(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】エアロゾル送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20231219BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20231219BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/30
(21)【出願番号】P 2022531393
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 GB2020053003
(87)【国際公開番号】W WO2021105674
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クエンツェル, ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カビラット, ジュニア
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/186669(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/175320(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/186149(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/115464(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/215213(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/141577(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/146453(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラ及び電源を備えるエアロゾル送達デバイスであって、
前記エアロゾル送達デバイスが、エアロゾル化可能材料のための物品を受容するように構成され、前記コントローラが、前記エアロゾル化可能材料からの第1のエアロゾル及び1つ又は複数の後続エアロゾルの生成を促進することと、前記エアロゾル送達デバイスの使用特性を決定することと、前記決定された使用特性に基づいて、前記後続エアロゾルが前記第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含むように、前記後続エアロゾルを生成することとを行うように構成される、エアロゾル送達デバイス。
【請求項2】
前記使用特性が、
第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔、
定められた期間を通したエアロゾル生成の頻度、
第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間でのデバイス電力設定における変化、及び
第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間での前記エアロゾル送達デバイスを通る空気流プロファイルにおける変化
のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項3】
前記事前構成された変化が、事前構成された減少である、請求項1又は2に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項4】
前記事前構成された変化が、事前構成された増加である、請求項1又は2に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項5】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔に比例する、請求項3に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項6】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の前記時間間隔に正比例する、請求項5に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項7】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の前記時間間隔に反比例する、請求項5に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項8】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、定められた期間を通したエアロゾル生成の頻度に比例する、請求項3に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項9】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、定められた期間を通したエアロゾル生成の前記頻度に正比例する、請求項8に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項10】
1つ又は複数のエアロゾル特性における前記事前構成された減少が、定められた期間を通したエアロゾル生成の前記頻度に反比例する、請求項8に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項11】
前記コントローラが、前記エアロゾル送達デバイスに受容されているエアロゾル化可能材料の存在、量、及び/又はタイプを検出するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項12】
前記第1のエアロゾルが、
前のエアロゾルの生成以降の第1の時間間隔、
前記エアロゾル送達デバイスへのエアロゾル化可能材料の挿入後の最初の吸入事象、及び
エアロゾル生成に関する1つ又は複数のパラメータの修正後の最初の吸入事象
のうちの1つ又は複数に基づいて特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項13】
前記1つ又は複数のエアロゾル特性が、エアロゾル粒度分布、エアロゾル密度、エアロゾル分配、及びエアロゾル成分のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項14】
前記事前構成された変化が、1つ又は複数のエアロゾル成分における事前構成された減少である、請求項13に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項15】
前記エアロゾル成分が、有効成分、香料成分、担体成分、及び/又は他の成分から選択される、請求項14に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項16】
前記事前構成された変化が、前記エアロゾル粒度分布及び/又はエアロゾル密度における事前構成された増加である、請求項13に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項17】
前記コントローラが、エアロゾル生成装置に送達される電力、前記エアロゾル生成装置への空気流、前記エアロゾル生成装置へのエアロゾル化可能材料の供給量、及び前記エアロゾル生成装置に供給されるエアロゾル化可能材料の組成から選択される、エアロゾル生成に関する1つ又は複数のパラメータを修正することによって、前記事前構成された変化を実行するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項18】
前記コントローラが、後続エアロゾルとして指定されるすべてのエアロゾルについて前記事前構成された変化を実行するように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項19】
前記コントローラが、第1のエアロゾルの後に生成される第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10のエアロゾルのうちの1つ又は複数について前記事前構成された変化を実行するように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項20】
前記コントローラが、有限の時間期間が前記第1のエアロゾルの生成の後に経過した後に、前記事前構成された変化を実行するように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項21】
前記コントローラが、エアロゾル生成の予め定められた累積期間後に、前記事前構成された変化を実行するように構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項22】
前記コントローラが、固定モードを有し、前記固定モードにおいて、複数の連続的なエアロゾルが、実質的に同じエアロゾル特性を有して生成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項23】
前記コントローラが、段階モードを有し、前記段階モードにおいて、連続的なエアロゾルが、実質的に異なるエアロゾル特性を有して生成される、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項24】
前記コントローラが、固定モード及び段階モードを有し、前記固定モードにおいて、複数の連続的なエアロゾルが、実質的に同じエアロゾル特性を有して生成され、前記段階モードにおいて、連続的なエアロゾルが、実質的に異なるエアロゾル特性を有して生成される、請求項22又は23に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載のエアロゾル送達デバイスと、エアロゾル化可能材料を保持するための1つ又は複数の貯蔵部を備える物品とを具備する、エアロゾル送達システム。
【請求項26】
前記エアロゾル送達デバイスが、1つ又は複数のエアロゾル生成装置を備える、請求項25に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項27】
前記物品が、1つ又は複数のエアロゾル生成装置を備える、請求項25に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項28】
2つ以上のエアロゾル生成装置を備える、請求項25~27のいずれか一項に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項29】
エアロゾル化可能材料を受容するように構成され、コントローラを備えるエアロゾル送達デバイスであって、
前記コントローラが、第1のエアロゾル及び1つ又は複数の後続エアロゾルの生成を促進するように構成され、前記1つ又は複数の後続エアロゾルが、前記第1のエアロゾルに対して修正され、前記修正がユーザに知覚されることなく行われる、エアロゾル送達デバイス。
【請求項30】
エアロゾル送達システムによって生成されるエアロゾルを調節する方法であって、
コントローラ及び電源を備えるエアロゾル送達デバイスを用意するステップであり、前記エアロゾル送達デバイスがエアロゾル化可能材料の物品を備える、ステップと、第1のエアロゾルを生成するステップと、1つ又は複数の後続エアロゾルを生成するステップであり、前記1つ又は複数の後続エアロゾルが、前記第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含む、ステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル送達デバイス及びエアロゾル化可能材料を備える、エアロゾル送達システムに関する。本発明はまた、エアロゾル送達システムのエアロゾル送達デバイス、及びエアロゾル送達システムによって生成されるエアロゾルを調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するエアロゾル送達システムが、当該技術分野において知られている。そのようなシステムは、典型的には、エアロゾル化可能材料をエアロゾルへ変換することができるエアロゾル生成装置を備える。いくつかの場合において、生成されるエアロゾルは、濃縮エアロゾルであり、エアロゾル化可能材料は、蒸気を形成するために加熱され、次いでこの蒸気が、エアロゾルへと濃縮される。他の場合において、生成されるエアロゾルは、エアロゾル化可能材料の霧化から生じるエアロゾルである。そのような霧化は、機械的に、例えば、エアロゾル化可能材料の小粒子が形成されて空気流に混入されるようにエアロゾル化可能材料に振動を与えることによって、引き起こされてもよい。代替的に、そのような霧化は、静電的に、又は圧力などを使用することなど他の方法で、引き起こされてもよい。
【0003】
そのようなエアロゾル送達システムは、ユーザに吸入されることになるエアロゾルを生成することを目的とするため、作り出されるエアロゾルの特性を考慮しなければならない。これらの特性は、エアロゾルの粒子のサイズ、作り出されるエアロゾルの総量などを含んでもよい。
【0004】
エアロゾル送達システムが、例えばeシガレット又は同様の製品のように、喫煙体験を模倣するために使用されるとき、ユーザが本システムの使用から特定の感覚的体験が生じることを期待し得るため、これらの様々な特性の制御は特に重要である。これらの特性の制御を改善したエアロゾル送達システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、コントローラ及び電源を備えるエアロゾル送達デバイスが提供され、デバイスは、エアロゾル化可能材料のための物品を受容するように構成され、コントローラは、エアロゾル化可能材料からの第1のエアロゾル及び1つ又は複数の後続エアロゾルの生成を促進することと、デバイスの使用特性を決定することと、前記決定された使用特性に基づいて、後続エアロゾルが第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含むように、後続エアロゾルを生成することとを行うように構成される。
【0006】
この点に関して、本発明者らは、前記変化がユーザに直ちに知覚されることなく、エアロゾルの様々な特性を調節することが可能であることを見出した。これは、ユーザが体験における変化を知覚することなく、システムが、電力、エアロゾル化可能材料などの利用する資源をより少なくできる可能性があるため、有利であり得る。これは、先行技術のシステムと比較して使用回数が増加したシステムを可能にし得る。例えば、本デバイスの電力使用が、既知のデバイスに対して減少されるため、デバイスの電源は、より少ない頻度でしか充電される必要がない可能性がある。さらに、本デバイスによって使用されるエアロゾル化可能材料の量が、既知のデバイスに対して減少されるため、エアロゾル化可能材料を補充する必要性が低減され、このことは、ユーザにとっての費用節約をもたらし得る、及び/又は簡便性を増加させ得る。
【0007】
本開示の文脈において、「事前構成された変化」とは、コントローラが、1つ又は複数の後続エアロゾルのエアロゾル特性を、そのエアロゾルの生成が開始する前に、変更するように構成されることを意味する。この点に関して、そのような「事前構成」は、後続エアロゾルの生成の際に、コントローラが後続エアロゾルのために「事前構成」されたパラメータの特定のセットを実行していることを意味するということを理解されたい。さらに、特定の「事前構成」は、必ずしも固定されず、むしろ、本明細書に説明されるような様々な使用因子に応じて更新され得るということを理解されたい。別の言い方をすると、第1のエアロゾルが生成された後で、1つ又は複数の後続エアロゾルの生成前/中に、コントローラは、第1のエアロゾルに対する、後続エアロゾルの1つ又は複数のエアロゾル特性における事前決定された変化を実行するように構成される。
【0008】
本開示の文脈において、第1のエアロゾルは、新規吸入セッションの始まりを表すエアロゾルである。例えば、新規吸入セッションは、連続したエアロゾルの生成の間の時間間隔が、ある特定の値よりも大きいものであり得る。単に例として、吸入セッションは、エアロゾル生成の複数インスタンスで形成され得、エアロゾル生成の各インスタンスは、吸入事象によって引き起こされる。連続したエアロゾルの生成の間の時間間隔が比較的小さいとき、これは、吸入セッションが進行中であることを示し得る。連続したエアロゾルの生成の間の時間間隔が比較的大きいとき、これは、吸入セッションが、後者エアロゾルの生成の際に開始されたことを示し得る。言い換えると、本システムが、比較的長い期間にわたってエアロゾルを生成しておらず、次いでエアロゾルを生成するように促される(ユーザがデバイスを吹かすこと、又は起動ボタンを押すことによってなど)とき、これは、ユーザが本システムを使用しておらず、その後デバイスを使用し始めたこと、すなわち、セッションの開始を示すものである。第1のエアロゾル及び後続エアロゾルの決定は、以下のように例示され得る。
tT-Af-t-Asn-tT-Af
ここで、Afは第1のエアロゾルであり、tTは時間閾値であり、これを過ぎると、次のエアロゾルが第1のエアロゾルとして指定され、tIは、連続したエアロゾルの生成の間の時間間隔であり、Asnは後続エアロゾルであり、nは第1のエアロゾルの後のエアロゾル数である(n=1は、最初の後続エアロゾルであり、n=2は、第2の後続エアロゾルである、というように続く)。
【0009】
上に説明されるように、tTは、閾値であり、これを過ぎると、生成される次のエアロゾルが第1のエアロゾルとして指定される。故に、一実施形態において、生成される次のエアロゾルは、最後のエアロゾル生成以降に経過した時間がtTよりも大きい場合に、第1のエアロゾルとして指定される。予め定められた閾値は、絶対値、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10分であってもよく、又は、学習期間から導出される閾値であってもよい。例えば、デバイスは、例えば10回の吸入事象のセットを監視し、そのような事象間の平均期間を決定してもよい。この決定の後、平均期間を上回る任意の時間間隔によって、次のエアロゾルを第1のエアロゾルとして指定するようにコントローラをトリガする。エアロゾルが誤って第1のエアロゾルとして指定されないことを確実にするために、閾値は、決定された平均期間よりも5、10、15、20、又は25%大きくなるように構成されてもよい。
【0010】
代替的に、新規吸入セッションは、エアロゾル生成の連続したインスタンスの間の時間間隔に関係なく、デバイスパラメータにおける変化により開始されてもよい。例えば、新規吸入セッションの開始は、物品/エアロゾル化可能材料における変化がコントローラによって検出されること、又は、例えば、エアロゾル生成装置に送達される電力など、エアロゾル化可能材料のエアロゾル化に影響を及ぼす1つ若しくは複数の設定が変化されていることによって促され得る。
【0011】
第1のエアロゾルを割り当てることは、コントローラが後続エアロゾルを同様に割り当てることを可能にする。故に、コントローラによって第1のエアロゾルとして割り当てられないエアロゾル生成のインスタンスは、コントローラによって後続エアロゾルとして割り当てられる。第1のエアロゾルを割り当て、次いで後続エアロゾルの生成を監視することにより、コントローラは、後続エアロゾルが第1のエアロゾルに対してエアロゾル特性における変化を有するように事前構成され得ることを確実にすることができる。
【0012】
エアロゾル送達デバイスのコントローラは、デバイスの使用特性を決定するように構成される。例えば、使用特性は、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔、定められた期間を通したエアロゾル生成の頻度、及び/又は第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間でのデバイスを通る空気流プロファイルにおける変化のうちの1つ又は複数であってもよい。デバイスの特定の使用特性を決定することにより、コントローラは、後続エアロゾルのための適切な事前構成を選択することができる。
【0013】
第1のエアロゾルに対して後続エアロゾルにおいて変化され得るエアロゾル特性は、エアロゾル粒度分布、エアロゾル密度、エアロゾル分配、及びエアロゾル成分のうちの1つ又は複数であってもよい。例えば、エアロゾルのエアロゾル粒度分布は、エアロゾルの成分がユーザの吸入経路に堆積される度合に影響を及ぼし得る。この点に関して、エアロゾルが、比較的低い粒度分布、例えば、1ミクロン未満の空気動力学的質量中央径を有する場合、エアロゾルの比較的多くの粒子が吸入経路のかなり先に堆積されるということであってもよい。これは、深肺内のエアロゾル粒子の堆積の増加をもたらすことができ、このことは、エアロゾル内の任意の有効成分の生理学的摂取の増加をもたらすことができる。逆に、そのような粒子は、ユーザの口腔内に堆積される可能性は低く、故に、エアロゾルが香料成分を含む場合、そのようなエアロゾルの香料強度が減少されるということであり得る。同様に、第1のエアロゾルと後続エアロゾルとの間でエアロゾル密度が変わる場合、ユーザが異なる感覚的体験を知覚するということであり得る。同様の考慮事項は、エアロゾルの気相/粒子相分配にも当てはまり得る。例えば、エアロゾルは、一般的に、気相及び粒子相で形成され、エアロゾルの成分は、当業者には知られる因子に基づいて、相間で異なって分布されている。エアロゾルの気相と粒子相との間でのエアロゾル成分の相対的分配を変化させることにより、そのような成分がユーザの吸入経路内で堆積される度合に影響を及ぼすことが可能であり得る。最後に、第1のエアロゾルと後続エアロゾルとの間でエアロゾル成分の相対的割合を変えることにより、後続エアロゾル内の香料成分又は有効成分などの成分の割合を変更することが可能である。
【0014】
事前構成された変化が減少である一実施形態において、エアロゾル特性は、エアロゾル粒度分布、エアロゾル密度、及びエアロゾル成分のうちの1つ又は複数から選択される。事前構成された変化が増加である一実施形態において、エアロゾル特性は、エアロゾル粒度分布、エアロゾル密度、及びエアロゾル成分のうちの1つ又は複数から選択される。
【0015】
エアロゾル分配の文脈において、事前構成された変化は、気相における特定の成分の割合の増加又は減少であり得るということを理解されたい。同様に、事前構成された変化は、粒子相における特定の成分の割合の増加又は減少であり得る。
【0016】
エアロゾル特性における事前構成された変化は、決定される特定の使用特性に依存してもよく、例えば、事前構成された変化は、特定の使用特性を決定することに応答した増加又は減少であってもよい。さらには、事前構成された変化の大きさは、決定された使用特性に比例してもよい。一実施形態において、1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化は、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔に比例する。比例性は、問題となっているエアロゾル特性に応じて正又は反であってもよい。例えば、エアロゾル特性がエアロゾル成分に関する場合、事前構成された変化は、減少であってもよく、事前構成された変化の大きさは、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔に反比例してもよい。言い換えると、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間に比較的小さい時間間隔が存在する場合、エアロゾル成分における減少の大きさはより大きくてもよい。逆に、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間により大きい時間間隔が存在する場合、エアロゾル成分における減少の大きさはより小さくてもよい。そのような関係性は、後続エアロゾルが前のエアロゾルの直後に生成される場合、いくつかのエアロゾル成分における比較的大きい減少が、ユーザが感覚的体験における変化を知覚することなく実行され得ることが見出されているため、有利であることが見出されている。逆に、後続エアロゾルが比較的長い期間の後に生成される場合、ユーザは、特定のエアロゾル成分における減少を知覚することができる場合があり、その結果として、事前構成された減少は、ユーザが知覚することができないように、より小さい必要がある。
【0017】
特定の変化(増加又は減少)及び事前構成された変化の大きさは、所望のエアロゾル調節及び決定された使用特性に基づいて選択され得る。例えば、デバイスが電力節約モードにあるように構成される場合、コントローラは、所与の吸入事象のためにデバイスエアロゾル生成装置により少ない量の電力を送達するように構成されてもよい。より少ない量の電力の送達は、より小さい体積のエアロゾルが生成されることをもたらす(他の因子は変わらない)。しかしながら、電力減少は、ユーザがエアロゾル体積減少を知覚し、これを乏しい感覚的体験として特徴付けるほどに大きいものであってはならない。むしろ、電力減少は、決定された使用特性に基づいて適合される。
【0018】
一実施形態において、コントローラは、エアロゾル特性における事前構成された変化がユーザによって知覚されたかどうかを決定するように構成される。例えば、1つ又は複数のエアロゾル成分(例えば、香料成分)における事前構成された減少の後、ユーザが、デバイスの電力設定を増加させるか、又はエアロゾル可能材料源を交換/補充するかのいずれかの場合、これは、ユーザが事前構成された変化を知覚しており、感覚的体験における任意の減少を取り消すようにデバイスを修正しようとしたということを示すものであり得る。そのような例において、コントローラは、後続エアロゾルの生成後のデバイス修正のインスタンスを記録し、吸入事象の今後のセッションにおいてより小さい大きさの事前構成された変化を実行するように構成されてもよい。この様式では、コントローラは、ユーザが変化したエアロゾル特性を有するエアロゾルを知覚していた可能性があるときを予測し、したがって、今後の吸入セッションにおいて破られるべきではない閾値を確立することができる。
【0019】
一実施形態において、コントローラは、2つ以上の後続エアロゾルを生成するように構成され、各エアロゾルは、前のエアロゾルに対して漸進的に変化したエアロゾル特性を有する。例えば、吸入セッションにおける各生成エアロゾルは、1つ又は複数のエアロゾル特性における漸進的減少を有してもよい。同様に、事前構成された変化が増加である場合、吸入セッションにおける各生成エアロゾルは、1つ又は複数のエアロゾル特性における漸進的増加を有してもよい。
【0020】
使用特性
上に説明されるように、使用特性は、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔、定められた期間を通したエアロゾル生成の頻度、及び/又は第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間でのデバイスを通る空気流プロファイルにおける変化のうちの1つ又は複数であり得る。
【0021】
一実施形態において、決定された使用特性は、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間の時間間隔である。この点に関して、第1のエアロゾルと後続エアロゾルとの間の時間間隔は、次のエアロゾルが第1のエアロゾルとして指定されることを決定するための、上で述べた閾値tよりも大きくてはならないということに留意されたい。故に、第1のエアロゾルと後続エアロゾルとの間の時間間隔は、第1のエアロゾルの決定のための時間閾値tT未満である。一実施形態において、tIとtTとの差は、絶対量、例えば、5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、51秒、52秒、53秒、54秒、55秒、56秒、57秒、58秒、又は59秒である。一実施形態において、tIとtTとの差は、相対量、例えば、tTの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、又は95%である。
【0022】
一実施形態において、決定された使用特性は、定められた期間を通したエアロゾル生成の頻度である。エアロゾル生成の頻度が高い場合、エアロゾル生成の頻度が低い場合と比較して、定められた期間あたりに、より多くのエアロゾル生成事象が存在することになる。定められた期間は、例えば、第1のエアロゾルの生成後30秒であってもよい。
【0023】
上に説明されるように、事前構成された変化の大きさは、決定されている使用特性に応じて変化してもよい。いくつかの実施形態において、大きさは、使用特性に比例する。一実施形態において、事前構成された変化の大きさは、tT/tIに比例する。つまり、tT/tIが大きい(1未満でなければならないということに留意されたい)場合、事前構成された変化の大きさを大きくし得る。一実施形態において、事前構成された変化の大きさはtT/tIに反比例する。つまり、tT/tIが大きい(1未満でなければならないということに留意されたい)場合、事前構成された変化の大きさを小さくし得る。そのような関係性は、エアロゾル特性がエアロゾル成分である場合に特に関連性があり得る。
【0024】
さらには、一実施形態において、事前構成された変化の大きさは、エアロゾル生成の頻度に比例する。つまり、エアロゾル生成の頻度が高い場合、事前構成された変化の大きさを大きくし得る。エアロゾル生成(パフ(1パフは1回吹かすこと)/吸入事象)の頻度は、測定された平均エアロゾル生成頻度に基づいて決定されてもよい。この平均頻度は、デバイスにおいて決定及び記憶され得る。例えば、デバイスは、エアロゾル生成が60秒あたり平均10回発生することを決定してもよい。したがって、平均頻度からの逸脱は、比較的「高い」又は「低い」エアロゾル生成頻度を示し得る。一実施形態において、エアロゾル生成の高い頻度は、平均からエアロゾル生成頻度における10%以上の増加であると考えられてもよい。いくつかの実施形態において、平均頻度からの増加は、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、100%以上であってもよい。
【0025】
一実施形態において、事前構成された変化の大きさは、エアロゾル生成の頻度に反比例する。つまり、エアロゾル生成の頻度が大きい場合、事前構成された変化の大きさを小さくし得る。そのような関係性は、エアロゾル特性がエアロゾル成分である場合に特に関連性があり得る。
【0026】
さらに、一実施形態において、事前構成された変化の大きさは、第1のエアロゾルの生成と後続エアロゾルの生成との間でのデバイスを通る空気流プロファイルにおける変化の大きさに比例する。例えば、ユーザが、第1のエアロゾルの生成中に流量F1でデバイスを通じて吸入し、次いで後続エアロゾルの生成中に流量F2でデバイスを通じて吸入する場合、F1とF2との差の大きさがコントローラによって決定され、1つ又は複数のエアロゾル特性における比例的な事前構成された変化を実行するために使用されてもよい。この点に関して、事前構成された変化の大きさは、流量差が正であるか負であるか、すなわち、エアロゾル間の流量が増加したか減少したかに比例してもよい。減少した流量は、減少した感覚的体験の要望を示すものであり得る。故に、一実施形態において、流量差が正である(後続エアロゾルの生成中の方が速い)場合、事前構成された変化は、エアロゾル密度及び/又はエアロゾル成分(特にエアロゾル成分濃度)における増加を結果としてもたらす。一実施形態において、流量差が負である(後続エアロゾルの生成中の方が遅い)場合、事前構成された変化は、エアロゾル密度及び/又はエアロゾル成分(特にエアロゾル成分濃度)における減少を結果としてもたらす。
【0027】
エアロゾル特性
本開示に従って調節され得るエアロゾル特性は、エアロゾル粒度分布、エアロゾル密度、エアロゾル分配、及びエアロゾル成分のうちの1つ又は複数から選択されてもよい。
【0028】
例えば、エアロゾル粒度分布(質量中央エアロゾル径)の文脈では、事前構成された変化は、エアロゾル粒度分布における増加又は減少であってもよい。一実施形態において、1つ又は複数の後続エアロゾルは、0.1μm超、0.2μm超、0.3μm超、0.4μm超、0.5μm超、0.6μm超、0.7μm超、0.8μm超、0.9μm超、1.0μm超、2.0μm超、3.0μm超、4.0μm超、又は5.0μm超の質量中央エアロゾル径における変化(増加又は減少のいずれか)を有してもよい。エアロゾル粒度分布を調節するための様々な手段が当業者に知られている。例えば、デバイスは、複数のエアロゾル生成装置を有してもよく、複数のエアロゾル生成装置のうちの各々が、特定の粒度を有するエアロゾルを生成するように設計される。故に、第1のエアロゾル及び後続エアロゾルが異なるエアロゾル粒度分布を有するべきである場合、適切なエアロゾル生成装置が、各エアロゾルに使用されてもよい。複数のエアロゾル生成装置を含まないデバイスの場合、粒度は、生成後にエアロゾルがとる空気流路を変化させることによってなど、他の方法で影響を及ぼされ得る。エアロゾルが機械手段により(例えば、ピエゾ/振動アトマイザにより)生成されるなど、非加熱システムでは、振動の周波数を変化させることによって粒度を調節することが可能であってもよい。同様の手法が、噴霧技術により生成されるエアロゾルについても取られ得る(ノズルに印加される圧力/ノズル開口寸法が変化され得る)。
【0029】
エアロゾル密度の文脈では、事前構成された変化は、エアロゾル密度における増加又は減少であってもよい。例えば、第1のエアロゾルは、1つ又は複数の後続エアロゾルと比較して、より高いエアロゾル密度を有してもよい。代替的に、第1のエアロゾルは、1つ又は複数の後続エアロゾルと比較して、より低いエアロゾル密度を有してもよい。この点に関して、エアロゾル密度は、単一のエアロゾルが生成されるとき、生成された総エアロゾル収集質量(「ACM」)として決定される。ACMにおける減少は、所与のデバイスについてのエアロゾル密度における減少を示すものである。同様に、ACMにおける増加は、所与のデバイスについてのエアロゾル密度における増加を示すものである。一実施形態において、エアロゾル密度における事前構成された変化は、減少である。一実施形態において、エアロゾル密度における事前構成された変化は、増加である。一実施形態において、エアロゾル密度における事前構成された変化は、0.1mg超、0.2mg超、0.3mg超、0.4mg超、0.5mg超、0.6mg超、0.7mg超、0.8mg超、0.9mg超、1.0mg超、1.5mg超、2.0mg超、2.5mg超、又は3.0mg超のACMの増加であってもよい。
【0030】
コントローラは、意図した標的ACMに対応する特定の電力送達を保持するように予めプログラムされ得るということを理解されたい。この点に関して、実証的試験が、例えば、エアロゾル生成装置への電力送達と結果として生じるACMとの間の相対関係を決定するために、例示的なデバイスにおいて行われ得る。考慮され得る因子としては、使用されているエアロゾル生成装置のタイプ、使用されているエアロゾル化可能材料のタイプ、及びさらに、エアロゾル生成装置へのエアロゾル化可能材料の供給量が挙げられる。既知のエアロゾル化可能材料を含有する物品、エアロゾル生成装置、及びエアロゾル化可能材料の最大供給量には、コントローラがその物品のための適切な電力送達設定を選択することを可能にするようにコントローラ(又はコントローラに報告するセンサ)によって読み取られ得る識別子(RFIDチップ、バーコード、QRコードなど)が設けられ得る。一実施形態において、電力設定は、コントローラがACMにおける事前構成された変化を送達するために適切な電力設定を決定することができるように、コントローラがアクセス可能なメモリに記憶されるルックアップテーブル内のACMに関連付けられる。同様の関連付けは、電力送達と調節されることになる他のエアロゾル特性との間にも与えられ得る。
【0031】
エアロゾル分配の文脈では、事前構成された変化は、エアロゾルを構成する粒子相及び気相の相対的割合における変化、気相若しくは特定の相のいずれかにおける1つ若しくは複数のエアロゾル成分の分布における変化、又はその両方であってもよい。例えば、事前構成された変化は、エアロゾルの粒子相に存在する有効成分、例えばニコチン、のパーセンテージにおける増加であってもよい。例えば、第1のエアロゾルは、ニコチンを含んでもよく、そのエアロゾル内のニコチンの99.0%超は、粒子相に位置してもよい。1つ又は複数の後続エアロゾルは、粒子相に存在するエアロゾルニコチンの%における増加又は減少のいずれかを含んでもよい。故に、エアロゾル内のニコチンの総量は変化していないが、粒子相と気相との間でのそのニコチンの分配が変化している。
【0032】
一実施形態において、エアロゾル分配における事前構成された変化は、粒子相にあるエアロゾルのパーセンテージにおける変化である。一実施形態において、変化は、粒子相にあるエアロゾルの量における増加である。一実施形態において、変化は、粒子相にあるエアロゾルの量における減少である。一実施形態において、粒子相のパーセンテージ変化(増加又は減少のいずれか)は、0.1%超、0.2%超、0.3%超、0.4%超、0.5%超、0.6%超、0.7%超、0.8%超、0.9%超、1.0%超、1.5%超、2.0%超、2.5%超、3.0%超、4.0%超、5.0%超、10.0%超、又は15.0%超である。
【0033】
一実施形態において、エアロゾル分配における事前構成された変化は、粒子相内の1つ又は複数のエアロゾル成分の分布(以下にさらに説明される)における変化である。一実施形態において、変化は、粒子相にある1つ又は複数のエアロゾル成分における増加である。一実施形態において、変化は、粒子相にある1つ又は複数のエアロゾル成分における減少である。一実施形態において、粒子相にある1つ又は複数のエアロゾル成分のパーセンテージ変化(増加又は減少のいずれか)は、0.1%超、0.2%超、0.3%超、0.4%超、0.5%超、0.6%超、0.7%超、0.8%超、0.9%超、1.0%超、1.5%超、2.0%超、2.5%超、3.0%超、4.0%超、5.0%超、10.0%超、又は15.0%超である。一実施形態において、エアロゾル成分は、ニコチンなどの有効成分である。一実施形態において、エアロゾル成分は、香料成分である。
【0034】
当業者は、エアロゾルの粒子相及び気相のバランス、並びにエアロゾル内のエアロゾル成分の相対分布の両方をどのように修正するかを知っている。例えば、エアロゾル内のニコチンは、ニコチン分子の窒素原子が荷電されない(「非プロトン化」とも称される)「遊離塩基」形態、又はニコチン分子の窒素原子が荷電される(プロトンとの結合に起因して)「プロトン化」形態のいずれかで存在し得る。そのような「プロトン化」ニコチンは、エアロゾルの粒子相内に存在する可能性が高い可能性がある。故に、当業者は、遊離塩基形態でニコチンを含有し得る第1のエアロゾル、及びプロトン化形態でニコチンを含有する1つ又は複数の後続エアロゾル(その逆も然り)を作り出すことができる。特定のエアロゾルがプロトン化又は非プロトン化ニコチンを含有する程度を変化させる能力は、様々な方法で達成され得る。例えば、エアロゾル内のプロトン化又は非プロトン化ニコチンの相対的割合を変化させるように、異なる時に/異なる速度で異なるエアロゾル化可能材料をエアロゾル生成装置に送達することが可能であり得る。特定のデバイスから特定のエアロゾルプロファイルを送達するために特定のエアロゾル化可能材料のための必要な送達プロファイルは、実証的に導出され、次いでコントローラによる後の適用のためにデバイスに記憶されてもよい。エアロゾル内の粒子相/気相ニコチンの決定は、当業者に知られている方法により達成され得る。同様の考慮事項が、他の有効成分及び/又は香料成分など、他のエアロゾル成分の分布に当てはまる。
【0035】
一実施形態において、1つ又は複数の後続エアロゾルは、エアロゾル成分のタイプ及び/又は量(以下にさらに説明される)における事前構成された変化(増加又は減少のいずれか)を有してもよい。この点に関して、第1のエアロゾルは、第1のエアロゾル成分、例えば、1つのタイプの香料成分を含んでもよく、1つ又は複数の後続エアロゾルは、異なるエアロゾル成分、例えば、異なるタイプの香料成分を含んでもよい。追加的及び/又は代替的に、第1のエアロゾルは、ある量の第1のエアロゾル成分を含んでもよく、1つ又は複数の後続エアロゾルは、異なる量の前記第1のエアロゾル成分を含んでもよい。一実施形態において、1つ又は複数の後続エアロゾルは、1つ又は複数のエアロゾル成分の量における事前構成された減少を含んでもよい。一実施形態において、1つ又は複数の後続エアロゾルは、1つ又は複数のエアロゾル成分の量における事前構成された増加を含んでもよい。例えば、エアロゾル成分がニコチンなどの有効成分である場合、1つ又は複数の後続エアロゾルは、エアロゾル内に存在するニコチンの量における事前構成された変化(例えば、減少)を含んでもよい。ユーザが、自らが吸入セッション中に消費しているニコチンなどの特定のエアロゾル成分の量を減少させることを望む状況においては、コントローラがそのような事前構成された変化を実行することは有利であり得る。
【0036】
一実施形態において、第1のエアロゾルと1つ又は複数の後続エアロゾルとの間でのエアロゾル成分の量における事前構成された変化は、0.1mg超、0.2mg超、0.3mg超、0.4mg超、0.5mg超、0.6mg超、0.7mg超、0.8mg超、0.9mg超、1.0mg超、1.5mg超、2.0mg超、2.5mg超、又は3.0mg超であってもよい。
【0037】
本開示によるエアロゾル成分は、異なるタイプの成分を含み、異なるタイプの成分は、エアロゾル化可能材料内に存在してもよく、その後、エアロゾル化されてエアロゾルを形成する。例えば、エアロゾル化可能材料(従ってエアロゾル成分)は、有効成分、香料成分、担体成分、及び/又は他の成分を含み得る。
【0038】
有効成分の例としては、ニコチン(任意選択でタバコ又はタバコ派生物に含有される)、又は、カフェイン、ビタミンなどの1つ若しくは複数の他の生理活性材料が挙げられる。生理活性材料は、嗅覚以外の生理反応を達成するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。ニコチン又は他の有効成分に対する言及は、薬理学的に許容可能な塩の形態にあるこれらの有効成分を含む。
【0039】
香料成分の例は、当地の法規が許す場合、成人消費者のための製品において所望の味又は香りを作り出すために使用され得る材料を含む。それらの材料は、抽出物(例えば、リコリス、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ピーマン、しょうが、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖及び/若しくは代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤などの他の添加物のうちの1つ又は複数を含んでもよい。それらは、模倣物、合成若しくは天然成分、又はそれらの混合物であってもよい。それらは、任意の好適な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0040】
担体成分の例は、水、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びプロピレンカーボネートのうちの1つ又は複数を含む。
【0041】
エアロゾル化可能材料の他のエアロゾル成分(後にエアロゾルへ移行される)は、pH調節剤、安定剤、及び/又は抗酸化剤を含んでもよい。特に、他のエアロゾル成分は、有機又は無機酸から選択される1つ又は複数の酸を含んでもよい。無機酸の例は、リン酸である。有機酸は、カルボン酸を含んでもよい。カルボン酸は、任意の好適なカルボン酸であってもよい。一実施形態において、酸は、モノ-カルボン酸である。一実施形態において、酸は、酢酸、乳酸、ぎ酸、クエン酸、安息香酸、ピルビン酸、レブリン酸、コハク酸、酒石酸、オレイン酸、ソルビン酸、プロピオン酸、フェニル酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。上に説明されるように、酸の存在は、エアロゾル化可能材料内に(及び続いて、生成されたエアロゾル内に)存在するいかなるニコチン(又は関連成分)も「プロトン化する」役割を果たしてもよい。
【0042】
上のタイプの特定の成分のうちの任意の1つが、エアロゾル化可能材料内に単独で存在してもよいということに留意されたい。
【0043】
一実施形態において、本デバイスは、エアロゾル化可能材料の異なる供給源からエアロゾルを生成するように構成されてもよい。異なる供給源は、エアロゾル化可能材料の貯蔵部を含んでもよい。貯蔵部は、同じエアロゾル化可能材料を含んでもよいか、又は貯蔵部は、異なるエアロゾル化可能材料を含んでもよい。貯蔵部が同じエアロゾル化可能材料を含有する場合、エアロゾル化可能材料は、異なるエアロゾル特性を有するエアロゾルを作り出す能力を有する異なるエアロゾル生成装置に送達されてもよい。貯蔵部が異なるエアロゾル化可能材料を含有する場合、エアロゾル化可能材料は、異なるエアロゾル特性を有するエアロゾルを生成するように、単一又は複数いずれかのエアロゾル生成装置に異なる時/速度で送達されてもよい。例えば、1つの貯蔵部は、有効成分(ニコチンなど)及び1つ又は複数の担体成分(グリセロール及び又はプロピレングリコールなど)を含むエアロゾル化可能材料を含んでもよく、別の貯蔵部は、1つ若しくは複数の香料成分及び/又は1つ若しくは複数の他の成分を含んでもよい。この場合、動作中、コントローラは、各貯蔵部からエアロゾル化されるエアロゾル化可能材料の相対的割合における変化を促進し、こうしてエアロゾルのエアロゾル特性を変化させるように構成されてもよい。そのような手法は、後続エアロゾルの香料タイプ/強度を修正するために使用され得る。同様の手法はまた、特定の相にあるエアロゾル内のニコチンのパーセンテージを修正するために使用され得る(プロトン化している酸を選択的にエアロゾル化することによって、エアロゾル内のニコチンは、対応する程度までプロトン化されることになり、故に、エアロゾル内のニコチンの分配を修正することが可能である)。
【0044】
後続エアロゾル
本明細書に説明されるように、エアロゾル送達デバイスのコントローラは、特定のユーザ特性の決定に応答して、1つ又は複数の後続エアロゾルを、1つ又は複数の後続エアロゾルが第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含むように生成するように構成される。
【0045】
一実施形態において、事前構成された変化は、第1のエアロゾルの後に連続して作り出されるエアロゾルに対してのみ適用される(「一度限りの」変化)。事前構成された変化は、第1のエアロゾルの後の1つ又は複数の後続エアロゾルが生成されるまで実行されなくてもよい。例えば、事前構成された変化は、第1のエアロゾルの生成の後の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10のエアロゾルにおいて実行されてもよい。代替的に、一実施形態において、事前構成された変化は、第1のエアロゾルの後のすべての後続エアロゾルについて維持される(又は「固定される」)。代替的に、事前構成された変化は、第1のエアロゾルの後に作り出される各後続エアロゾルのための連続的な「段階的」変化であってもよい。そのような連続的な変化は、コントローラが、第1のエアロゾルとして生成されることになる次のエアロゾルを指定する点まで継続してもよい。
【0046】
この点に関して、事前構成された変化が1つ又は複数の後続エアロゾルにおいて実行された後(「固定式」実行又は「段階的」実行のいずれか)、コントローラが、前の第1のエアロゾルと同じ(又は実質的に同じ)エアロゾル特性を有するエアロゾルの作成に戻るか、又は先行するエアロゾルのうちの1つ又は複数と同じ(又は実質的に同じ)エアロゾル特性を有するエアロゾルの作成に戻るように構成されるということであってもよい。例えば、第1のエアロゾルが、ニコチンなど、特定の量の特定のエアロゾル成分を有して作り出されるということであってもよい。第1のエアロゾルの生成と次の後続エアロゾルの生成との間の時間間隔に基づいて、コントローラは、後続エアロゾルが後続エアロゾル内のニコチンの量における事前構成された減少を含むように後続エアロゾルを生成するように構成される。その後この減少は、コントローラが次のエアロゾルが第1のエアロゾルとなることを決定する時まで、後続エアロゾルの各々について継続し得る。この場合、コントローラは、前の第1のエアロゾルと実質的に同じ量のニコチンを有するか、前の第1のエアロゾルと比較して減少した量の(しかしながら、依然として、たった今生成されたエアロゾルよりは多い)ニコチンを有するかのいずれかである第1のエアロゾルを生成するように構成されてもよい。そのような構成は、吸入セッション中の吸入あたりのニコチンの順次的な逓減を可能にし得るが、コントローラが、最初の第1のエアロゾルのものよりも小さい、次の吸入セッションの第1のエアロゾルのための開始ニコチン量に戻ることを可能にし得る。経時的に、ニコチンのそのような連続的に減少する量の実行は、ユーザが、吸入セッション中(ニコチン量は、徐々に、及び気が付かないうちに逓減されているため)、又は吸入セッションの開始時(ニコチン量は、前のセッションの終わりに対して逓増されているため)のいずれかにおいて、そのような減少を知覚することなく、ニコチンなどの特定のエアロゾル成分の消費を減少させることを可能にしてもよい。セッション中の連続的な段階的変化(増加又は減少のいずれか)に続き新規吸入セッションの開始時には(相応しい場合)反対の変化という同様のパターンが、本明細書に開示されるエアロゾル特性のいずれかに適用され得る。
【0047】
故に、一実施形態において、コントローラは、1つ又は複数の後続エアロゾルの1つ又は複数のエアロゾル特性における漸進的変化(増加又は減少)、それに続く反対方向における段階的変化を実行するように構成される。
【0048】
コントローラが、第1のエアロゾルの生成後の予め定められた時間にエアロゾル特性において事前構成された変化を実行するように構成されるということであってもよい。故に、事前構成された変化は、第1のエアロゾルに続く特定のエアロゾル数に結び付けられる必要はなく、むしろ、予め定められた時間に基づいて決定されてもよい。予め定められた時間は、第1のエアロゾルの生成から後に続く有限時間、例えば、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、又は10分であってもよい。代替的に、予め定められた時間は、吸入セッションの開始後にエアロゾルが生成されている累積時間であってもよい。例えば、コントローラは、エアロゾル生成の特定の累積時間に達したとき、コントローラが1つ又は複数の後続エアロゾルのエアロゾル特性における事前構成された変化の実行を開始するように、電力がエアロゾル生成装置に送達されている合計時間を監視するように構成されてもよい。この点に関して、コントローラは、事前構成された変化の実行をトリガする予め設定された累積時間期間、例えば、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、又は30分で予めプログラムされ得る。そのような手法は、ユーザがデバイスによって作り出されているエアロゾルの特定の特性に過剰に慣れてしまった状況において有利であることがある。予め定められた時間期間の後、事前構成された変化を開始することにより、ユーザには、例えば、特定のエアロゾル成分(香料など)において、ほぼ知覚不可能な減少がもたらされてもよく、その結果として、次の第1のエアロゾルが指定されるとき、次の第1のエアロゾルは、再び増大したエアロゾル特性(香料など)を有し、故にユーザに比較的強化された感覚的体験を提供し得る。
【0049】
コントローラは、デバイスの使用特性を監視し、エアロゾル特性における事前構成された変化を開始するべきときを推測するように構成されることも可能である。例えば、ユーザが特定のエアロゾルに過剰に慣れる/敏感になることがある、上で述べた状況において、ユーザは自らの吸入行動を意図せず修正することがあり、例えば、ユーザは、自らがデバイスを使用する強度及び/又は頻度を減少させることがある。コントローラは、ユーザがエアロゾル生成の前のインスタンスの場合より小さい強度で吹かしている(流量が減少される)ことを示す空気流センサからの入力を受信することにより、これを決定してもよい。そのようなシナリオにおいて、コントローラは、後続エアロゾルについて1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された減少を実行するように構成されてもよい。コントローラはまた、今後の吸入セッションについて、事前構成された変化は、ユーザが、デバイスの使用における強度を変化させなければならなくなる前に発生するように、強度におけるこのような減少が発生するためにかかる累積時間を計算し得る。
【0050】
さらなる態様において、本明細書に説明されるエアロゾル送達デバイス及びエアロゾル化可能材料のための物品を備える、エアロゾル送達システムが提供される。
【0051】
さらなる態様において、エアロゾル化可能材料を受容するように構成され、コントローラを備えるエアロゾル送達デバイスであって、コントローラが、第1のエアロゾル及び1つ又は複数の後続エアロゾルの生成を促進するように構成され、1つ又は複数の後続エアロゾルが、第1のエアロゾルに対して修正されるように構成され、前記修正がユーザに知覚されることなく行われる、エアロゾル送達デバイスが提供される。
【0052】
さらなる態様において、エアロゾル送達システムによって生成されるエアロゾルを調節する方法が提供され、方法は、コントローラ及び電源を備えるエアロゾル送達デバイスを用意するステップであり、デバイスがエアロゾル化可能材料のための物品を備える、ステップと、デバイスの使用特性を決定するステップと、第1のエアロゾルを生成するステップと、1つ又は複数の後続エアロゾルを生成するステップであり、1つ又は複数の後続エアロゾルが、決定された使用特性に基づいた第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含む、ステップとを含む。
【0053】
エアロゾル送達デバイスに関連して上でなされた開示は、上で述べた方法の態様に等しく当てはまる。それらは、簡潔性の目的のためにここでは繰り返されないが、これは、そのような説明された特徴が本方法に等しく当てはまらないことを示唆するものと解釈されるべきではない。
【0054】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるものとする。この点に関して、本明細書の特定のセクションは、他のセクションから分離して読まれるべきではない。
【0055】
様々な実施形態は、これより、添付の図面を参照して単に例として詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なエアロゾル送達デバイスを示す図である。
【
図2】第1のエアロゾル(左側トレース)と後続エアロゾル(右側トレース)との間での特定のエアロゾル成分の相対量を詳述するグラフである。
【
図3a】エアロゾル特性における事前構成された段階変化が、第1のエアロゾルが生成された後の時間においてどのように変化し得るかを詳述するグラフである。
【
図3b】エアロゾル特性における事前構成された段階変化が、第1のエアロゾルが生成された後の時間においてどのように変化し得るかを詳述するグラフである。
【
図4】いくつかの実施形態によるコントローラが、どのようにエアロゾル成分のジグザグ式の逓減を実行するように構成され得るかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
上に説明されるように、1つの態様において、コントローラ及び電源を備えるエアロゾル送達デバイスが提供され、デバイスは、エアロゾル化可能材料のための物品を受容するように構成され、コントローラは、第1のエアロゾル及び1つ又は複数の後続エアロゾルの生成を促進することと、デバイスの使用特性を決定することと、前記決定された使用特性に基づいて、後続エアロゾルが第1のエアロゾルに対する1つ又は複数のエアロゾル特性における事前構成された変化を含むように、後続エアロゾルを生成することとを行うように構成される。
【0058】
例示的な実施形態において、
図1に示されるように、電源2及びコントローラ3を備えるエアロゾル送達デバイス1が提供される。デバイス1は、エアロゾル生成装置4も備えてもよい。エアロゾル生成装置4は、異なるエアロゾル特性を有するエアロゾルを別々に生成することができる複数のユニット(ヒータなど)を備えてもよい。例えば、エアロゾル生成装置4は、ヒータ4a及びヒータ4bを備え、各ヒータが、エアロゾル化可能材料を蒸発させるように構成される。代替的に、エアロゾル生成装置は、異なるエアロゾル特性を有する逐次的なエアロゾルを生成することができる単一のユニット(ヒータなど)を備えてもよい。デバイス1から取り外し可能な電源2を提供することも本開示の範囲内である。故に、本開示は、すべての実施形態において、エアロゾル送達デバイスのための制御ユニットが提供される、電源なしのデバイスも包含する。
【0059】
エアロゾル化可能材料は、エアロゾル化可能材料のための貯蔵部6内に格納されてもよい。貯蔵部6は、デバイスから取り外し可能であってもよい物品7の一部であってもよく、その結果として、物品7は、エアロゾル化可能材料の貯蔵部が使い果たされたときに交換されてもよい。貯蔵部6にエアロゾル化可能材料を再充填することにより、エアロゾル化可能材料の貯蔵部を補充することも可能であることがある。いくつかの実施形態において、同じ又は異なるエアロゾル化可能材料を含有する、貯蔵部6a及び貯蔵部6bなどの複数の貯蔵部が存在してもよい。そのような構成体は、1つの例として、異なるエアロゾル特性を有する逐次的なエアロゾルを生成する方法を促進するように、ヒータが、異なる速度でエアロゾル化可能材料を供給されるか、異なるエアロゾル化可能材料を供給されることなどを可能にし得る。
【0060】
エアロゾル化可能材料は、ウィック又はポンプなどの輸送要素8を介して貯蔵部からエアロゾル生成装置へ移送されてもよい。例えば、ヒータ4a及び4bは、それぞれ輸送要素8a及び8bを介して、貯蔵部6a及び6bからエアロゾル化可能材料を供給される。当業者は、輸送されることになるエアロゾル化可能材料のタイプ、及びエアロゾル可能材料が供給されるべき速度に応じて好適な輸送要素を選択することができる。繊維性材料、発泡材料、織布及び不織布材料から形成されるウィックなどの輸送要素について特に言及がなされ得る。そのような材料は、シリカ、綿、陶磁器、及び同様のものを含んでもよい。この点に関して、特定の吸入事象のためのより高いACMは、エアロゾル生成装置のヒータに供給される電力の量を増加させることによって達成されてもよいということが当業者により理解されよう。しかしながら、そのような電力の増加は、エアロゾル化可能材料の供給の増加を必要とすることがあり、従ってコントローラは、ヒータに伝達される電力にエアロゾル化可能材料の供給速度を合わせるように構成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、物品7はまた、貯蔵部6及びエアロゾル生成装置4の両方が、物品7が取り外されるときデバイスから取り外し可能であるようにエアロゾル生成装置4を組み込む。そのような実施形態において、物品7及びデバイス1の両方は、電源2、コントローラ3、エアロゾル生成装置4、(及び任意選択で輸送要素8)の間に好適な電気接続(図示されない)を含み、このことが、使用中様々な構成要素への電気エネルギーの供給を可能にする。接点9は、デバイス1と電源7との間に電気エネルギーを提供する手段を提供する。エネルギーが、他の方法により、例えば誘導により、エアロゾル生成装置に付与され得ることも想定され、この場合、エアロゾル生成装置に電気エネルギーを提供するための接点9は必要とされない。
【0062】
空気流経路は、物品を通って(任意選択でデバイスを介して)出口10まで延びる。この経路は、生成されたエアロゾルが空気流A内に混入され、ユーザによる吸入のために出口10に送達され得るように配向される。動作中、コントローラは、ユーザがエアロゾルの生成を開始したことを決定する。これは、エアロゾル生成装置に電源が入れられるべきであるという信号をコントローラ3に送信するデバイス1上のボタン(図示されない)を介して行われ得る。代替的に、空気流経路内に、又はこれに近接して位置するセンサ(図示されない)が、空気流経路を通る空気流を検出し、この検出をコントローラに伝達する。センサは、空気流、エアロゾル生成のタイミングなどの特定の使用特性を決定するために使用されてもよいため、ボタンの存在に加えてセンサも存在してもよい。
【0063】
コントローラ3についてこれより説明する。コントローラ3は、デバイス全体にわたる様々な供給源から入力を受信し、続いてデバイスの動作を制御するMCUを備えてもよく、例えば、1つ又は複数のエアロゾル生成装置が、デバイス又は物品のいずれかに存在する。コントローラは、1つ又は複数のエアロゾル生成装置へのエアロゾル化可能材料の流れ、デバイスを通る空気流など、デバイスの他の構成要素を制御してもよい。この点に関して、デバイス及び/又は物品は、1つ又は複数の弁を含んでもよい。そのような弁は、貯蔵部(複数可)からエアロゾル生成装置へのエアロゾル化可能材料の流れを制御してもよく、及び/又はデバイスを通る空気流を制御してもよい。例えば、エアロゾル化可能材料の供給を制御する弁は、1つ又は複数のエアロゾル化可能材料の供給速度を制御することができてもよい。供給速度を制御することは、エアロゾル化可能材料の1つ又は複数の貯蔵部からの任意の供給を防ぐこと/エアロゾル化可能材料の1つ又は複数の貯蔵部から選択的に供給することを含み、例えば、エアロゾル化可能材料の複数の貯蔵部が存在する場合、コントローラは、単一の貯蔵部からの供給だけを可能にするように弁に指示してもよい。上に説明されるように、1つ又は複数のエアロゾル化可能材料の供給速度を制御することは、コントローラが、例えば、生成されるべきエアロゾルのACMにおける変化を実行している場合に重要であり得る。さらには、デバイス/物品を通る空気流を制御する弁は、エアロゾル粒度分布の調節を可能にする。
【0064】
コントローラはまた、デバイスの動作に関連した情報が、適切な場合に、記憶、取得、及び/又は更新され得るメモリへのアクセスを有してもよい。メモリは、コントローラの一部であってもよく、又はコントローラが(例えば、何らかの形態の有線又はワイヤレス接続を介して)通信することができる遠隔デバイスの一部であってもよい。コントローラはまた、例えば、エアロゾル生成のインスタンス間の時間の長さ、エアロゾル生成の個々のインスタンスの長さなど、特定の使用特性が決定され得るタイマを含む/タイマへのアクセスを有する。コントローラはまた、特定の使用特性の、日付及び実時間、すなわち、時刻を決定し、そのような情報を使用して、1つ又は複数の後続エアロゾルのエアロゾル特性を事前構成することができてもよい。例えば、コントローラは、時刻に関連付けられた複数のモードで動作することができてもよい。この方法では、1つ又は複数の後続エアロゾルのエアロゾル特性における事前構成された変化の方向及び/又は大きさは、決定された使用特性だけでなく、デバイスが使用されている時間点に基づいて変更されてもよい。例えば、事前構成された変化の大きさが、デバイスが朝、昼、又は夜に使用されているかどうかに関連付けられるということであってもよい。エアロゾル特性における変化を知覚するユーザの能力は、1日を通じて進化するため、コントローラは、特定の事前構成された変化を実行するとき、時刻を考慮するように構成されてもよい。同様に、使用場所など、使用特性の他の要素が考慮されてもよい。
【0065】
さらに、コントローラは、デバイスの使用特性及び/又はエアロゾル特性に関する情報を提供する1つ又は複数の使用センサを含んでも/1つ又は複数の使用センサへのアクセスを有してもよい。そのような使用センサは、空気流量センサ、気圧センサ、接触圧センサ、湿度センサ、温度センサ、動きセンサ、及び場所センサなどを含む。
【0066】
これより
図2を参照すると、特定のエアロゾル成分(香料など、FLは香料レベルを指す)の量が第1のエアロゾルと後続エアロゾルとの間で減少されるグラフが示される。特に、グラフの左側半分は、第1のエアロゾル1及び後続エアロゾル2を示す。特に、エアロゾル1が、香料成分の100%の相対量を含有する一方、エアロゾル2は、同じ香料成分の85%の相対量を含有する。エアロゾル3では、香料成分の量は、再び100%へ増加する。エアロゾルセッション間全体を通じて香料成分の量を減少させ、その後増加させるこのサイクルは、ユーザによって消費される香料成分の量における正味の減少を結果としてもたらし得、これは、例えば費用の理由から有利であり得る。しかしながら、事前構成された変化が起伏のあるプロファイルを有するため、ユーザは、サイクルの50%だけで香料成分における減少を受け、感覚的体験における違いを知覚する機会を減少されている。
図2のグラフの右側は、同様の起伏のあるプロファイルを示すが、この場合、コントローラは、第1のエアロゾルの直後のエアロゾルの香料成分を初期の相対値の70%に減少させるように構成される。
【0067】
図3a及び
図3bは、どのようにコントローラが、エアロゾル特性における事前構成された段階変化が発生し得る、第1のエアロゾルが生成された後の時間点を変化させるように構成され得るかを示す。例えば、
図3aでは、コントローラは、時間1までエアロゾル特性を変化させず維持し、時間期間2にわたってエアロゾル特性における比較的に漸進的な変化(この例では減少)を実行するように構成される。
図3bは、コントローラが、連続したエアロゾルが「固定された」エアロゾル特性を伴って作り出される固定期間の前に、エアロゾル特性における比較的迅速な変化(この例では減少)を実行するように構成される実装形態の例を示す。
【0068】
図4は、どのようにコントローラが、ジグザグ式に実行されるエアロゾル成分の連続した逓減を実行するように構成され得るかを示す。特に、「固定された」エアロゾル特性のエアロゾルが生成される初期期間の後、コントローラは、個々のセッションにわたって生成される連続したエアロゾルについてエアロゾル成分の量における段階的な減少を始めるように構成される。生成されるべき次のエアロゾルが第1のエアロゾルであるという各決定の際、コントローラは、エアロゾル成分の量を、最後のエアロゾルの量を上回るが、前の第1のエアロゾルの量よりも少ないレベルまで増加させるように構成される。このサイクルは次いで、特定のエアロゾル成分が、第1のエアロゾルを含むすべての後続エアロゾルにおいて実質的になくなるまで繰り返され得る。
【0069】
様々なエアロゾル特性は、既知の方法に従って決定され得る。この点に関して好適な方法が以下に説明される。
【0070】
エアロゾル収集質量
各エアロゾルについての総収集エアロゾル質量(ACM)は、各収集事象前後にケンブリッジフィルターパッドに捕捉されたエアロゾルの量を測定することによって決定される。収集されるエアロゾルの総量は、質量の差(収集後のパッド重量-収集前のパッド重量)によって決定される。異なるエアロゾルの範囲についての総収集エアロゾル質量を決定するために、エアロゾル収集時間期間は、一定、例えば、3秒のエアロゾル生成期間でなければならない。
【0071】
気相及び粒子相含有量の決定
エアロゾルの粒子相/気相分配を決定するために利用可能な様々な方法が存在する。簡潔には、エアロゾルは、一連のケンブリッジフィルターパッド(CFP:Cambridge Filter Pad)及びインピンジャに収集され得る。収集前及び収集後の質量が決定され、差が、粒子相を示す。インピンジャは、気相の示度をもたらす。電子エアロゾル供給システムとの使用を促進するように修正される、Johnら、Journal of Aerosol Science、Volume117、2018年3月、100~117頁に説明されるような方法を使用して、デニューダを使用してエアロゾルの粒子相/気相分配を決定することも可能である。
【0072】
粒度分布(MMAD)の決定
エアロゾルの空気動力学的質量中央径(MMAD)を決定するために利用可能な様々な方法が存在する。カスケードインパクション及びレーザ散乱/回折について言及がなされ得る。レーザ散乱/回折によりMMADを決定するために使用するための好適なシステムは、Malvern PanalyticalからのSpraytecレーザ回折システムを含む。
【0073】
本明細書に説明される様々な実施形態は、特許請求された特徴を理解及び教示するのを支援するためだけに提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとして提供されるにすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。本明細書に説明される利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲に対する制限、又は特許請求の範囲の均等物に対する制限と考えられるべきではないこと、並びに、他の実施形態が利用され得、修正が、特許請求された発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、好適には、本明細書に詳細に説明されるもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組合せを含んでもよく、適切な組合せからなってもよく、又は、適切な組合せから本質的になってもよい。加えて、本開示は、現在特許請求されないが、今後特許請求され得る他の発明を含んでもよい。