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特許7405349統合された安全装置および動的保護ゾーンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】統合された安全装置および動的保護ゾーンシステム
(51)【国際特許分類】
   F41A 17/08 20060101AFI20231219BHJP
   F41A 17/24 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F41A17/08
F41A17/24
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021559472
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CA2020000034
(87)【国際公開番号】W WO2020186336
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】62/821,225
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/820,434
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521437909
【氏名又は名称】412 テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アポストロプロス,スタブロス
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/142920(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0230296(US,A1)
【文献】特表2016-537602(JP,A)
【文献】特開昭51-072544(JP,A)
【文献】特開昭50-032669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241153(US,A1)
【文献】特表2012-516989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41A 17/08
F41A 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的の近距離の範囲内に位置する銃器を個々に無効化するためのコンピュータによって実現される方法であって、
銃器上ロックシステムを備えた銃器が送信機/受信機安全装置が添えられた標的の所定の距離の範囲内にあると判定するステップ、
前記銃器が前記標的の所定の距離の範囲内にある間、前記銃器の位置ならびに前記銃器の種類および前記銃器の所有者を含む前記銃器を追跡するステップ、
前記銃器の銃口が前記標的への相対方位を有するかどうかを判定するステップ、
前記銃器の弾薬の最大射程および所定の安全マージン範囲を決定することによって、前記標的の保護リングの直径を計算するステップ、
円弧の所定の度数の安全マージンおよび前記銃器の銃口の相対方位を使用して、前記銃器の非シュート円弧を計算するステップ、および
前記銃器が、前記保護リングの直径および前記非シュート円弧によって決定される前記標的を取り囲む非シュートゾーン内にあるときに、前記銃器の前記非シュートゾーンへの発砲を防止するために、前記銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信するステップをコンピュータによって実現しており、
前記非シュートゾーンは、2つのゾーン、すなわち前記標的を中心とする非動作シューティングゾーンと、該非動作シューティングゾーンを取り囲むリングとして働く各々の特定の武器について可変の非進入ゾーンとによって定められることを特徴とする、コンピュータによって実現される方法。
【請求項2】
前記銃器が前記非シュートゾーンの外部にあるときに、前記銃器の銃器上ロックシステムを解除するためのコマンドを送信するステップ、
をさらに特徴とする請求項に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項3】
前記標的の所定の距離の範囲内の通信デバイスを追跡するステップ、および
前記銃器が前記標的の所定の距離の範囲内にあるときに安全指示を含むメッセージを前記通信デバイスに送信するステップ、
をさらに特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項4】
前記標的は、特定の地理的領域内で識別された通信デバイスのクラスタである、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項5】
特定の銃器についての前記可変の非進入ゾーンは、該特定の銃器の特性に基づいて前記非動作シューティングゾーンに所定の距離を加算することによって決定される、ことを特徴とする請求項に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項6】
前記加算される所定の距離は、銃器の製造元、銃器の最大弾薬ロード、最大ロードにおけるシューティング距離、および弾薬ロードにおける最大シューティング距離の追加割合として表現される所定の安全マージンに基づいて計算される、ことを特徴とする請求項に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項7】
前記銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信するステップに先立って、前記銃器について前記標的を取り囲む前記非シュートゾーン内で機能することが認められているかどうかを判定し、
前記銃器について前記非シュートゾーン内で機能することが認められていないと判定された場合に、前記銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信する、
ことをさらに特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のコンピュータによって実現される方法。
【請求項8】
標的の近距離の範囲内に位置する銃器を個々に無効化するためのシステムであって、
作動コマンドに応答して銃器上ロック装置を有効にするように構成された銃器上ロックシステムを備える銃器、
送信機/受信機装置を備える標的、および
前記標的の位置を取得し、
前記銃器の位置を取得し、
前記銃器が前記標的の非シュートゾーン内にあるかどうかを判定し、
前記銃器が前記標的の非シュートゾーン内にあると判定されたとき、前記銃器上ロック装置を有効にするために前記銃器に作動コマンドを送信する
ように構成されたプロセッサ、
を備え、
前記非シュートゾーンは、2つのゾーン、すなわち前記標的を中心とする非動作シューティングゾーンと、該非動作シューティングゾーンを取り囲むリングとして働く各々の特定の武器についての可変の非進入ゾーンとによって定められることを特徴とするシステム
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記銃器が前記標的の非シュートゾーン内にないと判定されたとき、前記銃器上ロック装置を無効にするために前記銃器に非作動コマンドを送信する
ようにさらに構成されている、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記標的の所定の距離の範囲内の通信デバイスを追跡し、
前記銃器が前記標的の所定の距離の範囲内にあるときに安全指示を含むメッセージを前記通信デバイスに送信する
ようにさらに構成されている、ことを特徴とする請求項またはに記載のシステム。
【請求項11】
前記標的は、特定の地理的領域内で識別された通信デバイスのクラスタである、ことを特徴とする請求項10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
特定の銃器についての前記可変の非進入ゾーンは、該特定の銃器の特性に基づいて前記非動作シューティングゾーンに所定の距離を加算することによって決定される、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記加算される所定の距離は、銃器の製造元、銃器の最大弾薬ロード、最大弾薬ロードにおけるシューティング距離、および弾薬ロードにおける最大シューティング距離の追加割合として表現される所定の安全マージンに基づいて計算される、ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記銃器は、
電源、
中央処理装置(CPU)、
前記CPUと通信するように構成されたデータ入力ポート、
前記CPUと通信するように構成されたメモリストレージコンポーネント、
前記CPUと通信するように構成された通信モジュール、
前記CPUと通信するように構成されたフラックスゲートコンパスコンポーネント、
前記CPUと通信するように構成された送信/受信コンポーネント、および
スイッチング処理コンポーネントと伝統的な銃器上手動安全スイッチに近接する遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントとの間の有線または無線接続、
を特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項15】
前記銃器は、前記通信モジュールが遠隔トリガ安全コンポーネントを作動させるためのコマンドを受信したときに、
前記通信モジュールが前記CPUに前記コマンドを送信し、
前記CPUが前記遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを作動させるために前記スイッチング処理へと前記コマンドを送信する
ことをさらに特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記銃器は、前記通信モジュールが前記遠隔トリガ安全コンポーネントを非作動にするためのコマンドを受信したときに、
前記通信モジュールが前記CPUに前記コマンドを送信し、
前記CPUが前記遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを非作動にするために前記スイッチング処理へと前記コマンドを送信する
ことをさらに特徴とする、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記銃器は、前記有線または無線接続、前記スイッチング処理コンポーネント、および前記遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを除くすべてのコンポーネントが、銃器装置の台尻、台尻キャップ、またはピストルグリップに統合可能な回路基板上に搭載されていることをさらに特徴とする、請求項1416のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記銃器は、前記遠隔トリガ安全スイッチが不規則形状のカムで実現された安全ピン機構であることをさらに特徴とする、請求項1417のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記銃器は、前記遠隔トリガ安全スイッチが、モータシャフトに取り付けられ、偏心したピンまたはピストンをロック位置へと移動させることができるディスクを含む間欠的なピン/ラチェット/爪であることをさらに特徴とする、請求項1417のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月20日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「統合された安全装置および動的保護ゾーンシステム(INTEGRATED SAFETY APPARATUS AND DYNAMIC PROTECTION ZONE SYSTEM)」に関する米国特許出願第62/821,225号の出願日の米国特許法第119条(e)に規定の利益を主張する。
【0002】
本明細書は、銃器の安全および保護システムに関する。
【背景技術】
【0003】
強力な自動および半自動の銃器を含む銃器が、社会に行き渡っている。これらの武器が広く入手可能であり、これらの武器に容易にアクセスできることにより、とりわけ標的場所、例えば人間、通信デバイスのクラスタ、学校、病院、政府施設、および娯楽イベント会場において、乱射事件が増加している。残念なことに、所与の事件において、強力な銃器の発砲者が、通常は、正確な精度で迅速に発砲することができ、警察官が現場に到着できるよりも前に多数の死傷者が生じ、生命が失われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において、広くには、銃器および保護システムに関する技術が説明され、具体的には、銃器上装置と動的可変保護ゾーンシステムとの統合、ならびに発砲者および発砲者の銃器についての情報を迅速に提供し、アクティブなシューティングの前または最中に、発砲者の銃器を、動的保護ゾーン内のすべての銃器を無効化する必要なく無効にするためのリアルタイム識別に関する技術が説明される。
【0005】
一般に、本明細書で説明される主題の1つの革新的な態様を、動的可変保護ゾーン内の所定の目標および範囲の円弧において個別の銃器を識別および無効化するためのシステムにおいて具現化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの革新的な態様は、銃器について標的の周囲の領域へのシュートを不可能にするために、例えば特定のゾーン内の目標および範囲の円弧などの所定の地点において銃器を例えばロックするなど、自動的に無効化する銃器上ロックシステムである。
【0007】
本発明の第2の新規な態様は、コンピュータによって実現される方法を実行して、指定の距離の範囲内かつ標的の決定された円弧の範囲内を向いた特定の銃器を無効にする安全ゾーンシステムである。
【0008】
1つの革新的な実施形態は、銃器上ロックシステムを備えた銃器が送信機/受信機安全装置が添えられた標的の所定の距離の範囲内にあると判定することを含む方法である。本方法は、銃器が標的から所定の距離の範囲内にある間、銃器の位置ならびに銃器の種類および銃器の所有者を追跡するなど、銃器を追跡する。本方法は、銃器の銃口が標的への相対方位を有するかどうかを判定し、銃器の弾薬の最大射程および所定の安全マージン範囲を決定することによって、標的の保護リングの直径を計算する。銃器の非シュート円弧(no-shoot arc)が、円弧の所定の度数の安全マージンおよび銃器の銃口の相対方位を使用して計算される。本方法は、銃器が保護のリングの直径と非シュート円弧とによって決定される標的を取り囲む非シュートゾーン内にあるときに、銃器が非シュートゾーンへと発砲されることを防ぐために、銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信する。
【0009】
別の革新的な実施形態は、作動コマンドに応答して銃器上ロック装置を有効にするように構成された銃器上ロックシステムを備える銃器と、送信機/受信機装置を備える標的と、標的の位置を取得し、銃器の位置を取得し、銃器が標的の非シュートゾーン内にあるかどうかを判定し、銃器が標的の非シュートゾーン内にあると判定されたとき、銃器上ロック装置を有効にするために銃器に作動コマンドを送信するように構成されたプロセッサと、を備えるシステムである。
【0010】
いくつかの実装形態において、非シュートゾーンは、2つのゾーン、すなわち標的を中心とする非動作シューティングゾーン(non-operative shooting zone)と、非動作シューティングゾーンを取り囲むリングとして働く各々の特定の武器についての可変の非進入ゾーン(no-penetration zone)とによって定められる。
【0011】
いくつかの実装形態において、本システムまたは方法は、銃器が非シュートゾーンの外部にあるときに、銃器の銃器上ロックシステムを解除するためのコマンドを送信することを含む。
【0012】
いくつかの実装形態において、本システムまたは方法は、標的の所定の距離の範囲内の通信デバイスを追跡すること、および銃器が標的の所定の距離の範囲内にあるときに安全指示を含むメッセージを通信デバイスに送信することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実装形態において、標的は、特定の地理的領域内で識別された通信デバイスのクラスタである。
【0014】
いくつかの実装形態において、特定の銃器についての可変の非進入ゾーンは、特定の銃器の特性に基づいて非動作シューティングゾーンに所定の距離を加算することによって決定される。
【0015】
いくつかの実装形態において、加算される所定の距離は、銃器の製造元、銃器の最大弾薬ロード、最大弾薬ロードにおけるシューティング距離、および弾薬ロードにおける最大シューティング距離の追加割合として表現される所定の安全マージンに基づいて計算される。
【0016】
いくつかの実装形態においては、銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信する前に、本システムまたは方法は、銃器について標的を取り囲む非シュートゾーン内で機能することが認められているかどうかを判定し、銃器について非シュートゾーン内で機能することが認められていないと判定された場合に、銃器の銃器上ロックシステムを作動させるためのコマンドを送信する。
【0017】
別の革新的な実施形態は、電源と、中央処理装置(CPU)と、CPUと通信するように構成されたデータ入力ポートと、CPUと通信するように構成されたメモリストレージコンポーネントと、CPUと通信するように構成された通信モジュールと、CPUと通信するように構成されたフラックスゲートコンパスコンポーネントと、CPUと通信するように構成された送信/受信コンポーネントと、スイッチング処理コンポーネントと伝統的な銃器上手動安全スイッチに近接する遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントとの間の有線または無線接続とを含む装置である。
【0018】
いくつかの実装形態においては、通信モジュールが遠隔トリガ安全コンポーネントを作動させるためのコマンドを受信したときに、通信モジュールがCPUにコマンドを送信し、CPUが遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを作動させるためにスイッチング処理へとコマンドを送信する。
【0019】
いくつかの実装形態においては、通信モジュールが遠隔トリガ安全コンポーネントを非作動にするためのコマンドを受信したときに、通信モジュールがCPUにコマンドを送信し、CPUが遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを非作動にするためにスイッチング処理へとコマンドを送信する。
【0020】
いくつかの実装形態においては、本装置において、有線または無線接続、スイッチング処理コンポーネント、および遠隔トリガ安全スイッチコンポーネントを除くすべてのコンポーネントが、装置の台尻、台尻キャップ、またはピストルグリップに統合可能な回路基板上に搭載される。
【0021】
いくつかの実装形態において、遠隔トリガ安全スイッチは、不規則形状のカムで実現された安全ピン機構である。
【0022】
いくつかの実装形態において、遠隔トリガ安全スイッチは、モータシャフトに取り付けられ、偏心したピンまたはピストンをロック位置へと移動させることができるディスクを含む間欠的なピン/ラチェット/爪である。
【発明の効果】
【0023】
本明細書で説明される主題は、以下の利点のうちの1つ以上を実現するように、特定の実施形態の中で実現することができる。
【0024】
本発明の銃器安全装置および動的可変保護ゾーンシステムは、標的の近距離に位置する銃器の個別の無効化を可能にする。本発明の動的可変保護ゾーンシステムは、標的から所定の距離の範囲内にあり、かつ/または銃口が標的を狙う決定された非シュート円弧に向けられた特定の銃器の銃器上ロックシステムを有効にすることができる。銃器上ロックシステムを有効にすることにより、銃器の標的の方向への発射が防止される。システムは、潜在的な悪意のある発砲者について彼らの武器の発射を許さずに、警察および警備員の銃器は依然として所定の距離の範囲内および/または非シュート円弧の範囲内で発射可能であるように、銃器の区別を可能にする。
【0025】
別の利点として、銃器安全装置および動的可変保護ゾーンシステムは、標的の近距離の範囲内の銃器および所有者を追跡および識別することができる。したがって、例えば発砲者、銃器、弾薬の種類、および銃器の位置の識別などの銃器に関連する情報が、対応する警察に伝達される目撃者の説明に依存しない。代わりに、銃器の位置および発砲者に関する正確な情報を、銃器と通信しているシステム自体から伝達することができる。
【0026】
従来の銃器安全装置は、通常は手動であり、容易に無効にすることができる。例えば、銃器は、手動で無効にすることができる偶発的な発射を防止することを目的とした武器上の静的手動安全機構を有し得る。あるいは、いくつかの従来の銃器は、ロックを物理的に破壊し、あるいは鍵のコピーを作成することによって容易に無効化できる手動トリガ/ハンマーおよび弾薬弾倉ロック装置を有し得る。図5図7が、従来の安全装置を示している。
【0027】
図5は、銃器のトリガ安全装置を示している。トリガ安全装置は、発射手順における第1の安全装置であり、レバーの形態でトリガに組み込まれる。トリガ安全装置の作動時に、この安全装置は、トリガの後方への移動を阻止する。武器を発射するためには、トリガ安全装置およびトリガを同時に押さなければならない。
【0028】
図6は、銃器の発射ピン安全装置を示している。発射ピン安全装置は、発射ピンの前方移動を阻止する機械的なブロックである。この安全装置は、武器のトリガ機構にリンクされ、ハンマーまたはストライカが解放される直前にピンに対する障害物をクリアする。
【0029】
図7は、発射ピンの落下安全装置を示している。この安全装置は、発射ピンが前方に移動してプライマに衝突することを防止する。この安全装置は、落下時または乱暴な取り扱いによる銃器の偶発的な発射の可能性を低減する。
【0030】
他の従来の銃器は、例えば指紋、掌紋、または音声認識など、所有者の識別を必要とするコード化されたロックを有してもよく、あるいは有効化装置の近傍が正当な所有者の所有下にあるときに有効化されてもよい。しかしながら、正当な所有者が、自身の銃器のロックを解除し、悪意のある目的のために使用することを選択する可能性がある。追加の従来の武器(すなわち、Glockブランドの武器)は、それ自体手動の安全装置を持たないが、武器内のトリガロック、ボルトロック、および落下発射ピンロックを無効にするための追加のトリガ圧力の印加を含む3つの安全チェックシステムに依存している。
【0031】
本発明の一態様は、銃器上ロックシステムの手動による無効化を防止する好都合なスイッチングプロセッサを提供する。したがって、発砲者は、銃器を用いて標的に害を及ぼすために安全機構を手動で無効することが不可能である。
【0032】
本明細書の主題の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面および以下の説明に記載されている。本主題の他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】例示的な銃器安全装置および動的可変保護システムを示している。
図2】銃器安全装置および動的可変保護システムにおいて銃器の銃器上ロックシステムを作動させるための例示的なプロセスの流れ図である。
図3】銃器上ロックシステム用のマイクロ回路カード/基板を示している。
図4A図3の安全有効化/無効化スイッチから有効化コマンドを受信したときに有効化される銃器上ロックシステムの銃器上ロック装置の一実施形態を示している。
図4B図3の安全有効化/無効化スイッチから有効化コマンドを受信したときに有効化される銃器上ロックシステムの銃器上ロック装置の一実施形態を示している。
図4C】銃器上安全装置の位置を示している。
図4D】銃器上安全装置の別の位置を示している。
図4E】銃器上安全装置の別の位置を示している。
図5】銃器のトリガ安全装置を示している。
図6】銃器の発射ピン安全装置を示している。
図7】発射ピンの落下安全装置を示している。 種々の図において、同様の参照番号および符号は、同様の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書は、広くには、比較的保護されておらず、あるいは攻撃に対して脆弱な標的、例えば、人間、通信装置のクラスタ、車両、構造物、または娯楽イベント会場の近距離の範囲内に位置する銃器を個別に無効化することができる銃器の安全装置および動的可変保護システムを説明する。
【0035】
図1が、例示的な銃器安全装置および動的可変保護システム100を示している。システム100は、送信機/受信機装置130aが取り付けられた標的101を含む。標的101は、任意の指定された標的であってよく、例えば、学校、病院、政府施設、パレードまたは車列のルート、車両、航空機、船舶、または娯楽イベント会場であってよい。いくつかの場合、標的101は、人間または通信装置のクラスタであってもよい。
【0036】
一実装形態において、送信機/受信装置130aは、標的101の位置を提供するためのジオロケータを含むことができる。別の実装形態において、ジオロケータは、送信機/受信機130aに情報を送信するスタンドアロンのジオロケータ装置であってもよい。
【0037】
送信機/受信機装置130aを、標的101に恒久的または一時的に取り付けることができる。送信機/受信機装置130aは、標的101のおおよその位置の識別を支援するために、他の装置およびジオロケータと通信し、送信機/受信機装置130aを、銃器上ロックシステム106を備えた銃器を使用する潜在的またはアクティブな発砲者105と標的101との間の相対方位を計算するために使用することができる。送信機/受信機装置130aは、GPS衛星102への接続120、送信機/受信機130cを含むことができるセルブロードキャスト公共タワー104への接続131、または移動通信装置107への接続116を有することができる。これらの接続は、有線または無線であってよく、直接的またはネットワーク経由であってよい。
【0038】
別の実装形態において、送信機/受信機130aは、例えば図3の通信トランスポンダ/レシーバ312など、銃器内のマイクロカード上の通信トランスポンダ/レシーバと直接通信する。通信を、例えばWiFi、RFD、NFC、またはBluetooth(登録商標)による無線通信を使用して容易にすることができる。
【0039】
図1に示されるように、例示的な銃器安全装置および動的可変保護システム100は、銃器抑止安全システム(Firearms Distress and Safety System)(FDSS)103を含む。銃器抑止安全システム103は、銃器上ロックシステム106を装備した各々の銃器の登録ファイルを保持する1つ以上のメモリコンポーネントを含む。各々の登録ファイルは、特定の銃器および銃器の登録所有者に関する情報を含み、例えば、所有者の名前、所有者の住所、所有者について報告された特別な問題、銃器の種類、銃器の最適および可変の弾薬数および装てん数、銃器の弾薬の銃口速度および射程距離、ならびに特定の所有者が所有する他の銃器への相互参照を含む。登録ファイルを、銃器の購入時または銃器に銃器上ロックシステムが後付けされたときに生成することができ、銃器が新たな所有者に譲渡または販売されたときに更新することができる。銃器抑止安全システム103はこの情報を含むがゆえに、銃器抑止安全システム103は、この情報を、警察官、初期対応者、あるいは潜在的またはアクティブな発砲者に関する身元、位置、または他の情報を知る必要があるその他の者に、容易に提供することができる。例えば移動通信装置107など、銃器の所有者に関する情報を知る必要がある者に属する通信装置が、銃器抑止安全システム103に接続し、特定の標的101までの近距離の範囲内の銃器に関する情報を取得することができる。さらに、銃器抑止安全システム103は、アクティブな発砲者に関連する銃器に関する情報を含むことができる。一実装形態において、銃器抑止安全システムは、標的に位置または近接し、あるいは標的から遠くに位置することさえ可能である監視権限を有するセキュリティ要員に情報を送信する動的システムである。銃器抑止安全システムは、無線または有線による通信を使用して情報を送信および受信することができる。
【0040】
さらに、銃器抑止安全システム103は、標的101上の送信機/受信機130aならびに標的101の近距離の範囲内の銃器上ロックシステム106を有する銃器への事前にプログラムされ、あるいは手動で入力されるコマンドを生成する少なくとも1つの可変プログラム可能データユニットを含むことができる。
【0041】
銃器抑止安全システム103は、接続140を使用して送信機/受信装置130aと通信する。銃器抑止安全システム103は、コンピューティング、および接続150を介してGPS衛星102と通信し、接続132を介してセルブロードキャスト公共タワー104と通信し、もしくは接続114を介して移動通信装置107と通信する少なくとも1つの受信/送信装置103bを含む。これらの接続は、有線または無線であってよく、直接的またはネットワーク経由であってよい。
【0042】
可変プログラム可能データユニットのコマンドは、非シュートゾーンを日付、時刻、継続時間、および標的101をゾーンの中心とする非シュートゾーンの直径のうちの1つ以上を使用して指定するコマンドを含むことができる。非シュートゾーンを、2つのゾーンによって定めることができ、すなわち、標的を中心とする場所または位置に固有の非動作シューティングゾーン112と、場所または位置に固有の非動作シューティングゾーン112を取り囲むリングとして機能する各々の特定の武器についての可変の非進入ゾーン110とによって定めることができる。
【0043】
銃器抑止安全システム103によって生成されるコマンドは、銃器上ロックシステム106の銃器上ロック装置を有効にするコマンド、および銃器上ロックシステム106の銃器上ロック装置を無効にするコマンドを含むことができる。
【0044】
さらに、銃器抑止安全システム103は、セル通信、無線通信、またはジオロケーションデータを介して携帯電話機およびスマートデバイスを追跡することもできる。システムは、安全および避難指示を含むテキストまたは可聴メッセージをデバイスの所有者に送信することができる。例えば、システムは、所定の場所に避難するための情報、またはもはやアクティブな脅威が存在しない旨の情報を、デバイスに提供することができる。状況についての情報を、状況に関する現在の詳細ならびにアクティブな発砲者の位置を提供するために、一定の間隔で更新することができる。
【0045】
さらに、銃器抑止安全システム103を、所与の地理的領域における携帯電話機またはスマートデバイスのユーザの特定の密集を識別するようにプログラムすることもできる。さらに、システムは、地理的領域内の携帯電話機およびスマートデバイスを追跡して、携帯電話機およびスマートデバイスのユーザのクラスタを取り囲む非動作シューティングゾーンを生成する標的として、密集パターンを識別することができる。人々(または、デバイスのユーザ)の密集を標的とすることを可能にすることにより、システムは、屋外コンサートまたはフェスティバルにおけるコンサート参加者あるいは混雑した通過エリアなどの人々の集団に注目する一時的標的を生成することができる。
【0046】
あるいは、事前にプログラムされ、もしくは手動で入力されるコマンドは、標的101によって生成され、銃器抑止安全システム103、および銃器上ロックシステム106を有する非シュートゾーンを超えた近距離の範囲内の銃器に中継されてよい。これらのコマンドは、標的に位置する者または標的から離れて位置する者によって入力されてよい。いくつかの実装形態においては、警察官がコマンドを入力してもよい。いくつかの実装形態において、コマンドは、例えば学校年度内の月曜日から金曜日の学校時間中など、年間のうちの設定された日の設定された時間においてオンおよびオフになるように、標的または遠方において事前にプログラムされてよい。
【0047】
可変の非動作シューティングゾーン112は、非シュートゾーンと考えられ、可変の非進入ゾーン110は、銃身が非シュート円弧内の標的101に向かう方向を向いているときに銃器が動作不能である領域と考えられる。
【0048】
特定の銃器の可変の非進入ゾーン110は、所定の非動作シューティングゾーン112に距離を加算することによって確立される。システムは、銃器の製造元、銃器の最も強力な弾薬の装てん、その最大弾薬装てんに関するシューティング距離、および弾薬の装てんに関する最大シューティング距離の追加の割合として表される固定の安全マージンに基づいて計算された非動作シューティングゾーン112の中心からの距離を加算する。銃器抑止安全システム103は、武器の製造元およびモデルごとにすべての弾丸タイプの射程距離を維持するデータベースを含むことができる。この情報は、特定の武器の最も強力な弾薬ならびにその発射物の射程および追加の射程安全マージンを決定するために特定の武器の製造元およびモデルと相互参照される公開された製造業者の仕様に基づくことができる。
【0049】
任意の特定の弾丸による有効射程(すなわち、移動距離)を、発射物の銃口速度または銃口エネルギーの関数として表すことができる。例えば、銃器がシステムによってコルト45拳銃として識別された場合、データベースは、この銃器用の最も強力な弾薬が約2,000フィートのシューティング距離を有するカートリッジである旨を記録している。安全マージンが弾薬装てんの最大シューティング距離の約40%である場合、非動作シューティングゾーン112を越えて決定される可変の非進入ゾーン110の半径は、2,000フィートの射程に銃器の可変の非進入ゾーン110を決定するための2,000フィートの40%を求めることによって計算される800フィートが追加される。
【0050】
非動作ゾーン112内では、認められた武器以外の武器は、いかなる方向にも作動しない。特定の銃器、例えばコルト45拳銃は、この特定の銃器に関する特定の可変の非進入ゾーン110の外周から始まる非シュート円弧内では機能しない。
【0051】
いくつかの実装形態において、一部の武器について、非動作ゾーン112内で動作することを認めることができる。しかしながら、認められた武器が悪意のある発砲者に奪われた場合や、認められた武器がならず者の認められたユーザによって使用される場合に、その武器をシステムによって無効にすることができる。例えば、襲撃者が武器を警察署から盗み去った場合など、武器が奪われたことが銃器抑止安全システムに通知されると、システムは、以前に認められた銃器を、認められていない銃器として扱うことができる。その場合、銃器は、非動作ゾーン112または非進入ゾーン110内のその銃器について確立された非シュート円弧では動作しない。
【0052】
図1に示されているように、移動通信装置107は、接続116を介して標的101の送信機/受信機130aと通信することができ、さらには/あるいは接続114を介して銃器抑止安全システム103と通信することができる。移動通信装置107、例えば、車両、スマートフォン、またはラップトップコンピュータは、標的101に対する近距離の銃器上ロックシステム106を有する銃器の地理的位置の確立を助けることができる。銃器安全装置および動的可変保護システム100は、接続128を介したGPS衛星102との通信、接続124を介したセルブロードキャスト公共タワー104との通信、接続154を介した移動通信装置107との間の通信、ならびに銃器ロックシステムからの位置情報、すなわち銃器内のフラックスゲートコンパスの読み取り値を使用して、標的101に近接した銃器上ロックシステム106を備える銃器の地理的位置を確立させ、維持することができる。システム100は、銃器の位置およびその軌跡、ならびに警察官、初期対応者、および保安要員の位置、ならびに携帯電話機およびスマートデバイスに伝えられる指示情報、ならびにそれらの位置を、銃器抑止安全システム103および/または標的101に、記録または法医学の目的で記録することができる。
【0053】
図2が、銃器安全装置および動的可変保護システムにおいて銃器の銃器上ロックシステムを作動させるための例示的なプロセス200の流れ図である。便宜上、プロセス200は、1つ以上の場所に配置され、本明細書に従って適切にプログラムされた1つ以上のコンピュータのシステムによって実行されるものとして説明される。例えば、図1の銃器安全装置および動的可変保護システム100などの適切にプログラムされた銃器安全装置および動的可変保護システムが、プロセス200を実行することができる。
【0054】
システムは、銃器上ロック装置を備えた銃器が、送信機/受信機安全装置が取り付けられた標的の所定の距離の範囲内にあると判断することによって、起動プロセスを開始する(202)。システムは、銃器が標的から所定の距離の範囲内にある間、銃器の位置ならびに銃器の種類および銃器の所有者を追跡するなど、銃器を追跡する(204)。さらに、システムは、銃器の銃口が標的への相対方位にあるかどうか、すなわち標的を指しているかどうかを判定する(206)。この判定は、銃器内のフラックスゲートコンパス上のコンパス方位または方向によって決定されるように、銃器の銃口において数ナノ秒で計算される一定の短い間隔で取得および再取得される従来からのコンピュータ化された相対方位固定計算を使用して、自動的かつ継続的であってよい。システムは、銃器の弾薬の最大の発射物射程および所定の安全マージン射程を決定することによって、標的のための保護リングの直径を計算する(208)。保護の非シュートゾーンの外側の保護リングの動的かつ変化する直径は、銃器抑止安全システムに記録されたその銃器の最も強力な弾薬の最大投射射程以上である。所定の安全マージン範囲を、銃器抑止安全システムによって予めプログラムおよび記憶することができる。いくつかの実装形態においては、銃器抑止安全システムのプログラマが、安全マージンを、特定の武器について武器製造業者によって指定された最も強力な弾薬のパーセンテージとして決定することができる。したがって、安全マージンは、弾薬の範囲の0%~100%の間のどこかにあってよい。
【0055】
さらに、システムは、銃器の銃口の変化する相対方位の各側における動的な非シュート円弧と、円弧の予め設定された度数の安全マージンとを計算する(210)。コア円弧は、そこから円弧が発する円の中心にアクティブな発砲者を有する円弧である。円弧は、円弧のコア内に標的101を含む。いくつかの実装形態において、システムは、コア円弧を円弧の各側に拡張するために、コア円弧のパーセンテージとして予め定められ、あるいは動的に決定されるように、度/分/秒の安全マージンをコア円弧に追加する。安全マージンは、円弧の0~360度/分/秒の間であってよく、すなわち円弧の360度において、アクティブな武器はいずれの方向についても動作不能にされると考えられる。
【0056】
銃器が、計算された保護リングの直径および非シュート円弧によって決定される標的を取り囲む非シュートゾーン内にあるとき、システムは、銃器の非シュートゾーンへの発砲を防止するために、銃器上ロック装置を作動させるように銃器上ロックシステムにコマンドを送信する(212)。
【0057】
図3が、銃器上ロックシステム300用のマイクロ回路カード/基板を示している。銃器上ロックシステム300は、電源310を含む。電源310は、充電装置が例えばUSB電力ポートなどの充電ポート316との一体の降圧変換を有さない場合には随意による降圧変圧器314に結合した交換可能なバッテリまたは別の充電可能な電源であってよい。ロックシステム300は、中央処理装置(CPU)308を含む。CPUは、通信トランスポンダ/レシーバ312、フラックスゲートコンパス304、電源310、およびデータ入力ポート318から情報を受信する。次いで、CPUは、CPU内のプログラムされたルールの組にデータを適用する。或る一組のルールは、電力が絶たれた場合、または電源310の貯蔵容量が例えば容量の10%などの所定の割合を下回った場合に、安全有効化/無効化スイッチ330を作動させるようにスイッチプロセッサ302に指示することができる。別の一組のルールは、CPUに対して、動作のアクティブな履歴を維持するために、他のユニットから受信および監視する情報をメモリコンポーネント306に送信するように指示することができる。さらに別の一組のルールは、CPUが、CPUまたはメモリコンポーネント306内の予めプログラムされた情報、あるいは銃器抑止安全システム103によって銃へとダウンロードされた情報を引き出し、次いでその情報をCPUの他のルールによって決定される別のプロセスに適用することを可能にすることができる。さらに、CPUは、フラックスゲート304またはメモリコンポーネント306の情報をリアルタイムで銃器抑止安全システム103へ送信するようにプログラムされてもよい。さらに、CPUは、通信トランスポンダ/レシーバ312が、可変の非進入ゾーン110の縁部、特定の非シュート円弧の範囲内、あるいはアクティブな武器が可変の非進入ゾーン110の外側にあり、もしくは特定の非シュート円弧内にない場合に、武器を無効または有効にするための信号を受信したときに、スイッチプロセッサおよび安全有効化スイッチを作動させることができる。さらに、ロックシステム300は、銃器上ロック装置を無効または有効にするためのコマンドを受信する通信トランスポンダ/レシーバ312を含む。トランスポンダ/レシーバは、統合されたアンテナを含むことができる。いくつかの実装形態において、銃器上ロックシステムは、これらのコマンドを銃器抑止安全システム103または標的101から受信する。さらに、銃器上ロックシステムは、メモリコンポーネント306を含む。さらに、システム300は、銃器に関する位置情報を決定するためのフラックスゲートコンパス304を含む。CPUは、銃器上ロック装置を作動させ、あるいは無効にするためのコマンドを、スイッチングプロセッサ302に送信する。さらに、システム300は、スイッチングプロセッサ302と銃器上の従来からの銃器上手動安全スイッチに近接した遠隔トリガ安全スイッチ330との間の有線または無線接続320をさらに含む。
【0058】
好ましい実施形態においては、有線または無線接続320および安全有効化/無効化スイッチ330を除くすべてのコンポーネントは、小型化され、銃器の台尻、台尻キャップ、またはピストルグリップに設置される元々の機器として統合されてよい回路カード/基板上に取り付けられる。図3の回路基板は、武器の受けハンドルまたはグリップに収まるように充分に小さくすることが可能である。あるいは、回路カード/基板は、銃器の台尻、台尻キャップ、またはピストルグリップへとアフターマーケット/事後改修として取り入れられてよく、例えば、銃器のピストルハンドルに適用されるピストルグリップまたは交換用ピストルグリップの覆いとして取り入れられてよい。
【0059】
スイッチングプロセッサと従来からの銃器上手動安全スイッチに近接した遠隔トリガ安全スイッチとの間の有線または無線接続を、遠隔トリガ安全スイッチの係合時に、銃器上手動安全スイッチの解放を阻止するために阻止ピンまたはボルトが作動させられ、銃器上安全スイッチが「オフ」位置にある場合、銃器のトリガおよびハンマーがアクティブにされ、リモートトリガ安全スイッチの係合時に、銃器上手動安全スイッチが係合させられ、「オン」位置にスライドさせられ、銃器が動作不能にされるように、銃器の内部に従来からの銃器上手動安全スイッチに近接させて取り付けることができる。
【0060】
銃器ロックシステムの無効化を防止するために、システムは、銃器ロックシステムが不正に使用された場合や、システムを取り外そうとする企てが存在する場合に、ロック解除不可能なロックモードに入るように予めプログラムされる。一実装形態において、システムは、電力の供給が実質的に切断または変更された場合に武器を動作不能にする。別の実装形態において、システムは、例えば銃器上ロックシステムが完全な電池の強さの10%以下の電力しか有さない場合など、電源が規定の貯蔵容量を下回る場合に銃器を動作不能にする。
【0061】
図4Aが、図3の安全有効化/無効化スイッチから有効化コマンドを受信したときに有効化される銃器上ロックシステムの銃器上ロック装置の一実施形態を示している。このバージョンでは、不規則な形状(すなわち、長方形、偏心ディスク、または三角形)のカムをモータシャフトに取り付けることができる。システムは、カムを回転させ、したがって安全ピン機構をロックすることができる。図4Aにおいては、微小電気モータ401が、例えばロックシステム300などのロックシステムのCPU上の通信装置と通信する有線または無線通信装置402に接続される。さらに、微小電気モータ401は、CPU電源に接続され、あるいは自立している電源403に接続される。電気モータのロータシャフト404に、例えば三角形のカム405、長方形のカム406、あるいは偏心した円形または楕円形のカム407などの不規則な形状のカムが取り付けられる。カムが回転するとき、システムは安全ピン機構をロックし、したがって銃器の発砲を不可能にする。微小電気モータ401が銃器を使用可能にするための信号を受信すると、モータ401はカムを回転させ、銃器のロックを解除して銃器の使用を可能にする。
【0062】
図4Bが、図3の安全有効化/無効化スイッチから有効化コマンドを受信したときに有効化される銃器上ロックシステムの銃器上ロック装置の第2の実施形態を示している。この断続的なピン/ラチェット/爪バージョンでは、フライホイールまたは同様のディスクをモータシャフトに取り付けて、偏心したピンまたはピストンをカムのような武器のピンに対するロック機構としての位置に移動させることができる。断続的/ラチェット/爪またはクランクは、微小電気モータ401上に取り付けられた歯付きカム408の形態であってよく、あるいはピンまたはピストンがオフセット411された別の歯車プレート409によってその歯付きカム408と係合することができ、爪/ラチェット410が、歯車の逆転をひとたび所定の位置に位置すると防止するように設置される。この構成は、システムが、微小電気モータのロータの円運動を、カムがロックピンへの共通の近接において行うやり方と同様のやり方でロックピンを移動させる角度の垂直または水平ピストン運動に変換することを可能にする。爪/ラチェットは、安全装置が「オフ」位置に解放されると解除される。係合すると、一実装形態において、ロックピンは、トリガーガードの解放を防止し、したがってトリガを無効にする。別の実装形態において、ロックピンは発射ピンの装薬との係合を防止する。さらに別の実装形態において、ロックピンは、ドロップピンが銃身内のドロップブロックから外れることを防止する。
【0063】
図4Aまたは図4Bのいずれかのバージョンを使用して、カムまたはフライホイール/ディスクは、トリガ安全機構または発射ピンに対してロックピンを作動させるため、装薬に対するその動きを防止するため、または発射ピンシャフトの遠位端に取り付けられたドロップピンが作動位置に係合することを防止するブロックを防止するために、微小電気モータのロータに取り付けられる。
【0064】
別の実装形態において、微小電気モータは、ねじを緩める方向に回転し、したがって発射ピン、トリガピン、またはピンの解放を防止する阻止ピンに対して伸長するねじ山付きのピンまたはボルトを含むハウジングと係合する。
【0065】
図4Cが、銃器上安全装置の潜在的な位置を示している。武器の銃身420が、発射ピン422と、安全ピン阻止ピン423と、例えば図4Aまたは図4Bからのロック機構のうちの1つであるロック機構424とを含む。この実装形態において、ロック機構424の係合時(または、係合解除時)に、発射ピンを防止する(または、有効にする)ために、阻止ピン423が発射ピン422の経路へと突出する。
【0066】
図4Dが、銃器上安全装置の代案の位置を示している。この実装形態において、ロック機構424は、阻止ピン423が指トリガ阻止シールド428と係合して指トリガ427を無効化/有効化することを保証する。
【0067】
図4Eが、銃器上安全装置のさらに別の代案の位置を示している。この実装形態において、ロック機構424は、阻止ピン423がハンマー426またはハンマープレートと係合して、ハンマーまたはハンマープレートの突出部が装薬を叩くことを防止する(または、可能にする)ことを保証する。
【0068】
本明細書に記載された主題および機能動作の実施形態は、デジタル電子回路、有形に具現化されたコンピュータソフトウェアまたはファームウェア、本明細書に開示された構造およびそれらの構造的均等物を含むコンピュータハードウェア、またはそれらのうちの1つ以上からなる組み合わせにて実現可能である。本明細書に記載された主題の実施形態を、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現可能である。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、ランダムアクセスまたはシリアルアクセスメモリデバイス、あるいはこれらのうちの1つ以上からなる組み合わせであってよい。これに代え、あるいはこれに加えて、プログラム命令は、例えば機械によって生成される電気信号、光信号、または電磁信号など、適切な受信機装置へと送信されてデータ処理装置によって実行される情報を符号化するために生成される人工的に生成された伝播信号上に符号化されてよい。
【0069】
「データ処理装置」という用語は、データ処理ハードウェアを指し、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、あるいは複数のプロセッサまたはコンピュータなど、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路であってもよく、あるいは専用論理回路をさらに含むことができる。装置は、随意により、ハードウェアに加えて、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つ以上からなる組み合わせを構成するコードなど、コンピュータプログラムのための実行環境を作成するコードを含むことができる。
【0070】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリ、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードとも呼ばれ、あるいはそのように説明され得るコンピュータプログラムは、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語、あるいは宣言型言語または手続き型言語など、任意の形式のプログラミング言語で記述されてよく、例えばスタンドアロンのプログラム、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形態で展開されてよい。プログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応し得るが、そうである必要はない。プログラムは、例えばマークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプトなど、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部分に格納されてよく、該当のプログラムに専用の単一のファイルに格納されてよく、あるいは例えば1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部分を格納するファイルなど、複数の協調的なファイルに格納されてよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行され、あるいは1つの場所に位置し、もしくは複数の場所にわたって分散され、データ通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように、展開されてよい。
【0071】
本明細書に記載されたプロセスおよび論理フローを、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルコンピュータによって実行することができる。さらに、プロセスおよび論理フローを、例えばFPGAまたはASICなどの専用論理回路によって実行することができ、あるいは専用論理回路と1つ以上のプログラムされたコンピュータとの組み合わせによって実行することができる。
【0072】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、汎用もしくは専用マイクロプロセッサまたはその両方、あるいは任意の他の種類の中央処理装置に基づくことができる。一般に、中央処理装置は、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリあるいはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令を遂行または実行するための中央処理装置、ならびに命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。中央処理装置およびメモリは、専用論理回路によって補完されてよく、あるいは専用論理回路に組み込まれてよい。一般に、コンピュータは、例えば磁気、光磁気ディスク、または光ディスクなどのデータを格納するための1つ以上の大容量記憶装置をさらに含み、あるいはそのような大容量記憶装置からのデータの受信、そのような大容量記憶装置へのデータの転送、または両方を行うように動作可能に接続される。しかしながら、コンピュータは、必ずしもそのような装置を有する必要はない。さらに、コンピュータは、別の装置に埋め込まれてもよく、例えば、いくつか例を挙げると、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオまたはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、あるいはユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどの携帯型記憶装置に埋め込まれてもよい。
【0073】
コンピュータプログラム命令およびデータの格納に適したコンピュータ可読媒体として、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクなど、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが挙げられる。
【0074】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載の主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置、例えばCRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザによるコンピュータへの入力の提供を可能にするキーボードならびにマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実現可能である。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することも可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであってよく、ユーザからの入力を、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。さらに、コンピュータは、例えば、ユーザのデバイス上のウェブブラウザに対して、ウェブブラウザから受信した要求に応答してウェブページを送信するなど、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信すること、およびユーザによって使用されるデバイスからの文書を受信することによって、ユーザと対話することができる。さらに、コンピュータは、例えばスマートフォンなどのメッセージングアプリケーションを実行するパーソナルデバイスへとテキストメッセージまたは他の形態のメッセージを送信し、返事としてユーザから応答メッセージを受信することによって、ユーザと対話することができる。
【0075】
本明細書に記載の主題の実施形態は、例えばデータサーバとしてのバックエンドコンポーネントを含み、あるいは例えばアプリケーションサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含み、あるいは本明細書に記載の主題の実装との対話をユーザにとって可能にするグラフィカルユーザインターフェース、ウェブブラウザ、またはアプリを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含み、あるいは1つ以上のそのようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実現可能である。システムのコンポーネントを、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)、例えばインターネットが挙げられる。
【0076】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実施形態において、サーバは、例えば、クライアントとして機能するデバイスと対話するユーザにデータを表示し、そのようなユーザからユーザ入力を受信する目的で、例えばHTMLページなどのデータをユーザデバイスに送信する。例えばユーザ対話の結果など、ユーザデバイスにおいて生成されたデータを、デバイスからサーバにおいて受信することができる。
【0077】
本明細書は、多数の具体的な実施の詳細を含んでいるが、これらは、あらゆる発明の範囲または特許請求され得る内容の範囲について、限定として解釈されるべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有であってよい特徴の説明として解釈されるべきである。本明細書で別々の実施形態の文脈において説明されている特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて実施することも可能である。反対に、単一の実施形態の文脈において説明されている種々の特徴を、複数の実施形態において別々に実施することも、任意の適切な部分的組み合わせで実施することも可能である。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求されるかもしれないが、特許請求された組み合わせからの1つ以上の特徴が、場合によっては、組み合わせから削除されてもよく、特許請求された組み合わせは、部分的組み合わせまたは部分組み合わせの変形を対象とすることができる。
【0078】
同様に、動作が特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が図示された特定の順序または連続した順序で実行される必要があり、あるいは示されたすべての動作が実行される必要があると、理解されるべきではない。特定の状況においては、マルチタスク処理および並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における種々のシステムモジュールおよびコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、記載されたプログラムコンポーネントおよびシステムが、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されてよく、あるいは複数のソフトウェア製品にパッケージされてよいことを、理解すべきである。
【0079】
本主題の特定の実施形態を説明した。他の実施形態が、以下の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる。例えば、特許請求の範囲に記載の動作を、異なる順序で実行することができ、それでもなお望ましい結果を達成することができる。一例として、添付の図面に示されているプロセスは、望ましい結果を達成するために、必ずしも図示されている特定の順序または連続した順序を必要としない。いくつかの場合には、マルチタスク処理および並列処理が有利かもしれない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7