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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】作用部用減速部及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20231219BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
F16H1/32 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019218606
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021088834
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 健太
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-300130(JP,A)
【文献】特開2000-283107(JP,A)
【文献】特開2003-082707(JP,A)
【文献】特開2007-071397(JP,A)
【文献】実開平01-121748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20,22
E02F 3/42,43,84,85
F16H 1/28- 1/48
F16H 48/00-48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の本体部に取り付けられた2つの作用部を相対回転駆動させる作用部用減速部であって、
相対回転する第1部材及び第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され駆動部の動力を受けて回転する少なくとも1本のクランク軸と、
を備え、
前記第1部材は前記作用部の一方に固定され、
前記第2部材は前記作用部の他方に固定され、
前記クランク軸の少なくとも一部は、前記一方の作用部における前記第1部材及び前記第2部材側の端面よりも前記一方の作用部側に配置されている
作用部用減速部
【請求項2】
前記クランク軸を複数有し、
前記クランク軸によって動回転する外歯を有する外歯部材を 有し、
前記第1部材は、前記外歯と噛み合う内歯を有するケースであり、
前記第2部材は、前記クランク軸を回転自在に支持するとともに前記第1部材に軸受を介して回転自在に支持され、前記クランク軸によって前記ケースに対して減速回転するキャリアである
請求項に記載の作用部用減速部
【請求項3】
請求項1に記載の作用部用減速部が搭載された建設機械であって、
前記駆動部は、前記第1部材に固定されている
設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作用部用減速部が搭載された建設機械であって、
前記作用部は、
前記本体部に回転自在に支持された一方向に長いブームと、
前記ブームの前記本体部とは反対側で、かつ前記ブームにおける短手方向の側面に回 転自在に支持されたアームと、
前記アームの前記ブームとは反対側で前記ブームが配置された前記側面と同一側面に 回転自在に支持されたアタッチと、
を含み、
前記ブームの前記アーム側の端部で、かつ前記側面とは反対側に前記アームを駆動するアーム用の前記駆動部を固定し、
前記アタッチのうち前記アーム用の前記駆動部が固定されている側と同一側面にアタッチ用の前記駆動部が配置されている
設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作用部用減速部及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベル等の建設機械は、自走する走行体と、走行体に旋回自在に設けられた旋回体と、を備える。旋回体は、操作者が搭乗される操作室を備える。また、旋回体には、一端が回転自在(揺動自在)に連結された作用部が設けられている。作用部としては、例えば、ブームと、ブームの旋回体とは反対側の他端に回転自在に一端が連結されたアームと、アームのブームとは反対側の他端に回転自在に連結されたバケットと、が挙げられる。
【0003】
旋回体とブームとの連結部、ブームとアームとの連結部、及びアームとバケットとの連結部には、直動機構の油圧アクチュエータが設けられている場合が多い。油圧アクチュエータは、シリンダチューブと、シリンダチューブに対して出没するピストンロッドと、を備える。例えば、旋回体とブームとの連結部では、旋回体又はブームのいずれか一方にシリンダチューブを回転自在に取り付け、他方にピストンロッドの先端を回転自在に取り付けている。ブームとアームとの連結部、及びアームとバケットとの連結部も同様に油圧アクチュエータを取り付けている。このような構成のもと、シリンダチューブに対してピストンロッドを出没させることにより、ブーム、アーム、及びバケットが揺動される。
【0004】
ところで近年、建設機械の構造簡素化等の観点から電動化が望まれている。このため、油圧アクチュエータに代わってボールねじ式の減速装置を内蔵した直動機構の電動シリンダを用いる技術が開示されている。このボールねじ式の減速装置の建設機械への取り付け構成も油圧シリンダと同様である。すなわち、例えば旋回体又はブームのいずれか一方にシリンダを回転自在に取り付け、他方にピストンの先端を回転自在に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-82707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の従来技術では、ブーム等にシリンダやピストンを回転自在に支持する必要があるので、直動機構に加えて回転機構も併用していることになる。すなわち、ブーム等にシリンダやピストンを回転自在に支持するために、シャフトやシャフトを回転自在に支持するための軸受等を回転機構として用意し、この回転機構を介してブーム等にシリンダやピストンを回転自在に連結している。このように、直動機構と回転機構とを併用する分、建設機械の構造を簡素化しにくいという課題があった。
【0007】
本発明は、電動化に伴って構造を確実に簡素化できる作用部用減速部及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る建設機械は、自走する本体部と、前記本体部に取り付けられた作用部と、前記作用部の一部に設けられ前記一部を回転駆動させる減速機構部と、を備え、前記減速機構部は、減速部と、前記減速部を駆動する駆動部と、を備える。
【0009】
このように構成することで、作用部の一部を回転駆動させる減速機構部だけで、つまり、回転機構だけで作用部を揺動させることができる。このため、建設機構を電動化するのに伴い、建設機構の構造を確実に簡素化できる。
【0010】
上記構成で、前記減速部は、同一の第1回転軸線回りに相対回転する第1部材及び第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記駆動部の動力を受けて前記第1回転軸線に沿う第2回転軸線を中心に回転する少なくとも1本のクランク軸と、を備え、前記クランク軸の回転を減速して第2部材に伝達し、前記第1部材に対して前記第2部材を減速回転させる偏心揺動型の減速部でもよい。
【0011】
上記構成で、前記クランク軸を複数有し、前記クランク軸によって前記第1回転軸線回りに揺動回転する外歯を有する外歯部材を有し、前記第1部材は、前記外歯と噛み合う内歯を有するケースであり、前記第2部材は、前記クランク軸を回転自在に支持するとともに前記第1部材に軸受を介して回転自在に支持され、前記クランク軸によって前記ケースに対して減速回転するキャリアでもよい。
【0012】
上記構成で、前記駆動部は、前記第1部材に固定されてもよい。
【0013】
上記構成で、前記作用部は、前記本体部に回転自在に支持されたブームと、前記ブームの前記本体部とは反対側に回転自在に支持されたアームと、前記アームの前記ブームとは反対側に回転自在に支持されたアタッチと、を含み、前記本体部に第1の前記減速機構部を介して前記ブームが設けられており、前記ブームに前記第1の前記減速機構部よりも伝達トルク容量の小さい第2の前記減速機構部を介して前記アームが設けられており、前記アームに前記第2の前記減速機構部よりも伝達トルクの小さい第3の前記減速機構部を介して前記アタッチが設けられてもよい。
【0014】
上記構成で、前記作用部は、前記本体部に回転自在に支持されたブームと、前記ブームの前記本体部とは反対側に回転自在に支持されたアームと、前記アームの前記ブームとは反対側に回転自在に支持されたアタッチと、を含み、前記本体部に第1の前記減速機構部を介して前記ブームが設けられており、前記ブームに前記第1の前記減速機構部の重量よりも軽い重量の第2の前記減速機構部を介して前記アームが設けられており、前記アームに前記第2の前記減速機構部の重量よりも重量の軽い第3の前記減速機構部を介して前記アタッチが設けられてもよい。
【0015】
上記構成で、各前記減速機構部は、前記減速部の回転軸線が同一方向に沿うように配置されてもよい。
【0016】
上記構成で、前記本体部は、前記作用部を回転自在に支持する支持部を有し、前記作用部は、前記支持部に側面が回転自在に支持されたブームと、前記ブームの前記本体部とは反対側で、かつ前記側面に回転自在に支持されたアームと、前記アームの前記ブームとは反対側に回転自在に支持されたアタッチと、を含んでもよい。
【0017】
上記構成で、前記作用部は、前記本体部に回転自在に支持された一方向に長いブームと、前記ブームの前記本体部とは反対側で、かつ前記ブームにおける短手方向の側面に回転自在に支持されたアームと、前記アームの前記ブームとは反対側で前記ブームが配置された前記側面と同一側面に回転自在に支持されたアタッチと、を含んでもよい。
【0018】
上記構成で、前記本体部は、自走する走行体と、前記走行体に対して旋回する旋回体と、前記旋回体に設けられ前記作用部と水平方向に並んで配置された操作室と、を含み、前記駆動部は、前記作用部の前記操作室側の側面に配置されてもよい。
【0019】
上記構成で、前記本体部は、自走する走行体と、前記走行体に対して旋回する旋回体と、前記旋回体に設けられ前記作用部と水平方向に並んで配置された操作室と、を含み、前記駆動部は、前記作用部の前記操作室とは反対側の側面に配置されてもよい。
【0020】
本発明の他の態様に係る建設機械は、自走する本体部と、減速部及び前記減速部を駆動する駆動部を有する減速機構部と、前記本体部に第1の前記減速機構部を介して回転自在に支持されたブームと、前記ブームに前記第1の前記減速機構部よりも伝達トルク容量の小さい第2の前記減速機構部を介して回転自在に支持されたアームと、前記アームに前記第2の前記減速機構部よりも伝達トルクの小さい第3の前記減速機構部を介して回転自在に支持されたアタッチと、を備える。
【0021】
このように構成することで、本体部に対するブームの揺動動作、ブームに対するアームの揺動動作、及びアームに対するアタッチの揺動動作を、各減速機構部だけで、つまり、回転機構だけで行うことができる。このため、建設機構を電動化するのに伴い、建設機構の構造を確実に簡素化できる。
【0022】
上記構成で、各前記減速機構部は、前記減速部の回転軸線が同一方向に沿うように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
上述の作用部用減速部及び建設機械は、電動化に伴って構造を確実に簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態におけるショベルを側面からみた概略構成図。
図2】本発明の実施形態におけるショベルを上方からみた概略構成図。
図3】本発明の実施形態における第1減速機構部の断面図。
図4図3のA-A線に沿う断面図。
図5】本発明の実施形態の第1変形例におけるショベルを上方からみた概略構成図。
図6】本発明の実施形態の第2変形例における作用部を上方からみた概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
<ショベル>
図1は、本発明の建設機械に係る実施形態のショベル100を側面からみた概略構成図である。なお、以下の説明では、ショベル100を操作する図示しない操作者が向いている前方を単に前方、前方とは水平方向反対側を後方と称する。路面にショベル100を配置した状態での上下方向を単に上下方向と称する。前後方向及び上下方向に直交する方向を車幅方向と称する。図1では、ショベル100を車幅方向からみた状態を示している。
【0027】
図1に示すように、ショベル(請求項の建設機械の一例)100は、自走する走行体(請求項の本体部、走行体の一例)101と、走行体101の上部に旋回機構102を介して設けられ、走行体101に対して旋回する旋回体(請求項の本体部、旋回体の一例)103と、旋回体103上に設けられた作用部104と、を備える。走行体101及び旋回機構102は、例えば図示しない減速機付き電動モータにより駆動される。走行体101は、例えば車幅方向に並ぶ2つのキャタピラ105を備える。しかしながらこれに限られるものではなく、キャタピラ105に代わって車輪等を用いてもよい。
【0028】
図2は、ショベル100を上方からみた概略構成図である。
旋回体103の前方側で、かつ一側の偏った位置には、操作室106が設けられている。この操作室106で操作者がショベル100を操作する。旋回体103の前方側で、かつ車幅方向略中央には、操作室106に隣り合うように、板状の支持部107が設けられている。この支持部107に、作用部104が取り付けられている。
【0029】
作用部104は、前後方向に長いブーム108及びアーム109と、バケット(請求項のアタッチの一例)110と、を備える。これらブーム108、アーム109、及びバケット110は、3つの減速機構部1,2,3(第1減速機構部1、第2減速機構部2、第3減速機構部3)を介して回転自在に連結されている。
【0030】
具体的には、支持部107に、第1減速機構部1を介してブーム108の長手方向一端108aが回転自在に連結されている。ブーム108の長手方向他端108bに、第2減速機構部2を介してアーム109の長手方向一端109aが回転自在に連結されている。アーム109の長手方向他端109bに、第3減速機構部3を介してバケット110が回転自在に連結されている。また、ブーム108は、支持部107の厚さ方向で操作室106とは反対側の側面107aに取り付けられている。アーム109は、ブーム108の短手方向で操作室106とは反対側の第1側面108cに取り付けられている。バケット110は、アーム109の短手方向で操作室106側の第1側面109cに取り付けられている。
【0031】
<第1減速機構部>
図3は、第1減速機構部の断面図である。
各減速機構部1~3の基本的構成は同一である。このため以下では、各減速機構部1~3のうち、第1減速機構部1についてのみ説明し、第2減速機構部2及び第3減速機構部3についての説明は基本的に省略し、必要に応じて説明する。
図3に示すように、第1減速機構部1は、電動モータ(請求項の駆動部の一例)22と、電動モータ22のモータ軸22aの回転を減速して出力する減速部10と、を備える。
【0032】
<電動モータ>
図4は、図3のA-A線に沿う断面図である。
図3図4に示すように、電動モータ22は、ブーム108の第1側面108cにボルト120によって締結固定されている。ブーム108には、電動モータ22に対応する位置にブーム108の短手方向に貫通する貫通孔111が形成されている。この貫通孔111に、電動モータ22のモータ軸22aが挿入されている。モータ軸22aは、支持部107側に向かって突出されている。モータ軸22aの軸線は、支持部107に対するブーム108の回転軸線(請求項の第1回転軸線の一例)C1と一致している。なお、以下の説明では、回転軸線C1方向を単に軸方向、モータ軸22aの径方向を単に径方向、モータ軸22aの回転方向を周方向と称する。
【0033】
<減速部>
減速部10は、ブーム108の第1側面108cとは反対側(操作室106側)の第2側面108dに固定されている。減速部10は、回転軸線C1方向で電動モータ22と並んで配置されている。減速部10の回転軸線も軸方向と一致している。
減速部10は、円筒状のケース11と、ケース11の径方向内側に配置されたキャリア14と、キャリア14を回転させる駆動力を付与する入力軸16と、入力軸16の回転数に対して所定の比率で減速された回転数でキャリア14を回転させる減速出力部18(図5参照)と、を備える。
【0034】
<ケース>
ケース11の外周面には、径方向外側に張り出す外フランジ部11aが一体成形されている。外フランジ部11aは、軸方向に沿う断面が四角形状に形成されている。軸方向で外フランジ部11aのブーム108側の端面11bに、ブーム108の第2側面108dが重ね合わされている。そして、ボルト121によって、ブーム108にケース11が締結固定されている。ケース11の内周面には、内歯24が設けられている。内歯24は、ケース11の内周面に設けられたピン状(円柱状)の歯である。内歯24は、周方向に等間隔をあけて複数配置されている。
【0035】
<キャリア>
キャリア14は、軸方向に間隔をおいて配置された一対の主軸受(請求項の軸受の一例)26によってケース11に回転自在に支持されている。主軸受26は、例えばアンギュラ玉軸受である。キャリア14は、ケース11及び回転軸線C1と同軸上に配置されている。
【0036】
キャリア14は、軸方向でブーム108側に配置された円板状の端板部30と、軸方向で支持部107側に配置された円板状の基板部32と、基板部32と一体成形され基板部32から端板部30に向かって突出された円柱状の3つの柱部33と、を備える。
柱部33は、周方向に等間隔で配置されている。柱部33と端板部30とは、柱部33の先端面が端板部30に重ね合わされた状態でボルト34によって互いに締結固定されている。この状態で、基板部32と端板部30との間には、軸方向に所定幅を有する空間が形成されている。
【0037】
柱部33には、ボルト34が締め付けられるボルト締結孔33aが形成されている。端板部30を挟んで柱部33とは反対側からボルト挿入孔30aに挿入されたボルト34は、柱部33のボルト締結孔33aに締め付けられている。ボルト34よりも若干径方向内側には、基板部32に対して端板部30を位置決めするピン36が設けられている。ピン36は、柱部33と端板部30とに跨るように配置されている。
なお、柱部33を基板部32と一体に形成しなくてもよい。この場合、柱部33は基板部32と締結される。また、柱部33は、円柱状に限られるものではない。柱部33によって、基板部32と端板部30との間に、軸方向に所定幅を有する空間が形成されればよい。
【0038】
基板部32の端板部30とは反対側の面32cには、支持部107の側面107aが重ね合わされている。この状態で、基板部32は、支持部107の側面107aにボルト122によって締結固定されている。
また、端板部30及び基板部32には、減速出力部18の後述するクランク軸46が挿入される貫通孔30c,32bがそれぞれ複数(例えば、本実施形態では3つ)形成されている。貫通孔30c,32bは、周方向に等間隔で配置されている。
さらに、端板部30及び基板部32の径方向中央には、軸方向に貫通する貫通孔30b,32aが形成されている。これら貫通孔30b,32aに、入力軸16が挿入される。入力軸16は、ケース11及び回転軸線C1と同軸上に配置されている。
【0039】
入力軸16の電動モータ22側の基端部16aは、モータ軸22aに結合されている。これにより、モータ軸22aと一体となって入力軸16が回転される。
入力軸16の電動モータ22とは反対側(支持部107側)の先端部16bは、基板部32の貫通孔32a内に配置されている。入力軸16の先端部16bには、外歯車からなる駆動歯車42が一体的に設けられている。
【0040】
<減速出力部>
このようなキャリア14を回転させる減速出力部18は、入力軸16の回転数に対して所定の比率で減速された回転数でキャリア14を回転させる。減速出力部18は、駆動歯車42と噛合う複数(例えば、本実施形態では3つ)の伝達歯車44と、伝達歯車44に一端が固定された複数(例えば、本実施形態では3つ)のクランク軸46と、クランク軸46の回転に伴って揺動回転する第1外歯歯車(請求項の外歯部材の一例)48a及び第2外歯歯車(請求項の外歯部材の一例)48bと、を備える。
【0041】
クランク軸46の一端に伝達歯車44が固定されているので、クランク軸46には伝達歯車44を介してモータ軸22aの回転が伝達される。
クランク軸46は、入力軸16と平行に配置されている。つまり、クランク軸46は、回転軸線C1と平行なクランク回転軸線(請求項の第2回転軸線の一例)C20を中心に回転する。クランク軸46は、第1クランク軸受51を介して端板部30に回転自在に支持されている。また、クランク軸46は、第2クランク軸受52を介して基板部32に回転自在に支持されている。第1クランク軸受51及び第2クランク軸受52は、例えば円錐ころ軸受である。
【0042】
クランク軸46の軸方向中央には、クランク軸46の軸心から偏心された第1偏心部46a及び第2偏心部46bが形成されている。第1偏心部46a及び第2偏心部46bは、第1クランク軸受51と第2クランク軸受52との間で軸方向に互いに隣接して配置されている。第1偏心部46aは、第1クランク軸受51に隣接している。第2偏心部46bは、第2クランク軸受52に隣接している。また、第1偏心部46a及び第2偏心部46bは、互いに位相角がずれている。
【0043】
このようなクランク軸46が、端板部30及び基板部32の各貫通孔30c,32bに挿入されている。すなわち、クランク軸46も貫通孔30c,32bと同様に周方向に等間隔で配置されている。
【0044】
また、クランク軸46の第1偏心部46aには、第1ころ軸受55aが取り付けられている。第2偏心部46bには、第2ころ軸受55bが取り付けられている。第1ころ軸受55aは、例えば円筒ころ軸受である。第1ころ軸受55aは、複数のころ56と、複数のころ56を保持する保持器57と、を有する。第2ころ軸受55bは、第1ころ軸受55aと同様の構成を有するため、その詳細な説明については省略する。各ころ軸受55a,55bを介し、クランク軸46の回転に伴って第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bが揺動回転される。
【0045】
第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bは、キャリア14の基板部32と端板部30との間の空間に配置されている。第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bは、ケース11の内歯24に噛合う外歯49a,49bを有する。
第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bには、入力軸16が挿入される第1貫通孔48cと、柱部33が挿入される第2貫通孔48dと、クランク軸46の偏心部46a,46bが挿入される第3貫通孔48eと、が形成されている。
【0046】
第1外歯歯車48aの第3貫通孔48eに、クランク軸46の第1偏心部46aと第1ころ軸受55aとが挿入される。第2外歯歯車48bの第3貫通孔48eに、クランク軸46の第2偏心部46bと第2ころ軸受55bとが挿入される。これにより、クランク軸46の回転によって第1及び第2偏心部46bが揺動回転するのに伴い、第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bがケース11の内歯24に噛み合いながら揺動回転される。
【0047】
第1クランク軸受51と第1ころ軸受55aとの間には、第1ワッシャ59が設けられている。第1ワッシャ59は、クランク軸46の外周面に嵌め合わされている。第1ワッシャ59は、第2偏心部46bと反対側の第1偏心部46aの端面に配置されている。
第2クランク軸受52と第2ころ軸受55bとの間には、第2ワッシャ60が設けられている。第2ワッシャ60は、クランク軸46の外周面に嵌め合わされている。第2ワッシャ60は、第1偏心部46aとは反対側の第2偏心部46bの端面に配置されている。第2ワッシャ60の外径は、第1ワッシャ59の外径と同じである。
【0048】
<第2減速機構部及び第3減速機構部の配置>
上述したように、第2減速機構部2及び第3減速部機構部3の基本的構成は、第1減速機構部1の構成と同一である。しかしながら、第2減速機構部2及び第3減速部機構部3の取り付け向きは、第1減速機構部1と異なる。以下、図3を援用し図2に基づいて、第2減速機構部2及び第3減速機構部3の配置について説明する。
【0049】
まず、第2減速機構部2の配置について説明する。
なお、第2減速機構部2及び第3減速機構部3の符号、及びこれら減速機構部2,3を固定するためのボルトの符号は、前述の第1減速機構部1の符号と同一符号を付して説明する。
第2減速機構部2では、電動モータ22は、ブーム108の第2側面108dにボルト120によって締結固定されている。すなわち、第2減速機構部2の電動モータ22は、ブーム108から操作室106側に向かって突出されている。
【0050】
また、第2減速機構部2のケース11に一体成形されている外フランジ部11aには、ブーム108側の端面11bに、ブーム108の第1側面108cが重ね合わされている。そして、ボルト121によって、ブーム108にケース11が締結固定されている。
さらに、第2減速機構部2における基板部32の端板部30とは反対側の面32cには、アーム109の第1側面109cが重ね合わされている。この状態で、基板部32は、アーム109の第1側面109cにボルト122によって締結固定されている。
【0051】
次に、第3減速機構部3の配置について説明する。
第3減速機構部3では、電動モータ22は、バケット110に設けられた取付ステー112の操作室106側の第1側面112aにボルト120によって締結固定されている。すなわち、第3減速機構部3の電動モータ22は、アーム109から操作室106側に向かって突出されている。
【0052】
また、第3減速機構部3のケース11に一体成形されている外フランジ部11aには、バケット110の取付ステー112側の端面11bに、取付ステー112の第1側面112aとは反対側の第2側面112bが重ね合わされている。そして、ボルト121によって、バケット110にケース11が締結固定されている。
さらに、第3減速機構部3における基板部32の端板部30とは反対側の面32cには、アーム109の第1側面109cが重ね合わされている。この状態で、基板部32は、アーム109の第1側面109cにボルト122によって締結固定されている。
【0053】
ここで、第2減速機構部2におけるモータ軸22aの軸線は、ブーム108に対するアーム109の回転軸線C2と一致している。第3減速機構部3におけるモータ軸22aの軸線は、アーム109に対するバケット110の回転軸線C3と一致している。すなわち、各減速機構部1~3は、各回転軸線C1~C3が平行になるように配置されている。
【0054】
<作用部の動作>
次に、作用部104の動作について説明する。
まず、第1減速機構部1を駆動させた場合について説明する。
第1減速機構部1の電動モータ22を駆動させると、モータ軸22aと一体となって入力軸16が駆動される。すると、入力軸16の回転により駆動歯車42を介して伝達歯車44が回転される。これにより、クランク軸46が伝達歯車44と一体的にクランク回転軸線C20を中心に回転する。
【0055】
クランク軸46が回転すると、第1偏心部46aの揺動に伴って第1外歯歯車48aが内歯24に噛み合いながら回転し、第2偏心部46bの揺動に伴って第2外歯歯車48bが内歯24に噛み合いながら回転する。つまり、クランク軸46は、クランク回転軸線C20を中心に回転するとともに、回転軸線C1回りに公転する。
【0056】
本実施形態では、両外歯歯車48a,48bの第2貫通孔48dを貫通している柱部33は基板部32と一緒に定位置に固定されている。これにより、ケース11に対してキャリア14が入力軸16よりも減速された回転数で回転される。ここで、キャリア14の基板部32は支持部107に締結固定されているので、キャリア14に対してケース11が入力軸16よりも減速された回転数で回転される。ケース11はブーム108がボルト121によって締結固定されているので、ブーム108が回転軸線C1を中心に回転する。つまり、旋回体103に対してブーム108が揺動される。
【0057】
第2減速機構部2及び第3減速機構部3の電動モータ22を駆動させた場合も、上述と同様の動作でアーム109及びバケット110が揺動される。すなわち、第2減速機構部2の電動モータ22を駆動させると、ブーム108に対してアーム109が揺動される。第3減速機構部3の電動モータ22を駆動させると、アーム109に対してバケット110が揺動される。
【0058】
ここで、第1減速機構部1によってブーム108を揺動させる場合、ブーム108の長手方向他端108bに連結されているアーム109及び第2減速機構部2と、アーム109の長手方向他端109bに連結されているバケット110及び第3減速機構部3と、の重量も作用する。第2減速機構部2によってアーム109を揺動させる場合、アーム109の長手方向他端109bに連結されているバケット110及び第3減速機構部3の重量も作用する。第3減速機構部3によってバケット110を揺動させる場合、このバケット110の重量のみ作用する。
【0059】
このため、3つの減速機構部1~3のうち、第1減速機構部1の伝達トルク容量を最も大きくしている。第2減速機構部2の伝達トルク容量は、第1減速機構部1の伝達トルク容量よりも小さくしている。3つの減速機構部1~3のうち、第3減速機構部3の伝達トルク容量を最も小さくしており、第3減速機構部3の伝達トルク容量は、第2減速機構部2の伝達トルク容量よりも小さい。換言すれば、3つの減速機構部1~3のうち、第1減速機構部1の体格が最も大きく、かつ重量も最も重くなる。第2減速機構部2の体格は、第1減速機構部1の体格よりも小さい。また、第2減速機構部2の重量は、第1減速機構部1の重量よりも軽い。3つの減速機構部1~3のうち、第3減速機構部3の体格が最も小さく、かつ重量も最も軽い。
【0060】
このように、上述の実施形態では、自走するショベル100の旋回体103に設けられたブーム108、アーム109、及びバケット110を減速機構部1~3を介して連結している。このため、各減速機構部1~3だけで、つまり、回転機構だけでブーム108、アーム109、及びバケット110を揺動させることができる。このため、ショベル100を電動化するのに伴い、ショベル100の構造を確実に簡素化できる。
【0061】
また、減速機構部1~3の減速部10は、円筒状のケース11と、ケース11の径方向内側に配置されたキャリア14と、キャリア14を回転させる駆動力を付与する入力軸16と、入力軸16の回転数に対して所定の比率で減速された回転数でキャリア14を回転させる減速出力部18と、を備える。減速出力部18は、複数のクランク軸46と、クランク軸46の回転に伴って揺動回転する第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bと、を備える。このため、減速機構部1~3によって高い減速比で高出力を得ることができるので、減速機構部1~3の小型化を図りつつ、ブーム108、アーム109、及びバケット110を無理なく動作させることができる。
【0062】
しかも、減速機構部1~3のキャリア14は、軸方向に間隔をおいて配置された一対の主軸受26によってケース11に回転自在に支持されている。つまり、減速機構部1~3に設けられた主軸受26によってブーム108に対してアーム109を回転自在に支持できるとともに、アーム109に対してバケット110を回転自在に支持できる。このため、減速機構部1~3とは別に各部を回転自在に支持するための軸受を必要とせず、ショベル100の構造をさらに簡素化できる。
【0063】
また、第2減速機構部2では、ブーム108側に電動モータ22が取り付けられている。ブーム108に対してアーム109を揺動させる際、ブーム108は定位置のままでアーム109が回転される。つまり、定位置のまま移動しないブーム108側に電動モータ22を取り付けることにより、アーム109を揺動させる際に電動モータ22の重量が影響されることがなく、アーム109を揺動させる際のイナーシャを低減できる。
【0064】
しかも、第2減速機構部2では、ブーム108から操作室106側に向かって電動モータ22が突出された形になるので、操作室106から第2減速機構部2の電動モータ22を視認しやすい。このため、操作者がショベル100を操作する際、第2減速機構部2の電動モータ22を不用意にぶつけてしまうようなことがなく、電動モータ22の損傷を抑制できる。
これは、第3減速機構部3の電動モータ22も同様である。第3減速機構部3の電動モータ22もアーム109から操作室106側に向かって突出されているので、電動モータ22の損傷を抑制できる。
【0065】
また、各減速機構部1~3の取り付け箇所に応じて、各減速機構部1~3の伝達トルク容量、体格、重量を変化させている。すなわち、作用部104の前方に向かうに従って各減速機構部1~3の伝達トルク容量、体格、重量を小さくさせている。このため、各減速機構部1~3を不必要に大型化することなく、作用部104全体として小型化できる。
【0066】
各減速機構部1~3は、各回転軸線C1~C3が平行になるように配置されている。このため、作用部104を構成するブーム108、アーム109、及びバケット110を同一方向(回転軸線C1~C3と直交する前後方向)に揺動させることができ、ショベル100の操作性を向上できる。
【0067】
作用部104を構成するブーム108は、支持部107の厚さ方向で操作室106とは反対側の側面107aに取り付けられている。アーム109は、ブーム108の短手方向で操作室106とは反対側の第1側面108cに取り付けられている。バケット110は、アーム109の短手方向で操作室106側の第1側面109cに取り付けられている。すなわち、ブーム108を挟んで操作室106とは反対側にアーム109が配置されている。このため、操作者は、操作室106側にアーム109が配置される場合と比較してアーム109による圧迫感が低減される。このため、ショベル100の操作性を向上できる。
【0068】
なお、上述の実施形態では、各減速機構部1~3は、ブーム108やバケット110の取付ステー112を介してケース11に電動モータ22を締結固定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、キャリア14に電動モータ22を締結固定してもよい。この場合、キャリア14にブーム108やバケット110の取付ステー112を固定し、これらブーム108や取付ステー112を介してキャリア14に電動モータ22を締結固定する。一方、ケース11に、支持部107やアーム109を締結固定する。
【0069】
[第1変形例]
次に、図5に基づいて実施形態の第1変形例について説明する。
図5は、第1変形例におけるショベル100を上方からみた概略構成図である。なお、実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の変形例も同様)。
上述の実施形態と変形例との相違点は、ブーム108、アーム109、及びバケット110の位置が異なる点、第2減速機構部2及び第3減速機構部3の向きが異なる点にある。
【0070】
具体的には、第1変形例では、アーム109は、ブーム108の短手方向で操作室106側の第2側面108dに取り付けられている。バケット110は、アーム109の短手方向で操作室106とは反対側の第2側面109dに取り付けられている。
【0071】
第2減速機構部2では、電動モータ22は、ブーム108の第1側面108cにボルト120によって締結固定されている。すなわち、第2減速機構部2の電動モータ22は、ブーム108から操作室106とは反対側に向かって突出されている。
また、第2減速機構部2のケース11に一体成形されている外フランジ部11aには、ブーム108側の端面11bに、ブーム108の第2側面108dが重ね合わされている。そして、ボルト121によって、ブーム108にケース11が締結固定されている。
さらに、第2減速機構部2における基板部32の端板部30とは反対側の面32cには、アーム109の第2側面109dが重ね合わされている。この状態で、基板部32は、アーム109の第2側面109dにボルト122によって締結固定されている。
【0072】
一方、第3減速機構部3では、電動モータ22は、バケット110に設けられた取付ステー112の第2側面112bにボルト120によって締結固定されている。すなわち、第3減速機構部3の電動モータ22は、アーム109から操作室106とは反対側に向かって突出されている。
また、第3減速機構部3のケース11に一体成形されている外フランジ部11aには、バケット110の取付ステー112側の端面11bに、取付ステー112の第1側面112aが重ね合わされている。そして、ボルト121によって、バケット110にケース11が締結固定されている。
さらに、第3減速機構部3における基板部32の端板部30とは反対側の面32cには、アーム109の第2側面109dが重ね合わされている。この状態で、基板部32は、アーム109の第2側面109dにボルト122によって締結固定されている。
【0073】
したがって、上述の第1変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
また、アーム109は、ブーム108の短手方向で操作室106側の第2側面108dに取り付けられている。バケット110は、アーム109の短手方向で操作室106とは反対側の第2側面109dに取り付けられている。そして、第2減速機構部2では、ブーム108から操作室106とは反対側に向かって電動モータ22が突出された形になる。第3減速機構部3では、アーム109から操作室106とは反対側に向かって電動モータ22が突出された形になる。このため、操作室106からの視界が電動モータ22によって妨げられてしまうことを抑制できる。よって、ショベル100の操作性を向上できる。
【0074】
[第2変形例]
次に、図6に基づいて実施形態の第2変形例について説明する。
図6は、第2変形例における作用部104を上方からみた概略構成図である。
図6に示すように、実施形態と第2変形例との相違点は、実施形態の作用部104は、ブーム108の第1側面108cにアーム109が配置されブーム108に対してアーム109が片持ち支持されているのに対し、第2変形例ではブーム108に対してアーム109が両持ち支持されている点にある。また、実施形態の作用部104は、アーム109の第1側面109cにバケット110が配置されアーム109に対してバケット110が片持ち支持されているのに対し、第2変形例ではアーム109に対してバケット110が両持ち支持されている点にある。
【0075】
具体的には、第2変形例では、ブーム108を支持するための2つの支持部207a,207b(第1支持部207a、第2支持部207b)を備える。2つの支持部207a,207bは、ブーム108における長手方向一端108a側の両側面108c,108dに配置されている。2つの支持部207a,207bによって、ブーム108の長手方向一端108aが回転自在に支持(両持ち支持)されている。2つの支持部207a,207bのうち、ブーム108を挟んで操作室106とは反対側(図6における右側)に配置された第2支持部207bに第1減速機構部1の電動モータ22が固定されている。また、第2支持部207bとブーム108との間に、第1減速機構部1の減速部10が配置されている。
【0076】
ブーム108の長手方向他端108bには、2つのブーム支持部208a,208b(第1ブーム支持部208a、第2ブーム支持部208b)がブーム108の長手方向に沿って突出して設けられている。2つのブーム支持部208a,208bの間に、アーム109の長手方向一端109aが配置されている。2つのブーム支持部208a,208bによって、アーム109の長手方向一端109aが回転自在に支持(両持ち支持)されている。2つのブーム支持部208a,208bのうちのいずれか一方(図6では、図中右側の第2ブーム支持部208b)に、第2減速機構部2の電動モータ22が固定されている。また、2つのブーム支持部208a,208bのうちのいずれか一方(図6では、図中右側の第2ブーム支持部208b)とアーム109との間に、第2減速機構部2の減速部10が配置されている。なお、図6中左側の第1ブーム支持部208aに電動モータ22が固定され、第1ブーム支持部208aとアーム109との間に減速部10が配置されてもよい。
【0077】
バケット110の取付ステー112には、2つのバケット支持部212a,212b(第1バケット支持部212a、第2バケット支持部212b)がアーム109の長手方向に沿って突出して設けられている。2つのバケット支持部212a,212bの間に、アーム109の長手方向他端109bが配置されている。アーム109の長手方向他端109bに、2つのバケット支持部212a,212bが回転自在に支持されている。2つのバケット支持部212a,212bのうちのいずれか一方(図6では、図中右側の第2バケット支持部212b)に、第3減速機構部3の電動モータ22が固定されている。また、2つのバケット支持部212a,212bのうちのいずれか一方(図6では、図中右側の第2バケット支持部212b)とアーム109との間に、第3減速機構部3の減速部10が配置されている。なお、図6中左側の第1バケット支持部212aに電動モータ22が固定され、第1バケット支持部212aとアーム109との間に減速部10が配置されてもよい。
【0078】
したがって、上述の第2変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
また、ブーム108に対してアーム109が両持ち支持されているとともにアーム109に対してバケット110が両持ち支持されている。このため、前述の実施形態と比較して支持部207a,207bとブーム108との連結部、ブーム108(ブーム支持部208a,208b)とアーム109との連結部、及びアーム109とバケット110(バケット支持部212a,212b)との連結部の強度を高めることができる。また、作用部104の動作を安定させることができる。
【0079】
なお、本発明は上述の実施形態及び各変形例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば上述の実施形態及び各変形例では、建設機械はショベル100である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ブルドーザ、モータグレーダ、フォークリフト、ホイールローダ等さまざまな建設機械に上記の減速機構部1~3の構成を採用することができる。建設機械の用途の応じ、バケット110に代えて、さまざまな工具(フック等、さまざまなアタッチ)を取り付けることが可能である。
【0080】
上述の実施形態及び各変形例では、自走する走行体101と、走行体101の上部に旋回機構102を介して設けられ、走行体101に対して旋回する旋回体103と、を備える場合について説明した。そして、このような旋回体103上に、作用部104を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、自走する車体(本体部)であればよく、この車体上に作用部104が設けられていればよい。
【0081】
上述の実施形態及び各変形例では、減速機構部1~3の減速部10は、円筒状のケース11と、ケース11の径方向内側に配置されたキャリア14と、キャリア14を回転させる駆動力を付与する入力軸16と、入力軸16の回転数に対して所定の比率で減速された回転数でキャリア14を回転させる減速出力部18と、を備える場合について説明した。減速出力部18は、複数のクランク軸46と、クランク軸46の回転に伴って揺動回転する第1外歯歯車48a及び第2外歯歯車48bと、を備えるいわゆる偏心揺動型の減速部である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速部10は、同一の回転軸線C1回りに相対回転する第1部材(例えばケース11)及び第2部材(例えばキャリア14)と、第1部材と第2部材との間に配置され、前記駆動部の動力を受けて前記第1回転軸線に沿う第2回転軸線を中心に回転する少なくとも1本のクランク軸(例えばクランク軸46)と、を備え、クランク軸の回転を減速して第2部材に伝達し、第1部材に対して第2部材を減速回転させる偏心揺動型の減速部であればよい。
【0082】
上述の実施形態及び各変形例では、各減速機構部1~3は、各回転軸線C1~C3が平行になるように配置されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、各回転軸線C1~C3は完全に平行でなくてもよい。各減速機構部1~3の回転軸線は、同一方向に沿っていればよい。
上述の実施形態及び各変形例では、作用部104は、ブーム108、アーム109、及びバケット110で構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、作用部104の少なくとも一部が減速機構部1~3を介して回転自在(揺動自在)に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0083】
1…第1減速機構部(減速機構部、第1の減速機構部)、2…第2減速機構部(減速機構部、第2の減速機構部)、3…第3減速機構部(減速機構部、第3の減速機構部)、10…減速部、11…ケース(第1部材)、14…キャリア(第2部材)、22…電動モータ(駆動部)、26…主軸受(軸受)、46…クランク軸、48a…第1外歯歯車(外歯歯車)、48b…第2外歯歯車(外歯歯車)、49a,49b…外歯、100…ショベル(建設機械)、101…走行体(本体部)、103…旋回体(本体部)、104…作用部、106…操作室、107…支持部、107a…側面、108…ブーム、108c,109c…第1側面(側面)、108d,109d…第2側面(側面)、109…アーム、110…バケット(アタッチ)、112…取付ステー、112a…第1側面、112b…第2側面、207a…第1支持部(支持部)、207b…第2支持部(支持部)、208a…第1ブーム支持部(ブーム)、208b…第2ブーム支持部(ブーム)、212a…第1バケット支持部(アタッチ)、212b…第2バケット支持部(アタッチ)、C1~C3…回転軸線(第1回転軸線)、C20…クランク回転軸線(第2回転軸線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6