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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】蒸気供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20231219BHJP
【FI】
A24F40/53
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022544305
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 GB2021050277
(87)【国際公開番号】W WO2021165643
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】2002383.4
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジャスティン ハン ヤン
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/207312(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109619696(CN,A)
【文献】特表2018-534909(JP,A)
【文献】国際公開第2020/006311(WO,A1)
【文献】特表2016-525348(JP,A)
【文献】特表2017-523862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムであって、
空気チャネル及びエアロゾル生成要素を少なくとも部分的に囲むハウジングと、
前記ユーザによる吸入中に前記空気チャネル内の空気流の量又は圧力差を検出することにより瞬時吸入強度を検出するように構成された検出器と、
前記ユーザに第1の指標を提供するように構成された第1のインジケータと、
前記検出器及び前記第1のインジケータに接続された制御器であって、前記吸入中に前記ユーザに対して前記第1の指標を生成するよう前記第1のインジケータを制御するように構成され、前記第1の指標が、前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて前記吸入中に変動し、前記第1の指標が、前記瞬時吸入強度の指標である、制御器と、
を備えるエアロゾル供給システム。
【請求項2】
前記瞬時吸入強度が第1の所定の閾値を超えない限り指標が生成されない、請求項1に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項3】
前記第1の指標が触覚指標である、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項4】
前記触覚指標の強さが、前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて変動させられる、請求項3に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項5】
前記瞬時吸入強度が第2の閾値未満であるときは、前記触覚指標の強さが前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて変動させられ、前記瞬時吸入強度が前記第2の閾値以上であるときは、前記触覚指標の強さが一定である、請求項3又は4に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項6】
前記触覚指標が、第1の持続時間を有する複数のパルスを含み、前記複数のパルスが、第2の持続時間を有する期間によって分離されている、請求項3~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項7】
前記第1の持続時間が、前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて変動させられる、請求項6に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項8】
前記第2の持続時間が、前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて変動させられる、請求項6又は7に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項9】
前記制御器が、前記吸入後に前記ユーザに対して第2の指標を生成するよう前記第1のインジケータを制御するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項10】
前記第2の指標が、前記吸入中に前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいている、請求項9に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項11】
前記吸入中又は前記吸入後に前記ユーザに第3の指標を提供するための第2のインジケータを備える請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項12】
前記第3の指標が視覚指標である、請求項11に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項13】
前記制御器が、前記吸入後に前記ユーザに対して前記第3の指標を生成するよう前記第2のインジケータを制御するように構成されている、請求項11又は12に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項14】
前記制御器が、前記システムが待機モードにあるという指標を生成するよう前記第2のインジケータを制御するように構成されている、請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項15】
前記待機モードにあるときに生成される前記指標が、前記吸入中又は前記吸入後に前記ユーザに提供される前記第3の指標と異なる、請求項14に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項16】
前記吸入中に前記ユーザに第4の指標を提供するための第3のインジケータを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項17】
前記第4の指標が可聴指標である、請求項16に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項18】
前記制御器が、前記検出器によって検出された前記瞬時吸入強度に基づいて前記吸入中に前記第4の指標を生成するよう前記第3のインジケータを制御するように構成されている、請求項16又は17に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項19】
前記エアロゾル生成要素が、前記吸入に続く前記ユーザによる吐出の間、呼気が前記ユーザに見えないように前記エアロゾルを生成するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項20】
前記システムの動作モードを、第1の動作モード及び第2の動作モードを含む複数のモードのうちの1つに設定するためのユーザ入力制御器を備え、
前記エアロゾル生成要素が、前記吸入に続く前記ユーザによる吐出の間、前記第1の動作モードでは前記第2の動作モードに比べて呼気が前記ユーザにより見えにくくなるようにエアロゾルを生成するように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項21】
前記吸入に続く前記ユーザによる吐出の間、呼気が前記ユーザに見えないように遮蔽部を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項22】
前記遮蔽部がヘッドマウントディスプレイを備える、請求項21に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項23】
ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給装置であって、
空気チャネルを部分的に囲むハウジングであって、前記空気チャネルが、エアロゾル生成要素へ流体を通すように構成されている、ハウジングと、
前記ユーザによる吸入中に前記空気チャネル内の空気流の量又は圧力差を検出することにより瞬時パフ強度を検出するように構成された検出器と、
前記ユーザに第1の指標を提供するように構成された第1のインジケータと、
前記検出器及び前記第1のインジケータに接続された制御器であって、前記吸入中に前記ユーザに対して前記第1の指標を生成するよう前記第1のインジケータを制御するように構成され、前記第1の指標が触覚指標を含み、前記触覚指標が、前記検出器によって検出された前記瞬時パフ強度に基づいて前記吸入中に変動し、前記触覚指標が、前記瞬時パフ強度の指標である、制御器と、
を備えるエアロゾル供給装置。
【請求項24】
ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムの使用中にユーザに指標を提供する方法であって、
前記ユーザによる吸入中にエアロゾル供給装置の空気チャネル内の空気流の量又は圧力差を検出することにより瞬時パフ強度を検出するステップと、
前記吸入中に前記ユーザに対して指標を生成するステップであって、前記指標が前記瞬時パフ強度に基づいて前記吸入中に変動し、前記指標が、前記瞬時パフ強度の指標である、ステップと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システムなどの蒸気供給システム(例えば電子タバコなど)に関し、特に、蒸気供給システムによって蒸気が生成される強さを決定する能力をユーザに提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子蒸気供給システムは、一般に、蒸気前駆体材料を含む。蒸気前駆体材料は、例えば容器(リザーバ)に収容された調合物入りのソース液体であり、典型的には、ニコチン及びしばしば香料などの添加物を含むベース液体及び/又はタバコベース製品などの固体材料を含んでおり、これらから蒸気がユーザによる吸入のために、例えば熱気化によって生成される。従って、蒸気供給システムは、典型的には、気化器、例えば加熱要素、を含む蒸気生成チャンバを備えることになる。ここで、気化器は、前駆体材料の一部を蒸発させて蒸気生成チャンバ内に蒸気を生成するように構成されている。ユーザが装置を吸入し、電力が気化器に供給されると、空気が入口孔を通って装置内、ひいては蒸気生成チャンバに引き込まれ、そこで気化された前駆体材料と空気が混合されてエアロゾルが形成される。蒸気生成チャンバをマウスピース中の開口に接続する流路があるので、蒸気生成チャンバに引き込まれた流入空気は、流路に沿ってマウスピース開口へと続き、自らに伴って蒸気の一部を運び、マウスピース開口を通って流出し、ユーザにより吸入される。
【0003】
蒸気供給システムは、再使用可能な部分及び交換可能なカートリッジ部分の両方を含むモジュール式アセンブリを備えてもよい。典型的には、カートリッジ部分は、消耗する蒸気前駆体材料、及び/又は気化器を備え、一方、再使用可能な装置部分は、再充電可能バッテリ、デバイス制御回路、起動センサ及びユーザインタフェース部分など、より長寿命の部材を備える。再使用可能部分は、制御ユニット又はバッテリセクションとも呼ばれ、気化器及び前駆体材料の両方を含む交換可能カートリッジ部分は、カトマイザとも呼ばれる。
【0004】
カートリッジは、使用の際、制御ユニットに電気的及び機械的に接続される。この接続には、例えば、適切に係合する電気接点を有するねじ式又はバヨネット式取付けを使用する。カートリッジ内の蒸気前駆体材料が使い果たされたとき、又は異なる蒸気前駆体材料を有する異なるカートリッジに切り替えることをユーザが望むときは、カートリッジを制御ユニットから取り外し、交換用カートリッジを代わりに取り付けることができる。
【発明の概要】
【0005】
このように、蒸気供給システムは、ユーザによる吸入のために蒸気を生成し、所望の味/においを届け、及び/又はニコチンを送達する。吸入に続いてユーザが吐き出す蒸気は、しばしば目に見える。特に、ある種の蒸気前駆体材料は、可視性が低い(又は全くない)蒸気を生成しうる。目に見える蒸気の存在が望ましい場合がある。しかしながら、いくつかのシナリオでは、例えばユーザが蒸気供給システムの使用に注意を引かないことを望む場合には、可視性は蒸気の望ましい特性ではないかもしれない。可視の蒸気は、吸入の程度を表す容易に知覚可能な指標をもたらす。すなわち、強い吸入及び/又は長い吸入は、より多量の可視蒸気をもたらす。蒸気が見えにくい(又は可視性が低い)と、ユーザは吸入の程度を知覚しにくく、特に呼気(これは吸入されたエアロゾルの量に比例する)が常に見える製品(従来のタバコ製品を含む)に慣れているユーザにとっては、どれだけの量のエアロゾルを吸入したかを測ることが困難な可能性がある。
【0006】
以上を踏まえて、本発明者らは、蒸気供給システムのユーザに対して吸入の強さの改良された指標をもたらすアプローチを提供するという要望を認識した。
【0007】
本技術の実施形態は、ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムを提供することができる。このエアロゾル供給システムは、空気チャネル及びエアロゾル生成要素を少なくとも部分的に囲むハウジングと、ユーザによる吸入中に空気チャネル内の空気流の量又は圧力差を検出することによって瞬時吸入強度を検出するように構成された検出器と、ユーザに第1の指標を提供するように構成された第1のインジケータと、検出器及び第1のインジケータに接続された制御器とを備える。制御器は、吸入中にユーザに対して第1の指標を生成するよう第1のインジケータを制御するように構成されており、この指標は、検出器によって検出された瞬時吸入強度に基づいて吸入中に変動する。いくつかの例では、第1のインジケータが触覚指標を提供するように構成されており、この触覚指標は、例えば、検出器によって検出された瞬時吸入強度に基づいて強さが変動してもよい。
【0008】
例示の実施形態によれば、エアロゾルの生成に応答してユーザにフィードバックを与えることが可能なエアロゾル供給システムを提供することができる。このフィードバックは、例えばエアロゾルが不可視である場合に有益となりうる。
【0009】
特定の実施形態のこれらの態様及びさらなる態様は、添付された独立及び従属請求項に記載されている。当然のことながら、従属項の特徴は互いに組み合わせることができ、また、独立項の特徴は請求項に明示的に記載されるもの以外の組み合わせで組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されるアプローチは、以下に示される例のような特定の実施形態に限定されず、本明細書に提示される特徴の任意の適切な組み合わせを含み、意図している。例えば、以下に記載される様々な特徴のうち任意の1つ以上を含む蒸気供給システムが、本明細書に記載されるアプローチに従って提供されてもよい。
【0010】
以下、添付の図面を参照して、実施形態を例示のためにのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の特定の実施形態に係るエアロゾル供給システムの高度に概略化した断面図である。
図2図1のエアロゾル供給システムの特徴を示す概略図である。
図3】本開示の特定の実施形態に係る図1及び図2のエアロゾル供給システムを作動させる方法を概略的に表すフロー図である。
図4】本開示の実施形態に係る吸入強度の経時的変化及び対応するフィードバックを表すグラフである。
図5】本開示の実施形態に係る吸入中に経時的に強さが変動する触覚フィードバックを提供する手段として、パルス変調による経時的フィードバックを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の実施例及び実施形態の態様及び特徴が、本明細書において議論/説明される。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実施されてもよく、これらは、簡潔さのために詳細に議論/説明されない。従って、当然のことながら、本明細書で議論される装置及び方法の詳細に説明されていない態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の技法に従って実施してもよい。
【0013】
本開示は、エアロゾル供給システムとも呼ばれる蒸気供給システムに関する。より具体的には、本開示は、エアロゾル生成材料(又は蒸気前駆体物質)を燃焼させることなくエアロゾル生成材料から化合物を放出する非燃焼型エアロゾル供給システム、例えば、複数のエアロゾル生成材料の組み合わせを用いてエアロゾルを生成する電子タバコ、タバコ加熱製品、及びハイブリッドシステムに関する。以下の説明を通して、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがある。しかし、当然のことながら、この用語は蒸気供給システム及び電子蒸気供給システムと互換的に使用することができる。さらに、この技術分野において一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」との用語、並びに「気化する」、「揮発させる」及び「エアロゾル化する」などの関連用語もまた、相互に互換的に使用することができる。
【0014】
図1及び図2はそれぞれ、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的なエアロゾル供給システム1の概略的な断面図及び斜視図である。図2は、マウスピースカバー6がシステム/装置の残りの部分から分離された状態でエアロゾル供給システム1を示すに際して、部分的に分解されている。エアロゾル供給システム1は、2つの主要な構成要素、すなわち、制御ユニット2及び蒸気生成アセンブリ4を備えると考えることができる。蒸気生成アセンブリ4は、この例では、蒸気前駆体材料の源(ソース)を有する1つのカートリッジ10を備える(他の実施例は、2つ以上のカートリッジ/蒸気前駆体材料源を備えてもよい。)。このように、蒸気アセンブリ4は、蒸気を生成するためのカートリッジ10を備える。いくつかの実施形態では、参考文献[1]に記載されるように、異なる可視性を有する複数の蒸気を生成するために、2つ以上のカートリッジが存在してもよい。図1及び図2を再び参照すると、カートリッジ10は、適切な方法で(例えば、従来のバヨネット式取付け、ねじ式又は摩擦嵌め式取付けを用いて)制御ユニット2に着脱自在に装着される。一般に中空であるマウスピースカバー6もまた、制御ユニット2に着脱自在に結合されており、これは、任意の従来の結合/取付け技術、例えばスナップフィット取付けによって達成することができる。図1の断面図において、マウスピースカバー6は、通常の使用のために制御ユニット2に結合され、カートリッジ10を覆うように示されている。図2の斜視図では、例えばカートリッジ10にアクセスして交換できるようにするために、マウスピースカバー6が制御ユニット2から分離されて示されている。マウスピースカバー6は、ユーザが使用中に電子タバコ1によって生成された蒸気を吸入することができる蒸気出口を画定する開口8を有するテーパ状の端部を備えている。
【0015】
電子タバコ用の液体蒸気前駆体材料は、典型的には、液体の大部分を構成するベース液体調合物と、ベース液体に所望の香味/におい/ニコチン送達特性を提供するための添加物とを含む。異なるベース液体は、異なる可視度を有する蒸気に関連付けられる。例えば、典型的なベース液体は、プロピレングリコール(PG)と植物性グリセロール(VG)の混合物を含んでいてもよく、相対的に高い割合のVGを有するベース液体は、相対的に低い割合のVGを有する他の対応するベース液体よりも、典型的により可視性の高い(透明度が低い)蒸気を生成する。具体的な例示のため、ここではカートリッジに使用されるベース液体が80%のPGと20%のVGを含むものと想定する。これは比較的目に見えない(可視性がより低い)蒸気の生成に関連付けられる。(参考文献[1]に記載されるように)他のカートリッジが存在する場合、他のカートリッジは、80%のVG及び20%のPGを含み、比較的可視性の高い蒸気を生成するベース液体調合物を含有してもよい。
【0016】
したがって、蒸気が見えない理由の1つは、蒸気そのもの(すなわちベース液体)の性質によるものである。しかしながら、本開示は、これに限定されるものではなく、ユーザが蒸気を視覚的に感知できない任意の適切なシナリオ(この蒸気は、他の状況では、又は他の個人にとっては可視かもしれない)においてフィードバックを提供するために使用することができる。
【0017】
これは、ユーザが暗い環境にいること、ユーザが視覚に障害を受けていること、又は使用時にユーザの目と呼気との間に障害物があることが理由であってもよい。例えば、ユーザは、蒸気を見ることができないようにするバーチャルリアリティディスプレイ装置のようなヘッドマウント装置を装着することができる。いくつかの例において、ユーザは、例えば参考文献[1]に記載されるようなマルチカートリッジエアロゾル供給システムの使用によって、蒸気の可視性を制御することができ、従って、蒸気はユーザの制御に基づいて可視性が比較的低くてもよい。
【0018】
カートリッジ10は、この例ではプラスチック材料で形成されたカートリッジハウジング17を備える。ハウジング17は、カートリッジの他の構成要素を支持し、制御ユニット2との機械的インタフェースも提供する。カートリッジ10を制御ユニットに取り付ける方法は、本明細書に記載される原理にとって重要ではないが、具体的な例示のため、ここでは、ねじ式取付具(図1には示されていない)を備えるものと想定する。
【0019】
カートリッジハウジング17は、縦軸の周りに概ね円対称であり、制御ユニット2に結合するカートリッジ10の端部からの距離が増加するにつれて断面が減少するようにテーパ形状を有する。この例では、カートリッジは、約4cmの長さと、この長さにわたって約1cmから0.7cmまでほぼ直線的に漸減する直径を有する。しかし、当然のことながら、この具体的な幾何学形状、より一般的には全体形状は、異なる実施例では異なっていてもよい。
【0020】
カートリッジハウジング17内には、上述した第1のソース液体12の形態の蒸気前駆体材料を含む液体リザーバ11がある。この例における液体リザーバ11は、カートリッジ10の内部容積の大部分を占める。液体リザーバ11は、先細りの円形断面を有する点でハウジング17の内部と概ね同形であるが、リザーバ11の外壁とハウジング17の内壁との間に空間を作るために、一方の側に沿って長手方向に延びる平坦面を有している。これは、カートリッジを通る空気経路を画定し、使用中にカートリッジ内で生成された蒸気は、この空気経路を通してカートリッジの端部内の開口19に向かって引かれ、マウスピースカバー6内のチャンバ/領域5内に入る。カートリッジを通るこの空気経路は、使用中に蒸気供給システム1を通る空気流を示す一連の矢印によって概略的に表されている。リザーバ11は、例えば成形プラスチック材料を含む従来の技術に従って形成してもよい。
【0021】
リザーバ11のカートリッジ出口19と反対側の端部は、多孔質セラミックディスク13によって画定され、リザーバ11内のソース液体12がセラミックディスク13に浸透しうるようになっている。
【0022】
リザーバ11の外側においてセラミックディスク13に隣接するのは、ウィック14及びヒータ15を備える気化器(アトマイザ)である。ウィック及びヒータは、カートリッジ10用の気化チャンバ16を画定するカートリッジハウジング17内の空間に配置される。セラミックディスク13からしみ出たソース液体は、表面張力/毛管作用によってウィック14に浸透することができる。ウィック14の一部は、セラミックディスク13に接触してもよい。この例におけるヒータ15は、ウィック14の周りにコイル状に巻かれた電気抵抗性ワイヤ14を備える。電力をヒータ15に供給して、ウィック14によってヒータ15の近傍に引き出されたある量のソース液体(蒸気前駆体材料)を気化することができる。この例では、ヒータ15はニッケルクロム合金(Cr20Ni80)ワイヤを備え、ウィック14はガラス繊維束を含むが、当然のことながら、具体的な気化器の構成は本明細書に記載される原理にとって重要ではない。実際、他の気化器構成は、表面に抵抗性金属トラックを有するセラミック素子、又は平らな構造に配置された焼結繊維の集合体を含んでもよい。さらに、セラミックディスク13を設けなくてもよく、代わりに、リザーバを画定するハウジングに気化器を一体化してもよく、例えば、ウィックはリザーバ11の表面の穴を通って突出してもよい。
【0023】
気化器によってソース液体が気化される速度は、部分的には、ヒータ15に供給される電力の量に依存する。したがって、カートリッジ10内のソース液体12から蒸気を選択的に生成するように電力をヒータに印加することができ、さらに、少なくともいくつかの例示の実装形態では、蒸気生成の速度を、例えばパルス幅及び/又は周波数変調技術によってヒータ15に供給される電力を調整することにより制御することができる。
【0024】
制御ユニット2は、外側ハウジング30と、電子タバコに動作電力を供給するためのバッテリ32と、電子タバコの動作を制御及び監視するための制御回路36と、ユーザ入力ボタン34とを備える。バッテリ32は再充電可能であり、例えば、電子タバコ及び比較的短い期間にわたって比較的高い電流を供給することを必要とする他の用途において通常使用される種類の従来のタイプのものであってよい。同様に、ユーザ入力ボタン34は、従来の入力装置、例えば機械的ボタンスイッチ又は容量性(タッチ)センサであってもよい。
【0025】
制御ユニット2は、フィードバックユニット38及びセンサ40を更に備えている。センサ40(検出器とも呼ばれる。)は、空気経路内に配置されてもよく、空気経路を通る空気及び/又は蒸気の流量を計測してもよい。空気経路を通る空気又は蒸気の流量は、装置1に対する(すなわち、開口8における)ユーザのパフ又は吸入の強度に比例する。従って、センサ40は、吸入の瞬時強度を計測/検出できるものであってもよい。
【0026】
図1の例では、センサ40は、空気経路内においてマウスピースの位置に示されているが、空気経路内において入口7に隣接する位置など、空気経路内の他の位置に配置されてもよい。
【0027】
フィードバックユニット38は、触覚フィードバック信号又は触覚指標を生成するための触覚フィードバック機構38a(又は触覚インジケータ)、光学(例えば可視)フィードバック信号又は光学(例えば可視)指標を生成するための可視フィードバック機構38b(又は可視インジケータ)、及び音声フィードバック信号又は音声指標を生成するための音声フィードバック機構38cのうちの1つ以上を備える。しかしながら、本開示の原理に従って、他のフィードバック機構を追加的又は代替的に使用することができることを理解されたい。
【0028】
触覚フィードバック機構38aは、偏心カムに取り付けられたモータを備えてもよい。触覚フィードバック機構38aは、直動カムを備えてもよい。
【0029】
いくつかの実施態様において、可視インジケータ38bは、動作中にユーザが視認できる1つ以上の発光ダイオードを備えてもよい。例えば、発光ダイオードは、制御ユニット2内において外側ハウジング30の透明又は半透明の部分の背後に配置されてもよい。可視インジケータが2つ以上ある場合は、それぞれ異なる色の光を発してもよい。例えば、赤色、緑色及び黄色のLEDを設けてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、音声フィードバック機構38cは、音声フィードバック信号又は音声指標、例えば人間が知覚可能な音を生成するためのスピーカ38cを備える。
【0031】
いくつかの実施形態では、フィードバック機構38は、少なくとも触覚フィードバック機構38aを備える。触覚フィードバック機構38aは、使用中にユーザがエアロゾル供給システム1を保持している可能性が高いので、ユーザにフィードバックを提供するための特に有利な機構となりうる。結果として、触覚フィードバック信号は、使用中の任意の瞬間にユーザによって(例えば、ユーザの手を介して)知覚可能である。これは可視インジケータ38bには必ずしも当てはまらない。可視インジケータ38bは、可視インジケータ38bから出力される可視信号を見ることができるためにシステム1を特定の方向に保持することをユーザに要求するかもしれないし、これに加えて又はこれに代えて、可視信号が環境光のレベルによって弱まる環境に可視インジケータ38bがあるかもしれない。同様に、例えばユーザが聴覚障害を有する場合や、ユーザがシステム1を特にノイズの多い環境で使用している場合には、音声インジケータ38cも使用中の任意の瞬間にユーザによって知覚可能であるとは必ずしもいえない。
【0032】
いくつかの実施形態において、触覚フィードバック機構38aは、ユーザ入力ボタン34を介してユーザフィードバックを提供することができる。すなわち、触覚フィードバック機構38aは、ユーザ入力ボタン34内に組み込まれているか、又はユーザ入力ボタン34に機械的に結合されて、動作中にユーザがユーザ入力ボタン34に接触している指を介して触覚フィードバックを検出するようになっている。代替的に、触覚フィードバック機構38aは、制御ユニット2の本体/外部ハウジング30の一部に配置されてもよく、ユーザは、使用中に制御ユニットの本体/外部ハウジング30を保持することによって、手を介して触覚フィードバックを検出することができる。
【0033】
外側ハウジング30は、例えば、プラスチック材料又は金属材料から形成されてもよく、この例では、その厚さ(図1の紙面に垂直な厚さ)の約1.5~2倍の幅(図1の紙面内における幅)を有する略ね楕円形/長円形の断面を有する。例えば、電子タバコは、約3cmの幅及び約2cmの厚さを有してもよい。上述したマウスピースカバー6は、制御ユニット2の外形と概ね整合する外形を有し、両者は電子タバコ1全体に対して比較的均一で滑らかな外観を与えるように接する。蒸気出口8を画定するマウスピースカバー6の端部は、制御ユニット2に結合する端部における寸法の約3分の1程度まで先細りしている(例えば、幅1cm及び厚さ0.6cm程度まで)。この例における制御ユニット2及びマウスピースカバー6は、共に約5cmの長さを有しており、組み立てられた電子タバコが約10cmの長さを有するようになっている。しかし、既に述べたように、本開示の実施形態を実施する電子タバコの全体的な形状及びスケールが本明細書に記載される原理にとって重要ではないことは当然である。
【0034】
いくつかの実施形態では、システムは、使用時に、ユーザの目と、呼気が吐き出されるユーザの顔の前の領域との間に位置する遮蔽部(図1に示さず)を備える。これにより、遮蔽部は、呼気の性質にかかわらず、ユーザが呼気を視覚的に認識することを妨げ(又はユーザが視覚的に認識する能力を低下させ)てもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽部はヘッドマウントディスプレイを備える。ヘッドマウントディスプレイは、1つ以上のディスプレイを含んでもよく、そこに仮想又は拡張現実ディスプレイが提供されてもよい。
【0035】
図2は、エアロゾル供給システム1の様々な特徴間の接続を概略的に示す。
【0036】
センサ40、入力ボタン34、バッテリ32及びフィードバックユニット38の各々は、制御回路36に接続される。ヒータ15が制御ユニット2と一体である場合、電力は制御回路36から直接ヒータに供給される。ヒータ15がカートリッジ10と一体である場合、電力は、制御回路36から、カートリッジ10と制御ユニット2との間のインタフェースにわたって(例えば、ばね/ポゴピンコネクタによって)確立される接点を介して、又はカートリッジ10が制御ユニット2に接続されるときに係合する任意の他の構成の電気接点を介して、ヒータに供給される。
【0037】
制御回路36は、本明細書に記載される開示の実施形態に係る機能を提供するとともに、電子タバコのような装置を制御するために確立された技術に従って、電子タバコの従来の動作機能を提供するように適切に構成され/プログラムされる。したがって、制御回路36は、例えばバッテリ32からカートリッジ10内のヒータ15への電力供給を制御する機能ブロック、ユーザ入力ボタン34を用いたユーザ入力に応答して装置の動作態様、例えば構成設定、を制御する機能ブロック、センサ40からの入力に応答してフィードバックユニット38を制御する機能ブロック、及び電子タバコの通常動作及び本明細書に記載される原理に従った機能に関連する他の機能ブロックといった、多数の異なる機能ブロックを論理的に備えるものと考えることができる。ユーザ入力ボタン34は、ボタンに加えられる圧力を示す信号を生成してもよく、ヒータ15に供給される電力が、ユーザ入力ボタン34に加えられる圧力に従って変動してもよい。
【0038】
制御回路36は、いくつかの実施形態では、検出された繰り返しのボタン押下に応答して、ヒータ15に供給される電力を短い時間内(例えば、典型的な1回の吸入に相当する時間内)に増加させてもよい。
【0039】
制御回路36は、いくつかの実施形態において、可視インジケータ38bを制御して、エアロゾル供給システムが待機モードにあるという可視指標を生成してもよく、このモードでは、エアロゾル供給システムは、検出された吸入及び/又はユーザ相互作用(ユーザ入力ボタン34への圧力の印加など)に応答して、吸入のための蒸気を生成するように構成される。
【0040】
当然のことながら、これらの論理ブロックの機能は、例えば、単一の適切にプログラムされた汎用コンピュータ、又は適切に構成された特定用途向け集積回路を使用して、様々な異なる方法で提供されてもよい。理解されるように、電子タバコは、一般に、その動作機能に関連する種々の他の要素、例えばUSBポートのようなバッテリ充電用のポートを含み、これらは従来のものであってもよく、簡潔さのために図示していないか又は詳細に議論していない。
【0041】
制御回路36は、ユーザによる吸入のためにカートリッジ10から蒸気を生成するようバッテリ32からカートリッジ10内のヒータ15への電力の供給を制御するように構成されている。
【0042】
動作中、ユーザが開口8を介して吸入すると、空気は入口7を通って装置に引き込まれ、ヒータ15の近傍で生成された蒸気と混合する。次いで、混合物は空気経路に沿って開口8に流れ、そこで混合物が吸入される。センサ40は、いつユーザが開口8を介して装置を吸入しているかを検出することができる。さらに、センサ40は瞬時吸入強度を検出することができる。
【0043】
センサ40は、ユーザの吸入の強度を示す信号(本明細書では「吸入強度信号」ともいう。)を出力し、この信号は制御回路36に受信される。制御回路36は、吸入強度信号に基づいて、フィードバックがユーザに提供されるべきかどうかを判定する。フィードバックが提供されるべきである場合、フィードバックの特性(これには種類及び/又は動作パラメータが含まれてもよい。)は、検出された吸入強度に依存し、これは吸入強度信号によって示される。吸入中、吸入強度の計測が継続し、フィードバックは計測吸入強度に基づいて調整される。このように、フィードバックは吸入の過程中に変動する。
【0044】
いくつかの実装形態では、制御回路36は、瞬時吸入強度(又はそれを示す信号)を所定の閾値と比較し、フィードバックが提供されるべきかどうかをこの所定の閾値との比較に基づいて判定するように構成されていてもよい。制御回路36は、吸入が発生したことの検出に応答して、又はある大きさを超える瞬時吸入強度に応答して、フィードバックを提供するように構成されていてもよい。いずれの場合も、所定の閾値は、センサ40によって感知される環境条件に対応する値よりも大きい。前者の場合には、所定の閾値は、センサ40によって感知される環境条件をわずかに上回ってもよく、一方、後者の場合には、所定の閾値は、閾値によって感知される環境条件よりもかなり大きくてもよい。いずれの場合も、所定の閾値は、センサ40によって計測された環境条件の以前に計測された値(例えば、環境条件の平均計測値)に基づいて設定してもよく、あるいは所定の閾値は、前もって設定された固定値であってもよい。
【0045】
例えば、いくつかの実施形態では、吸入強度が第1の所定の閾値を超えるときに、触覚フィードバックがモータ38aによって生成され、触覚フィードバックの強さは吸入強度に基づく。フィードバックのさらなる例は後述する。
【0046】
従って、エアロゾル供給システム1を保持しているユーザは、エアロゾル供給システムが正しく動作していることをまず知覚し、そして、その吸入の強度の指標を知覚することができる。
【0047】
そのようなフィードバックをユーザに提供することは、どれだけの量のエアロゾル(そして、いくつかの実装形態では、どれだけの量の活性物質、例えばニコチン)を吸入したかをユーザが理解することを助けることができる。呼気の大部分がユーザにとって可視である及び/又は観察可能であるシナリオでは、ユーザは、どれだけの量のエアロゾル(そして活性物質)を吸入したかを、吐き出した呼気の量に基づいて、ある程度、測ることができる。これは、次のパフのためにどのように吸入すべきか(場合によっては吸入すべきか否か)をユーザに知らせるのに役立つ。しかし、目に見える呼気が存在しない場合、ユーザは、どれだけの量のエアロゾルを実際に吸入しているかについて不安又は不確かな気持ちになるかもしれない。これは、(例えば、明確なセッション終了を有する従来の紙巻きタバコとは対照的に)自然なセッション終了を有さない装置、例えば、場合によっては100回を超えるパフを提供しうるエアロゾル供給システム、にとっては特に重要となりうる。従って、ユーザに追加のフィードバックを提供することは、特に可視の呼気が存在しない場合に、ユーザがエアロゾル(及び任意で活性物質)の摂取を自己規制することを助けることができる。すなわち、呼気が見えない及び/又は視界から遮られている例では、このようなフィードバックの提供は、特に、常に可視である呼気に慣れているユーザにとって、ユーザが吸入した量についてユーザに通知し及び/又はユーザを安心させるように働く。
【0048】
いくつかの実施形態では、受け取ったフィードバックに基づいて、ユーザが、そのパフの挙動及び/又は1回の吸入中に生成されるエアロゾルの量を変更できてもよい。例えば、ユーザは、ユーザ入力ボタン34に加わる圧力を低減又は解除して、フィードバックに応答して吸入中にエアロゾル生成を低減又は停止させることができでもよいし、あるいは、ユーザは多少強く吸入してもよい。さらなる例として、いくつかの実施形態では、加熱要素への電力が、吸入中のユーザ入力に応答して増加させられてもよい。したがって、例えば、ユーザは、例えばユーザ入力ボタン34を繰り返し押すことによって又はユーザ入力ボタン34に加えられる圧力を増加させることによって加熱素子への電力を増加させることにより、フィードバックに応答して1回の吸入中にエアロゾル生成速度を変化させることができてもよい。
【0049】
当然のことながら、ユーザが蒸気を見ることができない又は蒸気がユーザにほとんど見えない具体的な理由及び状況は、本明細書に記載される原理にとって重要ではない。
【0050】
図3は、本開示の一実施形態に係る、図1及び図2に示す蒸気供給システム1のいくつかの動作ステップを概略的に示すフローチャートである。制御回路36は、従来のプログラミング/処理技術に従ってこの処理を実施するように構成されている。
【0051】
ステップS1において、制御回路36は、生成される蒸気の可視性の程度又は大きさを判定する。このステップは、生成される蒸気の可視性をユーザが制御できる場合、例えば、参考文献[1]に記載される例に適用してもよい。この例では、異なるソース液体を含む異なるカートリッジを選択的にエアロゾル化することができる。例えば、制御回路36は、複数のカートリッジのどの1つ以上が蒸気を生成するために選択されるかを判定し、従って、生成される蒸気の予想される可視性を判定することができる。
【0052】
ステップS2において、制御回路36は、ステップS1において判定された可視性の程度又は大きさが、(例えば、フィードバックユニット38を介して)追加のフィードバックを提供することを正当化するかどうかを判定する。説明した例では、このステップは、ステップS1で決定された生成される蒸気の可視性の程度又は大きさが所定の閾値を超えるかどうかの比較を含む。閾値を超える場合、処理は終了するか、ステップS1に戻る。閾値を超えない場合(可視性が低い場合)は、処理はステップS3に続く。いくつかの例では、制御回路36は、カートリッジ10によって提供される指標に基づいて追加のフィードバックを提供するかどうかを判定してもよい。例えば、カートリッジ10は、フィードバックが提供されるべきかどうかを示す、及び/又は生成される蒸気の可視性の予想される程度又は大きさを示す、機械可読チップ又は無線周波数識別(RFID)タグを備えていてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、追加又は代替のステップが、ユーザ動作モードを評価することを含んでもよい。例えば、ユーザは、エアロゾル供給システム1の設定を、吸入強度フィードバックが必要な動作モードに対応するように構成してもよい。このステプにおいて、吸入強度フィードバックが必要であると判定された場合、処理はステップS3に進み、そうでない場合、処理は停止するか、前のステップに戻る。
【0054】
ステップS3において、制御回路36は、センサ40によって生成された吸入強度信号に基づいて、吸入が検出されたかどうかを判定する。例えば、制御回路36は、計測された空気流が所定の吸入開始閾値を超えるかどうかを判定してもよい。所定の吸入開始閾値は、センサ計測精度、エアロゾル供給システムの移動、環境圧力の変化、又は他の何らかの理由の結果として使用中に生じる可能性がある「偽陽性」指標を回避するように構成されてもよい。
【0055】
ステップS3において吸入が検出されない場合、処理は終了してもよいし、あるいは(図示のように)ステップS3又はステップS1で継続してもよい。
【0056】
ステップS3において吸入が検出された場合、処理はステップS4に進む。
【0057】
ステップS4において、制御回路36は、フィードバックユニット38を制御して、吸入フィードバック(例えば、触覚フィードバック信号、光学フィードバック信号、又は音声フィードバック信号の少なくとも1つ)を生成する。ここで、吸入フィードバックは、少なくとも吸入強度信号に基づいている。
【0058】
ステップS5において、制御回路36は、現在の吸入が終了したかどうかを判定する。例えば、制御回路36は、吸入強度信号によって示される計測吸入強度が、所定の吸入終了強度閾値を下回る場合、又は所定の吸入終了時間よりも長い間、所定の吸入終了強度閾値を下回る場合に、現在の吸入が終了したと判定してもよい。
【0059】
ステップS5において、現在の吸入が終了したと判定された場合、処理はステップS6に進む。現在の吸入が終了していないと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0060】
ステップS6において、制御回路36は、フィードバックユニット38を制御して、「吸入の終了」フィードバックを生成することができる。これは、例えば、以下に説明するように、フィードバック強さの安定した減衰、又は吸入の終了が検出されたことをユーザに示す特定のフィードバックを含んでもよい。また、検出された吸入の終了に応答して、フィードバックが突然終了する場合よりも快適なフィードバックを提供してもよい。特に、これは、例えば、エアロゾル供給システムが吸入中にユーザの口から取り除かれる場合のように、吸入の終わりが突然である場合に好ましいものとなりうる。
【0061】
ステップS6の後、制御はステップS3に戻る。
【0062】
当然のことながら、上述したステップの1つ以上は、修正、並び替え、又は省略することができる。例えば、蒸気の可視性の程度が所与のカートリッジ10又はソース液体12に対して固定されている場合は、ステップS1及びS2を省略してもよい。いくつかの例では、ステップS6を省略してもよい。
【0063】
さらに、いくつかの実装形態では、(例えば、ステップS3で)制御回路36が吸入の存在を判定すると、制御回路36は、ヒータ15を作動させる(すなわち、ヒータに電力を供給して、ヒータの温度を蒸気を生成するのに十分なレベルまで上昇させる)ように構成されてもよい。同様に、(例えば、ステップS5で)制御回路36が吸入が終了したと判定すると、制御回路36は、ヒータ15の動作を停止する(すなわち、蒸気を生成するためのヒータへの電力供給を停止する)ように構成されていてもよい。これは、例えば、装置がユーザ入力ボタン34を備えていない場合に有益な可能性がある。
【0064】
フィードバックの例
いくつかの実施形態では、フィードバックユニット38は、触覚フィードバック源、例えば偏心カム付きモータ、を備えており、この触覚フィードバック源は、触覚フィードバック(触覚フィードバック信号)を様々なレベルの強さで提供することができ、又は計測吸入強度に基いて何らかの態様で変動する。
【0065】
例えば、触覚フィードバックは、パルス変調されてもよく、ここで、オン比(すなわち、周期の長さに対する周期内のオン時間の比)は、計測吸入強度に対するマッピング(対応付け)に基づいて変動させられる。例えば、計測吸入強度が第1のレベルから第2のレベルに増加することに応答して、オン比を50%(すなわち、触覚フィードバックが第1の期間にわたって発生し、その後、第1の期間と等しい第2の期間にわたって停止する。)から100%(このとき触覚フィードバックは常にオンである。)まで増加させてもよい。このような変動の例は図5に示されており、後述する。
【0066】
追加的に又は代替的に、触覚フィードバックの強さは、モータの速度(したがって、結果として生じる振動の周波数)を変動させることによって、変動させることができる。触覚フィードバックの強さは、使用される特定のフィードバック機構に応じてそうするのに適する場合には、触覚フィードバックの振動の振幅を変化させることによって、追加的に又は代替的に変動させてもよい。
【0067】
図4は、吸入強度に基づく例示のフィードバックを表す。
【0068】
図4の上部は、センサ40によって計測される吸入強度を経時的に示す。水平線404及び406は、それぞれ所定の吸入終了閾値及び所定の吸入開始閾値を示す。吸入終了閾値404は吸入開始閾値406よりも低く示されているが、他の実装形態では、これを逆にしてもよいし、これらの閾値を同じにしてもよい。
【0069】
時刻t1において、第1の吸入410aが開始し、時刻t2において計測吸入強度が所定の吸入開始閾値406を超える。吸入強度は上昇し続け、その後、時刻t3で所定の吸入終了閾値404を下回るまで低下する。
【0070】
同様に、第2の吸入410bが時刻t4に開始する。計測吸入強度は、時刻t5で最初に所定の吸入開始閾値406を超え、その後、時刻t6で所定の吸入終了閾値404を下回る。
【0071】
図4の第2の部分は、2つの吸入410a、410bのそれぞれについて同じ期間にわたって生成される、触覚フィードバック機構38aによって供給される触覚フィードバック430の強さを示す。
【0072】
時刻t2までは、触覚フィードバックは生成されない。時刻t2において、制御回路36は、吸入が開始したと判定する(例えば、図3に示す処理のステップS3においてYES)。時刻t2から時刻t3まで、吸入フィードバック430aは、計測吸入強度に基づいて強さが幅広く増減する触覚フィードバックを構成する。いくつかの実施形態では、吸入フィードバックの強さは、計測吸入強度に(例えば、所定の一対一の対応関係に従って)直接的に関連付けられる。対応は線形であってもよく、例えば、一般に、吸入強度の倍増がフィードバック強さの倍増をもたらしてもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されず、非線形マッピングを使用してもよい。
【0073】
さらに、いくつかの実施形態では、図4の例のように、時間領域フィルタをフィードバックに適用してもよく、ここで、フィードバック強さの減少率は、吸入強度の減少率と比べて低減される。その結果、図4の例では、吸入強度が所定の吸入終了閾値404を下回るときに、フィードバック強さは非ゼロである。
【0074】
従って、図4の例では、吸入フィードバック440a、440bの終わりは、フィードバック強さのゼロへ向かう(時間的に)線形の下降として示される。
【0075】
いくつかの実施形態(図示せず)では、フィードバック強さ(例えば、触覚指標のフィードバック強さ)は、瞬時吸入強度が最大フィードバック強さ閾値以上である間は一定である。フィードバック強さは、瞬時吸入強度が最大フィードバック強さ閾値未満である場合にのみ、検出器によって検出された瞬時吸入強度に基づいて変動する。
【0076】
図4は、可視フィードバック(いくつかの実施形態では計測吸入強度に基づくLEDの点灯の形態であってもよい。)を提供する可視指標の例も示しており、これは、上述の触覚フィードバックと組み合わせてもよく、又は代替として使用してもよい。
【0077】
エアロゾル供給システムが待機モードにあるときに可視指標が生成されるいくつかの実施形態では、計測吸入強度に基づいて可視フィードバックを提供する可視指標は、待機モードを示すために使用されるものとは異なる。例えば、ある実施形態では、黄色LEDが待機モードを示すために連続的に点灯される一方で、計測吸入強度に基づいて可視フィードバックを提供する可視指標は、黄色LED単独での(すなわち、更なるフィードバック指標を伴わない)点灯を含まない。
【0078】
図4の例では、フィードバックユニット38は、可視吸入フィードバック450と可視吸入終了フィードバック460とを提供するために期間420、422、424をそれぞれ有する赤色、黄色、緑色1つずつの3つのLEDを備えるものと想定する。図4の例では、吸入強度とフィードバックとの間の対応関係に従って、吸入フィードバック450a、450bとして、吸入強度が増加するにつれて増加する数のLEDが(赤色、黄色、緑色の順に)点灯される。
【0079】
したがって、時刻t2及び時刻t4において、最初は赤色LEDのみが点灯される。続いて、黄色、次いで緑色のLEDが点灯される。吸入強度が減少するにつれて、LEDはそれに応じて逆の順序で消灯する。
【0080】
「吸入終了」可視フィードバック460a、460bとして、図4の例では、吸入の終了が検出されたことをユーザに示すために、時刻t3及び時刻t6から各LEDが順次に、一度に1つずつ点灯される。
【0081】
図4の例では、検出された吸入強度が閾値を下回った後に吸入終了フィードバックが生成される。図4の例では、吸入終了フィードバックは触覚フィードバック及び/又は可視フィードバックであるが、いくつかの例では、代わりに他の形態のフィードバックが使用される。図4の例では、検出吸入強度が閾値を下回った直後に、吸入終了フィードバックが生成される。しかしながら、本開示はそれに限定されるものではなく、いくつかの例では、検出吸入強度が閾値を下回ることと吸入終了フィードバックの開始との間に遅延があってもよい。
【0082】
吸入終了フィードバックの強度は、(図4の吸入終了触覚フィードバック440a、440bの例のように)経時的に変化してもよいし、一定であってもよい。
【0083】
吸入終了フィードバックの強度は、吸入中に検出された吸入強度、例えば、ピーク検出吸入強度、平均検出吸入強度、及び/又は総吸入強度(例えば、吸入の持続時間にわたる全体吸入強度の尺度)に基づいてもよい。
【0084】
図5は、吸入中に経時的に変動する触覚フィードバックを提供する手段としてのパルス変調の使用を示す。図5の例では、ステップS4がΔt秒毎に繰り返され、後続のΔt秒間にわたるオンオフパターンが決定される。各Δt秒内には、モータを作動させるオン期間502がある。Δt秒の残りは、モータを作動させないオフ期間である。最初は、時間t2の後に(時刻t2.0において)、吸入強度は低く、従ってオン期間502aはΔtに対して短い。吸入強度が増加するにつれて、オン期間は増加し、その結果、(例えば)オン期間502cはほぼ全期間Δtに及ぶ。その後,吸入強度が減少するにつれてオン期間は減少する。
【0085】
いくつかの実施形態において、フィードバックユニット38はスピーカ38cを備えており、吸入フィードバック及び吸入終了フィードバックの一方又は両方が可聴音を含む。吸入フィードバックの周波数及び/又は振幅(音量)は、計測吸入強度に従って変動してもよい。例えば、振幅は、振幅と計測吸入強度との間のマッピング(対応付け)に従って増加してもよい。
【0086】
このようにして、本明細書に記載された例によれば、ユーザは、蒸気が見えない可能性があるにもかかわらず、吸入強度、及び吸入過程中に吸入強度がどのように変化するかを迅速かつ容易に判断することができる。
【0087】
特定の例をいくつか説明してきたが、当然のことながら、他の実施例に従って多くの改変を加えることができる。
【0088】
例えば、図1及び図2に示される実装では、カートリッジが自ら気化器を備える。しかしながら、他の例では、気化器は、例えば、蒸気供給システムの制御ユニット部内に設けられてもよい。
【0089】
当然のことながら、基礎となる蒸気生成技術に関して蒸気が生成される特定の方法は、ユーザ選択可能な可視度を蒸気に与えるという基本原理にとって重要ではない。
【0090】
さらに、上述の実施形態が、カートリッジ10を覆い、制御ユニット2に結合するカバー6を開示している場合、いくつかの実装例において、カバー6はカートリッジ10の一部を形成してもよいものと理解されたい。すなわち、カバー6、カートリッジ10、及びマウスピース/開口8を一体的に形成してもよい。
【0091】
したがって当然のことながら、上述の実施形態はソース液体を加熱するための電気ヒータ型気化器に主に焦点を当てたが、他の技術に基づく気化器、例えば圧電振動子型の気化器と、他の蒸気前駆体材料、例えばゲル又は固体材料、例えば植物由来材料やタバコ派生材料に基づく装置に従って同じ原理を採用してもよい。
【0092】
より一般的には、蒸気前駆体材料(エアロゾル生成材料と呼ばれることもある)は、加熱、照射、又は任意の他の方法でエネルギー付与されたときなどにエアロゾルを生成することの可能な材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体又はゲルの形態であってもよく、これは活性物質及び/又は香料を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、「非晶質固体」(代替的に「モノリシック固体」(すなわち非繊維体)と呼ばれることがある)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持しうる固体材料である。いくつかの実施態様において、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%又は70重量%の非晶質固体から約90重量%、95重量%又は100重量%の非晶質固体を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質(例えば、ニコチン)及び/又は香料、1つ以上のエアロゾル形成体材料(例えば、グリセロール)、及び任意で1つ以上の他の機能性材料を含んでもよい。本開示の原理は、任意の適切なエアロゾル生成材料に適用することができる。
【0093】
このように、ユーザによる吸入のためにエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給システムを説明してきた。このシステムは、少なくとも部分的に空気チャネル及びエアロゾル生成要素を囲むハウジングと、ユーザによる吸入中に空気チャネル内の空気流の量又は圧力差を検出することにより瞬時吸入強度を検出するように構成された検出器と、ユーザに触覚指標を提供するように構成された第1のインジケータと、検出器及びインジケータに接続された制御器とを備え、制御器は、吸入中にユーザに対する触覚指標を生成するよう第1のインジケータを制御するように構成され、触覚指標は、検出器によって検出された瞬時吸入強度に基づいて吸入中に変動する。
【0094】
様々な問題に対処し技術を進歩させるために、本開示は特許請求された発明を実施することができる様々な実施形態を例示する。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルのみのものであり、網羅的及び/又は排他的ではない。これらは、特許請求された発明を理解し教示することを助けるためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の面は、請求項によって規定される開示の限定又は請求項の均等物の限定とは解されず、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用してもよいし、改変を施してもよいことを理解されたい。様々な実施形態が、本明細書に具体的に記載されたもの以外の開示された要素、部材、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組み合わせを適切に備え、それらからなり、又はそれらから本質的になってもよく、従って当然のことながら、従属請求項の特徴は、請求項に明示的に記載されたもの以外の組み合わせで独立請求項の特徴と組み合わせてもよい。本開示は、現在特許を請求していないが将来特許を請求するかもしれない他の発明を含みうる。
【0095】
参考文献
[1] 国際公開第2018/146455号 蒸気供給システム
図1
図2
図3
図4
図5