(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】スラット端シール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B64C 3/50 20060101AFI20231219BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B64C3/50
B64C1/00 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019181383
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-06-29
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ダヴィ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0048656(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035788(US,A1)
【文献】特開2002-188670(JP,A)
【文献】特開2001-124126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0066831(US,A1)
【文献】特表2010-514602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/50
B64C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルと、格子構造体とを含み、
前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む、スラット端シールであって、
前記格子構造体が圧縮されていない状態において、前記格子構造体の高さは、前記シェルの前記側壁の高さよりも高い、スラット端シール。
【請求項2】
前記複数の支持要素の直径は、約1mmから約5mmの範囲である、請求項1に記載のスラット端シール。
【請求項3】
前記シェルの前記第1表面の反対側で前記格子構造体に連結されたベースプレートをさらに含む、請求項1又は2に記載のスラット端シール。
【請求項4】
前記格子構造体の前記少なくとも1つの貫通孔は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第1貫通孔と整列する第1貫通孔と、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第2貫通孔と整列する第2貫通孔と、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第3貫通孔と整列する第3貫通孔と、を含み、前記ベースプレートは、前記格子構造体の前記第1貫通孔、及び、前記シェルの前記第1貫通孔と整列する第1貫通孔と、前記格子構造体の前記第2貫通孔、及び、前記シェルの前記第2貫通孔と整列する第2貫通孔と、前記格子構造体の前記第3貫通孔、及び、前記シェルの前記第3貫通孔と整列する第3貫通孔と、を含む、請求項3に記載のスラット端シール。
【請求項5】
シェルと、格子構造体とを含み、
前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む、スラット端シールであって、
前記シェルの前記第1表面の反対側で前記格子構造体に連結されたベースプレートをさらに含み、
前記ベースプレートは、さらに、当該ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結される、スラット端シール。
【請求項6】
前記側壁は、第1群のロック手段を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともに前記ベースプレートから延びる第2群のロック手段に係合するように構成されており、当該構成により、前記ベースプレートが前記側壁に連結されると、前記格子構造体を部分的に圧縮する、請求項5に記載のスラット端シール。
【請求項7】
シェルと、格子構造体とを含み、
前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む、スラット端シールであって、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第1貫通孔と整列する第1貫通孔を含む第1格子構造体であり、前記スラット端シールは、第2格子構造体と、第3格子構造体と、をさらに含み、
前記第2格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記第2格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記第2格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第2貫通孔と整列する第2貫通孔を含み、
前記第3格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記第3格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記第3格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第3貫通孔と整列する第3貫通孔を含む、スラット端シール。
【請求項8】
第1ベースプレートと、第2ベースプレートと、第3ベースプレートと、をさらに含み、
前記第1ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第1格子構造体に連結されており、前記第1ベースプレートは、前記第1格子構造体の前記第1貫通孔、及び、前記シェルの前記第1貫通孔と整列する第1貫通孔を含み、
前記第2ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第2格子構造体に連結されており、前記第2ベースプレートは、前記第2格子構造体の前記第2貫通孔、及び、前記シェルの前記第2貫通孔と整列する第2貫通孔を含み、
前記第3ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第3格子構造体に連結されており、前記第3ベースプレートは、前記第3格子構造体の前記第3貫通孔、及び、前記シェルの前記第3貫通孔と整列する第3貫通孔を含む、請求項7に記載のスラット端シール。
【請求項9】
前記第1ベースプレートは、さらに、当該第1ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第1格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結され、前記第2ベースプレートは、さらに、当該第2ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第2格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結され、前記第3ベースプレートは、さらに、当該第3ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第3格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結される、請求項8に記載のスラット端シール。
【請求項10】
前記側壁は、第1群のロック手段を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともに前記第1ベースプレート、前記第2ベースプレート、及び、前記第3ベースプレートから延びる第2群のロック手段に係合するように構成されており、当該構成により、前記第1格子構造体、前記第2格子構造体、及び、前記第3格子構造体の各々を部分的に圧縮する、請求項9に記載のスラット端シール。
【請求項11】
前記スラット端シールは、前記シェルが第1材料を含み、前記格子構造体が前記第1材料とは異なる第2材料を含むように、多材料付加製造処理により作製される、請求項1~10のいずれかに記載のスラット端シール。
【請求項12】
シェルと、格子構造体とを含み、
前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む、スラット端シールであって、
前記スラット端シールは、前記シェルが第1材料を含み、前記格子構造体が前記第1材料とは異なる第2材料を含むように、多材料付加製造処理により作製されており、
前記第1材料は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル超合金、又は、アルミニウムを含み、前記第2材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、又は、ポリプロピレン(PP)を含む、スラット端シール。
【請求項13】
スラット端シールを製造するための方法であって、
複数の支持要素、及び、少なくとも1つの貫通孔を含む格子構造体を形成し、その際、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されるようにし、
前記格子構造体をシェルの第1表面に連結し、その際、前記シェルは、前記第1表面から延びる側壁を含むとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの1つは、前記格子構造体が前記シェルの前記第1表面に連結されたときに、前記格子構造体の前記少なくとも1つの貫通孔と整列するようにし、
前記シェルの前記第1表面の反対側で前記シェルの前記側壁にベースプレートを連結し、その連結に際して、前記格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるようにした、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してスラット端シールに関し、より具体的には、翼付航空機用のスラット端シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、翼スラットは、翼付航空機の翼幅全体に亘って連続的なスロットを維持するとともに最適な低速空力性能を実現するために、スラット端シールを有する。スラット端シールを使用すると、翼を撓ませることも可能となる。従来の設計では、2つの隣接するスラット間の隙間を埋めるために、バネ及びピンを介して機体の内外方向に並進する剛性の射出成形端シール(すなわち、「ポークチョップ」シール)が採用されている。必要とされる金属製ハードウェアは、典型的には3組のコイルばねを含み、その各々が、長状センターピン、スペーサ、及び、端キャッププレートを有する。スラット端シールは、安定したバネ力を維持することにより、全ての飛行段階において、隣接するスラット間に完全に当接した状態を維持することができ、また、翼が撓んだ場合の機体の内外方向の変位を吸収することができる。このような設計には、コスト、部品数、及び重量の増加を招く複数の金属部品が必要となる。
【発明の概要】
【0003】
一態様においては、スラット端シールが開示される。上記スラット端シールは、(a)シェルと、(b)格子構造体とを含み、前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む。
【0004】
他の態様においては、スラット端シールを製造するための方法が開示される。上記方法においては、(a)複数の支持要素、及び、少なくとも1つの貫通孔を含む格子構造体を形成し、その際、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されるようにし、(b)前記格子構造体をシェルの第1表面に連結し、その際、前記シェルは、前記第1表面から延びる側壁を含むとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの1つは、前記格子構造体が前記シェルの前記第1表面に連結されたときに、前記格子構造体の前記少なくとも1つの貫通孔と整列するようにする。
【0005】
上述した特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、さらに他の実施形態と組み合わせることも可能である。この詳細については、以下の説明及び図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
例示的な実施形態に特有のものと考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。なお、例示的な実施形態、並びに、好ましい使用形態、さらにその目的及び利点は、以下に示す添付の図面と共に本開示の例示的な実施形態の詳細な説明を参照することにより最もよく理解されるであろう。
【0007】
【
図1】例示的なスラット端シールを示す側方断面図である。
【
図2A】非圧縮状態のベースプレートを含む例示的なスラット端シールを示す側方断面図である。
【
図2B】
図2Aのスラット端シールが部分的に圧縮された状態を示す側方断面図である。
【
図3】
図1のスラット端シールを示す内面斜視図である。
【
図4】
図1のスラット端シールを示す外面斜視図である。
【
図5】
図2Bのスラット端シールを示す斜視図である。
【
図7】スラットに連結された
図2Aに示すスラット端シールを示す側方断面図である。
【
図8】他の例示的なスラット端シールを示す上面斜視図である。
【
図9】第1ベースプレート、第2ベースプレート、及び、第3ベースプレートを含む、
図8に示すスラット端シールを示す上面斜視図である。
【
図10】例示的なコンピュータ可読媒体を示す図であって、このコンピュータ可読媒体は、
図1~9に示すスラット端シールの1つ以上のコンポーネントを付加製造マシンに作製させるための例示的な実施形態に従って構成されたものである。
【
図11A】
図1~9のスラット端シールを製造するための方法を示すフロー図である。
【
図11B】
図1~9のスラット端シールを製造するための
図11Aに示す方法の続きを示すフロー図である。
【
図11C】
図1~9のスラット端シールを製造するための
図11Bに示す方法の続きを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明する例では、改良型のスラット端シール、及び、当該スラット端シールを製造するための方法が提供される。より具体的には、本明細書で説明する例は、付加製造で作製可能な一体型のスラット端シールを含む。本明細書で説明されるスラット端シールは、従来設計の剛性射出成形シール、及び、複数の金属バネや他の構成要素に代えて、内部格子構造体を含む。改良型のスラット端シールの内部格子構造体は、従来は金属製の圧縮バネで吸収されていた、機体の内外方向に作用する力に耐えるように構築される。本明細書で説明する改良型のスラット端シールは、スラット端シールのコスト削減、スラット端シールの作製に要する部品数の削減、及び、スラット端シールの全体重量の低減に役立つものである。さらに、改良型のスラット端シールは、当該シールに必要な空間領域(space envelope)を縮小できるため、スラット構造体との一体化を容易にすることができる。
【0009】
以下においては、添付図面を参照して、上述した例示的なスラット端シールの様々な他の特徴、及び、例示的なスラット端シールを製造及び使用するための方法の説明を行う。本開示はスラット端シールに着目しているが、本明細書で説明する構成及び方法は、昇降舵、エルロン、フラップ、又は、他のタイプの可動翼若しくは尾翼面等の、他の航空機用翼要素の端部に使用することも可能である。本開示の技術的事項についての例示的且つ非包括的な実施例を以下に示すが、これらの実施例には、特許請求の範囲に記載されているものも、記載されていないものも含まれうる。
【0010】
図面を参照すると、
図1には、翼付航空機のスラットに使用される例示的なスラット端シール100が示されている。
図1に示すように、スラット端シール100は、シェル102を含み、当該シェルは、第1表面104と、当該第1表面104の反対側の第2表面106と、当該第1表面104から延びる側壁108と、を含む。シェル102は、当該シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110を含む。スラット端シール100は、格子構造体112をさらに含む。この構造体は、シェル102の第1表面104に連結されるとともに、シェル102の第2表面106に加えられる力によって圧縮可能に構成されている。格子構造体112は、複数の支持要素114を含み、これらの支持要素114間には複数の間隙116が形成されている。格子構造体112は、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔118をさらに含む。スラット端シール100は、ボス111をさらに含み、当該ボスは、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの少なくとも1つの貫通孔、及び、格子構造体の少なくとも1つの貫通孔118の両方と整列している。以下でさらに詳細に説明するが、ボス111は、隣接するスラット146が取り付けられる前に、対応するスラット144に対してスラット端シール100を固定するために、ボルト142を受容するように構成されている。格子構造体112は、非限定的な例として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、又は、ポリプロピレン(PP)を含みうる。格子構造体112の複数の支持要素114の直径は、約1mmから約5mmの範囲であってもよい。
【0011】
格子構造体112を構成する複数の支持要素114は、非限定的な例として、直線要素、湾曲要素、コイル、円形要素、又は、これらの組合せを含む様々な形態をとることができる。一例においては、格子構造体112の複数の支持要素114は、格子構造体112の全体に亘る繰り返しパターンを含む。他の例においては、格子構造体112の複数の支持要素114は、格子構造体112の全体に亘って非対称である。ある特定の例においては、格子構造体112における複数の支持要素114の第1部分は、第1密度を有し、格子構造体112における複数の支持要素114の第2部分は、第1密度よりも大きい第2密度を有する。これにより、格子構造体112の第2部分は、第1部分と比較して硬い。他の例においては、格子構造体112の第1部分における複数の支持要素114は、第1直径を有し、格子構造体112の第2部分における複数の支持要素114は、第1直径よりも大きい第2直径を有する。これにより、格子構造体112の第2部分は、第1部分と比較して硬い。また、他の例も考えられる。上述した例によれば、格子構造体112の複数の支持要素114は、使用時にスラット端シール100に加わる力に応じて特定の用途に合わせて調節される。これによって、スラット端シール100の性能を最大限に高めることができる。
【0012】
一例においては、
図1に示すように、格子構造体112が圧縮されていない状態において、格子構造体112の高さ120は、シェル102の側壁108の高さ122よりも大きい。このような構成においては、隣接するスラット間に設置する際、格子構造体112にプリロード(preload)を加える必要がある。このようにすると、格子構造体112を設置したときに当該格子構造体をニュートラル位置に配置することができ、有利である。プリロードを加えたニュートラル位置により、力/変位曲線上の所望の最適範囲内に格子構造体112を配置することができる。
【0013】
図2Aに示すように、スラット端シール100は、シェル102の第1表面104の反対側で格子構造体112に連結されたベースプレート124をさらに含む。
図2Aは、組み立て前のベースプレート124を示す。
図2Bに示すように、ベースプレート124は、さらに、シェル102の側壁108に連結することができ、ベースプレート124が側壁108に連結されると、格子構造体112が少なくとも部分的に圧縮される。したがって、ベースプレート124がシェル102の側壁108に連結されると、格子構造体112にプリロードが加わる。
図2Bに示すように、ベースプレート124がシェル102の側壁108に連結されている状態であっても、ベースプレート124と側壁108の頂部との間に隙間125が存在しうる。この隙間125により、スラット端シール100の使用時に、ベースプレート124及び/又はシェル102に加えられる様々な力によって格子構造体112をさらに圧縮することができる。
【0014】
一例においては、
図2A~2Bに示すように、側壁108は、第1群のロック手段126を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともにベースプレート124から延びる第2群のロック手段128に係合するように構成されている。このような構成により、ベースプレート124が側壁108に連結されると、格子構造体112を部分的に圧縮することができる。非圧縮の状態においては、ベースプレート124は格子構造体112に連結され、且つ、側壁108から離れて配置されている。ベースプレート124が側壁108に近づくと、格子構造体112が圧縮されて、第1群のロック手段126と第2群のロック手段128とが係合する。これによって、ベースプレート124が、シェル102の第1表面104に向かってさらに移動するのを防止することができる。
【0015】
ある特定の例においては、
図2A~2Bに示すように、第1群のロック手段126は、シェル102の側壁108から延びる複数の突起130を含み、第2群のロック手段128は、ベースプレート124から延びる複数の傾斜タブ132を含む。このような例においては、複数の傾斜タブ132は、複数の突起130と係合するように構成されており、当該構成により、シェル102にベースプレート124を連結させて、格子構造体112を少なくとも部分的に圧縮することができる。具体的には、複数の傾斜タブ132の各々は、アーム134と、傾斜面136と、切欠部138とを含む。非圧縮の状態においては、ベースプレート124は、
図2Aに示すように、格子構造体112に連結され、且つ、側壁108から離れて配置されている。ベースプレート124が側壁108に近づくと、格子構造体112が圧縮されて、複数の傾斜タブ132における各々の傾斜面136が、複数の突起130に接触する。ベースプレート124が側壁108にさらに近づくと、突起130に接触する傾斜面136により、傾斜タブ132のアーム134が外側に撓む。この外側への撓みによって、各傾斜タブ132の傾斜面136が、各突起130を通り越すことができる。各傾斜タブ132の傾斜面136が各突起130を通り越すと、アーム134が、内側に跳ね返り、各傾斜タブ132の切欠部138が、複数の突起130のうちの対応する突起に接触する。これによって、シェルの第1表面104に向かってベースプレート124がさらに移動するのを防止することができる。
【0016】
他の例においては、第1群のロック手段126は、シェル102の側壁108から延びる複数の傾斜タブ132を含み、第2群のロック手段128は、ベースプレート124から延びる複数の突起130を含む。このような例においては、傾斜タブ132及び突起130の構造は上述したものと同じであるが、それぞれの位置が逆である。また、ロック手段126、128の他の例も考えられる。
【0017】
ある特定の例においては、
図3~4に示すように、格子構造体112の少なくとも1つの貫通孔118は、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの第1貫通孔110Aと整列する第1貫通孔118Aと、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの第2貫通孔110Bと整列する第2貫通孔118Bと、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの第3貫通孔110Cと整列する第3貫通孔118Cと、を含む。このような例においては、
図5~6に示すように、ベースプレート124は、格子構造体112の第1貫通孔118A及びシェル102の第1貫通孔110Aと整列する第1貫通孔140Aと、格子構造体112の第2貫通孔118B及びシェル102の第2貫通孔110Bと整列する第2貫通孔140Bと、格子構造体112の第3貫通孔118C及びシェル102の第3貫通孔110Cと整列する第1貫通孔140Cと、を含む。このような配置により、スラット144にベースプレート124を固定して、設定された配置、整列、及び、保持を確実に行うことができる。
【0018】
さらに、
図7を参照すると、上述した複数の貫通孔は、さらに、ボルト142を挿通させて、スラット144に対してスラット端シール100を固定するための通路を提供している。
図7に示すように、ボルト142は、シェル102の貫通孔110A、110B、110Cを通過し、格子構造体112の貫通孔118A、118B、118Cを通過し、ベースプレート124の貫通孔140A、140B、140Cを通過している。その後、スラット144に対してボルト142を固定することにより、端シールが保持される。隣接するスラット146は、スラット端シール100のシェル102の第2表面106に接触するように配置される。
【0019】
一例においては、
図1~7について先に説明したように、格子構造体112は、シェル102及び側壁108によって画定される空洞の全体、或いは実質的に全体に拡がる連続構造体である。他の例においては、
図8に示すように、格子構造体112は、複数の別個の格子構造体を含む。具体的には、格子構造体112は、第1格子構造体112Aと、第2格子構造体112Bと、第3格子構造体112Cと、を含む。第1格子構造体112A、第2格子構造体112B、及び、第3格子構造体112Cの各々は、上述した格子構造体112と同様に構成されており、複数の支持要素114を含む。これらの支持要素114の間には、複数の間隙116が形成されている。第1格子構造体112Aは、シェル102の第1表面104に連結されるとともに、シェル102の第2表面106に加えられる力によって圧縮可能に構成されている。第1格子構造体112Aは、シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの第1貫通孔110Aと整列する第1貫通孔118Aを含む。
【0020】
第2格子構造体112Bは、シェル102の第1表面104に連結されるとともに、シェル102の第2表面106に加えられる力によって圧縮可能に構成されている。第2格子構造体112Bは、シェル102の第1表面104における第2貫通孔110Bと整列する第2貫通孔118Bを含む。同様に、第3格子構造体112Cは、シェル102の第1表面104に連結されるとともに、シェル102の第2表面106に加えられる力によって圧縮可能に構成されている。第3格子構造体112Cは、シェル102の第1表面104における第3貫通孔110Cと整列する第3貫通孔118Cを含む。
【0021】
一例においては、スラット端シール100は、第1格子構造体112A、第2格子構造体112B、及び、第3格子構造体112Cの各々に連結する1つのベースプレート124をさらに含む。このような例においては、上述したように、側壁108は、第1群のロック手段126を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともにベースプレート124から延びる第2群のロック手段128に係合するように構成されている。このような構成により、ベースプレート124が側壁108に連結されると、格子構造体112を部分的に圧縮することができる。上述したように、第1群のロック手段126は、シェル102の側壁108から延びる複数の突起130を含み、第2群のロック手段128は、ベースプレート124から延びる複数の傾斜タブ132を含む。
【0022】
他の例においては、
図9に示すように、スラット端シール100は、シェル102の第1表面104の反対側で第1格子構造体112Aと連結する第1ベースプレート124Aと、シェル102の第1表面104の反対側で第2格子構造体112Bと連結する第2ベースプレート124Bと、シェル102の第1表面104の反対側で第3格子構造体112Cと連結する第3ベースプレート124Cと、を含む。このような例においては、第1ベースプレート124Aは、第1格子構造体112Aの第1貫通孔118A及びシェル102の第1貫通孔110Aと整列する第1貫通孔140Aを含み、第2ベースプレート124Bは、第2格子構造体112Bの第2貫通孔118B及びシェル102の第2貫通孔110Bと整列する第2貫通孔140Bを含み、第3ベースプレート124Cは、第3格子構造体112Cの第3貫通孔118C及びシェル102の第3貫通孔110Cと整列する第3貫通孔140Cを含む。上述したように、上記複数の貫通孔は、ボルト142を挿通させて、対応するスラット144に対してスラット端シール100を固定するための通路を提供している。
【0023】
このような例の1つにおいては、第1ベースプレート124Aは、当該第1ベースプレート124Aがシェル102の側壁108に連結されると第1格子構造体112Aが少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、側壁108に連結される。また、第2ベースプレート124Bは、当該第2ベースプレート124Bがシェル102の側壁108に連結されると第2格子構造体112Bが少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、側壁108に連結される。また、第3ベースプレート124Cは、当該第3ベースプレート124Cがシェル102の側壁108に連結されると第3格子構造体112Cが少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、側壁108に連結される。このような例においては、上述したように、側壁108は、第1群のロック手段126を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともに第1ベースプレート124A、第2ベースプレート124B、及び、第3ベースプレート124Cから延びる複数の第2群のロック手段128と係合するように構成されている。このような構成により、第1格子構造体112A、第2格子構造体112B、及び、第3格子構造体112Cの各々を部分的に圧縮することができる。上述したように、第1群のロック手段126は、シェル102の側壁108から延びる複数の突起130を含み、第2群のロック手段128は、第1ベースプレート124A、第2ベースプレート124B、及び、第3ベースプレート124Cから延びる複数の傾斜タブ132を含む。
図8~9には3つの格子構造体112A、112B、及び、112Cが示されているが、これ以外の数の格子構造体を使用してもよい。
【0024】
図1~9に示すようないくつかの例においては、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントは、ステレオリソグラフィ、マルチジェットモデリング、インクジェット印刷、選択的レーザ焼結/溶融、及び溶融フィラメント製造等の、付加製造マシンを使用した付加製造処理により作製される。付加製造において、一層毎に積層するレイヤ・オン・レイヤ生成処理を利用して、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントや他の物体を、これらが内部接続された一体型構造体として作製することができる。付加製造は、物体の構成に基づいて、1つ以上の選択された材料で当該物体を形成することを含む。例えば、付加製造においては、スラット端シール100のコンピュータ支援設計(CAD)を命令として用いて、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを生成することができる。結果として、後に続くスラット端シール100の物理的な作製において、スラット端シール100の設計変更を即座に行うことができる。これにより、異なる用途に合わせて(例えば、様々な翼寸法で使用するために)、スラット端シール100のコンポーネントを容易に調整又は寸法決めすることができる。
【0025】
付加製造で利用されるレイヤ・オン・レイヤ生成処理により、従来の製造方法で組み立てられるスラット端シールでは実現不可能な複雑な構成のスラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを形成することが可能になる。また、スラット端シール100の設計に、全体的な動作を改善することを目的とする態様を含めることができる。例えば、上記設計において、従来の方法で製造されたスラット端シールでは再現不可能な所望の態様で応力を異なる方向に向けるのに役立つ物理的要素を組み込むことができる。
【0026】
付加製造はまた、多材料付加製造処理により、様々な材料でスラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを形成することができる。例えば、第1材料でシェル102を作製し、当該第1材料とは異なる第2材料で格子構造体112を作製することができる。ある特定の例においては、第1材料は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル超合金、又は、アルミニウムを含み、第2材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、又は、ポリプロピレン(PP)を含む。他の例においては、シェル102と格子構造体112の両方が同じ材料で作製される。他の例示的な材料の組合せも採用することが可能である。さらに、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントは、第1材料で作製されたいくつかの層と、第2材料で作製された他の層とを含みうる。さらに、他の例においては様々な処理を用いてスラット端シール100の1つ以上のコンポーネントが作成される。これらの処理を表1に示す。
【表1】
【0027】
いくつかの例示的な実施形態においては、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントは、スルホン、熱可塑性材料、ポリエステル、有機複合フォトレジスト材料、及び、乾燥フィルムレジスト等の溶融・溶解除去可能なサポート材料(melt-away support materials)を使用して作製される。具体的には、レイヤ・オン・レイヤ生成処理中、溶融・溶解除去可能なサポート材料は、スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントが完成し、且つ、自立するのに十分安定するまで、当該スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを支持することができる。このため、溶融・溶解除去可能なサポート材料は、レイヤ・オン・レイヤ生成処理中、スラット端シール100が完成するまで当該スラット端シール100の物理的形態を保持することができる。スラット端シール100の1つ以上のコンポーネントが完成した後、溶融・溶解除去可能なサポート材料を除去して、完成したコンポーネントのみを残すことができる。例えば、水溶性除去可能サポート材料の場合、スラット端シール100の各部分から当該サポート材料を洗い流すことができる。
【0028】
上述の付加製造のためのマシン及び/又は処理は、コンピュータ可読媒体により制御可能である。
図10は、例示的な実施形態に従って構成された例示的なコンピュータ可読媒体を示す。例示的な実施形態においては、システムは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上の形態のメモリと、1つ以上の入力装置/インターフェースと、1つ以上の出力装置/インターフェースと、機械可読命令とを含み、当該機械可読命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、付加製造マシンに、
図1~9を参照して先に説明した実施例におけるスラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを作製させる。
【0029】
ある実施形態においては、信号提供媒体202を用いて、例示的なコンピュータプログラム製品200が提供される。信号提供媒体202は、1つ以上のプログラミング命令204を含み、当該プログラミング命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、付加製造マシンに、
図1~6を参照して先に説明した実施形態におけるスラット端シール100の1つ以上のコンポーネントを作製させる。いくつかの実施例においては、信号提供媒体202は、例えば、限定するものではないが、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、メモリ等のコンピュータ可読媒体206であってもよい。いくつかの実施形態においては、信号提供媒体202は、例えば、限定するものではないが、メモリ、読取/書込(R/W)CD、R/W DVD等のコンピュータ記録可能媒体208であってもよい。いくつかの実施形態においては、信号提供媒体202は、通信媒体210(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク等)であってもよい。したがって、例えば、信号提供媒体202は、無線形式の通信媒体210で伝達されてもよい。
【0030】
1つ以上のプログラミング命令204は、例えば、コンピュータ実行可能命令、及び/又は、ロジック実装命令であってもよい。いくつかの例においては、コンピューティングデバイスは、コンピュータ可読媒体206、コンピュータ記録可能媒体208、及び/又は、通信媒体210のうちの1つ又は複数により伝達されるプログラミング命令204を受けて、様々な工程、機能、又は、動作を実行するように構成されている。
【0031】
コンピュータ可読媒体206はまた、互いに離れた位置に設けられた複数のデータ記憶素子に分けられてもよい。記憶された命令の一部又は全てを実行するコンピューティングデバイスは、外部コンピュータであってもよいし、スマートフォン、タブレットデバイス、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等の移動コンピューティングプラットフォームであってもよい。これに代えて、記憶された命令の一部又は全てを実行するコンピューティングデバイスは、サーバ等の離れた場所に設置されたコンピュータシステムであってもよい。
【0032】
図11Aは、スラット端シールを製造するための例示的な方法を示すブロック図である。
図11Aに示す方法300は、例えば、
図1~9に示すスラット端シール100を製造するために使用可能な方法の実施形態を示す。方法300は、ブロック302~304のうちの1つ又は複数によって示されるような1つ以上の工程、機能、又は、動作を含む。これらのブロックは順番に示されているが、これらのブロックは、並行して実行されてもよいし、本明細書で説明した順序とは異なる順序で実行されてもよい。また、様々なブロックは、ブロックの数を減らすために組み合わせてもよいし、より多くのブロックに分割してもよいし、所望の実施形態に基づいて削除してもよい。
【0033】
さらに、方法300、並びに、本開示の他の処理及び方法に関するブロック図は、本実施形態の1つの可能な態様における機能及び工程を示すものである。これについて、方法300は、処理における特定の論理機能やステップを実施するためのプロセッサ又はコンピューティングデバイスによって実行可能な1つ以上の命令を含むプログラムコードにより実行可能である。プログラムコードは、例えば、ディスクやハードドライブを含む記憶装置等の、任意のタイプのコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、短時間データを記憶するコンピュータ可読媒体等の非一時的なコンピュータ可読媒体を含みうる。このような媒体の例としては、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及び、ランダムアクセスメモリ(RAM)等が挙げられる。コンピュータ可読媒体はまた、二次的又は永続的な長期ストレージ等の非一時的媒体を含みうる。このような媒体の例としては、読取専用メモリ(ROM)、光学ディスク又は磁気ディスク、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)等が挙げられる。また、コンピュータ可読媒体は、他の揮発性又は不揮発性の記憶システムであってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、又は、有形の記憶デバイスと見做すことができる。
【0034】
最初に、ブロック302において、方法300は、複数の支持要素114を含む格子構造体112を形成することを含み、これらの支持要素114の間には複数の間隙116が形成されており、格子構造体112は、少なくとも1つの貫通孔118を含む。上述したように、格子構造体112は、付加製造マシンによって実行される付加製造処理により形成することができる。付加製造処理により複数の支持要素114が形成される。ブロック304において、方法300は、シェル102の第1表面104に格子構造体112を連結することを含む。シェル102は、当該シェル102の第1表面104から延びる側壁108と、第1表面104における複数の貫通孔110とを含む。シェル102の第1表面104における複数の貫通孔110のうちの1つは、格子構造体112がシェル102の第1表面104に連結されたときに、格子構造体112の少なくとも1つの貫通孔118と整列する。一例においては、格子構造体112は、付加製造処理によってシェル102の構造体と一体的に形成されることによって、当該シェル102の第1表面に連結される。
【0035】
一例においては、方法300は、
図11Bに示すように、ブロック306において、シェル102の第1表面104の反対側において格子構造体112にベースプレート124を連結することをさらに含む。一例においては、ベースプレート124は、接着剤又は他の接合剤を使用して連結される。他の例においては、ベースプレート124は、例えば、付加製造処理により、シェル102及び格子構造体112と一体的に形成される。他の例においては、方法300は、
図11Cに示すように、ブロック308において、ベースプレート124がシェル102の側壁108に連結されると格子構造体112が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、側壁108にベースプレート124を連結することを含む。上述したように、側壁108は、第1群のロック手段126を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともにベースプレート124から延びる第2群のロック手段128に係合するように構成されている。このような構成により、ベースプレート124が側壁108に連結されると、格子構造体112を部分的に圧縮することができる。ある特定の例においては、第1群のロック手段126は、シェル102の側壁108から延びる複数の突起130を含み、第2群のロック手段128は、ベースプレート124から延びる複数の傾斜タブ132を含む。また、他のロック手段も考えられる。
【0036】
上述したように、これらの例示的な方法は、ステレオリソグラフィ、マルチジェットモデリング、インクジェット印刷、選択的レーザ焼結/溶融、及び溶融フィラメント製造等に使用される付加製造マシンによって実行することができる。
【0037】
上記説明においては、本開示の概念が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を提示しているが、本開示は、これらの詳細事項の一部又は全てが欠けていても実施可能である。他の例においては、既知の装置及び/又は処理についての詳細を省いているが、これは本開示が不必要に曖昧になることを避けるためである。いくつかの概念は、特定の例に関連させて説明しているが、これらの例は限定を意図するものではない。
【0038】
上述した
図11A~11Cにおけるブロックは、工程及び/又はその一部を示す場合があり、様々なブロックを繋ぐ線は、動作又はその一部の特定の順序又は従属関係を暗示するものではない。なお、本開示の様々な工程間の従属関係が、全て示されているとは限らない。
図11A~11C、並びに、本明細書に記載の方法の工程を説明する付随の開示は、これらの工程が行われる順序を必ずしも決定するものではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されてはいるが、これらの工程の順序は適宜変更可能であると理解されるべきである。したがって、工程のいくつかは、異なる順序で行ったり、同時に行ったりすることが可能である。また、当業者であれば分かるように、記載した工程の必ずしも全てを行う必要はない。
【0039】
別段の示唆がない限り、「第1」、「第2」等の用語は、本明細書において、単に標識として用いられており、これらの用語が言及する要素に対して、順序、位置、又は階層的な要件を課すものではない。また、例えば「第2」の要素について言及することは、例えば、「第1」の要素又は番号の小さい要素、及び/又は、例えば、「第3」の要素又は番号の大きい要素の存在を要件とするものでも排除するものでもない。
【0040】
本明細書において、「一例」とは、その例に関連して説明する1つ以上の要素、構造、又は、特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一例」なる用語は、同じ例に言及している場合もあれば、そうでない場合もある。
【0041】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指し、何らかの変更を施せばその特定の機能を実行する可能性のあるものを指すのではない。すなわち、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は、設計されたものを指す。本明細書において、「構成されている」ということは、システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、当該システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、この記載に加えて、或いは、この記載に代えて、当該機能を実行するように「適合化された」、及び/又は、「動作可能な」ものとして記載される場合もある。
【0042】
本明細書に記載の測定に関して、「約」及び「実質的に」なる各用語は、±5%を意味する。
【0043】
本明細書において、「格子構造体」とは、複数の支持要素が規則的に繰り返される3次元の幾何学的配置を意味しており、複数の支持要素は、互いに間隔を空けて交差することにより、これらの支持要素の間に複数の間隙を形成している。
【0044】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0045】
付記1.シェルと、格子構造体とを含み、
前記シェルは、第1表面、前記第1表面とは反対側の第2表面、及び、前記第1表面から延びる側壁を有するとともに、前記シェルの前記第1表面における複数の貫通孔を含み、
前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1つの貫通孔と整列する少なくとも1つの貫通孔を含む、スラット端シール。
【0046】
付記2.前記格子構造体が圧縮されていない状態において、前記格子構造体の高さは、前記シェルの前記側壁の高さよりも高い、付記1に記載のスラット端シール。
【0047】
付記3.前記シェルの前記第1表面の反対側で前記格子構造体に連結されたベースプレートをさらに含む、付記1に記載のスラット端シール。
【0048】
付記4.前記格子構造体の前記少なくとも1つの貫通孔は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第1貫通孔と整列する第1貫通孔と、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第2貫通孔と整列する第2貫通孔と、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第3貫通孔と整列する第3貫通孔と、を含み、前記ベースプレートは、前記格子構造体の前記第1貫通孔、及び、前記シェルの前記第1貫通孔と整列する第1貫通孔と、前記格子構造体の前記第2貫通孔、及び、前記シェルの前記第2貫通孔と整列する第2貫通孔と、前記格子構造体の前記第3貫通孔、及び、前記シェルの前記第3貫通孔と整列する第3貫通孔と、を含む、付記3に記載のスラット端シール。
【0049】
付記5.前記ベースプレートは、さらに、当該ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結される、付記3に記載のスラット端シール。
【0050】
付記6.前記側壁は、第1群のロック手段を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともに前記ベースプレートから延びる第2群のロック手段に係合するように構成されており、当該構成により、前記ベースプレートが前記側壁に連結されると、前記格子構造体を部分的に圧縮する、付記5に記載のスラット端シール。
【0051】
付記7.前記第1群のロック手段は、前記シェルの前記側壁から延びる複数の突起を含み、前記第2群のロック手段は、前記ベースプレートから延びる複数の傾斜タブを含み、前記複数の傾斜タブは、前記複数の突起と係合するように構成されており、当該構成により、前記シェルに前記ベースプレートを連結させて、前記格子構造体を少なくとも部分的に圧縮する、付記6に記載のスラット端シール。
【0052】
付記8.前記格子構造体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、又は、ポリプロピレン(PP)を含む、付記1に記載のスラット端シール。
【0053】
付記9.前記複数の支持要素の直径は、約1mmから約5mmの範囲である、付記1に記載のスラット端シール。
【0054】
付記10.前記格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第1貫通孔と整列する第1貫通孔を含む第1格子構造体であり、前記スラット端シールは、第2格子構造体と、第3格子構造体と、をさらに含み、
前記第2格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記第2格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記第2格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第2貫通孔と整列する第2貫通孔を含み、
前記第3格子構造体は、前記シェルの前記第1表面に連結されるとともに、前記シェルの前記第2表面に加えられる力によって圧縮可能に構成されており、前記第3格子構造体は、複数の支持要素を含み、前記複数の支持要素の間には複数の間隙が形成されており、前記第3格子構造体は、前記シェルの前記第1表面における前記複数の貫通孔のうちの第3貫通孔と整列する第3貫通孔を含む、付記1に記載のスラット端シール。
【0055】
付記11.第1ベースプレートと、第2ベースプレートと、第3ベースプレートと、をさらに含み、
前記第1ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第1格子構造体に連結されており、前記第1ベースプレートは、前記第1格子構造体の前記第1貫通孔、及び、前記シェルの前記第1貫通孔と整列する第1貫通孔を含み、
前記第2ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第2格子構造体に連結されており、前記第2ベースプレートは、前記第2格子構造体の前記第2貫通孔、及び、前記シェルの前記第2貫通孔と整列する第2貫通孔を含み、
前記第3ベースプレートは、前記シェルの前記第1表面の反対側で前記第3格子構造体に連結されており、前記第3ベースプレートは、前記第3格子構造体の前記第3貫通孔、及び、前記シェルの前記第3貫通孔と整列する第3貫通孔を含む、付記10に記載のスラット端シール。
【0056】
付記12.前記第1ベースプレートは、さらに、当該第1ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第1格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結され、前記第2ベースプレートは、さらに、当該第2ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第2格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結され、前記第3ベースプレートは、さらに、当該第3ベースプレートが前記シェルの前記側壁に連結されると前記第3格子構造体が少なくとも部分的に圧縮されるような態様で、前記側壁に連結される、付記11に記載のスラット端シール。
【0057】
付記13.前記側壁は、第1群のロック手段を含み、当該ロック手段は、これに対応するとともに前記第1ベースプレート、前記第2ベースプレート、及び、前記第3ベースプレートから延びる第2群のロック手段に係合するように構成されており、当該構成により、前記第1格子構造体、前記第2格子構造体、及び、前記第3格子構造体の各々を部分的に圧縮する、付記12に記載のスラット端シール。
【0058】
付記14.前記第1群のロック手段は、前記シェルの前記側壁から延びる複数の突起を含み、前記第2群のロック手段は、前記ベースプレート、前記第2ベースプレート、及び、前記第3ベースプレートから延びる複数の傾斜タブを含む、付記13に記載のスラット端シール。
【0059】
付記15.前記スラット端シールは、前記シェルが第1材料を含み、前記格子構造体が前記第1材料とは異なる第2材料を含むように、多材料付加製造処理により作製される、付記1に記載のスラット端シール。
【0060】
付記16.前記第1材料は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル超合金、又は、アルミニウムを含み、前記第2材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、又は、ポリプロピレン(PP)を含む、付記15に記載のスラット端シール。
【0061】
付記17.命令が記憶された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、付加製造マシンに、付記1に記載のスラット端シールを作製させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0062】
様々な有利な構成の説明は、例示及び説明を目的として提示したものであり、全てを網羅したり、開示した態様の実施形態に限定したりすることを意図するものではない。多くの変更又は変形が当業者には明らかであろう。また、異なる有利な実施例においては、他の有利な実施例とは異なる効果が説明されている場合がある。選択された実施例は、実施例の原理及び実際の用途を最も的確に説明するために、且つ、当業者が、想定した特定の用途に適した種々の変形を加えた様々な実施形態のための開示を理解できるようにするために、選択且つ記載したものである。