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  • 特許-肌の明度向上方法 図1
  • 特許-肌の明度向上方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】肌の明度向上方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20231219BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 8/45 20060101ALI20231219BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/60
A61K8/34
A61K8/19
A61K8/45
A61Q19/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019044752
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020147510
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼ウェブサイトのアドレス:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B1%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%B3-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%A3%BD%E8%96%AC-%E3%82%B1%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%81%B5%E3%81%8D%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%82%B7%E3%83%9F%E5%AF%BE%E7%AD%96%E6%B6%B2-160ml/dp/B07KZFYT9C ウェブサイトの掲載日: 平成30年11月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】東浦 千夏
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-154945(JP,A)
【文献】特開2008-174527(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062469(WO,A1)
【文献】特開2007-191438(JP,A)
【文献】特開2001-010943(JP,A)
【文献】炭の露 クリアアップローション Cプラス ( ふきとり化粧水 ビタミンC )《ティーライフ》,2016年09月11日,https://www.amazon.co.jp/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95-%E7%82%AD%E3%81%AE%E9%9C%B2-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%EF%BC%A3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9/dp/B073WQ8W33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスコルビン酸グルコシド、多価アルコール、エタノール、アルカリ金属水酸化物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、クエン酸イオン、及び水を含む液状外用組成物(但し、ヨクイニンエキスを含むもの、及びセージ水を含むもの、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムを含むものを除く)を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ることを含む、肌の明度向上方法。
【請求項2】
前記肌が、メラニンが沈着している肌の部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記清拭具が綿繊維のみから構成される、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の明度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のシミ、そばかす、くすみ、黒ずみ、肝斑、老人性色素斑等の色素沈着は、紫外線曝露、ホルモンの異常や物理的な刺激等が原因となってメラニンが過剰に形成され、これが皮膚内に沈着することによって生じることが分かっている。このような皮膚の色素沈着は、肌の明度を下げ、特に女性にとって美容上の大きな悩みとなっている。
【0003】
従来、アスコルビン酸及びその誘導体等の、メラニン生成を抑制及び/又は生成メラニンを希釈化する成分は、いわゆる美白成分として知られており、皮膚の色素沈着抑制効果を得ることを目的として美白用の外用組成物に広く使用されている。しかしながら、皮膚の色素沈着抑制効果を美白成分の作用に依存するだけでは、消費者ニーズを十分に満足できているとは言えないのが現状である。
【0004】
そこで、美白成分による皮膚の色素沈着抑制効果を向上させる処方が検討されている。例えば特許文献1では、外用組成物において、アスコルビン酸及びその誘導体に、モクレン科モクレン属植物の抽出物を併用することによって、メラニンの生成抑制作用が高まることが記載されている。
【0005】
一方、皮膚の正常な新陳代謝において垢となって落屑されるはずの角質層(老化角質)が角質層の表面にとどまることにより、肌を、透明感が低下したくすみのある外観へと変化させると考えられている。そこで、角質層表面の老化角質を除去することでくすみを改善することを目的として、拭き取り用化粧水が提案されている。
【0006】
拭き取り用化粧水においても、角質除去効果を向上させる処方が検討されており、例えば特許文献2では、拭き取り用化粧水において、塩類泉に分類される温泉水を配合することによって、角質除去効果が高まることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-66080号公報
【文献】特開2008-174527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
拭き取り用化粧水によって角質層表面の老化角質が除去されることで、老化角質に含まれていた排出されるべきメラニンも一緒に除去されることとなる。このため、ふき取り操作によって、透明感が向上してくすみが改善されたような外観が得られると考えられる。一方で、メラニンは基底層で産生され、タ-ンオ-バ-によって肌表面まで押し出されることから、明度の低下した肌において、メラニンは基底層から角質層表面の細胞まで連続的に存在しうる。このため、角質層の表面の角質を除去しただけで得られる肌外観の変化は、明度の低下した肌を効果的に明度向上させるまでには到底至らない。
【0009】
このため、肌明度を効果的に向上させるには、ふき取りでは除去されない皮膚細胞において積極的にメラニン生成を抑制及び/又は生成メラニンを希釈化する美白成分が有効と考えられる。しかしながら、美白に対する消費者の要望は年々高まっており、製剤処方のみで得られる美白効果では、消費者の要望を満足できなくなっている。そこで、今後、益々高まる消費者の要望に追従するためにも、肌明度を効果的に向上させるより優れた技術の開発が望まれている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、肌明度を向上させることにより、優れた美白効果を奏する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は鋭意検討を行ったところ、美白成分を含む液状外用組成物を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ることで、肌の明度が各段向上することを見出した。本発明は、この知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 美白成分を含む液状外用組成物を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ることを含む、肌の明度向上方法。
項2. 前記肌が、メラニンが沈着している肌の部分を含む、項1に記載の方法。
項3. 前記液状外用組成物が、一価低級アルコール及び/又はグリセリンを含む、項1又は2に記載の方法。
項4. 前記液状外用組成物がクエン酸イオンを含む、項1~3のいずれかに記載の方法。
項5. 前記液状外用組成物がアルカリ金属イオンを含む、項1~4のいずれかに記載の方法。
項6. 前記美白成分が、アスコルビン酸グルコシドである、項1~5のいずれかに記載の方法。
項7. 前記清拭具が綿繊維のみから構成される、項1~6のいずれかに記載の方法。
項8. 清拭具に含浸させて肌表面を拭き取るために用いられる、美白成分を含む液状外用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によると、優れた肌明度向上効果が得られる。特に、シミなどのメラニンが沈着している肌の部分を拭き取ることで、より一層優れた肌明度向上効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の液状外用組成物の適用前と比較した適用後における非シミ部分の明度の変化を示す。
図2】本発明の液状外用組成物の適用前と比較した適用後におけるシミ部分の明度の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.肌の明度向上方法
本発明の肌の明度向上方法は、美白成分を含む液状外用組成物を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ることを含む。以下、本発明の肌の明度向上方法について詳述する。
【0015】
美白成分
本発明の方法に用いる液状外用組成物は、美白成分を含む。美白成分としては特に限定されず、メラニン生成を抑制及び/又は生成メラニンを希釈化する作用を有するものであればよい。具体的には、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、コウジ酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、レゾルシン誘導体、ニコチン酸誘導体、セロトニン誘導体、サリチル酸誘導体、アルキルフェノール類、アスタキサンチン、α-リポ酸、パンテテインスルホン酸カルシウム等の化合物;胎盤抽出物、カミツレ抽出物、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、カッコンエキス、オウゴンエキス、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、オタネニンジンエキス、コンフリー葉エキス、トウキエキス、エイジツエキス、ウメ果実エキス、イチョウ葉エキス、甘草エキス、ムラサキシキブ抽出物、米糠抽出物及びその加水分解物、白芥子抽出物及びその加水分解物、白芥子発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵穀類(米、発芽米、麦、豆等)、ハス種子抽出物及びその加水分解物、ハス種子発酵物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕発酵物等の、植物及び動物抽出物並びにその加水分解物及び発酵物が挙げられる。
【0016】
アスコルビン酸及びその誘導体としては、アスコルビン酸グルコシド(アスコルビン酸2-グルコシド);アスコルビン酸モノステアレート、アスコルビン酸モノパルミテート、アスコルビン酸モノオレート等のアスコルビン酸モノアルキルエステル類;アスコルビン酸モノリン酸エステル及びそのマグネシウム塩等のアスコルビン酸モノエステル類;アスコルビン酸ジステアレート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸ジオレート等のアスコルビン酸ジアルキルエステル類;アスコルビン酸ジリン酸エステル及びその塩等のアスコルビン酸ジエステル類;アスコルビン酸トリステアレート、アスコルビン酸トリパルミテート、アスコルビン酸トリオレート等のトリアルキルエステル類;アスコルビン酸トリリン酸エステル等のアスコルビン酸トリエステル類;3-O-エチル,6-アセチル-アスコルビン酸、3-O-エチル,6-ブチルアスコルビン酸、3-O-エチル,6-ラウロイルアスコルビン酸、3-O-エチル,6-パルミトイルアスコルビン酸、3-O-エチル,6-オレオイルアスコルビン酸、3-O-エチル,6-ステアロイルアスコルビン酸、3-O-エチル,6-ベヘルミノイル-アスコルビン酸等が挙げられる。これらのアスコルビン酸及びその誘導体は、L体又はD体のいずれであってもよいが、好ましくはL体が挙げられる。
【0017】
ハイドロキノン及びその誘導体としては、ハイドロキノン、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)、ハイドロキノン配糖体等が挙げられる。
【0018】
コウジ酸及びその誘導体としては、コウジ酸、コウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等が挙げられる。
【0019】
エラグ酸及びその誘導体としては、エラグ酸、3,4-ジ-o-メチルエラグ酸、3,3'-ジ-o-メチルエラグ酸、3,3',4-トリ-o-メチルエラグ酸、3,3',4,4'-テトラ-o-メチル-5-メトキシエラグ酸、3-o-エチル-4-o-メチル-5-ヒドロキシエラグ酸、及びこれらの塩が挙げられる。
【0020】
トラネキサム酸及びその誘導体としては、トラネキサム酸(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(t-AMCHA))、トラネキサム酸の二量体(例えば、塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸)、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体(例えば、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’-ヒドロキシフェニルエステル)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸及びその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、トランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩等が挙げられる。
【0021】
レゾルシン誘導体としては、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が挙げられる。
【0022】
ニコチン酸誘導体としては、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が挙げられる。
【0023】
セロトニン誘導体としては、クマロイルセロトニン及びフェルロイルセロトニン等が挙げられる。
【0024】
サリチル酸誘導体としては、3-メトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及び5-メトキシサリチル酸、及びそれらの塩が挙げられる。
【0025】
アルキルフェノール類としては、ルシノール(4-n-ブチルレソルシノール)、マグノリグナン、ビフェニル化合物、ロドデノール等が挙げられる。
【0026】
上記化合物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;メチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、アルカノールアミン塩等のアンモニウム塩;および塩基性有機物塩等が挙げられる。好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0027】
美白成分としては、上記の成分から1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上述の美白成分の中でも、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、美白成分としては、アスコルビン酸及びその誘導体が挙げられ、好ましくはアスコルビン酸誘導体が挙げられ、より好ましくはアスコルビン酸グルコシドが挙げられる。
【0029】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、美白成分の含有量としては特に限定されず、美白成分の種類及び所望の肌明度向上効果に応じて適宜設定することができる。例えば、液状外用組成物中の美白成分の含有量としては、例えば0.01~5重量%、好ましくは0.1~4重要%、より好ましくは1~3重量%が挙げられる。
【0030】
一価低級アルコール及び/又はグリセリン
本発明の方法に用いる液状外用組成物は、使用感向上効果及び拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、一価低級アルコール及び/又はグリセリンを含むことが好ましく、一価低級アルコール及びグリセリンを含むことがさらに好ましい。
【0031】
一価低級アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプロパノール等の炭素数2~6のアルコールが挙げられる。
【0032】
これらの一価低級アルコールは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
これらの一価低級アルコールの中でも、使用感向上効果及び拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、好ましくはエタノールが挙げられる。
【0034】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、一価低級アルコールの含有量としては特に限定されず、所望の肌明度向上効果に応じて適宜設定することができる。例えば、液状外用組成物中の一価低級アルコール含有量としては、1~15重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは3~7重量%が挙げられる。
【0035】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、美白成分と一価低級アルコールとの比率については、各成分の上記含有量によって決定されるが、美白成分1重量部に対して0.2~1500重量部、好ましくは0.5~150重量部、より好ましくは1~5重量部が挙げられる。
【0036】
グリセリンとしては、日本薬局方に収載されているグリセリン及び日本薬局方に収載されている濃グリセリンが挙げられる。日本薬局方に収載されているグリセリンは、日本薬局方に記載の方法で定量するとき、グリセリン(C383)84.0~87.0%を含む。日本薬局方に収載されている濃グリセリンは、日本薬局方に記載の方法で定量するとき、換算した脱水物に対し、グリセリン(C383)98.0~101.0%を含む。これらのグリセリンは1種単独で使用してもよく、また2種を組み合わせて使用してもよい。これらのグリセリンの中でも、好ましくは濃グリセリンが挙げられる。
【0037】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、グリセリンの含有量としては特に限定されず、所望の使用感向上効果及び肌明度向上効果に応じて適宜設定することができる。例えば、液状外用組成物中のグリセリン含有量としては、グリセリン純分(C383)の総量で、例えば、1~15重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは3~7重量%が挙げられる。
【0038】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、美白成分とグリセリンとの比率については、各成分の上記含量によって決定されるが、美白成分1重量部に対してグリセリン純分(C383)の総量が0.2~1500重量部、好ましくは0.5~150重量部、より好ましくは1~3重量部が挙げられる。
【0039】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、一級低級アルコールとグリセリンとの比率については、各成分の上記含量によって決定されるが、一級低級アルコール1重量部に対してグリセリン純分(C383)の総量が0.06~15重量部、好ましくは0.1~8重量部、より好ましくは0.5~1.5重量部が挙げられる。
【0040】
クエン酸イオン
本発明の方法に用いる液状外用組成物は、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、クエン酸イオンを含むことが好ましい。
【0041】
クエン酸イオン源としては、クエン酸及びクエン酸塩が挙げられる。クエン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;メチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、アルカノールアミン塩等のアンモニウム塩;および塩基性有機物塩等が挙げられる。
【0042】
クエン酸イオン源としては、クエン酸及びクエン酸塩のいずれか一方を単独で用いてもよいし、両者を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、クエン酸イオン源としてクエン酸及びクエン酸塩を組み合わせて用いる。また、クエン酸塩としては、上記のクエン酸塩の中から単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のクエン酸の中でも、好ましくはアルカリ金属塩が挙げられ、より好ましくはナトリウム塩が挙げられる。
【0043】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、クエン酸イオン源の含有量としては特に限定されず、所望の肌明度向上効果に応じて適宜設定することができる。例えば、液状外用組成物中のクエン酸イオン源としては、クエン酸無水物換算量で、0.01~0.5重量%、好ましくは0.07~0.3重量%が挙げられる。
【0044】
アルカリ金属イオン
本発明の方法に用いる液状外用組成物は、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、アルカリ金属イオンを含むことが好ましい。
【0045】
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが挙げられる。これらのアルカリ金属イオンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくはナトリウムイオン及びカリウムイオンを組み合わせて用いる。
【0046】
アルカリ金属イオン源としては特に限定されず、上記の各成分の少なくともいずれかに該当するアルカリ金属塩化合物であってもよいし、上記のいずれの成分にも該当しないアルカリ金属塩化合物であってもよい。上記のいずれの成分にも該当しないアルカリ金属塩化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の弱酸と強塩基との塩(緩衝塩);硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の中性塩等が挙げられる。
【0047】
これらのアルカリ金属イオン源は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
これらのアルカリ金属イオン源の中でも、好ましくは、上記のクエン酸イオン源に該当するアルカリ金属塩(つまりクエン酸アルカリ金属塩)及びアルカリ金属水酸化物が挙げられ、より好ましくは、クエン酸ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0049】
本発明の方法に用いる液状外用組成物において、アルカリ金属イオン源の含有量としては特に限定されず、所望の肌明度向上効果に応じて適宜設定することができる。例えば、アルカリ金属イオン源としてナトリウムイオンが含まれる場合、液状外用組成物中のナトリウムイオン源の含有量としては、ナトリウム換算量で、0.01~0.5重量%、0.05~0.14重量%が挙げられる。アルカリ金属イオン源としてカリウムイオンが含まれる場合、液状外用組成物中のカリウムイオン源の含有量としては、カリウム換算量で、0.01~0.5重量%、0.2~0.4重量%が挙げられる。
【0050】
その他の成分
本発明の方法に用いる液状外用組成物には、上記の成分以外に、必要に応じて、他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸メチル、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、ウフェナマート、イブプロフェンピコノール、スプロフェン、ベンダザック、スプロフェン、ブフェキサマク等)、殺菌剤(ベンザルコニウム塩化物、デカリニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、セチルピリジニウム塩化物、クロルヘキシジン塩化物、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進剤(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル等)、ビタミン類(ビタミンA、B、D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸及びその塩等)、グリセリン以外の多価アルコール(プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、湿潤剤(dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D-ソルビトール液、マクロゴール等)、植物抽出物(モクレン科モクレン属植物、例えば、マグノリア・ビロバ、ボウシュンカ、ハクモクレン、コブシ(ヤマアララギ、コブシハジカミ、イモウエバナ)、モクレン(モクレンゲ、シモクレン)、カラホオ(シナホオノキ)、マグノリア・スプレンゲリ、ホオノキ(ホオガシワ、ホオガシワノキ、ウマノベロ)等の抽出物;バラ科サクラ属植物、例えば、プルーン(セイヨウスモモ)、アンズ(カラモモ)、プルヌス・コンラディナエ、カスミザクラ(ケヤマザクラ)、チョウジザクラ、イヌザクラ、ウワミズザクラ、ヤマザクラ、マメザクラ(フジザクラ)、シダレザクラ(イトザクラ)、ニワウメ(コウメ、リンショウバイ)、カンザン(セキヤマ)、オオシマザクラ、ミヤマザクラ、ウメ、ミネザクラ、ブンゴウメ、チシマザクラ、モモ、エドヒガン(ウバヒガン)、スモモ(ハタンキョウ)、オオヤマザクラ、リンボク(ヒイラギガシ)、シウリザクラ(ミヤマイヌザクラ、シオリザクラ)、ヒガンザクラ(コヒガンザクラ)、ソメイヨシノ、バクチノキ(ビラン、ビランジュ)等の抽出物)等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の方法に用いる液状外用組成物は、所望の製剤形態にするために、必要に応じて、基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水;油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、リノレイルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール等)、2-エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;POE(10~50モル)フィトステロールエーテル、POE(10~50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10~50モル)2-オクチルドデシルエーテル、POE(10~50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10~50モル)オレイルエーテル、POE(2~50モル)セチルエーテル、POE(5~50モル)ベヘニルエーテル、POE(5~30モル)ポリオキシプロピレン(5~30モル)2-デシルテトラデシルエーテル、POE(10~50モル)ポリオキシプロピレン(2~30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど)、POE(20~60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10~60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10~80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10~30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20~100モル)・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジリシノレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(5~100)、ポリソルベート(20~85)、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、水素添加大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール等の界面活性剤;清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8-シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、コハク酸、酒石酸、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、DL-アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
【0052】
製剤形態
本発明の方法に用いる液状外用組成物の製剤形態は、液状である限り特に制限されない。また、本発明の方法に用いる液状外用組成物は、水性製剤、油性製剤等の非乳化製剤であってもよく、また水中油型乳化製剤、油中水型乳化製剤等の乳化製剤であってもよいが、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、好ましくは、水性製剤である。
【0053】
また、本発明の方法に用いる液状外用組成物は、皮膚に適用されるものである限り、皮膚外用医薬品、医薬部外品、化粧料のいずれの製剤形態であってもよい。
【0054】
前記外用組成物の製剤形態として、具体的には、液剤(ローション剤、スプレー剤、エアゾール剤、及び乳液剤を含む)、乳液、化粧水、ローションが挙げられ、好ましくは、ローション剤、化粧水、ローションが挙げられる。これらの製剤形態への調製は、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、製剤形態に応じた添加剤を用いて製剤化することにより行うことができる。
【0055】
清拭具
本発明の方法では、肌表面を拭き取るために清拭具を用いる。本発明の方法では、清拭具に液状外用組成物を含浸させ、肌表面上を滑らせることで、肌表面を拭き取るようにして液状外用組成物を塗布する。この時、上記の組成を有する液状外用組成物と清拭具とにより角質層表面の老化角質を拭き取る(除去する)と同時に、新たに露出した角質層表面が最初に当該液状外用組成物中の美白成分と接触できる。角質層表面に接触した美白成分が角質層内部に浸透し、メラニン生成を抑制及び/又は生成メラニンを希釈化することで、肌明度を向上させる。
【0056】
清拭具としては、液状外用組成物を含浸させることが可能な吸収性基材であれば特に制限されない。具体的には、繊維基材が挙げられる。繊維基材としては、織布及び不織布を問わないが、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、好ましくは繊維積層物が挙げられ、より好ましくは、不織布の中でも、ある程度厚みがある繊維積層物(いわゆる化粧用コットンパフ)が挙げられる。
【0057】
繊維基材の材料としては、植物又は動物由来の天然繊維及び化学繊維が挙げられる。植物由来の天然繊維としては、綿、パルプ等が挙げられ、動物由来の天然繊維としては、シルク、キチン、コラーゲン繊維等が挙げられる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリルが挙げられる。これらの繊維は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの繊維の中でも、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、好ましくは綿が挙げられる。つまり、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、清拭具は綿繊維のみから構成されることが特に好ましい。
【0058】
肌の明度向上
本発明の方法では、上記の液状外用組成物を、清拭具に含浸させて肌表面を拭き取る用途で用いることによって、肌の明度を向上させる。肌の明度は、L***表色系における明度指数L*値を測定することで評価することができる。つまり、本発明の方法による肌の明度の向上は、肌表面のL*値の上昇によって評価することができる。
【0059】
本発明の方法を適用する肌の部分としては、肌明度の低下を自覚する部分であれば特に限定されないが、物理的刺激及び紫外線刺激を受けやすい顔が好ましい。さらに、本発明の方法は、メラニンの沈着が起こっていない部分において明度を向上させることができるのみならず、メラニンの沈着が起こっている部分の肌においては、メラニンの沈着が起こっていない部分に比べて一層顕著に明度を向上させることができる。このため、本発明の方法を適用する肌の部分としては、メラニンの沈着が起こっている部分を含むことが特に好ましい。メラニンの沈着が起こっている部分としては、しみ、そばかすが挙げられ、より好ましくはシミが挙げられる。つまり、本発明の方法は、特に、上記の液状外用組成物をシミ対策の用途で用いる場合に有効である。
【0060】
適用対象
本発明の方法の適用対象としては、老若男女を問わないが、特に、ターンオーバーの乱れにより角質層表面に老化角質がとどまりやすい35歳以上、好ましくは40歳以上の人が好ましい。このような年齢層の人であれば、拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得ることが期待できる。また、このような年齢層の人は、本発明の方法により一層顕著に明度を向上させることができるシミを自覚する人も多い点で好ましい。本発明の方法の好ましい適用対象年齢の上限は特に限定されないが、拭き取りによる肌明度向上効果を効果的に得る観点から、80歳未満、好ましくは70歳未満、より好ましくは60歳未満が挙げられる。
【0061】
用法・用量
本発明の方法においては、液状外用組成物を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ればよい。具体的には、清拭具に液状外用組成物を含浸させ、肌表面上を滑らせることで、肌表面を拭き取るようにして液状外用組成物を塗布することができる。拭き取りによる肌明度向上効果をより一層良好に得る観点から、拭き取り操作は洗顔の後の肌に対して行うことが好ましい。
【0062】
1回の拭き取り操作当たりの液状外用組成物の使用量としては、清拭具に十分含浸させる量であればよいが、好ましくは1~6mLが挙げられる。1日当たりの拭き取り操作の数として、1回~3回、好ましくは2回が挙げられる。本発明の方法による肌の明度向上効果を効果的に得るためには、液状外用組成物による拭き取り操作を継続することが好ましい。このような観点から、本発明の方法は、好ましくは3週間以上継続して行うことが好ましい。
【0063】
2.液状外用組成物
上述のとおり、美白成分を含む液状外用組成物を含浸させた清拭具を用いて肌表面を拭き取ることで、肌明度を向上させることができる。従って、本発明は、更に、清拭具に含浸させて肌表面を拭き取るために用いられる、美白成分を含む液状外用組成物も提供する。液状外用組成物の具体的な組成、製剤形態、含浸に用いられる清拭具、使用方法、適用対象、用法・用量等については、上記「1.肌の明度向上方法」に記載の通りである。
【実施例
【0064】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
試験例
[液状外用組成物の調製]
表1に記載の液状外用組成物を調製した。
【0066】
【表1】
【0067】
[試験手順]
(1)両頬にシミのある40代と50代の2名の被験者を選定した。
(2)被験者の、一方の頬におけるシミ部分及び非シミ部分と、他方の頬におけるシミ部分及び非シミ部分と、額(Ctrl)と、のL*値を、分光測色計CM-2600d(コニカミノルタ)を用い、各部位5回ずつ測定し、それぞれ平均値(0w L*(シミ)、0w L*(非シミ)、及び0w L*(Ctrl))を導出した。
(3)朝晩2回3週間、洗顔後に、上記の液状外用組成物4mL/回(2mL/回/片頬)を、綿繊維のみからなる化粧用コットンパフに含浸させ、一方の頬においては、シミ部分と非シミ部分との両方でパッティングによる塗布を行い、他方の頬においては、シミ部分と非シミ部分との両方でふき取るように塗布を行った。なお、額には液状外用組成物を適用しなかった。
(4)3週間後、上記2と同様にして、各部位のL*値を5回ずつ測定し、それぞれ平均値(3w L*(シミ)、3w L*(非シミ)、及び3w L*(Ctrl))を導出した。
【0068】
[結果]
以下の式に基づいて、液状外用組成物適用前と比較した適用後における非シミ部分の明度の変化(ΔΔL*)を算出した。結果を図1に示す。
ΔΔL*={3w L*(非シミ)-3w L*(Ctrl)}-{0w L*(非シミ)-0w L*(Ctrl)}
【0069】
以下の式に基づいて、液状外用組成物適用前と比較した適用後におけるシミ部分の明度の変化(ΔΔL*)を算出した。結果を図2に示す。
ΔΔL*={3w L*(シミ)-3w L*(Ctrl)}-{0w L*(シミ)-0w L*(Ctrl)}
【0070】
図1及び図2に示されるとおり、液状外用組成物の単なる塗布に比べ、液状外用組成物の拭き取り操作を行った方の肌明度について、非シミ部及びシミ部のいずれにおいても優れた向上効果が認められた。特に、図2に示されるとおり、シミ部におけるL*値上昇は1.9という驚くべき程度で得られており、肌明度の向上効果が極めて顕著に認められた。本実施例で得られたこのような効果は、単なる拭き取り操作や単なる美白成分入り液状外用組成物の塗布だけでは認められない程度に、非常に高い明度向上効果であると認められる。この効果は、特定の成分を含む液状外用組成物を選択したことと、拭き取る操作とを組み合わせたことによる相乗的な効果であると強く考えられる。
図1
図2