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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バンパーの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20231219BHJP
   B62D 25/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60R19/24 N
B60R19/24 R
B62D25/16 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020033183
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133862
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 隼平
(72)【発明者】
【氏名】青木 太希
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-169930(JP,A)
【文献】特開2007-137351(JP,A)
【文献】特開2003-231448(JP,A)
【文献】特開2000-079857(JP,A)
【文献】特開2014-108714(JP,A)
【文献】特開2008-087611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/24
B62D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーと、
前記バンパーを車体に取り付けるバンパーサポートと、
前記バンパーサポートを介して、前記車体に取り付けられるフェンダー部材とを備え、
前記バンパーは、バンパー側取付部と、前記バンパーサポートに重複して配置される端部側のバンパー縁部とを備え、
前記フェンダー部材は、フェンダー側取付部と、前記バンパーサポートに重複して配置される端部側のフェンダー縁部とを備え、
前記バンパーサポートは、前記バンパー側取付部が嵌め込まれる第一孔と、前記フェンダー側取付部が嵌め込まれる第二孔と、前記車体側に向かって突出するリブとを備え、
前記第一孔と前記第二孔とは、前記バンパー縁部と、前記フェンダー縁部とが並列するように設けられ、
更に、前記バンパー及び前記フェンダー部材の少なくとも一部を覆うと共に、前記バンパー縁部と前記フェンダー縁部との隙間の少なくとも一部を覆うサイドカバーを備え
前記リブは、前記第一孔および前記第二孔に近接する位置で前記隙間を跨ぐように配置され、
前記リブの先端は前記車体に近接する、
バンパーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車体にバンパーを取り付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示すように、自動車の車体100には、バンパー120と、フェンダー部材とが取り付けられる。ここでの車体100とは、フェンダーパネル、サイドアウターパネル等の車体パネルである。フェンダー部材は、フェンダーアーチモール140、特許文献1に記載されるアーチ部分を備えるフェンダーパネル等である。図7は、車体100であるフェンダーパネルに、バンパー120及びフェンダーアーチモール140が取り付けられた従来の構造の一例を示す。特許文献1は、図7の構造に類似する構造を示す。
【0003】
バンパー120は、バンパーサポート130又はバンパーホルダを介して、車体100に取り付けられる。詳しくは、バンパーサポート130は図示しない取付部材によって車体100に取り付けられる。バンパーサポート130は係合孔131を有する。係合孔131には、バンパー120の係合爪121が嵌め込まれる。その結果、バンパー120は、バンパーサポート130に支持されることで、車体100に取り付けられる。
【0004】
フェンダーアーチモール140は、バンパーサポート130とは別の取付部材149を介して車体100に取り付けられる。
【0005】
バンパー120の端部側の縁部125とフェンダーアーチモール140の端部側の縁部145とが向かい合って配置されると共に並列するように、係合爪121及び係合孔131、取付部材149の取付箇所が設けられる。端部側の縁部125,145は、バンパー120とフェンダーアーチモール140との境界を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-087611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車体に取り付けられるバンパーとフェンダー部材との境界の近くの領域について、剛性を高めることが望まれる。
【0008】
上述の従来の構造では、バンパー120における車体100に対する取付箇所と、フェンダーアーチモール140における車体100に対する取付箇所との少なくとも一方が、端部側の縁部125,145、即ち部材の境界から離れている。そのため、縁部125,145の近くの領域、即ち部材の境界の近くの領域では、剛性が低くなる。従って、上記境界の近くの領域は、外力を受けると凹み易い。図7に示すように、フェンダーアーチモール140の縁部145の近くの領域と、車体100との間に空間が設けられる場合には、縁部145の近くの領域は、外力によって更に凹み易い。
【0009】
また、バンパー120、フェンダーアーチモール140等の部材は、自動車の外装を構成する。ここで、上述の各取付箇所に配置される取付部材が別部材である。そのため、バンパー120、フェンダー部材、取付部材等の公差、これらの部材の組付誤差等を考慮して、縁部125,145間の隙間9が広く設定される。隙間9が大きいことは、意匠性の低下を招く。意匠性を高めるためには、隙間9が小さいことが望ましい。
【0010】
そこで、本発明の目的の一つは、バンパーとフェンダー部材との境界の近くの領域が剛性に優れるバンパーの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一態様に係るバンパーの取付構造は、
バンパーと、
前記バンパーを車体に取り付けるバンパーサポートと、
前記バンパーサポートを介して、前記車体に取り付けられるフェンダー部材とを備え、
前記バンパーは、バンパー側取付部と、前記バンパーサポートに重複して配置される端部側の縁部とを備え、
前記フェンダー部材は、フェンダー側取付部と、前記バンパーサポートに重複して配置される端部側の縁部とを備え、
前記バンパーサポートは、前記バンパー側取付部が嵌め込まれる第一孔と、前記フェンダー側取付部が嵌め込まれる第二孔とを備え、
前記第一孔と前記第二孔とは、前記バンパーの前記縁部と、前記フェンダー部材の前記縁部とが並列するように設けられ、
更に、前記バンパー及び前記フェンダー部材の少なくとも一部を覆うサイドカバーを備える。
【0012】
(2)本発明のバンパーの取付構造の一例として、
前記バンパーサポートは、前記車体側に向かって突出するリブを備える形態が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)のバンパーの取付構造では、一つのバンパーサポートがバンパーとフェンダー部材との双方を車体に取り付ける。そのため、バンパーにおける車体に対する取付箇所であるバンパー側取付部と、フェンダー部材における車体に対する取付箇所であるフェンダー側取付部とが近接されているといえる。特に、バンパーサポートは、バンパーの端部側の縁部とフェンダー部材の端部側の縁部との間をわたって配置される。そのため、バンパー側取付部とフェンダー側取付部とは、両縁部の近くの領域に配置されているといえる。更に、バンパーサポートは、両縁部の近くの領域より車体側に配置される。このようなバンパーサポートによって、両縁部の近くの領域、即ちバンパーとフェンダー部材との境界の近くの領域は補強される。そのため、上記(1)のバンパーの取付構造では、上記境界の近くの領域が剛性に優れる。また、上記境界の近くの領域は、外力を受けても凹み難い。
【0014】
更に、サイドカバーは、バンパーの端部側の縁部とフェンダー部材の端部側の縁部間の隙間を覆うことに利用できる。サイドカバーに覆われることで、上記隙間が小さくなる。この点から、上記(1)のバンパーの取付構造は、意匠性を高められる。
【0015】
上記(2)のバンパーの取付構造では、バンパーとフェンダー部材との境界の近くの領域は、リブによって、剛性をより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係るバンパーの取付構造を備える車両において、左後輪の近くの部分を左斜め方向から見た斜視図である。
図2】実施形態1に係るバンパーの取付構造であって、車両の右後方に配置される部分を分解して示す斜視図である。
図3】実施形態1に係るバンパーの取付構造に備えられるバンパーサポートを車外側から見た模式図である。
図4】実施形態1に係るバンパーの取付構造に備えられるバンパーサポートを車室側、又は車体側から見た斜視図である。
図5】実施形態1に係るバンパーの取付構造を図4に示すV-V切断線で切断した断面図である。
図6】実施形態1に係るバンパーの取付構造を図4に示すVI-VI切断線で切断した断面図である。
図7】従来のバンパーの取付構造の一例であって、車体とバンパーサポートとバンパーとの積層方向に沿った平面で上記取付構造を切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明のバンパーの取付構造を具体的に説明する。
図中、同一符号は同一名称物を示す。
【0018】
[実施形態1]
図1から図6を参照して、実施形態1に係るバンパーの取付構造を説明する。
図3は、図4に示すバンパーサポート3をひっくり返して、車外側から見た状態を簡略化して模式的に示す。
図5図6は、車体100とバンパーサポート3とバンパー2との積層方向に沿った平面で、実施形態1のバンパーの取付構造1を切断した断面図である。
図5の切断位置は、図4の切断線に示すように、バンパーサポート3において第一孔31及び第二孔32が設けられた箇所である。バンパーサポート3は、上記切断位置において、一組の第一孔31及び第二孔32の並び方向に沿った平面で切断されている。上記並び方向は、図5では左右方向である。
図6の切断位置は、図4の切断線に示すように、バンパーサポート3においてリブ34が設けられた箇所である。一つのリブ34が上記切断位置において、リブ34の厚さ方向に直交する平面で切断されている。
なお、図1に示す各切断線は、図4に示す各切断線に概ね相当する。
図において、「UP」は車両10の上側、「LWR」は車両10の下側、「LH」は車両10の左側、「RH」は車両10の右側、「FR」は車両10の前側、「RR」は車両10の後側を意味する。また、図において、「OUT」は車外側、「IN」は車室側を意味する。
【0019】
(概要)
実施形態1のバンパーの取付構造1は、図2の黒矢印に示すように、四輪自動車等の車両10(図1)に備えられる車体100に、バンパー2を取り付けることに利用される。バンパーの取付構造1は、バンパー2と、バンパーサポート3と、フェンダー部材4とを備える(図1図5も参照)。バンパーサポート3は、バンパー2を車体100に取り付けることに利用される。本例のフェンダー部材4は、フェンダーアーチモールである。フェンダー部材4も車体100に取り付けられる。なお、本例の車体100は、フェンダーパネルである。
【0020】
特に、実施形態1のバンパーの取付構造1では、バンパーサポート3は、バンパー2に加えて、フェンダー部材4を車体100に取り付けることにも利用される。更に、実施形態1のバンパーの取付構造1は、バンパー2及びフェンダー部材4の少なくとも一部を覆うサイドカバー5を備える。本例では、サイドカバー5は、バンパー2の端部側の縁部25とフェンダー部材4の端部側の縁部45間の隙間9(図5)が小さくなるように配置される。
【0021】
以下、バンパー2、フェンダー部材4、バンパーサポート3、サイドカバー5を順に説明する。
【0022】
(バンパー)
本例のバンパー2は、図1に示すように、車両10の後方に配置されるリアバンパーである。詳しくは、本例のバンパー2は、左側の後輪101の後方側から、車両10の後面を経て、右側の後輪の後方側にわたるように配置される帯状の部材である。また、本例のバンパー2は、概ね左右対称な形状である。
【0023】
バンパー2は、図5に示すように、バンパー側取付部21と、バンパーサポート3に重複して配置される端部側の縁部25とを備える。バンパー側取付部21は、バンパー2における後輪101側に配置される各端部に設けられる。バンパー2の各端部は、車外側から車室側に向かってL字状に屈曲した形状である。屈曲箇所の稜線は端部側の縁部25を構成する。端部側の縁部25は、バンパー2の縁部のうち、フェンダー部材4側に配置される箇所を構成する。本例では、縁部25は、一直線状に設けられる(図2)。バンパー2の各端部の先端部は、フェンダー部材4側に向かって突出する爪部23を構成する。バンパー側取付部21は、上述の屈曲箇所における車室側に配置される部分と、爪部23とを備える。本例のバンパー2は、このようなバンパー側取付部21を複数備える。
【0024】
本例では、バンパー2の各端部は、端部側の縁部25を含めて、サイドカバー5に覆われる(図1も参照)。そのため、バンパー2の各端部は、車外側から見えない。バンパー2の主体部は、サイドカバー5に覆われずに露出される(図1)。上記主体部は、バンパー2の両端部以外の箇所であって、車両10の車幅の概ね全範囲にわたって延びる箇所である。上記主体部における車外側の面は、意匠面として利用される。
【0025】
本例では、図2に示すように、バンパー2の各端部は、バンパー2における両端部を除く部分より車室側に向かって凹む。つまり、バンパー2は、バンパー2の各端部がバンパー2の上述の主体部より車室側に向かって凹んだ段差形状である。バンパー2の各端部における上記の段差は、上記各端部にサイドカバー5が配置された状態において、バンパー2の上記主体部の意匠面がサイドカバー5の車外側の面である意匠面に面一になるように調整される(図1)。上記段差部分の稜線は、カバー側縁部26を構成する。
【0026】
(フェンダー部材)
本例のバンパーの取付構造1は、二つのフェンダー部材4を備える。図2に示すように、各フェンダー部材4は、後述するバンパーサポート3を介して車体100に取り付けられる。各フェンダー部材4の端部側の縁部45が、バンパー2の左端側の縁部25及び右端側の縁部25に近接して配置される。その結果、バンパー2の左端及び右端のそれぞれから連続するようにフェンダー部材4が配置される(図5図6も参照)。
本例では、車両10の左側に配置されるフェンダー部材4と、車両10の右側に配置されるフェンダー部材4とは左右対称の構造である。以下、右側のフェンダー部材4を例に説明する。
【0027】
本例のフェンダー部材4は、後輪101の外周面のうち上側の領域を囲むように配置される部材であり(図1)、後輪101の外周面に沿った湾曲形状の部材である。フェンダー部材4は、図5に示すように、フェンダー側取付部41と、バンパーサポート3に重複して配置される端部側の縁部45とを備える。フェンダー側取付部41は、フェンダー部材4におけるバンパー2の縁部25側に配置される端部に設けられる。フェンダー部材4の上記端部は、バンパー2側に突出するフランジ部と、車外側から車室側に向かって延びる脚部とを有するT字形状である。端部側の縁部45は、フランジ部の端縁である。また、端部側の縁部45は、フェンダー部材4の縁部のうち、バンパー2側に配置される箇所を構成する。本例では、縁部45は、一直線状に設けられる(図1図5)。フェンダー部材4の脚部の先端部は、バンパー2側に向かって突出する爪部43を構成する。フェンダー側取付部41は、上記脚部と、爪部43とを備える。本例のフェンダー部材4は、このようなフェンダー側取付部41を複数備える。
【0028】
フェンダー部材4における車外側の面のうち、後輪101に沿った湾曲面は、端部側の縁部45を含めて、意匠面として利用される。フェンダー側取付部41は、車室側に配置されると共に、上述のフランジ部に覆われるため、車外側から見えない(図1)。
【0029】
本例では、図5図6に示すように、バンパー2の車外側の面と、フェンダー部材4の車外側の面とが段差を有するように、バンパー2及びフェンダー部材4が配置される。特に、本例では、フェンダー部材4の車外側の面がバンパー2の車外側の面より車外側に配置される。即ち、フェンダー部材4の車外側の面は、バンパー2の車外側の面より車外側に出っ張る。バンパー2の車外側の面は、フェンダー部材4の車外側の面より車内側に凹んでいる。サイドカバー5は、この段差に配置される。そのため、バンパー2の各端部における車外側の面は、サイドカバー5に覆われる(図1も参照)。上記段差の高さは、サイドカバー5の厚さに実質的に等しい。そのため、バンパー2の各端部における車外側の面がサイドカバー5によって覆われた状態では、サイドカバー5によって、上記段差が実質的になくなる。また、本例では、フェンダー部材4の車外側の面は、サイドカバー5の車外側の面と面一になるように設けられる(図1)。
【0030】
(バンパーサポート)
本例のバンパーの取付構造1は、二つのバンパーサポート3を備える。各バンパーサポート3は、バンパー2及びフェンダー部材4の双方を車体100に取り付ける部材として利用される(図2)。
本例では、車両10の左側に配置されるバンパーサポート3と、右側に配置されるバンパーサポート3とは左右対称の構造である。以下、主に図3から図6を参照して、右側のバンパーサポート3を例に説明する。
【0031】
バンパーサポート3は、車体100に取り付けられた状態において、バンパー2の右端側の領域とフェンダー部材4の端部側の領域とにわたって配置される(図5図6)。また、バンパーサポート3は、両領域の車体100側に配置される(図5図6)。そのため、バンパーサポート3は、車外側から見えない(図1の点線参照)。
【0032】
バンパーサポート3は、第一孔31と第二孔32とを備える(図3図4)。図5に示すように、第一孔31には、バンパー側取付部21が嵌め込まれる。第二孔32には、フェンダー側取付部41が嵌め込まれる。一組の第一孔31と第二孔32とは、バンパー2の端部側の縁部25とフェンダー部材4の端部側の縁部45とが並列するように設けられる。なお、本例では、上述のようにバンパー2の端部とフェンダー部材4とは車内側から車外側に向かう方向にずれて配置される。そのため、縁部25,45は並列するものの、上記方向にずれて配置される。
【0033】
本例では、図3図4に示すように、第一孔31及び第二孔32は、バンパーサポート3の縁部の近くの箇所に設けられる。図3に示すように、第一孔31及び第二孔32は、車室側から車外側に貫通する長方形状の孔である。また、本例では、一組の第一孔31及び第二孔32は、第一孔31の長辺部と第二孔32の長辺部とが向かい合って並列するように設けられる。つまり、第一孔31の長辺部と第二孔32の長辺部とは、上記長方形の長辺方向に重複する箇所を有する。なお、上記長方形の長辺方向は、バンパーサポート3の縁部の延設方向に概ね相当する。一組の第一孔31及び第二孔32の並び方向は、上記長方形の短辺方向に概ね相当する。
【0034】
本例では、図6に示すように、バンパーサポート3において、一組の第一孔31及び第二孔32が設けられる箇所及びその近くの箇所は、断面W字状である。断面W字状の箇所における車室側に配置される二つの谷部分にそれぞれ、第一孔31及び第二孔32が設けられる。そのため、図3図5に示すように、バンパーサポート3は、第一孔31と第二孔32とを仕切る中間壁部33を備える。中間壁部33は、断面W字状の箇所における車外側に配置される一つ山部分である(図6)。つまり、一組の第一孔31と第二孔32との間隔は、中間壁部33の幅に等しい。そのため、一組の第一孔31及び第二孔32は近接しているといえる。また、一組の第一孔31及び第二孔32に嵌め込まれる一組のバンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41も近接して配置されるといえる。本例のバンパーサポート3は、このような第一孔31及び第二孔32の組を複数備える。
【0035】
バンパー2及びフェンダー部材4が車体100に取り付けられた状態では、バンパー2の端部側の縁部25とフェンダー部材4の端部側の縁部45とが並列することで、縁部25,45間には、一直線状の隙間9が設けられる。両縁部25,45の近くの領域を車外側から見た状態において、バンパーサポート3の中間壁部33の少なくとも一部は、この隙間9に重複するように配置される(図5図6)。
【0036】
更に、本例では、バンパーサポート3はリブ34を備える(図4図6)。リブ34は車体100側に向かって突出する(図6)。本例のリブ34は、台形の板状である(図4図6)。リブ34は、バンパーサポート3における第一孔31及び第二孔32の形成箇所の近くの箇所から、第一孔31及び第二孔32がつくる仮想の平面に直交するように立設される(図4)。また、リブ34は、リブ34における台形の底辺が一組の第一孔31及び第二孔32の並び方向に沿うように配置される(図4)。
【0037】
本例では、バンパーサポート3は、複数のリブ34を備える。詳しくは、バンパーサポート3は、合計六つのリブ34を備える(図4)。少なくとも一つのリブ34は、隣り合う第一孔31間に配置されると共に、隣り合う第二孔32間に配置される。つまり、隣り合う組の第一孔31及び第二孔32の間に、少なくとも一つのリブ34が配置される。本例では、各組の第一孔31及び第二孔32を挟むように、二つのリブ34が配置される。
【0038】
また、本例では、複数のリブ34のうち、少なくとも一つのリブ34の先端部が車体100に近接するように(図6)、リブ34の長さが調整されている。例えば、リブ34の長さは、リブ34の先端部と車体100との間隔がリブ34の長さの1/5以下、更に1/10以下に調整されることが挙げられる。本例では、複数組の第一孔31及び第二孔32のうち、縁部25,45の延伸方向の中間部に位置する組の第一孔31及び第二孔32の両側に設けられるリブ34の長さは、他の組の第一孔31及び第二孔32の両側に設けられるリブ34の長さより長い(図6)。図4では、二組目に対応するリブ34の長さが、一組目、三組目に対応するリブ34の長さより長い。この長いリブ34が車体100に近接されている。また、この長いリブ34は、台形状の面に直交するように突起部が設けられている。一方、上述の他の組のリブ34は、上記突起部を有さない。また、上記他の組のリブ34の面積は、上記長いリブ34の面積より小さい。上記長いリブ34は、上記突起部を備えること、及び面積が大きいことによって、上述の他の組のリブ34より剛性に優れる。なお、リブ34の数、形状、突起部の有無、長さ等は適宜変更できる。
【0039】
その他、バンパーサポート3は、第一孔31及び第二孔32の形成箇所以外の箇所に、取付孔39を備える(図3図4)。取付孔39には図示しないグロメット等が配置されると共に、バンパーサポート3を車体100に取り付けるための部材、例えばネジが締め付けられる。
【0040】
(取付部及び孔の詳細)
本例では、バンパー側取付部21の数及びフェンダー側取付部41の数が同じである。本例のバンパーの取付構造1は、複数組のバンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41を備える。複数組のバンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41は、並列される縁部25,45に沿って、所定の間隔をあけて並ぶ。各組のバンパー側取付部21とフェンダー側取付部41とが向かい合って並ぶように(図5)、各バンパー側取付部21の配置位置及び各フェンダー側取付部41の配置位置が調整される。
【0041】
本例では、第一孔31の数と第二孔32の数が同じであり、上述のように向かい合って並んで組をなす(図3図4)。各組のバンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41の配置位置に対応して、各組の第一孔31及び第二孔32の配置位置が調整される。
【0042】
バンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41の組数、及び第一孔31及び第二孔32の組数は、本例では三組であるが、適宜変更できる。組数が多いほど、バンパー2及びフェンダー部材4は、車体100に強固に取り付けられる。組数が少ないほど、車体100に対して、バンパー2の付け外し作業、及びフェンダー部材4の付け外し作業が行い易い。
【0043】
本例では、第一孔31に嵌め込まれたバンパー側取付部21の爪部23と、第二孔32に嵌め込まれたフェンダー側取付部41の爪部43とは、バンパーサポート3の中間壁部33を抱え込むように配置される(図5)。即ち、各爪部23,43は、中間壁部33の各端縁を係止する。
【0044】
(サイドカバー)
本例のバンパーの取付構造1は、二つのサイドカバー5を備える。本例では、各サイドカバー5は、主として、バンパー2の左端部、右端部を覆う部材として利用される(図1図2)。
本例では、バンパー2の左端部を覆うサイドカバー5と、バンパー2の右端部を覆うサイドカバー5とは左右対称の構造である。以下、右側のサイドカバー5を例に説明する。
【0045】
本例では、図2に示すように、サイドカバー5は、車両10の右後面と右側面との角部を覆う屈曲形状の部材である。サイドカバー5は、フェンダー側縁部55と、バンパー側縁部56とを有する。フェンダー側縁部55は、サイドカバー5がバンパー2の右端部を覆った状態において、フェンダー部材4の端部側の縁部45に向かい合って並列する(図1図5図6)。バンパー側縁部56は、バンパー2のカバー側縁部26に向かい合って並列する(図1)。
【0046】
図5図6に示すように、本例では、サイドカバー5におけるフェンダー側縁部55側の領域は、上述のバンパー2とフェンダー部材4との段差に配置される。特に、サイドカバー5のフェンダー側縁部55は、バンパー2の端部側の縁部25とフェンダー部材4の端部側の縁部45との隙間9を狭めるように、隙間9に突出して配置される。即ち、フェンダー側縁部55は、バンパー2の縁部25からフェンダー部材4の縁部45側に向かって突出する。その結果、フェンダー側縁部55とフェンダー部材4の端部側の縁部45との隙間90は隙間9より小さい。サイドカバー5のフェンダー側縁部55におけるバンパー2の端部側の縁部25からの突出量は、隙間90が可及的に小さくなるように調整されることが好ましい。
【0047】
(取付手順)
実施形態1のバンパーの取付構造1は、例えば、以下のように構築する。
(1)車体100にバンパーサポート3を取り付ける。
(2)バンパーサポート3の第一孔31及び第二孔32にそれぞれ、バンパー2のバンパー側取付部21、フェンダー部材4のフェンダー側取付部41を嵌め込む。例えば、車外側からバンパーサポート3側に向かって、バンパー側取付部21及びフェンダー側取付部41を移動させることで、第一孔31、第二孔32に嵌め込む。バンパー2とフェンダー部材4との取付は、同時に行うこともできるし、順に行うこともできる。また、車両10の上方から下方に向かってバンパー2の縁部25をスライドさせて、バンパー側取付部21を第一孔31に嵌め込んでもよい。
(3)バンパー2の各端部にサイドカバー5を取り付ける。
【0048】
(その他)
本例では、バンパー2、バンパーサポート3、フェンダー部材4、及びサイドカバー5はいずれも樹脂成形体である。これらの部材の構成材料は適宜変更できる。また、本例では、フェンダー部材4の構成材料及び色と、サイドカバー5の構成材料及び色とが同じである。そのため、フェンダー部材4とサイドカバー5とは、連続した質感を有する意匠を構成する。
【0049】
(主な作用・効果)
実施形態1のバンパーの取付構造1では、一つのバンパーサポート3によって、バンパー2とフェンダー部材4との両部材が車体100に取り付けられる。また、バンパーサポート3によって、バンパー2の縁部25の近くに設けられるバンパー側取付部21とフェンダー部材4の縁部45の近くに設けられるフェンダー側取付部41とが近接して配置される。更に、バンパーサポート3がバンパー2の端部側の縁部25及びフェンダー部材4の端部側の縁部45の近くの領域、即ちバンパー2とフェンダー部材4との境界の近くの領域より車室側に配置される。このようなバンパーサポート3によって、上記境界の近くの領域は補強される。そのため、上記境界の近くの領域は、剛性に優れる。このような実施形態1のバンパーの取付構造1では、上記境界の近くの領域が外力を受けても凹み難い。
【0050】
本例では、バンパーサポート3が複数のリブ34を備えることで、第一孔31及び第二孔32の形成箇所及びその近くの箇所が剛性に優れることからも、上記境界の近くの領域は、外力によって凹み難い。特に、少なくとも一つのリブ34の先端部が車体100に近接されることで、上記境界の近くの領域が車室側に向かう外力を受けると、リブ34の先端部が車体100に当接する。このリブ34の先端部が車体100への当て止めとなることで、上記境界の近くの領域は、外力によって車室側に更に凹み難い。特に、上記境界の近くの領域のうち、凹み易いと考えられる箇所である縁部25,45の延伸方向の中間部に、上記当て止めとなるリブ34が設けられている。また、このリブ34が上述の突起部を備える。これらのことからも、上記境界の近くの領域は、外力によって車室側に凹み難い。
【0051】
更に、サイドカバー5がバンパー2の縁部25とフェンダー部材4の縁部45間の隙間9を覆うことで、車外側に見えるフェンダー部材4の縁部45とサイドカバー5のフェンダー側縁部55間の隙間90が小さい。このような実施形態1のバンパーの取付構造1は、意匠性に優れる。本例では、バンパー2とフェンダー部材4との段差にサイドカバー5のフェンダー側縁部55側の領域が配置されると共に、段差の高さとサイドカバー5の厚さとが実質的に等しい。また、バンパー2の車外側の面とフェンダー部材4の車外側の面とは、サイドカバー5の車外側の面と面一な部分を有する。そのため、一つのバンパー2と、二つのサイドカバー5と、二つのフェンダー部材4とは、凹凸が少ない連続的な意匠を構成することができる。このことからも、実施形態1のバンパーの取付構造1は、意匠性に優れる。
【0052】
更に、サイドカバー5が上記隙間9を覆う構成では、上記隙間9を広く設定することができる。そのため、バンパー2及びフェンダー部材4の設計の自由度が高い。
【0053】
更に、バンパー2における車体100に対する取付部材と、フェンダー部材4における車体100に対する取付部材とは、共通する一つのバンパーサポート3である。そのため、部品点数が少ない上に、組付工程数が少ない。ここで、図7に示す従来の構造では、仮に隙間9が小さく設定されると、縁部125,145が干渉することを回避するための部材が別途必要である。実施形態1のバンパーの取付構造1は、上記干渉の回避部材が不要なことからも、部品点数が少ない。
【0054】
その他、本例では、爪部23,43が向かい合って配置される。そのため、バンパーサポート3からバンパー2及びフェンダー部材4を取り外す際、縁部25,45間の隙間90を広げるように、バンパー2及びフェンダー部材4を動作させ易い。そのため、実施形態1のバンパーの取付構造1は、上述の取り外し作業を行い易い。なお、爪部23,43が互いに離れる側に向いて配置される場合では、上述の取り外し作業の際、縁部25,45間の隙間90を狭めるようにバンパー2及びフェンダー部材4を動かす必要がある。そのため、上記の動作スペースが狭い場合には、取り外しが行い難い。
【0055】
本発明は、これらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施形態1において、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)バンパー2がフロントバンパーである。
(2)フェンダー部材4がアーチ部分を含むフェンダーパネルである。
(3)バンパー側取付部21及び第一孔31の数と、フェンダー側取付部41及び第二孔32の数とが異なる。
(4)バンパーサポート3が複数の第一孔31と、複数の第二孔32とを備え、少なくとも一組の第一孔31及び第二孔32は、バンパーサポート3の縁部の延設方向にずれて並び、上記延設方向に重複していない。
【符号の説明】
【0056】
1 バンパーの取付構造
2 バンパー
21 バンパー側取付部、23 爪部、25 縁部、26 カバー側縁部
3 バンパーサポート
31 第一孔、32 第二孔、33 中間壁部、34 リブ
39 取付孔
4 フェンダー部材
41 フェンダー側取付部、43 爪部、45 縁部
5 サイドカバー
55 フェンダー側縁部、56 バンパー側縁部
9,90 隙間
10 車両
100 車体、101 後輪
120 バンパー、130 バンパーサポート、140 フェンダーアーチモール
121 係合爪、125,145 縁部、131 係合孔、149 取付部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7