(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体、および緩衝材
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20231219BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20231219BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20231219BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20231219BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20231219BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20231219BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C08J9/04 103
C08J9/04 CES
C08K5/098
C08K5/09
C08K5/17
C08L23/00
C08L23/04
C08L23/06
(21)【出願番号】P 2019179815
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西本 豊
(72)【発明者】
【氏名】中山 亮二
【審査官】福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151858(JP,A)
【文献】登録実用新案第3141708(JP,U)
【文献】特開2010-168557(JP,A)
【文献】特開2006-249409(JP,A)
【文献】特開2017-025156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08K 5/098
C08K 5/09
C08K 5/17
C08L 23/00
C08L 23/04
C08L 23/06
B29C 44/00-44/60
B29C 67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂と、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む気泡核形成剤と、下記の条件(a)~(c)のいずれかを満たすヒンダードアミン系光安定剤とを含有し、
発泡倍率が3倍以上であ
り、
前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂を含む、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体:
条件(a):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を含まないか、または1個含み、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;
条件(b):前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500以下であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;
条件(c):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~0.150重量部である。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の平均気泡径が100μm~600μmである、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の厚さが20~160mmである、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
【請求項4】
前記ポリエチレン系樹脂が、当該ポリエチレン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
【請求項5】
前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の独立気泡率が70%以上である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体を含む、緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体、および緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性および耐磨耗性に比較的優れていることから、緩衝材(例えば梱包用緩衝材)として広く使用されている。ポリオレフィン系樹脂発泡体には、その製造方法の違いから、ビーズ発泡体、架橋バッチ発泡体、無架橋押出発泡体などがある。
【0003】
ビーズ発泡体の一部には耐摩耗性が優れたものがある。しかし、ビーズ発泡体は、発泡ビーズ脱落の懸念がある。脱落した発泡ビーズは、汚染の原因となる。そのため、ビーズ発泡体は、汚染防止の観点から使用を制限される場合がある。
【0004】
架橋バッチ発泡体は、耐磨耗性、耐熱性などの優れた特性を有することから、緩衝材に利用されるだけでなく、車両の内装材、工業用断熱材、スポーツ用品等に広く利用されている。しかしながら、架橋バッチ発泡体は、架橋のための余分な工程を必要とするため製造コストが高くなるという問題点がある。また、架橋バッチ発泡体は、架橋されているため元の樹脂に戻して再利用することが出来ず、その結果、現在のリサイクル社会には適さないものである。特に、ポリエチレン系樹脂発泡体に関して言えば、ポリエチレン系樹脂無架橋押出発泡体と比較して、ポリエチレン系樹脂架橋バッチ発泡体は、熱融着性に劣るため加工性が悪いという欠点も有する。
【0005】
一方、押出法により製造されるポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体は、発泡ビーズ脱落の可能性がなく、リサイクルが可能であり、かつ熱融着性もよい等メリットが多い。ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体は、梱包用緩衝材として実用化されている。しかしながら、従来使用されているポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体は、全て、気泡径が大きく、その結果、気泡模様の転写を生じたり、気泡が微細な発泡体と比較して硬い触感であったりするため、分野によっては敬遠される傾向がある。そこで、本発明者らは、微細な気泡径を有し、かつ、緩衝性に優れた無架橋ポリエチレン系樹脂発泡体を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、屋外にて長期間保管されることがある。そのため、ポリオレフィン系樹脂発泡体には、耐候性が求められている。しかしながら、上述のような従来技術は、耐候性という観点からは、さらなる改善の余地があった。
【0008】
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、気泡径が小さく、かつ優れた耐候性を有する、新規のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体および緩衝材、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ヒンダードアミン系光安定剤を特定条件下で用いることにより、気泡径が小さく、かつ優れた耐候性を有する、新規のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体および緩衝材、を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂と、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む気泡核形成剤と、下記の条件(a)~(c)のいずれかを満たすヒンダードアミン系光安定剤とを含有し、発泡倍率が3倍以上である、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体:条件(a):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を含まないか、または1個含み、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;条件(b):前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500以下であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;条件(c):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~0.150重量部である。
〔2〕前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の平均気泡径が100μm~600μmである、〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
〔3〕前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の厚さが20~160mmである、〔1〕または〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
〔4〕前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂を含む、〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
〔5〕前記ポリエチレン系樹脂が、当該ポリエチレン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含む、〔4〕に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
〔6〕前記ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の独立気泡率が70%以上である、〔1〕~〔5〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体。
〔7〕〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体を含む、緩衝材。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、気泡径が小さく、かつ優れた耐候性を有する、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体および緩衝材を提供できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0013】
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0014】
本明細書において特記しない限り、構成単位として、X1単量体に由来する構成単位と、X2単量体に由来する構成単位と、・・・およびXn単量体(nは2以上の整数)とを含む共重合体を、X1/X2/・・・/Xn共重合体とも称する。X1/X2/・・・/Xn共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。また、X単量体に由来する構成単位を「X単位」と称する場合もある。
【0015】
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、(1)熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む気泡核形成剤を使用することにより、大きい厚さを有する発泡体であっても、当該発泡体の気泡径を小さくすることができ、かつ、(2)ヒンダードアミン系光安定剤を使用することにより耐候性を付与することができる、ことを本発明者らは独自に見出した。さらに、検討過程において、本発明者らは以下のことを独自に見出した:熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む気泡核形成剤とヒンダードアミン系光安定剤とを使用した場合、ヒンダードアミン系光安定剤の種類および使用量に依存して、大きい気泡径を有するポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体が得られる場合がある。そこで、本発明者らは、ヒンダードアミン系光安定剤について更に鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、ヒンダードアミン系光安定剤を特定条件下で用いることにより、気泡核形成剤とヒンダードアミン系光安定剤とを使用した場合であっても、気泡径の拡大を阻止し、かつ優れた耐候性を付与できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0016】
〔2.ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体〕
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体は、ポリオレフィン系樹脂と、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む気泡核形成剤と、下記の条件(a)~(c)のいずれかを満たすヒンダードアミン系光安定剤とを含有し、発泡倍率が3倍以上である、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体:条件(a):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を含まないか、または1個含み、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;条件(b):前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500以下であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;条件(c):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~0.150重量部である。
【0017】
「ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体」を「発泡体」と称する場合もある。「本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体」を、「本発泡体」と称する場合もある。
【0018】
本発泡体は、前記構成を有するため、気泡径が小さい。また、本発泡体は、押出発泡体であるため、ビーズの割れおよび欠けが発生し得るビーズ発泡体と比較して、汚染(コンタミ)の虞が少ない、という利点も有する。さらに、本発泡体は、ヒンダードアミン系光安定剤を含むため優れた耐候性を有する。すなわち、本発泡体は、屋外保管された後においても、部品等輸送時の磨耗粉の発生が軽微であるため、汚染(コンタミ)の虞が少ない高品質な緩衝梱包材として長期間使用可能となる。さらに、本発泡体は、(a)架橋の必要がないためコストおよび生産効率に優れるとともに、(b)架橋されていないためリサイクル性にも優れ、かつ(c)熱融着性に優れるため加工性が良好である、等の効果も有する。
【0019】
[ポリオレフィン系樹脂]
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位を有する(共)重合体(以下、重合体(A)とする。)であれば、特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位に加えて、オレフィンまたはジオレフィンと共重合可能な他の単量体に由来する構成単位を更に有する(共)重合体(以下、重合体(B)とする。)であってもよい。オレフィンまたはジオレフィンと共重合可能な他の単量体としては、(a)酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等のビニル化合物、および(b)無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸、などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位を有する(共)重合体が、ビニル化合物および不飽和カルボン酸などの誘導体によりグラフト変性された(共)重合体(以下、重合体(C)とする。)であってもよい。ポリオレフィン系樹脂は、上述した重合体(A)、重合体(B)および重合体(C)からなる群より選択される2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。本発明の一実施形態において、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、柔軟性および耐磨耗性の観点から、ポリエチレン系樹脂を含むことがより好ましく、ポリエチレン系樹脂であることがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、1種の樹脂を単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、構成単位として、全構成単位100モル%中、プロピレンに由来する構成単位を50モル%以上有する(共)重合体が挙げられる。具体的には、ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレン/エチレンブロック共重合体、ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/α-オレフィン共重合体、プロピレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ブテン/プロピレン共重合体、プロピレン/塩素化ビニル共重合体、プロピレン/無水マレイン酸共重合体、高い溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレン、イソプレン変性ポリプロピレン、超高分子量成分を含むポリプロピレンなどが挙げられる。なお、イソプレン変性ポリプロピレンは公知の方法によって製造できる。ポリプロピレン系樹脂としては、1種の樹脂を単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。発泡に適していることから、高い溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレン、イソプレン変性ポリプロピレン、超高分子量成分を含むポリプロピレンが好ましい。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂がポリプロピレン/エチレンランダム共重合体など、エチレンに由来する構成単位(エチレン単位)を含む場合について説明する。この場合、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、エチレン単位の含有率は、0.2重量%以上10重量%以下が好ましい。
【0023】
前記ポリプロピレン系樹脂の密度およびMFRは特に限定されない。前記ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.5g/10分~20.0g/10分が好ましく、1.0g/10分~15.0g/10分がより好ましく、1.5g/10分~10.0g/10分が更に好ましく、2.0g/10分~8.0g/10分が特に好ましい。当該構成によると、原料樹脂は高い溶融張力を有し、かつ押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある、という利点を有する。
【0024】
なお、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K-7210に準じて、230℃、かつ2.16kg荷重にて測定を行って得られる値である。
【0025】
前記ポリプロピレン系樹脂の融点は特に限定されない。前記ポリプロピレン系樹脂の融点は、125℃~163℃が好ましく、130℃~163℃がより好ましく、133℃~163℃が更に好ましく、135℃~163℃が特に好ましい。当該構成によると、耐熱性と発泡性とのバランスを取り易いという利点を有する。
【0026】
なお、ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定したものである。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)ポリエチレン系樹脂5~6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後;(2)10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させた後;(3)更に10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られるDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を融点として求めることができる。
【0027】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、構成単位として、全構成単位100モル%中、エチレンに由来する構成単位を50モル%以上有する(共)重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン系樹脂として、高密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ヘキセン共重合体、エチレン/4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン/1-オクテン共重合体、スチレン改質ポリエチレン系樹脂等が例示される。分岐状低密度ポリエチレンとは、高圧法で製造された低密度ポリエチレンともいえる。分岐状低密度ポリエチレンは、「LDPE」と称される場合もある。
【0028】
エチレン/プロピレン共重合体など、共重合体が、構成単位として、エチレン単位とプロピレン単位とを含む場合について説明する。この場合、プロピレン単位よりもエチレン単位を多く含む共重合体はポリエチレン系樹脂と称され、エチレン単位よりもプロピレン単位を多く含む共重合体はポリプロピレン系樹脂と称される。
【0029】
発泡性に優れることから、ポリエチレン系樹脂は、当該ポリエチレン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことが更に好ましく、90重量%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、発泡性に優れるという利点を有する。
【0030】
耐磨耗性および発泡性に優れることから、ポリエチレン系樹脂は、当該ポリエチレン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレン50重量%~95重量%とエチレン/α-オレフィン共重合体5重量%~50重量%とを含むことが好ましく、分岐状低密度ポリエチレン60重量%~90重量%とエチレン/α-オレフィン共重合体10重量%~40重量%とを含むことがより好ましく、分岐状低密度ポリエチレン70重量%~85重量%とエチレン/α-オレフィン共重合体15重量%~30重量%とを含むことがさらに好ましい。
【0031】
分岐状低密度ポリエチレンは、密度が935kg/m3以下であることが好ましい。分岐状低密度ポリエチレンの密度の下限は、特に限定されないが、概ね910kg/m3である。耐熱性と発泡性とのバランスに優れることから、分岐状低密度ポリエチレンの密度は、910kg/m3~935kg/m3が好ましく、911kg/m3~930kg/m3がより好ましく、912kg/m3~928kg/m3が更に好ましく、913kg/m3~926kg/m3が特に好ましい。
【0032】
エチレン/α-オレフィン共重合体の密度は特に限定されない。耐熱性と発泡性とのバランスに優れることから、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、870kg/m3~930kg/m3が好ましく、880kg/m3~925kg/m3がより好ましく、885kg/m3~920kg/m3が更に好ましく、890kg/m3~915kg/m3が特に好ましい。本明細書において、分岐状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α-オレフィン共重合体の密度は、JIS K-7112に準じて測定して得られた値とする。
【0033】
分岐状低密度ポリエチレンのMFRは特に限定されない。分岐状低密度ポリエチレンのMFRは、0.1g/10分~10.0g/10分が好ましく、0.3g/10分~7.0g/10分がより好ましく、0.5g/10分~5.0g/10分が更に好ましく、0.8g/10分~3.0g/10分が特に好ましい。当該構成によると、原料樹脂は高い溶融張力を有し、かつ押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある。
【0034】
エチレン/α-オレフィン共重合体のMFRは特に限定されない。直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、0.5g/10分~10.0g/10分が好ましく、0.8g/10分~8.0g/10分がより好ましく、1.0g/10分~6.0g/10分が更に好ましく、2.0g/10分~5.0g/10分が特に好ましい。エチレン/α-オレフィン共重合体のMFRが0.5g/10分以上である場合、押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある。エチレン/α-オレフィン共重合体のMFRが10.0g/10分以下である場合、得られる発泡体は高い耐摩耗性を有する。
【0035】
なお、本明細書において、分岐状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α-オレフィン共重合体のMFRは、JIS K-7210に準じて、190℃、かつ2.16kg荷重にて測定を行って得られる値である。
【0036】
ポリエチレン系樹脂としては、1種の樹脂を単独で使用してもよく、2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。ポリエチレン系樹脂としては、異なる密度を有する2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。異なる密度を有する2種以上のポリエチレン系樹脂の組み合わせの例としては、分岐状低密度ポリエチレンとエチレン/α-オレフィン共重合体との組み合わせ等が挙げられる。
【0037】
ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、75重量%以上含むことがさらに好ましい。当該構成によると、発泡性に優れるという利点を有する。
【0038】
本発泡体は、本発明の一実施形態に係る効果を阻害しない範囲において、ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂(例えば、熱可塑性樹脂および/またはエラストマー)を含んでいてもよい。本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂とを合わせて「原料樹脂」または「原料樹脂成分」と称する場合もある。原料樹脂または原料樹脂成分は、発泡体100重量%中、少なくとも50重量%以上を占めるため、「主材」ともいえる。
【0039】
ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂としては、例えば、(a)酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、(b)ポリアミド/ポリオール共重合体等のポリアミド系エラストマー、および(c)ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
【0040】
本発泡体の製造におけるポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂の添加量、換言すれば本発泡体におけるポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂の含有量は、特に限定されず、本発明の一実施形態に係る効果を阻害しない範囲において、適宜設定できる。ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂の前記添加量(前記含有量)は、例えば、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0重量部~30重量部が好ましく、0重量部~15重量部がより好ましい。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂を含む原料樹脂を用いて製造された発泡体において、当該原料樹脂の構造は変化するが、原料樹脂の組成は原則変化しない。原料樹脂が複数種の樹脂を含んでいる場合、発泡体を解析することによって、原料樹脂に含まれる樹脂の種類および含有比率を特定することができる場合もある。
【0042】
[気泡核形成剤]
本発泡体に含まれる気泡核形成剤は、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含む。本明細書において、「有機酸(塩)」とは「有機酸および/または有機酸塩」を意味する。気泡核形成剤が熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含むことにより、気泡核形成剤が熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含まず無機物(例えばタルクなど)のみを含む場合と比較して、より容易に、得られる発泡体の気泡径を小さくすることができる。気泡核形成剤は、熱分解型発泡剤と有機酸(塩)との混合物からなることがより好ましい。
【0043】
熱分解型発泡剤としては、例えば、ADCA(アゾジカルボンアミド)、DPT(N,N’-ジニトロペンタメチレンテトラミン)、OBSH(4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素塩、炭酸塩等が挙げられる。熱分解型発泡剤としては、炭酸水素塩、炭酸塩、または炭酸水素塩と炭酸塩との混合物、が好ましい。炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0044】
有機酸(塩)としては、シュウ酸(塩)、乳酸(塩)、コハク酸(塩)、リンゴ酸(塩)、クエン酸(塩)などが挙げられる。気泡径の微細化効果が高いことから、有機酸(塩)としては、クエン酸(塩)が好ましい。クエン酸(塩)としては、クエン酸、クエン酸モノナトリウム、クエン酸トリナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。
【0045】
気泡核形成剤としては、取り扱いが容易であり、かつ気泡核の生成効果が高いことから、炭酸水素塩とクエン酸(塩)との混合物、炭酸塩とクエン酸(塩)との混合物、および炭酸水素塩および炭酸塩とクエン酸(塩)との混合物からなる群より選択される1種以上の混合物が好ましく、炭酸水素塩とクエン酸塩との混合物がより好ましく、炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムとの混合物が特に好ましい。
【0046】
上記気泡核形成剤における熱分解型発泡剤と有機酸(塩)との含有比率は、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)の総量を100重量%とすると、熱分解型発泡剤が10重量%~90重量%および有機酸(塩)が90重量%~10重量%が好ましく、熱分解型発泡剤が20重量%~85重量%および有機酸(塩)が80重量%~15重量%がより好ましく、熱分解型発泡剤が30重量%~80重量%および有機酸(塩)が70重量%~20重量%が更に好ましい。当該構成によると、少量の気泡核形成剤によって、効率良く造核効果が得られ易い、という利点を有する。
【0047】
発泡体の製造において、気泡核形成剤の添加量を多くするほど、得られる発泡体の気泡径は小さくなる傾向にある。換言すれば、発泡体における気泡核形成剤の含有量が多いほど、当該発泡体の気泡径は小さい傾向にある。発泡体の製造において、気泡核形成剤の添加量を多くするほど、製造コストが上昇し、気泡核形成剤の分解物による異物発生のリスクが高まる。発泡体の製造において、(a)押出機が押出機中に異物除去のためのメッシュを備えており、かつ(b)気泡核形成剤の添加量が多い場合について説明する。この場合、押出機中のメッシュに気泡核形成剤の分解物が詰まることによって、圧力上昇等の不具合が発生する。その結果、頻繁なメッシュの交換作業が必要となり、生産性が低下する。よって、本発泡体の製造における気泡核形成剤の添加量、換言すれば本発泡体における気泡核形成剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.03重量部~1.50重量部が好ましく、0.08重量部~1.20重量部がより好ましく、0.10重量部~1.00重量部が更に好ましい。
【0048】
本発泡体の製造において、気泡核形成剤としては、粉体状の気泡核形成剤を直接使用しても良く、原料樹脂成分(主材)との混合性を考慮したマスターバッチを使用しても良い。気泡核形成剤のマスターバッチとしては、市販品を使用することもでき、例えば、永和化成工業製ポリスレンEE275F、大日精化工業製ファインセルマスター SSC PO217K等が挙げられる。
【0049】
[ヒンダードアミン系光安定剤]
本発泡体は、ヒンダードアミン系光安定剤(「HALS」と称する場合もある)を含む。
【0050】
本発泡体は、HALSを次の(a)~(c)のいずれかの条件で含むことにより、微細なセル構造を有し、かつ、優れた耐候性を有する。換言すれば、本発泡体の製造において、HALSが次の(a)~(c)のいずれかの条件で使用されることにより、微細なセル構造が維持され、かつ、優れた耐候性を有する発泡体を得ることができる。
【0051】
条件(a):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を含まないか、または1個含み、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;
条件(b):前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500以下であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~3.000重量部である;
条件(c):前記ヒンダードアミン系光安定剤が1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であり、かつ、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001重量部~0.150重量部である。
【0052】
以下、各条件について詳しく説明する。
【0053】
HALSの種類および使用量に依存して、HALSを使用しない場合と比較して、大きい気泡径を有する発泡体が得られることについて、換言すればHALSによる気泡核増大効果について、以下のように推測できる。しかし、本発明は、以下の推測に限定されるものではない。
【0054】
まず、気泡核形成剤の気泡径微細化効果について考える。上記気泡核形成剤の気泡径微細化効果には二つの作用が存在すると考えられる。一つ目の作用は、熱分解型発泡剤(熱分解型の化学発泡剤)による作用である。発泡体の製造過程において、熱分解型発泡剤は二酸化炭素のような樹脂への溶解性の低い無機ガスを発生させる。当該無機ガスは、物理発泡剤として使用する発泡剤よりも先に気化する。その結果、熱分解型発泡剤は、物理発泡剤として使用する発泡剤よりも先に、気泡成長点を形成することができると考えられる。二つ目の作用は、有機酸(塩)による作用である。有機酸(塩)が、気泡成長点の核となることで、気泡成長点を微細かつ多数にすることと考えられる。
【0055】
有機酸(塩)は親水性の高い化合物である。しかし、マトリックスとなるポリオレフィン系樹脂は疎水性であるため、溶融したポリオレフィン系樹脂中(すなわち樹脂組成物中)においては有機酸(塩)はある程度凝集した状態で存在していると考えられる。この有機酸(塩)の凝集部が気泡成長点の核となっていることが想定される。これらのことから、この有機酸(塩)の凝集部が大きくなると、気泡成長点の核も大きくなり、その結果、得られる発泡体の気泡径は大きくなってしまうと考えられる。
【0056】
HALSのようにアミノ基を有する化合物は酸性化合物との親和性が高いことが考えられる。ここで、HALSに含まれるアミノ基が3級アミノ基である場合を考える。この場合、HALSは有機酸(塩)との相互作用が弱い。そのため、HALSは、上記有機酸(塩)の凝集形態に影響を与えず、有機酸(塩)の凝集部はないか、あるいは小さいと考えられる。その結果、HALSは、気泡成長点形成に何ら影響を与えないと考えられる。
【0057】
一方、HALSに含まれるアミノ基が2級アミノ基である場合を考える。この場合、HALSは、塩基性が強くなり、有機酸(塩)と相互作用が強い。そのため、HALSは、有機酸(塩)の凝集形態に作用する。HALSに含まれるアミノ基が2級アミノ基であり、かつHALSの分子量が小さい場合、当該HALSは、有機酸(塩)の凝集形態を変えるほどの影響は及ぼさないと考えられる。一方、HALSに含まれるアミノ基が2級アミノ基であり、HALSの分子量が大きく、かつ、1分子中に2級アミノ基を2つ以上含有する場合には、当該HALSは、有機酸(塩)の複数の凝集体を更に凝集させてしまい易く、気泡成長点の核を大きくしてしまうと考えられる。その結果、気泡核形成剤を添加していても得られる発泡体の気泡径は大きなものとなってしまうと推測される。以上の推察から、気泡径が微細である発泡体を得るためには、HALSは上記条件(a)~(c)のいずれか、を満足する必要がある。
【0058】
気泡径の粗大化抑制効果が高いことから、上記条件(b)におけるヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量は、1200以下が好ましく、1000以下がより好ましく、800以下が更に好ましい。
【0059】
長期の耐候性に優れることから、上記条件(c)におけるヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量は、1800以上が好ましく、2000以上がより好ましい。
【0060】
上記条件(a)および(b)において、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上が好ましく、0.010重量部以上がより好ましく、0.020重量部以上が更に好ましい。上記条件(a)および(b)において、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、2.000重量部以下が好ましく、1.000重量部以下がより好ましく、0.600重量部以下が更に好ましい。当該構成によると、耐候性とHALSの表面へのブリードによる汚染性とのバランスに優れる、という利点を有する。
【0061】
上記条件(c)において、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上が好ましく、0.010重量部以上がより好ましく、0.020重量部以上が更に好ましい。上記条件(c)において、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.120重量部以下が好ましく、0.100重量部以下がより好ましく、0.090重量部以下が更に好ましい。当該構成によると、気泡径の粗大化抑制効果に優れ、かつ耐候性に優れる、という利点を有する。
【0062】
1分子中2級アミノ基を含まないか、または1個含むHALSとしては、入手可能な市販品として、Tinuvin622 SF(BASF製)、TinuvinPA123(BASF製)、TinuvinPA144(BASF製)、LA-52(ADEKA製)、LA-81(ADEKA製)、LA-40MP(ADEKA製)などが挙げられる。
【0063】
重量平均分子量が1,500以下であるHALSとしては、入手可能な市販品として、Tinuvin770 DF(BASF製)、Uvinul4050FFなどが挙げられる。
【0064】
1分子中2級アミノ基を2個以上含み、かつ重量平均分子量が1,500超であるHALSとしては、入手可能な市販としては、Chimassorb944FDL(BASF製)、Chimassorb2020FDL(BASF製)などが挙げられる。
【0065】
HALSは液体、粉末状、顆粒状、ペレット状等の形態で用いられ得る。HALSは、樹脂、樹脂添加剤等の成分にあらかじめHALSを高濃度に配合した組成物(いわゆるマスターバッチ)として用いることもできる。
【0066】
[ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)以外の耐候剤]
本発明の一実施態様として、上記HALSの使用に合わせて、他の耐候剤を併用してもよい。換言すれば、本発泡体は、HALSに加えて、更に、HALS以外の耐候剤を含んでいてもよい。HALS以外の耐候剤としては、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体に通常使用される耐候剤を使用することができ、例えば紫外線吸収剤(以下、UVAとも称する。)、カーボンブラックなどの紫外線遮蔽剤、有機ニッケル化合物などの消光剤などが挙げられる。少量で発泡体に対する耐候性の向上効果が大きいとの理由から、HALSに加えて、更に、紫外線吸収剤(UVA)を併用することが好ましい。
【0067】
UVAとしては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0068】
均一な気泡形成がなされることから、UVAの融点は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。UVAの融点が160℃以下である場合には、押出時の樹脂温度を下げた場合にも樹脂組成物が固化し難く、樹脂組成物内にて凝集物の発生を抑制することができる。その結果、均一な気泡径を有する発泡体が得られ易い。前記樹脂組成物は、発泡体製造時に、原料樹脂およびその他成分を溶融混練して得られた溶融混練物を意図する。発泡体の製造方法については、下記[ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の製造方法]に詳述する。
【0069】
UVAは液体、粉末状、顆粒状、ペレット状等の形態で用いられ得る。UVAは、樹脂、樹脂添加剤等の成分にあらかじめUVAを高濃度に配合した組成物(いわゆるマスターバッチ)として用いることもできる。
【0070】
本発泡体の製造における上記HALS以外の耐候剤の添加量、換言すれば本発泡体におけるHALS以外の耐候剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~3.00重量部が好ましく、0.03重量部~1.00重量部がより好ましく、0.04重量部~0.70重量部が更に好ましく、0.05重量部~0.50重量部が特に好ましい。上記HALS以外の耐候剤の添加量(含有量)が0.01重量部以上である場合、得られる発泡体の耐候性は良好となる。また、上記HALS以外の耐候剤の添加量(含有量)が3.00重量部以下である場合、発泡体表面への経時でのHALS以外の耐候剤のブリードを抑制することができ、その結果、緩衝物への転写を抑制することができる。
【0071】
[酸化防止剤]
本発泡体の製造では、HALSおよび必要に応じて添加されるHALS以外の耐候剤に加えて、更に、酸化防止剤を併用することが好ましい。換言すれば、本発泡体は、HALS、および必要に応じて含み得るHALS以外の耐候剤に加えて、更に酸化防止剤を含むことが好ましい。当該構成によると、HALS、および必要に応じて添加される(含まれる)HALS以外の耐候剤の加工熱安定性に優れる、という利点を有する。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。これら酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0072】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス[メチレン-3(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-t-ブチル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオビス-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、トコフェロール類等が挙げられる。2,2’-エチリデン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)としては、ケミプロ化成株式会社製の「ケミノックス1129」など、市販品を用いることもできる。
【0073】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4- ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ジフェニレンジホスホナイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2',2''-ニトリロ[トリエチル-トリス(3,3' 5,5'-テトラ-t-ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル)ホスファイト、2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
【0074】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジ-n-プロピルジスルフィド、ジ-n-ブチルジスルフィド、ジ-sec-ブチルジスルフィド、ジ-t-ブチルジスルフィド、ジ-t-アミルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ジ-t-オクチルジスルフィド、ジ-n-ドデシルジスルフィド、ジ-t-ドデシルジスルフィドなどが挙げられる。
【0075】
本発泡体の製造にて使用可能な発泡剤としては、例えば、(a)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;(b)シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;(c)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;(d)メタノール、エタノール等のアルコール類;(e)空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス;並びに(f)水、等が挙げられる。これらの発泡剤は1種を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。発泡剤としては、これらのうちでも、所望の発泡倍率、所望の独立気泡率、および所望の平均気泡径が得られやすいことから脂肪族炭化水素類が好ましく、特にノルマルブタンおよび/またはイソブタンが好ましい。発泡剤の添加量は、特に限定されず、発泡剤の種類および目標とする発泡体の発泡倍率により異なる為適宜調整すればよい。本発泡体の製造において、発泡剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体を構成する原料樹脂成分100重量部に対して、0.5重量部~20.0重量部が好ましく、1.0重量部~15.0重量部がより好ましい。
【0076】
本発泡体の製造では、気泡核形成剤の効果を促進する目的で、気泡核形成補助剤を添加することが可能である。換言すれば、本発泡体は、更に、気泡核形成補助剤を含有することが好ましい。前記気泡核形成補助剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト、亜鉛華、リチウム化合物などが挙げられる。リチウム化合物としては、例えば、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ほう酸リチウム、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。気泡核形成補助剤は、前記気泡核形成剤との併用において気泡径を微細化する効果が高いとの理由から、リチウム化合物を含むことが好ましく、炭酸リチウムを含むことがより好ましい。本発泡体の製造において、気泡核形成補助剤としては、粉体状の気泡核形成補助剤を直接使用しても良く、原料樹脂成分(主材)との混合性を考慮したマスターバッチを使用しても良い。
【0077】
本発泡体の製造においては、必要に応じて、収縮防止剤、結晶造核剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、難燃剤等の機能性添加剤、滑剤、無機充填剤、着色剤、顔料などのその他添加剤を添加してもよい。換言すれば、本発泡体は、上述したその他添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
【0078】
収縮防止剤としては、例えばグリセリンモノステアレートが挙げられる。
【0079】
本発泡体の製造においては、着色剤の添加に制限はない。本発泡体の製造において、着色剤を添加せずにナチュラル色の発泡体とすることもできるし、青、赤、黒など着色剤を添加して所望の色の発泡体とすることもできる。着色剤としては、例えば、ペリレン系有機顔料、アゾ系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0080】
[ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体の製造方法]
本発泡体は、例えば、次の(1)~(3)の操作を順に行うことにより製造できる:(1)上述のポリオレフィン系樹脂、ヒンダードアミン系光安定剤および発泡剤、並びに必要に応じて、気泡核形成剤、HALS以外の耐候剤、および収縮防止剤などのその他添加剤を溶融混練する;(2)得られた溶融混練物を押出す;(3)当該押出により溶融混練物を発泡成形する。本発泡体を製造する適当な工程において、必要により、その他添加剤等を用いてもよい。
【0081】
本発泡体の製造方法としては、ポリエチレン系樹脂無架橋押出発泡体が得られる限りいかなる方法を用いてもよい。本発泡体の製造方法では、二軸押出機と単軸押出機とを連結したタンデム押出機装置を使用してもよい。本発泡体の製造方法の具体的な例としては、次の(1)~(6)の操作を順に行う方法が挙げられる:(1)ポリオレフィン系樹脂などの原料樹脂およびヒンダードアミン系光安定剤、並びに必要に応じて、気泡核形成剤、HALS以外の耐候剤、および収縮防止剤などのその他添加剤を、各々所定量準備し、準備した全ての原料を第1押出機(一段目の押出機、二軸)に供給する;(2)供給された原料を混錬に適した温度で溶融混錬する;(3)得られた溶融混練物(樹脂組成物)に対して、第1押出機の途中から、発泡剤を圧入する;(4)得られた樹脂組成物を所望の吐出量に調整し、第1押出機から、連結された第2押出機(二段目の押出機、単軸)に吐出する;(5)次いで第2押出機において、吐出された樹脂組成物の温度が発泡に適した温度となるように調整(例えば冷却)する;(6)発泡に適した温度に調整された樹脂組成物を、第2押出機の先端に取り付けたダイから、押出機内よりも低圧の領域に押出して、樹脂組成物を発泡させる。
【0082】
前記(1)において、準備した全ての原料を第1押出機に供給する操作について、具体的に説明する。準備した全ての原料は、各々の原料を別々のフィーダーから第1押出機に供給してもよいし、原料の一部または全てを一緒に第1押出機に供給してもよい。準備した各々の原料を別々のフィーダーから第1押出機に供給する場合、各々の原料を第1押出機に同時に供給してもよいし、任意の時宜で供給してもよい。準備した原料の一部または全てを一緒に第1押出機に供給する場合、準備した原料の一部または全てを予め混合して混合物とし、当該混合物を第1押出機に供給してもよい。
【0083】
なお、前記混錬に適した温度とは、原料樹脂が確実に溶融し、溶融した原料樹脂とヒンダードアミン系光安定剤および発泡剤との混錬が好適に実施される温度であれば良く、特に限定されない。本発明の一実施形態において、前記混錬に適した温度とは、原料樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂)の融点以上の温度が好ましい。本発明の一実施形態において気泡核形成剤を使用する場合、前記混錬に適した温度は、使用する気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度が好ましい。気泡核形成剤が分解型発泡剤を含む場合、気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度とは、分解型発泡剤の分解が十分に進行し所望の造核作用が得られる温度である。例えば、気泡核形成剤として炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムとの混合物を使用する場合は、前記混錬に適した温度は、気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度である180℃~230℃が好ましい。
【0084】
前記発泡に適した温度は、特に限定されない。前記発泡に適した温度は、一般的にはダイスから押出される樹脂組成物の温度が主原料となるポリオレフィン系樹脂の融点に対して、マイナス10℃からプラス20℃の範囲内が好ましい。
【0085】
目的とする発泡体の形状に応じて、二段目の押出機の先端に取り付けるダイを選択することにより、平板状発泡体、丸棒状発泡体などの各種形状の押出発泡体を製造することができる。なお、樹脂組成物の押出条件、押出された発泡体の引取り条件、および押出された発泡体の冷却条件などは、適宜設定すればよい。本発泡体は、平板状発泡体であることが好ましく、換言すれば発泡板であることが好ましい。
【0086】
押出機内よりも低圧の前記領域は、大気圧下の領域であることが好ましい。換言すれば、押出機内部は、大気圧よりも高圧であることが好ましい。
【0087】
[ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体]
本発泡体の発泡倍率は、3.0倍~35.0倍が好ましい。当該構成によると、発泡体の主要な用途の一つである緩衝材にするための発泡体の加工性が良好となる。その結果、得られる発泡体を加工して緩衝材とし、軽量部品から重量部品まで幅広い搬送品の緩衝材として使用することが可能となる。発泡体の発泡倍率は、特に限定されず、製品の重量によって適宜選択され得る。軽量性、製品のグリップ性および緩衝性等のバランスに優れることから、(a)発泡体の発泡倍率の下限値は、5.0倍以上がより好ましく、6.0倍以上が更に好ましく、(b)発泡体の発泡倍率の上限値は、30.0倍以下がより好ましく、28.0倍以下が更に好ましい。発泡体の発泡倍率は、3.0倍~30.0倍であってもよく、3.0倍~28.0倍であってもよく、5.0倍~35.0倍であってもよく、5.0倍~30.0倍であってもよく、5.0倍~28.0倍であってもよく、6.0倍~35.0倍であってもよく、6.0倍~30.0倍であってもよく、6.0倍~28.0倍であってもよい。本明細書において、発泡体の発泡倍率とは、後述する実施例に記載の測定方法により得られた値である。
【0088】
本発泡体の厚さは、20mm以上が好ましく、30mm以上より好ましく、40mm以上が更に好ましい。当該構成によると、(a)さまざまな緩衝材形状への発泡体の加工が可能となる利点、およびシートの積層体ではなく一枚物で(すなわち、発泡体1つで)緩衝材として使用できるため、緩衝材として均質なものが得られ易いという利点を有する。発泡体の厚さの上限は特に限定されない。発泡体の厚さの上限は、押出発泡による厚さの確保が容易であることから、160mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、70mm以下が更に好ましい。発泡体の厚さは、20mm~160mmが好ましく、30mm~160mmであってもよく、40mm~160mmであってもよく、20mm~100mmであってもよく、30mm~100mmであってもよく、40mm~100mmであってもよく、20mm~70mmであってもよく、30mm~70mmであってもよく、40mm~70mmであってもよい。
【0089】
本発泡体は、微細な気泡径および高い独立気泡率を両立することができる。所望の独立気泡率および発泡倍率に調整し易いことから、本発泡体の平均気泡径は、100μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましく、180μm以上が更に好ましい。発泡体の主要な用途である緩衝材用途において、製品保護に優れることから、本発泡体の平均気泡径は600μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましい。本発泡体の平均気泡径は、100μm~600μmが好ましく、100μm~500μmであってもよく、100μm~400μmであってもよく、150μm~600μmであってもよく、150μm~500μmであってもよく、150μm~400μmであってもよく、180μm~600μmであってもよく、180μm~500μmであってもよく、180μm~400μmであってもよい。本明細書において、発泡体の平均気泡径とは、後述する実施例に記載の測定方法により得られた値である。
【0090】
緩衝材としての緩衝性能、繰り返し使用性能、および打ち抜き加工時の寸法回復性が良好となることから、本発泡体の独立気泡率は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
【0091】
本発泡体は、優れた耐候性を有する。本明細書において、優れた耐候性を有するとは、屋外暴露後であっても、屋外暴露前と比較して、磨耗量の著しい増加がないことを意図する。
【0092】
本発泡体は、屋外暴露試験を行った発泡体の磨耗量(B)を屋外暴露試験を行っていない発泡体の磨耗量(A)で除した値(B/A)が、4.00未満が好ましく、3.50未満がより好ましく、3.00未満がより好ましく、2.50未満がより好ましく、2.00未満がより好ましく、1.50未満がさらに好ましく、1.10未満が特に好ましい。
【0093】
ここで、屋外暴露試験は、JIS K 7219に記載のA法に則って1年間行う。また、発泡体の磨耗量は、磨耗試験前後の発泡体の重量変化量(mg)とする。また、摩耗試験は、発泡体および粒度P150研磨布(JIS R 6251認定品)を用いて、荷重1kg、速度2000mm/min、移動距離10mm、および往復回数1000回の条件で行う。屋外暴露試験および磨耗試験の試験方法等については、下記実施例にて詳述する。
【0094】
〔3.緩衝材〕
本発明の一実施形態に係る緩衝材は、前記〔2.ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体〕の項に記載のポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体を含む。本発泡体を適宜加工することによって、本発明の一実施形態に係る緩衝材とすることができる。本発明の一実施形態に係る緩衝材は、種々の部材の輸送に適応可能な緩衝梱包材として使用でき、特に重量部品用の緩衝材として好適に使用できる。また、本発明の一実施形態に係る緩衝材は、ガラスなどの傷つき易くて、鋭利な面(角)を有する物品に対する緩衝梱包材としても好適に使用できる。
【0095】
本発泡体の加工方法および手段については特に限定されない。当該加工方法および手段としては、例えば、(a)スライサーによるカット、(b)トムソン刃を用いた打ち抜き、(c)ホットドライヤーによる熱接着等が挙げられる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の一実施形態を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
以下の実施例および比較例において用いた原料は、次の通りである。
【0098】
[ポリオレフィン系樹脂]
A-1:分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)「C470」(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、密度918kg/m3、MFR2.0g/10分)
A-2:エチレン/α―オレフィン共重合体「0540F」(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、密度904kg/m3、MFR4.0g/10分)
A-3:イソプレン変性ポリプロピレン系樹脂(エチレン含量3%、MFR4.5g/10分、融点145℃)
ここで、イソプレン変性ポリプロピレン系樹脂は、次のようにして製造した。ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体(エチレン含量3%、MFR8.0g/10分、融点144℃)100重量部に対して、ラジカル重合開始剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを1.1重量部、および共役ジエン化合物としてイソプレンモノマーを0.5重量部使用して、ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体を変性して得た。
【0099】
[気泡核形成剤]
B-1:炭酸水素ナトリウム(熱分解型発泡剤)
B-2:クエン酸モノナトリウム(有機酸塩)
[収縮防止剤]
C-1:グリセリンモノステアレート「リケマールS100P」(理研ビタミン株式会社製)
[ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)]
D-1:高分子量HALS「Tinuvin622SF」(BASF製、重量平均分子量6800、融点55℃~70℃、1分子中の2級アミノ基数:0)
D-2:低分子量HALS「Tinuvin770DF」(BASF製、重量平均分子量490、融点81℃~85℃、1分子中の2級アミノ基数:2)
D-3:高分子量HALS「Chimassorb944FDL」(BASF製、重量平均分子量7200、融点100℃~135℃、1分子中の2級アミノ基数:2以上)
D-4:高分子量HALS「Chimassorb2020FDL」(BASF製、重量平均分子量5900、融点120℃~150℃、1分子中の2級アミノ基数:2以上)
[HALS以外の耐候剤]
E-1:ベンゾトリアゾール系UVA「Tinuvin326」(BASF製、融点137℃~141℃)
E-2:ベンゾフェノン系UVA「Chimassorb81」(BASF製、融点45℃~48℃)
E-3:ベンゾエート系UVA「Tinuvin120」(BASF製、融点192℃~197℃)。
【0100】
(実施例1~11、および比較例1~6)
ポリオレフィン系樹脂、気泡核形成剤、収縮防止剤、HALSおよびHALS以外の耐候剤の各々を、表1および2に示す配合量で準備した。準備した原料を、タンデム押出機装置の第1押出機に供給した。ここで、タンデム押出機装置としては、第1押出機として軸径40mmの二軸押出機と、第2押出機として軸径90mmの単軸押出機とが連結されたタンデム押出機装置を使用した。第1押出機は、220℃に設定しており、すなわち溶融混錬の温度は220℃であった。第1押出機に供給された原料を溶融混練した後、溶融混練物(樹脂組成物)に対して、発泡剤としてのイソブタンを3.5重量部、第1押出機の途中から圧入し、それらを混合した。得られた樹脂組成物を第1押出機から第2押出機(口径90mm)に吐出した。その後、(i)実施例1~10および比較例1~4について、第2押出機中で、吐出した樹脂組成物を108℃まで冷却し、(ii)実施例11および比較例5~6について、第2押出機中で、吐出した樹脂組成物を145℃まで冷却した。その後、冷却した樹脂組成物を第2押出機の先端に取り付けられたダイから、大気圧下に吐出量40kg/hで押出して、樹脂組成物を発泡させた。ここで、第2押出機の先端に取り付けられたダイは、矩形の形状を有しており、開口部の大きさは50mm×5.5mmであった。また、押出機内部は大気圧よりも高圧であり、すなわち大気圧下は、押出機内よりも低圧の領域であった。ダイから押出された発泡体を引取機で引き取りながら、成形ダイにより、幅130mmおよび厚さ45mmの板状に成型し、発泡体を得た。得られた発泡体は、ボイドが無くかつ独立気泡率も高かった。
【0101】
かくして得られた実施例1~11および比較例1~6の各発泡体について、以下の物性評価を行った。評価結果を表1に示す。各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
【0102】
[メルトマスフローレイト(MFR)]
各ポリエチレン系樹脂(A-1およびA-2)のMFRは、JIS K-7210に準じて、試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った。
【0103】
ポリプロピレン系樹脂(A-3)のMFRは、JIS K-7210に準じて、試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った。
【0104】
[融点]
A-3のポリプロピレン系樹脂の融点は、DSC法により測定した。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)ポリエチレン系樹脂5~6mgまたはポリプロピレン系樹脂5~6mgを10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後;(2)10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させた後;(3)更に10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温した。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られるDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を融点とした。
【0105】
[HALSの重量平均分子量]
GPC装置はWaters製のAlliance2695を用いた。検出器は東ソー製のRI-8020、ガードカラムは東ソー製のTSKgelα、および分析カラムは東ソー製のTSKgelα-M+TSKgelα-2500を用いた。カラム温度を40℃に設定した。溶離液は100mMのLiBrと30mMのリン酸含有DMFとを用い、溶離液流量は0.5ml/minとした。各HALSについて約30mg秤量し、秤取った。溶離液10mlを秤取ったHALSに添加し、HALSを溶解した後、溶解物を孔径0.45μmのPTFE製ディスポーザブルフィルターに通して試料とした。当該試料のうち100μlをGPC装置に注入した。得られたクロマトグラムからWaters製解析ソフトEmpower3を用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した。なお、標準試料としては、shodex製のSTANDERDポリスチレンSM-105(分子量:3.73E+06、2.48E+06、6.66E+05、2.88E+05、5.51E+04、2.86E+04、1.30E+04、2.94E+03、1.28E+03)、及びAgilent Technologies製ポリスチレンMp370(分子量:3.70E+02)を用いた。
【0106】
[独立気泡率]
実施例および比較例で得られた各発泡体の厚さ方向および幅方向の中央部分から、表層部(厚さ方向の両端面ともいえる)を含まないように幅20mm、厚さ20mm、長さ30mmの試験片を切り出した。ここで、発泡体の厚さ方向とは、発泡体の押出方向に垂直な断面における短手方向ともいえ、発泡体の幅方向とは、発泡体の押出方向に垂直な断面における長手方向ともいえる。当該試験片を用い、ASTM D2856に記載の方法に準拠し、エアピクノメータ(東京サイエンス株式会社製空気比較式比重計モデル1000)を用いて、試験片の体積Vc(cm3)測定した。次に測定後の同じ試験片をエタノールの入ったメスシリンダー内の、エタノール中に沈めた。メスシリンダーの液面(エタノール面)上昇分(水没法ともいう)から見かけ上の体積Va(cm3)を求めた。下記式に従って独立気泡率(%)を求めた:
独立気泡率(%)=(Vc/Va)×100
なお、測定は1つの発泡体あたり、3つの試験片について実施し、その平均値を発泡体の独立気泡率とした。
【0107】
[発泡倍率]
上記独立気泡率の測定で用いた試験片の重量W(g)と上記水没法により求めた体積Va(cm3)とを用いて、発泡体密度を下記式により求めた:
発泡体密度(g/cm3)=W/Va。
【0108】
また、樹脂密度をJIS K-7112に準じて測定した。上記発泡体密度(g/cm3)と樹脂密度(g/cm3)とを用いて、発泡倍率を下記式により求めた:
発泡倍率(倍)=樹脂密度/発泡体密度。
【0109】
[平均気泡径]
実施例および比較例で得られた発泡体について、押出方向(MD)および厚さ方向(ZD)の両方に垂直な方向を幅方向(TD)とした。当該発泡体について、厚さ方向に垂直な面を面Aとし、押出方向に垂直な面を面Bとし、幅方向に垂直な面を面Cとした。実施例および比較例で得られた発泡体を面Bに沿って切断し、押出方向(MD)の長さが20mmのサンプルAを3つ作製した。サンプルAにおいて、上述した面A、BおよびCの各々と平行な面を、面A1、B1およびC1とした。更に各サンプルAから、下記に示す各測定点(5箇所)について、各辺が5~10mmの立方体サンプルBを切り出した。ここで、サンプルBの作製(切り出し)は、両刃カミソリ[フェザー製、ハイステンレス両刃]を用いて、気泡膜(セル膜)が破壊されないように充分注意して行った。サンプルBにおいて、上述した面A、BおよびCの各々と平行な面のうち、両刃カミソリを用いて切断された切断面を、面A2、B2およびC2とした。切断面が2つある場合には、何れか1面を面A2、B2およびC2とした。サンプルBについて、面A2、B2およびC2をそれぞれ、マイクロスコープ[キーエンス社製、VHX-900]にて観察し、各々の面の画像を得た。得られた各画像において、長さ4000μmの線分を引き、該線分が通る気泡数nを測定し、下記式により気泡径を算出した。
【0110】
気泡径(μm)=4000/n
3つのサンプルAについて、各測定点(5箇所)のサンプルBの面A2、B2およびC2の各々の画像から得られた気泡径の相加平均値を平均気泡径(μm)とした。すなわち、45面(3面×5箇所×3つのサンプルA)の気泡径の相加平均値を平均気泡径(μm)とした。
【0111】
測定点を、面Aに対して説明する。下記に示すように、面Aに対して5か所測定した。
・幅方向および厚さ方向の中央部(1箇所、「測定点A」とする)
・厚さ方向の中央部における、測定点Aと幅方向端部との中央部(幅方向両端部につき、2箇所)
・幅方向の中央部における、測定点Aと厚さ方向端部との中央部(厚さ方向両端部につき、2箇所)
[厚さ]
上記[平均気泡径]で測定用に採取したサンプルA(3個)につき、幅方向中央部、および幅方向両端部それぞれから30mm内側、の合計3箇所を測定した。当該3箇所の平均値をサンプルA1つあたりの厚さとし、サンプルA3個の平均値を発泡体の厚さとした。
【0112】
[耐候性]
耐候性は、発泡体の屋外暴露試験前後の耐磨耗性評価で判断した。最初に、実施例および比較例で得られた発泡体の厚さ方向中央部分から、表層部を含まないようにMD:200mm、TD:80mm、ZD:10mmの寸法で試験片を2つ切り出した。当該試験片2つのうち、1つを用い、JIS K 7219に記載のA法に則って1年間、屋外暴露試験を行った。
【0113】
耐磨耗性評価は、屋外暴露試験を行った試験片と行っていない試験片について行った。各試験片を表面性試験機(HEIDON TYPE-14、新東科学株式会社製)に固定した。試験機にセットしたASTM平面圧子に、幅13mm、長さ60mm、および厚さ3.5mmの治具をセットし、さらにその治具の発泡体と接する面に粒度P150研磨布(JIS R 6251認定品)を貼り付けた。これらの試験片および試験機を用いて、荷重1kg、速度2000mm/min、移動距離10mm、および往復回数1000回の条件で磨耗試験を行った。磨耗試験前後のサンプルの重量変化を磨耗量(mg)とし、耐磨耗性を評価した。摩耗量が少ないほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
【0114】
耐候性は、屋外暴露試験を行った試験片の磨耗量(B)を屋外暴露試験を行っていない試験片の磨耗量(A)で除した値(B/A)で評価した。
次の基準で耐候性を判断した:
◎(非常に良好):1.10未満
○(良好):1.10以上、1.50未満
△(合格):1.50以上、4.00未満
×(不良):4.00以上
【0115】
【0116】
【0117】
表1に示される通り、実施例1~11は、気泡径が小さく、かつ優れた耐候性を有するものであった。
【0118】
表1に示されるとおり、比較例1では、添加したHALSは条件(c)を満たすものではなかった。具体的には、比較例1で添加したHALSは、1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であるが、HALSの添加量(含有量)が条件(c)を超える添加量であったため、得られる発泡体の気泡径は粗大なものとなった。
【0119】
比較例2では、比較例1と同様に添加したHALSは条件(c)を満たすものではなかった。具体的には、比較例2で添加したHALSは、1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であるが、HALSの添加量(含有量)が条件(c)を超える添加量であったため、得られる発泡体の気泡径は粗大なものとなった。
【0120】
比較例3では、耐候剤(HALSおよびHASL以外の耐候剤)を添加していないために、屋外暴露1年後の耐磨耗性が非常に悪化しており、耐候性を満足するものではなかった。
【0121】
比較例4では、HASL以外の耐候剤を含むものの、HALSを添加していなかった。その結果、屋外暴露1年後の耐磨耗性が非常に悪化しており、耐候性を満足するものではなかった。
【0122】
比較例5では、用いるポリオレフィン系樹脂をイソプレン変性ポリプロピレンとして発泡体を製造した。比較例5では、比較例1と同様に添加したHALSは条件(c)を満たすものではなかった。具体的には、比較例5で添加したHALSは、1分子中2級アミノ基を2個以上含み、前記ヒンダードアミン系光安定剤の重量平均分子量が1,500超であるが、HALSの添加量(含有量)が条件(c)を超える添加量であったため、得られる発泡体の気泡径は粗大なものとなった。また、耐候性も満足するものではなかった。
【0123】
比較例6では、耐候剤を添加していないために、屋外暴露1年後の耐磨耗性が非常に悪化しており、耐候性を満足するものではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、(a)気泡径が小さく、(b)優れた耐候性を有し、(c)汚染の虞、特に屋外保管された後においても、汚染の虞が少なく、(d)コスト、生産効率、リサイクル性および熱融着性に優れ、(e)加工性が良好である、ポリオレフィン系樹脂無架橋押出発泡体および緩衝材を提供できる。そのため、本発明の一実施形態は、汚染(コンタミ)が重大な欠損に繋がる虞のある自動車の基幹部品輸送用緩衝材、および、屋外に保管され得る大型の台車に取り付ける緩衝材等に好適に利用できる。