(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】評価装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231219BHJP
【FI】
G06T7/00 130
G06T7/00 660A
G06T7/00 350B
(21)【出願番号】P 2019197775
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】関根 春奈
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴司
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/054638(WO,A1)
【文献】マンダム、“見た目の印象”についての研究 ~“標準顔”の作成と応用~,株式会社マンダム,2009年08月18日,https://www.mandom.co.jp/release/pdf/2009081802.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の顔の画像と、前記対象者の顔と比較するための顔の画像とを表示し、前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する前記各年齢層の代表的な顔の画像である、表示部と、
評価者によって入力された、前記対象者の顔と、前記対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得する比較結果取得部と、
前記結果が、前記対象者の方が年下に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立たないという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも低い年齢層の画像に差し替え、
前記結果が、前記対象者の方が年上に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立つという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも高い年齢層の画像に差し替え、
前記結果の取得および前記画像の差し替えを繰り返し、前記対象者の顔と比較するための顔の年齢層が上昇から下降へ切り替わる地点および下降から上昇へ切り替わる地点が所定の個数以上あると、全ての前記地点での年齢層の平均値を前記対象者の見た目の年齢層とする、評価部と
を備えた評価装置。
【請求項2】
対象者の顔の画像と、前記対象者の顔と比較するための顔の画像とを表示し、前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像とのうちの少なくとも1つである、表示部と、
評価者によって入力された、前記対象者の顔と、前記対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得する比較結果取得部と、
前記結果が、前記対象者の方が年下に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立たないという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも低い年齢層の画像に差し替え、
前記結果が、前記対象者の方が年上に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立つという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも高い年齢層の画像に差し替え、
前記結果の取得および前記画像の差し替えを繰り返し、前記対象者の顔と比較するための顔の年齢層が上昇から下降へ切り替わる地点および下降から上昇へ切り替わる地点が所定の個数以上あると、全ての前記地点での年齢層の平均値を前記対象者の見た目の年齢層とする、評価部と
を備えた評価装置。
【請求項3】
前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像であり、
前記評価部は、
前記各見た目の年齢層と、前記対象者の実年齢との差分に基づいて、前記たるみを含む形態が前記対象者の加齢の原因である割合と、前記シミが前記対象者の加齢の原因である割合と、前記シワが前記対象者の加齢の原因である割合を算出する、請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記対象者の顔の画像は、前記対象者の顔が撮影された画像、または、前記対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と前記対象者の顔のシミを表わす画像と前記対象者の顔のシワを表わす画像とのうちの少なくとも1つである、請求項2または3に記載の評価装置。
【請求項5】
前記対象者の顔と比較するための顔は、各年齢層内での加齢の程度により区分けされている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項6】
前記各年齢層は、年齢で区分けされている、請求項1から
5のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項7】
入力データが前記対象者の顔の画像であり、出力データが
前記見た目の年齢層である教師データを用いて機械学習を行うことによって学習済みモデルを生成する生成部をさらに備え、
顔の画像を前記学習済みモデルに入力して、前記顔を有する者の見た目の年齢層を推論
する推論部をさらに備えた、請求項1から
6のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項8】
対象者の顔の画像と、前記対象者の顔と比較するための顔の画像とを表示し、前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する前記各年齢層の代表的な顔の画像である、ステップと、
評価者によって入力された、前記対象者の顔と、前記対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得するステップと、
前記結果が、前記対象者の方が年下に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立たないという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも低い年齢層の画像に差し替え、
前記結果が、前記対象者の方が年上に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立つという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも高い年齢層の画像に差し替え、
前記結果の取得および前記画像の差し替えを繰り返し、前記対象者の顔と比較するための顔の年齢層が上昇から下降へ切り替わる地点および下降から上昇へ切り替わる地点が所定の個数以上あると、全ての前記地点での年齢層の平均値を前記対象者の見た目の年齢層とする、ステップと
を含む方法。
【請求項9】
コンピュータを
対象者の顔の画像と、前記対象者の顔と比較するための顔の画像とを表示し、前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する前記各年齢層の代表的な顔の画像である、表示部、
評価者によって入力された、前記対象者の顔と、前記対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得する比較結果取得部、
前記結果が、前記対象者の方が年下に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立たないという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも低い年齢層の画像に差し替え、
前記結果が、前記対象者の方が年上に見えるという結果、または、前記対象者のたるみを含む形態またはシミまたはシワの方が目立つという結果の場合、前記対象者の顔と比較するための顔の画像を、現状よりも高い年齢層の画像に差し替え、
前記結果の取得および前記画像の差し替えを繰り返し、前記対象者の顔と比較するための顔の年齢層が上昇から下降へ切り替わる地点および下降から上昇へ切り替わる地点が所定の個数以上あると、全ての前記地点での年齢層の平均値を前記対象者の見た目の年齢層とする、評価部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、"見た目年齢"とも呼ばれる、人間の顔つきや動作等の外見から推定した年齢が知られている。例えば、特許文献1には、顔の見た目印象(例えば、年齢印象)を鑑別する方法が開示されている。具体的には、評価者(評価対象の顔を目視する者)の視線データを解析して、顔の見た目印象への影響が強い部位および顔の見た目印象と相関関係が強い因子を抽出し、その因子に基づいて顔の見た目印象を鑑別する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、見た目年齢の評価は直観的なものであり、個々の評価者によって評価が異なる。例えば、特許文献1では、評価対象の顔の画像を評価者へと提示し、推定年齢の回答を求めている(特許文献1の段落[0058])。しかし、評価者が想定する基準となる顔(つまり、どのような顔を○○歳の顔と想定し、どのような顔を××歳の顔と想定するか)は、個々の評価者によって異なる。そのため、見た目年齢を正確に評価することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、見た目年齢を正確に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、対象者の顔の画像と、前記対象者の顔と比較するための顔の画像とを表示し、前記対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する前記各年齢層の代表的な顔の画像である、表示部と、前記対象者の顔と、前記対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得する比較結果取得部と、前記見た目を比較した結果に基づいて、前記対象者の見た目の年齢層を算出する評価部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、見た目年齢を正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る全体の構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る評価装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る顔画像格納部に格納されている、対象者の顔と比較するための顔の画像の一例である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る顔画像格納部に格納されている、対象者の顔の画像の一例である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るユーザ端末に表示される画面の一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る比較パターン例(1)である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る比較パターン例(2)である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る比較パターン例(3)である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る対象者の顔と比較するための顔の差し替えを説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る見た目年齢の評価処理のフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る評価装置、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<全体の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る全体の構成図である。
図1に示されるように、評価装置10は、任意のネットワーク30を介して、1つまたは複数のユーザ端末20と通信可能に接続されている。以下、それぞれについて説明する。
【0011】
評価装置10は、見た目年齢を評価するための装置である。具体的には、評価装置10は、見た目年齢を評価される者(以下、対象者ともいう)の顔の画像と、対象者の顔と比較するための顔の画像と、をユーザ端末20上に表示する。また、評価装置10は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、の見た目を比較した結果に基づいて、対象者の見た目年齢を評価する。評価装置10は、1つまたは複数のコンピュータからなる。また、評価装置10は、任意のネットワーク30を介して、ユーザ端末20とデータを送受信することができる。後段で、
図2を参照しながら、評価装置10について詳細に説明する。
【0012】
ユーザ端末20は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、の見た目を比較する者(以下、評価者ともいう)が利用する端末である。なお、評価者は、対象者と同一の者であってもよいし、対象者とは別の者であってもよい。具体的には、ユーザ端末20は、対象者の顔の画像と、対象者の顔と比較するための顔の画像とを、評価装置10から受信してディスプレイ上に表示する。また、ユーザ端末20は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、の見た目を評価者が比較した結果を、評価装置10へ送信する。ユーザ端末20は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の任意の端末であってよい。
【0013】
なお、
図1では、評価装置10とユーザ端末20とを別々の装置として説明したが、評価装置10とユーザ端末20とを1つの装置として実装するようにしてもよい。また、評価装置10がユーザ端末20の一部の機能を有するようにしてもよいし、ユーザ端末20が評価装置10の一部の機能を有するようにしてもよい。
【0014】
<機能ブロック>
図2は、本発明の一実施形態に係る評価装置10の機能ブロック図である。
図2に示されるように、評価装置10は、表示部101と、比較結果取得部102と、評価部103と、顔画像格納部104と、を備える。なお、評価装置10は、機械学習部105(教師データ格納部151、生成部152、学習済みモデル格納部153、推論部154)を備える構成とすることもできる。また、評価装置10は、プログラムを実行することで、表示部101と、比較結果取得部102と、評価部103として機能する。なお、評価装置10は、プログラムを実行することで、機械学習部105(生成部152、推論部154)として機能する構成とすることもできる。以下、それぞれについて説明する。
【0015】
顔画像格納部104には、対象者(つまり、見た目年齢を評価される者)の実年齢の情報と、対象者の顔の画像と、対象者の顔と比較するための顔の画像と、が格納されている。以下、<対象者の顔と比較するための顔の画像>および<対象者の顔の画像>について説明する。
【0016】
<対象者の顔と比較するための顔の画像>
例えば、対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する、各年齢層の代表的な顔の画像である。また、例えば、対象者の顔と比較するための顔の画像は、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像と、のうちの少なくとも1つである。なお、性別、人種別等の種々のカテゴリー別の顔を用いて、対象者の顔と比較するようにしてもよい。
【0017】
なお、各年齢層は、任意の区間で分けられていてよい。例えば、年齢層は、20代、30代、40代、50代、60代といった10歳ごとの連続した区間で分けられていてもよいし、40歳、41歳、42歳、43歳、44歳といった1歳ごとの連続した区間で分けられて(つまり、年齢で区分けされて)いてもよい。また、例えば、各年齢層は、40歳、42歳、44歳といった連続しない区間で分けられていてもよい。
【0018】
なお、対象者の顔と比較するための顔は、各年齢層内での加齢の程度により区分けされていてもよい。そのため、対象者の見た目が各年齢層内で加齢が大きい方であるか小さい方であるかを評価することができる。各年齢層内においては、加齢の程度が小さい顔ほど年齢が下である顔として取り扱われ、加齢の程度が大きい顔ほど年齢が上である顔として取り扱われる。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態に係る顔画像格納部104に格納されている、対象者の顔と比較するための顔の画像の一例である。
図3に示されるように、顔画像格納部104には、各年齢層(
図3の例では、30歳、・・・、40歳、42歳、44歳、・・・、50歳)の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)の画像と、各年齢層(
図3の例では、30歳、・・・、40歳、42歳、44歳、・・・、50歳)の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層(
図3の例では、30歳、・・・、40歳、42歳、44歳、・・・、50歳)の顔のシミを表わす画像と、各年齢層(
図3の例では、30歳、・・・、40歳、42歳、44歳、・・・、50歳)の顔のシワを表わす画像と、が格納されうる。
【0020】
ここで、各年齢層の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)の画像と、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像と、を生成する方法の一例を説明する。
【0021】
<<たるみを含む形態を表わす画像>>
例えば、3Dカメラ等で撮影された各年齢層の者の顔の画像を平均化した画像を、その年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像とすることができる。
【0022】
<<シミを表わす画像>>
例えば、カメラ等で撮影された各年齢層の者の顔の画像に適応型閾値処理を施すことによってシミに相当する成分を得て、シミに相当する成分の総面積が各年齢層の中で中央値となる者のシミを表わす画像を、その年齢層の顔のシミを表わす画像とすることができる。
【0023】
<<シワを表わす画像>>
例えば、カメラ等で撮影された各年齢層の者の顔の画像に適応型閾値処理を施すことによってシワに相当する成分を得て、大半の者に存在するシワを濃くして限られた者にだけ存在するシワを薄くした画像を、その年齢層の顔のシワを表わす画像とすることができる。
【0024】
<<代表的な顔の画像>>
例えば、各年齢層の顔のたるみを含む形態に各年齢層の顔のシミおよびシワを付加した画像を、各年齢層の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)の画像とすることができる。
【0025】
<対象者の顔の画像>
例えば、対象者の顔の画像は、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像である。また、例えば、対象者の顔の画像は、対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、対象者の顔のシミを表わす画像と、対象者の顔のシワを表わす画像と、のうちの少なくとも1つである。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態に係る顔画像格納部104に格納されている、対象者の顔の画像の一例である。
図4に示されるように、顔画像格納部104には、対象者の実年齢と、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像と、対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、対象者の顔のシミを表わす画像と、対象者の顔のシワを表わす画像と、が格納されうる。
【0027】
ここで、対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、対象者の顔のシミを表わす画像と、対象者の顔のシワを表わす画像と、を生成する方法の一例を説明する。
【0028】
<<たるみを含む形態を表わす画像>>
例えば、3Dカメラ等で撮影された対象者の顔の画像に基づいて、対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像を生成することができる。
【0029】
<<シミを表わす画像>>
例えば、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像に適応型閾値処理を施すことによってシミに相当する成分を得て、対象者の顔のシミを表わす画像を生成することができる。
【0030】
<<シワを表わす画像>>
例えば、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像に適応型閾値処理を施すことによってシワに相当する成分を得て、対象者の顔のシワを表わす画像を生成することができる。
【0031】
なお、対象者の顔の画像は、素顔の画像であってもよいし、化粧が施された顔の画像であってもよいし、化粧がシミュレーションされた顔の画像であってもよい。そのため、素顔での見た目年齢と、化粧後の顔での見た目年齢とを評価して比べることができる。
【0032】
図2に戻る。表示部101は、顔画像格納部104に格納されている、対象者(つまり、見た目年齢を評価される者)の顔の画像と、その対象者の顔と比較するための顔の画像と、をユーザ端末20上に表示する。例えば、表示部101は、対象者の顔の画像と、その対象者の顔と比較するための顔の画像と、を評価者が比較しやすいように並べて表示する。
【0033】
なお、後述するように、表示部101は、評価者の評価結果に基づいて、対象者の顔と比較するための顔の画像を、別の画像に差し替える。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態に係るユーザ端末20に表示される画面の一例である。
図5に示されるように、対象者の顔の画像と、対象者の顔と比較するための顔の画像と、が表示される。
【0035】
以下、
図6~8を参照しながら、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、の比較パターン例を説明する。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態に係る比較パターン例(1)である。
図6に示されるように、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像と、各年齢層の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)の画像と、を比較する構成とすることができる。
【0037】
図7は、本発明の一実施形態に係る比較パターン例(2)である。
図7に示されるように、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像と、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、を比較する構成とすることができる。あるいは、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、を比較する構成とすることができる。あるいは、カメラ等で撮影された対象者の顔の画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像と、を比較する構成とすることができる。
【0038】
図8は、本発明の一実施形態に係る比較パターン例(3)である。
図8に示されるように、対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、を比較する構成とすることができる。あるいは、対象者の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、を比較する構成とすることができる。あるいは、対象者の顔のシワを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像と、を比較する構成とすることができる。
【0039】
図2に戻る。比較結果取得部102は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔との見た目を比較した結果を取得する。具体的には、比較結果取得部102は、ユーザ端末20から、評価者によってユーザ端末20に入力された、見た目を比較した結果を受信する。
【0040】
例えば、見た目を比較した結果は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、のどちらが年下に見えるか(あるいは年上に見えるか)の情報である。また、例えば、見た目を比較した結果は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、のどちらのたるみを含む形態が目立つか(あるいは目立たないか)の情報である。また、例えば、見た目を比較した結果は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、のどちらのシミが目立つか(あるいは目立たないか)の情報である。また、例えば、見た目を比較した結果は、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための顔と、のどちらのシワが目立つか(あるいは目立たないか)の情報である。
【0041】
評価部103は、比較結果取得部102が取得した見た目を比較した結果に基づいて、対象者の見た目年齢を評価する。具体的には、評価部103は、比較結果取得部102が取得した見た目を比較した結果に基づいて、表示部101に対して、対象者の顔と比較するための顔の画像を別の画像に差し替えさせる(<差し替え処理>)。また、評価部103は、所定の回数の折り返しがあったか否かを判断する(<折り返し回数カウント処理>)。また、評価部103は、所定の回数の折り返しがあった場合には、対象者の見た目年齢を評価する(<評価処理>)。以下、それぞれの処理について説明する。
【0042】
<差し替え処理>
評価部103は、比較結果取得部102が取得した見た目を比較した結果に基づいて、表示部101に対して、対象者の顔と比較するための顔の画像を別の画像に差し替えさせる。例えば、評価部103は、対象者の方が年下に見えるという比較結果の場合、対象者の顔と比較するための顔の年齢層を下げる(つまり、現状よりも低い年齢層の画像に差し替える)。また、例えば、評価部103は、対象者の方が年上に見えるという比較結果の場合、対象者の顔と比較するための顔の年齢層を上げる(つまり、現状よりも高い年齢層の画像に差し替える)。また、例えば、評価部103は、対象者のたるみを含む形態(またはシミまたはシワ)の方が目立つという評価結果の場合、対象者の顔と比較するための顔の年齢層を上げる(つまり、現状よりも高い年齢層の画像に差し替える)。また、例えば、評価部103は、対象者のたるみを含む形態(またはシミまたはシワ)の方が目立たないという評価結果の場合、対象者の顔と比較するための顔の年齢層を下げる(つまり、現状よりも低い年齢層の画像に差し替える)。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態に係る対象者の顔と比較するための顔の差し替えを説明するための図である。
【0044】
図9の左側の例では、最初に、対象者の顔と比較するための顔として30歳の顔が選択されている。そして、その30歳の顔よりも対象者の方が年上に見えるという比較結果に基づいて、対象者の顔と比較するための顔の年齢層が32歳に上げられている(つまり、30歳の顔から32歳の顔に差し替えられている)。その後も同様に、34歳、36歳、38歳、40歳、42歳、44歳、46歳に上げられている。そして、その46歳の顔よりも対象者の方が年下に見えるという比較結果に基づいて、対象者の顔と比較するための顔の年齢層が44歳に下げられている。そのため、
図9の折れ線グラフが、折り返し点1で折り返されている。その後も同様に、42歳に下げられている。そして、その42歳の顔よりも対象者の方が年上に見えるという比較結果に基づいて、対象者の顔と比較するための顔の年齢層が44歳に上げられている。そのため、
図9の折れ線グラフが、折り返し点2で折り返されている。以下、同様に繰り返される。
図9の右側の例も同様である。
【0045】
<折り返し回数カウント処理>
評価部103は、所定の回数(例えば、8回)の折り返しがあったか否かを判断する。具体的には、評価部103は、
図9の折れ線グラフの折り返しの点(つまり、対象者の顔と比較するための顔の年齢層が上昇から下降へ切り替わる地点および下降から上昇へ切り替わる地点)が所定の個数以上あるか否かを判断する。
【0046】
<評価処理>
評価部103は、所定の回数の折り返しがあった場合には、対象者の見た目年齢を評価する。具体的には、評価部103は、全ての折り返し点(例えば、8つの折り返し点)での年齢層の平均値を算出して、この平均値を対象者の見た目の年齢層とする。例えば、年齢層が1歳ごとの区間で分けられている(例えば、40歳、41歳、42歳、43歳、44歳といった1歳ごとの連続した区間、40歳、42歳、44歳といった1歳ごとの連続しない区間)場合には、評価部103が、それらの年齢の平均値を算出する。なお、年齢層が20代、30代、40代、50代、60代といった2歳以上の区間で分けられている場合には、評価部103が、各年齢層の所定の値(例えば、20代であれば25歳等)の平均値を算出するようにしてもよい。
【0047】
このように、本発明の一実施形態では、対象者の顔と、対象者の顔と比較するための各年齢層の顔と、の比較を繰り返すことによって、対象者の見た目年齢を数値化することができる。
【0048】
なお、評価部103は、比較結果取得部102が取得した見た目を比較した結果に基づいて、対象者の見た目の年齢層を算出する、たるみを含む形態の見た目の年齢層を算出する、シミの見た目の年齢層を算出する、シワの見た目の年齢層を算出することができる。以下、<見た目の年齢層を算出する場合>と、<たるみを含む形態の見た目の年齢層を算出する場合>と、<シミの見た目の年齢層を算出する場合>と、<シワの見た目の年齢層を算出する場合>とに分けて説明する。
【0049】
<見た目の年齢層を算出する場合>
評価部103は、対象者の顔の画像(カメラ等で撮影された対象者の顔の画像)と、各年齢層の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)の画像と、の見た目を比較した結果に基づいて、対象者の見た目の年齢層を算出することができる。
【0050】
評価部103は、下記のように、たるみを含む形態の見た目の年齢層と、シミの見た目の年齢層と、シワの見た目の年齢層と、のうちの少なくとも1つを算出することができる。
<たるみを含む形態の見た目の年齢層を算出する場合>
評価部103は、対象者の顔の画像(カメラ等で撮影された対象者の顔の画像)または対象者の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、各年齢層の顔のたるみを含む形態を表わす画像と、の見た目を比較した結果に基づいて、対象者のたるみを含む形態の見た目の年齢層を算出することができる。
<シミの見た目の年齢層を算出する場合>
評価部103は、対象者の顔の画像(カメラ等で撮影された対象者の顔の画像)または対象者の顔のシミを表わす画像と、各年齢層の顔のシミを表わす画像と、の見た目を比較した結果に基づいて、対象者のシミの見た目の年齢層を算出することができる。
<シワの見た目の年齢層を算出する場合>
評価部103は、対象者の顔の画像(カメラ等で撮影された対象者の顔の画像)または対象者の顔のシワを表わす画像と、各年齢層の顔のシワを表わす画像と、の見た目を比較した結果に基づいて、対象者のシワの見た目の年齢層を算出することができる。
【0051】
<加齢の原因である割合を算出する場合>
評価部103は、たるみを含む形態、シミ、シワが、対象者の加齢の原因である割合を算出することができる。具体的には、評価部103は、対象者のたるみを含む形態の見た目の年齢層と、対象者の実年齢との差分を算出する。また、評価部103は、対象者のシミの見た目の年齢層と、対象者の実年齢との差分を算出する。また、評価部103は、対象者のシワの見た目の年齢層と、対象者の実年齢との差分を算出する。評価部103は、たるみを含む形態の差分とシミの差分とシワの差分との総数に対する、たるみを含む形態の差分の割合を、たるみを含む形態が対象者の加齢の原因である割合とする。また、評価部103は、たるみを含む形態の差分とシミの差分とシワの差分との総数に対する、シミの差分の割合を、シミが対象者の加齢の原因である割合とする。また、評価部103は、たるみを含む形態の差分とシミの差分とシワの差分との総数に対する、シワの差分の割合を、シワが対象者の加齢の原因である割合とする。
【0052】
機械学習部105は、評価部103が算出した各見た目の年齢層を教師データとして機械学習して、顔の画像からその顔を有する者の見た目の年齢層を推論する。機械学習部105は、教師データ格納部151、生成部152、学習済みモデル格納部153、推論部154を含む。以下、それぞれについて説明する。
【0053】
教師データ格納部151には、入力データが対象者の顔の画像であり、出力データが評価部103が算出した各見た目の年齢層である教師データが格納されている。
【0054】
生成部152は、教師データ格納部151内の教師データを用いて機械学習を行うことによって学習済みモデルを生成する。生成部152は、生成した学習済みモデルを学習済みモデル格納部153に格納する。
【0055】
学習済みモデル格納部153には、生成部152が生成した学習済みモデルが格納されている。
【0056】
推論部154は、任意の顔の画像を学習済みモデル格納部153内の学習済みモデルに入力して、その顔を有する者の見た目の年齢層を推論する。
【0057】
<方法>
図10は、本発明の一実施形態に係る見た目年齢の評価処理のフローチャートである。
【0058】
ステップ11(S11)において、表示部101は、顔画像格納部104に格納されている、対象者(つまり、見た目年齢を評価される者)の顔の画像と、その対象者の顔と比較するための顔の画像と、をユーザ端末20上に表示する。
【0059】
例えば、最初に表示する、対象者の顔と比較するための顔は、対象者の実年齢に基づいて選択される顔(例えば、対象者の実年齢から離れた年齢層の顔)であってもよいし、どの対象者に対しても一律に選択される顔(例えば、一律に30歳、40歳等)であってもよい。
【0060】
ステップ12(S12)において、比較結果取得部102は、ユーザ端末20から、評価者によってユーザ端末20に入力された、S11で表示された2つの顔の見た目を比較した結果を取得する。
【0061】
ステップ13(S13)において、表示部101は、S12で取得された比較結果に基づいて、S11の対象者の顔と比較するための顔の画像を、別の画像に差し替える。
【0062】
ステップ14(S14)において、比較結果取得部102は、ユーザ端末20から、評価者によってユーザ端末20に入力された、S13で表示された2つの顔の見た目を比較した結果を取得する。
【0063】
ステップ15(S15)において、評価部103は、所定の回数の折り返しがあったか否かを判断する。所定の回数の折り返しが既にあった場合にはステップ16へ進み、所定の回数の折り返しが未だない場合にはステップ13へ戻る。
【0064】
ステップ16(S16)において、評価部103は、S12~S14で実施された比較の結果に基づいて、対象者の見た目年齢を評価する。
【0065】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、対象者の顔が、各年齢層の代表的な顔(つまり、各年齢層のたるみを含む形態とシミとシワとを有する顔)よりも年下に見えるかまたは年上に見えるかの比較を繰り返すことによって、対象者の見た目年齢を定量的に評価することができる。つまり、見た目年齢という感覚的な年齢を実証的に算出することができる。そのため、どの評価者も、対象者の見た目年齢を正確に評価することができる。
【0066】
<ハードウェア構成>
図11は、本発明の一実施形態に係る評価装置10、ユーザ端末20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。評価装置10、ユーザ端末20は、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3を有する。CPU1、ROM2、RAM3は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0067】
また、評価装置10、ユーザ端末20は、補助記憶装置4、表示装置5、操作装置6、I/F(Interface)装置7、ドライブ装置8を有することができる。なお、評価装置10、ユーザ端末20の各ハードウェアは、バスBを介して相互に接続されている。
【0068】
CPU1は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムを実行する演算デバイスである。
【0069】
ROM2は、不揮発性メモリである。ROM2は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムをCPU1が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM2はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0070】
RAM3は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM3は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムがCPU1によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0071】
補助記憶装置4は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0072】
表示装置5は、評価装置10、ユーザ端末20の内部状態等を表示する表示デバイスである。
【0073】
操作装置6は、評価装置10、ユーザ端末20を用いる者が評価装置10、ユーザ端末20に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0074】
I/F装置7は、ネットワークに接続し、ユーザ端末20、評価装置10と通信を行うための通信デバイスである。
【0075】
ドライブ装置8は記憶媒体9をセットするためのデバイスである。ここでいう記憶媒体9には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体9には、EPROM (Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0076】
なお、補助記憶装置4にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記憶媒体9がドライブ装置8にセットされ、該記憶媒体9に記録された各種プログラムがドライブ装置8により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置4にインストールされる各種プログラムは、I/F装置7を介して、ネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 評価装置
20 ユーザ端末
30 ネットワーク
101 表示部
102 比較結果取得部
103 評価部
104 顔画像格納部
105 機械学習部
151 教師データ格納部
152 生成部
153 学習済みモデル格納部
154 推論部