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  • 特許-廃液吸引装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】廃液吸引装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/04 20060101AFI20231219BHJP
   B41F 35/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41F35/04
B41F35/00
B41F35/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019094495
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020189411
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】590001717
【氏名又は名称】ニッカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】梶田 眞朗
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-327030(JP,A)
【文献】米国特許第9327494(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102017219709(DE,A1)
【文献】特開2008-273158(JP,A)
【文献】特開2013-199068(JP,A)
【文献】特開平9-70957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-35/06
B41F 5/00-13/70
B41M 1/00-3/18
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機に備えられた廃液吸引手段に接続された母管を基点として、廃液を貯留するトレイに接続されている吸引管と、
前記吸引管とは別系統で、前記母管を基点として前記トレイの近傍に延設されている分岐管と、
前記分岐管を基点として延設される前記分岐管と同等、もしくは前記分岐管よりも小径な枝管と、
前記枝管の先端に接続され、前記トレイに貯留された前記廃液を吸引する吸引ノズルと、を備え、
前記分岐管の内径を前記吸引管の内径よりも大きくしたことを特徴とする廃液吸引装置。
【請求項2】
前記吸引管は、単一の幹管から複数の前記トレイに接続され、それぞれ同時に稼働可能な構成とされており、
前記分岐管は、単一の幹管に対して単一の前記トレイに対する稼働が可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の廃液吸引装置。
【請求項3】
前記母管には、前記分岐管の延設基点よりも前記廃液吸引手段側に、前記廃液を一時貯留するトラップを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の廃液吸引装置。
【請求項4】
前記トラップの導入口には開閉弁が備えられ、
前記トラップ内に一時貯留された廃液を廃液回収装置に搬送する圧縮搬送手段、または真空搬送手段を有することを特徴とする請求項3に記載の廃液吸引装置。
【請求項5】
前記分岐管と前記吸引管との吸引切替、あるいはそれぞれの配管に対する吸引のON/OFF切替を可能とする切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の廃液吸引装置。
【請求項6】
前記枝管は、カプラーを介して前記分岐管に着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の廃液吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の洗浄に係り、特に、洗浄によって生じる洗浄廃液を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機における洗浄廃液を除去する装置に関連する技術としては、例えば特許文献1に開示されているような廃液吸引装置が知られている。特許文献1に開示されている廃液吸引装置は、トレイに設けられたドレンを介して、トレイに貯留された廃液を吸引除去する装置である。具体的には、複数のトレイに分配配置された吸引配管の切り替えを行う事により、選択された配管中の真空度を向上させる事ができ、トレイに貯留された廃液の効率的な吸引除去を行うことができる。
【0003】
また、印刷機における洗浄装置としては、例えば特許文献2に開示されているようなものが知られている。特許文献2に開示されている洗浄装置は、印刷機においてインキを貯留しておくインキ壺の洗浄を行うものであり、吸引ヘッドと本体、および吸引ヘッドと本体とを接続するホースを基本として構成されている。吸引ヘッドは、洗浄液を噴出させてインキ壺に付着しているインキを溶解させると共に、溶解されたインキの廃液を吸引する役割を担い、吸引された廃液は、本体に貯留される構成とされている。
【0004】
吸引ヘッドは、手動で自在に操作することを可能に構成されており、本体は、洗浄対象とするインキ壺の近くへ移動させることが可能な構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-186405号公報
【文献】特開平9-76472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている廃液吸引装置は、吸引に寄与する配管を切替選択する構成とすることで、廃液の吸引力の向上が図られている。しかし、粘性の高い廃液を全てドレンに導く事は、トレイに設けられている傾斜のみでは難しいといった問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示されているような洗浄装置では、吸引ヘッドを手動で操る事により、特許文献1に開示されている吸引装置よりも細やかな洗浄処理を施すことができる。しかし、洗浄の都度本体ごと対象物の近傍まで移動する必要があり、洗浄を行うための労力が大きいといった問題がある。
【0008】
そこで本発明では、印刷機においてトレイに貯留された廃液を貯留するトレイの洗浄を簡易かつ効果的に行う事のできる廃液吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る廃液吸引装置は、印刷機に備えられた廃液吸引手段に接続された母管を基点として、廃液を貯留するトレイに接続されている吸引管と、前記吸引管とは別系統で、前記母管を基点として前記トレイの近傍に延設されている分岐管と、前記分岐管を基点として延設される前記分岐管と同等、もしくは前記分岐管よりも小径な枝管と、前記枝管の先端に接続され、前記トレイに貯留された前記廃液を吸引する吸引ノズルと、を備え、前記分岐管の内径を前記吸引管の内径よりも大きくしたことを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する廃液吸引装置では、前記吸引管は、単一の幹管から複数の前記トレイに接続され、それぞれ同時に稼働可能な構成とされており、前記分岐管は、単一の幹管に対して単一の前記トレイに対する稼働が可能に構成することができる。このような特徴によれば、吸引管に比べて分岐管の吸引力を高く維持することができる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する廃液吸引装置における前記母管には、前記分岐管の延設基点よりも前記廃液吸引手段側に、前記廃液を一時貯留するトラップを設けることができる。このような特徴を有することによれば、廃液の粘度が高い場合であっても、母管の内部に溜まる廃液や、廃液吸引手段内に滞留する廃液を減らすことができる。
【0012】
また、上記のような特徴を有する廃液吸引装置では、前記トラップの導入口には開閉弁が備えられ、前記トラップ内に一時貯留された廃液を廃液回収装置に搬送する圧縮搬送手段、または真空搬送手段を有するようにすると良い。このような特徴を有する事により、トラップ内に貯留された廃液の自動搬送が可能となる。また、このような特徴によれば、印刷機を稼働させた状態、あるいは廃液吸引装置を稼働させた状態で、トラップ内に貯留された廃液を廃液回収装置に送る事が可能となる。
【0013】
また、上記のような特徴を有する廃液吸引装置において前記トレイにはドレンを有し、前記ドレンと前記母管とを接続する吸引管が備えられると共に、前記分岐管と前記吸引管との吸引切替、あるいはそれぞれの配管に対する吸引のON/OFF切替を可能とする切替手段が設けられているようにすると良い。このような特徴を有する事により、吸引ノズルを有する分岐管が吸引管と別系統の配管となるため、吸引ノズルは、高い吸引力を維持することが可能となる。
【0014】
さらに、上記のような特徴を有する廃液吸引装置では、前記枝管は、カプラーを介して前記分岐管に着脱可能な構成とすることができる。このような特徴を有する事によれば、清掃を行う廃液トレイ近傍に、吸引ノズルおよび枝管のみを持ち運び、接続して使用するという事が可能となる。よって、枝管と吸引ノズルの使い回しが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記のような特徴を有する事によれば、印刷機において廃液を貯留するトレイの洗浄を簡易かつ効果的に行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る廃液吸引装置の構成を示す図である。
図2】実施形態に係る廃液吸引装置を適用する印刷機の構成を示す図である。
図3】実施形態に係る廃液吸引装置の応用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の廃液吸引装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図2を参照して、本実施形態に係る廃液吸引装置10を適用する印刷機100の構成例について説明する。なお、当然に本発明を実施するにあたり、印刷機100自体の構成が影響を与える事は無い。
【0018】
[印刷機]
図2に示す印刷機100は、図示しない給紙ラインに沿って複数の印刷用シリンダ112(符号については図1参照)を備えた輪転印刷機である。図2に示す例では、5つの印刷部102(102a~102e)に対して1つの廃液吸引手段104が備えられている。廃液吸引手段104からは、1つの母管106が延設されており、母管106から各印刷部102に対応するように複数の吸引管108が延設されている(図2中破線で示す)。
【0019】
吸引管108に対する吸引力は、母管106に真空状態を生じさせることで発生する。このため母管106の内径は、複数の吸引管108の内径の和よりも大きい方が良い。このような構成とすることで、複数の吸引管108による廃液の吸引が同時に行われた場合でも、各吸引管108に十分な吸引力を生じさせることができるからである。なお、実際には、詳細を後述する弁108aをON/OFF切替することで、吸引管108の内部に急激な気圧変化を生じさせることで、高い吸引力を生じさせるようにしている。
【0020】
廃液吸引手段104の具体的構成は限定するものでは無い。廃液吸引手段104についての具体的な構成については図示しないが、例えば次のような構成のものであれば良い。すなわち、吸引用のブロアが接続された遠心分離部(サイクロン部)と、一時貯留部、および搬送用ポンプを備える構成である。このような構成の廃液吸引手段104によれば、ブロアが作動すると、母管106内部の空気と廃液は遠心分離部に導入され、気液分離される。気体は、ブロアを介して外部に排出され、液体(廃液)は、遠心分離部の下部に備えられた一時貯留部に貯留される。一時貯留部に貯留された廃液は、搬送用ポンプを介して廃液回収装置110に搬送される。
【0021】
母管106は、廃液吸引手段104と各印刷部102に配されている吸引管108とを接続する経路であり、吸引管108よりも十分に大きな口径を有する。吸引管108は、母管106を基点として延設され、印刷部102を構成する廃液トレイ114(図1参照)などにおけるドレンと接続されている経路である。また、各吸引管108には、廃液吸引手段104を介した吸引力のON/OFF切替を行うための弁108aが備えられている。
【0022】
なお一般的に、吸引管108は、単一の幹管から複数の廃液トレイ114に接続されている。また、吸引管108は、印刷機100の内部における狭隘なスペースに配管されることがある。このため、径の大きな配管を採用することができず、個々の廃液トレイ114におけるドレンからの吸引力を大きなものとすることは難しかった。
【0023】
[廃液吸引装置]
本実施形態に係る廃液吸引装置10は、吸引管108とは別の経路として設けられている分岐管12と、枝管14、および吸引ノズル16を基本として構成されている。分岐管12は、母管106よりも小さな直径を有し、上述した吸引管108より大きな内径を有する配管により構成すると良い。分岐管12の内径が小さい場合には、廃液を吸引した際の配管抵抗が大きくなり、充分な吸引力を得る事ができなくなる可能性があるためである。
【0024】
各配管の内径についての具体的な一例としては、次のような値を挙げることができる。例えば、母管106をφ80(mm)、吸引管108をφ9(mm)とした場合、分岐管12をφ25(mm)、枝管14をφ19~φ25(mm)、吸引ノズル16をφ9(mm)程度に定めることができる。
【0025】
また、分岐管12や枝管14は、なるべく短くし、分岐管12の先では分岐させない構成としている。このため、単一の幹管に対して単一の廃液トレイ114単位で吸引を実施することができるようになる。よって、高い吸引力を生じさせるようにすることができる。
【0026】
分岐管12は母管106に対して複数配置されている。具体的には、印刷機100に複数備えられている印刷部102単位で1系統の分岐管12を備えるようにすれば良い。分岐管12における母管106との分岐部近傍には、上述した吸引管108と同様に吸引力のON/OFF切替を行うための弁12aが備えられている。
【0027】
枝管14は、分岐管12と、詳細を後述する吸引ノズル16とを接続する配管である。枝管14は、分岐管12に対して複数配置することを可能としている。ただし、上述したように高い吸引力を生じさせるためには、使用時には、分岐管12と枝管14との関係が1対1の関係となるようにし、不使用となる枝管14は、封止状態が維持されるように構成する。
【0028】
印刷部102には、複数の印刷用インキローラ112が備えられており、廃液トレイ114は、各印刷用インキローラ112に対応するように設けられている。分岐管12は、1つの印刷部102における廃液トレイ114の配置形態に沿って1系統が構成されており、枝管14は、各廃液トレイ114の近傍を通る分岐管12を基点として延設可能な構成とされている。
【0029】
枝管14は、例えば図2に示すように、分岐管12に設けられたT字型の配管(チーズ)に備えられたカプラー12bを介して、分岐管12に対する着脱を可能な構成とすると良い。このような構成とすることで、枝管14、および後述する吸引ノズル16を複数個所に持ち運んで使用することも可能となり、設備コストを抑制することができ、不使用時には、封止状態を保つ事もできる。枝管14は、分岐管12を基点としてその近傍に配置され、洗浄対象とする廃液トレイ114の長手方向長さをカバーすることができる長さがあれば良い。このように枝管14は分岐管12と比較して、同等、あるいは十分に短く構成されることとなる。このため、枝管14は分岐管12との比較において、その内径が同等以下となる配管(ホース)を採用したとしても、配管抵抗の増大に起因した吸引力の低下を招き難い。
【0030】
枝管14は、可撓性を有するフレキシブルな配管とすると良い。先端に装着する吸引ノズル16を自由に操作することが可能となるからである。なお、枝管14を構成する配管は、廃液吸引時に生じる負圧により流路の潰れを生じさせない程度の耐性を有することが望ましい。
【0031】
吸引ノズル16は、枝管14の先端に接続され、廃液トレイ114の貯留部に沿って動かす事により、廃液トレイ114に貯留された廃液を吸引する役割を担う要素である。吸引ノズル16の具体的形態は問わないが、少なくとも、持手部16aと先端部16bを備える構成とする。作業者によって吸引ノズル16を動かす際の利便性が向上するからである。また、吸引状態と非吸引状態とを切り替えるスイッチ16cを吸引ノズル16の持手部16aや、枝管14を接続するカプラー12bの近傍等に備えるようにすると良い。このような構成とすることで、作業者の好ましいタイミングでの吸引を行うことができる。
【0032】
本実施形態に係る廃液吸引装置10を適用する印刷機100の印刷部102は、図1に示すように、廃液トレイ114が移動可能な構成とすることもできる。具体的には、廃液トレイ114の配置部には、移動レール116が備えられている。移動レール116は、廃液受け部から吸引部にかけて配置されており、廃液トレイ114は、運転時には廃液受け部(図中実線で示す位置)に設置され、吸引時には吸引部(図中左側の二点鎖線で示す位置)へ移動させることが可能とされている。このような構成を有することで、廃液トレイ114に貯留された廃液を吸引する際の作業性が向上することとなる。なお、廃液トレイ114の形態や向きによっては、吸引ノズル16による廃液の吸引を行い難い場合もある。そのような場合には図1に示すように、廃液トレイ114を回転させる機構を備え、廃液トレイ114の開口位置を調整するようにしても良い。
【0033】
本実施形態に係る廃液吸引装置10では、母管106にトラップ106aを備えるようにしている。トラップ106aは、母管106に流し込まれた廃液を一時貯留するための要素である。トラップ106aは、図1に示すように母管106に対する分岐管12の分岐基点よりも廃液吸引手段104側、すなわち下流側に配置される。トラップ106aは、封止構造とされており、封止部106a1を開放する事により、一時貯留した廃液を排出することが可能となる。
【0034】
インキが含有された廃液は比較的粘度が高く、流動性が低い。このため、口径が大きくなる事により気道の割合が高くなる母管106においては、一部の廃液が廃液吸引手段104へ流れつかず、母管106の内部に留まってしまう場合や、廃液吸引手段104に流れついたとしても、廃液回収装置110に送り出す事ができずに、廃液吸引手段104内に滞留してしまう場合がある。こうした場合、母管106や廃液吸引手段104を清掃する必要が生じる。これに対し、トラップ106aに廃液を一時貯留する構成とした場合には、母管106の内部に溜まる廃液や、廃液吸引手段104内に滞留する廃液を減らすことができる。また、トラップ106aに溜まった廃液は、封止部106a1を開放することで、定期的に排出することができる。よって、母管106や廃液吸引手段104を清掃する頻度を減らすことができる。
【0035】
[効果]
上記のような構成の廃液吸引装置によれば、従来から存在する吸引管108とは別系統の分岐管12を新たに設ける構成としたことにより、分岐管12内部の負圧を維持することができ、吸引ノズル16に対して高い吸引力を生じさせることが可能となり、廃液トレイ114の洗浄を簡易かつ効果的なものとすることができる。
【0036】
また、母管106にトラップ106aを設けて廃液を一時貯留する構成とした事により、母管106や廃液吸引手段104を清掃する頻度を減らすことができ、ランニングコストを低減することができる。
【0037】
[応用形態]
上記実施形態では、トラップ106aについては封止形態とし、単に廃液を一時貯留する要素である旨記載した。しかしながら、一時貯留された廃液を自動で回収できるようにしても良い。一例としては、図3に示すように、トラップ106a入口の開口部に、バタフライ弁のような開閉弁118を配置する。そして、トラップ106aの先端側には、廃液の排出経路を設けるようにする。なお、排出経路には、自動弁120などを設け、トラップ106aの内部に廃液を一時貯留することを可能な構成とすると良い。また、トラップ106aには、圧縮空気用電磁弁124を介して圧縮空気源122を接続する構成とする。このような構成とする事により、圧縮空気用電磁弁124のON/OFF制御を行うことで、トラップ106a内に、圧縮空気を送ることが可能となる。
【0038】
このような構成とすることで、トラップ106aへの廃液の一時貯留と自動回収が可能となる。すなわち、定常形態では、トラップ106aの開口部に配置された開閉弁118を開状態とすることで、分岐管12等を介して母管106に流入した廃液がトラップ106aに流入することとなる。
【0039】
所定量の廃液がトラップ106aに貯留された後、あるいは廃液吸引装置10の運転開始から所定時間経過した後、開閉弁118を閉状態とする。ここで、トラップ106aには、図示しないレベル窓を備えることで、貯留された廃液の量を外部から視認することができるようにしても良い。
【0040】
開閉弁118を閉状態とした後、自動弁120を開放状態とすると共に、圧縮空気用電磁弁124を介して圧縮空気をトラップ106a内に送り込むことで、トラップ106aの内部に一時貯留された廃液を廃液回収装置110へと圧送する。
【0041】
本応用形態に係る廃液吸引装置10におけるトラップ106aは、開口部の開閉、並びに排出経路の開閉をできるようにし、圧縮空気源122による廃液の圧送を可能としたことで、印刷機を稼働させた状態、あるいは廃液吸引装置10を稼働させた状態で、トラップ106aの内部に貯留された廃液を除去する事が可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態では、吸引管108と分岐管12には、それぞれ配管に対する吸引力のON/OFF切替を行うための弁108a,12aを設ける旨記載した。しかしながら、個別に弁を設ける事なく、吸引管108と分岐管12との間で吸引を行う配管の切り替えを行う切換え弁(不図示)を設けるようにしても良い。
【0043】
また、上記実施形態では、廃液トレイ114は、移動レール116を介して吸引位置まで移動させる旨記載した。しかしながら、設置位置から廃液トレイ114を取り外し、架台などに載置した状態で廃液の吸引を行うようにしても良い。このように廃液吸引を行う場合であっても、本発明に係る廃液吸引装置10の利用形態に変わりないからである。
【符号の説明】
【0044】
10………廃液吸引装置、12………分岐管、12a………弁、12b………カプラー、14………枝管、16………吸引ノズル、16a………持手部、16b………先端部、16c………スイッチ、100………印刷機、102(102a~102e)………印刷部、104………廃液吸引手段、106………母管、106a………トラップ、106a1………封止部、108………吸引管、108a………弁、110………廃液回収装置、112………印刷用インキローラ、114………廃液トレイ、116………移動レール、118………開閉弁、120………自動弁、122………圧縮空気源、124………圧縮空気用電磁弁。
図1
図2
図3