(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】浮石判定方法及び浮石判定支援システム
(51)【国際特許分類】
E21D 9/00 20060101AFI20231219BHJP
E21D 9/093 20060101ALI20231219BHJP
G01D 21/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E21D9/00 C
E21D9/093 F
G01D21/00 D
(21)【出願番号】P 2020071505
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2023-03-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)研究集会での発表 公開日 :令和01年12月01日 文章の種類:ポスター 公開場所 :国際岩の力学会2019特別会議 ― 第5回若手研究者国際岩の力学シンポジウム&革新的未来のための岩盤工学シンポジウム(The 5th ISRM Young Scholars’ Symposium on Rock Mechanics and International Symposium on Rock Engineering for Innovative Future) 沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市真志喜4-3-1) (2)刊行物への掲載 発行日 :令和02年01月20日 刊行物 :レーザー学会学術講演会第40回年次大会講演予稿集 発行者 :一般社団法人 レーザー学会 (3)刊行物への掲載 発行日 :令和02年03月01日 刊行物 :令和2年電気学会全国大会講演論文集 発行者 :一般社団法人 電気学会
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】591114803
【氏名又は名称】公益財団法人レーザー技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新村 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷口 信博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 康一
(72)【発明者】
【氏名】島田 義則
(72)【発明者】
【氏名】コチャエフ オレグ
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 慎理
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-065648(JP,A)
【文献】特開2011-252865(JP,A)
【文献】特開2003-149044(JP,A)
【文献】特開2018-017640(JP,A)
【文献】特開2019-199708(JP,A)
【文献】特開2019-219333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00
E21D 9/093
G01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮石の有無を観測する観測地点が設定されたトンネルの切羽を加振する一方で、前記観測地点で振動を検知し、振動情報を実振動情報として取得する情報取得工程と、
該情報取得工程で取得した前記実振動情報と、あらかじめ設定した基準振動情報とに基づいて、前記観測地点における浮石の有無を判定する浮石判定工程と、を備え、
前記基準振動情報は、切羽の健全部から取得した振動情報に基づいて設定され、
前記浮石判定工程は、前記実振動情報と前記基準振動情報との間で、振動開始後収束するまでの時間、卓越周波数、及び振幅の3つの評価指標のうち少なくともいずれか1つが乖離している場合に、前記観測地点に浮石有りと判定することを特徴とする浮石判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の浮石判定方法であって、
前記情報取得工程で、浮石を叩き落すコソク作業により前記切羽を打撃して加振することを特徴とする浮石判定方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浮石判定方法であって、
前記浮石判定工程で判定した浮石の有無に係る情報を、切羽の画像データに重ねて出力装置に出力することを特徴とする浮石判定方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の浮石判定方法であって、
前記浮石判定工程で判定した浮石の有無に係る情報を、切羽に出力することを特徴とする浮石判定方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の浮石判定方法に用いる浮石判定システムにおいて、
加振によりトンネルの切羽に生じる振動を検知し、振動情報を実振動情報として取得する振動計測装置と、
前記実振動情報から取得した、振動開始後収束するまでの時間、卓越周波数、及び振幅の3つの評価指標に基づいて、浮石判定を支援する判定支援装置と、を備え、
該判定支援装置は、
健全な切羽から取得した振動情報に基づき、基準振動情報を設定する基準情報設定手段と、
前記3つの評価指標について、前記実振動情報と前記基準振動情報との比較情報を取得する情報比較手段と、
前記比較情報に基づいて判定した浮石の有無に係る情報を画像表示する画像表示手段と、を備えることを特徴とする浮石判定支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の浮石判定支援システムにおいて、
前記判定支援装置が、
前記比較情報に基づいて、前記3つの評価指標について前記実振動情報と前記基準振動情報との間で乖離の有無を検出し、少なくとも1つが乖離している場合に、浮石有りと判定する浮石判定手段を備えることを特徴とする浮石判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル切羽における浮石の有無を判定するための浮石判定方法、及び浮石判定支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発破や機械掘削などにより地山を掘り進めたのち、天井面や側壁面をコンクリートで覆工する作業を繰り返す山岳トンネル施工において、施工現場の安全を確保するべく、様々な管理方法が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、NATM工法に係る一連の工程を、常時モニタリングするトンネル切羽安全監視システムが開示されている。具体的には、トンネルの切羽面全面を一つの測定面とし、この測定面に設定した複数の観測点各々を、振動可視化レーダーにて所定の周期で連続的に測定する。
【0004】
そして、切羽に振動が与えられた作業時(発破削孔やずり出し等)には、連続的に測定した結果から算出した卓越振動数や累積振幅の変化に基づいて、切羽崩落の予兆を検出する。一方、切羽に振動を生じない作業時(装薬やコンクリートの吹付等)には、連続的に測定した結果から算出した切羽面の変位量や変位速度に基づいて、切羽崩落の予兆を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり特許文献1では、切羽面全体を一つの測定面とし、振動可視化レーダーを用いてこの切羽面をモニタリングする。そして、モニタリングによる測定結果からこの測定面の変位をリアルタイムで抽出し、切羽崩落の予兆を検出している。しかし、発破削孔からコンクリートの吹付に至るまでの切羽掘削に係る施工期間を通して、切羽全体の変位を連続的にモニタリングすることは、その作業が煩雑となる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、大掛かりな装備を用いることなく、迅速かつ高い精度でトンネルの切羽に存在する浮石の有無を判定することの可能な、浮石判定方法及び浮石判定支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の浮石判定方法は、浮石の有無を観測する観測地点が設定されたトンネルの切羽を加振する一方で、前記観測地点で振動を検知し、振動情報を実振動情報として取得する情報取得工程と、該情報取得工程で取得した前記実振動情報と、あらかじめ設定した基準振動情報とに基づいて、前記観測地点における浮石の有無を判定する浮石判定工程と、を備え、前記基準振動情報は、切羽の健全部から取得した振動情報に基づいて設定され、前記浮石判定工程は、前記実振動情報と前記基準振動情報との間で、振動開始後収束するまでの時間、卓越周波数、及び振幅の3つの評価指標のうち少なくともいずれか1つが乖離している場合に、浮石有りと判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の浮石判定方法は、前記情報取得工程で、浮石を叩き落すコソク作業により前記切羽を打撃して加振することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の浮石判定方法は、浮石判定工程で判定した浮石の有無に係る情報を、切羽の画像データに重ねて出力装置に出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の浮石判定方法は、浮石判定工程で判定した浮石の有無に係る情報を、切羽に直接出力することを特徴とする。
【0012】
本発明の浮石判定方法によれば、切羽の健全部に基づく振動情報を基準振動情報とし、この基準振動情報と観測地点で取得した実振動情報との間で、3つの評価指標を比較したうえで、浮石の有無を判定する。これにより、切羽の常時観測を行わなくとも必要時に切羽の実振動情報を取得することにより、浮石の有無を迅速かつ高い精度で判定することが可能となる。
【0013】
また、コソク作業と浮石の判定作業を並行して実施することで、浮石有りとの判定結果を得た観測地点に対して、追加のコソク作業を行えばよく、従来実施していたような、見落とし防止を目的に切羽全体を油圧ブレーカーで打撃するといった作業を防止できる。これにより、コソク作業に係る施工時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0014】
さらに、浮石の有無に係る情報を、切羽の画像データに重ねてディスプレイ等の出力装置に出力する、またはプロジェクションマッピング手法を採用するなどして切羽に直接シンクロさせる。もしくは、切羽で浮石有りと判定された地点を、レーザーポインターを用いて照射することもできる。これにより、現場作業員が切羽における浮石の位置をより正確に認識できるため、コソク作業の作業性を向上できるとともに、作業精度を向上することが可能となる。
【0015】
本発明の浮石判定支援システムは、本発明の浮石判定方法に用いる浮石判定システムにおいて、加振によりトンネルの切羽に生じる振動を検知し、振動情報を実振動情報として取得する振動計測装置と、前記実振動情報から取得した、振動開始後収束するまでの時間、卓越周波数、及び振幅の3つの評価指標に基づいて、浮石判定を支援する判定支援装置と、を備え、該判定支援装置は、健全な切羽から取得した振動情報に基づき、基準振動情報を設定する基準情報設定手段と、前記3つの評価指標について、前記実振動情報と前記基準振動情報との比較情報を取得する情報比較手段と、前記比較情報に基づいて判定した浮石の有無に係る情報を画像表示する画像表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の浮石判定支援システムは、前記判定支援装置が、前記比較情報に基づいて、前記3つの評価指標について前記実振動情報と前記基準振動情報との間で乖離の有無を検出し、少なくとも1つが乖離している場合に、浮石有りと判定する浮石判定手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の浮石判定支援システムによれば、判定支援装置により、切羽の健全部に基づく基準振動情報と観測地点で取得した実振動情報との間で、収束時間、卓越周波数及び振幅の3つを評価指標に係る比較情報を出力する。これにより、現場作業員は、この比較情報を支援情報として利用し浮石の有無の判定を実施できるため、現場作業員の熟練度に影響を受けることなく、高い精度で浮石判定を実施することができる。
【0018】
また、判定支援装置が画像表示手段を備えることから、浮石判定の結果を、現場作業員が携帯する携帯端末やコソク作業に用いる機器に搭載されたディスプレイ等に視覚情報として提供することができる。これにより、コソク作業時に起こりやすい浮石の見落としを抑制でき、肌落ち等の重篤な災害の発生を抑制することが可能となる。
【0019】
さらに、判定支援装置に浮石判定手段を備えることにより、収束時間、卓越周波数及び振幅の3つを評価指標に係る比較情報に基づいて、浮石の有無を自動判定することも可能となる。これにより、より高い精度でかつ迅速に切羽の浮石判定を実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、切羽の常時観測を行わなくとも必要時に切羽の実振動情報を取得することで、大掛かりな装備を用いることなく、迅速かつ高い精度でトンネルの切羽に存在する浮石の有無を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態におけるコソク作業と並行して浮石判定作業を実施する様子を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における浮石判定支援システムの詳細を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるコソク作業と並行して浮石判定作業を実施する際の手順を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるディスプレイに出力した浮石判定作業の様子を示す図である(その1)。
【
図5】本発明の実施の形態におけるディスプレイに出力した浮石判定作業の様子を示す図である(その2)。
【
図6】本発明の実施の形態におけるディスプレイに出力した浮石判定画面を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態におけるディスプレイに出力した浮石判定作業の様子を示す図である(その3)。
【
図8】本発明の実施の形態における浮石検知の実験結果を示す図である(浮石なしの場合)。
【
図9】本発明の実施の形態における浮石検知の実験結果を示す図である(浮石ありの場合)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、トンネルの切羽に振動を生じた際、切羽の健全部(浮石のない切羽面)と浮石とで振動特性が異なることを利用して、切羽における浮石の有無に係る判定を支援するものである。本実施の形態では、コソク作業を実施しつつ、浮石を判定する場合を事例に挙げ、浮石判定方法及び浮石判定支援システムを、以下に
図1~
図9を参照しつつ、その詳細を説明する。
【0023】
なお、コソク作業は、地山を発破や機械掘削により掘り進めたのち、地山が露出した状態の切羽に存在する浮石(地山から剥離した岩石)を叩き落す作業をいう。
【0024】
≪浮石判定支援システム≫
図1で示すように、掘削作業が終了したのちの切羽Fでは、油圧ブレーカーBで打撃することによりコソク作業を行いつつ、打撃により生じた振動を利用して浮石判定支援システム100を用いた切羽Fの浮石判定を実施している。
【0025】
浮石判定支援システム100は、
図1及び
図2で示すように、切羽Fに設定された評価対象エリアE1内の振動情報を取得する振動計測装置10と、振動計測装置10を防護する防振台20と、振動情報に基づいて浮石判定を支援する判定支援装置30とを備えている。
【0026】
振動計測装置10は、
図2で示すように、レーザー振動計11と、レーザー振動計11を制御する振動計コントローラー12と、スキャナー13と、スキャナー13を制御するスキャナーコントローラー14とを備える。また、本実施の形態では、レーザー振動計11で取得した振動波形を表示可能なオシロスコープ15を設けているが、オシロスコープ15は必ずしも設けなくてもよい。
【0027】
レーザー振動計11は、計測対象物である切羽Fに計測用レーザーLを照射するとともに、切羽Fで反射したレーザー光の周波数の変化を検知し、計測対象物の振動の速度と変位等の振動情報を取得する、いわゆるレーザードップラー振動計を採用している。その性能は、切羽Fの浮石判定を行うにあたり、振動計コントローラー12を利用して、10~20μm程度の変位、及び2KHz以下程度の振動速度を測定できるものが好適である。
【0028】
スキャナー13は、計測用レーザーLを所望の地点にピンポイントで照射することを目的に使用するものであるが、いわゆるガルバノスキャナを採用している。ガルバノスキャナは、レーザー光反射鏡131を備えており、このレーザー光反射鏡131は、スキャナーコントローラー14により所望の角度に回転させるよう制御することができる。これにより、スキャナー13を介してレーザー振動計11の計測用レーザーLを、切羽F上に設定した評価対象エリアE1内で精度よく走査させることができる。
【0029】
防振台20は、
図1で示すように、トンネル内に配置される除振台21と、少なくともレーザー振動計11及びスキャナー13を収納される防音函体22とを備える。これにより、レーザー振動計11及びスキャナー13は、油圧ブレーカーBが稼働中に地山から伝わる振動や音振動の影響を抑制され、切羽Fの振動情報を高い精度で取得することができる。
【0030】
なお、防振台20の据え付け位置と切羽Fとの距離Dは、
図2で示すように、切羽F近傍に作業エリアを確保することを目的に、20~30m程度確保している。しかし、その距離Dは、施工現場の作業状況やレーザー振動計11の測定可能距離等に応じて適宜調整すると良い。
【0031】
判定支援装置30は、振動計測装置10との間でデータの送受信が可能となるよう、無線もしくは有線で接続されるとともに、
図1で示すように、入力装置31、出力装置32、中央演算処理装置33、ファイル装置34、及びメインメモリ35を備えている。
【0032】
入力装置31は、例えばキーボード、スキャナー、タッチパネル等であり、出力装置32は、ディスプレイやプリンター等が挙げられる。また、中央演算処理装置33は、CPU、GPU、ROM、RAM及びハードウェアインタフェース等を有するコンピュータである。
【0033】
ファイル装置34は、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等からなる記憶装置である。詳細は後述するが、例えば、観測地点ファイル341、評価対象エリアファイル342、基準情報ファイル343、振動情報ファイル344、評価指標ファイル345、比較情報ファイル346、浮石判定結果ファイル347等が格納されている。
【0034】
なお、ファイル装置34には上記のファイルに加えて、切羽Fの位置情報や地山の地質情報、もしくは切羽面の画像データ等、トンネル施工に必要な情報を記録したファイルを適宜格納しておくとよい。
【0035】
メインメモリ35は、中央演算処理装置33によって実行可能なプログラムやデータを一時的に格納するものである。詳細は後述するが、例えば評価エリア設定手段351、基準情報設定手段352、評価指標抽出手段353と、情報比較手段354、浮石判定手段355、画像表示手段356を備えている。
【0036】
上記の判定支援装置30は、レーザー振動計11が取得した振動情報が、振動計コントローラー12を介して入力され、この振動情報に基づいて、現場作業員による浮石判定を支援する支援情報を出力する。また、この支援情報に基づいて現場作業員が判定した浮石の有無に係る情報や、判定新装置30が自動判定した浮石の有無に係る情報を、出力装置32に出力することが可能となっている。
【0037】
なお、浮石の有無に係る情報の出力は、上述した判定支援装置30の出力装置32だけでなく、現場作業員が携帯しているノートパソコンやタブレット端末等のディスプレイ、油圧ブレーカーBに備えたディスプレイ等に、切羽の画像データと重ね合わせて画像出力してもよい。
【0038】
さらには、浮石の有無に係る情報を切羽Fに直接シンクロさせるプロジェクションマッピング手法を採用してもよいし、スマートグラス等のウェアラブル端末に出力してもよい。こうすると、現場作業員が切羽Fにおける浮石の位置をより正確に認識できるため、コソク作業の作業性を向上できるとともに、作業精度を向上することが可能となる。
【0039】
≪≪浮石判定方法≫≫
上記の浮石判定支援システム100を用いた浮石判定方法について、コソク作業を行いつつ実施する場合を事例に挙げ、その手順を
図3のフローに従って浮石判定支援システム100の詳細とともに説明する。
【0040】
≪前処理:step1~2≫
切羽Fの浮石判定を実施するにあたり、まず、
図4(a)で示すように、切羽F全面を区割りするとともに、区割りにより形成されたボックスの中心に計測用レーザーLを照射する観測地点Pを設定する。これら観測地点Pの位置情報は観測地点ファイル341に記録し、ファイル装置34に格納しておく。また、観測地点Pの間隔は、地盤状況や検出した浮石のサイズに応じて適宜設定すればよく、本実施の形態では20cmに間隔を設定している。
【0041】
このような観測地点Pの設定と並行して、油圧ブレーカーBによるコソク作業を実施する前に、現場作業員が切羽F全体を目視確認し、大まかな浮石の位置を確認しておく。
【0042】
≪浮石判定:step3~8≫
<評価対象エリア設定工程:step3>
図4(b)で示すように、目視によって確認した浮石のコソク作業を実施するべく、油圧ブレーカーBの打撃位置Tを決定する。この打撃位置Tに関する位置情報が判定支援装置30入力されると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている評価エリア設定手段351の指令を受け、打撃位置T近傍の未評価エリアを任意に抽出し、
図4(c)で示すように、浮石判定を行う評価対象エリアE1を設定する。
【0043】
評価対象エリアE1は、上記のように判定支援装置30により自動設定してもよいし、現場作業員が適宜選択してもよい。具体的には、判定支援装置30の出力装置32に、
図4(a)で示すような、切羽Fの画像データと観測地点ファイル341に記録した観測地点Pの位置情報とを紐づけて、画像出力しておく。こうすると現場作業員は、この出力画像を参照しつつ評価対象エリアE1を設定でき、その位置情報を入力装置31を介して入力することができる。
【0044】
上記のいずれかの手段で設定された評価対象エリアE1に関するに位置情報は、評価対象エリアファイル342に記録し、ファイル装置34に格納する。さらに、これら評価対象エリアE1と計測用レーザーLを照射する観測地点Pに関する情報は、出力装置32に画像出力してもよい。
【0045】
評価対象エリアE1の設定範囲について、
図4(c)では区割りしたボックスを縦方向及び横方向に4つずつ含み、観測地点Pが合計16点となるよう設定しているが、その数量はこれに限定されるものではない。計測用レーザーLが、切羽F近傍の作業エリアで作業する建設機械等に遮断されることなく、振動情報を取得できる範囲であれば、いずれに設定してもよい。
【0046】
また、評価対象エリアE1の設定形状は、必ずしも矩形状でなくてもよく、例えば、打撃位置Tを中心とした円弧状に計測用レーザーLを設定してもよい。こうすると、複数の観測地点Pにおいて打撃位置Tとの距離を一定にできるため、観測地点P各々の振動情報から得られる3つの評価指標(収束時間、卓越周波数、振幅)のうち振幅について、より精度の高いデータを取得することができる。なお、3つの評価指標の詳細については、後述の浮石判定工程(step6~8)に譲る。
【0047】
さらに、評価対象エリアE1は、油圧ブレーカーBの打撃位置Tに対して1か所に限定されるものではなく、打撃位置Tを挟んだ左右や上下等、複数個所に設定してもよい。
【0048】
<情報取得工程:step4>
評価対象エリアE1が設定されたところで、目視で確認した浮石のコソク作業を開始するとともに、振動計測装置10により、評価対象エリアE1に含まれる16個の観測地点P各々で振動情報を実振動情報Rとして取得する。
【0049】
振動計測装置10による実振動情報Rの取得は、まず、振動計コントローラー12に制御されたレーザー振動計11が、計測用レーザーLをスキャナー13のレーザー光反射鏡131に照射する。スキャナー13は、レーザー光反射鏡131をスキャナーコントローラー14で制御しつつ回動させることにより、
図5(a)で示すように、計測用レーザーLの照射位置を評価対象エリアE1内で移動させる。
【0050】
観測地点Pに計測用レーザーLが照射されると、レーザー振動計11が、観測地点Pに反射したレーザー光の周波数の変化を検知し、観測地点Pの振動の速度や変位等の振動情報を実振動情報Rとして取得し、振動計コントローラー12に格納する。なお、油圧ブレーカーBは1秒間に5回程度切羽Fを打撃し、レーザー振動計11は、1回の打撃ごとに1か所の観測地点Pから実振動情報Rを取得する。
【0051】
このように実振動情報Rを取得するにあたっては、振動計測装置10のスキャナーコントローラー14に、判定支援装置30のファイル装置34に格納された、観測地点ファイル341及び評価対象エリアファイル342から、観測地点P及び評価態様エリアE1に関する位置情報を取得させるとよい。
【0052】
こうすると、スキャナーコントローラー14は、これらの情報を参照しつつ、
図5(a)で示すような、16個の観測地点Pの照射順序を設定し、この照射順序で計測用レーザーLを照射するよう、レーザー光反射鏡131の回転速度及び回転角度を制御する。なお、観測地点P及び評価態様エリアE1に関する位置情報は、判定支援装置30を用いることなくスキャナーコントローラー14に直接入力してもよい。
【0053】
振動計測装置10より取得された実振動情報Rは、振動計コントローラー12から入力装置31を介して判定支援装置30に入力される。すると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている評価指標抽出手段353の指令を受け、これらを振動情報ファイル344に記録し、ファイル装置34に格納する。なお、実振動情報Rは、観測位置Pの位置情報と紐づけておく。
【0054】
また、中央演算処理装置33は評価指標抽出手段353の指令を受け、実振動情報Rから3つの評価指標に係る情報のデータ整理を行い、評価指標ファイル345に記録し、ファイル装置34に格納する。
【0055】
評価指標ファイル345が格納されると、
図6で示すように、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている情報比較手段354の指令を受け、3つの評価指標に係る情報を出力装置32に出力する。同じく、基準情報ファイル343に記録された基準振動情報S(詳細は後述する)のデータから、3つの評価指標に係る情報を出力装置32に出力する。これら実振動情報Rと基準振動情報Sの比較情報は、出力装置32に出力するだけでなく、比較情報ファイル346に記録し、ファイル装置34に格納しておく。
【0056】
<基準振動情報Sの設定:step5>
実振動情報Rと比較する基準振動情報Sは、切羽Fの健全部を代表する振動情報であり、浮石判定を行う前に事前に設定しておく。その設定方法はいずれの手段によるものであってもよいが、例えば、過去のトンネル施工における切羽Fの健全部に係る情報から振動波形を取得し、基準情報ファイル343に入力しておく。
【0057】
もしくは、浮石判定の対象となっている切羽Fについて、基準振動情報Sを設定するための試験測定をあらかじめ実施し、基準振動情報Sを設定してもよい。この場合の設定方法は、以下のとおりである。
【0058】
まず、現場作業員の目視により健全部と浮石とを含むことを確認した領域を、試験エリアに設定する。なお、少なくとも健全部を含むことが確認されていれば、その領域を試験エリアに設定してもよい。次に、上記<情報取得工程:step4>の手順で、振動計測装置10を用いて試験エリア内の健全部の振動情報と浮石の振動情報とを、それぞれ複数を取得する。これら試験エリアの振動情報が、入力装置31を介して判定支援装置30に入力されると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている基準情報設定手段352の指令を受ける。
【0059】
基準情報設定手段352の指令を受けた中央演算処理装置33は、健全部の振動情報と浮石の振動情報に基づいて、適宜の統計手法により切羽Fの健全部に係る情報として最適な基準振動情報Sを設定し、これを基準情報ファイル343に記録し、ファイル装置34に格納する。
【0060】
<浮石判定工程:step6>
上記のとおり事前に設定した基準振動情報Sと、観測地点Pにおける実振動情報Rと間で3つの評価指標(収束時間、卓越周波数、振幅)を比較し、実振動情報Rと基準振動情報Sとの間で少なくとも1つの評価指標に乖離があった場合に、実振動情報Rを取得した観測地点Pは、浮石であると判定する。
【0061】
≪≪浮石の検知実験≫≫
これら浮石判定に用いる3つの評価指標は、発明者らが鋭意検討の結果に得た、加振された浮石が、その形状や周囲との接触の状態によって決まる固有のモードで振動する、という知見に基づき、選定された指標である。なお、収束時間、卓越周波数及び振幅の3つの評価指標のうち、収束時間とは、振動開始後収束するまでの時間をいう。
【0062】
図8及び
図9に、浮石を検知する実証試験を行った結果を示す。試験は、浮石が存在する地山表面を油圧ブレーカーBで打撃することにより加振し、振動計測装置10を用いて地山の健全部と浮石の振動情報をそれぞれ取得した。なお、地山の健全部と浮石は、打音検査を行うことにより事前にその位置を確認した。
【0063】
図8(a)(b)に地山の健全部(浮石のない状態)から取得した振動情報を、
図9(a)(b)に浮石から取得した振動情報を示す。
図8及び
図9はともに、上段が、時間と振幅の関数としてプロットしたグラフであり、下段が、信号の連続ウェーブレット変換の絶対値であり、時間と周波数の関数としてプロットしたスカログラムである。
【0064】
図8及び
図9を比較すると、健全部と比較して浮石は、卓越周波数が低い、振幅が大きい、さらには収束時間が長いといった特徴を有してことがわかる。つまり、切羽Fの健全部を代表する基準振動情報Sを事前に設定し、この基準振動情報Sと実振動情報Rとを3つの評価指標で比較することにより、実振動情報Rを取得した観測地点Pについて、浮石の有無を検知できるといえる。
【0065】
このため、判定支援装置30では、3つの評価指標について、観測地点Pで取得した実振動情報Rと切羽Fの健全部を代表する基準振動情報Sとの比較情報を取得することとし、浮石判定を支援することとした。この比較情報を用いた浮石の有無に係る判定は、現場作業員が行ってもよいし、判定支援装置30が行ってもよい。
【0066】
<作業員による浮石の判定;step6-1>
浮石の判定を現場作業員が行う場合には、
図6で示すように、出力装置32に比較情報を出力する。
【0067】
3つの評価指標に係る情報は、前述した試験結果と同様に、基準振動情報Sと実振動情報Rの各々について、時間と振幅の関数としてプロットしたグラフと、時間と周波数の関数としてプロットしたスカログラムを表示している。しかし、その出力方法は、実振動情報Rと基準振動情報Sとの間で視覚的に比較が可能な状態であれば、いずれの手段で出力してもよい。
【0068】
これにより現場作業員は、3つの評価指標について実振動情報Rを基準振動情報Sと相対比較し、乖離の有無を確認する。3つの評価指標のうちの少なくとも1つが乖離している場合に、観測地点Pが浮石であるもしくは観測地点Pに浮石有りと判定できる。このとき、例えば、入力装置31及び出力装置32を兼ね備えたタッチパネルに、比較情報と併せて判定結果の入力画面を表示しておく。
【0069】
すると、現場作業員は、比較情報を確認しつつ、浮石の有無に係る判定結果をタッチパネルを介して判定支援装置30に入力できる。判定支援装置30に入力に入力された浮石の有無に係る情報は、浮石判定結果ファイル347に記録させ、ファイル装置34に格納する。
【0070】
<判定支援装置による自動判定:step6-2>
判定支援装置30が、観測地点Pについて浮石の有無を自動判定する場合には、基準振動情報Sを設定する際に、これと併せて3つの評価指標各々について、健全部と判定可能な許容域を設定しておくとよい。
【0071】
すると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている浮石判定手段355の指令を受け、比較情報ファイル346に記録されている基準振動情報Sと実振動情報Rとの比較情報を参照し、実振動情報Rが、3つの評価指標それぞれについて基準振動情報Sの許容域に収まれば乖離なしと判断し、観測地点Pは健全部であると判定する。
【0072】
一方、3つの評価指標のうち少なくとも1つが許容域に収まらなければ乖離ありと判断し、観測地点Pは浮石であるもしくは観測地点Pに浮石有りと判定する。そして、この判定結果を、観測地点Pの位置情報と紐づけて浮石判定結果ファイル347に記録し、ファイル装置34に格納する。
【0073】
≪画像表示≫
浮石判定結果ファイル347に浮石の判定結果が記録されると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている画像表示手段356の指令を受け、判定結果を出力装置32に出力する。出力方法はいずれでもよいが、ディスプレイに画像情報として表示する事例を、
図5(b)に示す。
【0074】
図5(b)では、計測用レーザーLを照射する観測地点Pを設定する際に切羽F全面を区割りした際のボックスを色付けすることで、浮石の判定結果を視認可能な画像として表示している。これら浮石の判定結果は、切羽Fの画像データ上に重ね合わせて、出力装置32に出力するだけでなく、現場作業員が携帯するタブレット端末や、油圧ブレーカーBに搭載されているディスプレイ上に表示すると良い。こうすると、切羽上で浮石判定を実施したエリアを確認でき、判定作業の見落としを抑制できるとともに作業性を大幅に向上することが可能となる。
【0075】
<追加工程:step7~8>
上記のコソク作業を行いつつ浮石判定を行う作業を、
図5(c)(d)で示すように、事前に目視で確認した浮石の位置ごと(step2)に繰り返し実施する。こうして、切羽F全面に設定した観測地点Pのすべてに対して浮石判定を実施したか否かを確認する。
【0076】
≪未評価エリアの浮石判定工程:step9~11≫
切羽Fに設定した複数の観測地点Pのうち、浮石判定が実施されていない観測地点Pが存在する場合には、
図7(a)で示すように、未評価の観測地点Pを含む未評価エリアE2を設定し、その位置情報を入力装置31を介して判定支援装置30に入力する。すると、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている評価エリア設定手段351の指令を受けを、この情報を評価対象エリアファイル342に記録し、ファイル装置34に格納する。
【0077】
次に、
図7(b)で示すように、この未評価エリアE2の近傍に、切羽Fを振動させるための加振点T2を設定する。こののち、加振点T2を油圧ブレーカーBで打撃しつつ、上記の浮石判定工程(step6~8)の要領で、未評価エリアE2内の観測地点P各々に対して、浮石の有無に係る判定を行う。
【0078】
判定結果である浮石の有無に係る情報は、浮石判定結果ファイル347に記録され、ファイル装置34に格納される。また、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている画像表示手段356の指令を受け、
図7(c)で示すように、判定結果を出力装置32に出力する。併せて、現場作業員が携帯するタブレット端末や、油圧ブレーカーBに搭載されているディスプレイ上に表示してもよい。
【0079】
≪後処理工程:step12~13≫
切羽F全体に設定したすべての観測地点P各々で、浮石の有無に係る判定を実施したのち、浮石ありと判定された観測地点Pについて、油圧ブレーカーBを用いてコソク作業を行う。上記の手順により、浮石と判定されたすべての観測地点Pについてコソク作業が終了する。
【0080】
上記のとおり浮石判定方法は、切羽Fの健全部に基づく振動情報を基準振動情報Sとし、この基準振動情報Sと観測地点Pで取得した実振動情報Rとの間で、3つの評価指標(収束時間、卓越周波数及び振幅)を比較したうえで、浮石の有無を判定する。これにより、切羽Fの常時観測を行わなくとも必要時に切羽Fの実振動情報を取得することにより、浮石の有無を迅速かつ高い精度で判定することが可能となる。
【0081】
また、浮石有りとの判定結果を得た観測地点Pに対してのみ、追加のコソク作業を行えばよく、従来実施していたような、見落とし防止を目的に切羽F全体を油圧ブレーカーBで打撃するといった作業を防止できる。これにより、コソク作業に係る施工時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0082】
浮石判定支援システム100は、判定支援装置30により、切羽Fの健全部に基づく基準振動情報Sと観測地点Pで取得した実振動情報Rとの間で、収束時間、卓越周波数及び振幅の3つを評価指標に係る比較情報を出力する。これにより、現場作業員は、この比較情報を支援情報として利用し浮石の有無の判定を実施できるため、現場作業員の熟練度に影響を受けることなく、高い精度で浮石判定を実施することができる。
【0083】
また、判定支援装置30が画像表示手段356を備えることから、浮石判定の結果を、現場作業員が携帯する携帯端末やコソク作業に用いる機器に搭載されたディスプレイ等に視覚情報として提供することができる。これにより、コソク作業時に起こりやすい浮石の見落としを抑制でき、肌落ち等の重篤な災害の発生を抑制することが可能となる。
【0084】
さらに、判定支援装置30に浮石判定手段355を備えることにより、収束時間、卓越周波数及び振幅の3つを評価指標に係る比較情報に基づいて、浮石の有無を自動判定することも可能となる。これにより、より高い精度でかつ迅速に切羽の浮石判定を実施することが可能となる。
【0085】
なお、本発明における浮石判定方法及び浮石判定支援システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、本実施の形態では、浮石判定をコソク作業と並行させて行ったが、このようなトンネル施工の作業時に生じる切羽の振動を利用して行ってもよいし、浮石判定を目的として、他の手段で切羽Fを打撃することで切羽Fに振動を生じさせてもよい。
【0087】
この場合、切羽Fを加振する手段として油圧ブレーカーBに限定するものではなく、例えば、衝撃波励起用レーザーを切羽Fに照射し、切羽Fに振動を生じさせてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、振動計測装置10にレーザー振動計11とスキャナー13を採用したが、切羽Fに設定した観測地点Pの振動情報を取得する手段であればいずれを採用してもよい。例えば、振動可視化レーダーを用いると、切羽Fとの間に障害物が存在しなければ、切羽Fに設定した複数の観測地点Pの振動を一度に取得することができる。
【0089】
さらに、本実施の形態では、浮石の有無に係る情報を画像表示する場合を事例に挙げたが、現場作業員が浮石の位置を視認できればその手段はいずれでもよく、例えば、浮石有りと判定された観測地点Pを、切羽F上でレーザーポインターを用いて照射するなどしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、切羽Fに対して評価対象エリアE1を設定し、評価対象エリアE1に含まれる観測地点Pについて振動情報を取得したが、必ずしもこれに限定されるものではない。地盤状況や切羽Fの面積等に応じて評価対象エリアE1を設けず、切羽Fに設定したすべての観測地点Pに対して連続して振動情報を取得してもよい。
【符号の説明】
【0091】
100 浮石判定支援システム
10 振動計測装置
11 レーザー振動計
12 振動計コントローラー
13 スキャナー
131 レーザー光反射鏡
14 スキャナーコントローラー
15 オシロスコープ
20 防振台
21 除震台
22 防音函体
30 判定支援装置
31 入力装置
32 出力装置
33 中央演算処理装置
34 ファイル装置
341 観測地点ファイル
342 評価対象エリアファイル
343 基準情報ファイル
344 振動情報ファイル
345 評価指標ファイル
346 比較情報ファイル
347 浮石判定結果ファイル
35 メインメモリ
351 評価エリア設定手段
352 基準情報設定手段
353 評価指標抽出手段
354 情報比較手段
355 浮石判定手段
356 画像表示手段
F 切羽
B 油圧ブレーカー
P 観測地点
T1 打撃位置
T2 加振点
E1 評価対象エリア
E2 未評価エリアE2
R 実振動情報R
L 計測用レーザー