(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】操作された応力分布を有するガラス系物品及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
C03B 32/00 20060101AFI20231219BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C03B32/00
C03C23/00 Z
(21)【出願番号】P 2018568291
(86)(22)【出願日】2017-06-27
(86)【国際出願番号】 US2017039370
(87)【国際公開番号】W WO2018005410
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ファガン,スマリー リキトヴァニチクル
(72)【発明者】
【氏名】ファーナス,ウィリアム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ククセンコヴァ,エカテリーナ アレクサンドロヴナ
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】河本 充雄
【審判官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240346(JP,A)
【文献】特開2009-179552(JP,A)
【文献】特開2008-226377(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145503(WO,A1)
【文献】国際公開第02/016280(WO,A2)
【文献】特開2015-024939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B23/00-35/26
C03C15/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁部を有する第1の表面を備える、ガラス系物品であって、
前記第1の表面の最大光遅延は前記縁部において発生し、前記最大光遅延は40nm以下であり、
前記光遅延は、前記縁部から、前記第1の表面の中央領域に向かって減少し、前記中央領域は、前記縁部から前記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、前記距離は、前記縁部から前記中心点までの最短距離の1/2であり、
前記第1の表面の前記縁部は張力下であり、前記第1の表面の前記中心点は圧縮応力下である、ガラス系物品。
【請求項2】
前記最大光遅延は25nm以下である、請求項1に記載のガラス系物品。
【請求項3】
前記最大光遅延は5nm以下である、請求項1又は2に記載のガラス系物品。
【請求項4】
前記第1の表面は20μm以下の平坦度を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス系物品。
【請求項5】
ガラス系基板を加工するための方法であって:
第1の表面及び反対側の第2の表面を有するガラス系基板を、前記2つの表面の間で押圧するステップ;
前記ガラス系基板全体が第1の温度を超えるように、前記2つの表面の間で押圧された前記ガラス系基板を加熱するステップであって、前記第1の温度は前記ガラス系基板のアニール点より高い、ステップ;
前記2つの表面の間で押圧された前記ガラス系基板を、所定の時間にわたって前記第1の温度に保持するステップ;並びに
前記所定の時間の後に、前記ガラス系基板全体が第2の温度未満となるように、前記2つの表面の間で押圧された前記ガラス系基板を冷却するステップであって、前記第2の温度は前記ガラス系基板の歪み点未満であ
り、冷却は2℃/分以下の速度で行われ、当該冷却中、
(i)前記ガラス系基板の縁部は前記ガラス系基板の中央よりも1℃~12℃だけ低温であるか、または
(ii)前記ガラス系基板の中央は前記ガラス系基板の縁部よりも1℃~12℃だけ低温である、ステップ
を含み、
前記第1の表面の縁部は圧縮応力下であり、前記第1の表面の中心点は張力下であるか、または前記第1の表面の前記縁部は張力下であり、前記第1の表面の前記中心点は圧縮応力下である、方法。
【請求項6】
前記ガラス系基板の前記第1の表面の最大光遅延は前記縁部において発生し、前記最大光遅延は40nm以下であり、前記光遅延は、前記縁部から、前記第1の表面の中央領域に向かって減少し、前記中央領域は、前記縁部から前記第1の表面の前記中心点までの距離によって画定された境界線を有し、前記距離は、前記縁部から前記中心点までの最短距離の1/2である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の表面の前記最大光遅延は5nm以下である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の表面は20μm以下の平坦度を有する、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2016年6月30日出願の米国仮特許出願第62/356904号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は信頼できるものであり、その全体が参照によって本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、キャリア基板として使用できるガラス系物品に関し、より詳細には、操作された応力分布を有するガラス系キャリア基板に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業は、例えばシリコンウェハの薄型化及びシリコンウェハへのチップの組み付けを含む様々な製造手順中にシリコンウェハを支持するために、キャリア基板又はウェハに依存している。従来、キャリア基板又はウェハはシリコン製であった。しかしながら最近では、ガラス系キャリア基板又はウェハが、シリコンキャリア基板の代わりに使用されている。このような例において、典型的には、シリコンキャリア基板又はウェハを取り扱うために使用されるものと同一の設備を、ガラス系キャリア基板又はウェハの取り扱いのために用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラス系キャリア基板又はウェハが、シリコンキャリア基板又はウェハのために使用されている既存の設備を利用できるようにすることに対して、需要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、ガラス系物品は、縁部を有する第1の表面を含み、上記第1の表面の最大光遅延は上記縁部において発生し、上記最大光遅延は約40nm以下であり、上記光遅延は、上記縁部から、上記第1の表面の中央領域に向かって減少し、上記中央領域は、上記縁部から上記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、上記距離は、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である。
【0006】
第1の態様による第2の態様では、上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する。
【0007】
第1又は第2の態様による第3の態様では、上記物品は、25℃~300℃の温度範囲にわたって約25×10-7/℃~約130×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する。
【0008】
第1~3の態様のいずれか1つによる第4の態様では、上記中央領域の上記境界線に沿ったいずれの位置における上記光遅延は同一である。
【0009】
第1~4の態様のいずれか1つによる第5の態様では、上記ガラス系物品の形状は、円形、正方形、長方形及び楕円形からなる群から選択される。
【0010】
第1~5の態様のいずれか1つによる第6の態様では、上記第1の表面における光遅延プロファイルは、上記表面の上記中心点に関して対称である。
【0011】
第1~6の態様のいずれか1つによる第7の態様では、上記最大光遅延は約25nm以下である。
【0012】
第1~7の態様のいずれか1つによる第8の態様では、上記最大光遅延は約5nm以下である。
【0013】
第1~8の態様のいずれか1つによる第9の態様では、上記第1の表面は約20μm以下の平坦度を有する。
【0014】
第1~9の態様のいずれか1つによる第10の態様では、上記第1の表面の上記縁部は圧縮応力下にある。
【0015】
第10の態様による第11の態様では、上記第1の表面の中央は張力下にある。
【0016】
第1~10の態様のいずれか1つによる第12の態様では、上記第1の表面の上記縁部は張力下にある。
【0017】
第12の態様による第13の態様では、上記第1の表面の上記中央は圧縮応力下にある。
【0018】
第1~13の態様のいずれか1つによる第14の態様では、上記ガラス系物品は更に、上記第1の表面とは反対側の第2の表面を含み、上記第2の表面の最大光遅延は縁部において発生し、上記最大光遅延が約40nm以下である。
【0019】
第12の態様による第15の態様では、上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する。
【0020】
第13の態様による第16の態様では、上記第2の表面は約25μm以下の平坦度を有する。
【0021】
第1~第16の態様のいずれか1つによる第17の態様では、上記物品はガラス又はガラスセラミックである。
【0022】
第18の態様では、ガラス系基板を加工するための方法は:第1の表面及び反対側の第2の表面を有するガラス系基板を、上記2つの表面の間で押圧するステップ;上記ガラス系基板全体が第1の温度を超えるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を加熱するステップであって、上記第1の温度は上記ガラス系基板の上記アニール点より高い、ステップ;上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を、所定の時間にわたって上記第1の温度に保持するステップ;並びに上記所定の時間の後に、上記ガラス系基板全体が第2の温度未満となるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を冷却するステップであって、上記第2の温度は上記ガラス系基板の歪み点未満である、ステップを含む。
【0023】
第18の態様による第19の態様では、上記ガラス系基板の上記第1の表面の最大光遅延は縁部において発生し、上記最大光遅延は約40nm以下であり、上記光遅延は、上記縁部から、上記第1の表面の中央領域に向かって減少し、上記中央領域は、上記縁部から上記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、上記距離は、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である。
【0024】
第18又は第19の態様による第20の態様では、上記物品は、25℃~300℃の温度範囲にわたって約25×10-7/℃~約130×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する。
【0025】
第18~20の態様のいずれか1つによる第21の態様では、上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する。
【0026】
第18~21の態様のいずれか1つによる第22の態様では、上記第1の表面の上記最大光遅延は約5nm以下である。
【0027】
第18~22の態様のいずれか1つによる第23の態様では、上記第1の表面は約20μm以下の平坦度を有する。
【0028】
第18~23の態様のいずれか1つによる第24の態様では、上記加熱するステップは、少なくとも約1℃/分の速度で行われる。
【0029】
第24の態様による第25の態様では、上記加熱するステップは、約1℃/分~約10℃/分の速度で行われる。
【0030】
第18~25の態様のいずれか1つによる第26の態様では、上記所定の時間は少なくとも約1時間である。
【0031】
第26の態様による第27の態様では、上記所定の時間は約1時間~約5時間である。
【0032】
第18~27の態様のいずれか1つによる第28の態様では、上記冷却するステップは、約1℃/分以下の速度で行われる。
【0033】
第18~28の態様のいずれか1つによる第29の態様では、上記第1の温度は、上記アニール点の約5℃上~上記アニール点の約10℃上である。
【0034】
第18~29の態様のいずれか1つによる第30の態様では、上記ガラス系基板の上記縁部は、上記ガラス系基板の中央より迅速に冷却される。
【0035】
第18~29の態様のいずれか1つによる第31の態様では、上記ガラス系基板の上記中央は、上記ガラス系基板の上記縁部より迅速に冷却される。
【0036】
更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、「発明を実施するための形態」から、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本明細書に記載されている実施形態を実践することによって、当業者には容易に明らかとなるだろう。
【0037】
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」の両方は、単なる例であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は、1つ以上の実施形態を図示しており、本説明と併せて、これら様々な実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0038】
以下は添付の図面中の図の説明である。これらの図は縮尺が必ずしも正確ではなく、明瞭性及び簡潔さのために、特定の図、及び図の特定の視野を、縮尺を誇張して、又は概略的に示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】中央領域の境界線を示す、例示的なガラス系物品の平面図
【
図3】2つの押圧表面の間で押圧されたガラス系基板の組立体
【
図4】実施例1の試料3の例示的な光遅延プロファイル
【発明を実施するための形態】
【0040】
これより、本発明の1つ以上の好ましい実施形態について詳細に言及する。上記実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に図示されている。可能な場合は常に、図面全体を通して、同一又は同様の部分を指すために同一の参照番号を用いるものとする。
【0041】
本明細書で開示されるのは、半導体製造中にシリコンウェハを支持するためのキャリア基板又はウェハとして使用できるガラス系物品である。このガラス系物品は、シリコンキャリア基板の代わりに使用すること、及びチップ組み立て中にシリコンキャリア基板を取り扱うために使用されるものと同一の半導体産業用設備で使用することを目的としたものである。ガラス系物品の熱膨張係数(CTE)に応じて、ガラス系物品はシリコンより最大2倍低い剛度を有する場合があり、これは取り扱い中のガラス系物品の破断を招く恐れがある。また、ピック・アンド・プレースアーム等の設備に関して拾い上げの失敗を削減するため、及び加工中のシリコンウェハに関して剥離を削減するための、所望の平坦度を達成するために、ガラス系物品を研磨する必要があり得る。本開示のガラス系物品は、上記ガラス系物品を、上述の問題を生じることなく既存の設備で使用できるようにする、操作された応力分布及び/又は平坦度を有することができる。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品の表面の最大光遅延は約40nm以下、約25nm以下、又は約5nm以下であり、上記光遅延は、上記縁部から、上記第1の表面の中央領域に向かって減少し、上記中央領域は、上記縁部から上記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、上記距離は、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品の少なくとも1つの表面は、25μm以下又は20μm以下の平坦度を有する。また、上述の特徴を有するガラス系物品を作製するための方法も開示される。
【0042】
図1は、第1の表面102及び反対側の第2の表面104を有する例示的なガラス系物品100の斜視図を示す。第1の表面102は、ガラス系物品100の外周の周りの縁部106を有する。同様に第2の表面104は、ガラス系物品100の外周の周りの縁部108を有する。ガラス系物品100は円形のものとして示されているが、ガラス系物品100は、長方形、正方形、楕円形等といった他のいずれの形状を有することもできることを理解されたい。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「ガラス系(glass‐based)」は、ガラス及びガラスセラミックを意味する。ガラス系物品100は、所望のCTEを有するいずれの好適なガラス又はガラスセラミックであってよく、例えばアルカリ非含有アルミノシリケートガラス及びアルカリ含有アルミノシリケートガラスを含んでよい。いくつかの実施形態では、ガラス系物品は、イオン交換性アルカリアルミノシリケートガラス及びガラスセラミックであってよい。いくつかの実施形態では、アルカリアルミノシリケートガラスは、少なくとも約2モル%のP2O5、又は少なくとも約4モル%のP2O5を含み、ここで(M2O3(モル%)/RxO(モル%))<1であり、M2O3=Al2O3+B2O3であり、RxOは、アルカリアルミノシリケートガラス中に存在する1価及び2価カチオン酸化物の合計である。いくつかの実施形態では、上記1価及び2価カチオン酸化物は、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上記ガラスはリチウム非含有であり:約40モル%~約70モル%のSiO2;約11モル%~約25モル%のAl2O3;約2モル%のP2O5、又は約4モル%~約15モル%のP2O5;約10モル%のNa2O、又は約13モル%~約25モル%のNa2O;約13~約30モル%のRxO(ここでRxOは、上記ガラス中に存在するアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物及び遷移金属一酸化物の合計である);約11モル%~約30モル%のM2O3(ここでM2O3=Al2O3+B2O3である);0モル%~約1モル%のK2O;0モル%~約4モル%のB2O3;並びに3モル%以下の、TiO2、MnO、Nb2O5、MoO3、Ta2O5、WO3、ZrO2、Y2O3、La2O3、HfO2、CdO、SnO2、Fe2O3、CeO2、As2O3、Sb2O3、Cl、及びBrのうちの1つ以上を含むか、又は本質的にこれらからなり、ここで1.3<[(P2O5+R2O)/M2O3]≦2.3であり、R2Oは上記ガラス中に存在する1価カチオン酸化物の合計である。いくつかの実施形態では、上記ガラスはリチウム非含有であり、他の実施形態では、最大約10モル%のLi2O、又は最大約7モル%のLi2Oを含む。上記ガラスは、Timothy M. Grossによる米国特許第9,156,724号明細書「高い割れ開始閾値を有するイオン交換性ガラス(Ion Exchangeable Glass with High Crack Initiation Threshold)」に記載されており、上記特許の内容はその全体が参照によって本出願に援用される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ガラス系物品100は、25~300℃の温度範囲にわたって、約25×10-7/℃以上、約30×10-7/℃以上、約35×10-7/℃以上、約40×10-7/℃以上、約50×10-7/℃以上、約60×10-7/℃以上、約70×10-7/℃以上、約80×10-7/℃以上、約90×10-7/℃以上、約100×10-7/℃以上、約110×10-7/℃以上、又は約120×10-7/℃以上のCTEを有する。いくつかの実施形態では、ガラス系物品100は、25~300℃の温度範囲にわたって、約25×10-7/℃~約130×10-7/℃、約25×10-7/℃~約100×10-7/℃、約25×10-7/℃~約90×10-7/℃、約25×10-7/℃~約75×10-7/℃、約30×10-7/℃~約100×10-7/℃、約30×10-7/℃~約90×10-7/℃、約30×10-7/℃~約75x10-7/℃、約40×10-7/℃~約100×10-7/℃、約40×10-7/℃~約90×10-7/℃、約40×10-7/℃~約75x10-7/℃、約50×10-7/℃~約100×10-7/℃、約50×10-7/℃~約90×10-7/℃、又は約50×10-7/℃~約75×10-7/℃のCTEを有する。CTEは、ASTM E228‐11に準拠したプッシュロッド膨張計を用いて測定してよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、ガラス系物品100の第1の表面102及び/又は第2の表面104は、約25μm以下、約23μm以下、約20μm以下、約18μm以下、約15μm以下、約13μm以下、約10μm以下、約8μm、又は約5μm以下の平坦度を有してよい。いくつかの実施形態では、ガラス系物品100の第1の表面102及び/又は第2の表面104は、約3μm~約25μm、約5μm~約25μm、約8μm~約25μm、約10μm~約25μm、約13μm~約25μm、約15μm~約25μm、約15μm~約23μm、又は約15μm~約20μm、及びこれらの間のいずれの範囲又は部分範囲内の平坦度を有してよい。本明細書中で使用される場合、用語「平坦度(flatness)」は、最高点とガラス系物品100の形状に適用される最小二乗焦点面との間、及び最低点と上記最小二乗焦点面との間においてそれぞれ測定された最大距離の絶対値の合計として定義される。最高点及び最低点はいずれも、ガラス系物品100の同一の表面に対するものである。最小二乗焦点面は、クランプ係留されていない(自由な状態の)ガラス系物品の形状に対して適用される。最小二乗焦点面は以下の方法で決定される。ある平面は、等式z=A+Bx-Cyによって決定される。次に最小二乗平面フィットを、上記平面からの実際のデータの偏差の二乗和の行列最小化によって決定する。この方法により、最小二乗値A、B及びCが得られる。行列は以下のように決定される:
【0046】
【0047】
この等式をA、B及びCに関して解くことにより、最小二乗フィットが完成する。平坦度は、Tropel FlatMaster MSP(Multi‐Surface Profiler)を用いて測定してよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、最大光遅延は、上記物品の厚さを通過する、第1の表面102及び第2の表面104に対して垂直な光路114を用いて測定され、上記表面の縁部(例えば第1の表面102に関する縁部106及び第2の表面104に関する縁部108)において発生する。いくつかの実施形態では、最大光遅延は、約40nm以下、約38nm以下、約35nm以下、約33nm以下、約30nm以下、約28nm以下、約25nm以下、約23nm以下、約20nm以下、約18nm以下、約15nm以下、約13nm以下、約10nm以下、約8nm以下、約5nm以下、約4nm以下、又は約3nm以下である。いくつかの実施形態では、最大光遅延は、0超~約40nm、0超~約35nm、0超~約30nm、0超~約25nm、0超~約20nm、0超~約15nm、0超~約13nm、0超~約10nm、0超~約8nm、0超~約5nm、約2nm~約40nm、約2nm~約35nm、約2nm~約30nm、約2nm~約25nm、約2nm~約20nm、約2nm~約15nm、約2nm~約13nm、約2nm~約10nm、約5nm~約40nm、約5nm~約35nm、約5nm~約30nm、約5nm~約25nm、約5nm~約20nm、約5nm~約15nm、約5nm~約13nm、約5nm~約10nm、約8nm~約15nm、約8nm~約13nm、並びにこれらの間の全ての範囲及び部分範囲内である。光遅延は、ASTM F218‐13に従って測定してよい。
【0049】
測定の一部として、遅延を、上記厚さを通過する第1の表面102及び第2の表面104に対して垂直な光路114を用いて測定する。これは、表面102から表面104までの厚さを通る積分遅延である(又は同様に、表面104から表面102までの厚さを通る反対方向の経路を用いて測定してよい)。遅延の大きさ及び遅軸の方向を、表面上の位置に対する位置にマッピングする。遅軸は張力と位置合わせされ、圧縮応力に対して垂直である。外側縁部では、縁部を超える外力は存在しないため、光遅延の遅軸が上記縁部において上記縁部に対して垂直である場合、これは上記縁部が圧縮応力下にあることを示しており、また光遅延の遅軸が上記縁部において上記縁部に対して平行である場合、これは上記縁部が張力下にあることを示している。例えば円形の部品において、光遅延の遅軸が縁部において径方向である場合、これは上記縁部が圧縮応力下にあることを示しており、また光遅延の遅軸が上記縁部において上記縁部おいて接線方向である場合、これは上記縁部が張力下にあることを示している。
【0050】
縁部から離れた位置での測定に関しては、縁部から表面の中心点へと延在する直線に対する遅軸の配向を調査できる。いくつかの実施形態では、ガラス系物品100は縁部106/108において圧縮応力下にあり(即ち遅軸が縁部に対して垂直であり)、中心点において張力下にある(即ち遅軸が、縁部から中心点へと延在する直線に対して平行である)。縁部を圧縮応力下とし、かつ中心点を張力下とすると、ガラス系物品100の耐久性及び形状安定性が上昇する点で有利となり得る。
【0051】
他の実施形態では、ガラス系物品100は縁部106/108において張力下にあり(即ち遅軸が縁部に対して平行であり)、中心点において圧縮応力下にある(即ち遅軸が、縁部から中心点へと延在する直線に対して垂直である)。縁部を張力下とし、かつ中心点を圧縮応力下とすると、ガラス系物品100が、半導体産業用設備でのガラス系物品100の取り扱いに有用となり得るドーム形状となる点で有利となり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、例えば
図2に示すように、物品の第1の表面102の光遅延は、縁部から第1の表面102の中央領域110に向かって減少する。中央領域110は、縁部から第1の表面の中心点までの距離dによって画定される境界線112を有し、距離dは、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である。物品が円形である
図2では、距離dは円の半径の1/2である。しかしながら円形の物品は単なる例であり、物品は上述のように、長方形、正方形又は楕円形であってもよい。いくつかの実施形態では、中央領域内の少なくとも1つの範囲は光遅延がゼロである。いくつかの実施形態では、例えば物品が円形である場合、中央領域内に、光遅延がゼロとなる1つの範囲が存在する。他の実施形態では、例えば物品が長方形又は正方形である場合、中央領域内に、光遅延がゼロとなる2つの別個の範囲が存在する。いくつかの実施形態では、ガラス系物品100の表面の光遅延プロファイルは対称であり、従って、例えばガラス系物品100が円形である場合、ガラス系物品100の表面の中心点からある所与の距離における光遅延が、上記表面の平面に沿ったいずれの方向において同一となる。いくつかの実施形態では、光遅延はガラス系物品100の表面に沿って勾配を有し、従って最小光遅延が表面の中央において発生し、最大光遅延が表面の縁部において発生する。
【0053】
上で開示されている、縁部における特定の最大光遅延、光遅延プロファイル、応力分布及び/又は平坦度を有するガラス系物品は、以下の例示的なプロセスを用いて得ることができる:第1の表面及び反対側の第2の表面を有するガラス系基板を、上記2つの表面の間で押圧するステップ;上記ガラス系基板全体が第1の温度を超えるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を加熱するステップであって、上記第1の温度は上記ガラス系基板の上記アニール点より高い、ステップ;上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を、所定の時間にわたって上記第1の温度に保持するステップ;並びに上記所定の時間の後に、上記ガラス系基板全体が第2の温度未満となるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を冷却するステップであって、上記第2の温度は上記ガラス系基板の歪み点未満である、ステップ。
【0054】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、ガラス系基板100は2つの押圧表面320の間に配置される。
図3は、押圧表面320の間に配置された単一のガラス系基板100を示しているが、これは単なる例である。いくつかの実施形態では、ガラス系基板の積層体を2つの押圧表面の間に配置してよく、また1つの押圧表面をガラス系基板の間に挟んでもよい。押圧表面320は、ガラス系基板100への熱伝達が可能ないずれの好適な材料、例えば溶融シリカプレートで作製してよい。いくつかの実施形態では、押圧表面320は、約25μm以下又は約20μm以下の平坦度、及び約750nm~約900nmの表面粗度(R
a)を有してよい。平坦度は、Tropel FlatMaster MSP(Multi‐Surface Profiler)を用いて測定してよい。表面粗度(R
a)は、Zygo製の表面形状計を用いて測定してよく、この表面形状計では、面積が約100μm×100μmの少なくとも3つの試料範囲を測定して平均する。いくつかの実施形態では、外圧を組立体に印加する。他の実施形態では、ガラス系基板に印加される力は、プレートに起因する重力である。
【0055】
いくつかの実施形態では、押圧表面とガラス系材料との組立体をアニール点より高い第1の温度まで加熱する上記ステップは、約1℃/分~約10℃/分の速度で行われる。いくつかの実施形態では、熱は、ガラス系基板と押圧表面との組立体を炉内で加熱することによって印加される。他の実施形態では、ガラス系基板を誘導加熱又はマイクロ波加熱で加熱してよい。いくつかの実施形態では、第1の温度は、ガラス系基板のアニール点より約5℃又は約10℃高い。いくつかの実施形態では、第1の温度は、ガラス系基板のアニール点より約5℃~約10℃高い。
【0056】
いくつかの実施形態では、温度を第1の温度に保持する上記所定の時間は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、又は約4時間である。いくつかの実施形態では、温度を第1の温度に保持する上記所定の時間は、約1時間~約5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、約2時間~約5時間、約2時間~約4時間、又は約3時間~約5時間である。
【0057】
いくつかの実施形態では、上記冷却するステップは、約1~2℃/分以下の速度で行われる。いくつかの実施形態では、第2の温度は、ガラス系基板の歪み点より約50℃以上低い。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100と押圧表面320との組立体を、熱の印加を除去することによって冷却する。いくつかの実施形態では、上記冷却するステップを、例えば強制空気の使用によって支援する。他の実施形態では、上記冷却するステップは支援されない。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の縁部がガラス系基板100の中央よりも迅速に冷却されるように、上記冷却するステップを支援する。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の縁部は、ガラス系基板100の中央よりも、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、又は約12℃だけ低温であってよい。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の縁部は冷却中、ガラス系基板100の中央よりも、約1℃~約12℃、約1℃~約11℃、約1℃~約10℃、約1℃~約9℃、約1℃~約8℃、約1℃~約7℃、約1℃~約6℃、約1℃~約5℃、約1℃~約4℃、約1℃~約3℃、約1℃~約2℃、約2℃~約12℃、約2℃~約11℃、約2℃~約10℃、約2℃~約9℃、約2℃~約8℃、約2℃~約7℃、約2℃~約6℃、約2℃~約5℃、約2℃~約4℃、約2℃~約3℃、約3℃~約12℃、約3℃~約11℃、約3℃~約10℃、約3℃~約9℃、約3℃~約8℃、約3℃~約7℃、約3℃~約6℃、約3℃~約5℃、約3℃~約4℃、約4℃~約12℃、約4℃~約11℃、約4℃~約10℃、約4℃~約9℃、約4℃~約8℃、約4℃~約7℃、約4℃~約6℃、又は約4℃~約5℃だけ低温であってよい。いくつかの実施形態では、冷却中に縁部と中央との間の温度差が大きくなるほど、ガラス系基板の縁部と中央領域との間の光遅延の差が大きくなる。
【0058】
ガラス系基板を上述のプロセスで処理することにより、圧縮応力下の縁部及び張力下の中心点を有する表面を備えたガラス系物品が得られる。縁部が中央よりも迅速に冷却されるため、縁部が先に歪み点に到達し、これにより縁部のサイズ及び形状が固定されると考えられる。基板が縁部から中央へと冷却され続ける際、基板は収縮し、縁部が先に歪み点に到達するため、収縮によって中央への径方向の牽引が発生し、これにより、縁部の圧縮応力及び中央の径方向張力がもたらされる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の中央がガラス系基板100の縁部よりも迅速に冷却されるように、上記冷却するステップを支援する。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の中央は、ガラス系基板100の縁部よりも、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、又は約12℃だけ低温であってよい。いくつかの実施形態では、ガラス系基板100の中央は冷却中、ガラス系基板100の縁部よりも、約1℃~約12℃、約1℃~約11℃、約1℃~約10℃、約1℃~約9℃、約1℃~約8℃、約1℃~約7℃、約1℃~約6℃、約1℃~約5℃、約1℃~約4℃、約1℃~約3℃、約1℃~約2℃、約2℃~約12℃、約2℃~約11℃、約2℃~約10℃、約2℃~約9℃、約2℃~約8℃、約2℃~約7℃、約2℃~約6℃、約2℃~約5℃、約2℃~約4℃、約2℃~約3℃、約3℃~約12℃、約3℃~約11℃、約3℃~約10℃、約3℃~約9℃、約3℃~約8℃、約3℃~約7℃、約3℃~約6℃、約3℃~約5℃、約3℃~約4℃、約4℃~約12℃、約4℃~約11℃、約4℃~約10℃、約4℃~約9℃、約4℃~約8℃、約4℃~約7℃、約4℃~約6℃、又は約4℃~約5℃だけ低温であってよい。ガラス系基板を上述の冷却プロセスで処理することにより、圧縮応力下の中央及び張力下の縁部を有する表面を備えたガラス系物品が得られる。いくつかの実施形態では、冷却中に縁部と中央との間の温度差が大きくなるほど、ガラス系基板の縁部と中央領域との間の光遅延の差が大きくなる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例によって、様々な実施形態が更に明らかになるであろう。
【0061】
実施例1
直径12インチ(30.48cm)及び厚さ1.1mmのガラスウェハを、5枚の積層体として提供し、ガラスウェハの間には直径310mm及び厚さ10mmの溶融シリカプレートを配置した。この組立体を、2枚の30mm溶融シリカプレートの間で押圧した。ガラスウェハの組成は:約57.43モル%のSiO2、16.1モル%のAl2O3、17.05モル%のNaO、2.81モル%のMgO、0.07モル%のSnO2、及び6.54モル%のP2O5であった。組立体を炉に入れ、標的温度652℃まで約10℃/分の速度で加熱し、組立体を1時間にわたって652℃に保持した後、約1℃/分という制御された速度で200℃まで冷却した。次に組立体を、制御されていない速度で室温まで冷却した。以下の表1は、ウェハを上述の熱処理に供する前及び後の、5つの試料の平坦度を提供する。各試料に関して、上向き(上側)及び下向き(下側)両方の平坦度を、Tropel FlatMaster MSP(Multi‐Surface Profiler)を用いて測定した。
【0062】
【0063】
上のデータにおいて確認できるように、上記プロセスは概して、両方の表面において平坦度の値を低下させている。
図4は、試料3の直径に沿った光遅延のグラフである。
図4において確認できるように、25nm未満の縁部における光遅延が達成された。
図4においてプロットされているデータは、測定系のノイズを低減するために中央値フィルタを適用し、ウェハの縁部が0mmとなるようにオフセットした。
図4において0mmの左側及び300mmの右側に対して示されているデータは、ウェハが載置された表面の遅延の測定値であり、ウェハ自体の遅延の測定値ではない。
【0064】
実施例2
直径約300mm及び厚さ1.1mmのガラスウェハを、5枚の積層体として提供し、ガラスウェハの間には直径310mm及び厚さ2.3mmの溶融シリカプレートを配置した。この組立体を、3枚の10mm溶融シリカプレート2組の間で押圧した。ガラスウェハの組成は:約57.43モル%のSiO
2、16.1モル%のAl
2O
3、17.05モル%のNaO、2.81モル%のMgO、0.07モル%のSnO
2、及び6.54モル%のP
2O
5であった。組立体を炉に入れ、標的温度652℃まで約5℃/分の速度で加熱し、組立体を6時間にわたって652℃に保持した後、約0.5℃/分という制御された速度で200℃まで冷却した。次に組立体を、制御されていない速度で室温まで冷却した。
図5は、y軸上にプロットされた光遅延(nm)と、x軸上にプロットされた縁部からの距離(mm)とを示す。光遅延の測定値は最初の40mmに関してしか示されていないが、最大光遅延が縁部において発生して、ウェハの中央に向かって減少することが示されている。
図5においてプロットされているデータは、測定系のノイズを低減するために中央値フィルタを適用し、ウェハの縁部が0mmとなるようにオフセットした。
図5において0mmの左側及び300nmの右側に対して示されているデータは、ウェハが載置された表面の遅延の測定値であり、ウェハ自体の遅延の測定値ではない。
【0065】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0066】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0067】
実施形態1
縁部を有する第1の表面を備える、ガラス系物品であって、
上記第1の表面の最大光遅延は上記縁部において発生し、上記最大光遅延は約40nm以下であり、
上記光遅延は、上記縁部から、上記第1の表面の中央領域に向かって減少し、上記中央領域は、上記縁部から上記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、上記距離は、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である、ガラス系物品。
【0068】
実施形態2
上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する、実施形態1に記載のガラス系物品。
【0069】
実施形態3
上記物品は、25℃~300℃の温度範囲にわたって約25×10-7/℃~約130×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する、実施形態1又は2に記載のガラス系物品。
【0070】
実施形態4
上記中央領域の上記境界線に沿ったいずれの位置における上記光遅延は同一である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0071】
実施形態5
上記ガラス系物品の形状は、円形、正方形、長方形及び楕円形からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0072】
実施形態6
上記第1の表面における光遅延プロファイルは、上記表面の上記中心点に関して対称である、実施形態1~5のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0073】
実施形態7
上記最大光遅延は約25nm以下である、実施形態1~6のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0074】
実施形態8
上記最大光遅延は約5nm以下である、実施形態1~7のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0075】
実施形態9
上記第1の表面は約20μm以下の平坦度を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0076】
実施形態10
上記第1の表面の上記縁部は圧縮応力下にある、実施形態1~9のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0077】
実施形態11
上記第1の表面の中央は張力下にある、実施形態10に記載のガラス系物品。
【0078】
実施形態12
上記第1の表面の上記縁部は張力下にある、実施形態1~9のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0079】
実施形態13
上記第1の表面の上記中央は圧縮応力下にある、実施形態12に記載のガラス系物品。
【0080】
実施形態14
上記第1の表面とは反対側の第2の表面を更に備え、上記第2の表面の最大光遅延は縁部において発生し、上記最大光遅延が約40nm以下である、実施形態1~13のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0081】
実施形態15
上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する、実施形態14に記載のガラス系物品。
【0082】
実施形態16
上記第2の表面は約25μm以下の平坦度を有する、実施形態15に記載のガラス系物品。
【0083】
実施形態17
上記物品はガラス又はガラスセラミックである、実施形態1~16のいずれか1つに記載のガラス系物品。
【0084】
実施形態18
ガラス系基板を加工するための方法であって:
第1の表面及び反対側の第2の表面を有するガラス系基板を、上記2つの表面の間で押圧するステップ;
上記ガラス系基板全体が第1の温度を超えるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を加熱するステップであって、上記第1の温度は上記ガラス系基板の上記アニール点より高い、ステップ;
上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を、所定の時間にわたって上記第1の温度に保持するステップ;並びに
上記所定の時間の後に、上記ガラス系基板全体が第2の温度未満となるように、上記2つの表面の間で押圧された上記ガラス系基板を冷却するステップであって、上記第2の温度は上記ガラス系基板の歪み点未満である、ステップ
を含む、方法。
【0085】
実施形態19
上記ガラス系基板の上記第1の表面の最大光遅延は縁部において発生し、上記最大光遅延は約40nm以下であり、上記光遅延は、上記縁部から、上記第1の表面の中央領域に向かって減少し、上記中央領域は、上記縁部から上記第1の表面の中心点までの距離によって画定された境界線を有し、上記距離は、上記縁部から上記中心点までの最短距離の1/2である、実施形態18に記載の方法。
【0086】
実施形態20
上記物品は、25℃~300℃の温度範囲にわたって約25×10-7/℃~約130×10-7/℃の熱膨張係数(CTE)を有する、実施形態18又は19に記載の方法。
【0087】
実施形態21
上記第1の表面は約25μm以下の平坦度を有する、実施形態18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態22
上記第1の表面の上記最大光遅延は約5nm以下である、実施形態18~21のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態23
上記第1の表面は約20μm以下の平坦度を有する、実施形態18~22のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態24
上記加熱するステップは、少なくとも約1℃/分の速度で行われる、実施形態18~23のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態25
上記加熱するステップは、約1℃/分~約10℃/分の速度で行われる、実施形態24に記載の方法。
【0092】
実施形態26
上記所定の時間は少なくとも約1時間である、実施形態18~25のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態27
上記所定の時間は約1時間~約5時間である、実施形態26に記載の方法。
【0094】
実施形態28
上記冷却するステップは、約1℃/分以下の速度で行われる、実施形態18~27のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態29
上記第1の温度は、上記アニール点の約5℃上~上記アニール点の約10℃上である、実施形態18~28のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態30
上記ガラス系基板の上記縁部は、上記ガラス系基板の中央より迅速に冷却される、実施形態18~29のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態31
上記ガラス系基板の上記中央は、上記ガラス系基板の上記縁部より迅速に冷却される、実施形態18~29のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0098】
100 ガラス系物品、ガラス系基板
102 第1の表面
104 第2の表面
106 縁部
108 縁部
110 第1の表面102の中央領域
112 境界線
114 光路
320 押圧表面