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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】二次電池および二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20231219BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/595 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20231219BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALN20231219BHJP
   H01M 50/179 20210101ALN20231219BHJP
   H01M 50/184 20210101ALN20231219BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/569
H01M50/167
H01M50/586
H01M50/595
H01M10/0587
H01M10/052
H01M10/0566
H01M50/179
H01M50/184 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022526343
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 KR2021000300
(87)【国際公開番号】W WO2021153922
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011328
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェガル、ジョンピル
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヒョ ソク
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220044(JP,A)
【文献】特開2002-050407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
H01M 4/00- 4/62
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液に含浸されるジェリーロール形態の電極組立体;
前記電極組立体および前記電解液を収納する電池ケース;
前記電池ケースの上部と結合されるキャップアセンブリ
一端が前記電解液に浸かり、他端が前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を介して外部に露出した基準電極;および
前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間に位置する気密維持用ガスケット(Gasket)を含み、
前記基準電極は前記電池ケースと前記気密維持用ガスケットの間に位置し、
前記電池ケースと前記キャップアセンブリは、前記気密維持用ガスケットおよび前記基準電極を間に置いてクリンピング(Crimping)結合される、二次電池。
【請求項2】
電解液に含浸されるジェリーロール形態の電極組立体;
前記電極組立体および前記電解液を収納する電池ケース;
前記電池ケースの上部と結合されるキャップアセンブリ;および
一端が前記電解液に浸かり、他端が前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を介して外部に露出した基準電極を含み、
前記基準電極の前記一端は、前記電極組立体の下部に位置する、二次電池。
【請求項3】
電解液に含浸されるジェリーロール形態の電極組立体;
前記電極組立体および前記電解液を収納する電池ケース;
前記電池ケースの上部と結合されるキャップアセンブリ;および
一端が前記電解液に浸かり、他端が前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を介して外部に露出した基準電極を含み、
前記基準電極は、前記電極組立体の下部から前記電極組立体の外周面に沿って延びて前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を通過する、二次電池。
【請求項4】
前記電極組立体と前記基準電極の前記一端の間に位置する分離部材をさらに含む、請求項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記基準電極と前記電池ケースの間に位置する絶縁テープをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記絶縁テープはポリイミド(Polyimide,PI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate,PET)およびポリプロピレン(Polypropylene,PP)の少なくとも一つを含む、請求項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記絶縁テープは、前記基準電極の前記一端まで覆うように延びた、請求項またはに記載の二次電池。
【請求項8】
前記基準電極は、金属ワイヤおよび前記金属ワイヤを包むコート層を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記コート層はエナメル層を含む、請求項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記基準電極は、前記基準電極の前記一端に付着する金属板を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
ジェリーロール形態の電極組立体に基準電極を付着する付着段階;
前記基準電極が付着した前記電極組立体を電池ケースに収納する収納段階;
前記電池ケースの上部にキャップアセンブリを結合する結合段階;および
前記基準電極を間に置いて、前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合するクリンピング段階を含み、
前記結合段階は、ガスケットを前記キャップアセンブリとともに前記電池ケースの上部に結合する段階を含み、
前記クリンピング段階は、前記基準電極および前記ガスケットを間に置いて前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合する段階を含む、二次電池の製造方法。
【請求項12】
ジェリーロール形態の電極組立体に基準電極を付着する付着段階;
前記基準電極が付着した前記電極組立体を電池ケースに収納する収納段階;
前記電池ケースの上部にキャップアセンブリを結合する結合段階;および
前記基準電極を間に置いて、前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合するクリンピング段階を含み、
前記収納段階で、前記基準電極の一端が前記電極組立体の下部まで延びた状態で付着する、二次電池の製造方法。
【請求項13】
ジェリーロール形態の電極組立体に基準電極を付着する付着段階;
前記基準電極が付着した前記電極組立体を電池ケースに収納する収納段階;
前記電池ケースの上部にキャップアセンブリを結合する結合段階;および
前記基準電極を間に置いて、前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合するクリンピング段階を含み、
前記基準電極は、前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を通過して外部に延びる、二次電池の製造方法。
【請求項14】
前記付着段階は、電気的に絶縁性を帯びる絶縁テープを用いて前記基準電極を前記電極組立体に付着する段階を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年1月30日付韓国特許出願第10-2020-0011328号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は二次電池および二次電池の製造方法に関し、より具体的には三電極系電極電位の測定のための基準電極(reference electrode)を含む二次電池およびそのような二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染への関心が高まるにつれ、環境に優しい代替エネルギー源への要求が未来生活のための必要不可欠な要因になっている。そこで原子力、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に係る研究が続いており、このように生産されたエネルギーをより効率よく使用するための電力貯蔵装置にも多大な関心が寄せられている。
【0004】
特に、モバイル機器に対する技術開発と需要の増加によりエネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、それに伴い多様な要求に応えることのできる電池に対する多くの研究が行われている。
【0005】
代表的には高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0006】
また、二次電池は正極、負極、および正極と負極の間に介在する分離膜が積層された構造の電極組立体がどの構造で形成されているかによって分類されたりもする。代表的には、長いシート型の正極と負極を分離膜が介在した状態で巻き取った構造のジェリーロール(巻き取り型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取りした多数の正極と負極を分離膜を介在した状態で順次積層したスタック型(積層型)電極組立体などが挙げられる。最近では前記ジェリーロール型電極組立体およびスタック型電極組立体が有する問題を解決するために、前記ジェリーロール型とスタック型の混合形態として、所定単位の正極と負極を分離膜を介在した状態で積層した単位セルを分離フィルム上に位置させた状態で順次巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体が開発された。
【0007】
また、二次電池はケースの形状によって、電極組立体が円筒型のケースに内蔵された円筒型電池、電極組立体が角型のケースに内蔵された角型電池および電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。
【0008】
図1は円筒型二次電池10の構造を概略的に示す模式図である。
【0009】
図1を参照すると、円筒型二次電池10は巻き取り型構造の電極組立体20を円筒型のケース30に収納し、ケース30内に電解液を注入した後に、ケース30の開放上端に電極端子が形成されているキャップアセンブリ40を結合して製作する。
【0010】
また、ケース30には、キャップアセンブリ40の安定した結合および電極組立体20の流動防止のための中心方向に湾入したビーディング部31が形成される。
【0011】
電極組立体20がケース30に搭載される場合、第1電極タブ51と第2電極タブ61は互いに対向する方向に突出する。ひいては、第1電極タブ51はケース30の開放された一面方向に突出した状態で、ケース30の開放された一面に結合されるキャップアセンブリ40に連結され、そのため、キャップアセンブリ40の一面が第1電極50として作用する。
【0012】
第2電極タブ61はケース30の開放された一面に対向する下面方向に突出してケース30の内面に結合され、そのため、ケース30の下面が第2電極60として作用する。
【0013】
第1電極50と第2電極60はそれぞれ正極および負極であり得る。
【0014】
新しく開発、製造された電池セルの性能を確認するために電池セルの電極電位(electrode potential)を測定する過程を経る。
【0015】
電極電位の測定には基準電極(reference electrode)、作業電極(working electrode)および相対電極(counter electrode)で構成された三電極系電極電位測定方法が主に用いられている。
【0016】
基準電極は電池を構成している電極や電気分解が起きている電極の電位を測定するために電極電位測定用電池回路を作るのに使用する電極であって、電極電位の相対値を測定する時電位の基準になる。
【0017】
図2は電極電位の測定のために図1の二次電池のビーディング部を切断した後を示す模式図である。
【0018】
図2を参照すると、電極電位の測定のために図1の二次電池10のビーディング部31を切断する。分離された円筒型二次電池10aは下部が開放されたキャップアセンブリ40aと上部が開放されたケース30aで構成され、第1電極タブ51は切断されないまま維持される。すなわち、ビーディング部31の切断により円筒型二次電池10aの密封(Sealing)が解除される。
【0019】
図3は従来の電極電位測定方法を概略的に示す模式図であって、具体的には図2の円筒型二次電池10aを用いた従来の電極電位測定方法を示す。
【0020】
図3図2とともに参照すると、分離された、すなわち密封(Sealing)が解除された円筒型二次電池10aは電解液71に浸けた状態でトレー70に密閉され、分離された円筒型二次電池10aの第1電極50および第2電極60にはそれぞれ電極電位測定のための作業電極端子52および相対電極端子62が連結される。
【0021】
このような作業電極端子52および相対電極端子62が基準電極端子72とともに測定部73に連結され、円筒型二次電池10aの電極電位を測定する。
【0022】
ただし、このような従来の電極電位測定方法の場合、同じ円筒型二次電池10aであっても、測定者の測定手続きや方法などによってデータ値が変わり得る。特に、従来方法は電解液投入量を綿密に調節するのが難しく、電解液を過多投入する場合は測定されるデータ値に偏差が大きく発生し得る。
【0023】
また、追加的な導線の導入や過量の電解液などが原因になって抵抗が上昇し得る。すなわち、電極電位に多様な形態の抵抗が介入して実際の電位を測定しにくい、という困難性がある。
【0024】
また、電解液に円筒型二次電池10aを浸ける形態であるため、必要以上の電解液が過多に使用される問題がある。
【0025】
上記のように、三電極系電極電位の測定のための従来の方法は多くの問題を有しているので、かかる問題を解決できる技術の必要性が非常に高い、というのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の実施形態は既に提案された方法の前記のような問題を解決するために提案されたものであって、別途のトレーを導入せず実際の電極電位の正確な測定が可能な二次電池およびそのような二次電池の製造方法の提供を目的とする。
【0027】
ただし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず本発明に含まれた技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一実施形態による二次電池は、電解液に含浸されるジェリーロール形態の電極組立体;前記電極組立体および前記電解液を収納する電池ケース;前記電池ケースの上部と結合されるキャップアセンブリ;および一端が前記電解液に浸かり、他端が前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を介して外部に露出した基準電極を含む。
【0029】
前記二次電池は前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間に位置する気密維持用ガスケット(Gasket)をさらに含み、前記基準電極は前記電池ケースと前記ガスケット(気密維持用ガスケット)の間に位置し得る。
【0030】
前記電池ケースと前記キャップアセンブリは、前記ガスケット(気密維持用ガスケット)および前記基準電極を間に置いてクリンピング(Crimping)結合し得る。
【0031】
前記基準電極は、前記電極組立体の下部から前記電極組立体の外周面に沿って延びて前記電池ケースと前記キャップアセンブリの間を通過し得る。
【0032】
前記基準電極の前記一端は、前記電極組立体の下部に位置し得る。
【0033】
前記二次電池は、前記電極組立体と前記基準電極の前記一端の間に位置する分離部材をさらに含み得る。
【0034】
前記二次電池は、前記基準電極と前記電池ケースの間に位置する絶縁テープをさらに含み得る。
【0035】
前記絶縁テープはポリイミド(Polyimide,PI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate,PET)およびポリプロピレン(Polypropylene,PP)の少なくとも一つを含み得る。
【0036】
前記絶縁テープは、前記基準電極の前記一端まで覆うように延び得る。
【0037】
前記基準電極は、金属ワイヤおよび前記金属ワイヤを包むコート層を含み得る。
【0038】
前記コート層はエナメル層を含み得る。
【0039】
前記基準電極は、前記基準電極の前記一端に付着する金属板を含み得る。
【0040】
本発明の一実施形態による二次電池の製造方法は、ジェリーロール形態の電極組立体に基準電極を付着する付着段階;前記基準電極が付着した前記電極組立体を電池ケースに収納する収納段階;前記電池ケースの上部にキャップアセンブリを結合する結合段階;および前記基準電極を間に置いて、前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合するクリンピング段階を含む。
【0041】
前記付着段階は、電気的に絶縁性を帯びる絶縁テープを用いて前記基準電極を前記電極組立体に付着する段階を含み得る。
【0042】
前記結合段階は、ガスケットを前記キャップアセンブリとともに前記電池ケースの上部に結合する段階を含み得、前記クリンピング段階は、前記基準電極および前記ガスケットを間に置いて前記電池ケースと前記キャップアセンブリをクリンピング(Crimping)結合する段階を含み得る。
【発明の効果】
【0043】
本発明の実施形態によれば、電池ケースとキャップアセンブリの間を通過する基準電極を設け、実際の電極電位の正確な測定が可能な二次電池を提供することができる。
【0044】
また、別途のトレーを導入せず実際の二次電池を活用することによって、追加的な導線や過量の電解液によって介入する抵抗を排除した電極電位値を得ることができる。
【0045】
また、基準電極を別途の孔(hole)を形成して外部に露出させるのではなく電池ケースとキャップアセンブリの間を通過するように構成することによって、二次電池の構造を毀損せず密封(sealing)を維持した状態で電極電位の測定が可能である。さらに、内圧が大きく発生する高温評価を行うことができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】円筒型二次電池の構造を概略的に示す模式図である。
図2】電極電位測定のために図1の円筒型二次電池に対してビーディング部を切断した後を示す模式図である。
図3】従来の電極電位測定方法を概略的に示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態による二次電池に係る断面斜視図である。
図5図4の「A」部分を拡大した断面図である。
図6図4の「B」部分を拡大した断面図である。
図7図4の二次電池に含まれた基準電極、絶縁テープおよび分離部材を示す斜視図である。
図8図7の基準電極、絶縁テープおよび分離部材が電極組立体に付着した様子を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態による二次電池を製造する過程を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態による二次電池を製造する過程を説明するための図である。
図11】本発明の一実施形態による二次電池を製造する過程を説明するための図である。
図12】本発明の一実施形態による二次電池を製造する過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付する図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0048】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。
【0049】
また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜上任意に示したので、本発明は必ずしも示されたところに限定されない。図面で複数の層および領域を明確に表現するために厚さを誇張して示した。そして図面で、説明の便宜上、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0050】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるという時、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるという時には中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分「上に」または「の上に」あるというのは基準になる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の逆方向に向かって「上に」または「の上に」位置することを意味するものではない。
【0051】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0052】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0053】
図4は本発明の一実施形態による二次電池に対する断面斜視図であり、図5図4の「A」部分を拡大した断面図であり、図6図4の「B」部分を拡大した断面図である。
【0054】
図4から図6を参照すると、本発明の一実施形態による二次電池100は電解液に含浸されるジェリーロール形態の電極組立体120、電極組立体120および電解液を収納する電池ケース130、電池ケース130の上部と結合されるキャップアセンブリ140および基準電極200を含む。このような基準電極200は一端210が電解液に浸かり、他端220が電池ケース130とキャップアセンブリ140の間を介して外部に露出する。
【0055】
電極組立体120は多数の正極121および負極122の間に分離膜123を介在して巻き取ったジェリーロール形態の構造であり、その中心部にセンターピン150が挿入される。電極組立体120の上部に上端絶縁部材(160,Top insulator)が位置し得、電極組立体120の下部124と電池ケース130の底部131の間に下端絶縁部材(170,Bottom insulator)が位置し得る。
【0056】
電解液はリチウム塩含有非水系電解液であり得、前記リチウム塩含有非水系電解液は非水系電解液とリチウム塩からなっている。非水系電解液としては非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるがこれらだけに限定されるものではない。このような電解液は電極組立体120とともに電池ケース130に収納され、図面上での具体的な表示は省略した。
【0057】
電池ケース130はビーディング部132およびクリンピング部133を含む。
【0058】
ビーディング部132は電池ケース130の一部が電極組立体120の中心方向に向かって湾入した部分を指し、キャップアセンブリ140の安定した結合および電極組立体120の流動防止のためのものである。
【0059】
クリンピング部133はビーディング部132の上部に位置し、キャップアセンブリ140を囲む部分を指し、キャップアセンブリ140の安定した結合のためのものである。すなわち、電池ケース130がキャップアセンブリ140とクリンピング(Crimping)結合されてクリンピング部133が形成される。
【0060】
キャップアセンブリ140は正極端子を形成する上端キャップ141、電極組立体120で上部方向に延びた正極タブ144が接続されるキャッププレート142を含む。正極タブ144は電極組立体120の正極121から延びる。
【0061】
なお、本実施形態による二次電池100は電池ケース130とキャップアセンブリ140の間に位置するガスケット143を含む。具体的には、電池ケース130のクリンピング部133とキャップアセンブリ140のキャッププレート142の間に位置する。
【0062】
ガスケット143は気密維持のためにビーディング部132の上部内面およびクリンピング部133に取り付けられ、キャップアセンブリ140と電池ケース130の間の密封力を増大させる。
【0063】
この時、基準電極200は、電池ケース130とガスケット143の間に位置する。また、電池ケース130とキャップアセンブリ140はガスケット143および基準電極200を間に置いてクリンピング結合される。したがって、実際作動する状態の二次電池100に基準電極200を設けることができ、基準電極200は電池ケース130とガスケット143の間で安定的に固定される。
【0064】
本実施形態による二次電池100は、従来のトレー(70,図3参照)を活用した電極電位測定方法とは異なり、電池ケース130とキャップアセンブリ140の間を介して外部に露出する基準電極200により実際に作動する状態をそのまま維持した状態で、三電極系電極電位の測定が可能である。実際の電極電位の正確な測定が可能になる。さらに、電解液投入量を綿密に調節するのが難しくて電解液を過多投入する場合にデータ値に偏差が大きく発生し得る従来の電極電位測定方法とは異なり、密封(Sealing)を解除しないまま実際作動する状態のままの二次電池100に対して電極電位を測定するものであるから、一貫したデータを得ることができる。
【0065】
また、別途のトレーを導入せず実際作動する状態のままの二次電池100を活用することによって、追加的な導線や過量の電解液により介入する抵抗を排除した正確な電極電位値を得ることができる。
【0066】
また、電解液を過量注入する必要がないため原料の浪費を防ぎ部品の腐食可能性も減らすことができる。
【0067】
一方、本実施形態による二次電池100は、別途の孔(hole)を設けて基準電極200を露出させるものでなく、電池ケース130のクリンピング部133とキャップアセンブリ140のキャッププレート142の間に基準電極200を位置させるものであるから、二次電池100の構造を毀損せず密封(sealing)を維持したまま電極電位の測定が可能である。
【0068】
仮に、別途の孔を設けると、基準電極と孔の間の密封のための別途の密封剤(sealant)を介在しなければならない。このような場合、密封剤介在のための二次電池の内部に追加的な空間が必要である、という短所があり、また、密封剤の変形によって容易に密封が解除される問題がある。
【0069】
これとは異なり、本実施形態による二次電池100の基準電極200はクリンピング部133とガスケット143の間に設けられて別途の孔形成が不必要であり、クリンピング結合により強く固定および密封される。すなわち、基準電極200を設けても二次電池100の密封解除や構造変形のような問題が発生しない。そのため、本実施形態による二次電池100は内圧が大きく発生する高温評価を行い得るという長所を有する。
【0070】
電池ケース130は円筒型ケースまたは角型ケースであり得るが、図4に示すように、円筒型ケースであることが好ましい。
【0071】
なお、基準電極200は電極組立体120の下部124から電極組立体120の外周面(125,図8参照)に沿って延びて電池ケース130とキャップアセンブリ140の間を通過し得、基準電極200の一端210は、図5に示すように、電極組立体120の下部124に位置する。換言すれば、基準電極200の一端210が電解液に浸かったまま電極組立体120の下部124と下端絶縁部材170の間に位置することができる。
【0072】
また、基準電極200は、基準電極200の一端210に付着する金属板250を含む。金属板250については後述する。
【0073】
基準電極200の一端210を電極組立体120の下部124まで延長することによって、基準電極200が電解液に安定的に浸かることができ、より正確で一貫した三電極系電極電位の測定が可能になる。
【0074】
また、基準電極200の一端210が電極組立体120の外周面125に位置する場合、電極組立体120が電池ケース130に収納されるのに妨げとなるが、本実施形態では基準電極200の一端210が電極組立体120の下部124まで延びており、このような問題が発生しない。
【0075】
また、基準電極200の一端210が電極組立体120の下部124に位置するので、電極組立体120の重量によって基準電極200の一端210に位置した金属板250と電極組立体120の正極、負極121,122の間の間隔の偏差が減る利点がある。
【0076】
この時、本発明の一実施形態による二次電池100は、電極組立体120と基準電極200の一端210の間に位置する分離部材400をさらに含み得、このような分離部材400は薄い膜の形態であり得る。さらに、分離部材400は基準電極200の一端210に付着する金属板250と電極組立体120の間に位置する。
【0077】
具体的に図示していないが、正極121、負極122および分離膜123が巻き取られたジェリーロール形態の電極組立体120は、その外周面(125,図8参照)を外周シートで囲む。したがって、電極組立体120の外周面125に沿って繋がっている基準電極200が電極組立体120の外周面125と接触して短絡が発生する問題は防止することができる。ただし、電極組立体120の下部124まで延びた基準電極200が電極組立体120の下部124と接触すると短絡が発生する可能性がある。このような短絡は二次電池100の過電流を誘導して発火や爆発を誘導することができる。
【0078】
そこで、分離部材400が、電極組立体120と基準電極200の一端210の間に位置することによって、電極組立体120の下部124と基準電極200の間の短絡を防止することができる。短絡を効果的に防止するために分離部材400は基準電極200および基準電極200の一端210に付着する金属板250すべてを覆うことが好ましく、多孔性の不織布素材や分離膜123に適用される素材を含むことができる。分離膜123に適用される素材に特に制限はなく、ポリプロピレン、ガラス繊維またはポリエチレンなどの素材が使用できる。
【0079】
図7図4の二次電池100に含まれた基準電極200、絶縁テープ300および分離部材400を示す斜視図であり、図8図7の基準電極200、絶縁テープ300および分離部材400が電極組立体120に付着した様子を示す斜視図である。
【0080】
図7および図8図4から図6と共に参照すると、本実施形態による二次電池100は、基準電極200と電池ケース130の間に位置する絶縁テープ300をさらに含む。このような絶縁テープ300は電気的に絶縁性を帯びるテープであって、ポリイミド(Polyimide,PI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate,PET)およびポリプロピレン(Polypropylene,PP)の少なくとも一つを含むことができる。
【0081】
具体的には、絶縁テープ300は、外部に露出した基準電極200の他端220を除いて、基準電極200が繋がっている方向に沿って共に延びて基準電極200を覆い得る。したがって、絶縁テープ300は、底部131、ビーディング部132およびクリンピング部133を含む電池ケース130が基準電極200と接触することを防止することによって、基準電極200から起因し得る短絡の危険性を事前に遮断する。
【0082】
効果的な短絡防止のために、図7および図8に示すように、基準電極200の他端220を除いた基準電極200のすべての部分を絶縁テープ300が覆うことが好ましい。特に、絶縁テープ300が基準電極200の一端210まで覆うように延び得る。
【0083】
一方、絶縁テープ300を用いて基準電極200を電極組立体120の外周面125および下部124に付着させ得るので、絶縁テープ300は短絡防止の効果だけでなく二次電池100内で基準電極200を固定させる役割を担当する。さらに、絶縁テープ300が基準電極200の一端210まで覆えるため、基準電極200の一端210をはじめとして金属板250および分離部材400を電極組立体120の下部124に付着および固定させる。
【0084】
また、基準電極200を電極組立体120に付着させた状態で共に組み立てることができ、別途の追加工程がなくとも基準電極200が設けられた二次電池100を簡便に製造することができる。この部分については、図9から図12で詳しく後述する。
【0085】
一方、基準電極200は、金属ワイヤ230および金属ワイヤ230を包むコート層240を含む。金属ワイヤ230は電気伝導性を有する金属を含む場合、その素材に対する制限はなく、銅(Cu)を含むことができる。コート層240はエナメル層(Enamel layer)を含むことができる。このようなコート層240により金属ワイヤ230が二次電池100内の他の部分と接触して意図しない短絡が発生することを防止することができる。
【0086】
上述したように、本発明の実施形態による二次電池100は絶縁テープ300およびコート層240を設けて二次電池内での意図しない短絡発生を防止しようとした。各実施形態によって絶縁テープ300やコート層240の一つだけを設けることができるが、絶縁テープ300およびコート層240をすべて備えることが好ましい。
【0087】
一方、図7のように、基準電極200の他端220は、コート層240の一部領域を剥がして金属ワイヤ230を露出させることができる。
【0088】
基準電極200の一端210も同様に、コート層240の一部領域を剥がして金属ワイヤ230を露出させ、露出した金属ワイヤ230に金属板250を付着する。その後分離部材400を金属板250の上に位置させる。
【0089】
電解液に浸かっている金属板250は基準電極端子として機能し、基準電極200の他端220で露出した金属ワイヤ230が外部電線と連結されて三電極系電極電位の測定が行われる。具体的に図示していないが、三電極系電極電位の測定が行われない時は、露出した金属ワイヤ230を他の絶縁テープで包んだ状態で保管することができる。このような金属板250はリチウム(Li)、リチウムチタネート(Lithium Titanate,LTO)、リチウムリン酸鉄(Lithium iron phosphate,LFP)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)の少なくとも一つを含み得る。
【0090】
絶縁テープ300は上述したとおり、金属板250および分離部材400を電極組立体120の下部124に付着および固定させる。さらに、図7のように絶縁テープ300上に基準電極200、金属板250および分離部材400を位置させ得、基準電極200、金属板250および分離部材400の間の連結および高精度絶縁テープ300により行われる。
【0091】
一方、図4を再び参照すると、上端および下端絶縁部材160,170は絶縁性繊維を含み得、このような絶縁性繊維が方向性なしで絡まって不織布のような形態を形成することができる。絶縁性繊維はポリエチレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ガラス繊維(Glass fiber)、天然ゴムおよび合成ゴムのうち少なくとも一つを含む。
【0092】
センターピン150は一般的に所定の強度を付与するために金属素材を含み、板材を丸く曲げた円筒型構造で形成されている。このようなセンターピン150は、電極組立体120を固定および支持し、充放電および作動時内部反応によって発生するガスを放出する通路として機能することができる。
【0093】
以下、図8から図12とともに本発明の一実施形態による二次電池の製造方法について説明する。ただし、先立って説明した内容と重複する部分は説明を省略する。
【0094】
図9から図12は、本発明の一実施形態による二次電池の製造方法を説明するための図面である。図8から図12を参照すると、本発明の一実施形態による二次電池の製造方法は、ジェリーロール形態の電極組立体120に基準電極200を付着する付着段階;基準電極200が付着した電極組立体120を電池ケース130に収納する収納段階;電池ケース130の上部にキャップアセンブリ140を結合する結合段階;および基準電極200を間に置いて、電池ケース130とキャップアセンブリ140をクリンピング(Crimping)結合するクリンピング段階を含む。
【0095】
まず、図8と共に前記付着段階を説明する。前記付着段階で電気的に絶縁性を帯びる絶縁テープ300を用いて基準電極200を電極組立体120に付着させる。具体的には、電極組立体120の下部124と外周面125に付着する。上述したとおり電極組立体120の下部124と基準電極200の一端210の間に分離部材が位置する。
【0096】
次に、図9とともに前記収納段階を説明する。前記収納段階で電極組立体120を基準電極200が付着した状態で電池ケース130に収納する。電池ケース130は上部が開放された状態であり、このような上部により電極組立体120を収納する。この時、基準電極200の一端210が電極組立体120の下部124まで延びた状態で付着し得、このような構造により基準電極200の金属板250が前記収納時に妨げにならない。
【0097】
その後、図10のように、電池ケース130のうち電極組立体120より上の領域に対して、電極組立体120の中心方向に向かって湾入させてビーディング部132を形成する。具体的に図示していないが、ビーディング部132の形成以前に電極タブの溶接と上端絶縁部材の挿入が行われる。なお、基準電極200の金属ワイヤが断線することを防止するために基準電極200の他端220を電池ケース130の内部に位置するように調整し、また、別途の絶縁テープで基準電極200の他端220のみを包むことができる。
【0098】
次に、図11と共に前記結合段階を説明する。前記結合段階で電池ケース130の開放された上部にキャップアセンブリ140を結合させる。また、ガスケット143をキャップアセンブリ140とともに電池ケース130に結合させる。基準電極200は電池ケース130とガスケット143の間に位置し、絶縁テープ300は電池ケース130と基準電極200の間に位置する。
【0099】
最後に、図12とともに前記クリンピング段階を説明する。前記クリンピング段階で電池ケース130とキャップアセンブリ140は、ガスケット143および基準電極200を間に置いてクリンピング結合が行われてクリンピング部133が形成されることができる。
【0100】
本実施形態による基準電極200は、別途の孔を形成せずとも、電池ケース130とキャップアセンブリ140の間、特にクリンピング部133とガスケット143の間を通過して外部に延びる。別途の追加工程なくとも、電極組立体120を電池ケース130に収納する工程と共に三電極系電極電位の測定のための基準電極200を簡便に設けることができる。
【0101】
また、クリンピング部133とガスケット143により強く密封されているので、内圧が大きく発生する高温評価も無理なしで行うことができる。
【0102】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけであり、対象になる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得る。
【0103】
前述した本実施形態による一つまたはそれ以上の二次電池は多様なデバイスに適用することができる。例えば、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用できるが、これに制限されず二次電池を使用できる多様なデバイスに適用することが可能である。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0105】
100 二次電池
120 電極組立体
130 電池ケース
132 ビーディング部
133 クリンピング部
140 キャップアセンブリ
143 ガスケット
150 センターピン
160 上端絶縁部材
170 下端絶縁部材
200 基準電極
230 金属ワイヤ
240 コート層
300 絶縁テープ
400 分離部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12