(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】壁構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
E04B1/94 L
E04B1/94 D
E04B1/94 E
(21)【出願番号】P 2019177924
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 克俊
(72)【発明者】
【氏名】浅見 俊介
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084664(JP,A)
【文献】特開2016-084665(JP,A)
【文献】特開2007-009607(JP,A)
【文献】特開2002-201734(JP,A)
【文献】特開2003-138672(JP,A)
【文献】米国特許第04584811(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を構成する金属部材と、
当該金属部材よりも屋外側に配された支持部材と、
当該支持部材よりも屋外側に配され、前記支持部材と当接する面材と、
当該面材よりも屋外側に配された外装材と、を備えた壁構造であって、
前記金属部材と前記面材は、下地材で接続され、
前記金属部材と前記下地材及び前記面材によって形成された空間の外側に位置する前記金属部材と前記下地材の外面を被覆する、吹付け又は塗布によって形成された
耐火性能を有する第1被覆材と、
前記金属部材と前記下地材及び前記面材によって形成された空間に臨む面における前記金属部材の外面を覆うように配置された、予め特定形状に成形された
耐火性能を有する第2被覆材とを備える壁構造。
【請求項2】
前記第2被覆材は、ロックウールを含有する請求項1に記載の壁構造。
【請求項3】
前記第2被覆材は、前記ロックウールに当接し、かつ前記面材に対向するシートを有する請求項2に記載の壁構造。
【請求項4】
前記第2被覆材を固定する固定具を備え、当該固定具は、前記第2被覆材を貫通した状態で前記金属部材に固定されている請求項1~3のいずれか1項に記載の壁構造。
【請求項5】
前記第1被覆材は、吹付ロックウールを含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の壁構造。
【請求項6】
前記面材は、石膏ボードである請求項1~5のいずれか1項に記載の壁構造。
【請求項7】
前記支持部材よりも屋外側に配され、前記支持部材と当接する第1面材と、
当該第1面材よりも屋外側に配され、前記第1面材と当接する第2面材と、を備え、上下方向における前記第1面材同士の接合部と、上下方向における前記第2面材同士の接合部とが、それぞれ、屋外側から屋内側に向かう方向から見て、重なっていない、請求項1~6のいずれか1項に記載の壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、耐火性能を有する建築物の外壁を施工するために、建築物の梁や柱に吹付ロックウール等の耐火被覆材を被覆した壁構造が知られている。例えば、特許文献1の壁構造においては、梁の屋外側に面材が設けられ、梁と面材との間の空間に臨む面を除く梁の外面が耐火被覆材で被覆されている。
【0003】
また、特許文献2の壁構造においては、柱の屋外側に面材が設けられ、柱と面材との間の空間に臨む面を除く柱の外面が耐火被覆材で被覆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-84664号公報
【文献】特開2016-84665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の壁構造の場合には、面材と梁の間の空間又は面材と柱の間の空間が狭いために、吹付ロックウールを施工するためのホースが入りづらく、吹付ロックウールを被覆できない面が存在し、耐火性能に劣った箇所が存在するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、耐火性能に優れた壁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様としての壁構造は、建物を構成する金属部材と、
当該金属部材よりも屋外側に配された支持部材と、
当該支持部材よりも屋外側に配され、前記支持部材と当接する面材と、
当該面材よりも屋外側に配された外装材と、を備えた壁構造であって、
前記金属部材と前記面材は、下地材で接続され、
前記金属部材と前記下地材及び前記面材によって形成された空間の外側に位置する前記金属部材と前記下地材の外面を被覆する、吹付け又は塗布によって形成された耐火性能を有する第1被覆材と、
前記金属部材と前記下地材及び前記面材によって形成された空間に臨む面における前記金属部材の外面を覆うように配置された、予め特定形状に成形された耐火性能を有する第2被覆材とを備えるものである。
【0008】
本発明の第1の態様としての壁構造において、金属部材と下地材及び面材によって形成された空間の外側に位置する金属部材と下地材の外面を、吹付け又は塗布によって形成された第1被覆材だけでなく、金属部材と下地材及び面材によって形成された空間に臨む面における金属部材の外面を、予め特定形状に成形された第2被覆材で覆っている。このため、第1被覆材で被覆し難い金属部材の外面を第2被覆材で被覆でき、耐火性能を更に向上させることができる。また本発明によると、面材の枚数を増やしたり、外装材や面材の厚みを厚くすることなく、耐火性能の向上が可能である。すなわち、本発明は面材の枚数の減少や、外装材や面材の厚みの減少に寄与するもので、工程の減少や作業者の負荷の軽減等の優れた施工性にも貢献できるものである。
【0009】
本発明の第2の態様としての壁構造において、第2被覆材は、ロックウールを含有することが好ましい。この壁構造によれば、耐火性能を有した予め成形されたロックウールであるため、吹付ロックウールでは、施工が困難であった空間に臨む面において金属部材の外面にロックウールを施工できる。従って、耐火性能を向上させることができる。
【0010】
本発明の第3の態様としての壁構造において、第2被覆材は、ロックウールに当接し、かつ面材に対向するシートを有することが好ましい。この壁構造によれば、シートを備えることによりロックウールが補強され、より強固に保護される。
【0011】
本発明の第4の態様としての壁構造において、第2被覆材を固定する固定具を備え、固定具は、第2被覆材を貫通した状態で金属部材に固定されていることが好ましい。この壁構造によれば、固定具が第2被覆材を貫通し、かつ梁及び柱等の金属部材に固定されているので、第2被覆材と金属部材との固定が強固なものとなり、経年による第2被覆材の剥がれを防止できる。
【0012】
本発明の第5の態様としての壁構造において、第1被覆材は、吹付ロックウールを含有することが好ましい。この壁構造によれば、吹付ロックウールを使用するので、安価に耐火性能を確保することができる。
【0013】
本発明の第6の態様としての壁構造において、面材は、石膏ボードであることが好ましい。この壁構造によれば、石膏ボードが耐火性能を有するので、耐火性能が向上する。
【0014】
本発明の第7の態様としての壁構造において、支持部材よりも屋外側に配され、支持部材と当接する第1面材と、第1面材よりも屋外側に配され、第1面材と当接する第2面材と、を備え、上下方向における第1面材同士の接合部と、上下方向における第2面材同士の接合部とが、それぞれ、屋外側から屋内側に向かう方向から見て、重なっていないことが好ましい。この壁構造によれば、面材が増えることにより面材の厚みが増加し、耐火性を向上できる。また、第1面材同士の接合部と、第2面材同士の接合部とが、それぞれ、屋外側から屋内側に向かう方向から見て、重なっておらず、すなわち、厚み方向において、第1面材同士の接合部と、第2面材同士の接合部が重なっていないので、火が第1面材同士の接合部を通過した場合であっても、第2面材で火の通過を阻止でき、耐火性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐火性能に優れた壁構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1の壁構造を模式的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1の壁構造の上面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1の壁構造において、支持部材より屋内側の拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1の壁構造全体を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1の壁構造全体の斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態2の壁構造を模式的に示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態2の壁構造の上面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2の壁構造において、支持部材より屋内側の要部の断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3の壁構造において、支持部材より屋内側の要部の断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態4の壁構造において、支持部材より屋内側の要部の断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態5の壁構造において、支持部材より屋内側の要部の断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態6の壁構造全体を模式的に示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施の形態6の壁構造全体の上面図である。
【
図14】本発明の実施の形態7の壁構造全体を模式的に示す斜視図である。
【
図15】本発明の実施の形態7の壁構造全体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の壁構造を具体化した実施の形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。なお、
図1において、垂直上方向を上と表示し、垂直下方向を下と表示する。また、
図1の屋外から屋内に向かう方向において水平左方向を左と表示し、水平右方向を右と表示する。
【0018】
(実施の形態1)
図1に示すように、実施の形態1の壁構造は、本発明の具体的態様の一例である。この壁構造は、建物を構成する金属部材(図示しない)と、支持部材である複数の鉄骨1と、鉄骨1よりも屋外側に配され、鉄骨1と当接する第1面材である面材(下張り)3と、面材(下張り)3よりも屋外側に配され、面材(下張り)3と当接する第2面材である面材(上張り)5と、面材(上張り)5よりも屋外側に配された外装材11とを備える。
【0019】
本実施形態において、建物を構成する金属部材は、金属梁である鉄骨梁や鋼管柱等である。支持部材である鉄骨1は、本実施形態のような断面形状がC型状の鉄骨や矩形状の鉄骨等が挙げられる。鉄骨として、例えば、軽量鉄骨が挙げられる。なお、本実施形態においては、鉄骨は軽量鉄骨に限定されない。また支持部材は木製や樹脂製であってもよい。
【0020】
本実施形態において、面材(下張り)3及び面材(上張り)5は、正面視で長方形である。面材(下張り)3及び面材(上張り)5は、耐火性を有する材料から形成されており、例えば、石膏ボードを使用することができる。この石膏ボードとしては、JIS A 6901で規定される強化石膏ボードを使用してもよい。また、強化石膏ボードの芯の石膏に、脱水材等により防水加工されたものを使用してもよい。なお、面材(下張り)3及び面材(上張り)5は、石膏ボードに限定されず、耐火性を有する材料から形成されていればよく、例えば、珪酸カルシウム板やセメント板等であってもよい。なお、厚み方向の面材は別途増やしてもよい。
【0021】
本実施形態において、外装材11は、最も屋外側に取り付けられている。外装材11は、正面視で長方形である。このような外装材11として外壁板を使用できる。外壁板は、それ自体が高い強度や剛性を有して建物の外壁を構成する板材である。なお、外装材11は外壁板に限定されず、例えば、表面に意匠性の高い化粧面を有する化粧板等であってもよい。化粧板は、外壁を構成する強固な躯体に取り付けられることが多く、一般的に、外壁板と比較して、強度や剛性が低い板材である。本実施の形態では、外装材11は、セメントを含む窯業系材料からなる。なお、外装材11の材質や形状は上記には限定されない。例えば、外装材11の材質は、金属系材、木質系材、樹脂系材等を適宜選択できる。
【0022】
図1に示すように、鉄骨1は基礎(図示しない)の表面に、垂直に長い、すなわち、上下方向に長尺である縦胴縁として設置される。鉄骨1は、所定の間隔をあけて左右方向に並設されている。鉄骨1を設置する間隔は、適宜設定され、例えば、等間隔であってもよい。また、支持部材は上下方向に並列される横胴縁として設置されてもいい。
【0023】
本実施形態では、
図1に示すように、複数並んだ鉄骨1に沿って、複数の面材(下張り)3が上下左右に隣接して配されている。
【0024】
本実施形態では、
図1に示すように、複数並んだ面材(下張り)3の屋外側に、複数の面材(上張り)5が上下左右に隣接して配されている。すなわち、面材(上張り)5は、面材(下張り)3と同様に、複数並んだ鉄骨1に沿っている。面材(下張り)3及び面材(上張り)5は、本実施形態では縦辺が短辺、横辺が長辺となるように配置されているが、縦辺が長辺、横辺が短辺でもよい。なお、上下方向において隣接する面材(上張り)5の横辺5Uと横辺5B同士が突き合わさる部分Aと、隣接する面材(下張り)3の横辺同士(図示しない)が突き合わさる部分(図示しない)と厚み方向において重ならないように配することにより、火災の際に、面材(上張り)5が収縮し、面材(上張り)5の横辺同士の突き合わさる部分に隙間が形成された場合であっても、面材(上張り)5の横辺5Uと横辺5B同士の突き合わさる部分Aの屋内側には、面材(下張り)3が存在するため、耐火性が向上する。なお、横辺に関わらず、縦辺5Lと縦辺5L同士が突き合わさる部分Bに関しても厚み方向に重ならなくてもよい。こうすることにより横辺同様に耐火性が向上する。なお、面材の横辺同士又は縦辺同士が突き合わさって接合される接合部に目地テープ4が貼られているが、必須ではない。目地テープ4が貼られることで耐火性が向上する。目地テープ4が貼られる位置は上下の接合部でも左右の接合部でもよい。また、スペーサー8は、外装材11を胴縁6に留め付け時の不陸調整に用いるものであり、必須ではない。
【0025】
図2に示すように、面材(下張り)3は、面材(下張り)締結具17によって鉄骨1に固定され、面材(上張り)5は、面材(上張り)締結具16によって鉄骨1に固定されている。外装材11は、外装材留付具9と、留付具用締結具15を使用して鉄骨1に固定されている。外装材11と、面材(上張り)5との間には、胴縁6が配されている。胴縁6は、胴縁締結具18によって鉄骨1に固定されている。また、外装材補強具10は、外装材11の固定を補強するためのものであり、必須ではない。面材(下張り)締結具17、面材(上張り)締結具16、留付具用締結具15、胴縁締結具18、外装材補強具10として、例えば、ビス、釘、ネジ等が挙げられる。なお、本実施形態において、面材(上張り)5と、面材(上張り)締結具16と、断熱材2と、胴縁6及び胴縁締結具18は必須ではない。
【0026】
図2に示すように、本実施形態では、面材(上張り)5の屋外側の面に、垂直に長いジョイナー21が設けられている。ジョイナー21は、胴縁6に接するとともに、胴縁6より屋外側に位置している。ジョイナー21としては、例えば、断面形状がハット型のハットジョイナーを使用できる。なお、
図1ではジョイナー21は省略している。また、外装材留付具9はジョイナー21と当接した状態で、かつジョイナー21よりも屋外側に配されている。なお、
図2においては、外装材留付具9は位置Bを挟んで2個設けられている。また、外装材11の留め付けについては、外装材留付具9を使用せず、外装材補強具10のみで外装材11を留め付けてもよい。
【0027】
また、
図1、2に示すように、面材(上張り)5の屋外側の面に透湿防水シート7が配されていてもよい。透湿防水シート7は、水分の侵入を防止し、湿気(水蒸気)を透過する性質を有する。透湿防水シート7により、湿気が表面側に放出され、壁構造内での結露の発生が抑制される。また、外装材11から雨水等の水分が侵入した場合でも、面材(上張り)5側への水分の侵入を防止しやすくなる。
【0028】
本実施形態では、面材(下張り)3の屋内側には断熱材2が配されている。断熱材2としては、例えば、ロックウール、ガラスウール等が挙げられる。
【0029】
図1、2に示すように、本実施形態では、複数並んだ面材(上張り)5の屋外側に、複数の外装材11が上下左右に隣接して配されている。すなわち、外装材11は、面材(下張り)3及び面材(上張り)5と同様に、複数並んだ鉄骨1に沿っている。外装材11は、本実施形態では縦辺が短辺、横辺が長辺となるように配置されているが、縦辺が長辺、横辺が短辺でもよい。また外装材11、面材(下張り)3、及び面材(上張り)5は縦辺と横辺が同じ大きさである、すなわち正方形の形状でも良い。
【0030】
図1、2に示すように、外装材11は、面材(上張り)5の屋外側の面に配された外装材留付具9及びジョイナー21を介して配されている。外装材11は、面材(下張り)3及び面材(上張り)5及び胴縁6を介して、外装材留付具9により、鉄骨1に固定されている。また、左右方向に隣接する外装材11は、ジョイナー21を介して、縦辺同士が突き合わされている。外装材11の縦辺同士が突き合わされた部分Bには、隙間を塞ぐために、シーリング材20が充填されている。シーリング材20としては、例えば、シリコン系樹脂等が使用できる。
【0031】
図4、
図5に示すように、金属部材である金属梁24と面材(下張り)3は、下地材であるメタルラス29によって接続されている。下地材は、メタルラス以外の網目状の部材や鉄板等であってもよい。金属梁24と、メタルラス29と、面材(下張り)3によって形成された空間の外側に位置する金属梁24とメタルラス29の外面は、第1被覆材23である吹付ロックウールによって被覆されている。また、先に面材(下張り)3と金属梁24とを力骨27に接続させたうえで、面材(下張り)3と金属梁24の間にメタルラス29を接続させてもよい。この場合は力骨27があることでメタルラス29を安定して固定できる。なお、力骨27は
図5では2本の例が、後述する
図12及び
図14では右側に2本、左側に1本の例が示されているが、この本数に限られたものではない。力骨留付材28は、力骨27と金属梁24とを接続するものだが必須ではなく、力骨27に金属梁24とを接続してもよい。なお、
図5では、力骨留付材28を省略している。
図5では左右方向において、
図12及び
図14では上下方向において、メタルラス29が途切れているが、本実施形態において、メタルラスは
図5では左右方向に、
図12及び
図14では上下方向にわたっている。
【0032】
本実施形態において第1被覆材は、吹付け又は塗布によって形成されるものである。第1被覆材としては、湿式部材である吹付ロックウール、耐火塗料、モルタル等が挙げられる。
【0033】
図4に示すように、本実施形態において、金属梁24と、メタルラス29と、面材(下張り)3によって形成された空間に臨む面における金属梁24の外面は、第2被覆材25である無機繊維フェルト(ロックウールの一例)によって覆われている。なお、第2被覆材25は、無機繊維以外のフェルトであってもよい。第2被覆材25としては、乾式部材であるフェルト状に成形された耐熱ロックウールや、セラミックファイバー・アルカリアースシリケートウール・グラスウール・ケイ酸カルシウム板・石膏ボード等が挙げられる。第2被覆材25は、ロール、プレカット等、予め特定形状に成形されているので、金属梁24に巻き付け、ピン等で止めるだけで設置できるので施工が容易である。また、面材(下張り)3に対向するシート36を有することにより、耐熱ロックウールやセラミックファイバー等の無機繊維が補強され、より強固に保護できる。シート36としては、例えば、難燃性不織布等が挙げられる。
【0034】
図3、
図4に示すように、第2被覆材25である無機繊維フェルトは、固定具の一つである第2被覆材固定具26によって貫通させられた状態で金属梁24と2か所で固定されている。第2被覆材固定具26は、ピンであり、溶接により金属梁24と固定されている。第2被覆材25である無機繊維フェルトは、金属梁24の一部に当接している。なお、本実施形態では溶接で固定しているが、固定方法は溶接に限られたものではない。また、本実施形態では、金属梁24の上に床板22が設けられており、床板22は、金属梁24によって支持されている。本実施形態では、床板22と面材(下張り)3との間の隙間が、塞ぎ充填材35によって塞がれている。また、
図4では2枚の上下の外装材の間(接合部)には、中間水切り34、シーリング等の水密材33が配されているが、これらは必須ではない。つまり、上下接合部が後述する合决りによって接合されていてもよい。さらに、
図4に示すように、金属梁24と鉄骨1とが受金物30によって接続され固定されている。
図4及び
図5では第2被覆材25が受金物30を横断しているように見えるが、第2被覆材25の配置を見やすくしたものであり、実際は受金物30は第2被覆材25よりも右側に位置している。つまり、受金物30は
図4及び
図5に示すように第2被覆材25を横断していない。
【0035】
(実施の形態2)
図6、
図7に示すように、実施の形態2の壁構造は、実施の形態1の壁構造に係る左右方向における隣接する外装材11同士が突き合わされ、シーリング材(目地材)を使用して接合された部分に代わり、それぞれ雌雄の切り欠きを有し、シーリング材(目地材)を使用することなく、隣接する外装材11同士が嵌合させられることにより接合される合决り部分を有している。外装材11同士が嵌合する部分には一つの外装材留付具9が左右の外装材11にまたがって配されている。実施の形態2の壁構造のその他の構成は、実施の形態1と同様である。このため、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
図8に示すように、実施の形態2の壁構造において、第2被覆材25である無機繊維フェルトは、くの字型に湾曲させられ、第2被覆材固定具26によって金属梁24と3か所で固定されている。無機繊維フェルトは力骨27やメタルラス29、及び床板22に当接している。シート36は、湾曲させられた第2被覆材25の両端面を覆うように設けられていてもよい。すなわちシート36が、シート36の下端部から力骨27やメタルラス29まで、及びシート36の上端部から床板22に接するまで延びても良い。なお、
図8では、受金物30を設けていないが、別途設けてもよい。
【0037】
(実施の形態3)
図9に示すように、実施の形態3の壁構造は、実施の形態2の壁構造に係る第2被覆材25である無機繊維フェルトの金属梁24との固定態様に代わり、第2被覆材25である無機繊維フェルトは、くの字型に湾曲させられ、第2被覆材固定具26によって金属梁24と2か所で固定されているとともに、第2被覆材固定具37によって床板22と1か所で固定されている。無機繊維フェルトは力骨27やメタルラス29、及び床板22に当接している。シート36は、湾曲させられた第2被覆材25の両端面を覆うように設けられていてもよい。すなわちシート36が、シート36の下端部から力骨27やメタルラス29まで、及びシート36の上端部から床板22に接するまで延びても良い。なお、
図9では、受金物30を設けていないが、別途設けてもよい。
【0038】
(実施の形態4)
図10に示すように、実施の形態4の壁構造は、実施の形態2の壁構造に係る無機繊維フェルトの金属梁24との固定態様に代わり、第2被覆材25である無機繊維フェルトは、床板22とメタルラス29と当接しないように第2被覆材固定具26によって金属梁24と2か所で固定されている。シート36は、湾曲させられた第2被覆材25の両端面を覆うように設けられていてもよい。すなわちシート36が、シート36の下端部から力骨27やメタルラス29まで、及びシート36の上端部から床板22に接するまで延びても良い。なお、
図10では、受金物30を設けていないが、別途設けてもよい。
【0039】
(実施の形態5)
図11に示すように、実施の形態5の壁構造は、実施の形態2の壁構造に係る無機繊維フェルトの金属梁24との固定態様に代わり、第2被覆材25である無機繊維フェルトは、床板22と、金属梁24と、メタルラス29のそれぞれと隙間なく第2被覆材固定具26によって金属梁24と2か所で固定される。また、無機繊維フェルト及びシート36は力骨27やメタルラス29、及び床板22に当接している。なお、
図11では、受金物30を設けていないが、別途設けてもよい。
【0040】
(実施の形態6)
図12、
図13に示すように、実施の形態6の壁構造は、実施の形態1の壁構造に係る金属部材である鉄骨梁24に代わり、鋼管柱624が使用されている。また、鉄骨梁24を用いる実施形態はメタルラス29が1か所設けられているのに対して、鋼管柱624を用いる本実施形態はメタルラス29が2か所設けられており、またそれぞれ対向している。鋼管柱624と2か所のメタルラス29及び面材(下張り)3によって形成された空間の外側に位置する鋼管柱624とメタルラス29の外面は、第1被覆材23である吹付ロックウールで覆われている。また、鋼管柱624とメタルラス29及び面材(下張り)3によって形成された空間に臨む面における鋼管柱624の外面は第2被覆材25である無機繊維フェルトに覆われており、無機繊維フェルトは対向する2つのメタルラス29にそれぞれ当接している。さらに、
図12に示すように、鋼管柱624と鉄骨1とが受金物30によって接続され固定されている。実施の形態6の壁構造のその他の構成は、実施の形態1と同様である。このため、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
(実施の形態7)
図14、
図15に示すように、実施の形態7の壁構造は、実施の形態1の壁構造に係る金属部材である鉄骨梁24に代わり、断面形状がH形の鋼管柱724が使用されている。このため、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態7は実施の形態6とは鋼管柱の形状が異なるのみである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、耐火性能に優れた壁構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:鉄骨、2:断熱材、3:面材(下張り)、4:目地テープ、5:面材(上張り)、6:胴縁、7:透湿防水シート、8:スペーサー、9:外装材留付具、10:固定具、11:外装材、16:面材(上張り)締結具、17:面材(下張り)締結具、18:胴縁締結具、20:シーリング材、21:ジョイナー、22:床板、23:第1被覆材、24:金属梁、25:第2被覆材、26,36:第2被覆材固定具、27:力骨、
28:力骨留付材、29:メタルラス、30:受金物、33:水密材、34:中間水切り、35:塞ぎ充填材、624,724:鋼管柱