(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】カメラモジュールおよび端末デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20231219BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2022506565
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2020106958
(87)【国際公開番号】W WO2021027642
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】201911205850.4
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910734247.9
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イエ、ハイシュイ
(72)【発明者】
【氏名】トン、チン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ヘン
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014758(JP,A)
【文献】特開2016-014759(JP,A)
【文献】特開2015-121730(JP,A)
【文献】特開2015-176043(JP,A)
【文献】特開2015-158571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0315333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0307855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327808(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254029(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109407280(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109445072(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109283665(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109375349(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109459840(CN,A)
【文献】中国実用新案第209388016(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体側から像側に光軸の方向に沿って連続的に配置された6枚のレンズからなる光学系を備えるカメラモジュールであって、前記6枚のレンズのうちの少なくとも1枚が自由形状レンズであり、前記自由形状レンズが非回転対称レンズであり、前記被写体側から前記像側への方向にある前記6枚のレンズのうちの1枚目のレンズが第1レンズであり、前記第1レンズの被写体側面と結像面との間の前記光軸上の距離がTTLであり、前記カメラモジュールの有効焦点距離がEFLであり、TTL/EFL≦2.0であ
り、
前記6枚のレンズのうちの前記結像面に隣接したレンズが前記自由形状レンズであり、前記自由形状レンズの前記被写体側面の曲率半径がR61であり、前記自由形状レンズの像側面の曲率半径がR62であり、|EFL/R61|+|EFL/R62|<2という条件が満たされ、
前記被写体側から前記像側への方向にある前記6枚のレンズのうちの5枚目のレンズが第5レンズであり、前記第5レンズの被写体側面の前記光軸に近い領域が凹状である、または、前記第5レンズの像側面の前記光軸に近い領域が凸状である、カメラモジュール。
【請求項2】
前記自由形状レンズが第1平面に対して対称であり、前記自由形状レンズが第2平面に対しても対称であり、
前記第1平面がX軸および前記光軸を含む平面であり、前記第2平面がY軸および前記光軸を含む平面であり、前記X軸および前記Y軸が前記カメラモジュールの前記結像面上で互いに垂直な2本の中心軸である、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、前記自由形状面の面タイプ式が
【数12】
であり、ここで、zが光学面の高低差であり、kが円錐係数であり、cが曲率半径であり、rが前記光軸の前記方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iが多項式係数であり、E
iがX軸座標およびY軸座標の単項式であり、
【数13】
であり、ここで、前記自由形状面の前記面タイプ式のE
iにおけるxおよびyの指数部が両方とも偶数であり、xがX軸座標であり、yがY軸座標である、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、前記自由形状レンズの面タイプ式が
【数14】
であり、ここで、zが光学面の高低差であり、zがxおよびyの式であり、kが円錐係数であり、cが曲率半径であり、rが前記光軸の前記方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iが多項式係数であり、E
iがX軸座標およびY軸座標の単項式であり、
【数15】
であり、ここで、A
iが多項式係数であり、xがX軸座標であり、yがY軸座標である、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、前記自由形状レンズの面タイプ式が
【数16】
であり、ここで、zが光学面の高低差であり、xがX軸座標であり、yがY軸座標であり、k
xおよびk
yが円錐係数であり、c
xおよびc
yが曲率半径であり、A
iおよびB
iが多項式係数である、請求項2に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記X軸および前記Y軸が前記結像面の中心を通過する2本の中心軸であり、それぞれ前記結像面の長辺および短辺に対して平行である、請求項2から5のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記被写体側から前記像側への前記方向に連続的に配置された1枚目のレンズ~5枚目のレンズの被写体側面および像側面の面タイプが全て非球面であり、6枚目のレンズが自由形状レンズである、請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記カメラモジュールの前記結像面における有効画素領域の対角線長さの半分がImgHであり、TTL/ImgH≦2.0とすると、前記カメラモジュールのシステム全長を制限できるようになる、請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記カメラモジュールの入射瞳径がEPDであり、EFL/EPD≦2.2である、請求項1から8のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記カメラモジュールの視野角がFOVであり、FOV≧100°であり、EFL<20mmである、請求項1から9のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記被写体側から前記像側への前記方向に連続的に配置された最初の3枚のレンズがそれぞれ、前記第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズであり、前記カメラモジュールがさらにヴィネッティング抑制装置を備え、前記ヴィネッティング抑制装置が前記第2レンズの被写体側、または前記第3レンズの被写体側に配置され、前記カメラモジュールの広範囲にわたる収差を相殺できるようになる、請求項1から10のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記カメラモジュールがさらに電子イメージセンサを備え、前記電子イメージセンサが前記結像面に配置され、前記カメラモジュールの前記結像面が、前記電子イメージセンサのイメージセンシングエリアと一致する矩形領域であり、少なくとも前記電子イメージセンサの前記イメージセンシングエリアである、請求項1から
11のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記カメラモジュールの電子イメージセンサのイメージセンシング面の対角線長さが少なくとも5.5mmである、請求項1から
12のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載のカメラモジュールを備える端末デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年8月9日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201910734247.9号、および「CAMERA MODULE AND TERMINAL DEVICE(カメラモジュールおよび端末デバイス)」と題する2019年11月29日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201911205850.4号に基づく優先権を主張し、これらの中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、光学結像技術の分野に属し、具体的には、撮影光学系に関するカメラモジュールおよび端末デバイスに属する。
【背景技術】
【0003】
携帯端末デバイスの人気と共に、ユーザが画像を得るための撮影技術が急速な発展を遂げている。広範なマーケットニーズを満たすために、大きいセンササイズ、大きい口径、多様な視野角、および小型の構造がカメラモジュールにとって重要な開発動向である。シングルカメラモジュールから、デュアルカメラモジュールおよびマルチカメラモジュールまで、複数の視野角のレンズの組み合わせが実装されている。これにより、超広角のレンズセットを携帯端末デバイスに適用することも可能になる。
【0004】
超広角レンズはより広い視野角を有するが、相反する光学ディストーションと小型構造とのバランスを保つのが難しい。したがって、ほとんどの超広角レンズの光学ディストーションは比較的大きく、画像のTVディストーションも一見して明らかである。小型構造に限定される携帯電子カメラモジュールの分野では、光学ディストーションの問題がより顕著になり、解決するのが難しい。さらに、端末デバイスに適用する場合には、超広角レンズを用いたビデオ撮影時に、ビデオ映像に対するリアルタイムのディストーション補正が大量の処理リソースを消費するので、こうした補正を実現するのは難しい。
【0005】
超広角レンズセットの光学ディストーションの問題をどう解決するかが、この業界における研究開発の方向になるはずである。
【発明の概要】
【0006】
本願の実施形態が、カメラモジュールおよび端末デバイスを提供する。カメラモジュールは超広角レンズであり、このレンズに非回転対称な自由形状レンズを取り入れて、超広角レンズの光学ディストーションの問題を解決し、超広角で低ディストーションの結像効果を実現することで、ユーザに楽しい体験をもたらす。
【0007】
第1態様によれば、本実施形態が、端末デバイスに適用されるカメラモジュールを提供し、本実施形態には、被写体側から像側に光軸方向に沿って連続的に配置された複数のレンズが含まれる。レンズの枚数は、3枚、4枚、5枚、6枚、または7枚などであってもよい。複数のレンズのうちの少なくとも1枚のレンズが、自由形状レンズである。自由形状レンズは非回転対称レンズであり、被写体側から像側に向かう方向において複数のレンズの1枚目のレンズが第1レンズであり、第1レンズの被写体側面と結像面との間の光軸上の距離がTTLであり、カメラモジュールの有効焦点距離がEFLであり、TTL/EFL≦2.0として、比較的短いTTLを実現する。第1レンズの被写体側面と結像面との間の光軸上の距離がTTLであり、これは具体的には、第1レンズの被写体側面と光軸との交差部と、結像面と光軸との交差部との間の距離である。本願では、自由形状レンズの面タイプが非回転対称である。非回転対称な自由形状レンズは、カメラモジュールの光学設計に関する自由度を高めることができ、結像領域を回点対称なイメージサークルに限定することなく、矩形の結像領域を実現することができる。結像面には電子イメージセンサが配置されており、このイメージセンサは具体的には、端末デバイスに含まれるカメラのセンサチップである。本願では、少なくとも1枚のレンズを自由形状レンズに限定して、カメラモジュールの光学ディストーションの問題を抑制する。カメラモジュールの結像効果を、超広角の場合にも保証することができる。さらに、カメラモジュールの比較的短い全長を得ることができる。言い換えれば、非回転対称な自由形状レンズをカメラモジュールに取り入れることにより、超広角で低ディストーションの結像効果を実現することができる。すなわち、カメラモジュールの系収差を抑制する、または最小限にとどめて、収差補正およびディストーション低減の機能を実現することができる。さらに、自由形状レンズによってカメラモジュールのTTLをさらに短くすることができるので、カメラモジュールの構造が小型になる。
【0008】
実行可能な一実装例では、X軸および光軸が第1平面を形成し、Y軸および光軸が第2平面を形成し、X軸およびY軸は、カメラモジュールの結像面上で互いに垂直な2本の中心軸である。X軸とY軸との交差部が光軸上に位置している。自由形状レンズは第1平面を中心として用いた中心対称構造であり、自由形状レンズは第2平面を中心として用いた中心対称構造でもある。X軸の方向およびY軸の方向における自由形状レンズの対称性によって、結像品質を保証できるようになる。電子センサの結像領域は矩形である。X軸の方向およびY軸の方向における自由形状レンズの対称性によって、結像領域の結像品質が特定の対称性を保つようにする。これにより、光軸に近い中央領域の結像品質が光軸から離れた端部領域の結像品質より優れているということが実現できるようになる。
【0009】
実行可能な一実装例では、自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、自由形状面の面タイプ式が次のように表される。
【数1】
【0010】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、kは円錐係数であり、cは曲率半径であり、rは光軸の方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iは多項式係数であり、E
iはX軸座標およびY軸座標の単項式である。本明細書では、x軸およびy軸の方向は、前述のX軸およびY軸の方向と一致している(これらの軸に対して自由形状レンズが対称となる)。
【数2】
【0011】
自由形状レンズの面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は両方とも偶数であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標である。そのため、自由形状レンズの面タイプは対称性を有する。具体的には、自由形状レンズの面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は、両方とも偶数である。これにより、自由形状レンズの面タイプの対称性を高めて、レンズ処理および検出を容易にすることができる。
【0012】
第2実装例では、自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、自由形状レンズの面タイプ式が次のように表される。
【数3】
【0013】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、kは円錐係数であり、cは曲率半径であり、rは光軸の方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iは多項式係数であり、E
iはX軸座標およびY軸座標の単項式である。
【数4】
【0014】
Aiは多項式係数であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標である。
【0015】
第3実装例では、自由形状レンズの被写体側面もしくは像側面またはその両方が自由形状面であり、自由形状レンズの面タイプ式が次のように表される。
【数5】
【0016】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標であり、kxおよびkyは円錐係数であり、cxおよびcyは曲率半径であり、AiおよびBiは多項式係数である。
【0017】
実行可能な一実装例において、X軸およびY軸は結像面の中心を通過する2本の中心軸であり、それぞれ結像面の長辺および短辺に対して平行である。
【0018】
実行可能な一実装例では、複数のレンズの枚数がN枚であり、N≧3であり、複数のレンズには、被写体側から像側への方向に連続的に配置された1枚目のレンズ~N枚目のレンズが含まれており、1枚目のレンズ~(N-1)枚目のレンズの被写体側面および像側面の面タイプが全て非球面であり、N枚目のレンズは自由形状レンズである。本願の一実施形態に用いられるレンズの枚数は6枚である。別の実装例において、レンズの枚数は7枚または8枚などでもよい。実際の実装プロセスでは、3枚、4枚、または5枚のレンズを含むカメラモジュールが、要求に応じて配置されてもよい。自由形状レンズをカメラモジュールに取り入れることにより、超広角レンズセットで画像ディストーションのない視覚効果が得られ、一般的な非球面光学設計では達成できない結像品質が得られる。
【0019】
実行可能な一実装例では、カメラモジュールの結像面の有効画素領域の対角線長さの半分がImgHであり、TTL/ImgH≦2.0とすると、カメラモジュールのシステム全長を制限できるようになるので、カメラモジュールは小型構造になって、携帯型デバイスの設計要件を満たすようになる。
【0020】
実行可能な一実装例では、カメラモジュールの入射瞳径がEPDであり、EFL/EPD≦2.2である。本実装例では、EFL/EPD≦2.2を制限のために用いるので、カメラモジュールのF値が制限されるようになり、これが結像品質に貢献する。
【0021】
実行可能な一実装例では、カメラモジュールの視野角がFOVであり、FOV≧100°およびEFL<20mmである。カメラモジュールは超広角の結像効果を有する。本実装例では、自由形状レンズをカメラモジュールに取り入れて、超広角レンズセットで短焦点距離、大視野角、および低ディストーションの結像効果を実現する。さらに、カメラモジュールの比較的短い全長が得られ、超広角レンズセットの小型構造が実現される。
【0022】
実行可能な一実装例において、複数のレンズの枚数はN枚であり、被写体側から像側への方向に連続的に配置された最初の3枚のレンズがそれぞれ、第1レンズ、第2レンズ、および第3レンズである。カメラモジュールはさらにヴィネッティング抑制装置を含み、ヴィネッティング抑制装置は、第2レンズの被写体側または第3レンズの被写体側に配置される。ヴィネッティング抑制装置は大きい収差を有する結像線を遮断して(軸を外れたポイントの光線を遮断するとも表現される)、結像品質を向上させることができる。ヴィネッティング抑制装置は、カメラモジュールの中間位置の近くに配置され、カメラモジュールの広範囲にわたる収差を相殺できるようになる。
【0023】
実行可能な一実装例において、複数のレンズのうちの結像面に隣接したレンズは自由形状レンズであり、自由形状レンズの被写体側面の曲率半径がR61であり、自由形状レンズの像側面の曲率半径がR62である。以下の条件、すなわち、|f/R61|+|f/R62|<2を満たすことで、カメラセットの広範囲にわたる収差を補正できるようになる。|f/R61|+|f/R62|が2より大きいまたは2と等しい場合、カメラモジュールの広範囲にわたる収差を補正できるようにならず、結像効果に影響を及ぼす。
【0024】
実行可能な一実装例では、カメラモジュールはさらに、複数のレンズと結像面との間に位置する赤外線フィルタ素子を含む。赤外線フィルタ素子は、画像の周りに生成されるカラーキャストを効果的に軽減することができる。
【0025】
自由形状レンズの光学設計により、カメラモジュールのレンズの枚数を削減して、カメラモジュールの重量を減らすことにより、軽量実装を促進することができる。自由形状レンズの柔軟な空間レイアウトと設計自由度とにより、カメラモジュールの構造が簡略化される。自由形状レンズの光学設計は、最適化の自由度を高め、カメラモジュールの系収差を制御できるようになり、カメラモジュールの全体的な品質を向上させる。
【0026】
実行可能な一実装例において、カメラモジュールはさらに電子イメージセンサを含み、電子イメージセンサは結像面に配置され、カメラモジュールの結像面は矩形領域であり、この領域は電子イメージセンサのイメージセンシングエリアと一致しており、少なくとも電子イメージセンサのイメージセンシングエリアである。言い換えれば、電子イメージセンサは矩形であり、自由形状レンズを用いるカメラモジュールの結像面は矩形領域であり、イメージセンサと一致して結像品質を向上させる。
【0027】
実行可能な一実装例では、電子イメージセンサのイメージセンシング面の対角線長さは、少なくとも5.5mmである。同じ有効画素を有するイメージセンサでは、一般に、イメージセンサのサイズが大きいほど、各画素の単位面積が大きく、性能が高く、記録できる画像詳細が多くなることを示す。本実装例において、イメージセンシング面の対角線長さは、少なくとも5.5mmになるように限定される。これにより、携帯端末に適用されるカメラモジュールが、高いイメージセンシング性能を有し且つ高画質をもたらすことが保証され得る。
【0028】
第2態様によれば、本願は端末デバイスを提供し、端末デバイスは前述の実装例のうちのいずれか1つによるカメラモジュールを含む。
【0029】
本願では、非回転対称な自由形状レンズをレンズセットに取り入れて、超広角レンズセットの光学ディストーションの問題を解決し、カメラモジュールの結像ディストーションの影響を排除し、ユーザ体験を向上させ、優れた光学的品質を得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本願の実施形態における技術的解決手段または背景をより明確に説明するために、以下では、本願の実施形態または背景に用いるのに必要な添付図面を説明する。
【0031】
【
図1】本願による端末デバイスに適用されるカメラモジュールの概略図である。
【0032】
【
図1a】X軸の方向およびY軸の方向に線対象である自由形状レンズの概略図である。
【0033】
【
図2a】本願の実施形態1によるカメラモジュールの概略図である。
【
図2b】本願の実施形態1によるカメラモジュールの概略図である。
【0034】
【
図2c】実施形態1における光学系のディストーション曲線である。
【0035】
【
図2d】実施形態1における光学系の横の色収差曲線である。
【0036】
【
図3a】本願の実施形態2によるカメラモジュールの概略図である。
【
図3b】本願の実施形態2によるカメラモジュールの概略図である。
【0037】
【
図3c】実施形態2における光学系のディストーション曲線である。
【0038】
【
図3d】実施形態2における光学系の横の色収差曲線である。
【0039】
【
図4a】本願の実施形態3によるカメラモジュールの概略図である。
【
図4b】本願の実施形態3によるカメラモジュールの概略図である。
【0040】
【
図4c】実施形態3における光学系のディストーション曲線である。
【0041】
【
図4d】実施形態3における光学系の横の色収差曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、本願の実施形態における添付図面を参照して、本願の実施形態を説明する。
【0043】
図1を参照されたい。本願におけるカメラモジュール10が端末デバイス100に適用されている。端末デバイス100は、携帯電話またはタブレットなどの携帯型端末であってよく、カメラモジュール10は超広角レンズセットであってよい。カメラモジュール10は端末デバイス100の内部に組み立てられ、端末デバイス100のリアカメラでもフロントカメラでもよく、または端末デバイス100のハウジングから外に伸張し得る格納式カメラでもよい。
【0044】
一実装例において、本願で提供されるカメラモジュールは6枚のレンズを含む(6枚のレンズが説明用の具体的な実施形態として用いられる)が、本願においてレンズの枚数を限定することはない。6枚のレンズは、被写体側から像側に光軸の方向に沿って連続的に、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズ、および第6レンズと配置されている。レンズの枚数は6枚に限定されることはなく、別の枚数、例えば、3枚、4枚、5枚、7枚でもよい。複数のレンズのうちの少なくとも1枚のレンズは自由形状レンズであり、自由形状レンズは非回転対称な面タイプである。非回転対称な自由形状レンズは、カメラモジュールの光学設計に関する自由度を高めることができる。第1レンズの被写体側面と結像面との間の光軸上の距離がTTLであり、カメラモジュールの有効焦点距離がEFLであり、TTL/EFL≦2.0として、比較的短いTTLを実現することにより、カメラモジュールの小型構造を促進する。少なくとも1枚のレンズを非回転対称な自由形状面に限定することにより、超広角レンズセットの光学ディストーションの問題を軽減することができ、カメラモジュールは小型構造になるので、ユーザ体験が向上する。レンズ1から5の非球面曲線方程式は次の通りである。
【数6】
【0045】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、kは円錐係数であり、cは曲率半径であり、rは光軸の方向における半径高さであり、r2=x2+y2であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標であり、αiは多項式係数であり、ρiは正規化した半径座標である。
【0046】
本願では、自由形状レンズの面タイプ式(3つの異なる面タイプ式を以下に挙げる)を定義して、X軸の方向およびY軸の方向における自由形状レンズの対称性を実現する。X軸の方向およびY軸の方向は、カメラモジュールの結像面上で互いに垂直な2つの方向である。
【0047】
第1実装例では、非回転対称な自由形状レンズの面タイプ式(すなわち、自由形状球面曲線式)が次のように表される。
【数7】
【0048】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、kは円錐係数であり、cは曲率半径であり、rは光軸の方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iは多項式係数であり、E
iはX軸座標およびY軸座標の単項式である。本明細書では、x軸およびy軸の方向は、前述のX軸およびY軸の方向と一致している(これらの軸に対して自由形状レンズが対称となる)。
【数8】
【0049】
Aiは多項式係数である。
【0050】
自由形状レンズの面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は両方とも偶数であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標である。そのため、自由形状レンズの面タイプは対称性を有する。
【0051】
第2実装例では、自由形状レンズの面タイプ式が次のようになる。
【数9】
【0052】
zは光学面の高低差であり、zはxおよびyの式であり、kは円錐係数であり、cは曲率半径であり、rは光軸の方向における半径高さであり、r
2=x
2+y
2であり、A
iは多項式係数であり、E
iはX軸座標およびY軸座標の単項式である。
【数10】
【0053】
Aiは多項式係数であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標である。
【0054】
第3実装例では、自由形状レンズの面タイプ式が次のようになる。
【数11】
【0055】
zは光学面の高低差であり、xはX軸座標であり、yはY軸座標であり、kxおよびkyは円錐係数であり、cxおよびcyは曲率半径であり、AiおよびBiは多項式係数である。
【0056】
前述の実装例において、自由形状レンズは、自由形状面である1つの面を有してよく、例えば、被写体側面または像側面が自由形状面である。あるいは、両方の面が自由形状面でもよく、すなわち、被写体側面および像側面が両方とも自由形状面である。
【0057】
一実装例において、
図1aはX軸の方向およびY軸の方向に対称な自由形状レンズの概略図である。結像面S14は矩形領域であり、X軸およびY軸は結像面S14上で互いに垂直な2本の中心軸である。X軸とY軸との交差部が光軸上に位置している。具体的には、X軸の方向は矩形の結像面S14の中心を通過する中心軸であり、矩形の結像面S14の長辺に対して平行である。Y軸の方向は矩形の結像面S14の中心を通過する中心軸であり、矩形の結像面S14の短辺に対して平行である。X軸および光軸は第1平面を形成し、Y軸と光軸は第2平面を形成する。自由形状レンズL6は、第1平面を中心として用いた中心対称構造であり、この自由形状レンズは第2平面を中心として用いた中心対称構造でもある。自由形状レンズL6を第1平面に対して中心対称に、且つ第2平面に対して中心対称に保つことで、結像品質を保証できるようになり、光軸に近い中央領域の結像品質が光軸から離れた端部領域の結像品質より優れていることが実現できるようになる。
【0058】
以下では、3つの具体的な実施形態を用いて、本願を詳細に説明する。
[実施形態1]
【0059】
図2aおよび
図2bに示すように、中央の直線が光軸を表しており、カメラモジュールの左側が被写体側であり、カメラモジュールの右側が像側である。本実施形態で提供されるカメラモジュールでは、第1レンズL1、抑制装置STO、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、赤外線フィルタ素子IRCF、および電子イメージセンサが、光軸に沿って被写体側から像側に連続的に配置されている。電子イメージセンサは、結像面S14の位置に配置されてよい。本実装例において、抑制装置STOは第1レンズL1の後に配置されており、カメラモジュールの中間位置に近いため、カメラモジュールの収差を相殺できるようになる。
【0060】
第1レンズL1は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第1レンズL1の被写体側面S1の、光軸に近い領域が凸状である。第1レンズL1の像側面S2の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0061】
第2レンズL2は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第2レンズL2の被写体側面S3の、光軸に近い領域が凸状である。第2レンズL2の像側面S4の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0062】
第3レンズL3は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第3レンズL3の被写体側面S5の、光軸に近い領域が凹状である。第3レンズL3の像側面S6の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0063】
第4レンズL4は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第4レンズL4の被写体側面S7の、光軸に近い領域が凹状である。第4レンズL4の像側面S8の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0064】
第5レンズL5は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第5レンズL5の被写体側面S9の、光軸に近い領域が凹状である。第5レンズL5の像側面S10の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0065】
第6レンズL6は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第6レンズL6の被写体側面S11の、光軸に近い領域が凹状である。第6レンズL6の像側面S12の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、自由形状面である。
【0066】
赤外線フィルタ素子IRCFの被写体側面S13および像側面S14が、両方とも平面である。
【0067】
実施形態1では、第1レンズL1の被写体側面S1と無限遠の被写体の結像面S14との間の光軸上の距離がTTLであり、カメラモジュールの有効焦点距離がEFLである。以下の条件、つまりTTL/EFL≦2.0を満たすことができると、より短いTTLが実現されることで、カメラモジュールの小型化設計が促進され、端末デバイスの内部空間の無駄が省かれ、端末デバイスの薄型化に向けた開発が促進される。
【0068】
実施形態1において、第6レンズL6の自由形状面の面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は、両方とも偶数である。これにより、レンズの面タイプの対称性を高めて、レンズ処理および検出を容易にすることができる。
【0069】
実施形態1の拡張版では、任意選択的に、ヴィネッティング抑制装置ST1(不図示)が第1レンズL1の前に(すなわち、第1レンズL1の被写体側に)配置されてよく、またヴィネッティング抑制装置ST2(不図示)が第6レンズL6の後に(第6レンズL6の像側に)配置されてよく、これにより、カメラモジュールの直径が効果的に減少する。
【0070】
実施形態1では、カメラモジュールの焦点距離がfであり、第6レンズL6の被写体側面S11の曲率半径がR61であり、第6レンズL6の像側面S12の曲率半径がR62である。以下の条件、つまり|f/R61|+|f/R62|=1.37を満たすと、カメラセットの広範囲にわたる収差を補正できるようになるので、カメラモジュールの横の色収差が3μm未満になり、ディストーションは2%未満になる。
【0071】
テーブル1aは、本実施形態における光学系の特性を示すテーブルである。曲率半径および厚さは両方とも、ミリメートル(mm)単位で表されている。
[テーブル1a]
【表1】
【0072】
テーブル1bは、実施形態1における非球面レンズ面S1~S10に用いることができる円錐係数kおよび多項式係数a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、a10、a11、a12、a13、a14、およびa15を示している。
[テーブル1b]
【表2】
【0073】
テーブル1cは、実施形態1における自由形状面S11およびS12に用いることができる円錐係数kおよび高次項係数X2Y0、X0Y2、X4Y0、X2Y2、X0Y4、X6Y0、X4Y2、X2Y4、X0Y6、X8Y0、X6Y2、X4Y4、X2Y6、およびX0Y8を示している。
[テーブル1c]
【表3】
【0074】
図2cは、実施形態1における光学系のディストーション曲線を示しており、この曲線は様々な視野角に対応するディストーション値を表している。
【0075】
図2dは、実施形態1における光学系の横の色収差曲線を示しており、この曲線は、様々な視野角における、5つの異なる波長の光に対応する横の色収差値を表している。矢印指示線を用いて、5つの異なる波長の光を表している。その波長はそれぞれ、510ナノメートル、470ナノメートル、610ナノメートル、550ナノメートル、および650ナノメートルである。
【0076】
図2cおよび
図2dから分かるように、実施形態1で提供される光学系で良好な結像品質が得られる。
[実施形態2]
【0077】
図3aおよび
図3bに示すように、本実装例のカメラモジュールでは、第1レンズL1、第2レンズL2、抑制装置STO、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、赤外線フィルタ素子IRCF、および電子イメージセンサが、光軸に沿って被写体側から像側に連続的に配置されている。電子イメージセンサは、結像面S14(画像面とも呼ばれる)の位置に配置され得る。本実装例において、抑制装置STOは第2レンズL2の後に配置されており、カメラモジュールの中間位置に近いため、カメラモジュールの収差を相殺できるようになる。
【0078】
第1レンズL1は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第1レンズL1の被写体側面S1の、光軸に近い領域が凹状である。第1レンズL1の像側面S2の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0079】
第2レンズL2は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第2レンズL2の被写体側面S3の、光軸に近い領域が凸状である。第2レンズL2の像側面S4の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0080】
第3レンズL3は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第3レンズL3の被写体側面S5の、光軸に近い領域が凸状である。第3レンズL3の像側面S6の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0081】
第4レンズL4は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第4レンズL4の被写体側面S7の、光軸に近い領域が凹状である。第4レンズL4の像側面S8の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0082】
第5レンズL5は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第5レンズL5の被写体側面S9の、光軸に近い領域が凹状である。第5レンズL5の像側面S10の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0083】
第6レンズL6は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第6レンズL6の被写体側面S11の、光軸に近い領域が凹状である。第6レンズL6の像側面S12の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、自由形状面である。
【0084】
実施形態2では、第1レンズL1の被写体側面S1と無限遠の被写体の結像面S14との間の光軸上の距離がTTLであり、カメラモジュールの有効焦点距離がEFLである。以下の条件、つまりTTL/EFL≦2を満たすことができると、より短いTTLが実現されることで、カメラモジュールの小型化設計が促進され、端末デバイスの内部空間の無駄が省かれ、端末デバイスの薄型化に向けた開発が促進される。
【0085】
実施形態2において、第6レンズL6の自由形状面の面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は、両方とも偶数である。これにより、レンズの面タイプの対称性を高めて、レンズ処理および検出を容易にすることができる。
【0086】
実施形態2の拡張版では、任意選択的に、ヴィネッティング抑制装置ST1(不図示)が第1レンズL1の前に(すなわち、第1レンズL1の被写体側に)配置されてよく、またヴィネッティング抑制装置ST2(不図示)が第6レンズL6の後に(第6レンズL6の像側に)配置されてよく、これにより、カメラモジュールの直径が効果的に減少する。
【0087】
実施形態2では、カメラモジュールの焦点距離がfであり、第6レンズL6の被写体側面S11の曲率半径がR61であり、第6レンズL6の像側面S12の曲率半径がR62である。以下の条件、つまり|f/R61|+|f/R62|=0.71を満たすと、カメラセットの広範囲にわたる収差を補正できるようになるので、カメラモジュールの横の色収差が3μm未満になり、ディストーションは2%未満になる。
【0088】
テーブル2aは、本実施形態における光学系の特性を示すテーブルである。曲率半径および厚さは両方とも、ミリメートル(mm)単位で表されている。
[テーブル2a]
【表4】
【0089】
テーブル2bは、実施形態2における非球面レンズ面S1~S10に用いることができる円錐係数kおよび多項式係数a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、a10、a11、a12、a13、a14、およびa15を示している。
[テーブル2b]
【表5】
【0090】
テーブル2cは、実施形態2における自由形状面S11およびS12に用いることができる円錐係数kおよび高次項係数X2Y0、X0Y2、X4Y0、X2Y2、X0Y4、X6Y0、X4Y2、X2Y4、X0Y6、X8Y0、X6Y2、X4Y4、X2Y6、およびX0Y8を示している。
[テーブル2c]
【表6】
【0091】
図3cは、実施形態2における光学系のディストーション曲線を示しており、この曲線は様々な視野角に対応するディストーション値を表している。
【0092】
図3dは、実施形態2における光学系の横の色収差曲線を示しており、この曲線は、様々な視野角における、5つの異なる波長の光に対応する横の色収差値を表している。矢印指示線を用いて、5つの異なる波長の光を表している。その波長はそれぞれ、510ナノメートル、470ナノメートル、610ナノメートル、550ナノメートル、および650ナノメートルである。
【0093】
図3cおよび
図3dから分かるように、実施形態2で提供される光学系で良好な結像品質が得られる。
[実施形態3]
【0094】
図4aおよび
図4bに示すように、本実装例のカメラモジュールでは、第1レンズL1、第2レンズL2、抑制装置STO、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、赤外線フィルタ素子IRCF、および電子イメージセンサが、光軸に沿って被写体側から像側に連続的に配置されている。電子イメージセンサは、結像面S14の位置に配置され得る。
【0095】
第1レンズL1は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第1レンズL1の被写体側面S1の、光軸に近い領域が凹状である。第1レンズL1の像側面S2の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0096】
第2レンズL2は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第2レンズL2の被写体側面S3の、光軸に近い領域が凸状である。第2レンズL2の像側面S4の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0097】
第3レンズL3は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第3レンズL3の被写体側面S5の、光軸に近い領域が凸状である。第3レンズL3の像側面S6の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0098】
第4レンズL4は正の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第4レンズL4の被写体側面S7の、光軸に近い領域が凹状である。第4レンズL4の像側面S8の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0099】
第5レンズL5は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第5レンズL5の被写体側面S9の、光軸に近い領域が凹状である。第5レンズL5の像側面S10の、光軸に近い領域が凹状である。これらの領域は両方とも、非球面である。
【0100】
第6レンズL6は負の屈折力を有しており、樹脂材料で作られている。第6レンズL6の被写体側面S11の、光軸に近い領域が凹状である。第6レンズL6の像側面S12の、光軸に近い領域が凸状である。これらの領域は両方とも、自由形状面である。
【0101】
実施形態3では、第1レンズL1の被写体側面S1と無限遠の被写体の結像面S14との間の光軸上の距離がTTLであり、カメラモジュールの有効焦点距離がEFLである。以下の条件、つまりTTL/EFL≦2を満たすことができると、より短いTTLが実現されることで、カメラモジュールの小型化設計が促進され、端末デバイスの内部空間の無駄が省かれ、端末デバイスの薄型化に向けた開発が促進される。
【0102】
実施形態3において、第6レンズL6の自由形状面の面タイプ式のEiにおけるxおよびyの指数部は、両方とも偶数であり、これにより、レンズの面タイプの対称性を高めて、レンズ処理および検出を容易にする。
【0103】
実施形態3の拡張版では、任意選択的に、ヴィネッティング抑制装置ST1(不図示)が第1レンズL1の前に(すなわち、第1レンズL1の被写体側に)配置されてよく、またヴィネッティング抑制装置ST2(不図示)が第6レンズL6の後に(第6レンズL6の像側に)配置されてよく、これにより、カメラモジュールの直径が効果的に減少する。
【0104】
実施形態3では、カメラモジュールの焦点距離がfであり、第6レンズL6の被写体側面S11の曲率半径がR61であり、第6レンズL6の像側面S12の曲率半径がR62である。以下の条件、つまり|f/R61|+|f/R62|=1.92を満たすと、カメラセットの広範囲にわたる収差を補正できるようになるので、カメラモジュールの横の色収差が3μm未満になり、ディストーションは2%未満になる。
【0105】
テーブル3aは、本実施形態における光学系の特性を示すテーブルである。曲率半径および厚さは両方とも、ミリメートル(mm)単位で表されている。
[テーブル3a]
【表7】
【0106】
テーブル3bは、実施形態3における非球面レンズ面S1~S10に用いることができる円錐係数kおよび多項式係数a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、a10、a11、a12、a13、a14、およびa15を示している。
[テーブル3b]
【表8】
【0107】
テーブル3cは、実施形態3における自由形状面S11およびS12に用いることができる円錐係数kおよび高次項係数X2Y0、X0Y2、X4Y0、X2Y2、X0Y4、X6Y0、X4Y2、X2Y4、X0Y6、X8Y0、X6Y2、X4Y4、X2Y6、およびX0Y8を示している。
[テーブル3c]
【表9】
【0108】
図4cは、実施形態3における光学系のディストーション曲線を示しており、この曲線は様々な視野角に対応するディストーション値を表している。
【0109】
図4dは、実施形態3における光学系の横の色収差曲線を示しており、この曲線は、様々な視野角における、5つの異なる波長の光に対応する横の色収差値を表している。矢印指示線を用いて、5つの異なる波長の光を表している。その波長はそれぞれ、510ナノメートル、470ナノメートル、610ナノメートル、550ナノメートル、および650ナノメートルである。
【0110】
図4cおよび
図4dから分かるように、実施形態3で提供される光学系で良好な結像品質が得られる。
【0111】
本願の例示的実施形態が上述されている。当業者であればさらに、いくつかの改良例および変更例を本願の原理から逸脱することなく作り出すかもしれないが、こうした改良例および変更例も本願の保護範囲内であるとみなされることに留意されたい。