、第3の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るポンプの装着構造について、図を参照して説明する。
図1(A)は、第1の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す側面断面図である。
図1(B)は、第1の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す背面図である。
図2は、第1の実施形態に係るポンプの一例を示す外観斜視図である。
【0013】
(ポンプの概略構造)
まず、電子機器に装着されるポンプの概略的な形状を説明する。
図2に示すように、ポンプ10は、平面視して略正方形で所定の厚みを有する筐体130を備える。筐体130は、側面131、側面132、側面133、側面134を備える。側面131と側面132とは互いに対向する。側面133と側面134とは、互いに対向する。側面131および側面132と、側面133および側面134とは、互いに略直交する。筐体130は、図示を省略するが、凹部を有している。なお、ポンプ10の筐体130は、平面視して略正方形でなくてもよく、多角形、円形等であってもよい。
【0014】
筐体130の側面131には、ノズル1321が形成される。ノズル1321は、筐体130の側面131から外方に突出する。ノズル1321は、筐体130への接続端から先端まで貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔は、上記凹部に連通する。
【0015】
筐体130の側面132には、ノズル1322が形成される。ノズル1322は、筐体130の側面132から外方に突出する。すなわち、ノズル1322は、ノズル1321と異なる方向に突出する。ノズル1322は、筐体130への接続端から先端まで貫通する貫通孔を有しており、この貫通孔は、上記凹部に連通する。
【0016】
蓋部材140は、筐体130の凹部を覆う。
【0017】
この筐体130と蓋部材140とによって囲まれる内部空間に、圧電素子が装着された振動板が配置される。そして、圧電素子に駆動信号が印加され、振動板が振動することによって、内部空間の圧力変動が生じ、例えば、ノズル1322から気体を吸入し、ノズル1321から気体を吐出する。
【0018】
筐体130の側面133には、端子台135が形成される。端子台135は、直方体形状であり、側面133から外方に突出する。すなわち、端子台135は、ノズル1321および、ノズル1322と異なる方向に突出する。端子台135における蓋部材140側の面には、端子電極101と端子電極102とが配置される。端子電極101と端子電極102とは、ノズル1321およびノズル1322の並ぶ方向と同じ方向に、並んで配置される。
【0019】
端子電極101および端子電極102は、圧電素子に接続する。圧電素子は、端子電極101および端子電極102を通じて、ポンプ10の外部(例えば、電子機器1に備えられた駆動回路)から駆動信号を受けて、駆動する。
【0020】
(電子機器1の構成)
図1(A)、
図1(B)に示すように、電子機器1は、筐体2に凹部200を備える。凹部200は、筐体2の背面に開口210を有する形状である。凹部200は、筐体2の背面から凹む形状であり、底面201、側面202、側面203、側面204、および、側面205を備える。底面201は、開口210を面(開口面)としたとき、開口面に略平行であり、開口面から所定距離離間した位置に配置される。
【0021】
以下では、この開口210(開口面)と底面201とに直交する方向をx方向とし、x方向に直交する2方向を、y方向およびz方向として説明する。すなわち、開口210(開口面)と底面201は、y方向およびz方向に平行な面であり、x方向に所定距離で互いに離間している。
【0022】
なお、例えば、x方向は、電子機器1の厚み方向であり、開口210は、電子機器1の背面にある。この場合、y方向は、電子機器1の幅方向であり、z方向は、電子機器1の高さ方向である。なお、凹部200、開口210と電子機器1の各方向との関係は、これに限るものではなく、開口210が、電子機器1の側面、底面、天面、正面にあってもよい。
【0023】
側面202および側面203は、x方向およびy方向に平行な面であり、z方向に所定距離で互いに離間している。側面204および側面205は、x方向およびz方向に平行な面であり、y方向に所定距離で互いに離間している。
【0024】
凹部200には、端子固定部材30、部材41、ガイドレール42、部材43、バネ部材50が配置される。部材41、ガイドレール42、および、部材43によって、第1可動部材が構成される。バネ部材50が、端子用付勢力発生部材に対応する。
【0025】
凹部200には、チューブ611、チューブ固定部材612、部材613、およびバネ部材614が配置される。チューブ611が、第1配管に対応する。チューブ固定部材612および部材613によって、第2可動部材が構成される。バネ部材614が、ノズル用付勢力発生部材に対応する。
【0026】
凹部200には、チューブ621、チューブ固定部材622が配置される。凹部200には、部材70が配置される。部材70が、位置保持部材に対応する。
【0027】
端子固定部材30は、凹部300を有する。端子固定部材30は、凹部300の開口が凹部200の開口210側となるように、筐体2の凹部200内に配置される。
【0028】
凹部300の一側面には、2個の接続用電極が形成される。
図1(A)、
図1(B)の例では、この2個の接続用電極は、y方向に直交する側面にz方向に間隔をあけて配置される。
【0029】
部材41は、端子固定部材30を保持する。部材41のz方向の一方端は、部材613に接しており、部材41のz方向の他方端は、部材70に接している。
【0030】
ガイドレール42は、z方向に延びる形状である。ガイドレール42は、部材41をz方向に摺動可能に保持する。
【0031】
部材43は、ガイドレール42を保持する。バネ部材50の一方端は、凹部200の底面201に固定されており、バネ部材50の他方端は、部材43に接続する。バネ部材50は、x方向に伸び縮みする。
【0032】
この構成によって、端子固定部材30および部材41は、x方向(第2方向)およびz方向(第1方向)へ移動可能に、凹部200内で保持される。
【0033】
チューブ611は、弾性変形する材質からなる。チューブ611の先端部分は、z方向に延びており、先端の開口は、側面202側を向く。
【0034】
チューブ固定部材612は、チューブ611の上述の先端部分と異なる部分において、チューブ611を保持する。チューブ固定部材612は、チューブ611の先端部分よりも側面203側に配置される。
【0035】
チューブ611およびチューブ固定部材612は、x方向において、端子固定部材30よりも開口210側に配置される。また、チューブ611およびチューブ固定部材612は、z方向において、端子固定部材30よりも側面203側に配置される。
【0036】
部材613は、チューブ固定部材612に接続し、チューブ固定部材612から凹部200の底面201側に延びる形状である。部材613の厚み(z方向の寸法)は、チューブ固定部材612への接続部と、底面201側の先端部とで異なる。底面201側の先端部の厚みは、チューブ固定部材612への接続部の厚みよりも小さい。この際、部材613の側面203に対向する面は、先端部と接続部とで面一である。すなわち、部材613では、端子固定部材30側の面(側面202側の面)が、接続部よりも先端部で凹む形状である。そして、この凹みは、部材613の厚みを徐々に変化させる傾斜面6130を有する。言い換えれば、部材613は、接続部から先端部へ繋がる部分において、徐々に厚みが小さくなる。
【0037】
この部材613の端子固定部材30側の面に、部材41のz方向の一方端が接する。
【0038】
バネ部材614の一方端は、凹部200の側面203に固定されており、バネ部材614の他方端は、チューブ固定部材612に接続する。バネ部材614は、z方向に伸び縮みする。
【0039】
これにより、部材613、チューブ固定部材612、および、チューブ611は、バネ部材614による付勢力と、部材41への当接位置とによって、z方向における位置が決まる。
【0040】
チューブ621は、弾性変形する材質からなる。チューブ621の先端部分は、z方向に延びており、先端の開口は、側面203側を向く。
【0041】
チューブ固定部材622は、チューブ621の上述の先端部分と異なる部分において、チューブ621を保持する。チューブ固定部材622は、チューブ611の先端部分よりも側面202側に配置され、側面202に固定される。
【0042】
チューブ621およびチューブ固定部材622は、x方向において、端子固定部材30よりも開口210側に配置される。x方向における、チューブ621の位置とチューブ611の位置とは、略同じである。また、チューブ621およびチューブ固定部材622は、z方向において、端子固定部材30よりも側面202側に配置される。
【0043】
部材70は、側面202に固定される。部材70は、側面202から凹部200内に突出する形状である。部材70では、突出する高さは、開口210側の部分と底面201側の部分とで異なり、開口210側の部分の方が高い。これにより、底面201側の部分の先端部には、係止用の凹部71が形成される。
【0044】
部材70は、x方向において、部材613の傾斜面6130と略同じ位置に配置される。
【0045】
(電子機器1にポンプ10を装着する場合)
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)は、第1の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)の順で、状態が遷移する。
【0046】
まず、
図3(A)に示すように、ポンプ10は、端子台135が凹部200の底面201側となり、ノズル1321が側面203側、ノズル1322が側面202側となるように、凹部200内に挿入される。
【0047】
端子台135が端子固定部材30に接していない状態では、部材41のz方向の一方端は、部材613の傾斜面6130における部材613の厚みが大きい箇所に当接する。部材41のz方向の他方端は、部材70の係止用の凹部71にはまっている。
【0048】
この状態では、部材41によって、チューブ611、チューブ固定部材612および部材613は、側面203に近い位置に押し込まれる。そして、z方向において、チューブ611の先端は、ノズル1321よりも側面203側に位置する。
【0049】
また、部材41のz方向の他方端が凹部71に当接していることで、z方向において、ノズル1322は、チューブ621の先端よりも側面202から離れた位置にある。
【0050】
次に、
図3(B)に示すように、端子台135を端子固定部材30の凹部300に挿嵌し、ポンプ10がさらに押し込まれると、部材41は、底面201に近づくように移動する。
【0051】
この際、部材41のz方向の一方端は、傾斜面6130を移動する。これにより、バネ部材614の付勢力によって、チューブ611、チューブ固定部材612および部材613は、ポンプ10に近づく。そして、部材41のz方向の一方端が部材613の先端部分(薄い部分)に達すると、チューブ611、チューブ固定部材612および部材613は、ポンプ10にさらに近づく。これにより、ノズル1321がチューブ611に挿嵌し、ノズル1321とチューブ611とを接続できる。
【0052】
次に、
図3(C)に示すように、部材41のz方向の他方端が凹部71から外れると、部材613を介したバネ部材614の付勢力によって、部材41は、側面202に近づくように、z方向に移動する。この際、端子固定部材30とポンプ10の端子台135とは接続しているので、部材41とともに、ポンプ10も側面202に近づくように、z方向に移動する。そして、ノズル1322がチューブ621に挿嵌し、ノズル1322とチューブ621とを接続できる。
【0053】
このように、電子機器1の構成を備えることによって、ポンプ10と電子機器1との複数の接続部を個別に手動で接続する必要はなく、電子機器1にポンプ10を容易に装着できる。
【0054】
(電子機器1からポンプ10を外す場合)
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)は、第1の実施形態に係る電子機器からポンプを外す際の各過程での状態を示す側面断面図である。
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)の順で、状態が遷移する。
【0055】
まず、
図4(A)に示すように、バネ部材614を縮める。バネ部材614を縮めることは、例えば、ポンプ10を側面203側に移動させることによって可能である。これにより、ノズル1322とチューブ621との接続が解除される。
【0056】
そして、部材41のz方向の他方端が部材70の側面から外れると、バネ部材50の付勢力によって、部材41、ガイドレール42、部材43は、開口210側に移動する。この際、部材41のz方向の一方端は、傾斜面6130上を移動する。この際、バネ部材50の付勢力がバネ部材614の付勢力よりも大きいことによって、部材613、チューブ固定部材612およびチューブ611は、側面203に近づくように移動する。
【0057】
これにより、
図4(B)に示すように、ノズル1321とチューブ611との接続が解除される。
【0058】
また、バネ部材50の付勢力によって、部材41のz方向の他方端は、係止用の凹部71にはまる。ここで、
図4(C)に示すように、ポンプ10を開口210から引き出すことによって、端子台135は、端子固定部材30から離れ、電子機器1からポンプ10を取り出すことができる。
【0059】
このように、電子機器1の構成を備えることによって、電子機器1からポンプ10を容易に取り出すことができる。
【0060】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るポンプの装着構造について、図を参照して説明する。
図5は、第2の実施形態に係るポンプを備える電子機器の一部を示す側面断面図である。
【0061】
図5に示すように、第2の実施形態に係る電子機器1Aは、第1の実施形態に係る電子機器1に対して、ポンプ10の装着構造が部分的に異なる。したがって、以下では、異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0062】
電子機器1Aは、部材40Aを備える。部材40Aは、第1部分410、第2部分421、第3部分422、第4部分431、第5部分432を備え、これらが一体形成されている。第4部分431および第5部分432が、本発明の「移動力発生部材」に対応する。
【0063】
第1部分410は、z方向の一方端が側面203に近接し、z方向の他方端が側面202に近接する。第1部分410は、端子固定部材30を保持する。第1部分410は、バネ部材50の他方端に接続する。バネ部材50の一方端は、底面201に固定される。
【0064】
第2部分421は、第1部分410のz方向の一方端に接続し、側面203に沿ってx方向に延びる形状である。第2部分421における第1部分410との接続端と反対側の端部には、第4部分431が接続する。第4部分431は、第2部分421よりも側面202側に突出する形状である。
【0065】
第3部分422は、第1部分410のz方向の他方端に接続し、側面202に沿ってx方向に延びる形状である。第3部分422における第1部分410との接続端と反対側の端部には、第5部分432が接続する。第5部分432は、第3部分422よりも側面203側に突出する形状である。
【0066】
電子機器1Aは、チューブ固定部材612Aおよびガイドレール614Aを備える。チューブ固定部材612Aは、チューブ611を保持する。チューブ固定部材612Aは、ガイドレール614Aによって、z方向に移動可能に設置される。チューブ固定部材612Aおよびガイドレール614Aによって、第2可動部材が構成される。
【0067】
チューブ固定部材612Aは、チューブ611を固定する側と反対側に、先細り形状の突起部6121を備える。突起部6121は、部材40Aの第4部分431に接する。
【0068】
電子機器1Aは、チューブ固定部材622Aおよびガイドレール624Aを備える。チューブ固定部材622Aは、チューブ621を保持する。チューブ固定部材622Aは、ガイドレール624Aによって、z方向に移動可能に設置される。チューブ固定部材622Aおよびガイドレール624Aによって、第3可動部材が構成される。
【0069】
チューブ固定部材622Aは、チューブ621を固定する側と反対側に、先細り形状の突起部6221を備える。突起部6221は、部材40Aの第5部分432に接する。
【0070】
(電子機器1Aにポンプ10を装着する場合)
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)は、第2の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
図6(A)、
図6(B)、
図6(C)の順で、状態が遷移する。
【0071】
まず、
図6(A)に示すように、ポンプ10は、端子台135が凹部200の底面201側となり、ノズル1321が側面203側、ノズル1322が側面202側となるように、凹部200内に挿入される。
【0072】
この際、第4部分431は、チューブ固定部材612Aの突起部6121よりも開口210側にある。また、第5部分432は、チューブ固定部材622Aの突起部6221よりも開口210側にある。
【0073】
次に、
図6(B)に示すように、端子台135を端子固定部材30の凹部300に挿嵌し、ポンプ10がさらに押し込まれると、部材40Aは、底面201に近づくように、x方向に移動する。これにより、第4部分431および第5部分432も底面201に近づくように、x方向に移動する。
【0074】
第4部分431は、この移動によって、チューブ固定部材612Aの突起部6121の開口210側の斜面に当接し、チューブ固定部材612Aを側面202側(ポンプ10側)に移動させる。
【0075】
第5部分432は、この移動によって、チューブ固定部材622Aの突起部6221の開口210側の斜面に当接し、チューブ固定部材622Aを側面203側(ポンプ10側)に移動させる。
【0076】
次に、
図6(C)に示すように、ポンプ10を凹部200内にさらに挿入すると、部材40Aは、底面201に近づくように、x方向にさらに移動する。これにより、第4部分431および第5部分432も底面201に近づくように、x方向にさらに移動する。
【0077】
第4部分431は、この移動によって、チューブ固定部材612Aの突起部6121の開口210側の斜面上を移動し、突起部6121の先端面に達する。これにより、チューブ固定部材612Aは、ポンプ10にさらに近づき、ノズル1321がチューブ611に挿嵌し、ノズル1321とチューブ611とを接続できる。
【0078】
第5部分432は、この移動によって、チューブ固定部材622Aの突起部6221の開口210側の斜面上を移動し、突起部6221の先端面に達する。これにより、チューブ固定部材622Aは、ポンプ10にさらに近づき、ノズル1322がチューブ621に挿嵌し、ノズル1322とチューブ621とを接続できる。
【0079】
このように、電子機器1Aの構成を備えることによって、ポンプ10と電子機器1Aとの複数の接続部を個別に手動で接続する必要はなく、電子機器1Aにポンプ10を容易に装着できる。
【0080】
(電子機器1Aからポンプ10を外す場合)
図7(A)、
図7(B)は、第2の実施形態に係る電子機器からポンプを外す際の各過程での状態を示す側面断面図である。
図7(A)、
図7(B)の順で、状態が遷移する。
【0081】
まず、
図7(A)に示すように、ポンプ10を凹部200内にさらに挿入すると、部材40Aは、底面201に近づくように、x方向にさらに移動する。これにより、第4部分431および第5部分432も底面201に近づくように、x方向にさらに移動する。
【0082】
第4部分431は、この移動によって、チューブ固定部材612Aの突起部6121よりも底面201側に移動する。これにより、チューブ固定部材612Aおよびチューブ611は、ガイドレール614Aに沿って、側面203に近づくように移動する。このチューブ611の移動によって、ノズル1321とチューブ611との接続は解除される。
【0083】
第5部分432は、この移動によって、チューブ固定部材622Aの突起部6221よりも底面201側に移動する。これにより、チューブ固定部材622Aおよびチューブ621は、ガイドレール624Aに沿って、側面202に近づくように移動する。このチューブ621の移動によって、ノズル1322とチューブ621との接続は解除される。
【0084】
次に、
図7(B)に示すように、ポンプ10を開口210から引き出すことによって、端子台135は、端子固定部材30から離れ、電子機器1Aからポンプ10を取り出すことができる。このように、電子機器1の構成を備えることによって、電子機器1からポンプ10を容易に取り出すことができる。
【0085】
この際、
図7(B)に示すように、バネ部材50の付勢力によって、部材40Aは、開口210に近づくように移動する。これにより、第4部分431は、チューブ固定部材612Aの突起部6121よりも開口210側に戻る。第5部分432は、チューブ固定部材622Aの突起部6221よりも開口210側に戻る。したがって、ポンプ10が電子機器1Aの装着される前の状態に戻る。よって、使用者は、ポンプ10の交換時に、主℃で部材40Aの位置を戻す必要が無い。
【0086】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るポンプの装着構造について、図を参照して説明する。
図8(A)、
図8(B)は、第3の実施形態に係る電子機器にポンプを装着する際の各過程での状態を示す側面断面図である。
図8(A)、
図8(B)の順で、状態が遷移する。
【0087】
図8(A)、
図8(B)に示すように、第3の実施形態に係る電子機器1Bは、第2の実施形態に係る電子機器1Aに対して、部材40B、チューブ固定部材612B、622Bにおいて異なる。以下では、異なる箇所のみを具体的に説明する。
【0088】
部材40Bの第4部分431の先端面には、凹部4310を備える。部材40Bの第5部分432の先端面には、凹部4320を備える。
【0089】
チューブ固定部材612Bは、突起部6121の先端面に凸部6122を備える。チューブ固定部材622Bは、突起部6221の先端面に凸部6222を備える。
【0090】
図8(B)に示すように、チューブ固定部材612Bの突起部6121の先端面が第4部分431の先端面に当接するとき、凸部6122は凹部4310に嵌る。同様に、チューブ固定部材622Bの突起部6221の先端面が第5部分432の先端面に当接するとき、凸部6222は凹部4320に嵌る。
【0091】
これにより、端子台135が端子固定部材30に接続し、ノズル1321がチューブ611に接続し、ノズル1322がチューブ621に接続した状態で、凸部6122と凹部4310との挿嵌状態および凸部6222と凹部4320との挿嵌状態によって、ポンプ10は凹部200内に安定して固定される。
【0092】
このように、電子機器1Bの構成を備えることによって、ポンプ10と電子機器1Bとの複数の接続部を個別に手動で接続する必要はなく、電子機器1Bにポンプ10を容易に装着し、ポンプ10をより安定して固定できる。
【0093】
(電子機器の適用例)
上述の電子機器は、例えば、霧化装置に適用できる。霧化装置は、所定流量、所定圧力の気体によって液体を霧化するものである。そして、上述のポンプ10によって、所定流量、所定圧力の気体を発生できる。このため、電子機器として霧化装置を適用することは有用である。特に、ポンプ10のように、気体を吸入、吐出するノズルが直線上に並ぶ構造では、ポンプ10における気体搬送の損失を小さくできる。したがって、効率の良い霧化装置を実現できる。
【0094】
そして、このような効率の良いポンプ10では、駆動信号の供給用の端子を、2個のノズルとは異なる箇所に設置しなければならず、ポンプ10を霧化装置に装着することは容易ではなかった。しかしながら、霧化装置に上述の電子機器の構成を適用することによって、ポンプ10を霧化装置に容易に装着できる。
【0095】
なお、電子機器は、霧化装置に限らず、流れる気体を用いて所定機能を実現する機器であれば、上述の構成を適用することで、上述の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0096】
1、1A…電子機器
2…筐体
10…ポンプ
30…端子固定部材
40A、40B…部材
41…部材
42…ガイドレール
43…部材
50…バネ部材
70…部材
71…凹部
101、102…端子電極
130…筐体
131、132、133、134…側面
135…端子台
140…蓋部材
200…凹部
201…底面
202、203、204、205…側面
210…開口
300…凹部
410…第1部分
421…第2部分
422…第3部分
431…第4部分
432…第5部分
611…チューブ
612、612A、612B…チューブ固定部材
613…部材
614…バネ部材
614A…ガイドレール
621…チューブ
622、622A、622B…チューブ固定部材
624A…ガイドレール
1321、1322…ノズル
4310、4320…凹部
6121、6221…突起部
6122、6222…凸部
6130…傾斜面