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  • 特許-電線シールド構造 図1
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  • 特許-電線シールド構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電線シールド構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20231219BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H05K9/00 K
H01R4/64 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019197099
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021072330
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大石 正隆
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 雅範
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 順子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 彩友美
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-020031(JP,U)
【文献】実開平02-034888(JP,U)
【文献】特開2013-252024(JP,A)
【文献】特開2013-017317(JP,A)
【文献】特開2011-062025(JP,A)
【文献】特開平10-215096(JP,A)
【文献】実開平06-031183(JP,U)
【文献】実開昭58-178581(JP,U)
【文献】特開2001-352647(JP,A)
【文献】特開2019-003728(JP,A)
【文献】特開2017-158309(JP,A)
【文献】米国特許第05817979(US,A)
【文献】中国実用新案第202363839(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H01R 4/64
H05K 7/00
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の外周を覆う導電性被覆部材と、
前記導電性被覆部材の上から前記電線を締結する結束バンドと、
前記結束バンドによって前記電線の長手方向への移動が阻止され、前記導電性被覆部材を導電性の被固定部材に固定する導電性のノイズクリップとを備え
前記ノイズクリップは、前記導電性被覆部材を包み込み、前記結束バンドの両外側に配置される一対の電線保持部を有する、電線シールド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線シールド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される電線にシールド対策を行う場合がある(特許文献1参照)。例えば、モータ電源のノイズ発生を防止するために、モータに接続される電線をシールド構造とする。従来例の電線シールド構造は、図5に示すように、電線Wの外周を覆う導電性被覆部材2と、導電性被覆部材2の所定の位置に付けられた目印用テープ30と、導電性被覆部材2を導電性の被固定部材15にボルト16で固定するノイズクリップ40とを備えている。
【0003】
ノイズクリップ40は、目印用テープ30の直ぐ下位置に配置されている。ノイズクリップ40は、図6に示すように、導電性被覆部材2を包み込む円弧状の電線保持部41と、ボルト挿通孔42aを有する平板部42とを有する。ノイズクリップ40は、図6(a)に示すように、導電性被覆部材2に取り付ける前では、2枚の平板部42の間が開かれた状態である。ノイズクリップ40は、図6(b)に示すように、導電性被覆部材2に取り付ける際には、2枚の平板部42を重ね合う位置まで一対の電線保持部41を塑性変形することによって導電性被覆部材2を包み込むような形状にして使用する。
【0004】
電線シールド構造では、電線Wを覆う導電性被覆部材2をノイズクリップ40を介してアースに落とすことによってノイズを吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-139270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来例の電線シールド構造では、ノイズクリップ40が導電性被覆部材2を単に包み込んで保持しているため、ノイズクリップ40と導電性被覆部材2が電線Wの長手方向Lに位置ずれする虞れがある。ノイズクリップ40に対して導電性被覆部材2が電線Wの長手方向Lの下方向に移動すると、前記従来例のように、電線WにコネクタCが接続されている場合には、コネクタCに電線Wの大きなテンションが作用して断線する虞れがある。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、導電性被覆部材とノイズクリップが確実に位置決めする電線シールド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る電線シールド構造は、電線の外周を覆う導電性被覆部材と、前記導電性被覆部材の上から前記電線を締結する結束バンドと、前記結束バンドによって前記電線の長手方向への移動が阻止され、前記導電性被覆部材を導電性の被固定部材に固定する導電性のノイズクリップとを備えている。
【0009】
前記ノイズクリップは、前記導電性被覆部材を包み込み、前記結束バンドの両外側に配置される一対の電線保持部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電性被覆部材とノイズクリップが確実に位置決めする電線シールド構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る電線シールド構造の正面図である。
図2】本実施形態を示し、(a)はノイズクリップの取り付け前の斜視図、(b)はノイズクリップの取り付け時の斜視図である。
図3】本実施形態を示し、導電性被覆部材に結束バンドを固定した状態を示す斜視図である。
図4】本実施形態を示し、結束バンドが固定された導電性被覆部材にノイズクリップを仮に取り付けた状態を示す斜視図である。
図5】従来例に係る電線シールド構造の正面図である。
図6】従来例を示し、(a)はノイズクリップの取り付け前の斜視図、(b)はノイズクリップの取り付け時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本実施形態に係る電線シールド構造を詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0013】
本実施形態に係る電線シールド構造1は、モータ電源の電線Wに適用されている。電線シールド構造1は、図1に示すように、電線Wの外周を覆う導電性被覆部材2と、導電性被覆部材2の上から電線Wを締結する結束バンド10と、導電性被覆部材2を被固定部材15に固定する導電性のノイズクリップ20とを備えている。
【0014】
電線Wの端末には、コネクタCが接続されている。導電性被覆部材2は、編組線、金属箔等の導体より形成されている。
【0015】
結束バンド10は、ロック部11と、ロック部11より延設された長尺状のバンド部12のみから形成されている。結束バンド10は、汎用性のある一般的なものである。ロック部11は、バンド部12を通すロック孔13を有する。ロック部11は、ロック孔13に最も深く通したバンド部12の位置でロックする。
【0016】
結束バンド10は、導電性被覆部材2へのノイズクリップ20の取付位置を示す。つまり、結束バンド10は、従来例の目印用テープの役目を兼用する。結束バンド10の取付位置は、当該位置でノイズクリップ20を取り付けた場合に、電線Wの大部分の自重がノイズクリップ20に作用し、コネクタCに電線Wのテンションをほとんど作用させない位置である。
【0017】
ノイズクリップ20は、導電性被覆部材2を包み込み、結束バンド10の両外側に配置される一対の円弧状の電線保持部21と、一対の電線保持部21の両端に連結され、ボルト挿通孔22aを有する2枚の平板部22とを有する。
【0018】
一対の電線保持部21が結束バンド10の両外側に配置されていることによって、ノイズクリップ20は、結束バンド10によって電線Wの長手方向Lの移動が阻止されている。
【0019】
平板部22は、ボルト挿通孔22aに挿入されたボルト16によって導電性の被固定部材15に固定されている。
【0020】
ノイズクリップ20は、図2(a)に示すように、導電性被覆部材2に取り付ける前では、2枚の平板部22の間が開かれた状態である。ノイズクリップ20は、図2(b)に示すように、導電性被覆部材2に取り付ける際には、2枚の平板部22を重ね合う位置まで一対の電線保持部21を塑性変形することによって導電性被覆部材2を包み込むような形状にして使用する。
【0021】
次に、電線シールド構造1の作製手順を説明する。電線Wの一端に固定されたコネクタCを相手コネクタ(符号を付さず)に嵌合されているものとする。電線Wの外周に導電性被覆部材2で覆う。導電性被覆部材2は、コネクタCの嵌合前に巻き付けても良い。
【0022】
次に、図3に示すように、導電性被覆部材2の上から電線Wに結束バンド10を締結する。結束バンド10は、コネクタCより所定の寸法位置で導電性被覆部材2に締結する。結束バンド10は、コネクタCの嵌合前に取り付けても良い。
【0023】
次に、図4に示すように、ノイズクリップ20を導電用被覆部材2の上から取り付ける。詳細には、ノイズクリップ20の一対の電線保持部21の間に結束バンド10を挿入し、ノイズクリップ20を図2(a)の状態から図2(b)の状態、つまり、一対の電線保持部21で導電性被覆部材2を包み込み、2枚の平板部22が重なり合う形状に塑性変形する。
【0024】
次に、図1に示すように、ノイズクリップ20の平板部22をボルト16で被固定部材15に固定する。これで、完了する。
【0025】
電線シールド構造1は、電線Wを覆う導電性被覆部材2をノイズクリップ20を介してアースに落とすことによってノイズを吸収している。
【0026】
以上説明したように、本実施形態に係る電線シールド構造1では、電線Wの外周を覆う導電性被覆部材2と、導電性被覆部材2の上から電線Wを締結する結束バンド10と、導電性のノイズクリップ20とを備えている。そして、ノイズクリップ20は、結束バンド10によって電線Wの長手方向Lへの移動が阻止され、導電性被覆部材2を導電性の被固定部材15に固定している。
【0027】
従って、結束バンド10が電線被覆部材2の上から電線Wを締結するため、結束バンド10はその強い締結力によって電線Wに固定される。このように電線Wに強固に固定された結束バンド10はノイズクリップ20によって電線Wの長手方向Lの移動を阻止されるため、ノイズクリップ20と電線被覆部材2が確実に位置決めされ、電線Wの長手方向Lに位置ずれする虞れがない。本実施形態のように、電線WにコネクタCが接続されている場合にあって、コネクタCに電線Wの大きなテンションが作用して断線することを防止できる。
【0028】
ノイズクリップ20は、導電性被覆部材2を包み込み、結束バンド10の両外側に配置される一対の電線保持部21を有する。従って、単一のノイズクリップ20によって電線Wの長手方向Lの両方向の位置ずれを防止できる。従来例のようなノイズクリップを2個用意に、結束バンド10の両外側にそれぞれ配置するようにしても良い。
【0029】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 電線シールド構造
2 導電性被覆部材
10 結束バンド
15 被固定部材
20 ノイズクリップ
21 電線保持部
W 電線
L 電線の長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6