(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20231219BHJP
E03B 5/00 20060101ALI20231219BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20231219BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F04B49/06 311
E03B5/00 B
F04D15/00 F
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2019133714
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】502002407
【氏名又は名称】川本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山本 大稀
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】伊與田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 宏明
(72)【発明者】
【氏名】杉原 文慶
(72)【発明者】
【氏名】板倉 毅
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-53817(JP,A)
【文献】特開平3-53303(JP,A)
【文献】特開2012-171341(JP,A)
【文献】特開2018-197494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
F04B 49/06
F04D 15/00
E03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御基板により制御
される給水装置であって、相互通信可能な第1の制御基板および第2の制御基板を具備し、
前記第2の制御基板は、前記
給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第1のパラメータ記憶部を具備し、
前記第1の制御基板は、
前記
給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第2のパラメータ記憶部と、
前記第2の制御基板から受信された当該第2の制御基板を識別する第1の識別データを取得する受信データ取得部と、
前記第1の制御基板によって把握されている、第2の制御基板の識別データを表す第1の参照データを保存する参照データ記憶部と、
前記第1の識別データを前記第1の参照データと比較する識別データ比較部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記把握していた第2の制御基板が新たな第2の制御基板に交換されたことを検知し、前記第2のパラメータ記憶部に保存されている
設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメー
タを当該新たな第2の制御基板の前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求するパラメータ複製部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記参照データ記憶部に保存されている前記第1の参照データを前記第1の識別データに一致するように書き換える参照データ書き換え部と
を具備する、給水装置。
【請求項2】
前記第1の制御基板は、前記第2の制御基板が通電したことを契機として前記第2の制御基板に前記第1の識別データを要求する識別データ要求部をさらに具備する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記第2の制御基板は、前記第2の制御基板が通電したことを契機として前記第1の制御基板に前記第1の識別データを通知する識別データ通知部をさらに具備する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記第1の制御基板は、入力データを取得する入力データ取得部をさらに具備し、
前記パラメータ複製部は、前記パラメータの複製中に前記入力データ取得部によって前記パラメータの複製の中止を指示するユーザ入力が取得された場合に、前記パラメータの複製を中止する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記第1の制御基板は、入力データを取得する入力データ取得部をさらに具備し、
前記パラメータ複製部は、前記入力データ取得部によって前記パラメータの複製の実行を指示するユーザ入力が取得された場合に、前記第2のパラメータ記憶部に保存されている
設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメー
タを前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
制御基板により制御
される給水装置であって、相互通信可能な第1の制御基板、第2の制御基板および第3の制御基板を具備し、
前記第1の制御基板、前記第2の制御基板および前記第3の制御基板の各々には役割が与えられ、
前記第2の制御基板は、前記
給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第1のパラメータ記憶部を具備し、
前記第3の制御基板は、前記
給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第3のパラメータ記憶部を具備し、
前記第1の制御基板は、
前記
給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第2のパラメータ記憶部と、
前記第2の制御基板に与えられた役割を識別する第1の役割識別子に関連付けて前記第1の制御基板によって把握されている、第2の制御基板の識別データを表す第1の参照データを保存し、且つ前記第3の制御基板に与えられた役割を識別する第2の役割識別子に関連付けて前記第1の制御基板によって把握されている、第3の制御基板の識別データを表す第2の参照データを保存する参照データ記憶部と、
前記第2の制御基板から受信された当該第2の制御基板を識別する第1の識別データ及び前記第1の役割識別子を取得するか、又は前記第3の制御基板から受信された当該第3の制御基板を識別する第2の識別データ及び前記第2の役割識別子を取得する受信データ取得部と、
前記第1の識別データ及び前記第1の役割識別子が取得された場合には前記参照データ記憶部から前記第1の役割識別子をキーとして前記第1の参照データを読み出して当該第1の参照データと前記第1の識別データとを比較し、前記第2の識別データ及び前記第2の役割識別子が取得された場合には前記参照データ記憶部から前記第2の役割識別子をキーとして前記第2の参照データを読み出して当該第2の参照データと前記第2の識別データとを比較する識別データ比較部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記把握していた第2の制御基板が新たな第2の制御基板に交換されたことを検知し、前記第2のパラメータ記憶部に保存されている
設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメー
タを当該新たな第2の制御基板の前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求し、前記第2の識別データおよび前記第2の参照データが一致しない場合に、前記把握していた第3の制御基板が新たな第3の制御基板に交換されたことを検知し、前記第2のパラメータ記憶部に保存されている
設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメー
タを当該新たな第3の制御基板の前記第3のパラメータ記憶部に複製するよう前記第3の制御基板に要求するパラメータ複製部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記参照データ記憶部に保存されている前記第1の参照データを前記第1の識別データに一致するように書き換え、前記第2の識別データおよび前記第2の参照データが一致しない場合に、前記参照データ記憶部に保存されている前記第2の参照データを前記第2の識別データに一致するように書き換える参照データ書き換え部と
を具備する、給水装置。
【請求項7】
前記第2のパラメータ記憶部に保存されている設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメータは、前記第2のパラメータ記憶部に保存されているパラメータの全部である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の制御基板間のパラメータ同期に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の制御基板を備える回転機械装置において、複数の制御基板を相互に通信監視するように構成し、第1の制御基板と第2の制御基板との間に通信異常が発生した場合に、第2の制御基板が第1の制御基板をバックアップすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術において、第2の制御基板が第1の制御基板を実際にバックアップするためには、通信異常の発生時に第2の制御基板がバックアップを行う準備が整っている必要がある。例えば、第2の制御基板は、第1の制御基板が複数のインバータを制御するために直前まで用いていたパラメータを参照できなければ、当該第1の制御基板を適切にバックアップすることができないおそれがある。
【0005】
なお、パラメータの設定を変更する度に各制御基板のメモリに当該パラメータを保存することで複数枚の制御基板の間でパラメータを同期できる可能性はある。しかしながら、かかるパラメータ同期法は、制御基板の交換、例えば第2の制御基板から新たな制御基板への交換、により破綻するおそれがある。すなわち、第2の制御基板のメモリに保存されたパラメータは新たな制御基板のメモリに当然には継承されないので、新たな制御基板は、第1の制御基板を適切にバックアップすることができないおそれがある。
【0006】
本発明は、複数枚の制御基板の間でパラメータを同期することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給水装置は、給水装置を制御する。給水装置は、相互通信可能な第1の制御基板および第2の制御基板を含む。第2の制御基板は、給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第1のパラメータ記憶部を含む。第1の制御基板は、第2のパラメータ記憶部と、受信データ取得部と、参照データ記憶部と、識別データ比較部と、パラメータ複製部と、参照データ書き換え部とを含む。第2のパラメータ記憶部は、給水装置の制御に関わるパラメータを保存する。受信データ取得部は、第2の制御基板から受信された当該第2の制御基板を識別する第1の識別データを取得する。参照データ記憶部は、前記第1の制御基板によって把握されている、第2の制御基板の識別データを表す第1の参照データを保存する。識別データ比較部は、第1の識別データを第1の参照データと比較する。パラメータ複製部は、第1の識別データおよび第1の参照データが一致しない場合に、前記把握していた第2の制御基板が新たな第2の制御基板に交換されたことを検知し、第2のパラメータ記憶部に保存されている設定圧力を含む前記給水装置の制御に必要なパラメータを当該新たな第2の制御基板の第1のパラメータ記憶部に複製するよう第2の制御基板に要求する。参照データ書き換え部は、第1の識別データおよび第1の参照データが一致しない場合に、参照データ記憶部に保存されている第1の参照データを第1の識別データに一致するように書き換える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、複数枚の制御基板の間でパラメータを同期することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る給水装置を例示するブロック図。
【
図2】
図2中の第1の制御基板を例示するブロック図。
【
図3】第1の制御基板および第2の制御基板のメモリ状態の一例を示す図。
【
図4】
図3のメモリ状態にある第1の制御基板および第2の制御基板の動作を例示するシーケンス図。
【
図5】第1の制御基板および第2の制御基板のメモリ状態の別の例を示す図。
【
図6】
図5のメモリ状態にある第1の制御基板および第2の制御基板の動作を例示するシーケンス図。
【
図7】
図6の動作後の第1の制御基板および第2の制御基板のメモリ状態を例示する図。
【
図8】
図1中の制御盤が3枚以上の制御基板を含む場合に、
図2中の参照データ記憶部に保存される参照データを例示する図。
【
図9】
図2の第1の制御基板の動作を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。
【0011】
なお、以降の説明において便宜上、複数枚の制御基板によって制御される対象を給水装置と仮定するが、対象はこれに限定されない。例えば、対象は、揚水、排水などの任意の用途のポンプを備えた装置であってもよいし、かかる装置とも異なる種々の電気または機械設備、例えば、給湯機、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械、などであってもよい。また、以降の説明において、「ポンプ」または「給水装置」の用語は、より広義の用語である「対象」として、または他の装置または設備の名称として適宜読み替え可能である。さらに、以降の説明において、「制御盤」は、給水装置の制御装置として典型的に用いられている用語であるが、より広義な「制御装置」として適宜読み替えることができる。
【0012】
(実施形態)
実施形態に係る給水装置は、例えば
図1の給水装置10であり得る。給水装置10は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。
【0013】
この給水装置10は、ポンプ装置20と、制御盤30と、圧力センサ40と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。給水装置10は、ポンプ装置20により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ装置20を接続する。吐出配管は、ポンプ装置20とその二次側の給水先とを接続する。
【0014】
なお、給水装置10は、複数台のポンプ装置20を含んでいてもよい。この場合に、給水装置10は、複数台のポンプ装置20を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ装置20を同時に駆動する並列運転、などを行うことができる。
【0015】
圧力センサ40は、給水装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能である。
【0016】
制御盤30は、ポンプ装置20(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ装置20を制御する。
図1に例示されるように、制御盤30は、相互通信可能な第1の制御基板31および第2の制御基板32と、インバータ33とを含む。詳細は後述するが、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32は、各種センサからのセンシング信号に基づいて、インバータ33を介してポンプ装置20のモータの駆動を制御する。
【0017】
例えば、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32は、圧力センサ40からのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御を行い得る。また、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
【0018】
さらに、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32は、ポンプ装置20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32は、圧力センサ40からのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。
【0019】
なお、第1の制御基板31および第2の制御基板32の協調態様は、様々に定義することが可能である。例えば、第2の制御基板32は、第1の制御基板31が正常に稼働している間はインバータ33の制御は行わず、第1の制御基板31に異常発生した場合に当該第1の制御基板31を代行してインバータ33を制御するようにしてもよい。或いは、第1の制御基板31および第2の制御基板32は、互いに異なるポンプ装置20に接続されたインバータ33を制御してもよい。例えば、第1の制御基板31は第1のグループに属するポンプ装置20に接続されたインバータ33を制御し、第2の制御基板32は第1のグループとは重複しない第2のグループに属するポンプ装置20に接続されたインバータ33を制御してもよい。
【0020】
インバータ33は、第1の制御基板31および/または第2の制御基板32からインバータ制御信号を受け取る。インバータ33は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ33は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始し得る。また、インバータ33は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、その担当するモータの回転数を制御し得る。
【0021】
図2に例示されるように、第1の制御基板31は、I/O部101と、通信I/F(インタフェース) 102と、プロセッサ110と、メモリ120とを含む。また、第1の制御基板31(のI/O部101)は、ポンプ装置20、インバータ33、および圧力センサ40に接続される。さらに、第1の制御基板31は、通信I/F 102を介して第2の制御基板32と通信可能である。
【0022】
なお、第2の制御基板32は、第1の制御基板31と共通のハードウェアにより構成可能であるので説明を省略する。第1の制御基板31および第2の制御基板32を同種のハードウェアにより構成する場合に、両者を交換可能に構成してもよい。すなわち、共通のハードウェアを有する2枚の制御基板にそれぞれ異なる役割を設定することで、一方を第1の制御基板31として構成し、他方を第2の制御基板32として構成してもよい。これにより、第1の制御基板31および第2の制御基板32をそれぞれ個別に製造する場合に比べると、製造コストを抑制することができるし、また2種類の制御基板を在庫する必要がないので在庫コストをおよそ半減させることもできる。
【0023】
I/O部101は、例えばポートなどの入出力インタフェースである。I/O部101は、ポンプ装置20、インバータ33、圧力センサ40、および/または図示されない入力装置から、例えば、ポンプデータ(センシング信号を含み得る)、ユーザ入力(コマンドを含み得る)などの入力データを受け取り、プロセッサ110へ送る。他方、I/O部101は、プロセッサ110から、例えばインバータ制御信号を受け取ってインバータ33へ送る。
【0024】
通信I/F 102は、第2の制御基板32(の通信I/F)と有線または無線で基板間通信を行う。通信I/F 102は、例えば380MHz~3GHzの範囲内の周波数を利用して第2の制御基板32と無線通信を行うことができる。通信I/F 102は、種々のデータ、例えば、第1の制御基板31の識別データ、識別データ取得要求、パラメータ複製要求、など、をプロセッサ110から受け取って第2の制御基板32へ送信する。また、通信I/F 102は、第2の制御基板32から種々のデータ、例えば第2の制御基板32の識別データ、識別データ取得要求、パラメータ複製要求、などを受信し、これをプロセッサ110へ送る。
【0025】
また、通信I/F 102は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、移動通信(例えば、3G、4G、5G、モバイルWiMAX)、WiMAXなどの通信技術を利用して、外部装置、例えば図示されない通信端末、サーバ、などと通信する通信モジュールを備えていてもよい。
【0026】
プロセッサ110は、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ110は、例えば、通信制御、入出力制御、ポンプ制御、識別データの比較、などを行う。
【0027】
メモリ120は、プロセッサ110が各処理を実現するために当該プロセッサ110によって実行されるプログラム、例えば、ファームウェア、OS(Operating System)、ポンプ制御プログラム、など、および当該プロセッサ110によって使用されるデータ、例えば、ポンプデータ(後述されるパラメータおよび識別データを含む)、参照データ、などを一時的に格納するメモリを含んでいる。メモリは、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)を含み得る。
【0028】
プロセッサ110は、メモリ120に保存されたプログラムを実行することで、
図2のポンプ制御部111、入力データ取得部112、受信データ取得部113、識別データ比較部114、パラメータ複製部115、参照データ書き換え部116、識別データ通知部117、および識別データ要求部118として機能し得る。また、メモリ120は、参照データ記憶部121、およびポンプデータ記憶部122を含み得る。
【0029】
ポンプ制御部111は、ポンプデータ記憶部122からポンプデータ、例えば、圧力センサ40、および/または流量センサから取得したセンシング信号(またはこれに基づく圧力値、および/または流量値)、および/または回転周波数値を継続的に読み出す。そして、ポンプ制御部111は、メモリ120に保存されたポンプ制御プログラムによって決まる制御ポリシーに従い、最新のセンシング信号等に応じてインバータ制御信号を生成し、これをI/O部101を介してインバータ33へ送る。
【0030】
入力データ取得部112は、I/O部101を介して、入力データを取得する。入力データ取得部112は、例えば、取得したポンプデータをポンプデータ記憶部122に書き込む。なお、入力データ取得部112は、取得したポンプデータのうち、第2の制御基板32と同期する必要のあるパラメータについては、ポンプデータ記憶部122に含まれるパラメータ記憶部123に書き込む。
【0031】
なお、第2の制御基板32に含まれる入力データ取得部もまた、第2の制御基板32に含まれるI/O部を介して、入力データ取得部112と同一のパラメータを取得し、これを第2の制御基板32に含まれるパラメータ記憶部に書き込む。故に、制御基板の交換やその他の不具合がなかったとすれば、第1の制御基板31のパラメータ記憶部123に保存されているパラメータと、第2の制御基板32のパラメータ記憶部の間で保存されているパラメータとは同期することになる。
【0032】
他方、入力データ取得部112は、パラメータの複製の中止を指示するユーザ入力である複製中止コマンド、またはパラメータの複製の実行を指示するユーザ入力である複製実行コマンドを取得した場合には、これをパラメータ複製部115へ送る。
【0033】
ポンプデータは、例えば、ポンプの識別情報、ポンプの出荷情報、ポンプの故障情報、ポンプの運転情報、ポンプのメンテナンス情報、ポンプに関する連絡先情報、ポンプのパラメータ、ポンプの設置情報、およびポンプに関するセンシング信号のうちの一部または全部を含み得る。
【0034】
ポンプの識別情報は、例えば、給水装置10の製品名ないし機種名に相当する形式、形式を番号化した製品番号、給水装置10またはポンプ装置20の個体識別番号に相当する製造番号などを含み得る。さらに、ポンプの識別情報は、第1の制御基板31を識別する識別データ、例えば、第1の制御基板31の個体識別番号に相当する製造番号を含み得る。第1の制御基板31の識別データは、例えばポンプデータ記憶部122に含まれる識別データ記憶部124に予め、例えば第1の制御基板31の製造時に、保存され得る。
【0035】
ポンプの出荷情報は、ポンプの生産時/検査時に設定され得る。ポンプの出荷情報は、例えば、ポンプの代表特性などを含み得る。ポンプの代表特性は、例えば1つまたは複数の性能項目についての同機種の複数台のポンプの性能の平均値または他の統計値である。例えば、給水装置10の性能を測定し、測定された性能を同項目の代表特性と比較することで、当該給水装置10の検査や経年劣化の診断することが可能となる。
【0036】
ポンプの故障情報は、例えば、ポンプの故障履歴であり得る。具体的には、ポンプの故障情報は、給水装置10の故障イベント毎に、故障発生日時、故障要因、および/または故障発生時の給水装置10のステータス、などを含み得る。ポンプの故障情報は、過去所定期間に亘る全ての故障イベントに関する情報要素を含んでいてもよいし、故障発生日時が新しい順に所定個数の故障イベントに関する情報要素を含んでいてもよい。また、給水装置10のステータスは、例えばインバータ33から取得した電圧/電流値、圧力センサ40から取得したセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得したセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの回転周波数値、積算運転時間、積算運転回数、などを含み得る。ここで、積算運転時間、および/または積算運転回数は、例えばポンプ制御部111によって給水装置10の運転実態に応じて算出され、ポンプデータ記憶部122に書き込まれ得る。
【0037】
ポンプの運転情報は、例えば、ポンプの最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、ポンプの運転情報は、例えばインバータ33から取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサ40から取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転時間、各時点の積算運転回数、ポンプ制御部111によって判定された給水装置10の運転状態(例えば、正常、電力供給停止、故障、など)、などを含み得る。
【0038】
ポンプのメンテナンス情報は、例えば、ポンプの次の推奨点検タイミング、部品/全体の次の推奨交換タイミング、などであり得る。ここで、これらのタイミングは、例えばポンプ制御部111によって算出され、ポンプデータ記憶部122に書き込まれ得る。ポンプ制御部111は、ポンプの最新の点検タイミングおよび/または部品/全体の最新の交換タイミングに所定期間、例えば10年、を加算することで、ポンプの次の推奨点検タイミングおよび/または部品/全体の次の推奨交換タイミングを算出してもよいし、或いはポンプの運転情報および/または故障情報に基づいてこれらのタイミングを予測してもよい。また、ポンプのメンテナンス情報は、部品/全体の交換実施タイミングなどのメンテナンス履歴情報を含み得る。
【0039】
ポンプに関する連絡先情報は、例えば、給水装置10のポンプデータまたは給水装置10に関わるその他のデータを閲覧するためのWebページの所在を表すURL、給水装置10の修理、点検、交換などを作業員のための窓口の連絡先、例えば給水装置10が設置された現場の最寄りの営業所の電話番号、などを含み得る。ここで、連絡先は、例えば、電話番号、メールアドレス、FAX番号、などであり得る。また、給水装置10の故障時と非故障時とで異なる連絡先が用意されてもよいし、さらに故障要因別に異なる連絡先が用意されてもよい。
【0040】
ポンプのパラメータは、例えば給水装置10の設定圧力、などの給水装置10の制御に関するものを含み得る。ポンプの設置情報は、例えば給水装置10の納入日、設置日、設置場所、オーナー情報、などを含み得る。ポンプに関するセンシング信号は、例えば、圧力センサ40、流量センサ、などの出力の履歴であり得る。
【0041】
受信データ取得部113は、通信I/F 102を介して、受信データを取得する。受信データ取得部113は、例えば、取得した第2の制御基板32の識別データを識別データ比較部114へ送る。ここで、第2の制御基板32の識別データは、第2の制御基板32を識別し、例えば第2の制御基板32の製造番号であり得る。また、受信データ取得部113は、取得した識別データ取得要求を識別データ通知部117へ送る。さらに、受信データ取得部113は、取得したパラメータ複製要求に含まれるパラメータをパラメータ記憶部123に書き込む。パラメータ複製要求は、例えば、第1の制御基板31が古い制御基板から交換されたことを契機として、または複製実行コマンドが与えられたことを契機として、第2の制御基板32から送信され得る。
【0042】
識別データ比較部114は、受信データ取得部113から第2の制御基板32の識別データを受け取ると、参照データ記憶部121から参照データを読み出す。ここで、参照データは、第2の制御基板32から通知された識別データに一致するように管理される。すなわち、参照データは、第1の制御基板31によって把握されている、第2の制御基板32の識別データを表す。故に、例えば、第2の制御基板32が古い制御基板から交換されてから初めてその識別データと通知したとすれば、参照データはこの古い制御基板の識別データに一致するものの第2の制御基板32の識別データとは一致しないことになる。
【0043】
識別データ比較部114は、第2の制御基板32の識別データを参照データと比較する。第2の制御基板32の識別データが参照データと一致していない場合には、第1の制御基板31のパラメータ記憶部123に保存されているパラメータと、第2の制御基板32のパラメータ記憶部に保存されているパラメータとが同期していないと推測できる。そこで、識別データ比較部114は、パラメータ複製部115および参照データ書き換え部116に、第2の制御基板32の識別データが参照データと一致しなかったことを通知する。他方、第2の制御基板32の識別データが参照データと一致している場合には、第1の制御基板31のパラメータ記憶部123に保存されているパラメータと、第2の制御基板32のパラメータ記憶部に保存されているパラメータとが同期していると推測できる。故に、識別データ比較部114は、かかる通知を行わない。すなわち、パラメータの複製も参照データの書き換えも行われない。
【0044】
パラメータ複製部115は、識別データ比較部114から第2の制御基板32の識別データが参照データと一致しなかったことを通知されると、パラメータ記憶部123から複製対象となるパラメータを読み出す。パラメータ複製部115は、読み出したパラメータを第2の制御基板32のパラメータ記憶部に複製するよう当該第2の制御基板32に要求する。具体的には、パラメータ複製部115は、かかるパラメータを含むパラメータ複製要求を通信I/F 102を介して第2の制御基板32へ送信する。これにより、第2の制御基板32のパラメータ記憶部にはパラメータ取得要求に含められたパラメータが複製される。すなわち、第1の制御基板31のパラメータ記憶部123に保存されているパラメータと、第2の制御基板32のパラメータ記憶部に保存されているパラメータとが同期することになる。
【0045】
ここで、複製対象となるパラメータは、パラメータ記憶部123に保存されているパラメータの一部または全部を含み得る。さらに、パラメータ以外のポンプデータ、例えば、ポンプの故障情報、ポンプの運転情報、ポンプのメンテナンス情報、ポンプに関する連絡先情報、ポンプの設置情報、およびポンプに関するセンシング信号、などの一部または全部を複製対象として追加することもできる。
【0046】
また、パラメータ複製部115は、パラメータの複製中、例えば識別データ比較部114から第2の制御基板32の識別データが参照データと一致しなかったことを通知されてから、パラメータの複製が完了するまでの推定所要時間(例えば1分程度)内、に入力データ取得部112から複製中止コマンドを受け取った場合には、パラメータの複製を中止してもよい。例えば、パラメータ複製部115は、パラメータ複製要求の送信を中止し、または送信済みのパラメータ複製要求の撤回を第2の制御基板32に通知してもよい。
【0047】
さらに、パラメータ複製部115は、識別データ比較部114から第2の制御基板32の識別データが参照データと一致しなかったことが通知されなくても、入力データ取得部112から複製実行コマンドを受け取った場合には、パラメータの複製を実行してもよい。すなわち、パラメータ複製部115は、パラメータ記憶部123から複製対象となるパラメータを読み出し、読み出したパラメータを第2の制御基板32のパラメータ記憶部に複製するよう当該第2の制御基板32に要求してもよい。
【0048】
参照データ書き換え部116は、識別データ比較部114から第2の制御基板32の識別データが参照データと一致しなかったことを通知されると、参照データ記憶部121に保存されている参照データを、受信された第2の制御基板32の識別データに一致するように書き換える。これにより、第2の制御基板32が新たな制御基板に交換されて新たな識別データが通知されるまで、不要なパラメータの複製および参照データの書き換えは生じないことになる。
【0049】
識別データ通知部117は、第2の制御基板32からの取得要求に応じて、または例えば第1の制御基板31が通電したことを契機として自発的に、識別データ記憶部124から識別データを読み出し、これを通信I/F 102を介して第2の制御基板32に通知する。なお、第2の制御基板32が、第1の制御基板31に対してこの実施形態において説明するパラメータ複製を行わない場合には、第1の制御基板31において識別データ通知部117は不要となり得る。
【0050】
識別データ要求部118は、例えば第2の制御基板32の通電(が検知されたこと)を契機として、第2の制御基板32にその識別データを要求する。具体的には、識別データ要求部118は、識別データの取得要求を発行し、これを通信I/F102を介して第2の制御基板32へ送る。なお、第2の制御基板32が識別データを自発的に第1の制御基板31に通知する場合には、識別データ要求部118は不要となり得る。
【0051】
参照データ記憶部121は、参照データを保存する。参照データは、参照データ書き換え部116によって書き込まれる。参照データ記憶部121に保存された参照データは、識別データ比較部114によって読み出される。
【0052】
ポンプデータ記憶部122は、パラメータ記憶部123および識別データ記憶部124を含み、前述の種々のポンプデータを保存する。ポンプデータは、ポンプデータ記憶部122に予め保存されている情報要素のデータ(例えば、識別データ)、入力データ取得部112または受信データ取得部113によって取得された情報要素のデータ(例えば、パラメータ)、および/またはポンプ制御部111によって生成された情報要素のデータを含み得る。ポンプデータ記憶部122に保存されたポンプデータは、ポンプ装置20の制御のためにポンプ制御部111によって読み出され得る。
【0053】
パラメータ記憶部123に保存されたパラメータは、第2の制御基板32に当該パラメータの少なくとも一部を複製するためにパラメータ複製部115によって読み出される。また、パラメータ記憶部123には、第2の制御基板32から受信されたパラメータ複製要求に含まれるパラメータが受信データ取得部113によって書き込まれ得る。さらに、識別データ記憶部124に保存された識別データは、第2の制御基板32に当該識別データを通知するために識別データ通知部117によって読み出され得る。
【0054】
以下、
図3乃至
図7を用いて、パラメータの複製に関する第1の制御基板31および第2の制御基板32の動作例を説明する。まず、
図3に、第1の制御基板31および第2の制御基板32のメモリ状態の一例を示す。ここで、メモリ状態とは、第1の制御基板31の参照データ記憶部121およびパラメータ記憶部123に保存されている参照データおよびパラメータと、第2の制御基板32の識別データ記憶部およびパラメータ記憶部に保存されている識別データおよびパラメータとの値を意味する。
【0055】
図3の例では、第1の制御基板31および第2の制御基板32の間でパラメータは正しく同期している。また、第1の制御基板31に保存されている参照データは、第2の制御基板32の識別データに一致している。
図3のメモリ状態の下で、第1の制御基板31および第2の制御基板32は
図4に例示されるように動作し得る。
【0056】
第2の制御基板32が通電する(ステップS201)と、第1の制御基板31の識別データ要求部118は識別データの取得要求を第2の制御基板32へ送信する(ステップS202)。第2の制御基板32の識別データ通知部は、これに応じて第2の制御基板32の識別データ(123456789)を第1の制御基板31に通知する(ステップS203)。
【0057】
なお、第1の制御基板31が識別データの取得要求を送信することはオプションであるからステップS201は省略され得る。代わりに、第2の制御基板32は自己の通電を契機として自発的に識別データを送信し得る。
【0058】
第1の制御基板31の識別データ比較部114は、ステップS203において通知された識別データ(123456789)を、参照データ記憶部121に保存されている参照データ(123456789)と比較し、両者の一致を確認する(ステップS204)。
図3および
図4の例では、第2の制御基板32の識別データが参照データに一致しているので、第1の制御基板31および第2の制御基板32の間でパラメータが同期していると推測できる。故に、パラメータの複製は省略される。
【0059】
次に、
図5に、第1の制御基板31および第2の制御基板32のメモリ状態の別の例を示す。
図5の例では、第1の制御基板31および第2の制御基板32の間でパラメータは同期していない。また、第1の制御基板31に保存されている参照データは、第2の制御基板32の識別データと一致していない。
【0060】
図5のメモリ状態の下で、第1の制御基板31および第2の制御基板32は
図6に例示されるように動作し得る。なお、
図6の動作例においてステップS201乃至ステップS203は、
図4の動作例と同様であるので説明を省略する。
【0061】
第1の制御基板31の識別データ比較部114は、ステップS203において通知された識別データ(234567891)を、参照データ記憶部121に保存されている参照データ(123456789)と比較し、両者の不一致を確認する(ステップS214)。
図5および
図6の例では、第2の制御基板32の識別データが参照データに一致していないので、第1の制御基板31および第2の制御基板32の間でパラメータが同期していないと推測できる。故に、パラメータの複製が実行される。
【0062】
第1の制御基板31のパラメータ複製部115は、第1の制御基板31のパラメータ記憶部123から第2の制御基板32に複製する必要のあるパラメータ(a=2,b=3,c=4,・・・)を読み出し、当該パラメータを含むパラメータ複製要求を第2の制御基板32へ送信する(ステップS215)。第2の制御基板32の受信データ取得部は、このパラメータ取得要求に含まれるパラメータを第2の制御基板32のパラメータ記憶部に複製する。
【0063】
他方、第1の制御基板31の参照データ書き換え部116は、ステップS203において通知された識別データ(234567891)と一致するように参照データ記憶部121に保存されている参照データを書き換える(ステップS216)。
【0064】
図6に例示される動作の結果、第1の制御基板31および第2の制御基板32のメモリ状態は
図7に例示されるように変化する。
図7の例では、第1の制御基板31および第2の制御基板32の間でパラメータは正しく同期している。また、第1の制御基板31に保存されている参照データは、第2の制御基板32の識別データに一致している。故に、以後、例えば制御基板の交換などにより、第2の制御基板32から通知される識別データが変化しない限りはパラメータの不必要な複製は省略されることになる。
【0065】
以下、
図9を用いて、
図2の第1の制御基板31の動作例を説明する。
図9の動作は、例えば第1の制御基板31が第2の制御基板32の通電を検知したことを契機として開始し得る。まず、識別データ要求部118は、第2の制御基板32にその識別データを要求する(ステップS301)。
【0066】
そして、識別データ比較部114は、ステップS301における要求に応じて通知された、第2の制御基板32の識別データを、参照データ記憶部121から読み出した参照データと比較する(ステップS302)。
【0067】
ステップS302において、第2の制御基板32の識別データが参照データと一致することが確認された場合には
図9の動作は終了し、そうでない場合には処理はステップS304へ進む(ステップS303)。
【0068】
ステップS304において、パラメータ複製部115は、パラメータ記憶部123から第2の制御基板32に複製する必要のあるパラメータを読み出し、当該パラメータを含むパラメータ複製要求を第2の制御基板32へ送信する。パラメータの複製が完了するまでの推定所要時間の間に複製中止コマンドが取得された場合には処理はステップS307に進み、複製中止コマンドが取得されることなく当該推定所要時間が経過した場合には処理はステップS308へ進む(ステップS305およびステップS306)。
【0069】
ステップS307において、パラメータ複製部115はパラメータの複製を中止し、
図9の動作は終了する。ステップS308において、参照データ書き換え部116は、参照データ記憶部121に保存されている参照データを、第2の制御基板32の識別データと一致するように書き換え、
図9の動作は終了する。
【0070】
以上説明したように、実施形態に係る給水装置の制御盤は、第1の制御基板および第2の制御基板を含んでおり、第1の制御基板は第2の制御基板から通知された識別データに一致するように参照データを管理する。そして、第1の制御基板は、第2の制御基板から通知された識別データが参照データに一致しなかった場合には、第2の制御基板へパラメータを複製するとともに当該識別データに一致するように参照データを書き換える。故に、この給水装置によれば、第1の制御基板は通知される識別データの変化を通じて第2の制御基板が新たな制御基板に交換されたことを検知し当該新たな制御基板のパラメータ記憶部にパラメータを複製するので、第1の制御基板と新たな制御基板との間でパラメータを同期することができる。
【0071】
(変形例)
実施形態では、制御盤が相互通信可能な2枚の制御基板を含む例を説明した。しかしながら、実施形態は、相互通信可能な3枚以上の制御基板を含む制御盤にも適用可能である。具体的には、各制御基板には役割が与えられるとともにその役割識別子が保存される。例えば、3枚の制御基板の各々には、第1の制御基板であることを示す役割識別子、第2の制御基板であることを示す役割識別子、および第3の制御基板であることを示す役割識別子のいずれかが保存され得る。そして、第2/第3の制御基板が第1の制御基板に識別データを通知する際に、当該第2/第3の制御基板の役割識別子を併せて通知する。第1の制御基板の参照データ記憶部には、
図8に例示されるように役割識別子に関連付けて参照データが保存されている。故に、第1の制御基板の識別データ比較部は、通知された役割識別子をキーとして、通知された識別データと比較されるべき参照データを読み出し、当該識別データと比較してパラメータの複製および参照データの書き換えの要否を判定できる。
【0072】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0073】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0074】
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0075】
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 対象を制御する制御装置であって、相互通信可能な第1の制御基板および第2の制御基板を具備し、
前記第2の制御基板は、前記対象の制御に関わるパラメータを保存する第1のパラメータ記憶部を具備し、
前記第1の制御基板は、
前記対象の制御に関わるパラメータを保存する第2のパラメータ記憶部と、
前記第2の制御基板から受信された当該第2の制御基板を識別する第1の識別データを取得する受信データ取得部と、
第1の参照データを保存する参照データ記憶部と、
前記第1の識別データを前記第1の参照データと比較する識別データ比較部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記第2のパラメータ記憶部に保存されているパラメータの少なくとも一部を前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求するパラメータ複製部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記参照データ記憶部に保存されている前記第1の参照データを前記第1の識別データに一致するように書き換える参照データ書き換え部と
を具備する、制御装置。
[2] 前記第1の制御基板は、前記第2の制御基板が通電したことを契機として前記第2の制御基板に前記第1の識別データを要求する識別データ要求部をさらに具備する、[1]に記載の制御装置。
[3] 前記第2の制御基板は、前記第2の制御基板が通電したことを契機として前記第1の制御基板に前記第1の識別データを通知する識別データ通知部をさらに具備する、[1]に記載の制御装置。
[4] 前記第1の制御基板は、入力データを取得する入力データ取得部をさらに具備し、
前記パラメータ複製部は、前記パラメータの複製中に前記入力データ取得部によって前記パラメータの複製の中止を指示するユーザ入力が取得された場合に、前記パラメータの複製を中止する、
[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の制御装置。
[5] 前記第1の制御基板は、入力データを取得する入力データ取得部をさらに具備し、
前記パラメータ複製部は、前記入力データ取得部によって前記パラメータの複製の実行を指示するユーザ入力が取得された場合に、前記第2のパラメータ記憶部に保存されているパラメータの少なくとも一部を前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求する、
[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の制御装置。
[6] 前記制御装置は、前記第1の制御基板および前記第2の制御基板と相互通信可能な第3の制御基板をさらに具備し、
前記第1の制御基板、前記第2の制御基板および前記第3の制御基板の各々には役割が与えられ、
前記受信データ取得部は、前記第2の制御基板から受信された前記第1の識別データと前記第2の制御基板に与えられた役割を識別する第1の役割識別子とを取得し、
前記参照データ記憶部は、前記第1の役割識別子に関連付けて前記第1の参照データを保存し、
前記識別データ比較部は、前記参照データ記憶部から前記第1の役割識別子をキーとして前記第1の参照データを読み出し、前記第1の識別データと比較する、
[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の制御装置。
[7] 前記対象は給水装置である、[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の制御装置。
[8] ポンプ装置と、
前記ポンプ装置を駆動するインバータと、前記インバータを介して前記ポンプ装置を制御する相互通信可能な第1の制御基板および第2の制御基板とを具備する制御盤と
を具備する給水装置であって、
前記第2の制御基板は、前記給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第1のパラメータ記憶部を具備し、
前記第1の制御基板は、
前記給水装置の制御に関わるパラメータを保存する第2のパラメータ記憶部と、
前記第2の制御基板を識別する第1の識別データを取得する受信データ取得部と、
第1の参照データを保存する参照データ記憶部と、
前記第1の識別データを前記第1の参照データと比較する識別データ比較部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記参照データ記憶部に保存されている前記第1の参照データを前記第1の識別データに一致するように書き換える参照データ書き換え部と、
前記第1の識別データおよび前記第1の参照データが一致しない場合に、前記第2のパラメータ記憶部に保存されているパラメータの少なくとも一部を前記第1のパラメータ記憶部に複製するよう前記第2の制御基板に要求するパラメータ複製部と
を具備する、給水装置。
【符号の説明】
【0076】
10・・・給水装置、20・・・ポンプ装置、30・・・制御盤、31・・・第1の制御基板、32・・・第2の制御基板、33・・・インバータ、40・・・圧力センサ、101・・・I/O部、102・・・通信I/F、110・・・プロセッサ、111・・・ポンプ制御部、112・・・入力データ取得部、113・・・受信データ取得部、114・・・識別データ比較部、115・・・パラメータ複製部、116・・・参照データ書き換え部、117・・・識別データ通知部、118・・・識別データ要求部、120・・・メモリ、121・・・参照データ記憶部、122・・・ポンプデータ記憶部、123・・・パラメータ記憶部、124・・・識別データ記憶部。