(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】移動式走査エリアを使用する付加製造
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20231219BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20231219BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20231219BHJP
B29C 64/205 20170101ALI20231219BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20231219BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20231219BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20231219BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231219BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231219BHJP
【FI】
B22F3/16
B22F3/105
B29C64/153
B29C64/205
B29C64/264
B29C64/268
B29C64/371
B33Y10/00
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2021033607
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2019538150の分割
【原出願日】2018-01-03
【審査請求日】2021-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】レディング、マッケンジー、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】フィールドマン、ザッカリー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マムラク、ジャスティン
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】粟野 正明
【審判官】山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-196856(JP,A)
【文献】特開2014-125643(JP,A)
【文献】特開2017-35873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64
B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築ユニット(302)、
エネルギービームを加工物表面に方向づける照射放出方向づけデバイス(401)、及び
前記構築ユニット(302)が取り付けられた位置決めシステム(301)であって、操作の間に少なくとも3次元において前記構築ユニット(302)を移動させるように適合させた前記位置決めシステム(301)、を含み、
低酸素環境を促進するために2つ以上のガスゾーンを有する制御可能な低酸素の構築環境を有し、第1ガスゾーンが前記加工物表面の直上にわたって位置決めされ、第2ガスゾーンが前記第1ガスゾーンの上に位置決めされ
、かつ筐体によって
前記構築ユニット(302)及び前記位置決めシステム(301)を囲む格納ゾーンから切り離され、
前記構築ユニット(302)が、さらに、前記加工物表面にわたって前記第1ガスゾーンに層状のガス流を提供するように適合させたガス流デバイス(403)を含む、付加製造装置(300)。
【請求項2】
さらに、前記照射放出方向づけデバイスが取り付けられた第2位置決めシステムを含む請求項1に記載の装置であって、前記第2位置決めシステムが、前記構築ユニットの中において前記照射放出方向づけデバイスを移動させるように適合させたものである、装置。
【請求項3】
x-y平面で前記構築ユニットを回転させることができる、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記構築ユニットが、粉末分配器(406)と再塗工機羽根(411)とを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
物体を作製する方法であって、
(a)構築ユニット(302)を移動させて第1構築エリアの少なくとも第1部分にわたって粉末の第1層を堆積させることであって、前記構築ユニット(302)が作製される前記物体の表面にわたって位置決めされ、層状のガス流が提供される第1ガスゾーン、及び筐体に含まれる第2ガスゾーンを含む、ことと、
(b)エネルギービームを前記作製される物体の表面に方向づける照射放出方向づけデバイス(401)を用いて前記第1構築エリアの中において粉末の前記第1層の少なくとも一部を照射して第1融合層を形成することと、
(c)粉末の前記第1層に対して実質的に垂直な方向に上方へ前記構築ユニット(302)を移動させることと、
(d)少なくとも工程(a)~(c)を繰り返して前記物体を形成することと、
を含む方法。
【請求項6】
工程(b)の後で、工程(c)の前に、少なくとも、
(a’)前記構築ユニット(302)を移動させて粉末の第2層を堆積させることであって、粉末の前記第2層が粉末の前記第1層に当接することと、
(b’)粉末の前記第2層の少なくとも一部を照射して第2融合層を形成することと、
の工程を、さらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記照射放出方向づけデバイスが取り付けられた第2位置決めシステムを含む請求項
5又は請求項
6に記載の方法であって、前記第2位置決めシステムが、前記構築ユニットの中において前記照射放出方向づけデバイスを移動させるように適合させたものである、方法。
【請求項8】
x-y平面で前記構築ユニット(302)を回転させることができる、請求項
5から請求項
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記構築ユニットが、粉末分配器(406)と再塗工機羽根(411)とを含む請求項
5から請求項
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
光ファイバケーブルがレーザから前記構築ユニット(302)に延びる、請求項
5から請求項
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、第2構築ユニット(802B)を用いて前記物体の表面上に第2物体の少なくとも部分を構築することを含む、請求項
5から請求項
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
さらに、第2構築ユニット(1101)を用いて前記物体の表面上に前記物体の少なくとも部分の周辺における構築エンベロープの少なくとも部分を構築することを含む、請求項
5から請求項
10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本開示は、概して、より大規模なフォーマットにおいて、例えば直接溶融レーザ製造(「DMLM」)によって、付加製造(「AM」)プロセスを行うのに適合した方法及びシステムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
以下の同時に出願された関連出願が参照されるが、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
代理人整理番号037216.00059の「Additive Manufacturing Using a Mobile Build Volume」と表題の、2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/406,467。
【0004】
代理人整理番号037216.00060の「Additive Manufacturing Using a Mobile Scan Area」という表題の、2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/406,454。
【0005】
代理人整理番号037216.00061の「Additive Manufacturing Using a Dynamically Grown Wall」という表題の、2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/406,444。
【0006】
代理人整理番号037216.00062の「Additive Manufacturing Using a Selective Recoater」という表題の、2017年1月13日に出願された米国特許出願第15/406,461。
【背景技術】
【0007】
全体が参照により本明細書に組み込まれる独国特許第DE19649865号において、典型的なレーザ粉末床融合プロセスの記載が提供されている。減算製造方法とは対照的に、AMプロセスは、概して、ネットシェイプ又はニアネットシェイプ(NNS)の物体を作製するための1又は複数の材料の集積を含む。「付加製造」は、業界標準用語(ASTM F2792)であるが、AMは、フリーフォーム作製、3Dプリント、急速プロトタイピング/ツーリングなどを含む様々な名称で知られている各種の製造手法及びプロトタイピング手法を包含する。AM手法は、多種多様な材料から複雑な構成要素を作製することが可能である。概して、自立型の物体は、コンピュータ援用設計(CAD)モデルから作製され得る。特定の型のAMプロセスは、エネルギービーム、例えば電子ビーム又はレーザビームを方向づける照射放出方向づけデバイスを用いて、粉末材料を焼結するか、又は溶融し、前記粉末材料の粒子が一緒に接合される固体三次元物体を作製する。異なる材料システム、例えばエンジニアリングプラスチック、熱可塑性エラストマ、金属及びセラミックが用いられる。レーザ焼結又は溶融は、機能的なプロトタイプ及びツールの急速な作製のための顕著なAMプロセスである。応用は、複雑な加工物、インベストメント鋳造のためのパターン、射出成形及びダイ鋳造のための金型、並びに砂型鋳造のための金型及びコアの直接製造を含む。設計サイクルの間の概念の伝達及び試験を高めるためのプロトタイプ物体の作製は、AMプロセスの他の一般的使用法である。
【0008】
選択的レーザ焼結、直接レーザ焼結、選択的レーザ溶融及び直接レーザ溶融は、微細粉末を焼結するか、又は溶融するためにレーザビームを用いることによって三次元(3D)物体を製造することを指すために用いられる一般的業界用語である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,863,538号及び米国特許第5,460,758号には、従来のレーザ焼結手法が記載されている。より正確には、焼結は、前記粉末材料の溶融点を下回る温度で粉末の粒子を融合すること(凝集すること)を伴うが、一方で溶融は、固体の均質な塊を形成するために粉末の粒子を完全に溶融することを伴う。レーザ焼結又はレーザ溶融に関連づけられた物理的プロセスは、粉末材料への熱伝達と、次いで前記粉末材料を焼結させるか、又は溶融することとを含む。前記レーザ焼結プロセス及び前記レーザ溶融プロセスを幅広い範囲の粉末材料に応用することができるが、製造ルート、例えば焼結速度又は溶融速度と、層製造プロセスの間の微細構造進展に対する処理パラメータの効果との科学的態様及び技術的態様は、充分に理解されてこなかった。この作製方法は、熱伝達、質量伝達及び運動量伝達の複数のモードと、前記プロセスを非常に複雑にする化学反応とを伴う。
【0009】
図1は、直接金属レーザ焼結(「DMLS」)又は直接金属レーザ溶融(DMLM)のための例示的な従来のシステム100の断面図を示す概略図である。前記装置100は、例えば、レーザビームを生成するためのレーザ、又は電流が流れる際に電子を放出するフィラメントであってもよい源120によって生成されたエネルギービーム136を用いて、粉末材料(図示せず)を焼結するか、又は溶融することによって、層ごとの方法で、物体、例えば部分122を構築する。前記エネルギービームによって溶融すべき前記粉末は、貯留器126によって供給され、レベル118で粉末を維持し且つ前記粉末レベル118を上回って拡大する過剰の粉末材料を廃棄物容器128に除去するための方向134に走行する再塗工機アーム116を用いて粉末床112上に一様に広げられる。前記エネルギービーム136は、検流計走査器132などの照射放出方向づけデバイスの制御下で構築されている前記物体の断面層を焼結するか、又は溶融する。前記検流計走査器132は、例えば複数の移動可能な鏡又は走査レンズを含んでもよい。前記レーザが走査される速度は、レーザ電力が特定の箇所に印加される時間に影響を与える臨界制御可能プロセスパラメータである。典型的なレーザ走査速度は、およそ毎秒10~100ミリメートル程度である。構築プラットフォーム114を降下させ、別の粉末の層を前記粉末床及び構築されている物体の上に広げた後、前記レーザ120によって前記粉末の連続的な溶融/焼結を行う。前記粉末層は、典型的には、例えば10~100マイクロメートルである。前記部分122が前記溶融/焼結粉末材料から完全に集積されるまで前記プロセスを繰り返す。
【0010】
前記レーザ120は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステムによって制御されてもよい。前記コンピュータシステムは、各々の層及び制御レーザ120のための走査パターンを決定して、前記走査パターンに従って前記粉末材料を照射してもよい。前記部分122の作製が完全になった後、前記部分122に各種の後処理手法を適用してもよい。後処理手法は、例えば吹き付け又は真空化による過剰の粉末の除去を含む。他の後処理手法は、応力解放プロセスを含む。さらに、前記部分122を仕上げるために熱的後処理手法及び化学的後処理手法を用いることができる。
【0011】
図2は、例えば
図1の要素112によって示される通りの粉末床であってもよい従来の粉末床202内で構築された物体201の側面図を示す。次いで、前記構築プラットフォーム114を降下させ、粉末の連続的層を集積すると、前記物体201は前記床202内に形成される。前記粉末床202の壁203は、部分を作るために必要な粉末の量を規定する。構築環境の中の前記粉末の重量は、この型の装置内に構築されている部分の大きさに対する1つの限定である。大きな部分を作製するために必要な粉末の量は、前記構築プラットフォーム114の限界を上回る可能性があるか、又は構築されている前記物体内において非常に均一な付加層を作製するために必要な正確な工程による前記構築プラットフォームの降下を制御することを困難にする可能性がある。
【0012】
図1で示されるものなどの従来の粉末床システムにおいて、前記エネルギービーム136は、前記粉末床118のほとんどを占めるのに充分に大きな部分を構築する場合に比較的大きい角度θ1を走査する必要がある。これは、前記物体の断面積が増加するにつれて前記角度θ1が増加するにちがいないからである。概して、これらのより大きい部分を作製する場合、前記角度θ1は、前記部分の周囲で大きくなる。そして、前記レーザ及び粉末床の間の接点におけるエネルギー密度は前記部分にわたって変化する。エネルギー密度のこれらの差は、前記レーザが前記粉末床に対して垂直である場合に得られるものと比較して大きな角度における溶融物プールに影響を及ぼす。これらの溶融物プールの差によって、構築されている前記部分のこれらの領域における忠実度の不足及び喪失が生じる場合がある。これらの不足によって、前記所望の部分上の表面仕上げが劣ることになる場合がある。
【0013】
従来技術の方法及びシステムで生じる別の問題は、粉末状材料の層を冷却することと、前記物体に混入する可能性があり、前記エネルギービームの見通し線を不明瞭にする可能性がある、前記粉末に照射することによって生成される煙、凝縮物及び他の不純物(「ガスプルーム」と呼ばれる場合がある)を除去することと、である。変形又は他の欠陥の形成を回避するために、速やかに前記層を冷却し、凝固させることも重要である。大きい物体、すなわち、400~450mmのxy平面(従来の粉末床システムについては、前記粉末床の平面)における最大寸法を有する物体について、むらのない層状ガス流と、不要なガス、粒子、凝縮物並びに他の望ましくない不純物及び混入物の効率的な除去とを提供することは非常に困難である。
【0014】
従来技術のシステム及び方法で生じる別の問題は、前記粉末の望ましくない材料との接触をも回避すると共に、粉末を浪費することを回避するために堆積させた粉末の量及び位置を微細に制御する必要があることである。従来技術の方法及びシステムは、吹き付け機構、滑動機構又はオーガ機構を用いて粉末を堆積させる。これらの機構は、誤動作する可能性がある複数の移動部分を利用するか、又は混入に対する懸念のために前記粉末との接触に適していない材料から作製されている場合がある。
【0015】
例えば、Cerstenらに対するEP2191922及びEP2202016では、別々の離散的な量の粉末を保持するための凹部を有する回転搬送機シャフトを用いて粉末を分配する粉末塗布装置が考察されている。粉末を堆積させる限り前記回転搬送機シャフトが動いている必要があるので、そのような装置は故障の傾向がより大きい。
【0016】
従来の粉末床システムの限界を克服する他の試みは、これらの機械の大型化に関連づけられた前記問題に対処することができなかった。場合によっては、大きいフォーマットシステムを提供する試みは、粉末からレーザ融合部分を作製する際における追加的な問題及び課題を導いてきた。従来のシステムは、均一な層状粉末分布、前記ガスプルームの有効な管理、及び製造されている前記部分にわたる前記レーザエネルギー密度の良好な制御を提供することができなかった。
【0017】
例えば、構築エリアの中でレーザを移動させる概念は、Herzogらに対する米国出願公開第2004/0094728号において探究されたが、本発明者らは、本開示が、構築されている部分上に粉末が分布され得る方法について言及しない点を示した。これらの手法は、粉末がレーザビーム内に噴射され、構築されている前記物体上へ溶融される、より従来のレーザ粉末堆積を包含する。構築されている前記部分にわたる均一な層又は粉末を達成する方法の考察がないので、そのようなシステムの寸法的精度は非常に限定される。さらに、前記構築環境が大きいので、前記レーザ溶融物プールの近くの適切なガス環境を達成することは困難となる。
【0018】
別の例において、ホッパを用いて粉末を堆積させる大きいフォーマットシステムの概念は、Keremesらに対する米国特許出願公開第2013/0101746号において探究されている。材料30を、構築されている部分40上へ材料塗布器28を用いて堆積させる。前記部分40を作製する場合、材料30を集積させるために保持壁42が利用される。前記システムは、構築室の上部の近くの固定位置内に配置されるレーザ18を利用する。前記部分40の大きさが増大する場合、特に前記部分の周辺領域において前記レーザビーム20の角度が増大する。また、材料30が前記部分40上に堆積するので、前記部分40上に堆積する前記材料30の厚さを正確に制御することは困難である。
【0019】
McMurtryら(「McMurtry」)に対する「Additive Manufacturing Apparatus and Method」という表題の国際出願第WO2014/199149において、単一の寸法における、すなわち、線に沿って物体の別々の部分を構築するために局所的ガス流デバイスを有する複数の多角形の鏡を利用することと、構築プラットフォームを降下させて粉末の別の層を提供することとが考察されている。大きな物体について、充分な粉末を安定して保持することが可能であり、且つ必要とされる正確な層厚さだけ降下させることも可能なプラットフォームを構築することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述の問題を克服する大きなフォーマットの粉末製造システムの必要が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、付加製造装置に関する。実施形態において、前記装置は、粉末分配器及び再塗工機羽根を有する構造ユニットと、照射放出方向づけデバイスと、位置決めシステムとを含むものであって、前記位置決めシステムが、操作の間、例えばx座標、y座標及びz座標であってもよい少なくとも3次元で構築ユニットを移動させるように適合させたものである。前記構築ユニットをx-y平面で回転させてもよい。有利には、本発明の実施形態によれば、前記位置決めシステムは、前記再塗工機羽根の幅の3乗より少なくとも10倍大きい体積の中で前記構築ユニットを移動させてもよい。前記構築ユニットは、前記再塗工機羽根幅の2乗より少なくとも10倍大きいxyエリアの周辺において前記構築ユニットを移動させてもよい。前記照射放出方向づけデバイスは、レーザ照射又はe-ビーム照射を方向づけるように適合させてもよい。例えば、前記照射放出方向づけデバイスは光学鏡又は光学レンズであることが可能であるか、又はそれは電磁コイルであることが可能である。
【0022】
前記構築ユニットは、さらに、実質的に層状のガス流を加工物表面にわたって提供するように適合させたガス流デバイスの中の層状ガス流ゾーンを含んでもよい。前記ガス流デバイスは、低減酸素環境を前記加工物表面にわたって提供するように適合させてもよい。操作の間、前記ガス流デバイスが前記加工物表面にわたってガス流を提供する場合、レーザ源からレーザ照射を方向づけるように前記照射放出方向づけデバイスを適合させる。前記レーザ源は、前記構築ユニットの中にあってもよく、又は前記構築ユニットの外側にあってもよい。例えば光ファイバケーブルが前記レーザから前記構築ユニットに延びる場合に前記レーザ源が前記構築ユニットの中にある場合、前記光ファイバケーブルは、前記レーザ照射を前記レーザから(前記構築ユニットの中にある)前記照射放出方向づけデバイスに伝送し、そして前記構築ユニットは、前記レーザ源に取り付けられる第2位置決めシステムをさらに含んでもよく、前記第2位置決めシステムは、前記構築ユニットの動きから独立した前記構築ユニットの中において前記レーザ源を移動させるように適合される。
【0023】
本発明は、物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)構築ユニットを移動させて第1構築エリアの少なくとも第1部分にわたって粉末の第1層を堆積させることであって、前記構築ユニットが粉末分配器及び再塗工機羽根を含む、ことと、(b)前記第1構築エリアの中において粉末の前記第1層の少なくとも一部を照射して第1融合層を形成することと、(c)粉末の前記第1層に対して実質的に垂直な方向に上方へ前記構築ユニットを移動させることと、(d)前記物体を形成することを繰り返すことと、を含む。工程(b)の後であるが工程(c)の前に、前記方法は、少なくとも、(a’)前記構築ユニットを移動させて粉末の第2層を堆積させる工程であって、粉末の前記第2層が粉末の前記第1層に当接する、工程、及び(b’)粉末の前記第2層の少なくとも一部を照射して第2融合層を形成する工程、をさらに含んでもよい。前記照射は、レーザ照射又はe-ビーム照射であってもよい。加工物表面にわたって実質的に層状のガス流を層状ガス流ゾーンに提供するガス流デバイスがある場合、前記照射はレーザ照射である。
【0024】
本発明は、選択的再塗工機を含む付加製造装置にも関する。実施形態において、前記装置は、粉末分配器、例えばホッパを含み、前記粉末分配器は、粉末貯蔵エリア並びに少なくとも第1ゲート及び第2ゲートを含み、前記第1ゲートは、前記第1ゲートを開閉すること可能にする第1作動器によって作動可能であり、前記第2ゲートは、前記第2ゲートを開閉することを可能にする第2作動器によって作動可能であり、各ゲートは、前記粉末貯蔵エリアから加工物表面上への粉末の分配を制御するように適合している。前記粉末分配器は、任意の数の粉末ゲート、例えば、少なくとも10の粉末ゲート、又は、より好ましくは、少なくとも20のゲートを有してもよい。有利には、前記粉末分配器及び各ゲートは、前記粉末の材料であってもよいコバルト-クロムなどの同じ材料から作製されていてもよい。各作動器は、例えば電気的作動器又は空気圧式作動器のいずれかであってもよい。前記選択的再塗工機は、前記加工物表面にわたって粉末の層を提供するように適合させた構築ユニットの一部であってもよい。前記構築ユニットは、さらに、レーザ照射を方向づけるように適合させた照射放出方向づけデバイスを含んでもよいか、又はそれはe-ビーム照射を方向づけるように適合させてもよい。前記構築ユニットは、さらに、粉末の前記層にわたって実質的に層状のガス流を提供するように適合させたガス流デバイスを含んでもよい。
【0025】
本発明は、選択的再塗工機を用いて物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)粉末分配器から加工物表面上へ粉末を堆積させることであって、前記粉末分配器が、粉末貯蔵エリア並びに少なくとも第1ゲート及び第2ゲートを含み、前記第1ゲートが、前記第1ゲートを開閉することを可能にする第1作動器によって作動可能であり、前記第2ゲートが、前記第2ゲートを開閉することを可能にする第2作動器によって作動可能であり、各ゲートが、前記粉末貯蔵エリアから前記加工物表面上への粉末の分配を制御するように適合させた、ことと、(b)粉末の第1層の少なくとも一部に照射して第1融合層を形成することと、(c)少なくとも工程(a)~(b)を繰り返して前記物体を形成することと、を含む。各ゲートは、前記作動器の力に対抗する前記粉末分配器に装着されたばねに取り付けられてもよい。用いられる前記粉末は、コバルト-クロムなどの付加製造に適切な材料であってもよく、前記粉末と接触する前記粉末分配器及び前記ゲートの各表面は、同じ材料から作製されてもよい。前記方法は、さらに、粉末を前記加工物表面上へ選択的に堆積させるために前記第2ゲートを閉じたままにすると共に前記第1ゲートを開く工程を含んでもよい。前記方法は、粉末の前記第1層の少なくとも一部を照射して構築エンベロープの部分を形成することと、前記第2ゲートを閉めて前記構築エンベロープの外側で粉末を堆積させることを回避すると共に前記第1ゲートを開いて前記構築エンベロープの中において粉末を堆積させることと、を含んでもよい。
【0026】
本発明は、移動式ガス流デバイスを含む付加製造装置にも関する。実施形態において、前記装置は、レーザ放出方向づけデバイスと、加工物表面の2インチ以内の、前記加工物表面に実質的に平行な層状ガス流ゾーンに実質的に層状のガス流を提供するように適合させたガス流デバイスを含む構築ユニットと、前記加工物表面に実質的に平行な少なくとも2次元における前記構築ユニットの独立した移動を提供するように適合させた位置決めシステムと、を含み、前記レーザ放出方向づけデバイスが、前記装置の操作の間に前記加工物表面にわたる構築エリアにレーザ照射を方向づけるように適合させたものである。前記位置決めシステムは、少なくとも3次元における前記構築ユニットの独立した移動を提供するように適合させてもよい。前記位置決めシステムは、前記加工物表面と実質的に平行な2次元における前記構築ユニットの回転を可能にするように適合させてもよい。前記ガス流デバイスは、前記構築ユニットの下の領域内の前記加工物表面の周辺の低酸素環境を提供するために層状ガス流ゾーンを維持するように適合させてもよい。前記層状ガス流ゾーンの上に低減酸素ガスゾーンがあってもよい。両ガスゾーンは、少なくとも前記構築ユニット及び前記位置決めシステムを囲む格納ゾーンの中に含まれてもよい。前記レーザ放出方向づけデバイスは前記構築ユニットの中にあってもよく、前記レーザ照射は、光ファイバケーブルを介してレーザから前記レーザ放出方向づけデバイスに伝送されてもよい。前記構築ユニットは、さらに、粉末送出ユニット及び再塗工機アームを含んでもよい。
【0027】
本発明は、層流ゾーンを有するガス流デバイスを用いて物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)加工物表面の構築エリアにわたって構築ユニットを移動させることであって、前記構築ユニットが、前記構築エリアにわたる層流ゾーンの周辺のガス流デバイスを含み、前記ガス流デバイスが、前記加工物表面の2インチ以内の、前記加工物表面に実質的に平行な実質的に層状のガス流を提供する、ことと、(b)前記層流ゾーンを通るレーザを前記加工物表面の前記構築エリアの少なくとも部分に照射して第1融合層を形成することと、(c)少なくとも工程(a)~(b)を繰り返して前記物体を形成することと、を含む。前記方法は、さらに、前記加工物表面から垂直に離れて前記構築ユニットを移動する工程(d)を含んでもよい。工程(d)の後で工程(a)及び(b)を繰り返してもよい。前記構築ユニットを90°回転させ、工程(a)における移動の方向に対して垂直な方向に移動させてもよい。
【0028】
本発明は、移動式走査エリアを用いて粉末から物体を作製する装置にも関する。実施形態において、前記装置は、粉末送出ユニットを有する構築ユニットと、再塗工機アームと、レーザ放出方向づけデバイスと、層流ゾーンの周辺のガス流デバイスと、を含み、前記ガス流デバイスは、加工物表面の2インチ以内の、前記加工物表面に実質的に平行な実質的に層状のガス流を提供するように適合し、位置決めシステムは、少なくとも3次元における前記構築ユニットの独立した移動を提供するように適合する。前記装置は、さらに、前記構築ユニット及び前記位置決めシステムを囲む格納ゾーンを含んでもよい。前記構築ユニットを少なくとも部分的に囲んで、前記加工物表面の構築エリアの上に、すなわち前記ビームの経路の周辺で低酸素環境を形成してもよい。前記レーザ放出方向づけデバイスは、前記装置が操作中である場合に前記構築エリアの中の垂直線に対する前記レーザビームの最大角度が約15°未満となるような高さで前記構築ユニットの中において位置決めされてもよい。光ファイバケーブルは、前記レーザから前記構築ユニットまで延びてもよく、しかるに、前記レーザから前記レーザ放出方向づけデバイスへレーザ照射を伝送してもよい。前記レーザ放出方向づけデバイスは、前記構築ユニットの動きから独立した、前記構築ユニットの中における前記レーザ放出方向づけデバイスの移動を可能にするレーザ位置決めユニットを有してもよい。前記構築ユニットは、さらに、x-yにおける前記レーザビームを制御するように適合させたx-y軸検流計を含んでもよく、前記レーザ位置決めシステムは、x、y及び/又はzにおける前記レーザ放出方向づけデバイスを移動させるように適合させてもよい。前記位置決めシステムは、前記加工物表面に実質的に平行な前記2次元における前記構築ユニットの回転を可能にするように適合させてもよい。
【0029】
本発明は、移動式走査エリアを用いて物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)構築ユニットを移動させて第1構築エリアの少なくとも第1部分にわたって粉末の第1層を堆積させることであって、前記構築ユニットが、粉末送出ユニットと、再塗工機アームと、レーザ放出方向づけデバイスと、加工物表面の構築エリアにわたる層流ゾーンの周辺のガス流デバイスと、を含み、前記ガス流デバイスが、前記加工物表面の2インチ以内の、前記加工物表面に実質的に平行な実質的に層状のガス流を提供する、ことと、(b)前記第1構築エリアの中における粉末の前記第1層の少なくとも一部に照射して第1融合層を形成することと、(c)粉末の前記第1層に対して実質的に垂直な方向に上方へ前記構築ユニットを移動させることと、(d)少なくとも工程(a)~(c)を繰り返して前記物体を形成することと、を含む。工程(d)の後で工程(a)及び(b)を繰り返してもよい。前記レーザ放出方向づけデバイスは、前記構築エリアの中における垂直線に対して15°未満の最大角度を提供するように、前記構築エリアよりも上の高さにおける前記構築ユニットの中で位置決めされてもよい。
【0030】
本発明は、再塗工機羽根と力学的に成長する構築エンベロープとを用いて物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)再塗工機羽根を移動させて第1構築エリアの少なくとも部分にわたって粉末の第1層を形成することと、(b)前記第1構築エリアの中における粉末の前記第1層の少なくとも一部を照射して第1融合層を形成することと、(c)工程(a)及び(b)を繰り返して前記物体を形成することと、を含み、構築エンベロープは、前記物体のまわりの非融合粉末を保持し、前記再塗工機羽根幅の3乗より大きい体積を有する。例えば、それは、前記再塗工機羽根幅の3乗よりも10倍大きくてもよい。前記方法は、さらに、前記再塗工機を移動させて、第2構築エリアの少なくとも部分にわたる、粉末の前記第1層に隣接した粉末の第2層を形成する工程(a’)と、前記第2構築エリアの中における粉末の前記第2層の少なくとも一部を照射して第2融合層を形成する工程(b’)と、を含んでもよい。工程(b)の後で、工程(c)の前に、工程(a’)及び(b’)を行ってもよい。前記方法は、さらに、エンベロープエリアの中における前記構築エンベロープ及び前記非融合粉末を除去して前記物体をあらわにする工程(d)を含んでもよい。前記粉末材料はコバルト-クロムであってもよい。前記構築エンベロープは、照射によって融合された粉末から形成されてもよい。例えば、前記構築エンベロープは、レーザ粉末堆積によって形成されてもよい。粉末の前記第2層は、粉末の前記第1層と実質的に同等であってもよい。前記照射は、低減酸素環境内で行われてもよく、レーザ照射であってもよい。前記照射は、e-ビーム照射であってもよい。前記方法は、さらに、第2構築ユニットを用いて第2物体の少なくとも部分を構築することを含んでもよい。前記方法は、第2構築ユニットを用いて前記構築エンベロープの少なくとも部分を構築することを含んでもよい。
【0031】
本発明は、構築ユニットと力学的に成長する構築エンベロープとを用いて物体を作製する方法にも関する。実施形態において、前記方法は、(a)構築ユニットを移動させて第1構築エリアの少なくとも第1部分にわたって粉末の第1層を堆積させることであって、前記構築ユニットが、粉末分配器、再塗工機羽根及び方向づけエネルギー放出方向づけデバイスを含む、ことと、(b)前記第1構築エリアの中において粉末の前記第1層の少なくとも部分に照射して前記物体の第1融合層を形成することと、(c)工程(a)及び(b)を繰り返して前記物体を形成することと、を含み、構築エンベロープは、非融合粉末を保持する。前記方法は、さらに、(a’)前記再塗工機を移動させて、第2構築エリアの少なくとも一部にわたる、粉末の前記第1層に当接する粉末の第2層を形成することと、(b’)前記第2構築エリアの中における粉末の前記第2層の少なくとも一部に照射して第2融合層を形成することと、を含んでもよい。工程(b)の後で、工程(c)の前に、工程(a’)及び(b’)を実施してもよい。前記方法は、さらに、前記エンベロープエリアの中における前記構築エンベロープ及び前記非融合粉末を除去して前記物体をあらわにする工程(d)を含んでもよい。前記粉末材料はコバルト-クロムであってもよい。前記構築エンベロープは、照射によって融合された粉末から形成されてもよい。例えば、前記構築エンベロープは、レーザ粉末堆積によって形成されてもよい。粉末の前記第2層は、粉末の前記第1層と実質的に同等であってもよい。前記照射は、低減酸素環境内で行われてもよく、レーザ照射であってもよい。前記照射は、電子ビームからのものであってもよい。
【0032】
概して、任意の数の構築ユニットを並行して、すなわち実質的に同時に用いて、1又は複数の物体及び/又は構築エンベロープを全て同じ加工物表面上に構築してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、粉末床を用いたDMLMのための例示的な従来技術のシステムを示す。
【
図2】
図2は、前記物体が形成される際に下の方に移動する従来の粉末床を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る大規模付加製造装置を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る構築ユニットの側面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る粉末を分配している構築ユニットの側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る構築ユニットの上面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る再塗工機の上面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る2つの構築ユニットを有する大規模付加製造装置を示す。
【
図9A】
図9Aは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図9B】
図9Bは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図9C】
図9Cは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図10B】
図10Bは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図10C】
図10Cは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図10D】
図10Dは、本発明の実施形態に係る物体を構築するシステム及びプロセスを示す。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る2つの構築ユニットによって構築されている物体を示す。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る単一の構築ユニットによって構築されている2つの物体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明を実施するための形態及び添付の図は、理解を補助するために本発明のいくつかの例示的な実施形態を示すものである。本発明は、図に示される実施形態に限定されるものではなく、それは、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
本発明は、付加製造を行うために使用され得る装置と、前記装置を利用して物体を付加製造する方法とに関する。前記装置は、それを大きな付加製造された物体を作製するために特に有用にする構成要素を含む。本発明の一態様は、構築ユニットである。前記構築ユニットは、高い精度の大規模付加製造物体を作製するために必要ないくつかの構成要素を含むように構成されてもよい。これらの構成要素は、例えば、再塗工機、ガス流ゾーンを有するガス流ゾーン、及び照射放出方向づけデバイスを含んでもよい。本発明の実施形態において用いられる照射放出方向づけデバイスは、例えば、レーザビームを方向づけるための光学制御ユニットであってもよい。光学制御ユニットは、例えば、光学レンズ、偏向器、鏡及び/又はビーム分割器を含んでもよい。有利には、テレセントリックレンズを用いてもよい。別の場合、前記照射放出方向づけデバイスは、e-ビームを方向づけるための電子制御ユニットであってもよい。前記電子制御ユニットは、例えば、偏向器コイル、集束コイル又は同様の要素を含んでもよい。前記構築ユニットは、構築環境にわたる三次元の移動と、任意の所望の方向の薄い粉末層の塗工を可能にする方法で前記構築ユニットの回転とを可能にする位置決めシステム(例えば、ガントリ、デルタロボット、ケーブルロボット、ロボットアーム、ベルトドライブなど)に取り付けられてもよい。
【0036】
図3は、本発明に係る大規模付加製造装置300の一実施形態の例を示す。前記装置300は、位置決めシステム301と、照射放出方向づけデバイス303を含む構築ユニット302と、層状ガス流ゾーン307と、構築されている物体309の下の構築板(この図では示されない)とを含む。最大構築エリアは、従来のシステムと同様の粉末床による代わりに、前記位置決めシステム301によって規定され、特定の構築物のための前記構築エリアは、前記物体と共に力学的に集積され得る構築エンベロープ308に限定され得る。前記ガントリ301は、x方向に前記構築ユニット302を移動させるxクロスビーム304を有する。z方向に前記構築ユニット302及び前記xクロスビーム304を移動させる2つのzクロスビーム305A及び305Bがある。前記xクロスビーム304及び前記構築ユニット302は、y方向に前記構築ユニット302を移動させる機構306によって取り付けられる。本発明の一実施形態のこの図示において、前記位置決めシステム301はガントリであるが、本発明は、ガントリを使用することに限定されるものではない。本発明において用いられる前記位置決めシステムは、任意の多次元的位置決めシステム、例えばデルタロボット、ケーブルロボット、ロボットアームなどであってもよい。第2位置決めシステム(図示せず)によって前記構築ユニット302内において前記照射放出方向づけデバイス303を独立して移動させてもよい。前記構築ユニットの外側の大気環境、すなわち、前記「構築環境」又は「格納ゾーン」は、典型的には、酸素含有量が典型的な周囲空気に対して減少するように、且つ、前記環境が減圧であるように制御される。
【0037】
レーザ源の場合に前記照射放出方向づけデバイスによって方向づけられた前記レーザ照射を含む光子を生じる照射源があってもよい。前記照射源がレーザ源である場合、前記照射放出方向づけデバイスは、例えば検流計走査器であってもよく、前記レーザ源は、前記構築環境の外側に位置してもよい。これらの状況下で、前記レーザ照射は、任意の適切な手段、例えば光ファイバケーブルによって前記照射放出方向づけデバイスに伝送されてもよい。前記照射源が電子源である場合、前記電子源は、前記照射放出方向づけデバイスによって方向づけられる前記e-ビームを含む前記電子を生じる。前記照射源が電子源である場合、前記照射放出方向づけデバイスは、例えば偏向コイルであってもよい。本発明の実施形態に係る大規模付加製造装置が操作中である場合、前記照射放出方向づけデバイスがレーザビームを方向づけるならば、概して、
図3において307、
図4において404で示される通りのガス流ゾーンに実質的に層状のガス流を提供するガス流デバイスを含むことは有利である。e-ビームが所望される場合、ガス流は提供されない。e-ビームは、周知の照射源である。例えば、Larssonに対する「Arrangement and Method for Producing a Three-Dimensional Product」(「Larsson」)という表題の米国特許第7,713,454号はe-ビームシステムを考察しているが、その特許は参照により本明細書に組み込まれる。前記源が電子源である場合、前記e-ビームが通る空間内において充分な真空を維持することは重要である。ゆえに、e-ビームについて、前記ガス流ゾーン(例えば、
図3における307で示される)を横断するガス流はない。
【0038】
本発明の別の利点は、(
図3で示されるように)形成されている前記物体309の新しい部分を構築するために前記構築ユニット302を新しい位置へ移動させることができるので、前記ビームの最大角度が大きな部分を構築するために比較的小さい角度θ2でもよいということである。前記構築ユニットが静止している場合、θ2が0である場合の前記エネルギービームが接触する前記粉末上の点はxy平面における円の中心を規定し(θ2がおよそ0である場合の前記ビームの方向はz方向を規定し)、前記エネルギービームが前記粉末に接触する前記円の中心から最も遠い点は前記円の外周上の点を規定する。この円は、(ビームの走査エリアと同じ平面内に)形成されている前記物体の最小断面積より小さくてもよいビームの走査エリアを規定する。ビームの走査エリアに対する前記物体の大きさにおける特定の上限はない。
【0039】
いくつかの実施形態において、用いられる前記再塗工機は選択的再塗工機である。一実施形態は、
図4~
図7に示される。
【0040】
図4は、照射放出方向づけデバイス401と、ガス流ゾーン404にガス流を提供する加圧出口部分403A及び真空入口部分403Bを有するガス流デバイス403と、再塗工機405と、を含む構築ユニット400を示す。前記ガス流ゾーン404の上に、不活性環境419を含む筐体418がある。前記再塗工機405は、裏板407及び前板408を含むホッパ406を有する。前記再塗工機405は、少なくとも1つの作動要素409、少なくとも1つのゲート板410、再塗工機羽根411、作動器412及び再塗工機アーム413をも有する。前記再塗工機は装着板420に装着される。
図4は、例えば付加製造又はMig/Tig溶接によって構築されてもよい構築エンベロープ414、形成されている物体415、及び前記物体415を形成するために用いられる前記ホッパ405内に含まれる粉末416をも示す。この特定の実施形態において、前記作動器412は、前記前板408から離れて前記ゲート板410を引くために前記作動要素409を作動させる。実施形態において、前記作動器412は、例えば空気圧式作動器であってもよく、前記作動要素409は、双方向弁であってもよい。実施形態において、前記作動器412は、例えば音声コイルであってもよく、前記作動要素409は、ばねであってもよい。対応するゲート板を作動要素によって前記粉末ゲートから離れて引く場合に粉末を流すことができる前記前板408及び前記裏板407の間のホッパ間隙417もある。前記粉末416、前記裏板407、前記前板408及び前記ゲート板410は、全て同じ材料であってもよい。別の場合、前記裏板407、前記前板408及び前記ゲート板410は、全て同じ材料であってもよく、その材料は、コバルト-クロムなどの前記粉末材料と適合性があるものであってもよい。本発明の一実施形態のこの特定の図示において、前記ガス流ゾーン404内の前記ガス流はy方向に流れるが、それは必須ではない。前記再塗工機羽根411は、x方向の幅を有する。θ2がおよそ0である場合の前記照射放出ビームの方向は、この図においてz方向を規定する。前記ガス流ゾーン404内の前記ガス流は、実質的に層状であってもよい。前記照射放出方向づけデバイス401は、第2位置決めシステム(図示せず)によって独立して移動可能であってもよい。この図は、閉位置における前記ゲート板410を示す。
【0041】
図5は、(要素510で示される通りの)開位置における前記ゲート板410及び作動要素509を有する、
図4の前記構築ユニットを示す。実質的に同等な粉末層522を作製するために前記再塗工機羽根511によって平滑化される新たな粉末層521を作製するために、前記ホッパ内の粉末を堆積させる。本発明のいくつかの実施形態において、前記構築ユニットが移動すると同時に実質的に同等な前記粉末層に照射してもよく、それによって前記構築ユニットの連続操作が可能になり、しかるに前記物体のより速い製造が可能になる。
【0042】
図6は、
図4の前記構築ユニットのトップダウン図を示す。簡略化のため、ここで前記物体及び前記壁は示されない。前記構築ユニット600は、照射放出方向づけデバイス601と、前記ガス流デバイス603に取り付けられた取り付け板602と、ホッパ606と、再塗工機アーム611とを有する。前記ガス流デバイスは、ガス出口部分603A及びガス入口部分603Bを有する。前記ガス流デバイス603の中にガス流ゾーン604がある。前記ガス流デバイス603は、前記ガス流ゾーン604の中において層状ガス流を提供する。再塗工機アーム611と、作動要素612A、612B及び612Cと、ゲート板610A、610B及び610Cとを有する再塗工機605もある。前記再塗工機605は、裏板607と前板608とを有するホッパ606をも有する。本発明の一実施形態のこの特定の図示において、前記ホッパは、3つの異なる材料609A、609B及び609Cを含む3つの別々の区画に分割される。前記ガス流デバイス603から、及び前記ガス流デバイス603内にガスを供給するガス管613A及び613Bもある。
【0043】
図7は、本発明の実施形態に係る再塗工機のトップダウン図を示す。この特定の図示において、前記再塗工機は、粉末材料701を含む単一区画だけを有するホッパ700を有する。3つの作動要素703A、703B及び703Cによって制御される3つのゲート板702A、702B及び702Cがある。再塗工機アーム704及び壁705もある。前記再塗工機が707によって示されるものなどの前記壁の中の領域にわたって通過する場合、対応する前記ゲート板702Cは、その領域707内に粉末を堆積させるために開いたままにしてもよい。前記再塗工機が前記壁の外側にある領域、例えば708として示される前記領域にわたって通過する場合、対応する前記ゲート板702Cは、その対応する作動要素703Cによって閉じられて、前記粉末を潜在的に廃棄する可能性がある前記壁の外側に粉末を堆積させることを回避する。前記壁705の中において、前記再塗工機は、706で示されるものなどの粉末の離散的線を堆積させることが可能である。前記再塗工機羽根(この図では示されない)は、堆積した前記粉末を平滑化する。
【0044】
有利には、本発明の実施形態による選択的再塗工機は、例えば
図6においては606、610A、610B及び610Cで、
図7においては702A、702B及び702Cで示される通りの、独立して制御可能な粉末ゲートを有する粉末堆積デバイス(例えばホッパ)を用いて、粉末堆積の正確な制御を可能にする。前記粉末ゲートは、例えば双方向弁又はばねであってもよい(例えば、
図4においては409で示される通りの)少なくとも1つの作動要素によって制御される。各粉末ゲートは、粉末堆積の位置及び量を微細に制御するために、特定のパターンで、特定の時間、開閉され得る(例えば、
図6参照)。前記ホッパは、それが複数の多室を含むように隔壁を含んでもよく、各室は粉末ゲートに対応し、各室は特定の粉末材料を含む(例えば、
図6並びに609A、609B及び609C参照)。前記別々の室内の前記粉末材料は同じであってもよく、又はそれらは異なってもよい。有利には、前記粉末堆積にわたる制御ができるだけ微細であるように、各粉末ゲートを比較的小さくすることができる。各粉末ゲートは、例えば約2インチ以下、又はより好ましくは約1/4インチ以下であってもよい幅を有する。概して、前記粉末ゲートが小さくなると前記粉末堆積分解は大きくなるが、前記粉末ゲートの幅に対する特定の下限はない。全ての粉末ゲートの幅の合計は前記物体の最大幅より小さくてもよいが、前記パワーゲートの幅の合計と比較した前記物体の幅に対する特定の上限はない。有利には、本発明の実施形態に係る単純なオン/オフ粉末ゲート機構は、より単純であり、しかるに誤動作する傾向がより小さい。それによって、有利には、前記粉末が接触する部分を少なくすることが可能になり、それによって混入の可能性が減少する。有利には、本発明の実施形態に係る再塗工機は、非常により大きい物体を構築するために使用され得る。例えば、前記再塗工機の最大xy断面積は前記物体の最小断面積より小さくてもよいが、前記再塗工機と比較した前記物体の大きさに対する特定の上限はない。同様に、前記再塗工機羽根の幅は前記物体の最小幅より小さくてもよいが、前記再塗工機羽根と比較した前記物体の幅に対する特定の上限はない。前記粉末が堆積した後、例えば約50マイクロメートル、又は好ましくは約30マイクロメートル、又はさらに好ましくは約20マイクロメートルの特定の厚さを有する粉末の実質的に同等な層を作製するために再塗工機羽根を前記粉末にわたって通過させることができる。本発明のいくつかの実施形態の別の特徴は、力フィードバックループである。前記再塗工機羽根に対する力を検出する前記選択的再塗工機上のセンサがあってもよい。前記製造プロセスの間、前記羽根に対する期待される前記力が検出された前記力に実質的に匹敵しない場合があるならば、前記差を補償するために前記粉末ゲートにわたる制御を修正してもよい。例えば、粉末の厚い層が提供されるが、前記羽根が比較的低い力を受ける場合、このシナリオは、前記粉末ゲートが詰まり、しかるに、通常より低い速度で粉末を分配することを示す可能性がある。これらの状況下において、充分な粉末を堆積させるために、より長い時間、前記粉末ゲートを開くことができる。一方で、前記羽根が比較的高い力を受けるが、提供される粉末の層が比較的薄い場合、このことは、前記粉末ゲートが、前記作動器がそれらを閉じると想定される場合でも適切に閉じていないことを示す可能性がある。これらの状況下において、前記システムを診断して修復することができるように前記構築サイクルを休止することが有利である可能性があり、その結果、前記構築は、部分の質を含むことなく継続されてもよい。本発明のいくつかの実施形態の別の特徴は、前記粉末層厚さをモニタするためのカメラである。前記粉末層厚さに基づいて、多少の粉末を加えるために前記粉末ゲートを制御することができる。
【0045】
また、本発明の実施形態に係る装置は、低酸素環境を促進するために2つ以上のガスゾーンを有する制御低酸素構築環境を有してもよい。前記第1ガスゾーンは、前記加工物表面の直上にわたって位置決めされる。前記第2ガスゾーンは、前記第1ガスゾーンの上に位置決めされてもよく、筐体によってより大きな前記構築環境から切り離されてもよい。例えば、
図4において、要素404は前記第1ガスゾーンを構成し、要素419は、前記筐体418に含まれる前記第2ガスゾーンを構成し、前記装置全体のまわりの環境は前記制御低酸素構築環境である。
図4に示される実施形態において、前記第1ガス流ゾーン404は、実質的に前記ガス流デバイス403の内部体積、すなわち、前記入口部分及び前記出口部分(403A及び403B)の垂直(xz平面)表面によって、且つ、前記入口部分のそれぞれの上側端部及び下側端部からxy平面の前記出口部分の上側端部及び下側端部に仮想の表面を延長することによって規定される体積である。前記照射放出方向づけデバイスがレーザビームを方向づける場合、前記ガス流デバイスは、好ましくは、前記第1ガスゾーンを横断する実質的に層状のガス流を提供する。このことによって、レーザ溶融によって引き起こされる溶出物プルームの除去が容易になる。したがって、粉末の層が照射される場合、煙、凝縮物及び他の不純物は、前記第1ガス流ゾーン内へ流れ、前記粉末と、前記層状ガス流によって形成されている前記物体とから離れて移送される。前記煙、前記凝縮物及び他の前記不純物は、前記低圧ガス出口部分内へ流れ、最終的にHEPAフィルタなどのフィルタ内に回収される。層流を維持することによって、前記粉末層を妨害することなく、レーザによって作製された(1又は複数の)溶融プールを急速に冷却しながら、上述の煙、凝縮物及び他の不純物を効率的に除去することが可能であり、それによって、冶金学的特性が改善された、より高い質の部分が得られる。態様において、前記ガス流体積内の前記ガス流は、毎秒約3メートルである。前記ガスは、x方向又はy方向のいずれかに流れてもよい。
【0046】
前記第2制御大気環境の酸素含有量は、前記第1制御大気環境の酸素含有量に概してほぼ等しいが、それは必須ではない。両制御大気環境の酸素含有量は、好ましくは比較的低い。例えば、それは、1%以下であってもよく、又はより好ましくは0.5%以下であってもよく、又はさらに好ましくは0.1%以下であってもよい。前記非酸素ガスは、前記プロセスのためのいずれの適切なガスであってもよい。例えば、周囲空気を分離することによって得られた窒素は、いくつかの適用のための都合のよい選択肢であってもよい。いくつかの適用は、ヘリウム、ネオン又はアルゴンなどの他の気体を用いてもよい。本発明の利点は、前記第1制御大気環境及び前記第2制御大気環境の比較的小さい体積内において低酸素環境を維持することが非常により容易であるということである。従来技術のシステム及び方法において、前記装置全体及び前記物体全体のまわりのより大きい前記環境は、比較的低い酸素含有量、例えば1%以下を有するように厳しく制御する必要がある。このことは、時間がかかる可能性があり、高価である可能性があり、技術的に困難である可能性がある。しかるに、比較的より小さい体積だけがそのような比較的厳しい雰囲気制御を必要とすることが好ましい。ゆえに、本発明において、前記第1制御大気環境及び前記第2制御大気環境は、例えば、前記構築環境より体積に関して100倍小さくてもよい。前記第1ガスゾーン、及び同様に前記ガス流デバイスは、前記物体の最小xy断面積より小さい最大xy断面積を有してもよい。前記第1ガスゾーン及び/又は前記ガス流デバイスと比較した前記物体の大きさに対する特定の上限はない。有利には、前記照射放出ビーム(例えば、402及び502として示される)は、比較的低い酸素ゾーンである前記第1ガスゾーン及び前記第2ガスゾーンを通って発射する。前記第1ガスゾーンが実質的に層状のガス流を有する層状ガス流ゾーンである場合、前記照射放出ビームは、煙、凝縮物及び他の汚染物又は不純物の上述の効率的除去のために前記物体に対するより明瞭な見通し線を有するレーザビームである。
【0047】
本発明の1つの利点は、いくつかの実施形態において、前記構築板が垂直に静止していてもよい(すなわち、z方向)ということである。このことによって、前記構築板を上下させるための何らかの機構を必要とすることによって使用することができる材料の量を限定する従来技術の方法及びシステムと異なり、構築板が必要に応じて多くの材料を支持することが可能になる。したがって、本発明の前記装置は、大きい(例えば、1m3超の)構築エンベロープの中において物体を製造することに特に適している。例えば、前記構築エンベロープは、500mm2超、又は好ましくは750mm2超、又はより好ましくは1m2超の最小xy断面積を有してもよい。前記構築エンベロープの大きさは、特に限定されない。例えば、それは、100m2もの大きさの最小断面積を有することができる。同様に、形成された前記物体は、約500mm2以上、又は好ましくは約750mm2以上、又はさらに好ましくは約1m2以上の最大xy断面積を有してもよい。前記物体の大きさに対する特定の上限はない。例えば、物体の最小xy断面積は、100m2もの大きさであってもよい。前記構築エンベロープは前記物体のまわりにおいて非融合粉末を保持するので、それは、大きな構築体に特に有利な特定の構築体の中における(潜在的に廃棄粉末となる可能性がある)非融合粉末を最小限に抑える方法で作製され得る。力学的に成長する構築エンベロープの中において大きな物体を構築する場合、異なる構築ユニットを用いて、又は前記物体のために用いられるものとは全く異なる構築方法を用いても、前記エンベロープを構築することは有利である可能性がある。例えば、e-ビームを方向づけるある構築ユニットと、レーザビームを方向づける別の構築ユニットとを有することは有利であり得る。前記構築エンベロープに関して、前記エンベロープの精度及び性質は、比較的重要でなくてもよく、その結果、有利には急速構築手法が用いられる。概して、前記構築エンベロープは、任意の適切な手段によって、例えば、Mig溶接若しくはTig溶接によって、又はレーザ粉末堆積によって構築されてもよい。前記壁が付加製造によって構築される場合、前記壁を構築するために、前記物体を構築するために用いられるものとは異なる照射放出方向づけデバイスを用いることができる。このことは、前記物体を構築するために、より遅く、且つ、より正確な方向づけデバイス及び方法を所望してもよい一方で、特定の照射放出方向づけデバイス及び方法によって前記壁を構築することをより速やかに行ってもよいので、有利である。例えば、異なる構築方法を必要としてもよい前記物体からの異なる材料を用いて急速な構築体から前記壁を構築してもよい。構築体の速度に対する精度を調整するための方法は、本技術分野でよく知られており、ここでは列挙されない。
【0048】
例えば、
図8に示されるように、本発明の前記システム及び前記方法は、1又は複数の物体を構築するために2つ以上の構築ユニットを用いてもよい。構築ユニットの数、物体、及びそれらのそれぞれの大きさは、前記装置の物理的空間構成によって限定されるだけである。
図8は、本発明の実施形態に係る大規模付加製造機械800のトップダウン図を示す。位置決めシステム801に装着された2つの構築ユニット802A及び802Bがある。z方向に前記構築ユニットを移動させるためのzクロスビーム803A及び803Bがある。x方向に前記構築ユニットを移動させるためのxクロスビーム804A及び804Bがある。前記構築ユニット802A及び802Bは、y方向に前記ユニットを移動させる機構805A及び805Bによって前記xクロスビーム804A及び804Bに取り付けられる。形成されている(1又は複数の)物体は、この図には示されていない。構築エンベロープ(この図にも示されない)は、レーザ粉末堆積によるものを含む前記構築ユニットの一方又は両方を用いて構築され得る。例えば溶接によって前記構築エンベロープを構築することもできる。概して、本発明の前記方法及び前記システムを用いて任意の数の物体及び構築エンベロープを同時に構築することができる。
【0049】
有利には、本発明のいくつかの実施形態において、前記壁は、力学的に前記物体の周辺に集積されてもよく、その結果、その形状は前記物体の形状に従う。力学的に構築された室壁によって、有利には、前記室壁が前記物体により近く構築されることになり、それによって、必要とされる支持構造体の大きさが減少し、しかるに、前記支持構造体を構築するために必要な時間が減少する。さらに、より小さい支持構造体は、より安定しており、且つ、より大きな構造的完全性を有し、それによって故障がより少ない、より堅牢なプロセスとなる。一実施形態において、例えば円、楕円及び多角形の形に物体を構築するために、2つの構築エンベロープが、一方が他方の中で中心を共有して構築されてもよい。前記壁が溶接によって構築される場合、有利には、必要に応じてバットレスなどの前記支持構造体を前記壁上に構築して、前記物体のオーバーハング及び他の外向きに構築された特徴を支持してもよい。ゆえに、本発明の実施形態によれば、力学的に構築された室壁は、従来の技術を用いては不可能であるか又は非実用的である物体特徴を可能にする。
【0050】
図9A~
図9Cは、本発明の一実施形態に係る垂直に静止した構築板上における、力学的に成長する構築エンベロープの中の粉末から上方に垂直に構築される物体を示す。この図示において、前記物体900は、構築ユニット901を用いて、垂直に静止した構築板902上に構築される。前記構築ユニット901は、前記構築エンベロープ903の中において粉末を選択的に分配することが可能であってもよいので、前記非融合堆積粉末904は、概して全面的に前記構築エンベロープ903の中にあるか、又は前記非融合堆積粉末904の少なくとも実質的部分は、前記構築エンベロープ903の中にとどまる。
図9Cに示されるように、前記構築ユニット901は、より容易に前記物体900に接近するために前記物体900から離れて移動させてもよい。前記構築ユニット901の移動性は、例えば位置決めシステム(この図では示されない)によって可能にされてもよい。
【0051】
図10A~
図10Dは、構築ユニット1003を用いて、垂直に静止した構築板1002上に、層ごとに、物体1000及び構築エンベロープ1001を構築するシステム及びプロセスを示す。前記物体1000は最上部融合層1004を有し、前記構築エンベロープ1001は最上部融合層1005を有する。非融合堆積粉末1006がある。本発明の一実施形態のこの特定の図示において、前記構築エンベロープ1001の第1層は、
図10Bにおいて要素1007で示されるように構築される。次いで、前記構築ユニットは、粉末1008の新たな層を提供してもよい(
図10C)。次いで、粉末の新たな前記層に照射して前記物体1009の新しい最上部融合層を形成してもよい(
図10D)。前記構築ユニット1003の移動性は、例えば位置決めシステム(この図では示されない)によって可能にされてもよい。
【0052】
図11は、垂直に静止した構築板1103上における、構築ユニット1102によって構築されている物体1100と、構築ユニット1101によって構築されている構築エンベロープ1105とを示す。非融合堆積粉末1104がある。前記構築ユニット1101及び1102の移動性は、例えば位置決めシステム(この図では示されない)によって可能にされてもよい。
【0053】
図12は、垂直に静止した構築板1203上における、単一の構築ユニット1202によって構築されている2つの物体1200及び1201を示す。非融合堆積粉末1204及び1205がある。前記構築ユニット1202の移動性は、例えば位置決めシステム(この図では示されない)によって可能にされてもよい。
【0054】
本発明のさらなる態様は下記の記載によって示される。
【0055】
粉末分配器と再塗工機羽根とを含む構築ユニット、
照射放出方向づけデバイス、及び
前記構築ユニットが取り付けられた位置決めシステムであって、操作の間に少なくとも3次元において前記構築ユニットを移動させるように適合させた前記位置決めシステム、
を含む付加製造装置。
【0056】
前記構築ユニットが、さらに、加工物表面にわたって実質的に層状のガス流を提供するように適合させたガス流デバイスを含む。
【0057】
前記ガス流デバイスが、加工物表面にわたって低減酸素環境を提供するように適合させたものである。
【0058】
前記照射放出方向づけデバイスが、レーザビームを方向づけるように適合させたものである。
【0059】
前記照射放出方向づけデバイスが、レーザビーム又はe-ビームを方向づけるように適合させたものである。
【0060】
前記照射放出方向づけデバイスが前記構築ユニットの中にある。
【0061】
さらに、前記照射放出方向づけデバイスが取り付けられた第2位置決めシステムを含む前記装置であって、前記第2位置決めシステムが、前記構築ユニットの中において前記照射放出方向づけデバイスを移動させるように適合させたものである、装置。
【0062】
前記3次元が、x座標、y座標及びz座標である。
【0063】
x-y平面で前記構築ユニットを回転させることができる。
【0064】
前記位置決めシステムが、前記再塗工機羽根の幅の3乗より少なくとも10倍大きい体積の中で前記構築ユニットを移動させるように適合させたものである。
【0065】
光ファイバケーブルがレーザから前記構築ユニットに延びる。
【0066】
物体を作製する方法であって、
(a)構築ユニットを移動させて第1構築エリアの少なくとも第1部分にわたって粉末の第1層を堆積させることであって、前記構築ユニットが粉末分配器及び再塗工機羽根を含む、ことと、
(b)照射放出方向づけデバイスを用いて前記第1構築エリアの中において粉末の前記第1層の少なくとも一部に照射して第1融合層を形成することと、
(c)粉末の前記第1層に対して実質的に垂直な方向に上方へ前記構築ユニットを移動させることと、
(d)少なくとも工程(a)~(c)を繰り返して前記物体を形成することと、
を含む方法。
【0067】
工程(b)の後で、工程(c)の前に、少なくとも、
(a’)前記構築ユニットを移動させて粉末の第2層を堆積させることであって、粉末の前記第2層が粉末の前記第1層に当接することと、
(b’)粉末の前記第2層の少なくとも一部に照射して第2融合層を形成することと、
の工程を、さらに含む。
【0068】
前記構築ユニットが、さらに、加工物表面にわたって実質的に層状のガス流を提供するように適合させたガス流デバイスを含む。
【0069】
前記ガス流デバイスが、前記加工物表面にわたって低減酸素環境を提供するように適合させたものである。
【0070】
前記照射放出方向づけデバイスがレーザビームを方向づける。
【0071】
前記照射放出方向づけデバイスが前記構築ユニットの中にある。
【0072】
さらに、前記照射放出方向づけデバイスが取り付けられた第2位置決めシステムを含む前記方法であって、前記第2位置決めシステムが、前記構築ユニットの中において前記照射放出方向づけデバイスを移動させるように適合させたものである、方法。
【0073】
前記3次元が、x座標、y座標及びz座標である、前記方法。
【0074】
x-y平面で前記構築ユニットを回転させることができる、前記方法。
【0075】
前記再塗工機羽根の幅の3乗より少なくとも10倍大きい体積の中で前記構築ユニットを移動させるように適合させた位置決めシステムによって前記構築ユニットを移動させる。
【0076】
光ファイバケーブルがレーザから前記構築ユニットに延びる。
【0077】
さらに、第2構築ユニットを用いて加工物表面上に第2物体の少なくとも部分を構築することを含む。
【0078】
さらに、第2構築ユニットを用いて加工物表面上に前記物体の少なくとも部分の周辺における構築エンベロープの少なくとも部分を構築することを含む。