(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】潜熱回収式燃焼機器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20231219BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20231219BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20231219BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H9/02 301B
F24H1/14 B
F23L17/14 J
(21)【出願番号】P 2019148081
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】毛利 徹太郎
(72)【発明者】
【氏名】梁島 重徳
(72)【発明者】
【氏名】侯 宝書
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】小俣 康二
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119225(JP,A)
【文献】特開2006-242458(JP,A)
【文献】特開2013-257109(JP,A)
【文献】特開2017-044437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 9/02
F24H 1/14
F23L 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収式燃焼機器であって、
第1潜熱回収熱交換部と、前記第1潜熱回収熱交換部の排気ガスの下流側に配置された第2潜熱回収熱交換部を
外郭ケース内に有し、
前記第1潜熱回収熱交換部から前記第2潜熱回収熱交換部に前記燃焼ガスを流す排気通路が、
前記外郭ケース内に設けられて前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部を仕切った仕切り部材により、前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部の一部分を通過する主排気通路と、
前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部の他の部分を通過する副排気通路に分割され、
前記主排気通路と前記副排気通路が、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管
を通過させた排気の下流側であって、前記外郭ケースの側面に設けられた排気口にて同流され、
前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管が
前記外郭ケース側面位置の前記排気口の内側外周
を囲み、前記排気口近傍の前記主排気通路と前記副排気通路に跨って設けられ、
前記排気口の内側外周縁に設けられた前記受熱管のうち、前記排気口の内側上縁部の上方に位置する前記受熱管と前記排気口との間の部分であって、前記受熱管の下方位置に、前記排気口の幅方向中央部から前記排気口の幅方向端部に向けて下がり勾配を有する仕切り部材が設けられたことを特徴とする潜熱回収式燃焼機器。
【請求項2】
請求項1に記載の潜熱回収式燃焼機器において、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管が前記排気口の内側外周縁を囲む
側面視コの字状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の潜熱回収式燃焼機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の潜熱回収式燃焼機器において、前記排気口の内側に配置される第2潜熱回収熱交換部の受熱管が、排気口
内側上縁部の上方において、排気口の左右両端側に向いて下向きの傾斜部を有する形状であることを特徴とする潜熱回収式燃焼機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の潜熱回収式燃焼機器において、前記排気口の内側に配置される第2潜熱回収熱交換部の受熱管が、排気口
内側上縁部の上方において、
側面視への字形状であることを特徴とする潜熱回収式燃焼機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスの潜熱を回収するための熱交換器を備えた、潜熱回収式燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼機器において、高効率の潜熱回収式の燃焼機器の普及により、地球環境に影響を及ぼす温暖化ガスの排出抑制に貢献している。今後さらなる省エネ性の向上、設置制約解消による普及促進のため、熱効率の向上とともに燃焼機器のコンパクト化、そして燃焼時の静音化が求められている。
【0003】
しかし、潜熱を回収するための二次熱交換器では、燃焼ガス中のエネルギーを回収する際ドレン水が発生するが、このドレン水中には、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物等を含むため強酸性となり、機器外への飛散防止を図る必要があるが、燃焼機器のコンパクト化による潜熱交換器と排気口の近接配置により、ドレン水が飛散しやすくなるなどの課題があった。
さらに、コンパクト化による排気口の短小化や、排気通路の狭窄などの排気速度の上昇により、ドレン水の飛散に加え、燃焼騒音の増大と燃焼ガスの滞留時間の短縮による熱効率の低下を招くなどの課題があった。
【0004】
従来技術として特許文献1では、副熱交換器で熱交換された燃焼ガスが排気フード内を下方から上方に流れることにより、排気口からのドレン水の飛散を防止する方法が開示されている。
また、特許文献2では、二次熱交換室の主排気通路と、主排気通路より分離した副排気通路を形成し、それぞれの排気を排気ダクトで合流させ、互いに干渉させることで、騒音の低減と、副排気通路からのドレン水を合流手前に設けたカバー部分により機器外への飛散を防止する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、排気口内に断面形状への字形状のルーバーを設けることで、ドレン水の排気口側への移動を防ぐ方法が開示されている。
さらに、特許文献4では、二次熱交換器と排気ダクトの間に燃焼排ガスが流れる方向に延在する長孔を有する排気抵抗板を設けることで、燃焼排ガスと受熱管との接触時間を延長することで潜熱回収の効率向上と、燃焼騒音を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4418967号公報
【文献】特許第5061009号公報
【文献】特許第6286990号公報
【文献】特開2017-207271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の構造では、長尺の排気フードを設けることは、燃焼機器のコンパクト化の妨げや、排気フード内を流れる燃焼ガスからの潜熱が未回収となり、熱効率の向上の妨げになるなどの問題点があった。
特許文献2に記載の構造でも、副排気通路内を通過する燃焼ガスからの潜熱が未回収となり、熱効率の向上の妨げになるなどの問題点があった。
【0008】
特許文献3に記載の構造では、2枚のルーバーに燃焼ガスが通過する際に発生するカルマン渦によるルーバー音が発生し、騒音となる虞があるなどの問題点があった。
特許文献4に記載の構造では、排気抵抗板が水平方向に配置されており、特に外周縁には排気ガスやドレン水を通過させるための開口が設けられていないため、煤やドレン水などの堆積による熱効率の低下や騒音の増大などを招く虞があるなどの問題点があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みなされたものであって、熱効率が高く、機器をコンパクト化し、燃焼音の静音化を図ると共に、機器からドレン水が飛散することを防止することができる、潜熱回収式燃焼機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る潜熱回収式燃焼機器は、燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収式燃焼機器であって、第1潜熱回収熱交換部と、前記第1潜熱回収熱交換部の排気ガスの下流側に配置された第2潜熱回収熱交換部を外郭ケース内に有し、前記第1潜熱回収熱交換部から前記第2潜熱回収熱交換部に前記燃焼ガスを流す排気通路が、前記外郭ケース内に設けられて前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部を仕切った仕切り部材により、前記前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部の一部分を通過する主排気通路と、前記前記第1潜熱回収熱交換部と前記第2潜熱回収熱交換部の他の部分を通過する副排気通路に分割され、前記主排気通路と前記副排気通路が、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管を通過させた排気の下流側であって、前記外郭ケースの側面に設けられた排気口にて同流され、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管が前記外郭ケース側面位置の前記排気口の内側外周を囲み、前記排気口近傍の前記主排気通路と前記副排気通路に跨って設けられ、前記排気口の内側外周縁に設けられた前記受熱管のうち、前記排気口の内側上縁部の上方に位置する前記受熱管と前記排気口との間の部分であって、前記受熱管の下方位置に、前記排気口の幅方向中央部から前記排気口の幅方向端部に向けて下がり勾配を有する仕切り部材が設けられたことを特徴とする。
(2)本発明に係る潜熱回収式燃焼機器において、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管が
前記排気口の内側外周縁を囲む側面視コの字状に形成されたことが好ましい。
【0011】
(3)本発明に係る潜熱回収式燃焼機器において、前記排気口の内側に配置される第2潜熱回収熱交換部の受熱管が、排気口内側上縁部の上方において、排気口の左右両端側に向いて下向きの傾斜部を有する形状であることが好ましい。
(4)本発明に係る潜熱回収式燃焼機器において、前記排気口の内側に配置される第2潜熱回収熱交換部の受熱管が、排気口内側上縁部の上方において、側面視への字形状であることが好ましい。
【0012】
(5)本発明に係る潜熱回収式燃焼機器において、前記排気口の内側に配置される前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管と排気口との間に仕切り部材を有し、前記仕切り部材は前記排気口上方に配置された前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管に沿って配置されると共に、前記第2潜熱回収熱交換部の受熱管下端側と前記排気口上端側とを結ぶ傾斜面を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1潜熱回収熱交換部と排気口までの排気通路を主排気経路と副排気経路に分割し、主排気経路に設けた第1潜熱回収熱交換部による熱交換に加え、両方の排気経路に跨るコの字状の第2潜熱回収熱交換部を設けることで、潜熱回収熱交換部を大きくすることなく、熱効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、第2潜熱回収熱交換部の副排気経路内の受熱管形状を排気口の左右両端側に向いて下向きの傾斜部を有する形状とするか、への字形状とすることにより、排気口近傍で第2潜熱回収熱交換部の受熱管に発生するドレンを受熱管の勾配に沿って排気口の左右両側に流れやすくできるため、排気口より屋外にドレンが排出されることを防止できる。
【0015】
また、第2潜熱回収熱交換部の副排気経路内の受熱管と排気口との間に受熱管に沿って傾斜させた仕切り部材を追加することにより、受熱管で発生したドレン水を受熱管に沿って排気口の側方向に流れやすくするとともに、排気の接触時間を増加させ、熱効率を向上させることができ、また、主排気経路の排気抵抗と騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態である燃焼機器の動作原理を表わす模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態である燃焼機器の潜熱回収熱交換器受熱管の構造図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態である燃焼機器の潜熱回収熱交換器の構造図であり、(a)は側面図、(b)はA-A断面図、(c)はB-B断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態である燃焼機器の潜熱回収熱交換器の斜視図である。
【
図5】従来の一例である燃焼機器の潜熱回収熱交換器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「第一実施形態」
以下、本発明の第1実施形態を挙げて本発明の詳細を説明する。
図1は、本発明の潜熱回収式燃焼機器1の動作原理を説明する模式図である。以下に、
図1に基づき、本実施形態に係る燃焼機器1について、基本構造に加え、湯水の流れ、ガスの流れ等に関連付けて説明する。
本実施形態の燃焼機器1は、給湯機能を果たす給湯装置(潜熱回収式熱交換装置)と風呂水の追焚機能を果たす追焚装置(潜熱非回収式熱交換装置)と中和容器7を備えて概略構成される。
【0018】
給湯装置には、給湯燃焼部13とその上に設けられた給湯一次熱交換器12および給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11が設けられている。
また、追焚装置には、追焚燃焼部15とその上に設けられた追焚熱交換器(単独熱交換器)14が設けられている。
給湯第1潜熱回収熱交換部10から給湯第2潜熱回収熱交換部11に至る部分の底部にはドレン水受け皿5が設けられ、これらがドレン配管6を介してそれらの下方に設置された中和容器7に接続されている。また、中和容器7にはドレンホース8が接続されている。
【0019】
この例の燃焼機器1においては、給湯燃焼部13、給湯一次熱交換器12および給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11と、追焚燃焼部15、追焚熱交換器14を図示略の筐体の内部に収容して燃焼機器1が大略構成される。
また、燃焼機器1の内部には中和容器7が備えられ、燃焼機器1の排気口4には、排気フード(
図1中図示略)が備えられている。中和容器7の内部には炭酸カルシウムなどの中和剤17がそれぞれ必要量充填されている。
【0020】
(湯水の流れ)
まず、
図1に示す燃焼機器1において、給湯装置における湯水の流れについて説明する。
湯水が燃焼機器本体1に設けられている給水配管接続部2から接続配管20を介し給水され、水量センサ3によって、この湯水が所定の流量に達したか否かが検知される。
【0021】
水量センサ3を通った湯水は、接続配管20を介し潜熱回収熱交換器19に導かれ、この潜熱回収熱交換器19に内蔵される給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管において燃焼ガスから潜熱が回収される。潜熱は、受熱管の内部を流れる湯水に伝熱され、給湯一次熱交換器12に接続配管21を介し導かれ、この給湯一次熱交換器12で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管22を介し湯水を浴室内に供給する給湯配管を接続する給湯配管接続部16を通り、給湯栓から使用される。
【0022】
図2と
図3を基に、給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11を流れる湯水の流れを具体的に説明する。
図2は、潜熱回収熱交換器19の受熱管を示す図である。給水配管接続部2から接続配管20に給水され、水量センサ3を通過した水は、入口ヘッダー端末23から入口ヘッダー部24に導かれ、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aに並列に供給される。給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aは、排気経路内での伝熱面積を多く確保し、かつ複数回交差するように、蛇行して配管されている。
【0023】
給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aを通過した水は、出口ヘッダー部25から出口ヘッダー端末26を通過し、給湯一次熱交換器12に接続配管21を介し導かれる。
一方、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aは、前記入口ヘッダー部24から排気経路内をコの字状に配置され、前記出口ヘッダー部25へ接続され、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aを通過した水と合流し、給湯一次熱交換器12に導かれる。ここで、2種類のヘッダー部のどちらが入口、出口になるかは限定しない。
【0024】
続いて、
図3を基に、給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11を流れる排気経路を具体的に説明する。
給湯第1潜熱回収熱交換部10と給湯第2潜熱回収熱交換部11は、給湯燃焼部13で燃焼され給湯一次熱交換器12を通過した燃焼ガスが通過することにより、燃焼ガスの潜熱を受熱する役割を有する。
【0025】
潜熱回収熱交換器19は、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aが収納される外郭ケース27と、排気経路を形成するための仕切り板28と、前記給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aにて構成されている。
外郭ケース27には、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管上端付近に配置された排気入口開口部29と、給湯第2潜熱回収熱交換部の受熱管11Aより排気経路下流側かつ給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管上端より下部に配置される排気出口開口部30が設けられている。
【0026】
排気経路を形成するための仕切り板28は、排気入口開口部29から導かれた燃焼ガスをZ方向下方向へ偏向し、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aに沿わせるため、外郭ケース27の上部から下部へ、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと排気出口開口部30とを左右方向(
図3(b)、(c)参照)に仕切るように配置される。
【0027】
図3(b)、(c)に示すように、外郭ケース27の一側側壁(右側側壁)の上部に排気入口開口部29が形成され、他側側壁(左側側壁)の上部に排気出口開口部30が形成されている。また、排気入口開口部29の近傍から排気出口開口部30の近傍までの領域の大部分の下部から上部までを占めるように給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aが蛇行状態で配置され、排気出口開口部30の近傍領域に給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aが配置されている。排気出口開口部30は、
図3(a)に示す側面視状態において外郭ケース27の全幅より若干小さい幅を有し、外郭ケース27の高さの数分の一程度の高さを有する横長の矩形状に形成されている。
【0028】
給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aは、上述したようにコの字形状であるが、
図2(b)に示すように、外郭ケース27で囲まれる空間の上下部と側部を通過するように配置されている。給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aにおいて、その上部側は排気出口開口部30の内上縁に沿って延在され、排気出口開口部30の幅方向中央寄りの部分を高く、幅方向両端側を低くするような側面視への字形状の緩い傾斜が付与されている。即ち、受熱管11Aの上部側には、その左右両端側に向いて下向きの傾斜を有する傾斜部35Aと35Bが形成されている。
【0029】
排気入口開口部29の近傍の天井部に仕切り板28の上端部が配置され、仕切り板28は、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aを配置した領域の上部を覆って給湯第2潜熱回収熱交換部11の上部側受熱管近くまで延在され、給湯第2潜熱回収熱交換部11の近傍では給湯第2潜熱回収熱交換部11に沿うように下向きに延在されている。この位置の仕切り板28の下端部28aは、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aの下端部と給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aの下端部との境界位置の近くまで延在されている。
【0030】
給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aを配置した領域の上部を覆って給湯第2潜熱回収熱交換部11の上部側受熱管近くまで延在された仕切り板28の上部側には、2段の傾斜部28b、28cが形成されている。仕切り板28の上部側において、排気入口開口部29に近い領域には緩斜面を有する第1の傾斜部28bが形成され、給湯第2潜熱回収熱交換部11の上部側受熱管に近い領域には急斜面を有する第2の傾斜部28cが形成されている。また、仕切り板28の第1の傾斜部28bに
図4に示すように所定間隔で複数の貫通路32が形成されている。
【0031】
仕切り板28の上部に沿って、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管周囲を通過した燃焼ガスは仕切り板下端から排気出口開口部30に至るまで、Z方向上方向への排気経路31を通過し、排気出口開口部30から屋外に排出される。この排気経路を主排気経路R1とする。
この時、仕切り板下端より下部かつ仕切り板28と排気出口開口部30との間に配置された給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aに沿って燃焼ガスが排気出口開口部30まで通過するため、燃焼ガスのさらなる潜熱回収が促進される。
【0032】
また、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aは複数回蛇行する給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと異なり、コの字形状としているため、排気経路31の大半を受熱管11Aにて閉塞することなく、配置が可能となる。そのため、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管を配置する事によって、排気経路31をX方向(
図3(b)、(c)の左右方向)に拡大する必要が無いため、潜熱回収熱交換器19のコンパクト化が実現できる。また、本実施形態では、ヘッダー部の配置を潜熱回収熱交換器19のZ方向の上下端部に配置したが、Y方向の左右端部に配置した場合は、コの字形状ではなく、左右ヘッダー管をつなぐ受熱管形状としても同様の効果は得られる。
【0033】
図4に潜熱回収熱交換器19の斜視図を示す。
排気経路を形成するための仕切り板28の上部にはもう一つの排気経路を形成するための複数の貫通路32を有している。貫通路32は本実施例では仕切り板28の一部に貫通孔を複数個所設けることとしているが、排気を通過させる形状であれば形状は特に限定しない。給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管一部周囲を通過し、この貫通路32を通過した燃焼ガスは、排気出口開口部30に至るまでの排気経路33に配置される給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aに接触することにより、さらなる潜熱回収が促進される。この貫通路32を通過する燃焼ガスの量は前記主排気経路を通過する量より小さく設定されるため、排気経路33は、副排気経路R2とする。
【0034】
また、この副排気経路R2を有することにより、燃焼機器1の使用中に、ドレン配管6や中和容器7、ドレンホース8に詰りが生じ、ドレン18の排水不良が発生した場合、主排気経路R1が閉塞された場合においても、副排気経路R2を燃焼ガスが通過することによって、異常燃焼の防止を図ることも可能となる。
【0035】
図3に示すように、副排気経路内に配置される給湯第2潜熱回収熱交換部19の受熱管11Aは排気出口開口部のZ方向上部にへの字形状を有して配管されている。
副排気経路R2を通過した燃焼ガスから潜熱回収を行うことにより、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管にはドレン18が発生し、排気出口開口部30から器具外へ飛散する恐れが有る。本実施形態では、受熱管11Aの上部を水平ではなく、への字形状とすることで、受熱管上に付着したドレン18が滴状した時点で、受熱管のY方向左右両側の傾斜部35A、35Bを伝ってドレン18を潜熱回収熱交換器19のZ方向下部へ流すことが可能となり、排気出口開口部30からドレン18が器具外へ飛散することを防止することができる。
【0036】
さらに、本実施例では、副排気経路内に配置される給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aと排気出口開口部30との間に、出口ヘッダー部25から排気出口開口部30のY方向略中央部まで仕切り金具(仕切り部材)34を設ける構成としている。
仕切り金具34は、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aの傾斜部35Bに沿った形で仕切り板28に固定され、仕切り金具34は、仕切り板28から排気出口開口部30のZ方向上部への傾斜面36を有している。
この傾斜面36の存在により、副排気経路R2を通過する燃焼ガスが、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11AのY方向に長く接触する事が可能となるだけでなく、排気出口開口部30にて発生する乱流の低減により、燃焼ガスが主排気経路R1を排気出口開口部30のZ方向上部へ流れる際の排気抵抗の低減や騒音を低減することができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、主排気経路内に配置される給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aと給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aとの間に配置される仕切り板28の下部に、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管の下部まで仕切り金具37を設ける構成としている。
【0038】
仕切り金具37は、排気が通過する貫通長孔38がY方向に間隔をあけて配置されており、これにより、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aの上部を流れる排気と下部を流れる排気に分流することによって、給湯第2潜熱回収熱交換部11の受熱管11Aの伝熱効率を向上させることができる。
更に、給湯第1潜熱回収熱交換部10の受熱管10Aに発生するドレン18が仕切り金具37に接触し、潜熱回収熱交換器19の下部に導かれることによって、ドレン18が排気経路31から排気出口開口部30を経由して器具外へ飛散することを防止することができる。
【0039】
なお、追焚装置においては、循環ポンプPを運転することにより浴槽内の湯水が風呂戻り配管接続部50を介し追焚熱交換器14に導かれ、この追焚熱交換器14で燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、接続配管51を介し風呂往き配管接続部52を通り、浴槽に供給される。
なお、
図1に示す燃焼機器1において、53は注湯電磁弁を示し、54,55はガス電磁弁を示す。
【符号の説明】
【0040】
1…燃焼機器、2…給水配管接続部、3…水量センサ、4…排気口、5…ドレン水受け皿、6…ドレン配管、7…中和容器、8…ドレンホース、9…ドレン出口、10…給湯第1潜熱回収熱交換部、11…給湯第2潜熱回収熱交換部、12…給湯一次熱交換器、13…給湯燃焼部、14…追焚熱交換器、15…追焚燃焼部、16…給湯配管接続部、17…中和剤、18…ドレン、19…潜熱回収熱交換器、20…接続配管、21…接続配管、22…接続配管、23…入口ヘッダー端末、24…入口ヘッダー部。25…出口ヘッダー部、26…出口ヘッダー端末、27…外郭ケース、28…仕切り板、29…排気入口開口部、30…排気出口開口部、31…排気経路、32…貫通形状、33…排気経路、34…仕切り部材、35A、35B…傾斜部、36…傾斜面、37…仕切り部材(仕切り金具)、38…貫通長穴、R1…主排気通路、R2…副排気通路。