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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】猫の爪研ぎ具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A01K15/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023103985
(22)【出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523243292
【氏名又は名称】株式会社天装
(74)【代理人】
【識別番号】100190160
【弁理士】
【氏名又は名称】隅田 俊隆
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 義貴
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-023072(JP,A)
【文献】特開2008-092874(JP,A)
【文献】特開2013-243991(JP,A)
【文献】特開2015-006140(JP,A)
【文献】実開平02-039661(JP,U)
【文献】実開平01-101347(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0318467(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1867795(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研ぎ面を備える研磨部材と、該研磨部材が収容されるケースとを有し、
前記ケースは、前記研磨部材を横方向から収容できるように、前記研ぎ面の爪研ぎ方向と直交する方向線上にある側面が開口形成されてなる差込口と、前記研ぎ面を上方に露出させる開口部と、前記研磨部材の摩耗により生じる研ぎくずが下方を通過するように網目状若しくは簀の子状に形成される載置面とを備える収容部と、前記収容部の下方に配設され、前記載置面を通過してくる前記研ぎくずを捕集するくず受け部と、を備えることを特徴とする猫の爪研ぎ具。
【請求項2】
前記ケースの上方を覆って個室空間を形成するカバーをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の猫の爪研ぎ具。
【請求項3】
前記カバー及び/又は前記ケースは、内部を視認できるように少なくとも一部が透明若しくは半透明に形成されることを特徴とする請求項2記載の猫の爪研ぎ具。
【請求項4】
前記収容部は、収容された前記研磨部材が前記開口部から離脱しないように前記研ぎ面の周縁に当接する離脱防止部を備えることを特徴とする請求項1記載の猫の爪研ぎ具。
【請求項5】
前記収容部は、収容された前記研磨部材が横方向にずれるのを防止する位置ずれ防止部を前記載置面に備えることを特徴とする請求項1記載の猫の爪研ぎ具。
【請求項6】
前記くず受け部は、前記ケースの側面から出し入れが可能なトレーであることを特徴とする請求項1記載の猫の爪研ぎ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨部材の置換交換を簡単に行うことができかつ置換交換時に研ぎくずが周囲に散らばりにくくして清掃の手間を低減させることができる猫の爪研ぎ具を提供することを課題とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットとして飼育される猫のための爪研ぎ具が提供されている。これまで提供されている爪研ぎ具には、ダンボール紙を複数枚積層させて、その断面を研ぎ面とした研磨部材が広く用いられている。こうしたダンボール紙製の研磨部材は、研ぎ面への爪のかかり具合が程良いことに加え、ランニングコストが安価で済むといった利点がある。
【0003】
猫の爪研ぎ具には、上記ダンボール紙製の研磨部材をそのまま爪研ぎ具として用いるものや、研磨部材をケースに収容して意匠性や機能性を高めたものがある。例えば、研ぎ表面を有する研磨部材と、この研磨部材の表面粗さより相対的に小さい表面粗さを有する乗り場部材と、研磨部材を収容するケースとを有し、乗り場部材が前記研ぎ表面の一部を覆うと同時に前記研ぎ表面のその他の一部を露出させる猫の爪研ぎ具(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0004】
特許文献1の猫の爪研ぎ具によれば、乗り場部材によって研ぎ表面に被覆部分と露出部分とを設けることができるので、研ぎ表面の全般に渡って使用することができる。また、研磨部材を複数に分割して構成すれば、1の研磨部材の劣化が著しい場合に、劣化の少ない他の研磨部材と置換したり、他の研磨部材に優先して1の研磨部材だけを新しい研磨部材に交換したりすることができるので、研磨部材の全体を交換する場合に比べて経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-56907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の猫の爪研ぎ具は、研磨部材の内部やケースの底に、爪研ぎによって研磨部材が摩耗して生じる研ぎくずが溜まってしまい、研磨部材を置換したり交換したりするときに研ぎくずが周囲に散らばって清掃に手間がかかるといった不都合が生じうる。
【0007】
また、猫の爪研ぎ具全般の問題として、せっかく設置しても猫の興味を惹くことができず使用されないといったこともあった。
【0008】
そこで、本発明は、ケースから研磨部材を取り出すときに研ぎくずが周囲に散らばりにくくするとともに、爪研ぎを使わせるように猫の興味を惹くことができる猫の爪研ぎ具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、 研ぎ面を備える研磨部材と、該研磨部材が収容されるケースとを有し、前記ケースは、前記研磨部材を横方向から収容できるように、前記研ぎ面の爪研ぎ方向と直交する方向線上にある側面が開口形成されてなる差込口と、前記研ぎ面を上方に露出させる開口部と、前記研磨部材の摩耗により生じる研ぎくずが下方を通過するように網目状若しくは簀の子状に形成される載置面とを備える収容部と、前記収容部の下方に配設され、前記載置面を通過してくる前記研ぎくずを捕集するくず受け部と、を備えることを特徴とする猫の爪研ぎ具、である。
【0010】
本発明にかかる爪研ぎ具は、研磨部材が収容されるケースの収容部から研ぎくずを篩い分けられるようにしたものである。すなわち、収容部の載置面を網目状若しくは簀の子状とすることで、研磨部材が摩耗して生じる研ぎくずがその網目若しくは簀の子の隙間を通過し、収容部の下方に配置されたくず受け部で捕集されるようにしている。こうすることで、研磨部材に付着する研ぎくずを減少させることができるので、研磨部材を収容部から出し入れするときに研ぎくずが周囲に散らばりにくくなる。なお、くず受け部に溜まった研ぎくずは、くず受け部に排出口を形成しておくなどして排出させることができる。
【0011】
また、前記ケースの上方を覆って個室空間を形成するカバーをさらに備えてもよく、前記カバー及び/又は前記ケースは、内部を視認できるように少なくとも一部が透明若しくは半透明に形成されてもよい。
【0012】
猫は閉鎖された狭い空間を好む傾向があることから、こうした空間内に研ぎ面を配置することで猫を誘導しやすくなるとともに、いわゆるキャットハウスとしての機能を付加できるようにもなる。また、カバーやケースを透明又は半透明の部分を含んで形成することで、個室空間の内部で爪研ぎをしたりくつろいだりする愛猫の様子を飼い主が外部から視認できるようになる。
【0013】
また、前記ケースは、前記研磨部材を横方向から収容できるように、前記研ぎ面の爪研ぎ方向と直交する方向線上にある側面が開口形成されてなる差込口を備えてもよい。
【0014】
こうすることで、研磨部材のケースへの収容操作及び取出し操作を、横方向からの抜き差しすることによって簡単に行えるようになる。また、研磨部材の差込方向が研ぎ面の引っ掻き方向と直交する方向となるように差込口を配置して、爪研ぎの最中に研磨部材がケースから抜け出さないようにしている。
【0015】
また、前記収容部は、収容された前記研磨部材が前記開口部から離脱しないように、前記研ぎ面と当接する離脱防止部を備えてもよく、収容された前記研磨部材が横方向にずれるのを防止する位置ずれ防止部を前記載置面に備えてもよい。
【0016】
こうすることで、爪研ぎをするときに研磨部材がケースから離脱したり位置ずれしたりするのを防止できるようになる。
【0017】
また、前記くず受け部は、前記ケースの側面から出し入れが可能なトレーであってもよい。
【0018】
こうすることで、くず受け部に溜まった研ぎくずの排出がトレーを引き出すだけで行えるようになるので、清掃に係る手間をさらに低減できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる猫の爪研ぎ具によれば、ケースに形成される収容部の載置面を網目状若しくは簀の子状とし、収容部の下方にくず受け部を配置したので、研磨部材が摩耗して生じる研ぎくずが網目若しくは簀の子の隙間から篩い落とされてくず受け部で捕集されるので、研磨部材を収容部から取り出すときに研ぎくずが周囲に散らばりにくくなって清掃にかかる手間を低減させることができる。
【0020】
また、ケースの上方にカバーを設けて研ぎ面の上方に個室空間を形成しているので、狭い場所を好む猫の習性を利用して爪研ぎ具に誘導することができる。さらに、カバー及び/又はケースが透明又は半透明の部分を含んで形成されるので、飼い主が個室空間にいる愛猫の様子を見て楽しむことができ、付随的効果として、キャットハウスとしても使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1にかかる猫の爪研ぎ具の斜視図である。
図2】実施例1にかかる猫の爪研ぎ具の分解斜視図である。
図3】実施例2にかかる猫の爪研ぎ具の分解斜視図である。
図4】実施例3にかかる猫の爪研ぎ具の斜視図である。
図5】実施例3にかかる猫の爪研ぎ具の一部分解斜視図である。
図6】実施例3にかかる猫の爪研ぎ具の使用状態を示す斜視図である。
図7】実施例4にかかる猫の爪研ぎ具の一部分解斜視図である。
図8】実施例5にかかる猫の爪研ぎ具の斜視図である。
図9】実施例5にかかる猫の爪研ぎ部の一部分解斜視図である。
図10】実施例5にかかる猫の爪研ぎ具の使用状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、猫の爪研ぎ具であって、研磨部材とケースとを備える。
【0023】
研磨部材は、引っ掻き動作で爪先が摩耗する程度の表面粗さに形成される研ぎ面を備えるものであれば限定されない。研磨部材の例としては、ダンボール紙やケント紙を複数枚貼り合わせてなる積層体を適当な大きさと形状に切断し、この切断面を研ぎ面としたものや、樹脂等からなる芯材の表面に、い草や麻等の植物繊維の織物やじゅうたん等の毛織物を配置して研ぎ面を形成したもの、粗面の木材や樹脂等で研ぎ面を形成したものなどが挙げられる。
【0024】
ケースは、研磨部材が収容される収容部と、くず受け部とを備える。収容部には、収容された研磨部材の研ぎ面を露出させる開口部が設けられ、猫がケースの上部すなわち研磨部材の研ぎ面の上に乗って爪研ぎを行えるようにしている。また、収容部の載置面は網目状若しくは簀の子状に形成される。ケースの材質、形状及び大きさは限定されないが、研磨部材をしっかり保持しうる程度の剛性を備えるように、例えば、樹脂、木材、ダンボール等を用いて形成することができる。
【0025】
くず受け部は、収容部の下方に配置されて、載置面の網目若しくは簀の子の隙間を通過してくる研ぎくずを捕集するものである。くず受け部には、研ぎくずを外部に排出させる手段として、ケースの側方から横方向にスライドさせて出し入れを行うことができるトレーを設けたり、側面に排出口を穿設したりすることができる。
【0026】
また、ケースの上方に個室空間を形成するためのカバーをさらに設けてもよい。カバーには、猫が個室空間に出入りするための出入口部が形成される。また、カバーはその全体又は一部が透明又は半透明に形成される。カバーに透明又は半透明の部分を設ける場合には、これと合わせてケースも透明又は半透明に形成してもよい。カバーの形状及び大きさは限定されないが、個室空間に入った猫に圧迫感を与えずかつ出入りに支障のないように形成される。
【0027】
また、収容部には、前記研磨部材を横方向から収容できるようにする差込口を形成してもよい。こうすることで、研磨部材の収容及び取り出しを、横方向からの抜き差し操作で行えるようになる。差込口は、研ぎ面の爪研ぎ方向と直交する方向線上にある側面を開口形成して設けるとよい。こうすることで、研磨部材の抜き差し方向が爪研ぎ方向と直交するようになって、猫が爪研ぎ具の上に乗って爪研ぎをしている最中に研磨部材が収容部から抜け出すのを防止できるようになる。
【0028】
また、ケースには離脱防止部を形成してもよい。離脱防止部は、爪研ぎ時に研磨部材が開口部から浮き上がらないように研ぎ面の周縁を押さえるものであり、例えば、開口部の輪郭部分の一部を突出させて研ぎ面の周縁と当接するように形成することができる。
【0029】
また、収容部の載置面には、研磨部材が横方向にずれるのを防止する位置ずれ防止部を形成してもよい。位置ずれ防止部は、例えば、収容部の載置面に、研磨部材の下面に噛み合う形状に形成される突起として形成することができる。
【0030】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0031】
図1及び図2には、実施例1の猫の爪研ぎ具100(以下便宜上「爪研ぎ具100」という)が示されている。爪研ぎ具100は、研磨部材110と、ケース120とを備える。
【0032】
研磨部材110は、複数枚のダンボール紙が接着剤で貼り合わされて形成されたダンボール紙積層体が、後述するケース120の収容部121に収まる形状と大きさに切断されて形成されている。研磨部材110は、ダンボール紙の表面からなる平滑面と切断面からなる粗面とを備えており、この粗面からなる平面及び底面が研ぎ面111となっている。また、一側面をなす粗面の略中央位置には、凹部112が形成される。
【0033】
ケース120は、研磨部材110が収容される樹脂成形体であり、収容部121と、くず受け部130とを備える。
【0034】
図2に示すように、収容部121は、ケース120の内部に研磨部材110を収容させる空間であり、研磨部材110の外寸より若干大きめの内寸に形成され、研磨部材110が載置される載置面121aは網目状に形成されている。収容部121は、開口部122と、差込口123と、離脱防止部124とを備える。開口部122は、収容部121に収容された研磨部材110の研ぎ面111をケース120の平面に露出させる略矩形の開口である。差込口123は、収容部120の一側面に形成される開口である。離脱防止部124は、開口部122の四隅に形成される面部である。
【0035】
収容部121には、2つの研磨部材110が収容される。研磨部材110を収容部121に収容させるには、差込口123から研磨部材110を差し込むことによって行われる。このとき、収容部121は、その内壁面と研磨部材110の表面との間に僅かな隙間ができるように、内寸が研磨部材110を並列に2つ合わせた外寸よりも若干大きく形成されるので、研磨部材110の出し入れ操作を引っ掛かりなくスムーズに行うことができる。研磨部材110は、研ぎ面111を上面にしかつ凹部112が手前に向いた状態にして差し込まれる。こうすることで、収容された研磨部材110の研ぎ面111が開口部122から露出するとともに、凹部112が差込口123から露出するようになる。一方、研磨部材110を収容部121から取り出すには、凹部112に指を係止させて引き出せばよい。また、研磨部材110が収容部121に収容されると、研ぎ面111の四隅が離脱防止部124と当接する。これにより、爪研ぎのときに研磨部材110が浮き上がる方向に動いても、その動きが離脱防止部124によって抑えられるので、開口部122から離脱するのが防止される。
【0036】
くず受け部130は、収容部121の下方に形成される空間であり、収容部121との境界には網目状の載置面121aが配置される。これにより、研ぎくずは載置面121aの網目を通過して、くず受け部130の内部で捕集されるようになる。くず受け部130の一側面には排出口131が穿設されており、溜まった研ぎくずは、ケース120を傾けて排出口131まで誘導されてから排出口131より排出される。
【0037】
実施例1の爪研ぎ具100によれば、収容部121の下方にくず受け部130を設けたので、研ぎくずをくず受け部130に篩い分けることができる。これにより、研磨部材110を収容部121から取り出すときに研ぎくずが周囲に散らばりにくくなる。また、研磨部材110の収容部121への収容及び取り出しを、ケース120の側面に設けた差込口123から行うので、離脱防止部124と相俟って、研磨部材110が開口部122から浮き上がって離脱するのが防止される。
【0038】
また、収容部121には、2つの研磨部材110が収容されるので、摩耗が激しい一方の研磨部材110だけを交換したり、研ぎ面111を上下面入れ替えたりして、研磨部材110を無駄なく使用することができる。これにより、研磨部材110を長期間使用することができるので、ランニングコストに優れた爪研ぎ具100を提供することができる。
【実施例2】
【0039】
図3には、実施例2にかかる爪研ぎ具110が示されている。実施例3の爪研ぎ具110は、実施例1と同様に構成される2つの研磨部材110とケース120とを備えるが、研磨部材110の収容に引出し部140を用いる点で相違する。よって、ここでは引出し部140について詳しく説明し、実施例1との共通点については説明を省略する。
【0040】
引出し部140は、研磨部材110を上方から収容できるよう上面が開口した箱型に形成され、網目状の載置面140aと、一側面に形成される取手部141とを備える。引出し部140は、収容部121への出し入れ操作がしやすいように、収容部121の内壁及び隣接する他の引出し部140との間に若干の隙間ができる外寸に形成されるとともに、研磨部材110が取り出しやすいように、研磨部材110の周面との間に若干の隙間ができる内寸に形成される。引出し部140の収容部121への出し入れは、ケース120に形成される差込口123から行われる。
【実施例3】
【0041】
図4から図6には、実施例3にかかる爪研ぎ具100が示されている。実施例3の爪研ぎ具100は、実施例1と同様に構成される研磨部材110とケース120とを備えるが、ケース120の上方にカバー150が設けられる点で相違する。よって、ここではカバー150について詳しく説明し、実施例1との共通点については説明を省略する。
【0042】
爪研ぎ具100は、研磨部材110と、内部に収容部121が形成されるケース120と、カバー150とを備える。研磨部材110は、収容部121の内寸より若干小さい外寸に形成されており、収容部への出し入れは差込口123から行われる。ケース120は、網目状の載置面121aを備える収容部121と、収容部121の下方に配置され、側面に排出口131が穿設されたくず受け部130とを備える。
【0043】
カバー150は、ケース120の上方を覆い、その内部に猫が出入り自在な個室空間Sを形成するものである。カバー150は、全体が透明のプラスチックからなり、一側面に猫が個室空間Sに出入りするための出入口151が設けられ、個室空間Sに入った猫に圧迫感を与えない高さが確保されるドーム状に形成されている。なお、カバー150の下端には、図示しない複数の爪部が形成されており、この爪部をケース120の上縁の対応位置に形成される図示しない係止孔に係止させることで、ケース120に着脱自在に取付けられる。
【0044】
図6には、実施例3の爪研ぎ具100の使用状態が示されている。爪研ぎは、猫が出入口151から個室空間Sに入ってから、ケース120の上面に露出する研磨部材110の研ぎ面111の上に乗って行われる。爪研ぎによって生じた研ぎくずは、収容部120の載置面121aの網目を通過してその下方のくず受け部130で捕集される。そして、くず受け部130に溜まった研ぎくずは、ケース120を傾けて排出口131まで誘導されてから排出される。
【0045】
実施例3の爪研ぎ具100によれば、実施例1の爪研ぎ具100の作用効果に加えて、カバー150によってケース120の上方すなわち研ぎ面111の上方に猫が出入り自在な個室空間Sが形成されるので、狭い場所を好む猫の習性を利用して、猫を爪研ぎ具100へと誘導できるようになる。また、個室空間Sが猫の休息場所としても機能するので、キャットハウス等を別途用意する必要がなくなる。また個室空間Sを形成するカバー150が透明に形成されるので、個室空間S内で愛猫が爪研ぎをする様子を外部から見て楽しむことができる。
【実施例4】
【0046】
図7には、実施例4にかかる爪研ぎ具100が示されている。実施例4の爪研ぎ具100は、実施例3と同様に構成される研磨部材110、ケース120及びカバー150を備えるが、くず受け部130の構成が実施例3と相違する。よって、ここではくず受け部130について詳しく説明し、実施例1との共通点については説明を省略する。
【0047】
爪研ぎ具100は、研磨部材110と、内部に収容部121が形成されるケース120と、カバー150とを備える。研磨部材110は、収容部121の内寸より若干小さい外寸に形成されており、収容部への出し入れは差込口123から行われる。ケース120は、網目状の載置面121aを備える収容部121と、収容部121の下方に配置され、側面に排出口131が穿設されたくず受け部130とを備える。
【0048】
くず受け部130には、トレー132と、トレー用差込口133とを備える。トレー132は、収容部121の載置面121aと略同一の大きさに形成される受面132aと、受面132aの周縁の起立部132bと、取手132cとを備える。トレー用差込口133は、ケース120の一側面が開口形成されてなり、ここからトレー132がくず受け部130に横方向に抜き差し自在に収容される。そして、載置面121aを通過してくず受け部130で捕集された研ぎくずはトレー132の受面132a上で受け止められ、トレー用差込口133からトレー132を引き出して排出することができる。
【0049】
実施例4の爪研ぎ具100によれば、実施例3の爪研ぎ具100の作用効果に加えて、くず受け部130にトレー132を設けたので、くず受け部130に溜まった研ぎくずの排出をトレー132を引き出して行うことができる。これにより、研ぎくずを排出させるときに研ぎくずがより散らばりにくくなるので、清掃にかかる手間をさらに低減させることができる。
【参考例】
【0050】
図8から図10には、参考例にかかる爪研ぎ具100が示されている。参考例の爪研ぎ具100は、実施例3の爪研ぎ具100を改変したものである。よって、ここでは実施例3との相違点について詳しく説明し、共通点については説明を省略する。
【0051】
ケース120は、全体が透明のプラスチックからなるボウル型に形成されており、研磨部材110が収容される収容部121がボウル型の開口部分に配設されている。収容部121は、載置面121aと、4つの脚部121bとを備える。載置面121aは矩形の網部材から形成され、その周縁上には突起状の位置ずれ防止部125が複数設けられている。研磨部材110は、略平板状に形成されたダンボール積層体からなり、研ぎ面111を上面としかつ下面に位置ずれ防止部125を係止させた状態として載置面121aに載置される。4つの脚部121bは、載置面121aの矩形の四隅のそれぞれから外側上方に向かって延設される。収容部121は、4つの脚部121bをケース120の上縁の対応位置に形成される4つの係止凹部120aにそれぞれ固定させ、載置面121aがケース120の開口にかけ渡されるようにして配設される。このとき、載置面121aに載置された研磨部材110の研ぎ面111は、ケース120の上縁及び脚部121bに略面一となるように、載置面121aは脚部121bの先端の高さよりも低い位置に配置されている。
【0052】
くず受け部130は、ケース120の収容部121下方の部分に形成される。すなわち、載置面121aに載置された研磨部材110から生じる研ぎくずは、載置面121aの網目を通過してくず受け部130に捕集される。また、くず受け部130の一側面には、溜まった研ぎくずを排出するための排出口131が穿設されている。
【0053】
カバー150は、ケース120の上方を覆い、その内部に猫が出入り自在な個室空間Sを形成するものである。カバー150は、全体が透明のプラスチックからなり、猫が個室空間Sに出入りするための出入口151が一側面に設けられ、個室空間Sに入った猫に圧迫感を与えない高さが確保されるドーム状に形成されている。なお、カバー150の下端には、図示しない複数の爪部が形成されており、この爪部をケース120の上縁の対応位置に形成される図示しない係止孔に係止させることで、ケース120に着脱自在に取付けられる。
【0054】
図10には、実施例5の爪研ぎ具100の使用状態が示されている。爪研ぎは、猫が出入口151から個室空間Sに入ってケース120の上面に露出する研磨部材110の研ぎ面111の上に乗って行われる。爪研ぎによって生じた研磨部材110の研ぎくずは、収容部120の載置面121aの網目を通過してその下方のくず受け部130で捕集される。そして、くず受け部130に溜まった研ぎくずは、ケース120を傾けて排出口131から排出させることができる。
【0055】
参考例の爪研ぎ具100によれば、実施例3の爪研ぎ具100の作用効果に加えて、カバー150とケース120とが透明に形成され、これらの間に収容部120が配置されるので、外部からは個室空間Sに入った猫が爪研ぎ具100の内部であたかも浮遊しているかのように見えるようになり、愛猫が爪研ぎをする様子をより一層楽しく眺めることができる。
【0056】
本発明は、上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
【0057】
例えば、上記実施例では、載置面121aを網目状に形成しているが、これを簀の子状に形成してもよい。また、研磨部材110にダンボール積層体を用い、ケース120に樹脂成形体を用いているが、これらとは異なる材質や構造のものを用いてもよい。また、収容部120に収容させる研磨部材110の数も実施例の数に限定されず、1個又は2個以上としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 猫の爪研ぎ具
110 研磨部材
111 研ぎ面
120 ケース
121 収容部
122 開口部
123 差込口
124 離脱防止部
130 くず受け部
132 トレー
150 カバー
151 出入口
【要約】
【課題】
研磨部材の置換交換を行うときに、周囲に研ぎくずが散らばりにくく、清掃にかかる手間が低減される猫の爪研ぎ具を提供すること。
【解決手段】
研磨部材110と、研磨部材110が収容される収容部120が形成されるケース120とを備える猫の爪研ぎ具100において、収容部120に、研磨部材110の研ぎ面111を上方に露出させる開口部122と、研磨部材110が摩耗して生じる研ぎくずを篩い分ける網目状若しくは簀の子状の載置面121aを設けるとともに、収容部120の下方に、篩い分けられた研ぎくずを捕集するくず受け部130を設ける。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10