IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特許7405327バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法
<>
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図1
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図2
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図3
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図4a
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図4b
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図5
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図6
  • 特許-バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20231219BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20231219BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231219BHJP
   G01R 31/371 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
G01R31/396
G08C17/00 Z
H02J7/00 Y
G01R31/371
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022548405
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2021007961
(87)【国際公開番号】W WO2022005105
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0079599
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、セオン イェオル
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、ジ ウォン
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-92488(JP,A)
【文献】特表2020-507301(JP,A)
【文献】特開平8-110993(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1655089(KR,B1)
【文献】国際公開第2014/097834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムと通信可能な通信モジュールと、
プロセッサーと、を含み、
前記プロセッサーは、
前記通信モジュールが前記複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つのバッテリー管理システムをプロビジョニングモードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信するようにし、
前記通信モジュールを介して前記複数のバッテリー管理システムからバッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報を受信するようにし、
前記通信モジュールを介して受信したバッテリー管理システムの状態情報に基づいて前記バッテリーパックのネットワークのID及び前記バッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てるプロビジョニング装置。
【請求項2】
前記通信モジュールは、前記複数のバッテリー管理システム中の一つのバッテリー管理システムに対してのみ信号を送信するようにする指向性アンテナを含む、請求項1に記載のプロビジョニング装置。
【請求項3】
ユーザーから装置設定、前記バッテリーパックのネットワークのID、前記複数のバッテリー管理システムそれぞれのID及び前記バッテリー管理システムを制御するための命令の少なくとも何れか一つに関する入力を受信するためのユーザーインターフェースをさらに含む、請求項1または2に記載のプロビジョニング装置。
【請求項4】
前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報と、前記バッテリーパックのネットワークのID及び前記バッテリー管理システムそれぞれのIDの少なくとも何れか一つを表示するディスプレイをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項5】
前記通信モジュールは、前記複数のバッテリー管理システム間の通信方式と同一の通信方式で行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項6】
前記ネットワークのID及び前記バッテリー管理システムのIDは、ユーザー入力に基づいて設定されるか、又は前記複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つにより生成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項7】
前記プロセッサーは、前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報に基づいて前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態を診断する、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項8】
前記プロセッサーで前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの少なくとも一つに異常が発生したと判断されると、警告通知を発生させるアラームモジュールをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項9】
前記プロセッサーは、前記通信モジュールを介して前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報を外部サーバーに伝送する、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項10】
前記プロセッサーは、前記通信モジュールを介して前記複数のバッテリー管理システム中のマスターバッテリー管理システムに前記プロビジョニング信号を送信すると、前記マスターバッテリー管理システムに対して前記ネットワークのID及び前記マスターバッテリー管理システムのIDを割り当て、
前記マスターバッテリー管理システムによりネットワークが形成されると、前記通信モジュールを介して前記複数のバッテリー管理システム中のスレーブバッテリー管理システムそれぞれに前記プロビジョニング信号を送信し、前記スレーブバッテリー管理システムそれぞれに対して前記ネットワークのID及び前記スレーブバッテリー管理システムのIDを割り当てる、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項11】
前記プロセッサーは、前記スレーブバッテリー管理システムそれぞれに対して順次に前記ネットワークのID及び前記スレーブバッテリー管理システムのIDを割り当てる、請求項10に記載のプロビジョニング装置。
【請求項12】
前記プロビジョニング信号は、予め設定されたパターンを有する信号を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項13】
前記プロセッサーは、前記バッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作が終了した場合、前記通信モジュールを介して当該バッテリー管理システムにプロビジョニング終了命令を送信する、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項14】
前記プロビジョニング装置は、運搬可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロビジョニング装置。
【請求項15】
プロビジョニング装置を用いたバッテリーシステムの状態を診断してIDを割り当てる方法であって、
バッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つに、システムをプロビジョニングモードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信する段階と、
前記複数のバッテリー管理システムそれぞれからバッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報を受信する段階と、
前記バッテリーパックのネットワークのID及び前記バッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てる段階と、を含むプロビジョニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年6月29日に出願された韓国特許出願第10-2020-0079599号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリー状態診断及びID割り当てのためのプロビジョニング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、EV車両用バッテリーの場合、モジュールごとにバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)が備えられている。従来、このようなバッテリー管理システムは、ハードワイヤ(hard wire)状のケーブルを介して有線で各バッテリー管理システムのIDを割り当てるか管理した。しかし、このように、有線で連結されたバッテリー管理システムは、別途のケーブルを備えなければならないので、製造単価が高くなり、体積が増加するという問題があった。
【0004】
また、このような問題を解決するために、無線バッテリー管理システムが考案されたが、無線バッテリー管理システムの場合、リアルタイムで個別ID割り当てが不可能であり、任意にIDを割り当てる場合、モジュールの位置が分からず、故障時に個別的な維持及び保守が困難であるという問題があった。また、さらに無線ネットワークを区分するための唯一のネットワークIDが必要であり、ID割り当てのために追加インターフェース、例えば、赤外線(IR)インターフェースを使用する場合、バッテリー管理システムの生産単価が上昇するという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような問題を解決するために考案されたものであって、バッテリーを組み立てる際に、別途の装置を用いてバッテリー及びバッテリー管理システムの状態をモニタリングし、ネットワークIDと各バッテリー管理システムのIDを効率的に割り当てることができ、体積とコストを節減することができるプロビジョニング装置及び方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置は、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムと通信可能な通信モジュール及びプロセッサーを含み、前記プロセッサーは、前記通信モジュールが前記複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つに、システムをプロビジョニング(provisioning)モードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信するようにし、前記通信モジュールを介して前記複数のバッテリー管理システムから前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報を受信するようにし、前記バッテリーパックのネットワークのID及び前記バッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てることができる。
【0007】
本発明の一実施形態によるプロビジョニング方法は、プロビジョニング装置を用いたバッテリーシステムの状態を診断してIDを割り当てる方法であって、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つに、システムをプロビジョニングモードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信する段階、前記複数のバッテリー管理システムから前記バッテリー及び前記バッテリー管理システムの状態情報を受信する段階、前記バッテリーパックのネットワークのID及び前記バッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てる段階を含んでよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロビジョニング装置及び方法によれば、バッテリーを組み立てる際に、別途の装置を用いてバッテリー及びバッテリー管理システムの状態をモニタリングし、ネットワークIDと各バッテリー管理システムのIDを効率的に割り当てることができ、体積とコストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリー管理システムが含まれたバッテリーパックの例示的な構成図である。
図2】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置がバッテリーパックのバッテリー管理システムと動作することを示す図である。
図4a】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の例示的な構成を示す図である。
図4b】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置を使用する方法の例示を示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の動作を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるプロビジョニング方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して、本発明の多様な実施形態に対して詳細に説明する。本文書で図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を使用し、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0011】
本文書に開示されている本発明の多様な実施形態に対して、特定の構造的又は機能的説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的として例示されたものであって、本発明の多様な実施形態は、多様な形態で実施可能であり、本文書に説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはいけない。
【0012】
多様な実施形態で用いられる「第1」、「第2」、「第一」、又は「第二」などの表現は、多様な構成要素を順序及び/又は重要度に関係なく修飾することができ、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲を外れることなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてよく、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素に変えて命名されてよい。
【0013】
本文書で用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲の限定を意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味がない限り、複数の表現を含んでよい。
【0014】
技術的や科学的な用語を含めて、ここで用いられる全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解される意味と同一の意味を有し得る。一般的に用いられる辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一又は類似の意味を有するものと解釈されてよく、本文書で明らかに定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。場合によりは、本文書で定義された用語であっても、本発明の実施形態を排除するように解釈されてはいけない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理システムが含まれたバッテリーパックの構成図である。
【0016】
バッテリーパック1には、複数のバッテリーモジュール2、4、6が直列又は並列に連結されている。それぞれのバッテリーモジュール2、4、6には、スレーブバッテリー管理システム12、14、16がそれぞれ配置される。それぞれのスレーブバッテリー管理システム12、14、16は、複数のバッテリーモジュール2、4、6の温度、電圧又は電流を測定してモニタリングし、モニタリングした情報を上位システムに伝送し、上位システムからバッテリーセルの制御命令を受信して連結されたバッテリーモジュールを制御する。
【0017】
複数のバッテリーモジュール2、4、6は、直列又は並列に連結されてバッテリーパック1を形成する。バッテリーパック1には、マスターバッテリー管理システム10が配置される。マスターバッテリー管理システム10は、バッテリーパック1の温度、電圧、又は電流を測定してモニタリングする。また、マスターバッテリー管理システム10は、バッテリーモジュールにそれぞれ配置されているスレーブバッテリー管理システム12、14、16からそれぞれのバッテリーモジュールのモニタリング情報を受信して上位システムに伝送し、上位システムから各種命令を受信して当該スレーブバッテリー管理システム12、14、16に伝送する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図2を参照すれば、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置200は、プロセッサー210、通信モジュール220、ユーザーインターフェース230、ディスプレイ240、及びアラームモジュール250を含んでよい。
【0020】
プロセッサー210は、通信モジュール220がバッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つに、システムをプロビジョニング(provisioning)モードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信するようにできる。ここで、プロビジョニングモードとは、バッテリー管理システムに対して診断を行い、ネットワークと当該バッテリー管理システムにIDを割り当てる一連の過程を意味する。この際、本発明のプロビジョニング装置200は、バッテリー管理システム中のプロビジョニング信号を受信したバッテリー管理システムに対してのみプロビジョニングモードで動作するようにできる。
【0021】
プロセッサー210は、通信モジュール220を介して複数のバッテリー管理システムからバッテリーとバッテリー管理システムの状態情報を受信することができる。この際、通信モジュール220を介して受信するバッテリーとバッテリー管理システムの状態情報は、バッテリー管理システムでバッテリーモジュールとバッテリー管理システム自体に対するモニタリングを行い、別途のメモリーに保存しているデータであってよい。
【0022】
また、通信モジュール220を介して伝送されるプロビジョニング信号は、予め設定されたパターンを有する信号を含んでよい。例えば、プロビジョニング信号は、ウェークアップトーン(wake up tone)信号、ジャミング(jamming)信号などを介して特定のバッテリー管理システムに対してのみプロビジョニングモードに転換されるようにできる。プロビジョニングモードに転換された後には、プロセッサー210は、通信モジュール220を介してプロビジョニングモードでのみ動作可能な命令信号を介して通信を行うことができる。また、プロセッサー210は、通信モジュール220を介してバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作が終了した場合、当該バッテリー管理システムにプロビジョニング終了命令を送信することができる。
【0023】
また、プロセッサー210は、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報に基づいて、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態を診断することができる。例えば、プロセッサー210は、バッテリー及びバッテリー管理システムの電圧、電流、温度、圧力などの状態情報が予め設定された基準範囲を外れるか否か基づいて異常有無を判断することができる。
【0024】
また、プロセッサー210は、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報と診断結果を、グラフィックインターフェース(例えば、ディスプレイ240)を介してユーザーに表示するか、外部サーバー(未図示)に伝送することができる。
【0025】
プロセッサー210は、バッテリーパックのネットワークのID及びバッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てることができる。この際、バッテリーパックのネットワークのIDとバッテリー管理システムのIDは、ユーザーが直接ユーザーインターフェース230を介して設定することができる。また、ネットワークIDとバッテリー管理システムのIDは、バッテリー管理システムによりランダムに生成されるか、バッテリー供給社により生成され得る。この際、プロセッサー210は、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態診断をしてからネットワーク及びバッテリー管理システムのIDを割り当てることができ、これとは逆に、ネットワーク及びバッテリー管理システムのIDを割り当ててからバッテリー及びバッテリー管理システムから状態情報を受信するようにできる。
【0026】
また、プロセッサー210は、ネットワークIDとバッテリー管理システムのID以外にも、ネットワーク情報(例えば、使用周波数など)、バッテリー管理システムの動作構成値(operating configuration value)などを割り当てることができる。
【0027】
一方、プロセッサー210は、通信モジュール220を介して、複数のバッテリー管理システム中のマスターバッテリー管理システムにプロビジョニング信号を送信すると、マスターバッテリー管理システムに対してネットワークのID及びマスターバッテリー管理システムのIDを割り当てることができる。そして、マスターバッテリー管理システムによりネットワークが形成されると、スレーブバッテリー管理システムにプロビジョニング信号を送信し、スレーブバッテリー管理システムに対してネットワークのID及び当該スレーブバッテリー管理システムのIDを順次割り当てることができる。
【0028】
通信モジュール220は、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムと通信することができる。例えば、通信モジュール210は、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFCなど多様な方式で無線通信を行ってよい。
【0029】
また、通信モジュール220は、複数のバッテリー管理システム中の一つのバッテリー管理システムに対してのみ信号を送信するようにする指向性アンテナを含んでよい。通信モジュール220の指向性アンテナは、指向性を向上させるためのアンテナガードを介して、近距離にあるバッテリー管理システムと通信可能になるようにできる。
【0030】
ユーザーインターフェース230は、ユーザーから装置設定、バッテリーパックのネットワークのID、複数のバッテリー管理システムそれぞれのID、及びバッテリー管理システムを制御するための命令に関する入力などを受信することができる。すなわち、ユーザーは、ユーザーインターフェース230を介してプロビジョニング装置200を操作するための各種入力を提供することができる。例えば、ユーザーインターフェース230は、キーボード、マウス、タッチパッドなど多様な形態で構成され得る。
【0031】
ディスプレイ240は、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報とバッテリーパックのネットワークのID及びバッテリー管理システムそれぞれのIDなどを表示することができる。また、ディスプレイ240は、ユーザーインターフェースとして前述したユーザーインターフェース230の機能を行うことができる。
【0032】
アラームモジュール250は、プロセッサー210でバッテリー及びバッテリー管理システムの少なくとも一つに異常が発生したと判断されると、警告通知を発生させることができる。この際、アラームモジュール250は、音声や光信号などを介してユーザーに異常有無を通知することができる。一方、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置200でアラームモジュール250は、ユーザーインターフェース230に含まれてよい。
【0033】
本発明に係るプロビジョニング装置200は、バッテリー管理システム間の通信と同一のインターフェース上で行われてよい。従来には、バッテリー管理システムにIDを割り当てるために別途の装置を備えて新しいインターフェース(例えば、IR通信装置)上でIDを割り当てたが、本発明のプロビジョニング装置によれば、既存のバッテリー管理システムの通信インターフェースと同一のインターフェース上でIDを割り当てることができるので、追加インターフェースを備えるためのコストを節減することができる。
【0034】
また、本発明のプロビジョニング装置200は、ユーザー又は移動装置により運搬することができる。例えば、ユーザーは、プロビジョニング装置200を直接携帯可能であり、バッテリー管理システムそれぞれに対して直接プロビジョニング装置200をタッグすることにより、前述したプロビジョニングモード(診断及びID割り当て)を行うことができる。又は、プロビジョニング装置200を別途の移動装置に搭載して移動させながら、バッテリー管理システムそれぞれに対するプロビジョニングモードを行うことができる。
【0035】
一方、本発明に係るプロビジョニング装置200は、ユーザー又は移動装置が直接運搬する代わりに、複数のバッテリー管理システムそれぞれに対して備えられてよい。すなわち、プロビジョニング装置200は、バッテリー管理システムそれぞれに隣接して設けられ、ユーザーや移動装置が直接運搬しながら、タッグする必要なしに自動的にプロビジョニングモードを行うようにできる。
【0036】
このように、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置200によれば、バッテリーを組み立てる際に、別途の装置を用いてバッテリー及びバッテリー管理システムの状態をモニタリングし、ネットワークIDと各バッテリー管理システムのIDを効率的に割り当てることができ、体積とコストを節減することができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置がバッテリーパックのバッテリー管理システムと動作することを示す図である。
【0038】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック300は、BMC(Battery Module Controller)310、CMC(Cell Module Controller)320及びプロビジョニング装置330を含んでよい。ここで、BMC310は、マスターバッテリー管理システムに該当し、CMC320は、複数のスレーブバッテリー管理システムに該当してよい。
【0039】
CMC320は、複数のバッテリーセルを含むバッテリーモジュールの状態をモニタリングして制御する機能を行う。図3に示されたように、各CMC320は、バッテリーモジュールそれぞれに対して備えられており、各バッテリーモジュールに含まれたバッテリーセルの電圧、電流、温度、SOC(state of charge)などの状態情報を検出することができる。
【0040】
また、BMC310は、各CMC320から検出された状態情報を受信し、当該情報に基づいて各CMC320に命令を伝送することができる。すなわち、BMC310は、バッテリーパック300のバッテリーモジュールとバッテリー管理システムの全般的な制御を行うことができる。
【0041】
図3に示されたように、本発明に係るプロビジョニング装置330は、バッテリーパック300のBMC310及びCMC320と無線で通信を行うことができる。すなわち、プロビジョニング装置330は、前述のように、BMC310及びCMC320それぞれに対してプロビジョニングモードに転換させ、バッテリーモジュール、BMC310及びCMC320の状態診断とID割り当てを行ってよい。また、プロビジョニング装置330は、ユーザーグラフィックインターフェース(GUI)を含んでよい。
【0042】
本発明のプロビジョニング装置330は、ユーザーが別途のシステムから獲得して入力したIDを使用するか、BMC310又はCMC320から生成されたIDを受信してネットワークIDと各BMC310又はCMC320のIDとして使用してよい。この際、CMC320のIDは順次付与されるか、ユーザーが直接入力してよい。
【0043】
また、本発明に係るプロビジョニング装置330は、BMC310及びCMC320の状態診断を行い、ネットワークID及びBMC310及びCMC320それぞれに対するIDを割り当て、別途のメモリー(未図示)に保存することができる。それとともに、プロビジョニング装置330は、ネットワークの管理とモニタリングを行うことができ、新規装置を追加するか、装置の初期化などを行うことができる。そして、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置330は、ネットワークID及びBMC310及びCMC320それぞれに対するIDなどの各種データを外部サーバー(未図示)又は電子装置(例えば、PC、ユーザー端末など)にアップロードして管理可能になるように構成され得る。
【0044】
プロビジョニング装置330によりBMC310とCMC320の両方にIDが割り当てられると、BMC310とCMC320は、割り当てられたBMS IDをアドレスとして設定してネットワークを形成し、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態(バッテリーセル/モジュール電圧、温度など)などに関するデータと各種命令(例えば、状態モニタリング命令、セルバランシング命令、異常診断のためのしきい値指定命令など)を送受信することができる。
【0045】
図4aは、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の例示的な構成を示す図であり、図4bは、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置を使用する方法の例示を示す図である。
【0046】
図4aを参照すれば、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置は、バッテリー管理システムとの通信のための指向性アンテナを備えることができる。これにより、プロビジョニング装置が特定のバッテリー管理システムに対してのみ通信を行うようにできる。また、プロビジョニング装置は、指向性アンテナのアンテナ放射保護膜をさらに設け、通信の指向性を向上させ得る。
【0047】
一方、ユーザーは、プロビジョニング装置のグラフィックユーザーインターフェース(GUI)を介して、装置設定、ネットワークID及び装置ID入力、状態モニタリング、各種命令語の入力、及び自動化スクリプトなどの機能を行うことができる。
【0048】
図4bを参照すれば、本発明のプロビジョニング装置は、バッテリー管理システムと接触されるか又は隣接して配置されてプロビジョニングを行うことができる。この際、プロビジョニング装置は、バッテリー管理システムに搭載されてもよく、ユーザーが運搬しながらタッグする方式でプロビジョニングを行ってよい。また、それぞれのバッテリー管理システムは、プロビジョニング装置から信号を受信するための受信機を含んでよい。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置の動作を示す図である。
【0050】
図5を参照すれば、先ず、プロビジョニング装置は、マスターバッテリー管理システムにプロビジョニング信号を伝送する(S110)。この際、プロビジョニング信号は、事前に決定されたパターン信号であってよい。また、プロビジョニング装置とバッテリー管理システムとの間の通信は、バッテリー管理システム間の通信方式と同一の方式で行われてよい。
【0051】
マスターバッテリー管理システムがプロビジョニング装置からプロビジョニング信号を受信すると、プロビジョニングモードに進入する。そして、プロビジョニング装置は、マスターバッテリー管理システムに状態情報要請命令を伝送し(S120)、マスターバッテリー管理システムでは、バッテリーとマスターBMS自体に対する状態情報(例えば、電圧、SOC、温度など)をプロビジョニング装置に伝送する(S130)。この際、プロビジョニング装置では、受信された状態情報を用いて、バッテリーとバッテリー管理システムに対する異常診断を行うことができる。
【0052】
次に、プロビジョニング装置では、ネットワークID及びマスターバッテリー管理システムのIDを設定する(S140)。ここで、ネットワークID及びマスターバッテリー管理システムのIDは、ユーザーが直接設定するか又はバッテリー管理システムで生成され得る。マスターバッテリー管理システムでネットワークIDとバッテリー管理システムのIDを受信すると、さらにプロビジョニング装置に受信確認信号を伝送する(S150)。このように、プロビジョニング過程が全て行われると、プロビジョニング装置では、マスターバッテリー管理システムにプロビジョニング終了命令を伝送する(S160)。プロビジョニングモードが終了すると、マスターバッテリー管理システムは一般モード(normal mode)に戻る。
【0053】
マスターバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作が終了すると、プロビジョニング装置は、スレーブバッテリー管理システムにプロビジョニング信号を伝送する(S170)。そして、マスターバッテリー管理システムと同一の方式でスレーブバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作を行う。この際、スレーブバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作は、段階S120~S150と実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。スレーブバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作が全て終了すると、プロビジョニング装置は、スレーブバッテリー管理システムにプロビジョニング終了命令を伝送する(S180)。
【0054】
一方、プロビジョニング装置は、第一のスレーブバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作が終了すると、当該スレーブバッテリー管理システムは一般モードに転換し、次のスレーブバッテリー管理システムに対するプロビジョニング動作を順次行う。
【0055】
このように、プロビジョニング装置により全てのマスター及びスレーブバッテリー管理システムにIDが割り当てられると、バッテリー管理システムは、割り当てられたBMS IDをアドレスとして設定してネットワークを形成することにより、データと命令を送受信することができる。例えば、スレーブバッテリー管理システムは、バッテリーモジュールとバッテリー管理システムの状態(バッテリーセル/モジュール電圧、温度など)などに関するデータをマスターバッテリー管理システムに送信することができ、マスターバッテリー管理システムでは、各種命令(例えば、状態モニタリング命令、セルバランシング命令、異常診断のためのしきい値指定命令など)をスレーブバッテリー管理システムに送信することができる。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態によるプロビジョニング方法を示すフローチャートである。
【0057】
図6を参照すれば、先ず、プロビジョニング装置を介してバッテリーパックに含まれた複数のバッテリー管理システムの少なくとも一つに、システムをプロビジョニングモードに転換するためのプロビジョニング信号を無線で送信する(S210)。また、プロビジョニング信号は、ウェークアップトーン信号、ジャミング信号など、予め設定されたパターン信号を介して特定のバッテリー管理システムに対してのみプロビジョニングモードに転換されるようにできる。
【0058】
また、段階S210においては、複数のバッテリー管理システム中の特定のバッテリー管理システムに対してのみ信号を送信するようにする指向性アンテナと、指向性を向上させるためのアンテナガードを介してターゲットになるバッテリー管理システムに対してのみ通信可能になるようにできる。
【0059】
そして、プロビジョニングモードに転換されたバッテリー管理システムからバッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報を受信する(S220)。この際、段階S220においては、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報に基づいてバッテリー及びバッテリー管理システムの状態を診断することができる。例えば、バッテリー及びバッテリー管理システムの電圧、電流、温度、圧力などの状態情報が予め設定された基準範囲を外れるか否かに基づいて異常有無を判断することができる。また、段階S220において行われたバッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報と診断結果を、グラフィックインターフェースを介してユーザーに表示するか、外部サーバーに伝送することができる。
【0060】
次に、バッテリーパックのネットワークのID及びバッテリー管理システムそれぞれのIDを割り当てる(S230)。この際、バッテリーパックのネットワークのIDとバッテリー管理システムのIDは、ユーザーが直接入力モジュールを介して設定するか、バッテリー管理システムにより自体的に生成されてよい。
【0061】
また、段階S230においては、複数のバッテリー管理システム中のマスターバッテリー管理システムにプロビジョニング信号を送信すると、マスターバッテリー管理システムに対してネットワークのID及びマスターバッテリー管理システムのIDを割り当てることができる。そして、マスターバッテリー管理システムによりネットワークが形成されると、複数のバッテリー管理システム中のスレーブバッテリー管理システムそれぞれにプロビジョニング信号を送信し、スレーブバッテリー管理システムそれぞれに対してネットワークのID及び当該スレーブバッテリー管理システムのIDを順次割り当てることができる。
【0062】
図5及び図6では、プロビジョニング装置が、各バッテリー管理システムに対するモニタリングを行ってからネットワークとバッテリー管理システムのID割り当てを行うと説明したが、本発明がこれに制限されるものではなく、ネットワークとバッテリー管理システムのIDを割り当てからモニタリングを行ってもよい。
【0063】
一方、図6には示されなかったが、本発明の一実施形態によるプロビジョニング方法は、バッテリー及びバッテリー管理システムの状態情報とバッテリーパックのネットワークのID及びバッテリー管理システムそれぞれのIDなどを表示することにより、ユーザーがデータを直接確認可能になるようにできる。
【0064】
また、本発明の一実施形態によるプロビジョニング方法は、段階S220を介して、バッテリー及びバッテリー管理システムの少なくとも一つに異常が発生したと判断されると、警告通知を発生させて、ユーザーに危険を通知することができる。
【0065】
このように、本発明の一実施形態による本発明のプロビジョニング方法によれば、バッテリーを組み立てる際に、別途の装置を用いてバッテリー及びバッテリー管理システムの状態をモニタリングし、ネットワークIDと各バッテリー管理システムのIDを効率的に割り当てることができ、体積とコストを節減することができる。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態によるプロビジョニング装置のハードウェア構成を示す図である。
【0067】
図7を参照すれば、プロビジョニング装置700は、各種処理及び各構成を制御するマイクロコントローラー(MCU)710と、運営体制プログラム及び各種プログラム(例えば、バッテリー及びバッテリー管理システム診断プログラム、ID割り当てプログラムなど)などが記録されるメモリー720と、バッテリーセルモジュール及び/又は半導体スイッチング素子との間で入力インターフェース及び出力インターフェースを提供する入出力インターフェース730と、有無線通信網を介して外部と通信可能な通信インターフェース740を備えてよい。このように、本発明に係るコンピュータープログラムはメモリー720に記録され、マイクロコントローラー710により処理されることにより、例えば、図2に示された各機能ブロックを行うモジュールとして具現され得る。
【0068】
以上、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が一つに結合するか、結合されて動作することと説明されたとして、本発明が必ずこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的範囲内であれば、その全ての構成要素が一つ以上に選択的に結合されて動作してもよい。
【0069】
また、以上に記載された「含む」、「構成する」又は「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在し得ることを意味するので、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでよいと解釈されなければならない。技術的や科学的な用語を含む全ての用語は、特に定義されない限り、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されなければならず、本発明で明らかに定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解釈されない。
【0070】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等の範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7