IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリザ油化株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-経口美肌用組成物 図1
  • 特許-経口美肌用組成物 図2
  • 特許-経口美肌用組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】経口美肌用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20231219BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20231219BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20231219BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20231219BHJP
   A23C 9/123 20060101ALN20231219BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20231219BHJP
   A23G 4/12 20060101ALN20231219BHJP
   A23K 50/42 20160101ALN20231219BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20231219BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L19/00 Z
A61K31/706
A61K36/81
A61P17/00
A61P17/16
A23C9/123
A23G3/34 101
A23G4/12
A23K50/42
A23L2/00 F
A23L2/52
A61K131:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019170060
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021045086
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年5月8日発行の「トマト種子エキス」(オリザ油化株式会社発行のカタログ)にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年5月18日開催第73回日本栄養・食糧学会大会静岡市清水文化会館マリナート(〒424-0823 静岡県静岡市清水区島崎町214)静岡県立大学(静岡県静岡市駿河区谷田52-1)にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年3月27日開催日本農芸化学会2019年東京大会東京農業大学世田谷キャンパス(東京都世田谷区桜丘1丁目1-1)にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月15日発行の「香粧品科学研究開発専門誌 フレグランス ジャーナル」 第47巻 1号にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹田 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】山田 和佳奈
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160271(JP,A)
【文献】特開2003-183151(JP,A)
【文献】特表2003-532680(JP,A)
【文献】特開昭56-099405(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105146506(CN,A)
【文献】オリザ油化、美容向けの新素材「トマト種子エキス」を開発―10/3からの食品開発展で初披露,食品と開発,2018年,https://www.kenko-media.com/food_devlp/archives/2952
【文献】Daily ingestion of nutraceutical-containing proteins, marine polysaccharides, grape and tomato seed extracts, vitamin C, and zinc for the treatment of skin aging and aesthetic quality in men,JOURNAL OF THE AMERICAN ACADEMY OF DERMATOLOGY,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/00-33/29
A61K 8/00- 8/99
A61K 31/00-33/44
A61Q 1/00-99/00
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用真皮厚増大剤。
【請求項2】
リコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用真皮コラーゲン密度改善剤。
【請求項3】
リコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌の潤い改善剤。
【請求項4】
コペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌のたるみの改善剤。
【請求項5】
リコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用しわ・小じわ改善剤。
【請求項6】
リコペロサイド類を含有するトマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌のハリ改善剤。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の剤を含有する経口用美肌用組成物。
【請求項8】
請求項7の組成物を含有する食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,経口美肌用組成物に関するものである。本発明は,食品,薬品,皮膚外用剤等に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
トマト(Solanum lycopersicum)は世界中で日常的に食されている植物であり,ビタミンC,リコピン,GABAなどの成分を豊富に含むことからジュースやサプリメントとして販売されている。トマトの機能性としては,血圧低下作用やコレステロール低下作用が報告されている。また,2004年にはトマトから新規のサポニンであるesculeoside類が同定され(非特許文献1及び非特許文献2),そのうちesculeoside Aにはマウスにおける高脂血症および動脈硬化の改善作用が見出されている(非特許文献3)。しかしながら,これらは全てトマトの果実における知見であり,トマトの種子に限定した報告は少ない。
【0003】
一方,コラーゲンは皮膚における細胞外マトリックスの主要な構成因子であり,皮膚の弾力性やハリを保つうえで重要な役割を果たしている。コラーゲン以外の細胞外マトリックスの主要な構成因子としてはエラスチンが挙げられ,エラスチンもコラーゲン同様皮膚の弾力性を保つうえで重要な因子である。コラーゲンやエラスチンは繊維芽細胞によって産生され,その分解産物は再び繊維芽細胞に吸収されるサイクルをとっていることがわかっている。しかし,このサイクルに異常をきたし,分解産物が蓄積することによって細胞形態の変質や皮膚における酸化ストレスの増加などが引き起こされることがわかっている。よって,細胞外マトリックスを構成するコラーゲンおよびエラスチンの産生・分解サイクルを正常に保つことは皮膚のコンディションを正常に保つうえで非常に重要と考えられる。
【0004】
【文献】Fujiwara S. et al., Tetrahedron, 60, 4915-4920 (2004).
【文献】Ono M. et al., Chem. Pharm. Bull., 54(2), 237-239 (2006).
【文献】Nohara T., J. Trad. Med., 27, 217-224 (2010).
【文献】富士フイルム株式会社,“シミの原因となるメラニン色素が表皮細胞内で分解される現象を実証 美白有用成分「AMA(エーエムエー)」にメラニン色素分解促進効果を確認”,[online],2013年11月28日,[平成28年3月24日検索],インターネット〈URL:http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0831.html〉
【文献】富士フイルム株式会社,“タンパク質分解酵素「カテプシンV」がシミの原因となるメラニン色素を含むメラノソームの分解に関与することを発見 米ぬか脂質に含有される「オリザノール」が,メラノソームの分解を促すことを確認”,[online],2015年11月5日,[平成28年3月24日検索],インターネット〈URL:http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1020.html〉
【文献】Biochem. J. (1974) 137, 387-398
【文献】Matrix Biol. 2002 Jan;21(1):15-23.
【文献】The Journal of Investigative Dermatology vol. 120, No. 5 may 2003.
【文献】Paul Saftig, Judith KlumpermanLysosome biogenesis and lysosomal membrane proteins: trafficking meets function. Nat. Rev. Mol. Cell Biol.: 2009, 10(9);623-35
【文献】特開2017-206468号公報
【文献】特表2014-517015号公報
【文献】特表2014-523881号公報
【文献】特開2015-10071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景の下,トマト種子抽出物を用いて,経口摂取による臨床試験を行った結果,真皮厚増大作用及びコラーゲン密度改善作用を有することを見出し,本発明を完成させた。
即ち,本発明は新規な真皮厚増大作用及びコラーゲン密度改善作用を有する経口用美肌用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下のとおりである。
1.トマト種子抽出物を有効成分とする真皮厚増大剤。
2.トマト種子抽出物を有効成分とする真皮コラーゲン密度改善剤。
3.トマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌の潤い改善剤。
4.トマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌のたるみの改善剤。
5.トマト種子抽出物を有効成分とする経口用しわ・小じわ改善剤。
6.トマト種子抽出物を有効成分とする経口用肌のハリ改善剤。
7.上記1.~6.のいずれか1つの剤を含有する経口用美肌用組成物。
8.上記7.の組成物を含有する食品組成物。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トマト種子抽出物における摂取前後における皮膚中コラーゲンスコアの変化を示すグラフである。
図2】トマト種子抽出物における摂取前後における真皮厚みの変化を示すグラフである。
図3】トマト種子抽出物における摂取前後における体感アンケートスコアの変化を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は,トマト種子の抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
トマト(学名:Solanum lycopersicum,英語: Tomato)は,南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー,エクアドル)原産のナス科ナス属の植物である。多年生植物で,果実は食用として利用される。緑黄色野菜の一種である。日本語では唐柿(とうし),赤茄子(あかなす),蕃茄(ばんか),小金瓜(こがねうり),珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などの異称もある。
また,本発明は,トマトの部位として種子を用いることを特徴としている。種子に固有のサポニン成分であるリコペロサイド類を含有するからである。このリコペロサイド類としては例えば,lycoperoside A,lycoperoside H等が挙げられる。尚,上記lycoperoside Aとは,下記化学式(1)に示される化合物であり,lycoperoside Hは下記化学式(2)に示される化合物である。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
また,上記トマトの種子から有効成分を抽出する方法として撹拌抽出,連続抽出,浸漬抽出,向流抽出など任意の方法を採用することができ,室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。この場合,抽出物を得るための抽出溶媒としては,例えば水,低級1価アルコール(メチルアルコール,エチルアルコール,1-プロパノール,2-プロパノール,1-ブタノール,2-ブタノール等),液状多価アルコール(グリセリン,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール等),低級エステル(酢酸エチル等),炭化水素(ベンゼン,ヘキサン,ペンタン等),ケトン類(アセトン,メチルエチルケトン等),エーテル類(ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジプロピルエーテル等),アセトニトリル等が挙げられ,それらの一種又は二種以上を用いることができる。トマト種子に含有される固有の成分であるリコペロサイド類等を高濃度に含有させることができるからである。
【0012】
好ましい抽出方法の例としては,濃度0~100%(v/v)の含水エタノール又は含水メタノールを用い,室温で,又は加温して1~10時間抽出を行った後,ろ過する方法等が挙げられる。より高濃度のリコペロサイド類等の有効成分を含有する抽出物を得ることができるからである。
【0013】
また,上記トマト種子抽出物は市販品を用いることもでき,この場合,上記リコペロサイド類を含有するものが好ましい。これらの市販品としては,例えば,オリザ油化株式会社製の「トマト種子エキス-P」等が挙げられる。
【0014】
本発明の経口用美肌用組成物は,各種飲食品用組成物の素材として使用することができる。飲食品としては,例えば,菓子類(ガム,キャンディー,キャラメル,チョコレート,クッキー,スナック,ゼリー,グミ,錠菓等),麺類(そば,うどん,ラーメン等),乳製品(ミルク,アイスクリーム,ヨーグルト等),調味料(味噌,醤油等),スープ類,飲料(ジュース,コーヒー,紅茶,茶,炭酸飲料,スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や,健康食品(錠剤,カプセル等),栄養補助食品(栄養ドリンク等)機能性表示食品,特定保健用食品が挙げられる。これらの飲食品に本発明の経口用美肌用組成物を適宜配合するとよい。
【0015】
これら飲食品用組成物には,その種類に応じて種々の成分を配合することができ,例えば,ブドウ糖,果糖,ショ糖,マルトース,ソルビトール,ステビオサイド,コーンシロップ,乳糖,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,コハク酸,乳酸,L-アスコルビン酸,dl-α-トコフェロール,エリソルビン酸ナトリウム,グリセリン,プロピレングリコール,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,アラビアガム,カラギーナン,カゼイン,ゼラチン,ペクチン,寒天,ビタミンB類,ニコチン酸アミド,パントテン酸カルシウム,アミノ酸類,カルシウム塩類,色素,香料,保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0016】
具体的な製法としては,経口用美肌用組成物を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し,これを粉末,顆粒,打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また,前記経口用美肌用組成物を,例えば,油脂,エタノール,グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし,飲料に添加するか,固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム,デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし,飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0017】
本発明の経口用美肌用組成物を飲食品に適用する場合の添加量としては,健康維持や美容が主な目的であるので,飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
【0018】
本発明の経口用美肌用組成物は,薬品用組成物(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に,本発明の経口用美肌用組成物を適宜配合して製造することができる。本発明の経口用美肌用組成物に配合しうる製剤原料としては,例えば,賦形剤(ブドウ糖,乳糖,白糖,塩化ナトリウム,デンプン,炭酸カルシウム,カオリン,結晶セルロース,カカオ脂,硬化植物油,カオリン,タルク等),結合剤(蒸留水,生理食塩水,エタノール水,単シロップ,ブドウ糖液,デンプン液,ゼラチン溶液,カルボキシメチルセルロース,リン酸カリウム,ポリビニルピロリドン等),崩壊剤(アルギン酸ナトリウム,カンテン,炭酸水素ナトリウム,炭酸カルシウム,ラウリル硫酸ナトリウム,ステアリン酸モノグリセリド,デンプン,乳糖,アラビアゴム末,ゼラチン,エタノール等),崩壊抑制剤(白糖,ステアリン,カカオ脂,水素添加油等),吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基,ラウリル硫酸ナトリウム等),吸着剤(グリセリン,デンプン,乳糖,カオリン,ベントナイト,硅酸等),滑沢剤(精製タルク,ステアリン酸塩,ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0019】
本発明の経口用美肌用組成物の投与方法は,一般的には,錠剤,丸剤,軟・硬カプセル剤,細粒剤,散剤,顆粒剤,液剤等の形態で経口投与することができるが,非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は,溶液の状態,または分散剤,懸濁剤,安定剤などを添加した状態で,局所組織内投与,皮内,皮下,筋肉内および静脈内注射などによることができる。また,坐剤などの形態としてもよい。
【0020】
投与量は,投与方法,病状,患者の年齢等によって変化し得るが,大人では,通常,1日当たり有効成分として0.5~5000mg,子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。
経口用美肌用組成物の配合比は,剤型によって適宜変更することが可能であるが,通常,経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%,非経口投与による場合は,0.01~10wt%程度にするとよい。なお,投与量は種々の条件で異なるので,前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし,また,範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【実施例
【0021】
以下,本発明を実施例に基づいて説明する。
試験例:トマト種子抽出物における経口摂取による美肌作用の評価
(1)被験者
被験者は健康な男女18名(平均年齢36.8±12.2歳)を対象とした。被験者のうち女性は12名(平均年齢36.7±13.6歳),男性が6名(平均年齢37.0±10.0歳)であった。
【0022】
(2)試験品および摂取期間
(2)試験品および摂取期間
試験品であるトマト種子抽出物として「トマト種子エキス-P(オリザ油化株式会社製)」を1粒につき100 mg内包したハードカプセルを使用した。このハードカプセルを1日2粒(200 mg/日摂取)4週間継続摂取させた。
尚,上記「トマト種子エキス-P」は5%のトマト種子抽出物と95%の澱粉分解物で組成されており,リコペロサイド類を総量として0.5%以上含んでいるものである。
【0023】
(3)評価方法
評価は頬および上腕部内側における皮膚中のコラーゲンスコア,真皮の厚みを測定した。測定は摂取前(2019年7月3日)と継続摂取後(2019年7月31日)の計2回行った。被験者には測定室への入室15分前に顔のメイクを落としてもらい,温度25.8±0.9℃,湿度64.7±3.9%の部屋にて15分間の馴化を行った後に測定を実施した。コラーゲンスコアおよび真皮の厚みはDermaLab(登録商標)(Cortex Technology Ltd.)を用いて測定した。尚,上記コラーゲンスコアとは真皮中のコラーゲンの密度を表す指標であり,この値が大きいほど真皮のコラーゲン密度が高く,一般的にコラーゲンが豊富で真皮コラーゲンの状態が良い。また,摂取前後における肌状態の体感アンケートを実施した。アンケートにはVAS法を採用した。
【0024】
結果及び実施例の効果
(1)皮膚中のコラーゲンスコア
摂取前後の頬および上腕部内側におけるコラーゲンスコアの変化を図1に示した。図1に示されるように摂取前後の比較により,頬および上腕部内側のいずれにおいてもコラーゲンスコアが有意に増加していることが確認された。
【0025】
(2)真皮の厚み
摂取前後の頬および上腕部内側における真皮厚みの変化を図2に示した。図2に示されるように摂取前後の比較により,右腕上腕部の真皮の厚みが有意に増加していることが確認された。
【0026】
(3)体感アンケート
摂取前後における体感アンケートスコアの変化を図3に示した。図3に示されるように摂取前後の比較を行った結果,肌の体感に関するアンケート項目のうち,「肌の潤い」,「たるみの改善」,「しわ・小じわの改善」および「肌のハリ」の項目において有意な改善が確認された。
【0027】
(4)実施例の効果
トマト種子エキス-Pを健康な成人男女18名に200 mg/日,4週間継続摂取させた結果,頬および上腕部内側における皮膚中コラーゲンスコアが有意に増加し,これにより,トマト種子抽出物が真皮コラーゲン密度改善剤として,用いることができることが確認された。また,上腕部内側においては真皮の厚みも増加した。これにより,トマト種子抽出部は真皮厚増大剤として用いることができることが確認された。さらに,体感アンケートにおいても「肌の潤い」,「たるみの改善」,「しわ・小じわの改善」および「肌のハリ」の項目において有意な改善が確認された。これにより,トマト種抽出物が肌の潤い改善剤,肌のたるみの改善剤,しわ・小じわの改善剤および肌のハリ改善剤として用いることができることが確認された。
以上の結果より,トマト種子エキス-Pは,経口摂取することにより,皮膚中のコラーゲン量および真皮の厚みを増加させ,これにより,肌のたるみやしわの改善に寄与するので,経口用美肌用組成物と有用であることが確認された。
【0028】
以下により,本発明の経口用美肌用組成物の配合例を挙げるが,下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 52.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
経口用美肌用組成物 0.5
100.0wt%
【0029】
配合例2:グミ
還元水飴 38.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
桜の花エキス 1.0
グルコシルセラミド 1.0
経口用美肌用組成物 1.0
100.0wt%
【0030】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.2
有機酸 2.0
香料 0.2
桜の花エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
経口用美肌用組成物 0.4
100.0wt%
【0031】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
桜の花エキス 0.1
グルコシルセラミド 0.1
経口用美肌用組成物 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0032】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
イチゴ種子エキス 0.05
グルコシルセラミド 0.05
経口用美肌用組成物 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0033】
配合例6:ソフトカプセル
米胚芽油 86.0wt%
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳化剤 12.0
経口用美肌用組成物 1.0
100.0wt%
【0034】
配合例7:錠剤
乳糖 53.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
経口用美肌用組成物 1.0
100.0wt%
【0035】
配合例8:顆粒内服剤(医薬品)
経口用美肌用組成物 1.0wt%
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 7.0
ポリビニールピロリドン 1.0
100.0wt%
【0036】
配合例9:錠菓
砂糖 75.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
経口用美肌用組成物 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0037】
配合例10:キャットフード
とうもろこし 33.0wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.9
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
イチゴ種子エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
経口用美肌用組成物 1.0
タウリン 0.1
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
【0038】
配合例11:ドッグフード
とうもろこし 30.0wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 24.0
糟糠類 5.0
桜の花エキス 0.5
グルコシルセラミド 0.5
経口用美肌用組成物 5.0
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上,説明したように,本発明は新規な経口用美肌用組成物を提供することができる。


図1
図2
図3