(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】セル電圧測定用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20231219BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20231219BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/02
(21)【出願番号】P 2022190658
(22)【出願日】2022-11-29
【審査請求日】2023-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522195954
【氏名又は名称】株式会社水素パワー
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】神田 崇宏
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137126(JP,A)
【文献】特開2001-307852(JP,A)
【文献】特表2010-509712(JP,A)
【文献】特開2007-200697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M8/00-8/2495
H01R4/48
H01R4/58
H01R12/00-12/91
H01R13/11
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列して積層されている複数枚の平板状のセパレータのそれぞれに対して装着されて電気的な接続を図るセル電圧測定用コネクタであって、
前記セパレータのそれぞれに装着される先端側
に前記セパレータの方向に向かって
互いに対向して並行に伸び、両者の間に平板状の前記セパレータが嵌挿されて挟持される2枚の平板状の挟持片
を、前記先端側に対向する後端側に電線をそれぞれ備えていて、
前記挟持片の前記セパレータの方向に向かって伸びる挟持片先端の側における所定の位置に、前記挟持片が伸びる方向で所定の長さにわたって伸び、前記挟持片が伸びる方向に対して直交する方向で所定の長さの幅を有するスリットが形成されていて、
前記スリットにおける前記挟持片先端の側のスリット先端側縁辺を
接触片基端として、前記スリット内を、前記挟持片の
前記挟持片先端に対向する側である前記
後端側に向かって伸び、前記
接触片基端に対向する
接触片先端の側に、
互いに対向して並行に伸びる2枚の前記挟持片の間に挟持される前記セパレータの側に向かって突出する電気接点部を備えている接触片が
前記接触片基端から前記接触片先端に向かって前記セパレータの側に傾斜して配備されている
セル電圧測定用コネクタ。
【請求項2】
2枚の対向する一対の前記挟持片に形成されている前記スリットが、2枚の前記挟持片それぞれの前記挟持片先端の側における前記挟持片が伸びる方向に対して直交する方向で異なる位置に形成されている請求項1記載のセル電圧測定用コネクタ。
【請求項3】
前記挟持片に前記スリットが形成されている位置よりも前記
後端側に前記挟持片の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されている請求項1又は2記載のセル電圧測定用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池に関し、特に、燃料電池のセル電圧を測定するセル電圧測定用コネクタに関する。このようなコネクタは、Cell voltage monitorコネクタと呼ばれており、本明細書、図面において、単にCVMコネクタと表示することがある。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では、
図1(a)にその概要を示したように、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)(MEA)を、セパレータによって挟持することで発電セルが構成される。この発電セルの所定数を積層した燃料電池スタックが、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用される。
【0003】
このような燃料電池スタックでは、所望の発電性能を得るために、所定数(例えば、数十~数百)の発電セルが積層されている。そして、各セルの発電状況に応じた制御を行う目的、等で、セパレータに設けられたセル電圧測定用端子を電圧検出装置(セル電圧モニタ)に接続して、発電時の各発電セル毎又は所定の発電セル毎のセル電圧を検出する作業が行われている。この際に必要になるのが、
図1(b)に概要を示しているCVMコネクタである。
【0004】
燃料電池や、燃料電池における発電セルの電圧モニターに関しては従来から種々の提案が行われている(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
この中で、特許文献2には、セル電圧測定装置に接続されている平板状のコネクタの先端で燃料電池側のセパレータへの電気的な接続を図る部分を折り返す構造にしているものが記載されている。平板状のコネクタの先端部を折り返し構造にすることでセパレータへの電気的な接続を図る部分にバネ力を働かせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-63176号公報
【文献】特開2013-171652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池側のセパレータと、CVMコネクタの先端との間の電気的な接続を確実にするためバネ力を働かせることが使用されるが、特許文献2に記載されている構造のようにすると平板状のCVMコネクタの厚み方向でのサイズが大きくなる。これにより、数十~数百の発電セルが積層されることから厚み方向でのスペースが必要になる。
【0008】
この発明は、燃料電池側のセパレータと、CVMコネクタの先端との間の電気的な接続を確実にする目的でバネ力を働かせる構造でありながら、厚み方向でのスペースの拡大につながらず、なおかつ、両者の間の確実な電気的接続を可能にするセル電圧測定用コネクタを提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内容は以下に例示することができる。
[1]
並列して積層されている複数枚の平板状のセパレータのそれぞれに対して装着されて電気的な接続を図るセル電圧測定用コネクタであって、
前記セパレータのそれぞれに装着される先端側に、前記セル電圧測定用コネクタのハウジングの側から前記セパレータの方向に向かって伸び、両者の間に平板状の前記セパレータが嵌挿されて挟持される2枚の平板状の挟持片を備えていて、
前記挟持片の前記セパレータの方向に向かって伸びる挟持片先端の側における所定の位置に、前記挟持片が伸びる方向で所定の長さにわたって伸び、前記挟持片が伸びる方向に対して直交する方向で所定の長さの幅を有するスリットが形成されていて、
前記スリットにおける前記挟持片先端の側のスリット先端側縁辺を基端として、前記スリット内を、前記挟持片の先端に対向する側である前記ハウジングの側に向かって伸び、前記基端に対向する先端の側に、2枚の前記挟持片の間に挟持される前記セパレータの側に向かって突出する電気接点部を備えている接触片が配備されている
セル電圧測定用コネクタ。
【0010】
[2]
2枚の対向する一対の前記挟持片に形成されている前記スリットが、2枚の前記挟持片それぞれの前記挟持片先端の側における前記挟持片が伸びる方向に対して直交する方向で異なる位置に形成されている[1]のセル電圧測定用コネクタ。
【0011】
[3]
前記挟持片に前記スリットが形成されている位置よりも前記ハウジング側に前記挟持片の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されている[1]又は[2]のセル電圧測定用コネクタ。
【0012】
[4]
前記挟持片に前記スリットが形成されている位置よりも前記挟持片先端の側に、前記電気接点部が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起が形成されている[1]~[3]のいずれかのセル電圧測定用コネクタ。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、燃料電池側のセパレータと、CVMコネクタの先端との間の電気的な接続を確実にする目的でバネ力を働かせる構造でありながら、厚み方向でのスペースの拡大につながらず、なおかつ、両者の間の確実な電気的接続を可能にするセル電圧測定用コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は燃料電池の構成概要を説明する図、(b)はCVMコネクタの使用態様を説明する図。
【
図2】(a)は燃料電池側のセパレータに対してCVMコネクタ側からの装着が行われる状態を説明する一部を省略した斜視図、(b)は
図2(a)の一部拡大図。
【
図3】(a)は本発明の一実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(b)は
図3(a)図示のセル電圧測定用コネクタがセパレータに装着される状態を説明する一部を省略した斜視図。
【
図4】(a)は本発明の他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(b)は
図4(a)図示のセル電圧測定用コネクタがセパレータに装着される状態を説明する一部を省略した斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態に係るセル電圧測定用コネクタで、対向している2枚の平板状の挟持片のそれぞれにスリットが形成されている位置及び、各スリットに配備されて、対向している挟持片の側に向かって傾斜して伸びる各接触片の状態を表す一部を省略した正面図。
【
図6】(a)は本発明の他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(b)は本発明の更に他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(c)は
図6(b)図示のセル電圧測定用コネクタの一部を断面し、一部を省略して表した斜視図。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図。
【
図8】(a)は本発明の一実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(b)は
図8(a)図示のセル電圧測定用コネクタがセパレータに装着される状態を説明する一部を省略した斜視図。
【
図9】本発明の他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図。
【
図10】(a)は本発明の他の実施形態に係るセル電圧測定用コネクタの一部を省略した斜視図、(b)は
図10(a)図示のセル電圧測定用コネクタの一部を断面し、一部を省略して表した斜視図。
【
図11】本発明の実施形態によって厚み方向でのスペースの拡大を抑制できることを説明する概念図であって、(a)は本発明の構造による場合を説明する概念図、(b)は比較対象となる構造の場合を説明する概念図。
【
図12】本発明の実施形態によって厚み方向でのスペースの拡大を抑制できることについて検討したシミュレーション(比較検討試験)を説明する図であって、(a)は本発明の構造による場合、(b)は比較対象となる構造の場合を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
この実施例のセル電圧測定用コネクタは、並列して積層されている複数枚の平板状のセパレータのそれぞれに対して装着されて電気的な接続を図るものである。
【0016】
図2(a)、(b)図示の実施形態では、燃料電池1の側では、複数枚の平板状のセパレータ3a、3b、3c、・・・が並列して複数枚積層されている。以下、本明細書、図面において、複数枚の平板状のセパレータ3a、3b、3c、・・・を総称して単に「セパレータ3」と表すことがある。電圧測定用のコネクタ2は、先端側にセパレータ3に装着されるターミナル5を、後端側に各ターミナル5に接続されている電線6を備えている。
【0017】
この実施形態では、コネクタ2の各ターミナル5は、セパレータ3のそれぞれに装着される先端側に2枚の平板状の挟持片7a、7bを備えている(
図3(a)、
図4(a))。挟持片7a、7bは、セル電圧測定用のコネクタ2のハウジング4の側からセパレータ3の方向に向かって互いに対向して並行に伸びている。
【0018】
一対の平板状の挟持片7a、7bの間に平板状のセパレータ3が嵌挿され、挟持片7a、7bの間によってセパレータ3が挟持される(
図3(b)、
図4(b))。以下、本明細書において、挟持片7a、7bを総称して単に「挟持片7」と表すことがある。
【0019】
この実施形態のコネクタ2では、挟持片7a、7bは、それぞれ、スリット8a、8bを備えている。なお、
図3(a)、(b)では挟持片7aに形成されているスリット8a及び、スリット8aに配備される接触片9aだけが図示されている。挟持片7bに形成されるスリット8b及び、スリット8bに配備される接触片9bの形態は、挟持片7aに形成されるスリット8a及びスリット8aに配備される後述する接触片9aの形態と共通している。そこで、以下では、スリット8a、接触片9aについてのみ説明して、スリット8b及び、スリット8bに配備される接触片9bについての説明を省略することがある。また、以下、本明細書において、スリット8a、8bなどを総称して単に「スリット8」と表すことがある。また、以下、本明細書において、接触片9a、9bを総称して単に「接触片9」と表すことがある。
【0020】
図3(a)、(b)図示のように、スリット8aは、挟持片7aのセパレータ3の方向に向かって伸びる挟持片先端7cの側における所定の位置に配備されている。また、スリット8aは、挟持片7aが伸びる方向で所定の長さにわたって伸びていると共に、挟持片7aが伸びる方向に対して直交する方向(
図3(a)、(b)では図面の上下方向)で所定の長さの幅を有するものになっている。
【0021】
図示していないが、挟持片7bにおいても、挟持片7aと同様に、スリット8bが、挟持片7bのセパレータ3の方向に向かって伸びる挟持片先端7dの側における所定の位置であって、挟持片7aにスリット8aが形成されている位置に対応する位置に、スリット8aに対応する大きさで配備されている。
【0022】
スリット8aには、接触片9aが配備されている。接触片9aは、スリット8aにおける挟持片先端7cの側のスリット先端側縁辺10aを基端として、スリット8a内を、挟持片7aの先端に対向する側であるハウジング4の側に向かって伸びている(
図3(a)、(b))。
【0023】
また、スリット先端側縁辺10aからなる接触片9aの基端に対向する接触片9aの先端の側(
図3(a)、(b)における左側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11aを備えている。
【0024】
図示していないが、挟持片7bにおいても、スリット8bには、接触片9bが配備されている。接触片9bは、スリット8bにおける挟持片先端7dの側のスリット先端側縁辺10bを基端として、スリット8b内を、挟持片7bの先端に対向する側であるハウジング4の側に向かって伸びており、スリット先端側縁辺10bからなる接触片9bの基端に対向する接触片9bの先端の側(
図3(a)、(b)における左側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11bを備えている。
上述したように、この実施形態のコネクタ2は、挟持片7a、7bのハウジング4からセパレータ3の方向に向かって伸びる挟持片先端7c、7dの側における所定の位置に、挟持片7a、7bが伸びる方向で所定の長さにわたって伸び、挟持片7a、7bが伸びる方向に対して直交する方向で所定の長さの幅を有するスリット8a、8bと、スリット8a、8bにおける挟持片先端7c、7dの側のスリット先端側縁辺10a、10bを基端として、スリット8a、8b内を、挟持片7a、7bの挟持片先端7c、7dに対向する側であるハウジング4の側に向かって伸びる接触片9a、9bを備えている。このような構造のコネクタ2により、厚み方向でのスペースの拡大を抑制できる。
このことを
図11を用いて説明する。
図11(a)は、上述した構造の接触片を備えているこの実施形態のコネクタ2の場合を説明するものである。
【0025】
一方、
図11(b)は、
図11(a)の構造に対する比較対象の構造で説明するもので、スリットは
図11(a)図示の構造と同一の位置に形成されているが、スリット内を伸びる接触片が、
図11(a)図示の構造の場合とは逆に、ハウジングの側のスリット縁辺を基端として、ハウジングの側に対向する側である挟持片先端の側に向かって伸びている構造の場合を説明するものである。
【0026】
図11(b)の場合は、接触片の変形による接触片根元部(すなわち、ハウジングの側のスリット縁辺に形成される基端部)の傾きに応じて、挟持片先端部は
図11(b)で下方に向かって変位する。この結果、挟持片のたわみ量が大きくなる。
【0027】
これに対して、
図11(a)の場合は、接触片基端(すなわち、挟持片先端の側のスリット先端側縁辺に形成される基端)から挟持片先端に作用するモーメントが、挟持片先端を持ち上げる方向(
図11(a)で上方向)に作用する。このため、挟持片のたわみ量は、
図11(b)の場合と比較すると小さくなる。
【0028】
図11(a)、(b)における上下方向が厚み方向になるが、
図11(b)の場合に比較して
図11(a)の構造の方が厚み方向でのスペースを大きくとる必要がなくなることを理解できる。
【0029】
また、同一荷重に対して挟持片たわみ量が少なくなることは、接触片と挟持片で構成される構造のばね定数が大きくなることと等価であり、
図11(a)図示の構造の方が
図11(b)図示の構造に比較して、セパレータ装着時の電気接点部に発生する反力をより大きくすることができる。これによって電気的な接続をより確実にすることができる。
【0030】
図12は、上述した構造にすることで厚み方向でのスペースの拡大を抑制できることについて検討したシミュレーション(比較検討試験)を説明する図である。
【0031】
図12(a)図示の構造が
図11(a)図示の本願発明の構造に対応し、
図12(b)図示の構造が
図11(b)図示の比較対象の構造に対応している。
【0032】
図面中の各部のサイズをL1:200mm、L2:100mm、W1:40mm、W2:20mm、厚みt:0.5mmとし、ヤング率E:205GPa、接触片の先端に加える荷重P:0.5Nとしてシミュレーションしたところ、挟持片先端の変位量は、
図12(b)図示の構造(
図11(b)図示の構造)の場合14.634mmで、
図12(a)図示の構造(
図11(a)図示の構造)の場合は12.683mmであった。
図12(b)図示の構造(
図11(b)図示の構造)の方が、
図12(a)図示の構造(
図11(a)図示の構造)よりも変位量が大きくなることが認められた。
【0033】
図12に示したシミュレーション(比較検討試験)の結果からも、上述した
図3図示の構造にすることで厚み方向でのスペースの拡大を抑制できることを確認できる。
【0034】
図4(a)、(b)は、本願発明に係る他の実施形態を、それぞれ、
図3(a)、(b)に対応している状態で表したものである。
【0035】
図3(a)、(b)では、対になっている挟持片7a、7bにおいて、挟持片7aにスリット8aが形成されている位置に対応する挟持片7bの位置で挟持片7bにスリット8b(不図示)が形成されている。また、挟持片7aが備えている接触片9aの構造に対応する構造の接触片9b(不図示)が、挟持片7aが接触片9aを備えている位置に対応する挟持片7bの位置で挟持片7bに配備されていた。
【0036】
挟持片7aにおけるスリット8a、接触片9a、挟持片7bにおけるスリット8b(不図示)、接触片9b(不図示)は、
図3(a)、(b)では、挟持片7a、挟持片7bの上下方向における1か所のみに存在していた。
【0037】
図4(a)、(b)図示の構造では、一対の挟持片7a、挟持片7bの中の挟持片7bの構造のみを図示しているが、挟持片7bが伸びる方向に対して直交する方向(
図4(a)、(b)では図面の上下方向)で互いの間に所定の間隔を空けて2個のスリット8b、8dが挟持片7bに形成されている。
【0038】
図4(a)、(b)図示の構造は、この点が、
図3(a)、(b)図示の構造と相違しているだけであるので、
図3(a)、(b)の実施形態で説明した箇所と共通している箇所には同一の符号をつけてその説明を省略する。
【0039】
図4(a)、(b)図示のように、スリット8b、8dにはそれぞれ接触片9b、9dが配備されている。接触片9bは、スリット8bにおける挟持片先端7dの側のスリット先端側縁辺10bを基端として、スリット8b内を、挟持片7bの先端に対向する側であるハウジング4の側に向かって伸びている。また、接触片9dは、スリット8dにおける挟持片先端7dの側のスリット先端側縁辺10dを基端として、スリット8d内を、挟持片7dの先端に対向する側であるハウジング4の側に向かって伸びている。
【0040】
スリット先端側縁辺10bからなる接触片9bの基端に対向する接触片9bの先端の側(
図4(a)、(b)における右側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11bが、スリット先端側縁辺10dからなる接触片9dの基端に対向する接触片9dの先端の側(
図4(a)、(b)における右側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11dがそれぞれ配備されている。
【0041】
挟持片7bと対になって、挟持片7bとの間でセパレータ3を挟持する挟持片7aは、挟持片7bにスリット8b、接触片9bが配備されている位置に対応する位置で、スリット先端側縁辺10a(
図4では不図示)からなる接触片9a(
図4では不図示)の基端に対向する接触片9a(
図4では不図示)の先端の側(
図4(a)、(b)における右側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11a(
図4では不図示)を備えている。
【0042】
また、挟持片7bと対になって、挟持片7bとの間でセパレータ3を挟持する挟持片7aは、挟持片7bにスリット8d、接触片9dが配備されている位置に対応する位置で、スリット先端側縁辺10c(
図4では不図示)からなる接触片9c(
図4では不図示)の基端に対向する接触片9c(
図4では不図示)の先端の側(
図4(a)、(b)における右側)に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって突出する電気接点部11c(
図4では不図示)を備えている。
【0043】
図3、
図4図示の構造において、接触片9a~9dが、
図3、
図4図示のように、基端から先端に向かって、挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって傾斜している構造にすれば、上述した電気的な接続をより確実にする上で有利である。
【0044】
また、上述し、
図3、
図4に図示したように、接触片9a~9dが上述した構造の電気接点11a~11dを備えている構造にし、これを介して電気的接続が行われるようにすると、燃料電池側のセパレータ3と、コネクタ2との間の確実な電気的接続を図る上で有利である。
【0045】
上述の実施形態では、接触片9は、平板状の板体としているが、接触片9に要求される機能を発揮できるならば他の形状、構造とすることもできる。
【0046】
また、接触片9の肉厚は挟持片7の肉厚と同等にしてよいが、接触片9に要求される機能を発揮できるならば特にその肉厚が限定されるものではない。
【0047】
(第2実施例)
上述した
図3、
図4図示の構造では、2枚の対向する一対の挟持片7a、7bに形成されているスリット8a、8b、8c、8dは、2枚の挟持片7a、7bそれぞれの挟持片先端7c、7dの側における対向する位置に形成されている構造で説明した。
【0048】
このような構造に限られず、2枚の対向する一対の挟持片7a、7bに形成されているスリット8a、8bが、2枚の挟持片7a、7bそれぞれの挟持片先端7c、7dの側における挟持片7c、7dが伸びる方向に対して直交する方向(
図3、
図4における上下方向)で異なる位置に形成されている構造にすることもできる。
【0049】
図5はこのような構造の一実施形態を説明するもので、
図3、
図4図示の実施形態で、一対の挟持片7a、7bの先端の側から、コネクタ2のハウジングの方向を見た状態を表すものである。
【0050】
図5図示の実施形態では、挟持片7aにスリット8aが形成される
図5における上下方向の高さ位置と、挟持片7bにスリット8b、8dが形成される
図5における上下方向の高さ位置とが異なるようになっている。
【0051】
この点が第1実施例の
図3、
図4図示の構造と異なっているだけで、その他の構造は実施例1(
図3、
図4)で説明したものと同様である。そこで、第1の実施例で
図3、
図4を用いて説明した箇所には
図5で同一の符号をつけてその説明を省略し、
図5図示の実施形態が
図3、
図4図示の実施形態と異なっている点についてのみ説明する。
【0052】
第1実施例において説明したように、挟持片7a、7bが備える接触片9a、9b、9dは、基端から先端に向かって挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータ3の側に向かって傾斜する構造にすることができる。
【0053】
図5図示の実施形態のように、一対の挟持片7a、7bにそれぞれスリットが形成されている上下方向高さ位置が異なっている構造にすることで、上述したように、接触片9a、9b、9dが基端から先端に向かって傾斜する構造になっている場合でも、挟持片7aから伸びてくる接触片9aと、挟持片7bから伸びてくる接触片9b、9dとが干渉しない構造にすることができる。
【0054】
これによって、厚み方向の省スペース化と電気的接続の確実性の両立を図ることができる。
【0055】
(第3実施例)
図6(a)、(b)、(c)は、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりもハウジング4側に挟持片7の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されている実施形態を説明するものである。
【0056】
挟持片7にスリット8が形成されている位置よりもハウジング4側に挟持片7の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されている点が第1実施例の
図3、
図4図示の構造と異なっているだけで、その他の構造は実施例1(
図3、
図4)で説明したものと同様である。そこで、第1の実施例で
図3、
図4を用いて説明した箇所には
図6で同一の符号をつけてその説明を省略し、
図6図示の実施形態が
図3、
図4図示の実施形態と異なっている点についてのみ説明する。
【0057】
図6(a)では、挟持片7bにおいてスリット8b、8d形成されている位置よりもハウジング4側(
図6(a)における右側)に挟持片7bの厚み方向で凹部15bが形成されている。なお、
図6(c)に図示されているように、凹部15bが形成されている位置における挟持片7bの反対側(
図6(a)における挟持片7bの裏面側)は、凹部15bに対応した凸部15aが形成されているようになる。
【0058】
図6(b)、(c)では、挟持片7bにおいてスリット8b形成されている位置よりもハウジング4側(
図6(b)、(c)における右側)に挟持片7bの厚み方向で凹部15bが形成され、凹部15bが形成されている位置における挟持片7bの反対側(
図6(c)における挟持片7bの裏面側)に、凹部15bに対応した凸部15aが形成されている。挟持片7bに対向している挟持片7aでは、挟持片7aにおいてスリット8a形成されている位置よりもハウジング4側(
図6(b)、(c)における右側)に挟持片7aの厚み方向で凹部14bが形成され、凹部14bが形成されている位置における挟持片7aの反対側(
図6(c)における挟持片7aの上面側)に、凹部14bに対応した凸部14aが形成されている。
【0059】
このように、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりもハウジング4側に挟持片7の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されている構造にすると、挟持片7の強度を向上させ、挟持片7が、
図11(a)図示のように厚み方向に開く大きさを抑制できるので有利である。
【0060】
(第4実施例)
図7~
図10は、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりも挟持片先端7c、7dの側に、電気接点部11a、等が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起17a、17b、17c、17dが形成されている実施形態を説明するものである。以下、支持突起17a、17b、17c、17dを総称して単に「支持突起17」と表すことがある。
【0061】
支持突起17が配備されている点が第1実施例の
図3、
図4図示の構造と異なっているだけで、その他の構造は第1実施例(
図3、
図4)で説明したものと同様である。そこで、第1実施例で
図3、
図4を用いて説明した箇所には
図7~
図10で同一の符号をつけてその説明を省略し、
図7~
図10図示の実施形態が
図3、
図4図示の実施形態と異なっている点についてのみ説明する。
【0062】
図7は、
図4(a)図示の構造において、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりも挟持片先端7dの側に、電気接点部11a、等が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起17が形成されている実施形態を説明するものである。
【0063】
図8(a)、(b)は、
図6(a)図示の構造において、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりも挟持片先端7dの側に、電気接点部11a、等が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起17が形成されている実施形態を説明するものである。
【0064】
図9は、
図3(a)図示の構造において、
図6(a)、(b)、(c)を用いて説明した構造のように、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりもハウジング4側に挟持片7の厚み方向で凹部及び/又は凸部が形成されていて、更に、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりも挟持片先端7cの側に、電気接点部11a、等が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起17が形成されている実施形態を説明するものである。
【0065】
図10(a)、(b)は、
図6(b)、(c)図示の構造において、挟持片7にスリット8が形成されている位置よりも挟持片先端7dの側に、電気接点部11a、等が突出する方向と反対の方向へ突出する支持突起17が形成されている実施形態を説明するものである。
【0066】
支持突起17が備えられている構造にすることで、ハウジング4の構造における厚み方向でのクリアランスをゼロにし、ハウジング4の強度を強め、また、挟持片7が、
図11(a)図示のように厚み方向に開く大きさを抑制し、電気接点部11a~11d等を介した電気的接続をより確実にする上で有利である。
【0067】
以上、本願発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限られず、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【要約】 (修正有)
【課題】厚み方向のスペースの拡大につながらず、電気的な接続を確実に行えるセル電圧測定用コネクタを提供する。
【解決手段】セル電圧測定用コネクタは、挟持片7a、7bのセパレータの方向に向かって伸びる挟持片先端7cの側における所定の位置に、挟持片7a、7bが伸びる方向で所定の長さにわたって伸び、挟持片7a、7bが伸びる方向に対して直交する方向で所定の長さの幅を有するスリット8aが形成され、スリット8aにおける挟持片先端7c側のスリット先端側縁辺10aを基端として、スリット8a内を、挟持片7a、7bの先端に対向する側であるハウジングの側に向かって伸び、基端に対向する先端の側に、2枚の挟持片7a、7bの間に挟持されるセパレータの側に向かって突出する電気接点部11aを備えている接触片9aが配備されている。
【選択図】
図3