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特許7405475ポリオール組成物及びその製造方法並びにポリウレタンフォーム製造用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ポリオール組成物及びその製造方法並びにポリウレタンフォーム製造用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 219/08 20060101AFI20231219BHJP
   C07C 213/06 20060101ALI20231219BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231219BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C07C219/08 CSP
C07C213/06
C08G18/00 H
C08G18/42 088
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023091394
(22)【出願日】2023-06-02
【審査請求日】2023-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000118556
【氏名又は名称】伊藤製油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】窪田 智也
(72)【発明者】
【氏名】巽 理寧
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 大輔
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183249(JP,A)
【文献】特開2021-188032(JP,A)
【文献】特開平07-286026(JP,A)
【文献】STIRNA, U. et al.,Structure and properties of the polyurethane and polyurethane foam synthesized from castor oil polyols,Journal of Cellular Plastics,2012年11月20日,Vol. 48, No.6,pp. 476-488
【文献】長倉 稔,油脂ポリオール そのウレタン樹脂への応用,色材協会誌,1976年04月20日,Vol. 49, No. 4,pp. 250-259
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/42
C08G 18/00
C07C 219/08
C07C 213/06
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させて得られた反応生成物を含有するポリオール組成物であって、
前記トリエタノールアミンの使用量は、前記ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部であることを特徴とする、ポリオール組成物。
【請求項2】
更に、ヒマシ油及びポリエーテルポリオールから選ばれた少なくとも1種の、他のポリオールを含有する請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のポリオール組成物の製造方法であって、
不活性ガス雰囲気中において、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させる反応工程を備え、
前記反応工程において、前記トリエタノールアミンの使用量を、前記ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部とし、加熱条件下、前記エステル化反応を行うことを特徴とする、ポリオール組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のポリオール組成物と、発泡剤と、触媒と、ポリイソシアネートとを含有することを特徴とするポリウレタンフォーム製造用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面のべたつき及び収縮が抑制された発泡体(ポリウレタンフォーム)の製造に用いられるポリウレタンフォーム製造用組成物並びにそれを与えるポリオール組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びポリイソシアネートを含むポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて、軟質、半硬質又は硬質のポリウレタンフォームが製造され、広い用途で用いられている。近年、地球環境負荷低減の観点から、ポリオール成分として、植物由来のポリオールを用いる検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリイソシアネート、(A)3級アミノ基を含むポリエーテルポリオール、(B)植物から得られた原料を用いて製造される植物由来ポリオール、水、触媒、および整泡剤を原料として製造されるポリウレタンフォームであり、(B)植物由来ポリオールが、1分子当たり3~4個の水酸基を有する多価アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール等)と、植物から得られた炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸とを縮合させることにより得られた、水酸基価が60~110mgKOH/gのポリオールであることを特徴とするポリウレタンフォームが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、石油由来ポリオール及び植物由来ポリオール(ヒマシ油)を含有するポリオール類と、ポリイソシアネート類とを含む組成物から得られるポリウレタンフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-68719号
【文献】特開2023-4001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ライズタイムを短縮化することができ、表面のべたつき(表面タック)及び収縮の発生が抑制された発泡体を効率よく製造することができるポリウレタンフォーム製造用組成物並びにその製造に用いられるポリオール組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、地球環境負荷低減の観点から、ヒマシ油脂肪酸を用いて合成した植物由来のポリオール(ポリオール組成物)とポリイソシアネートとを含有するポリウレタンフォーム製造用組成物を用いてポリウレタンフォームを製造したところ、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本発明は、以下の通りである。
1.ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させて得られた反応生成物を含有するポリオール組成物であって、
上記トリエタノールアミンの使用量は、上記ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部であることを特徴とする、ポリオール組成物。
2.更に、ヒマシ油及びポリエーテルポリオールから選ばれた少なくとも1種の、他のポリオールを含有する上記項1に記載のポリオール組成物。
3.上記項1に記載のポリオール組成物の製造方法であって、
不活性ガス雰囲気中において、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させる反応工程を備え、
上記反応工程において、上記トリエタノールアミンの使用量を、上記ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部とし、加熱条件下、上記エステル化反応を行うことを特徴とする、ポリオール組成物の製造方法。
4.上記項1に記載のポリオール組成物と、発泡剤と、触媒と、ポリイソシアネートとを含有することを特徴とするポリウレタンフォーム製造用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリオール組成物は、その製造原料を特定の割合で反応させて得られた反応生成物を含有するものであり、表面のべたつき(表面タック)及び収縮の発生が抑制されたポリウレタンフォーム(発泡体)を与えるポリウレタンフォーム製造用組成物の製造原料として好適である。更に、本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物を用いると、ライズタイムを短縮化することができるので、上記性質の発泡体の大量生産等を効率よく行うことができる。
また、本発明のポリオール組成物の製造方法によれば、植物由来のヒマシ油脂肪酸を製造原料として用いるため、地球環境負荷低減の観点から、有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリオール組成物は、トリエタノールアミンを、ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部、好ましくは12~21質量部、より好ましくは13~18質量部となるように用いて、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させて得られた反応生成物を含有する組成物である。
【0011】
本発明に係るヒマシ油脂肪酸は、ヒマシ油の分解により得られたカルボキシ基含有化合物であり、リシノレイン酸、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、9,10-ジヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸等からなる。
【0012】
本発明のポリオール組成物に係る反応生成物の構成について、本発明者らは、少なくとも、ヒマシ油脂肪酸に含まれたカルボキシ基含有化合物を構成するカルボキシ基と、トリエタノールアミンを構成するヒドロキシ基とが関与したエステル化反応によって、2つ以上のヒドロキシ基及び3級アミノ基を有するポリエステルポリオールが含まれていると推定している。上記カルボキシ基含有化合物の中には、ヒドロキシ基を有するものがあるが、得られたポリエステルポリオールは、上記カルボキシ基含有化合物と、トリエタノールアミンとの部分エステル化物及び完全エステル化物の混合物であり、トリエタノールアミンの使用量の割合が高くないことから完全エステル化物を主とするものと考えられる。具体的には、ヒドロキシ基を有さないカルボキシ基含有化合物と、トリエタノールアミンとの完全エステル化物、及び、ヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物と、トリエタノールアミンとの完全エステル化物と考えられる。また、上記反応生成物が部分エステル化物を含む場合、ヒドロキシ基を有さないカルボキシ基含有化合物と、トリエタノールアミンとから形成された部分エステル化物や、ヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物と、トリエタノールアミンとから形成された部分エステル化物からなるポリエステルポリオールが含まれていると推定している。
【0013】
本発明において、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとを特定の割合で用いてエステル化反応させて得られた反応生成物は、通常、液状であり、その粘度(JIS Z 8803に準じ、B型粘度計を用いて、25℃で測定)は、好ましくは600mPa・sを超えて800mPa・s未満、より好ましくは605~780mPa・sである。従って、上記反応生成物は、取り扱いが容易であり、この反応生成物を含有するポリオール組成物として用いると、表面のべたつき及び収縮が抑制された発泡体(ポリウレタンフォーム)を与えるポリウレタンフォーム製造用組成物を効率よく製造することができる。また、本発明のポリオール組成物は、他の成分(後述)を含有することができるので、その製造の際にも、上記反応生成物と他の成分とを容易に混合することができる。
【0014】
本発明のポリオール組成物が含有することができる他の成分としては、従来、公知のポリウレタンフォーム製造用組成物に含まれるポリオール成分、各種添加剤等を用いることができる。尚、本発明のポリオール組成物を用いて得られるポリウレタンフォーム製造用組成物はポリイソシアネートを含有するが、本発明のポリオール組成物は、ポリイソシアネートを含有しない。
【0015】
上記ポリオール成分(以下、「他のポリオール」という)は、2つ以上のヒドロキシ基を有するものであれば、特に限定されず、脂肪族化合物、脂環式化合物及び芳香族化合物のいずれでもよい。具体的には、ポリエーテルポリオール、他のポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリ(ブタ)ジエンポリオール、アクリルポリオール、天然油脂系ポリオール等が挙げられ、本発明のポリオール組成物は、他のポリオールを1種のみ又は2種以上含有することができる。他のポリオールの性状は特に限定されないが、液状であることが好ましい。
【0016】
本発明において、他のポリオールは、ポリエーテルポリオール及び天然油脂系ポリオールが好ましい。
【0017】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、2つ以上のヒドロキシ基を有する脂肪族化合物に、アルキレンオキサイドが付加されてなる化合物である。また、天然油脂系ポリオールは、好ましくはヒマシ油、大豆油、ヤシ油又はそれらの変性物であり、特に好ましくはヒマシ油である。
【0018】
本発明のポリオール組成物が他のポリオールを含有する場合、他のポリオールの含有割合は、特に限定されない。
他のポリオールの含有量の上限は、上記反応生成物の含有量を100質量部とした場合に、好ましくは200質量部、より好ましくは110質量部、更に好ましくは70質量部である。
【0019】
上記添加剤としては、触媒、発泡剤、整泡剤、粘度調整剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。これらのうち、触媒及び発泡剤は、ポリウレタンフォームの製造に必要であるため、ポリウレタンフォーム製造用組成物に含有されるが、本発明においては、触媒及び発泡剤がポリオール組成物に含有される態様、及び、触媒及び発泡剤がポリオール組成物に含有されない態様を適用することができる。
【0020】
触媒としては、アミン化合物、遷移金属化合物等が挙げられる。本発明においては、触媒を1種のみ又は2種以上を用いることができる。
【0021】
アミン化合物としては、第三級アミン、イミダゾール化合物、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、第三級アミンが好ましく、例えば、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ジメチルアミノシクロヘキシルアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)-N-メチルアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、2-[2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エトキシ]エタノール、1-(ジメチルアミノ)-2-プロパノール、N,N-ジメチルアミノエトキシイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシイソプロパノール、N,N,N′-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエチル-N′-メチルアミノイソプロパノール、ビス[2-(ジメチルアミノ)エチル]エーテル、N,N,N′-トリメチル-N′-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N,N′-トリメチル-N′-ヒドロキシイソプロピルビス(2-アミノエチル)エーテル、N,N,N′-トリメチル-N′-(3-アミノプロピル)ビス(2-アミノエチル)エーテル、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N-ジメチルアミノエチル-N′-メチルアミノエチル-N′′-メチルアミノイソプロパノール、N,N-ジメチルアミノエチル-N′-メチルアミノエチル-N′′-メチルアミノエタノール等が挙げられる。
【0022】
遷移金属化合物としては、スズ化合物、ビスマス化合物、鉛化合物、鉄化合物、亜鉛化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等が挙げられる。これらのうち、スズ化合物が好ましく、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズジラウリルメルカプチド、ジメチルスズジイソオクチルマレエート、ジブチルスズジイソオクチルマレエート、ジメチルスズビ(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)、ジブチルスズビ(2-エチルヘキシルメルカプトアセテート)、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリル酸スズ等が挙げられる。
【0023】
発泡剤としては、水、イソシアネートと反応すると二酸化炭素を発生する有機酸又はそのエステル(ギ酸、ギ酸メチル等)、炭化水素(イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン等)、ハロゲン化炭化水素(ペンタフルオロブタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジフルオロエタン等)、エーテル、ハロゲン化エーテル等が挙げられる。
【0024】
整泡剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、ノニオン系界面活性剤が好ましく、例えば、ヒマシ油脂肪酸ポリオキシエチレングリコールエステル、ヒマシ油又はヒマシ硬化油のポリオキシエチレン付加物等の、ポリオキシアルキレン系界面活性剤;有機シロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン-グリース共重合体等の、有機シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。本発明においては、整泡剤を1種のみ又は2種以上を用いることができる。
【0025】
本発明のポリオール組成物が他の成分を含有する場合、上記反応生成物と、他の成分との均一混合物を形成しており、通常、反応生成物、又は、反応生成物及び他のポリオールからなる相の中に添加剤が分散した構成を有する。
【0026】
本発明のポリオール組成物は、ポリイソシアネートと組み合わせて、ライズタイムを短縮化することができ、表面のべたつき及び収縮が抑制された発泡体(ポリウレタンフォーム)を製造可能なポリウレタンフォーム製造用組成物の原料として特に好適である。
【0027】
本発明のポリオール組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という)は、不活性ガス雰囲気中において、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとを特定の割合で用いて、加熱条件下、エステル化反応させる反応工程を備える。
【0028】
上記反応工程では、トリエタノールアミンを、ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部、好ましくは12~21質量部、より好ましくは13~18質量部となるように用いる。
【0029】
上記反応工程におけるエステル化反応は、無溶媒で行うことができるが、溶媒の存在下で行ってもよい。その場合、キシレン等を用いることができる。
【0030】
上記反応工程では、ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンの反応を、不活性ガス雰囲気において行う。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を用いることができる。また、エステル化反応を加熱しながら行い、反応温度の下限は、好ましくは180℃、より好ましくは200℃であり、上限は、好ましくは240℃、より好ましくは230℃である。
【0031】
上記反応工程において、ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンを反応させると、反応系には、反応生成物と、副生した水とが含まれる。副生した水は、エステル化反応の後に除去するか、エステル化反応と同時に留去させてもよい。後者の場合、反応系内を減圧条件とし、不活性ガスを導入しながらエステル化反応を行うことが好ましい。
【0032】
本発明の製造方法は、反応工程の後に、必要に応じて、更に、他の工程を備えることができる。例えば、反応生成物を精製又は分画する工程を備えることができる。更に、反応生成物と、ポリイソシアネートを除く、上記の他の成分とを混合する混合工程を備えることができ、この混合工程を行う場合、反応生成物と、上記の他のポリオール及び各種添加剤から選ばれた成分とを混合することができる。
【0033】
本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物は、上記本発明のポリオール組成物と、発泡剤と、触媒と、ポリイソシアネートとを含有する組成物である。発泡剤及び触媒は、上記例示したものを用いることができる。本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物は、更に、上記本発明のポリオール組成物が含有することができるとした各種添加剤を含有することができる。
【0034】
本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物において、発泡剤の含有量は、上記本発明のポリオール組成物に含まれた反応生成物の含有量、又は、この反応生成物及び必要により併用される他のポリオールの合計含有量を100質量部とした場合に、好ましくは2.5~5質量部、より好ましくは2.8~4.6質量部、更に好ましくは3.25~4.2質量部である。
【0035】
本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物において、触媒の含有量は、上記本発明のポリオール組成物に含まれた反応生成物の含有量、又は、この反応生成物及び必要により併用される他のポリオールの合計含有量を100質量部とした場合に、好ましくは0.1~2.0質量部、より好ましくは0.15~1.0質量部、更に好ましくは0.2~0.6質量部である。尚、触媒として、アミン化合物及び遷移金属化合物のいずれか一方又は両方を用いることが好ましい。アミン化合物及び遷移金属化合物の両方を用いる場合、使用量の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは30~50質量%及び50~70質量%、より好ましくは40~50質量%及び50~60質量%である。
【0036】
本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物において、ライズタイムを短縮化することができ、表面のべたつき(表面タック)及び収縮の発生が抑制された発泡体を得るために、ポリオール組成物に含まれた反応生成物に含まれるヒドロキシ基の合計量、又は、この反応生成物に含まれるヒドロキシ基の合計量及び必要により併用される他のポリオールに含まれるヒドロキシ基の合計量の和と、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基の合計量との当量比(NCO/OH)、即ち、イソシアネートインデックスが、好ましくは0.925~1.000、より好ましくは0.935~0.985となるように構成される。
【0037】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
芳香族ポリイソシアネートとしては、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);粗製ジフェニルメタンジイソシアネート;多核ポリフェニレンポリメチルポリイソシアネート(ポリメリックMDI);2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(TDI);1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート(NDI);1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート;1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート(PDI);キシレンジイソシアネート(XDI);テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI);トリジンジイソシアネート(TODI);2,4,6-トリメチルフェニル-1,3-ジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニル-1,3-ジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′-ジメチル-4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジフェニレンジイソシアネート、3,3′-ジクロロ-4,4′-ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)及びリジントリイソシアネート(LTI)や、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体又はアダクト体等が挙げられる。
【0040】
脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(CHDI)、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加XDI(H6XDI)、水素添加MDI(H12MDI)、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)や、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体又はアダクト体等が挙げられる。
【0041】
本発明において、ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートを含むことが好ましく、トリレンジイソシアネート(TDI)を含むことが特に好ましい。
【0042】
本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物を用いると、表面のべたつき及び収縮が抑制された発泡体(ポリウレタンフォーム)を効率よく製造することができる。発泡体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、ポリウレタンフォーム製造用組成物を、成形用の型又は容器に供給した後、発泡させる方法、基体等に噴霧して塗膜を形成した後、発泡させる方法等を適用することができる。尚、型又は容器に、ポリオール組成物、発泡剤、触媒及びポリイソシアネートを供給して混合して本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物を構成させてから発泡体を製造してもよい。発泡体の製造温度は特に限定されず、好ましくは21℃~30℃、より好ましくは23℃~27℃である。
【0043】
また、本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物を用いると、ライズタイムを短縮化することができるので、表面のべたつき(表面タック)及び収縮の発生が抑制された発泡体の大量生産等を効率よく行うことができる。本発明において、後述の〔実施例〕に記載の方法により測定されるライズタイムは、好ましくは60~120秒間、より好ましくは70~100秒間である。また、後述の〔実施例〕に記載の方法により測定されるクリームタイムは、好ましくは10~28秒間、より好ましくは10~22秒間である。
【実施例
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、「部」は特に断らない限り質量基準である。
【0045】
1.ポリオール組成物の製造及び評価
ポリウレタンフォーム製造用組成物の製造に用いるポリオール組成物を製造し、物性評価を行った。
【0046】
実施例1-1
撹拌機、検水管、温度計及び窒素吹き込みラインを備えた四つ口コルベンの内部を窒素ガスで置換した後、四つ口コルベンに、伊藤製油社製ヒマシ油脂肪酸「CO-FA」(商品名)2717.5部及び日本触媒社製トリエタノールアミン「トリエタノールアミン」(商品名)282.5部(ヒマシ油脂肪酸100部に対して10.4部)を仕込んだ。そして、四つ口コルベンに窒素ガスを導入しながら反応系を昇温し、210℃で、副生する水を溜出させながらエステル化反応を5.0時間行った。その後、四つ口コルベンの内部を減圧条件とし、更に水を溜去させながら、210℃で加熱を続けた。反応生成物の酸価が0.5mgKOH/g以下になったところで、製造を終了した。これにより平均ヒドロキシ基数が2.4、25℃における粘度が760mPa・s、植物度が92%のポリオール組成物(以下、「ポリオール組成物(A1)」という)を得た(表1参照)。
【0047】
粘度は、JIS Z 8803に準ずる方法により、東機産業社製B型粘度計「TVB-10」(型式名)を用いて25℃で測定した。
植物度は、ISO 16620-4に準じ、バイオマス質量含有率として測定した。
【0048】
実施例1-2
ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンの使用量を、それぞれ、4000部及び630.3部とした以外は、実施例1-1と同様の操作を行って、平均ヒドロキシ基数が2.7、25℃における粘度が610mPa・s、植物度が85%のポリオール組成物(以下、「ポリオール組成物(A2)」という)を得た(表1参照)。
【0049】
実施例1-3
ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンの使用量を、それぞれ、2421.7部及び578.3部とした以外は、実施例1-1と同様の操作を行って、平均ヒドロキシ基数が2.8、25℃における粘度が625mPa・s、植物度が80%のポリオール組成物(以下、「ポリオール組成物(A3)」という)を得た(表1参照)。
【0050】
比較例1-1
ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンの使用量を、それぞれ、9.4部及び100部とした以外は、実施例1-1と同様の操作を行って、平均ヒドロキシ基数が2.3、25℃における粘度が800mPa・s、植物度が94%のポリオール組成物(以下、「ポリオール組成物(A4)」という)を得た(表1参照)。
【0051】
比較例1-2
ヒマシ油脂肪酸及びトリエタノールアミンの使用量を、それぞれ、100部及び27.7部とした以外は、実施例1-1と同様の操作を行って、平均ヒドロキシ基数が2.8、25℃における粘度が600mPa・s、植物度が78%のポリオール組成物(以下、「ポリオール組成物(A5)」という)を得た(表1参照)。
【0052】
【表1】
【0053】
2.ポリウレタンフォーム製造用組成物の製造及び評価
表2及び表3の処方に従って、上記の実施例1-1~1-3及び比較例1-1~1-2で得られたポリオール組成物、あるいは、以下のポリオール(B1)若しくは(B3)又はポリオール組成物(B2)を、発泡剤、触媒、整泡剤及びポリイソシアネートとともに用いてポリウレタンフォーム製造用組成物を製造し、各種評価を行った。
【0054】
2-1.ポリオール(B1)
伊藤製油社製ヒマシ油「URIC H-30」(商品名)を用いた。平均ヒドロキシ基数は2.7であり、25℃における粘度は650mPa・sであり、植物度は100%である。
【0055】
2-2.ポリオール組成物(B2)
撹拌機、検水管、温度計及び窒素吹き込みラインを備えた四つ口コルベンの内部を窒素ガスで置換した後、四つ口コルベンに、上記ヒマシ油脂肪酸4000質量部及びランクセス社製トリメチロールプロパン「TMP」(商品名)572.8質量部を仕込んだ。そして、四つ口コルベンに窒素ガスを導入しながら反応系を昇温し、210℃で、水を溜出させながらエステル化反応を5.0時間行った。その後、四つ口コルベンの内部を減圧条件とし、更に水を溜去させながら、210℃で加熱を続けた。反応生成物の酸価が0.5mgKOH/g以下になったところで、製造を終了しポリオール組成物(B2)を得た。このポリオール組成物(B2)の平均ヒドロキシ基数は2.7、25℃における粘度は700mPa・s、植物度は87%である。
【0056】
2-3.ポリオール(B3)
三洋化成工業社製ポリエーテルポリオール「GP-3050NS」(商品名)を用いた。平均ヒドロキシ基数は3.0であり、植物度は0%である。
【0057】
2-4.発泡剤
水を用いた。
2-5.触媒
(1)C1(第三級アミン)
東ソー社製トリエチレンジアミン「TEDA L-33」(商品名)を用いた。
(2)C2(無機錫化合物)
日東化成社製「ネオスタン U-28」(商品名)を用いた。
【0058】
2-6.整泡剤
(1)F1
伊藤製油社製ノニオン系界面活性剤「SURFRIC CO-10」(商品名)を用いた。
(2)F2
ダウ・東レ社製シリコーン界面活性剤「VORASURF SZ-1142」(商品名)を用いた。
2-7.ポリイソシアネート
東ソー社製TDI「コロネート T-80」(商品名)を用いた。
【0059】
実施例2-1
ポリオール組成物(A1)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、その後、触媒(C2)を添加して更に混合した。次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、このポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて、以下の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0060】
(1)ライズタイム(RT)
合計100gのポリウレタンフォーム製造用組成物の製造に用いた、ポリイソシアネートと、該ポリイソシアネートと混合する直前のポリオール組成物、触媒等を含有する混合物とを、それぞれ、25℃の条件下、発泡容器(直径160mm、高さ280mmの有底円筒型容器)に注入して混合を開始した時点から、発泡が完了するまでの時間を計測した。
(2)クリームタイム(CT)
100gのポリウレタンフォーム製造用組成物を、25℃の条件下、発泡容器(直径160mm、高さ280mmの有底円筒型容器)に注入し、注入が完了した時点から、発泡が始まるまでの時間を計測した。
(3)表面タック
上記のクリームタイム測定後に得られた発泡体を、大気中、養生(25℃、16時間)させ、指触評価を行い、下記基準で判定した。
〇:粘着感があった
×:粘着感がなかった
(4)セトリング率
上記のライズタイム測定時における発泡容器の底からの高さ(A)と、得られた発泡体の高さ(B)とから、下記式によりセトリング率を得た。
セトリング率(%)=〔(A-B)/A〕×100
(5)収縮
上記のクリームタイム測定後に得られた発泡体を、大気中、養生(25℃、16時間)させ、採寸し、発泡容器の内寸に対する収縮の有無を確認した。
〇:収縮はなかった
×:収縮があった
(6)コア密度
JIS K 7222に準ずる方法により測定した。
【0061】
実施例2-2
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール組成物(A2)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0062】
実施例2-3
ポリオール組成物(A1)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0063】
実施例2-4
ポリオール組成物(A1)、発泡剤、触媒(C2)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0064】
実施例2-5
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール組成物(A3)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0065】
実施例2-6
100部のポリオール組成物(A1)に代えて、80部のポリオール組成物(A2)及び20部のポリオール(B1)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0066】
実施例2-7
100部のポリオール組成物(A1)に代えて、50部のポリオール組成物(A2)及び50部のポリオール(B1)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0067】
実施例2-8
100部のポリオール組成物(A1)に代えて、80部のポリオール組成物(A2)及び20部のポリオール組成物(B2)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0068】
実施例2-9
100部のポリオール組成物(A1)に代えて、50部のポリオール組成物(A2)及び50部のポリオール組成物(B2)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0069】
実施例2-10
ポリオール組成物(A2)、ポリオール組成物(B2)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、その後、触媒(C2)を添加して更に混合した。次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表2参照)。
【0070】
比較例2-1
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール組成物(A4)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0071】
比較例2-2
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール組成物(A5)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0072】
比較例2-3
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール(B1)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0073】
比較例2-4
ポリオール(B1)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0074】
比較例2-5
ポリオール(B1)、発泡剤、触媒(C2)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0075】
比較例2-6
ポリオール組成物(B2)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、その後、触媒(C2)を添加して更に混合した。次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0076】
比較例2-7
ポリオール組成物(A1)に代えて、ポリオール(B3)を用いた以外は、実施例2-1と同様の操作を行って、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0077】
比較例2-8
ポリオール(B3)、発泡剤、触媒(C1)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0078】
比較例2-9
ポリオール(B3)、発泡剤、触媒(C2)及び整泡剤を混合し、次いで、この混合物にポリイソシアネートを添加して混合し、ポリウレタンフォーム製造用組成物を得た。その後、各種評価を行った(表3参照)。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
表2及び表3から以下のことが分かる。
比較例2-1は、トリエタノールアミンの使用量を、ヒマシ油脂肪酸100部に対して9.4部としてエステル化反応させて得られたポリオール組成物(A4)を含有するポリウレタンフォーム製造用組成物を用いた例であり、セトリング率が40%を超えて高く、また、発泡体を得ることができず、不定形の粘着体が形成された。比較例2-2は、トリエタノールアミンの使用量を、ヒマシ油脂肪酸100部に対して27.7部としてエステル化反応させて得られたポリオール組成物(A5)を含有するポリウレタンフォーム製造用組成物を用いた例であり、発泡体の製造後、収縮が発生した。比較例2-3~2-9は、ヒマシ油(B1)、ポリエーテルポリオール(B2)又はポリオール組成物(B3)をポリオール原料として含むポリウレタンフォーム製造用組成物を用いた例であり、ライズタイム(RT)が長過ぎて、発泡体の効率的な製造に不向きである。また、得られた発泡体に表面タックが発現した。比較例2-8及び2-9では、発泡体の製造後、収縮が発生した。
一方、実施例2-1~2-10は、本発明のポリオール組成物を含有するポリウレタンフォーム製造用組成物を用いた例であり、クリームタイム(CT)及びライズタイム(RT)がいずれも好適な範囲にあり、表面タック及び収縮が抑制された発泡体を効率よく製造することができた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンフォームからなる、車両用部品、建築土木用部品、住宅設備用品、生活用品、スポーツ用品、レジャー用品、農林業用資材、漁業用資材等の製造に用いるポリウレタンフォーム製造用組成物の原料として好適である。
【要約】
【課題】ライズタイムを短縮化することができ、表面のべたつき(表面タック)及び収縮の発生が抑制された発泡体を効率よく製造することができるポリウレタンフォーム製造用組成物並びにその製造に用いられるポリオール組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリオール組成物は、ヒマシ油脂肪酸と、トリエタノールアミンとをエステル化反応させて得られた反応生成物を含有するポリオール組成物であり、トリエタノールアミンの使用量は、ヒマシ油脂肪酸100質量部に対して、10~25質量部である。本発明のポリウレタンフォーム製造用組成物は、上記ポリオール組成物と、発泡剤と、触媒と、ポリイソシアネートとを含有する。
【選択図】なし