IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芦森工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ネット保持機構 図1
  • 特許-ネット保持機構 図2
  • 特許-ネット保持機構 図3
  • 特許-ネット保持機構 図4
  • 特許-ネット保持機構 図5
  • 特許-ネット保持機構 図6
  • 特許-ネット保持機構 図7
  • 特許-ネット保持機構 図8
  • 特許-ネット保持機構 図9
  • 特許-ネット保持機構 図10
  • 特許-ネット保持機構 図11
  • 特許-ネット保持機構 図12
  • 特許-ネット保持機構 図13
  • 特許-ネット保持機構 図14
  • 特許-ネット保持機構 図15
  • 特許-ネット保持機構 図16
  • 特許-ネット保持機構 図17
  • 特許-ネット保持機構 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ネット保持機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20231219BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
F16B5/10 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019212532
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021084457
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】平 健介
(72)【発明者】
【氏名】河島 裕紀
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117540(WO,A1)
【文献】特開2002-067856(JP,A)
【文献】特開平09-032822(JP,A)
【文献】特開2009-222108(JP,A)
【文献】特開平09-272390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、
前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、を含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているネット保持用ブラケットと、
前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口の周縁部を車両内側から覆い、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成されたカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの前記開口を貫通して突出し、前記ネット保持用ブラケットの前記係止孔に係止している係止爪と、を含み、前記ルーフヘッドライニングの前記開口を介して前記ネット保持用ブラケットに取付けられているカバーと、
係止状態維持手段と、
を備え、
前記係止爪は、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した爪支持部と、前記爪支持部の先端部から突出して前記係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、
前記係止状態維持手段は、前記爪支持部の基端部において前記爪部の突出方向に沿った方向に突出した補強部を含み、
前記カバー本体部に前記ネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記補強部が前記係止爪の変形を抑制する、ネット保持機構。
【請求項2】
請求項1に記載のネット保持機構であって、
前記ネット保持用ブラケットに位置決め孔が形成されており、
前記カバーは、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの開口を貫通して突出し、前記位置決め孔に挿入された位置決め突出部を含み、
前記補強部は前記爪支持部と前記位置決め突出部とに連なるように形成されている、ネット保持機構。
【請求項3】
ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、
前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、を含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているネット保持用ブラケットと、
前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口の周縁部を車両内側から覆い、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成されたカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの前記開口を貫通して突出し、前記ネット保持用ブラケットの前記係止孔に係止している係止爪と、を含み、前記ルーフヘッドライニングの前記開口を介して前記ネット保持用ブラケットに取付けられているカバーと、
係止状態維持手段と、
を備え、
前記係止爪は、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した爪支持部と、前記爪支持部の先端部から突出して前記係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、
前記係止状態維持手段は、前記係止爪に対して間隔をあけた位置で、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した別の爪支持部と、前記別の爪支持部の先端部から前記爪部とは反対側に突出して前記係止孔の周縁部に係止している別の爪部とを含む、ネット保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネット保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車室を前後に仕切るバリヤネットに設けられた上部係止部を、バリヤネット係止用ブラケットに係止させる構造を開示している。
【0003】
バリヤネット係止用ブラケットは、ルーフサイドレールに固定されている。バリヤネット係止用ブラケットは、ルーフヘッドライニング(天井の内張材)によって車室内側から覆われている。ルーフヘッドライニングには、前記上端縁部が貫通可能な開口が設けられている。樹脂カバーがバリヤネット係止用ブラケットに取付けられる。この取付は、樹脂カバーに設けられた一対の爪部が、バリヤネット係止用ブラケットに形成された一対の係合孔に嵌入係止されることによりなされる。樹脂カバーがバリヤネット係止用ブラケットに取付けられた状態で、ルーフヘッドライニングの一部が樹脂カバーとバリヤネット係止用ブラケットとの間に挟まれている。また、当該嵌入係止箇所の直ぐ下方のルーフヘッドライニングの縁部には、カーテンエアバッグが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/117540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、爪部が変形してしまうと、樹脂カバーがバリヤネット係止用ブラケットから外れてしまう恐れがある。
【0006】
例えば、カーテンエアバッグの作動時、カーテンエアバッグはインフレータからのガスによって膨張し、ルーフヘッドライニングを押し広げてルーフヘッドライニングとウェザーストリップとの間から車両内側の空間に展開する。
【0007】
このとき、ルーフヘッドライニングが押広げられることによって、樹脂カバーが車室内側に押されてしまう。すると、爪部が係止を解除するように変形し、樹脂カバーがバリヤネット係止用ブラケットから外れてしまう恐れがある。特に、バリヤネットの上端縁部がバリヤネット係止用ブラケットに係止されていない場合、樹脂カバーが脱落してしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、カバーとネット係止用ブラケットとの係止が外れ難いネット保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、を含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているネット保持用ブラケットと、前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口の周縁部を車両内側から覆い、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成されたカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの前記開口を貫通して突出し、前記ネット保持用ブラケットの前記係止孔に係止している係止爪と、を含み、前記ルーフヘッドライニングの前記開口を介して前記ネット保持用ブラケットに取付けられているカバーと、係止状態維持手段と、を備え、前記係止爪は、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した爪支持部と、前記爪支持部の先端部から突出して前記係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、前記係止状態維持手段は、前記爪支持部の基端部において前記爪部の突出方向に沿った方向に突出した補強部を含み、前記カバー本体部に前記ネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記補強部が前記係止爪の変形を抑制する。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るネット保持機構であって、前記ネット保持用ブラケットに位置決め孔が形成されており、前記カバーは、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの開口を貫通して突出し、前記位置決め孔に挿入された位置決め突出部を含み、前記補強部は前記爪支持部と前記位置決め突出部とに連なるように形成されているものである。
【0012】
第3の態様は、ルーフサイドレールとルーフヘッドライニングとを有する車両において、乗員室と荷室とを仕切るネットの上端縁部を保持するネット保持機構であって、前記ネットの前記上端縁部を保持するネット保持部と、係止孔と、を含み、前記ルーフサイドレールに取付けられているネット保持用ブラケットと、前記ルーフヘッドライニングに設けられた開口の周縁部を車両内側から覆い、前記ネットの前記上端縁部が挿入可能な挿入孔が形成されたカバー本体部と、前記カバー本体部から前記ルーフヘッドライニングの前記開口を貫通して突出し、前記ネット保持用ブラケットの前記係止孔に係止している係止爪と、を含み、前記ルーフヘッドライニングの前記開口を介して前記ネット保持用ブラケットに取付けられているカバーと、係止状態維持手段と、を備え、前記係止爪は、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した爪支持部と、前記爪支持部の先端部から突出して前記係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、前記係止状態維持手段は、前記係止爪に対して間隔をあけた位置で、前記カバー本体部から前記係止孔に向けて突出した別の爪支持部と、前記別の爪支持部の先端部から前記爪部とは反対側に突出して前記係止孔の周縁部に係止している別の爪部とを含む。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様にネット保持機構によると、係止状態維持手段は、前記カバー本体部に前記ネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、前記係止爪の変形を抑制する。これにより、係止爪が係止孔から外れることが抑制され、もって、係止爪が係止孔の周縁部に係止した状態が維持される。これにより、カバーとネット保持用ブラケットとの係止が外れ難いネット保持機構を提供できる。特に、爪支持部の基端部が補強部によって補強される。このため、爪部と係止孔の周縁部との係止が解除される向きに、爪支持部が変形し難い。これにより、係止爪が係止孔から外れることが抑制される。
【0016】
第2の態様によると、補強部は、位置決め突出部によっても支持されるため、補強部自体が変形し難くなる。これにより、爪支持部の変形も抑制される。
【0018】
第3の態様によると、係止状態維持手段によって、前記係止爪が前記係止孔から抜けることを抑制され、もって、係止爪が係止孔の周縁部に係止した状態が維持される。これにより、カバーとネット保持用ブラケットとの係止が外れ難いネット保持機構を提供できる。特に、係止爪の爪部と係止孔の周縁部との係止状態が解除されようとすると、別の爪部と係止孔の周縁部との係止状態が維持され易い。逆に、別の爪部と係止孔の周縁部との係止状態が解除されようとすると、係止爪の爪部と係止孔の周縁部との係止状態が維持され易い。結果、係止爪が係止孔から外れることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ネット保持機構が組込まれた車両の一例を示す図である。
図2】ネット保持機構が車両に組込まれた部分を示す分解斜視図である。
図3】ルーフヘッドライニング、ネット保持機構、カーテンエアバッグ等の位置関係を示す図である。
図4】カバー保持部を係止爪側から見た斜視図である。
図5】カバー保持部を係止爪とは反対側から見た斜視図である。
図6】カバーを示す斜視図である。
図7】係止状態維持手段の動作の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係るカバー保持部を示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係るカバーを示す斜視図である。
図10】係止爪が係止孔の周縁部に係止する部分を示す斜視図である。
図11】第2実施形態の変形例に係る係止爪を示す斜視図である。
図12】係止爪が係止孔の周縁部に係止した状態を示す斜視図である。
図13】第3実施形態に係るカバーを示す斜視図である。
図14】第3実施形態に係るカバー保持部を示す斜視図である。
図15】第3実施形態において係止爪が係止孔の周縁部に係止した状態を示す図である。
図16】第4実施形態に係るカバーを示す斜視図である。
図17】カバーをカバー保持部に取付ける途中状態を示す説明図である。
図18】第4実施形態において係止爪が係止孔の周縁部に係止した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るネット保持機構について説明する。ネット保持機構は、車両においてネットの上端縁部を保持する機構である。ネット保持機構は、ネット保持用ブラケットと、カバーとを備える。ネット保持用ブラケットは、ルーフサイドレールに取付けられる。ネットの上端縁部は、ネット保持用ブラケットによって保持される。カバーは、ルーフヘッドライニングの開口を介してネット保持用ブラケットに取付けられる。
【0023】
ネット保持用ブラケットに対するカバーの取付けは、カバーに形成された係止爪が、ネット保持用ブラケットに形成された係止孔の周縁部に係止することによってなされる。
【0024】
係止爪が係止孔から抜けることを抑制するため、ネット保持機構に、係止状態維持手段が設けられる。係止状態維持手段のより具体的な例が、第1実施形態から第4実施形態によって説明される。第1実施形態及び第2実施形態では、係止状態維持手段が、係止爪の変形を抑制する手段である例が示される。第3実施形態では、係止状態維持手段が、係止爪とは別の係止爪を含む例が示される。第4実施形態では、係止状態維持手段が、少なくとも係止爪と係止孔の周縁部との係止が解除された状態で、係止孔から抜ける方向への係止爪の移動を規制する手段である例が示される。
【0025】
以下、第1実施形態から第4の実施形態を順次説明する。
【0026】
{第1実施形態}
第1実施形態では、係止爪が、カバー本体部から係止孔に向けて突出した爪支持部と、爪支持部の先端部から突出して係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、係止状態維持手段は、爪支持部の基端部において爪部の突出方向に沿った方向に突出した補強部を含み、カバー本体部にネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、補強部が係止爪の変形を抑制する例が説明される。
【0027】
<ネット保持機構が組込まれる車両の一例>
図1はネット保持機構30が組込まれた車両10の一例を示す図である。
【0028】
車両10内に、乗員室11と荷室14とが設けられる。乗員室11にシート12、13が設けられる。ここでは、シート12、13は、前後2箇所に設けられる。前側のシート12は、運転席又は助手席である。後ろ側のシート13は、後部座席である。シートは、前後において1箇所のみ設けられてもよいし、前後3箇所以上に設けられてもよい。荷室14は、乗員室11の後ろ側に設けられる。車両10は、ルーフサイドレール22、ルーフヘッドライニング24及びカーテンエアバッグ80を備えている。
【0029】
この車両10に、乗員室11と荷室14とを仕切るネット16が設けられる。ネット16は、バリヤネット或はセパレーションネットと呼ばれてもよい。ここでは、後ろ側のシート13の背もたれ部分13aの後部に、ネット16を引出及び巻取可能に収納する巻取装置26が取付けられている。巻取装置26からネット16が引出される。ルーフサイドレール22にはネット保持機構30が設けられている。ネット16の上端縁部がネット保持機構30によって保持される。これにより、ネット16が引出された状態に保たれる。引出されたネット16は、シート13の背もたれ部分13aにおける後部とルーフ20との間の空間を、前後に仕切るように配置される。ネット16の上端縁部がネット保持機構30によって保持された状態が解除されると、巻取装置26によってネット16が巻取られる。
【0030】
巻取装置26は、荷室14を上側から覆い隠すトノカバーに設けられてもよい。巻取装置26は、フロアに設けられてもよい。ネット16が巻取装置26によって巻取られる構成である必要は無い。
【0031】
<車両におけるネット保持機構の組込構成>
図2はネット保持機構30が車両に組込まれた部分を示す分解斜視図である。図3はルーフサイドレール22の内側において、ルーフヘッドライニング24、ネット保持機構30、カーテンエアバッグ80等の位置関係を示す図である。これらの図に示すように、車両10は、ルーフサイドレール22とルーフヘッドライニング24とを備える。
【0032】
ルーフサイドレール22は、ルーフ20の側方において車両10の前後方向に沿って延びる長尺部材である。ルーフサイドレール22は、金属板材をプレス加工等することによって形成される。ルーフサイドレール22は、複数の金属板材が組合せられた複合体として構成されてもよい。ルーフサイドレール22は、ボディの外形状を一定に保つ構造材として用いられてもよい。
【0033】
車両10におけるルーフ20の車室側を覆うようにルーフヘッドライニング24が設けられる。ルーフヘッドライニング24は、樹脂等、変形可能な部材によって形成されている。ルーフヘッドライニング24の両側部は、外側に向うにつれて下方に湾曲するように曲っている。ルーフヘッドライニング24の両側部は、ルーフサイドレール22の車室内側を覆っている。ルーフヘッドライニング24の両側部のうちネット保持機構30が設けられる部分に開口24hが形成されている。後述する引っ掛け部18は、当該開口24hを通ることができる。ここでは、開口24hは方形状に形成されている。
【0034】
ネット16の上端縁部に引っ掛け部18が設けられる。ここでは、ネット16の上端縁部には棒状のステイ17が取付けられている。ステイ17の両端部に引っ掛け部18が設けられる。引っ掛け部18は、ステイ17の端部から車幅方向外側に向うに連れて上方に向うように延在している。引っ掛け部18の先端部に外周側に突出する円板状の鍔部19が設けられる。
【0035】
ネット保持機構30は、ネット保持用ブラケット40と、カバー60と、係止状態維持手段70とを備える。
【0036】
ネット保持用ブラケット40は、ネット16の上端縁部を保持するネット保持部46を含む。このネット保持用ブラケット40は、ルーフサイドレール22に取付けられる。
【0037】
より具体的には、ネット保持用ブラケット40は、ブラケット本体部42と、ネット保持部46と、カバー保持部50とを備える。
【0038】
ブラケット本体部42は、金属板等によって形成されている。ブラケット本体部42のうち車幅方向外側の先端部には、引っ掛け用の突片42a、ネジ孔42h等が設けられている。突片42aがルーフサイドレール22に形成された固定用孔に引っ掛けられ、また、ネジがネジ孔42hを通ってルーフサイドレール22側のネジ部にネジ締めされること等によって、ブラケット本体部42がルーフサイドレール22に取付けられる。ネット保持用ブラケット40がルーフサイドレール22に取付けられる構成は特に限定されない。上記のような引っ掛け構造、ネジ止構造の他、溶接等によってネット保持用ブラケット40がルーフサイドレール22に取付けられてもよい。
【0039】
ブラケット本体部42のうち車幅方向外側寄りの部分は、上方に凸となる湾曲部43に形成されている。湾曲部43の下側である内側の空間に、エアバッグの一例として折畳まれたカーテンエアバッグ80が配置される。ここで、カーテンエアバッグ80は、車両側壁の上方から下方に向って展開するカーテンエアバッグ80である。カーテンエアバッグ80は、ルーフサイドレール22に取付けられている。通常状態では、カーテンエアバッグ80は、長尺形状に折畳まれ、ルーフサイドレール22とルーフヘッドライニング24との間の空間に配置されている。この状態では、カーテンエアバッグ80の下方は、ルーフヘッドライニング24によって覆われている。インフレータからのガスがカーテンエアバッグ80内に導入されると、カーテンエアバッグ80が膨張してルーフヘッドライニング24の側部を車室内側に押し広げる。これにより、ルーフヘッドライニング24の側部とルーフサイドレール22との間に、カーテンエアバッグ80が通過可能な空間が形成される。カーテンエアバッグ80は、ルーフヘッドライニング24の側部とルーフサイドレール22との間を通って、車両側壁の上方から下方に向って展開することができる。
【0040】
ブラケット本体部42のうち車幅方向内側よりの部分に、受部44が設けられている。受部44は、ルーフヘッドライニング24のうち上記開口24hが形成された部分の内側に沿う姿勢で配置される。受部44に上記引っ掛け部18が通過可能な孔44hが形成されている。また、受部44にカバー保持部50を係止する係止孔45が形成される。ここでは、受部44の4つの角部のそれぞれに対応して係止孔45が形成される。
【0041】
ネット保持部46は、金属板等によって形成されている。ネット保持部46には、上記引っ掛け部18を引っ掛け可能な引っ掛け孔46hが形成されている。ここでは、引っ掛け孔46hは、鍔部19が通過可能な大孔と鍔部19が通過不能な小孔とが繋がった形状に形成されている。引っ掛け部18は、当該大孔を通じて引っ掛け孔46hに挿入され、その後、小孔に移動することで、鍔部19が引っ掛け孔46hから抜け難い状態となる。これにより、引っ掛け部18がネット保持部46に保持される。
【0042】
ネット保持部46が受部44のうち車両外側を向く面に重ね合せ状態で固定される。この固定は、ネジ止によってなされてもよいし、その他、溶接、係止構造等によってなされてもよい。なお、受部44における孔44hは、引っ掛け孔46hと同じであるか大きい孔である。引っ掛け部18は、孔44hを経由して引っ掛け孔46hに挿入される。
【0043】
ネット保持部46は、上記受部44よりも小さい板状に形成されている。ネット保持部46の外側に、係止孔45が位置している。
【0044】
カバー保持部50は、受部44に対して車室内側に固定される。ここでは、カバー保持部50は樹脂等によって形成されている。このカバー保持部50に係止爪53が設けられている。この係止爪53が上記係止孔45に係止することによって、カバー保持部50が受部44に形成される。カバー保持部50には、引っ掛け部18が通過可能な開口52hが形成されており、引っ掛け部18は当該開口52hを通って、上記ネット保持部46に引っ掛かることができる。カバー保持部50は、その他、ネジ止等によって受部44に取付けられてもよい。
【0045】
カバー保持部50には、カバー60を係止するための係止孔56が形成されている。本実施形態では、カバー保持部50が上記ブラケット本体部42とは別体とされた例が示される。しかしながら、カバーを保持する部分がブラケットに一体形成された例であってもよい。例えば、ブラケット本体部自体に、カバーを係止するための係止孔が形成されていてもよい。
【0046】
本実施形態で説明されるように、ネット保持用ブラケット40が、ルーフサイドレール22に取付けられる取付部材(ここではブラケット本体部)と、カバー60が取付けられる接続部材(ここではカバー保持部)とが組合わされる構成であれば、次のメリットがある。すなわち、接続部材とカバー60とをルーフヘッドライニング24の開口24h部分に先に固定しておき、その後、ルーフサイドレール22に取付けられた取付部材に、接続部材を取付けることができる。これにより、ルーフヘッドライニング24とカバー60とを一体的に取扱うことができる。
【0047】
カバー60は、上記ルーフヘッドライニング24に形成された開口24hを介してネット保持用ブラケット40に取付けられる。カバー60は、ルーフヘッドライニング24のうち開口24hの周縁部を車室内側から覆っている。カバー60は、開口24hの縁を補強することができる。
【0048】
カバー60には、抜止め片63p及び係止爪66が形成されている。これらの抜止め片63p及び係止爪66が上記カバー保持部に係止することで、カバー60がカバー保持部50に取付けられる。
【0049】
カバー60には、引っ掛け部18が通過可能な挿入孔61hが形成されている。引っ掛け部18は、当該挿入孔61h及びルーフヘッドライニング24の開口24hを通って、さらに、カバー保持部50の開口52hを通って、ネット保持部46に引っ掛かることができる。
【0050】
<カバー保持部>
カバー保持部50についてより具体的に説明する。図4はカバー保持部50を係止爪53側から見た斜視図であり、図5はカバー保持部50を係止爪53とは反対側から見た斜視図である。
【0051】
カバー保持部50は、樹脂等によって形成されている。カバー保持部50は、カバー保持本体部52と、係止爪53と、位置決め突出部54とを含む。
【0052】
カバー保持本体部52は、板状に形成されている。ここでは、カバー保持本体部52は、方形板状に形成されている。カバー保持本体部52の一方主面には、補強のためのリブが適宜形成されている。カバー保持本体部52に、上記開口24hと同じかこれよりも大きい開口52hが形成されている。
【0053】
係止爪53は、カバー保持本体部52の一方主面側(受部44に対向する面側)から突出するように形成されている。ここでは、4つの係止爪53は、カバー保持本体部52の4つの角部近傍から突出する。係止爪53は、カバー保持本体部52の主面に対して直交する方向に突出する基部53aと、当該基部53aの先端部からV字状に曲ってカバー保持本体部52側に折返す折返し部53bとを含む。
【0054】
位置決め突出部54は、カバー保持本体部52の一方主面側(受部44に対向する面側)から突出するように形成されている。ここでは、2つの位置決め突出部54は、カバー保持本体部52のうち対向する2つの辺の中間部近傍から突出する。位置決め突出部54の先端部は、先端側に向けて徐々に細くなる形状に形成されている。
【0055】
そして、位置決め突出部54が受部44に形成された孔44h2に挿入されつつ、係止爪53が受部44の係止孔45に挿入される。各係止爪53が係止孔45に対して所定量挿入されると、係止爪53の先端部が係止孔45の周縁部に係止して、カバー保持部50が受部44に取付けられる。
【0056】
開口52hの周縁部からカバー保持本体部52の一方主面側に突出するように、環状縁部52aが突出している。開口52hの周縁部のうちの2箇所に環状縁部52aが形成されていない抜止め部52fが形成される。抜止め部52fは、開口52hの縁から外側に向うフラットな面に形成されている。この抜止め部52fに抜止め片63pが抜止め係止される。
【0057】
カバー保持本体部52に、カバー60の係止爪66が係止する係止孔56が形成される。ここでは、開口52hの外周り部分であって上記抜止め片63pから離れた位置に2つの係止孔56が形成されている。係止孔56は、一方向に長い長方形孔状に形成されている。係止孔56の縁のうち1つの長辺部分56gは、係止爪66の挿入方向に向けて内向き傾斜する形状に形成されることが好ましい。
【0058】
カバー保持本体部52に位置決め孔57が形成されている。ここでは、係止孔56に対して間隔をあけた位置に位置決め孔57が形成されている。より具体的には、位置決め孔57は、係止孔56の長手方向に対して直交する方向に離れた位置に形成されている。位置決め孔57は、円孔状又は楕円孔状に形成されている。この位置決め孔57に、後述する位置決め突出部68が挿入される。
【0059】
<カバー>
カバー60についてより具体的に説明する。図6はカバー60を示す斜視図である。
【0060】
カバー60は、樹脂等によって形成されている。カバー本体部61と、係止爪66とを備える。
【0061】
カバー本体部61は、ルーフヘッドライニング24の開口24hの周縁部を車両内側から覆うように形成される。また、カバー本体部61には、ネット保持部46の上端縁部の一部である引っ掛け部18が挿入可能な挿入孔が形成されている。
【0062】
より具体的には、カバー本体部61は、板状部62と、筒部63とを含む。板状部62は、ルーフヘッドライニング24の開口24hよりも大きい板状に形成されている。ここでは、板状部62は、角部が丸められた方形板状に形成されている。板状部62に、開口24hよりも小さい挿入孔61hが形成されている。挿入孔61hは、ネット16の上端縁部である引っ掛け部18を挿入可能に形成されている。ここでは、挿入孔61hは、ネット保持部46における引っ掛け孔46hと同じ形状からこれよりも(僅かに)大きい形状に形成される。筒部63は、挿入孔61hの周縁部からカバー本体部61の一方主面側に突出する筒形状に形成されている。筒部63は、開口24h内に挿入可能であり、また、カバー保持本体部52の開口52hにも挿入可能に形成されている。また、筒部63内には、ネット16の上端縁部の一部である引っ掛け部18を挿入可能である。
【0063】
カバー60がネット保持用ブラケット40に取付けられた状態で、筒部63がルーフヘッドライニング24の開口24hの内側に配置されると共に、板状部62がルーフヘッドライニング24のうち開口24hの周縁部を車室内側から覆うことができる。
【0064】
筒部63の先端側の周縁部であって上記抜止め部52fに対応する位置に抜止め片63pが形成される。ここでは、2つの抜止め部52fに対応して2つの抜止め片63pが形成される。各抜止め片63pは、筒部63の先端側の周縁部から外側に向けて突出する板状に形成されている。抜止め片63pは、板状部62と平行姿勢で延在している。
【0065】
係止爪66は、板状部62の一方主面から突出するように形成されている。ここでは、板状部62に2つの係止爪66が設けられている。2つの係止爪66は、上記挿入孔61hの外側であって抜止め片63pから離れた位置に設けられている。ここでは、カバー本体部61が一方向に長い方形状をなしており、その短辺方向において一端寄りに抜止め片63pが設けられ、他端寄りの係止爪66が設けられる。2つの抜止め片63pは、カバー本体部61の長辺方向において両端寄りに分散して位置に、2つの係止爪66もカバー本体部61の長辺方向において両端寄りに分散して位置する。このため、2つの係止爪66及び2つの抜止め片63pが、カバー本体部61のそれぞれの角部近傍でカバー保持部50に係止することになり、カバー保持部50に対して安定して取付けられる。また、係止爪66の突出方向は、抜止め片63pの延出方向とは逆方向である。このため、係止爪66と抜止め片63pとは、互いに逆方向側からカバー保持部50に係止しており、両者が同時に係止解除され難い。
【0066】
係止爪66は、爪支持部66aと、爪部66bとを含む。爪支持部66aは、カバー本体部61からカバー保持部50における係止孔56に向けて突出する。ここでは、爪支持部66aは、板状部62に対して直交しかつカバー本体部61の長辺方向に沿って延在する方形板状に形成されている。なお、爪支持部66aの突出寸法は、ルーフヘッドライニング24の厚み等に応じて、カバー保持部50に達することが可能な大きさに設定される。爪部66bは、爪支持部66aの先端部から突出して係止孔56の周縁部に係止可能に形成されている。ここでは、爪部66bは、爪支持部66aの先端部に向うのに従って突出寸法が徐々に小さくなる突起形状に形成されている。爪部66bの先端側の傾斜面が係止孔56の周縁部に接触することで、爪支持部66aが爪部66bの突出方向とは逆方向に弾性変形する。爪部66bが係止孔56を超えると、爪支持部66aが元の形状に戻って、爪部66bのうち爪支持部66aの基端側の向く部分が、係止孔56の周縁部にカバー60とは反対側から接触して係止する。
【0067】
係止爪66が係止孔56に係止する際、係止爪66は、ルーフヘッドライニング24の開口24hを貫通する。ここでは、ルーフヘッドライニングに対してネット16の上端縁部の一部である引っ掛け部18が通過する開口と、係止爪66が貫通する開口とは共通している。しかしながら、これらの開口は別々の開口であってもよい。
【0068】
このカバー60は、さらに、位置決め突出部68を含む。位置決め突出部68は、板状部62の一方主面から突出するように形成されている。ここでは、2つの位置決め突出部68は、2つの係止爪66に対応し、係止爪66から離れた位置に設けられている。ここでは、位置決め突出部68は、係止爪66に対し抜止め片63p側に離れた位置に設けられている。位置決め突出部68の先端部は、先端側に向けて徐々に細くなる形状に形成されている。より具体的には、位置決め突出部68は、中心軸部から4方向に向けて細長い板状部が延出する形状に形成されている。各板状部の先端部が角取りされることによって、位置決め突出部68の先端部が徐々に細くなるように形成される。係止爪66が係止孔56に係止する際、位置決め突出部68が開口24hを通って、カバー保持本体部52における位置決め孔57に挿入される。
【0069】
位置決め突出部68における板状部のうち筒部63側を向く部分の基端部が、筒部63に向けて延出している。一方の位置決め突出部68においては、その延長した部分が筒部63に連なっている。また、位置決め突出部68における板状部のうち係止爪66側を向く部分の基端部が、係止爪66に向けて延出している。各延出部分69pの突出寸法は、位置決め突出部68の突出寸法よりも低い。係止爪66が係止孔56の周縁部に係止した状態で、各延出部分69pがカバー保持本体部52に対してカバー60側から接触することができる。これにより、カバー60とカバー保持部50との位置決めがなされる。
【0070】
係止爪66が係止孔56に係止する際、位置決め突出部68がルーフヘッドライニング24の開口24hを貫通する。ここでは、ルーフヘッドライニングに対してネット16の上端縁部の一部である引っ掛け部18が通過する開口と、位置決め突出部68が貫通する開口とは共通している。しかしながら、これらの開口は別々の開口であってもよい。
【0071】
なお、板状部62の一方主面には、L字状の補助突出片62bが形成されている。補助突出片62bは、ルーフヘッドライニング24の開口24hの周縁部の一部である1つの角部に内側から接触することができる。これにより、ルーフヘッドライニング24の開口24hに対してカバー60がより正確に位置決めされる。
【0072】
<係止状態維持手段>
係止状態維持手段は、係止爪66が係止孔56から抜けることを抑制する手段である。本実施形態では、係止状態維持手段70として、カバー本体部61にネット保持用ブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止爪66の変形を抑制する手段が説明される。
【0073】
より具体的には、係止状態維持手段70は、爪支持部66aの基端部において爪部66bの突出方向に沿って板状部62より突出する補強部71、74を含む。ここでは、爪支持部66aは板状に形成されている。爪支持部66aの基端部のうち爪部66bの突出方向とは反対側に補強部71が板状部62より突出している。補強部71は板状に形成されている。補強部71は、板状部62及び爪支持部66aの双方に直交しつつ、板状部62及び爪支持部66aに連なっている。補強部71の突出寸法は、延出部分69pの突出寸法よりも小さい。この補強部71によって、爪支持部66aの基端部がその厚み方向に弾性変形し難いように維持される。
【0074】
また、この補強部71は、爪支持部66aと位置決め突出部68との双方に連なるように形成されている。ここでは、位置決め突出部68における4つの板状部のうち係止爪66に向う部分の基端部が補強部71に連なっている。
【0075】
また、爪支持部66aの基端部のうち爪部66bの突出方向と同方向に補強部74が板状部62より突出している。ここでは、2つの補強部74が、爪支持部66aの両側部に設けられている。補強部74は板状部62及び爪支持部66aの双方に直交する板状に形成されており、板状部62及び爪支持部66aの双方に連なっている。また、補強部71のうち板状部62及び爪支持部66aの反対側部分は、弧状に凹む形状に形成されている。補強部74によっても、爪支持部66aの基端部がその厚み方向に弾性変形し難いように維持される。
【0076】
<係止状態維持手段の動作>
図7は係止状態維持手段の動作の一例を示す図である。同図に示すように、カーテンエアバッグ80の作動時、カーテンエアバッグ80は、当該カーテンエアバッグ80を覆っているルーフヘッドライニング24を車室内側へ押す。これにより、カーテンエアバッグ80は、ルーフヘッドライニング24とルーフサイドレール22との間から車両側壁の上方から下方に向って膨張展開しようとする。この際、押されたルーフヘッドライニング24の側部は、車室内側に向けて捲られるようになる。これにより、カバー60には、カバー保持部50から離反させる方向に移動させる力が作用する。より具体的には、ルーフヘッドライニング24を車室内側から覆っているカバー60の板状部62に、ネット保持用ブラケット40から離反する方向に力が作用する。これにより、係止爪66に、係止孔56から抜出る方向の力が作用し、係止爪66が変形する恐れがある。
【0077】
本実施形態では、係止状態維持手段によって、係止爪66の変形を抑制する。より具体的には、補強部71、74によって、爪支持部66aの基端部が変形し難いようにしている。これにより、係止爪66の変形が抑制され、爪部66bと係止孔56の周縁部との係止が維持される。
【0078】
本実施形態に係るネット保持機構30によると、係止状態維持手段70によって、係止爪66が係止孔56から抜けることが抑制され、もって、係止爪66が係止孔56の周縁部に係止した状態が維持される。これにより、カバー60とネット保持用ブラケット40との係止が外れ難いネット保持機構30を提供できる。
【0079】
本実施形態では、係止状態維持手段70は、カバー本体部61に、ネット保持用ブラケット40から離反する方向の力が作用したときに、係止爪66の変形を抑制することによって、係止爪66が係止孔56から外れることを抑制できる。
【0080】
より具体的には、係止状態維持手段70として補強部71、74を含み、補強部71、74によって爪支持部66aの基端部が補強される。このため、ルーフヘッドライニング24の厚み等に応じて、爪部66bの位置を板状部62から離した位置に設定しつつ、係止爪66が変形し難いようにすることができる。これにより、係止爪66が係止孔56から外れることが抑制される。
【0081】
また、補強部71は位置決め突出部68にも連なっているため、補強部71が位置決め突出部68によっても変形し難いように補強される。これにより、爪支持部66a自体の変形も抑制される。これにより、係止爪66が係止孔56から外れることが抑制される。
【0082】
また、カバー60を金型成形する際に、溶融した樹脂が、補強部71を介して位置決め突出部68及び係止爪66の両方に流れ込み易い。これにより、成型不良が発生し難くなるというメリットもある。
【0083】
{第2実施形態}
第2実施形態に係るネット保持機構について説明する。第2実施形態では、係止爪が、カバー本体部から係止孔に向けて突出した爪支持部と、爪支持部の先端部から突出して係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、係止状態維持手段が、係止孔の周縁部から係止孔内に向けて突出した弾性変形可能な弾性押え片を含み、係止爪の先端部が係止孔内に挿入されて、爪部が係止孔の周縁部に係止した状態で、弾性押え片が爪支持部に対して爪部とは反対側から当接可能な位置に設けられ、カバー本体部にネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、弾性押え片が前記係止爪の変形を抑制する例が説明される。図8は第2実施形態に係るカバー保持部150を示す斜視図であり、図9は第2実施形態に係るカバー160を示す斜視図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
第2実施形態では、係止状態維持手段170が、カバー本体部61にネット保持用ブラケットから離反する方向の力が作用したときに、係止爪166の変形を抑制する手段である例が説明される。
【0085】
第2実施形態では、上記係止孔56の周縁部から係止孔56内に向けて突出する弾性押え片156pが形成される(図8参照)。弾性押え片156pは、係止孔56の周縁部のうち一方の長辺部分の長手方向中間部から他方側の長辺部分に向けて突出する。弾性押え片156pの先端部と他方側の長辺部分との間には隙間が形成される。弾性押え片156pの厚みは、カバー保持本体部52の厚みより小さく、従って、弾性押え片156pの厚み方向に弾性変形することができる。
【0086】
係止孔56に係止する係止爪166は、上記第1実施形態における係止爪66と同様に、爪支持部66aに対応する爪支持部166aと、爪部66bに対応する爪部166bとを備える(図9参照)。
【0087】
係止爪166の先端部であって爪部166bとは反対側の部分に凹部166gが形成される。ここでは、凹部166gは、係止爪166の両側、基端側及び先端側の4方が囲まれた凹部である。凹部166gの幅は、上記弾性押え片156pの幅と同じか当該幅よりも(僅かに)大きい。係止爪166の突出方向における凹部166gの寸法は、弾性押え片156pの厚みよりも大きい。
【0088】
そして、図10に示すように、係止爪166の先端部が係止孔56内に挿入されて、爪部166bが係止孔56の周縁部に係止した状態で、弾性押え片156pが爪支持部166aに対して爪部166bとは反対側から当接可能な位置に設けられている。爪支持部166aが元の形状に戻って爪部166bが係止孔56の周縁部に係止している状態で、弾性押え片156pの先端部が爪支持部166aに接触していることが好ましいが、これは必須ではない。しかしながら、爪部166bと係止孔56の周縁部との接触状態が解除されるまで、爪支持部166aが弾性変形する前の状態で、弾性押え片156pの先端部が爪支持部166aに接触することが好ましい。換言すれば、弾性押え片156pの突出長と、凹部166gの深さは、上記のようないずれかの関係が成立する範囲に設定される。
【0089】
なお、係止爪166が係止孔56に挿入される際には、爪部166bが係止孔56の周縁部に接触する。これにより、係止爪166の先端部が爪部166bの突出方向とは逆方向に移動するように変形する。この際、係止爪166の先端部が弾性押え片156pに干渉する。しかしながら、係止爪166を強く押込んで、弾性押え片156p自体を弾性変形させれば、係止爪166が係止孔56の周縁部を乗越えて当該周縁部に係止することができる。
【0090】
本実施形態によると、係止爪166の先端部が係止孔56内に挿入されて、爪部166bが係止孔56の周縁部に係止した状態で、弾性押え片156pが爪支持部166aに対して爪部166bとは反対側から当接可能になる。このため、爪部166bと係止孔56の周縁部との係止を解除する方向に、爪支持部166aが弾性変形しようとすると、爪支持部166aが弾性押え片156pに接触し、それ以上の変形が抑制される。これにより、係止爪166が係止孔56から外れることが抑制される。係止爪166を係止孔56の周縁部に係止させる際には、弾性押え片156pを弾性変形させることによって、当該係止作業を容易に行える。
【0091】
また、仮に係止爪166が係止孔56から抜けようとしても、弾性押え片156pが凹部166gを囲む壁面のうち係止爪166の先端側の面に接触することができる。この点から、係止孔56からの係止爪166の抜けを抑制できる。
【0092】
本実施形態において、凹部166gは、4方が囲まれた凹みである必要は無い。図11及び図12に示すように、凹部166gに対応する凹部266gは、係止爪166の先端側に開口する溝形状の凹みであってもよい。この場合、係止爪166を係止孔56に挿入する際に、係止爪166の変形量を少なくすることができる。
【0093】
本第2実施形態では、第1実施形態における補強部71、74が省略された図が示された。しかしながら、当該第1実施形態における補強部71、74と、第2実施形態に係る上記構成とが併用されてもよい。
【0094】
係止爪166に凹部166g、266gが設けられることは必須ではない。爪支持部166aのうち爪部166bとは反対側の面が1つのフラットな面に形成され、弾性押え片156pが当該1つのフラットな面に接触する構成であってもよい。
【0095】
{第3実施形態}
第3実施形態に係るネット保持機構について説明する。第3実施形態では、記係止爪が、カバー本体部から係止孔に向けて突出した爪支持部と、爪支持部の先端部から突出して係止孔の周縁部に係止している爪部とを含み、係止状態維持手段が、係止爪に対して間隔をあけた位置で、カバー本体部から係止孔に向けて突出した別の爪支持部と、別の爪支持部の先端部から爪部とは反対側に突出して係止孔の周縁部に係止している別の爪部とを含む例が説明される。図13は第3実施形態に係るカバー360を示す斜視図であり、図14は第3実施形態に係るカバー保持部350を示す斜視図であり、図15は第3実施形態において係止爪66、366が係止孔356の周縁部に係止した状態を示す図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
第3実施形態では、係止爪66とは別に、係止状態維持手段として係止爪366が設けられた例が説明される。
【0097】
すなわち、カバー360には、係止爪66に対して間隔をあけた位置に係止爪366が設けられる。係止爪366は、爪支持部366aと、爪部366bとを含む。爪支持部366aは、係止爪66に対して間隔をあけて位置で、カバー本体部61から係止孔356に向けて突出している。より具体的には、爪支持部366aは、板状部62に対して直交しかつカバー本体部61の長辺方向に沿って延在する方形板状に形成されている。爪支持部66aと爪支持部366aとは、間隔をあけて並列姿勢で立設されている。爪支持部66aの突出寸法と爪支持部366aの突出寸法は同じである。爪部366bは、爪支持部366aの先端部から爪部66bとは反対側に突出している。このため、爪部366bは、爪部66bとは対向する位置で、係止孔356の周縁部に係止することができる。換言すれば、爪部66bと爪部366bは、係止孔356の周縁部のうち互いに対向する辺部分356gに係止することができる。係止爪66と係止爪366は、それらの間の境界面を挟んで鏡面対称構成とされていてもよい。
【0098】
カバー保持部350における係止孔56に対応する係止孔356に2つの係止爪66、366が係止する。このため、係止孔356のうち係止爪66、366が係止する一対の辺部分356gの間隔は、上記第1実施形態における同様箇所の間隔よりも大きく設定される。係止孔356のうち係止爪66、366が係止する一対の辺部分356gは、係止爪66、366の挿入方向に向けて内向き傾斜する形状に形成されることが好ましい(図15参照)。
【0099】
本カバー360を、カバー保持部350に取付ける際には、2つの係止爪66、366の先端部が1つの係止孔356に挿入され、係止爪66、366の先端部が互いに近づく方向に弾性変形する。そして、爪部66b、366bが係止孔356の周縁部の超えると、係止孔356の周縁部に係止する。
【0100】
本実施形態では、係止爪66、366における爪部66b、366bが互いに反対側に突出している。このため、係止爪66の爪部66bと係止孔356の周縁部との係止状態が解除されようとすると、別の爪部366bと係止孔356の周縁部との係止状態が維持され易い。逆に、別の爪部366bと係止孔356の周縁部との係止状態が解除されようとすると、係止爪66の爪部66bと係止孔356の周縁部との係止状態が維持され易い。換言すれば、互いに逆方向に係止する爪部66b、366bの係止を同時に解除させるような力は作用し難い。結果、係止爪66が係止孔356から外れることが抑制され、その係止状態が維持される。
【0101】
{第4実施形態}
第4実施形態に係るネット保持機構について説明する。第4実施形態では、前記係止状態維持手段が、少なくとも前記係止爪と前記係止孔の周縁部との係止状態を解除するように前記係止爪が弾性変形したときに、前記係止爪と係止して前記係止孔から抜ける方向への前記係止爪の移動を規制している例が説明される。図16は第4実施形態に係るカバー460を示す斜視図である。図17はカバー460をカバー保持部250に取付ける途中状態を示す説明図である。図18は第4実施形態において係止爪466が係止孔56の周縁部に係止した状態を示す図である。なお、本実施形態の説明において、いずれかの実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0102】
本実施形態では、係止状態維持手段470が、少なくとも係止爪466と係止孔56の周縁部との係止状態を解除するように係止爪466が弾性変形したときに、係止爪466と係止して係止孔56から抜ける方向への係止爪466の移動を規制する手段である場合が説明される。
【0103】
すなわち、カバー保持部250には、弾性抜止め片456pが形成される。弾性抜止め片456pは、第2実施形態で説明した弾性押え片156pと同様構成とすることができる。
【0104】
係止爪466は、爪支持部66aに対応する爪支持部466aと、爪部66bに対応する爪部466bとを含む。係止爪466の先端部における爪部466bの反対側には、爪部466bに向けて凹む凹部466gが形成される。凹部466gは、両側及び係止爪466の先端側及び基端側の四方が壁面によって囲まれた形状である。凹部466gの内壁面のうち係止爪466の先端側の面は、係止爪466の基端側を向く抜止め用接触面466fである。凹部は、係止爪の基端画を向く面を有してればよく、4方が囲まれた凹形状である必要は無い。
【0105】
係止爪466を係止孔56に挿入する際には、爪部466bが係止孔56の周縁部に接触することによって、係止爪466の先端部が爪部466bの突出方向とは逆側に弾性変形する。この際、係止爪466の先端部は、上記弾性抜止め片456pと干渉する。弾性抜止め片456pは、係止爪466の先端部に接触して弾性変形することができる(図17参照)。これにより、係止爪466は、爪部466bが係止孔56の周縁部を乗越えることができる程度には弾性変形することができる。
【0106】
爪部466bが係止孔56の周縁部を乗越えると、係止爪466が元の形状に戻り、爪部466bが係止孔56の周縁部に係止する(図18参照)。この状態では、弾性抜止め片456pは、係止爪466のうち凹部466gよりも先端側部分を乗越えて、凹部466g内に配置された状態となる。爪部466bが係止孔56の周縁部に係止した状態で、弾性抜止め片456pは、上記抜止め用接触面466fに接触していてもよいし、上記抜止め用接触面466fから離れていてもよい。
【0107】
また、爪部466bが係止孔56の周縁部に係止した状態で、弾性抜止め片456pの先端部は、凹部466g内に配置されず、爪部466bが係止孔56の周縁部との係止を解除されようとすると、弾性抜止め片456pの先端部が、凹部466g内に配置されて、抜止め用接触面466fに対向するようになってもよい。すなわち、少なくとも係止爪466と係止孔56の周縁部との係止状態を解除するように係止爪466が弾性変形したときに、弾性抜止め片456pが係止爪466と係止して係止孔56から抜ける方向への係止爪466の移動を規制すればよい。
【0108】
本実施形態によると、少なくとも係止爪466と係止孔56の周縁部との係止状態を解除するように係止爪466が弾性変形したときに、弾性抜止め片456pが係止爪466と係止して係止孔56から抜ける方向への係止爪466の移動を規制するため、係止爪466が係止孔56から外れることが抑制される。
【0109】
特に、係止爪466と係止孔56の周縁部とが係止している初期状態において、弾性抜止め片456pが凹部466g内に配設され、抜止め用接触面466fと対向する状態となっている。このため、係止爪466が外れるように変形するごく初期段階から、弾性抜止め片456pによる抜止め抑制効果が発揮される。
【0110】
本実施形態では、係止孔56の周縁部に弾性抜止め片456pが形成された例が示されたが、必ずしもその必要は無い。例えば、係止爪のうち爪部の突出方向とは反対側に追加突出部が形成され、係止孔56の周縁部から外れる方向に係止爪が変形すると、当該追加突出部が係止孔の周縁部に係止する構成であってもよい。
【0111】
{変形例}
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0112】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0113】
10 車両
16 ネット
18 引っ掛け部
22 ルーフサイドレール
24 ルーフヘッドライニング
24h 開口
30 ネット保持機構
40 ネット保持用ブラケット
42 ブラケット本体部
44 受部
46 ネット保持部
46h 引っ掛け孔
50、150、250、350 カバー保持部
52 カバー保持本体部
52h 開口
56、356 係止孔
57 位置決め孔
60、160、360、460 カバー
61 カバー本体部
61h 挿入孔
62 板状部
63 筒部
63p 抜止め片
66、166、366、466 係止爪
66a、166a、366a、466a 爪支持部
66b、166b、366b、466b 爪部
68 位置決め突出部
69p 延出部分
70、170、470 係止状態維持手段
71 補強部
74 補強部
80 カーテンエアバッグ
156p 弾性押え片
166g 凹部
266g 凹部
456p 弾性抜止め片
466f 抜止め用接触面
466g 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18