(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】被覆マンドレルパッケージ
(51)【国際特許分類】
B29C 70/34 20060101AFI20231219BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20231219BHJP
B29C 70/46 20060101ALI20231219BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20231219BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
B29C70/34
B29C70/16
B29C70/46
B29C70/44
B29K105:08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219237
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー. プラウゼ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー イー. モディン
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジェイ. ハルブリッター
(72)【発明者】
【氏名】リチャード イー. ヒース
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-505016(JP,A)
【文献】特開2013-111982(JP,A)
【文献】特開2017-200766(JP,A)
【文献】特開2019-136968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/34
B29C 70/16
B29C 70/46
B29C 70/44
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材構造の製造に用いる被覆マンドレルパッケージを製造するための方法であって、
ダイツールのキャビティ上方にラッププライを配置することと、
前記ラッププライ上にマンドレルを配置することと、
前記マンドレル及び前記ラッププライを前記キャビティの中に押し込むことと、
前記ラッププライを前記マンドレルに巻き付けて、被覆マンドレルを形成することと、
前記被覆マンドレルの第1アール部に第1アールフィラーを配置することと、
前記被覆マンドレルの第2アール部に第2アールフィラーを配置することと、
前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラーを圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージを形成することと、の各ステップを含む方法。
【請求項2】
前記マンドレル及び前記ラッププライを前記キャビティの中に押し込む際に、前記ダイツールのダイ第1部分と前記ダイツールのダイ第2部分とを、互いに対して相対的に移動させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャビティの中に配置されたウェッジで前記ラッププライを支持することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記巻き付けるステップは、
前記ダイ第1部分の第1ツール面を用いて、前記ラッププライの第1中間部を前記マンドレルの第2側面に沿ってスイーピングすることと、
前記ダイ第2部分の第2ツール面を用いて、前記ラッププライの第2中間部を前記マンドレルの第1側面に沿ってスイーピングすることと、
スイープアームを用いて、前記ラッププライの第1端部及び第2端部を前記マンドレルの底面に沿ってスイーピングすることと、を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記圧密化ステップの間に、前記第1アールフィラー及び前記第2アールフィラーを前記ラッププライに付着させることをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記被覆マンドレル、前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラー上に内側モールドラインプライを配置することをさらに含み、
前記圧密化ステップは、前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、前記第2アールフィラー、及び、前記内側モールドラインプライを圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージを形成することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記圧密化ステップは、真空圧力を加えることを含み、前記方法は、前記ラッププライを配置するステップの前に、前記ダイツールの前記キャビティ上方に真空バギングフィルムを配置することをさらに含み、前記ラッププライは、前記真空バギングフィルム上に配置される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記真空圧力を加えるために、前記真空バギングフィルムに支持プレートを封着することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複合材構造の製造に用いる被覆マンドレルパッケージであって、
マンドレルと、
前記マンドレルを包んで被覆マンドレルを形成するラッププライと、
前記被覆マンドレルの第1アール部において、前記ラッププライに結合された第1アールフィラーと、
前記被覆マンドレルの第2アール部において、前記ラッププライに結合された第2アールフィラーと、を含み、
前記被覆マンドレルパッケージは、前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラーが圧密化されて形成されたものである、被覆マンドレルパッケージ。
【請求項10】
前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラーは、前記ラッププライに付着している、請求項9に記載の被覆マンドレルパッケージ。
【請求項11】
前記被覆マンドレル、前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラーに結合された内側モールドラインプライをさらに含み、前記被覆マンドレルパッケージは、前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、前記第2アールフィラー、及び、前記内側モールドラインプライが圧密化されて形成されたものである、請求項9又は10に記載の被覆マンドレルパッケージ。
【請求項12】
前記内側モールドラインプライは、前記第1アールフィラー、前記第2アールフィラー、及び、前記ラッププライに付着している、請求項11に記載の被覆マンドレルパッケージ。
【請求項13】
前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、第2アールフィラーは、圧密化されることによって支持プレートに結合されている、請求項9~12のいずれかに記載の被覆マンドレルパッケージ。
【請求項14】
前記被覆マンドレルパッケージと前記支持プレートとは、互いに相補的な輪郭を有する、請求項13に記載の被覆マンドレルパッケージ。
【請求項15】
被覆マンドレルパッケージの製造に用いる装置であって、
部分的に巻かれた被覆マンドレルを形成するためのダイツールと、
前記ダイツールに対して相対的に移動可能であって、被覆マンドレルを形成するためのスイープアームと、
前記被覆マンドレルに第1アールフィラー及び第2アールフィラーを配置するためのアールフィラー配置機構と、
前記被覆マンドレルパッケージを形成するための圧密化機構と、を含む装置。
【請求項16】
前記ダイツールは、キャビティを形成し、
前記ダイツールは、前記キャビティの中にラッププライ及びマンドレルが押し込まれると、前記ラッププライを前記マンドレルに部分的に巻き付けて、前記部分的に巻かれた被覆マンドレルを形成し、
前記スイープアームは、前記ラッププライを前記マンドレルにさらに巻き付けて、前記被覆マンドレルを形成する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ラッププライ及び前記マンドレルを前記キャビティの中に押し込むよう構成されたプレスツールをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スイープアームは、前記ラッププライの第1端部及び第2端部を、前記マンドレルの底面に沿ってスイーピングするよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記アールフィラー配置機構は、前記第1アールフィラーを前記被覆マンドレルの第1アール部に配置するとともに、前記第2アールフィラーを前記被覆マンドレルの第2アール部に配置するよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記圧密化機構は、前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、前記第2アールフィラーを圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージを形成するよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合材の製造に関し、より具体的には、複合材構造の製造に用いる被覆マンドレルパッケージ(bladder mandrel package)に関する。さらに具体的には、本開示は、被覆マンドレルパッケージを製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、一般的に、土台となる骨格構造としての機体を含み、これに、外板を装着することで形成された空力的な外面を有する。航空機の胴体部及び翼外板は、様々な形状のストリンガを用いて補強される。航空機の重量を低減するため、航空機には、複合材料が用いられる。最新の航空機では、ストリンガ及び外板のいずれにも、複合材料が用いられている。
【0003】
従来の手法によれば、複合材ストリンガは、ファスナを用いて複合材外板に接合されるか、複合材ストリンガを硬化させることで複合材外板に接合されるか、或いは、その両方の組み合わせによって接合される。また、従来のプロセスには、複合材ストリンガと複合材外板の両方に共通して用いられる硬化ツール上で、複合材ストリンガを組み立てるものもある。
【0004】
硬化ツール上で複合材ストリンガを組み立てるためには、複数のプロセスを実行する必要があり、その各々が所定の実行時間を要する。ストリンガの各コンポーネントは、それぞれ別個に硬化ツールに配置され、その後、押し固められる。複合材ストリンガの組み立てに関わる各プロセスは、全体の製造時間にプラスされる。製造時間は、航空機の製造台数を限定する要因になりうる。
【0005】
断面形状が完全に、或いは、部分的に閉じた複合材構造を製造するには、少なくとも部分的に閉塞されたキャビティの中にツールを配置する必要がある。キャビティが少なくとも部分的に閉塞されている場合、ツールの取り外しも困難であり、望ましくない。また、中実のマンドレルは、複合材構造からの取り出し経路が直線の見通し線状でないと、使用することができない。
【0006】
したがって、複合材の製造分野で当業者の研究開発の努力が続けられており、上記に指摘した事項に対処することを意図した装置及び方法は、有用であろう。
【発明の概要】
【0007】
以下に、本開示の要旨の実施例を列挙するが、これらの実施例は全てを網羅するものではなく、また、特許請求の範囲に記載されているものも、されていないものも含まれうる。
【0008】
一実施例において開示する、複合材構造の製造に用いる被覆マンドレルパッケージを製造するための方法は、(1)ダイツールのキャビティ上方にラッププライを配置することと、(2)前記ラッププライ上にマンドレルを配置することと、(3)前記マンドレル及び前記ラッププライを前記キャビティの中に押し込むことと、(4)前記ラッププライを前記マンドレルに巻き付けて、被覆マンドレルを形成することと、(5)前記被覆マンドレルの第1アール部に第1アールフィラーを配置することと、(6)前記被覆マンドレルの第2アール部に第2アールフィラーを配置することと、(7)前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、第2アールフィラーを圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージを形成することと、の各ステップを含む。
【0009】
本開示の一実施例において、複合材構造を製造するための方法は、(1)被覆マンドレルパッケージ上方に複合材チャージを配置することと、(2)前記複合材チャージを前記被覆マンドレルパッケージと支持プレートに沿って成形して、ストリンガレイアップを形成することと、(3)前記ストリンガレイアップを圧密化して、圧密化ストリンガパッケージを形成することと、の各ステップを含む。
【0010】
本開示の一実施例において、複合材構造の製造に用いる被覆マンドレルパッケージは、マンドレルと、前記マンドレルを包んで被覆マンドレルを形成するラッププライと、を含む。前記被覆マンドレルパッケージは、さらに、前記被覆マンドレルの第1アール部において前記ラッププライに結合された第1アールフィラーと、前記被覆マンドレルの第2アール部において前記ラッププライに結合された第2アールフィラーと、を含む。前記被覆マンドレルパッケージは、前記マンドレル、前記ラッププライ、前記第1アールフィラー、及び、第2アールフィラーが圧密化されて形成されたものである。
【0011】
本開示の一実施例において、被覆マンドレルパッケージの製造に用いる装置は、部分的に巻かれた被覆マンドレルを形成するためのダイツールと、前記ダイツールに対して相対的に移動可能であって、被覆マンドレルを形成するためのスイープアームと、を含む。前記装置は、さらに、前記被覆マンドレルに第1アールフィラー及び第2アールフィラーを配置するためのアールフィラー配置機構を含む。前記装置は、さらに、前記被覆マンドレルパッケージを形成するための圧密化機構を含む。
【0012】
本開示のシステム及び方法についての他の実施例は、下記の詳細な説明、添付図面、及び、請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】被覆マンドレルパッケージの実施例の概略図である。
【
図3】被覆マンドレルパッケージの別の実施例の概略図である。
【
図4】被覆マンドレルパッケージを製造するための装置の実施例の概略図であって、マンドレル、及び、巻き付け前のラッププライの例を示している。
【
図5】同じ装置の実施例の概略図であって、マンドレルの一部がラッププライで巻かれた例を示している。
【
図6A】同じ装置の実施例の概略図であって、マンドレルの別の一部がラッププライで巻かれた例を示している。
【
図6B】同じ装置の実施例の概略図であって、マンドレルの別の一部がラッププライで巻かれた例を示している。
【
図7】同じ装置の実施例の概略図であって、
図2の被覆マンドレルパッケージにおいて、圧密化される前の被覆マンドレルレイアップの例を示している。
【
図8】同じ装置の実施例の概略図であって、
図3の被覆マンドレルパッケージにおいて、圧密化される前の被覆マンドレルレイアップの例を示している。
【
図9】同じ装置の実施例の概略図であって、
図2の被覆マンドレルパッケージにおいて、圧密化中の被覆マンドレルレイアップの例を示している。
【
図10】同じ装置の実施例の概略図であって、
図3の被覆マンドレルパッケージにおいて、圧密化中の被覆マンドレルレイアップの例を示している。
【
図11】
図2の被覆マンドレルパッケージを用いて圧密化される前の複合材ストリンガレイアップの実施例の概略図である。
【
図12】
図2の被覆マンドレルパッケージを用いて圧密化されたストリンガパッケージの実施例の概略図である。
【
図13】
図3の被覆マンドレルパッケージを用いて圧密化される前の複合材ストリンガレイアップの実施例の概略図である。
【
図14】
図3の被覆マンドレルパッケージを用いて圧密化されたストリンガパッケージの実施例の概略図である。
【
図15】圧密化を行う前の機械式成形ツールの実施例、及び、真空成形機器の実施例の概略図である。
【
図16】圧密化を実行中の機械式成形ツールの実施例、及び、真空成形機器の実施例の概略図である。
【
図17】硬化ツールの実施例の概略図であって、圧密化ストリンガパッケージの例を示している。
【
図18】特定の輪郭形状を有する被覆マンドレルパッケージの実施例の概略的な斜視図である。
【
図19】
図18の輪郭形状を有する被覆マンドレルパッケージの実施例の概略的な断面図である。
【
図20】
図18の輪郭形状を有する被覆マンドレルパッケージの実施例の概略的な断面図である。
【
図21】
図18の輪郭形状を有する被覆マンドレルパッケージの実施例の概略的な平面図である。
【
図22】
図18の輪郭形状を有する被覆マンドレルパッケージの実施例の概略的な立面図である。
【
図23】被覆マンドレルパッケージを製造するための方法の実施例の概略的なフロー図である。
【
図24】複合材構造を製造するための方法の実施例の概略的なフロー図である。
【
図26】航空機の製造及び使用方法の実施例のフロー図である。
【
図27】被覆マンドレルパッケージを製造するための装置におけるダイツールの実施例を示す概略的な斜視図である。
【
図28】
図27のダイツールを反対側から示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明において、本開示の特定の実施例を示す添付図面を参照する。ただし、別の構成や処理を含む他の実施例も、本開示の範囲を逸脱するものではない。同様の参照符号は、異なる図面においても同じ特徴、要素、又は、コンポーネントを表す場合がある。
【0015】
本開示の技術的事項の例示的な実施例について以下に記載する。これらの実施例は、すべてを網羅するものではなく、また、特許請求の範囲に記載されているものも、されていないものも含まれうる。本明細書において、「実施例」というときは、当該例に関連させて述べる特徴、構造、要素、コンポーネント、特性、及び/又は、処理ステップの1つ以上が、本開示による技術的事項の実施形態及び/又は実施態様の少なくとも1つに含まれるということを意味する。よって、「一実施例」、「1つ以上の実施例」などの表現は、必ずではないが、本開示を通じて同一の例を指す場合がある。さらに、ある実施例を特徴づける技術的事項は、必ずではないが、他の実施例を特徴づける技術的事項を含む場合がある。
【0016】
本開示は、
図1~
図17を参照して、被覆マンドレルパッケージ100、及び、被覆マンドレルパッケージ100を用いて製造される複合材構造200の実施例を提供する。1つ以上の実施例において、複合材構造200は、航空機のスティフナなどの、航空機のコンポーネントである。一実施例において、複合材構造200は、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された複合材ストリンガ210を含む。
【0017】
図1は、製造環境250の一実施例を示す。複合材構造200を形成するために用いられる被覆マンドレルパッケージ100の実施例は、製造環境250において製造(例えば、形成又は作製)される。同様に、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成される複合材構造200の実施例は、製造環境250において製造される。
【0018】
図1~
図3を参照すると、一実施例の被覆マンドレルパッケージ100は、マンドレル104を含む。マンドレル104は、様々な断面形状及び/又は幾何形状(geometries)のいずれを有するものでもよい。一般的に、マンドレル104は、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成される複合材構造200の断面形状の少なくとも一部に対応した相補的な形状を有する。例えば、マンドレル104の幾何形状は、複合材ストリンガ210の幾何形状などの、複合材構造200の幾何形状に基づいて設計される。マンドレル104は、ひいては、被覆マンドレルパッケージ100は、所望の幾何形状の複合材構造200が得られるように形成される。この例示的な実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、台形の断面形状を有する。このような実施例では、被覆マンドレルパッケージ100を用いることで、ハット形状の断面を有する複合材ストリンガ210が形成される。
【0019】
図2及び
図3に示すように、一実施例では、マンドレル104は、等脚台形の断面を有する。例えば、マンドレル104は、底面112と、底面112の反対側で底面に平行な頂面106と、第1側面108と、第1側面108の反対側の第2側面110と、を有する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、一実施例では、マンドレル104の角部の1つ以上にはアールが付けられている(即ち、角部又はエッジに丸みがつけられており、半径を有する)。この例示的な実施例では、マンドレル104は、底面112と第1側面108との交点に形成された第1アール部(first radius)118(例えば、アールが付けられた第1角部)、及び、底面112と第2側面110との交点に形成された第2アール部120(例えば、アールが付けられた第2角部)を有する。
【0021】
別の実施例では、マンドレル104の角部の1つ以上は、尖った角部であってもよい。
【0022】
図1~
図3を参照すると、一実施例の被覆マンドレルパッケージ100は、ラッププライ102を含む。ラッププライ102でマンドレル104を包むことで、被覆マンドレル(wrapped mandrel)124が形成される。一実施例では、ラッププライ102は、複合材料から成る。
図2及び
図3に示すように、ラッププライ102は、マンドレル104の外表面126に巻き付けられている。換言すると、ラッププライ102は、頂面106、第1側面108、第2側面110、及び、底面112を覆っている。
【0023】
一実施例では、ラッププライ102は、所定数の複合材料プライ又はシートを含むか、或いは、これにより形成されている。本明細書における「所定数の」との表現は、1つ又は複数のアイテムを意味する。各複合材プライは、ポリマ樹脂マトリックスで結着された強化繊維を含む。複合材料に用いられる樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂がある。繊維は、一方向繊維でもよいし、織布や織物繊維の形態でもよい。ラッププライ102における様々なプライを構成する複合材料の繊維は、同一の繊維配向であってもよいし、異なる繊維配向であってもよい。
【0024】
一実施例では、マンドレル104に巻き付けられた状態のラッププライ102は、マンドレル104の断面形状によって形成される断面形状を有する。この実施例では、マンドレル104に巻き付けられた状態のラッププライ102は、マンドレル104によって形成された台形の断面形状を有する。ラッププライ102は、複合材構造200の形成中に、その形状の維持を補助する機能を有する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、一実施例では、被覆マンドレル124の角部の1つ以上には、アールが付けられている(即ち、角部又はエッジに丸みがつけられており、半径を有する)。この半径は、ラッププライ102が、マンドレル104のアール付き角部に沿わせて折り畳まれ、或いは、巻き付けられることによって形成される。この例示的な実施例では、被覆マンドレル124は、マンドレル104の底面112を覆う部分のラッププライ102とマンドレル104の第1側面108を覆う部分のラッププライ102との交点に形成された第1アール部118(例えば、アールが付けられた第1角部148)、及び、底面112を覆う部分のラッププライ102とマンドレル104の第2側面110を覆う部分のラッププライ102との交点に形成された第2アール部120(例えば、アールが付けられた第2角部150)を有する。
【0026】
図1~
図3を参照すると、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116を含む。一実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、複合材料から成る。
図2及び
図3に示すように、第1アールフィラー114は、被覆マンドレル124の第1アール部118において、ラッププライ102に結合されている。第2アールフィラー116は、被覆マンドレル124の第2アール部120において、ラッププライ102に結合されている。第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、複合材構造200の垂直コンポーネントの接続部の湾曲に適合した形状を有する。第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、一般的に、「ヌードル」と呼ばれる。”
【0027】
一実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116の各々は、ポリマ樹脂材料を含むか、或いは、ポリマ樹脂材料により形成される。別の実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116の各々は、ポリマ樹脂材料で結着された不織繊維を含む。通常、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116のポリマ樹脂材料と、ラッププライ102のポリマ樹脂マトリックスとは、相溶性を有する(compatible)。
【0028】
図2に示すように、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116が圧密化される、或いは、押し固められる(consolidated, or compacted)ことによって、被覆マンドレルパッケージ100が形成される。一実施例では、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、ラッププライ102、及び、マンドレル104に圧力又は力を加えることで、これらのコンポーネントが圧密化されて、圧密化(compacted)被覆マンドレルパッケージが形成される。換言すると、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102に圧力又は力が加わると、マンドレル104の外表面126に生じる反作用によって、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116がマンドレル104に対して押し固められる。
【0029】
一実施例では、圧密化の後に、ラッププライ102をマンドレル104の外表面126に付着させる。換言すると、ラッププライ102を、頂面106、第1側面108、第2側面110、及び、底面112に付着させる。ラッププライ102は、ラッププライ102を構成する複合材料自体の粘着性(inherent tackiness)によってマンドレル104に付着させるか、或いは、接合剤(例えば、接着剤)を補助的に用いて付着させてもよい。別の実施例では、圧密化の後に、ラッププライ102をマンドレル104の外表面126に付着させることはしない。このような実施例では、被覆マンドレル124、ひいては、被覆マンドレルパッケージ100は、マンドレル104とラッププライ102の間に1つ以上の追加の材料層152(
図2及び
図3)を含む。1つ以上の追加の材料層152は、マンドレル104にラッププライ102で包む前に、マンドレル104に巻き付けられる。例えば、被覆マンドレルパッケージ100は、材料層の中でも特に、圧密化の際にラッププライ102がマンドレル104に付着してしまうことを防ぐよう構成された離型プライ154(
図2及び
図3)を含んでもよい。
【0030】
一実施例では、圧密化の後に、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116をラッププライ102に付着させる。第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102は、これら第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び/又は、ラッププライ102を構成する複合材料自体の粘着性によって互いに付着させるか、或いは、接合剤(例えば、接着剤)を補助的に用いて付着させてもよい。
【0031】
図1~
図3を参照すると、一実施例の被覆マンドレルパッケージ100は、内側モールドラインプライ122を含む。一実施例では、内側モールドラインプライ122は、複合材料から成る。
図3に示すように、内側モールドラインプライ122は、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116に結合されている。内側モールドラインプライ122は、複合材構造200の形成中に、その形状の維持を補助する機能を有する。例えば、内側モールドラインプライ122は、圧密化の際の圧潰を防止するように機能する。
【0032】
一実施例では、内側モールドラインプライ122は、所定数の複合材プライ又はシートによって形成されている。各複合材プライは、ポリマ樹脂マトリックスで結着された強化繊維を含む。複合材料に用いられる樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂がある。繊維は、一方向繊維でもよいし、織布や織物繊維の形態でもよい。内側モールドラインプライ122における様々なプライを構成する複合材料の繊維は、同一の繊維配向であってもよいし、異なる繊維配向であってもよい。通常、内側モールドラインプライ122のポリマ樹脂マトリックスは、第1アールフィラー114と第2アールフィラー116のポリマ樹脂マトリックス、及び、ラッププライ102のポリマ樹脂マトリックスに対して相溶性を有する。
【0033】
一実施例では、ラッププライ102の複合材料の繊維と、内側モールドラインプライ122の複合材料の繊維とは、同じ繊維配向を有する。別の実施例では、ラッププライ102の複合材料の繊維と、内側モールドラインプライ122の複合材料の繊維とは、異なる繊維配向を有する。
【0034】
図3に示すように、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122が圧密化される、或いは、押し固められることによって、被覆マンドレルパッケージ100が形成される。一実施例では、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、ラッププライ102、及び、マンドレル104に圧力又は力を加えることで、これらのコンポーネントが圧密化されて、圧密化被覆マンドレルパッケージが形成される。換言すると、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116に圧力又は力が加わると、マンドレル104の外表面126に生じる反作用によって、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102がマンドレル104に対して押し固められる。
【0035】
一実施例では、圧密化の後、内側モールドラインプライ122を、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102に付着させる。内側モールドラインプライ122は、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び/又は、ラッププライ102を構成する複合材料自体の粘着性によって、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102に付着させるか、或いは、接合剤(例えば、接着剤)を補助的に用いて付着させてもよい。
【0036】
図1~
図3を参照すると、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508上で形成され、或いは、圧密化される。このような実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、圧密化後に取り外すことが可能な態様で、支持プレート508に結合される。
【0037】
図2に示すように、一実施例では、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116は、支持プレート508の表面に固定されている。一実施例では、圧密化によって被覆マンドレルパッケージ100を形成した後に、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116を支持プレート508の表面に付着させる。別の実施例では、圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508を介して真空引きすることで、支持プレート508に固定される。
【0038】
図3に示すように、一実施例では、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122は、支持プレート508の表面に固定されている。一実施例では、圧密化によって被覆マンドレルパッケージ100を形成した後に、内側モールドラインプライ122を支持プレート508の表面に付着させる。別の実施例では、圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508を介して真空引きすることで、支持プレート508に固定される。
【0039】
図1及び
図4~
図10を参照すると、本開示は、被覆マンドレルパッケージ100を製造するために用いられる装置500の実施例を提供する。一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、マンドレル104の圧密化コンポーネント、マンドレル104を包んで被覆マンドレル124を形成するラッププライ102、被覆マンドレル124の第1アール部118においてラッププライ102に結合された第1アールフィラー114、及び、被覆マンドレル124の第2アール部120においてラッププライ102に結合された第2アールフィラー116を含むか、或いは、これにより形成されており、任意の要素として、内側モールドラインプライ122が被覆マンドレル124、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116に結合されていてもよい。
【0040】
一実施例では、装置500は、マンドレル104にラッププライ102を巻きつけて、被覆マンドレル124を形成するよう構成されている。一実施例では、装置500は、
図2及び
図3に示す離型プライ154などの1つ以上の追加の材料層152もマンドレル104に巻き付けるように構成されている。マンドレル104に1つ以上の追加の材料層152を巻き付けることは、マンドレル104にラッププライ102を巻き付けるよりも先に、或いは、ラッププライ102と同時に巻き付けられる。一実施例では、装置500は、さらに、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116を被覆マンドレル124に配置するよう構成されている。一実施例では、装置500は、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122がある場合には、これを第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124上に配置するようにも構成されている。一実施例では、装置500は、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、ラッププライ102、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122を、マンドレル104に対してして押し固めて、圧密化被覆マンドレルパッケージ100を形成する。
【0041】
図4及び
図5に示すように、一実施例では、装置500は、ダイツール502を含む。ダイツール502は、ダイ第1部分(die-first portion)512及びダイ第2部分(die-second portion)514を含む。ダイ第1部分512とダイ第2部分514によって、キャビティ504が画成される。換言すると、キャビティ504は、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の間に形成される。キャビティ504の中に、被覆マンドレルパッケージ100のラッププライ102、及び、被覆マンドレルパッケージ100のマンドレル104が押し込まれて、ラッププライ102がマンドレル104の外表面126を部分的に覆う。
【0042】
図4及び
図5に示すように、一実施例では、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514は、互いに対して相対的に移動可能である。例えば、被覆マンドレルパッケージ100のラッププライ102及び被覆マンドレルパッケージ100のマンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれる際に、
図5に示すように、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514は、方向矢印522及び方向矢印524が示す方向に移動して互いに遠ざかり、キャビティ504を大きくするよう構成されている。
【0043】
一実施例では、ダイ第1部分512は、第1ツール面528を含み、ダイ第2部分514は、第2ツール面530を含む。第1ツール面528及び第2ツール面530は、キャビティ504の少なくとも一部を構成する。第1ツール面528は、マンドレル104の一部に対して相補的である(例えば、相補的な幾何形状を有する)。例えば、第1ツール面528は、マンドレル104の第2側面110の角度又は傾斜に対して相補的な角度又は傾斜を有する。第2ツール面530は、マンドレル104の別の一部に対して相補的である(例えば、相補的な幾何形状を有する)。例えば、第2ツール面530は、マンドレル104の第1側面108の角度又は傾斜に対して相補的な角度又は傾斜を有する。
【0044】
図4及び
図5に示すように、一実施例では、装置500は、ウェッジ554をさらに含む。ウェッジ554は、例えば、金属材料、プラスチック材料など、任意の適当な剛性の材料で形成されている。ウェッジ554は、キャビティ504の中に配置されているとともに、ラッププライ102及びマンドレル104がキャビティ504に押し込まれて、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514が移動してキャビティ504が拡張する際に、ダイツール502に対して相対的に移動可能である。一実施例では、ウェッジ554は、キャビティ504の断面形状に相補的な幾何形状を、例えば台形の断面形状を有しており、ウェッジ554の第1側面580が第1ツール面528に係合し、反対側では、ウェッジ554の第2側面582が第2ツール面530と係合する。一実施例では、ウェッジ554の第1側面580は、マンドレル104の第2側面110の角度又は傾斜とほぼ同じ角度又は傾斜を有し、また、ウェッジ554の第2側面582は、マンドレル104の第1側面108の角度又は傾斜とほぼ同じ角度又は傾斜を有する。
【0045】
図4及び
図5に示すように、一実施例では、ウェッジ554は、さらに第3ツール面556を有する。ウェッジ554の第3ツール面556は、マンドレル104の頂面106など、マンドレル104の一部に対して相補的である(例えば、相補的な幾何形状を有する)。
図4に示すように、ウェッジ554は、キャビティ504上方に配置されたラッププライ102の中央部156を支持して、ラッププライ102がキャビティ504内に垂れ下がったり、撓んだりすることを防止することができる。さらに、ウェッジ554によれば、ラッププライ102を所望の寸法に切断し、このラッププライ102をダイツール502に搬送するネットトリミング・ピックアンドプレース機の使用が容易になる。加えて、ラッププライ102がウェッジ554に結合される(例えば、ラッププライ102の粘着性によりウェッジ554に付着する)ので、ウェッジ554をキャビティ504内に配置することで、トリミング後のラッププライ102を適切に配置し、及び位置決めすることがウェッジ554によって容易に行える。加えて、ウェッジ554によれば、マンドレル104及びラッププライ102をダイ第1部分512とダイ第2部分514との間に押し動かす、或いは、押し込むプロセスにおいて、ラッププライ102に大きな負荷をかけないようにすることができる。換言すると、ウェッジ554によれば、ラッププライ102及びマンドレル104を下方に押し込んで、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の間に移動させる際に、ダイ第1部分512とダイ第2部分514を互いに遠ざける際に発生する、摩擦を伴う負荷の大部分をウェッジ554が引き受けるようにできる。つまり、摩擦を伴う負荷が、ダイ第1部分512の第1ツール面528と、ウェッジ554の第1側面580との間に発生し、また、ダイ第2部分514の第2ツール面530とウェッジ554の第2側面582との間に発生するようにできる。任意の選択肢として、一実施例では、摩擦に伴う負荷を低減するために、ラッププライ102を汚染しない適切な潤滑剤を用いてもよい。
【0046】
図4に示すように、ラッププライ102及びマンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれると、先ず、ラッププライ102の中央部156がマンドレル104と第3ツール面556との間に挟まれる。すると、この第3ツール面556がマンドレル104を押し返す力が働いて、ラッププライ102がマンドレル104に対して定位置に保持される。
図5においてさらに示すように、一実施例では、ラッププライ102及びマンドレル104がキャビティ504の中にさらに押し込まれると、ラッププライ102の中央部156がマンドレル104と第3ツール面556との間に挟まれ、ラッププライ102の第1中間部158がマンドレル104と第1ツール面528との間に挟まれ、ラッププライ102の第2中間部160が、マンドレル104と第2ツール面530との間に挟まれる。ダイ第1部分512とダイ第2部分514が移動して互いから遠ざかると、第1ツール面528及び第2ツール面530のより多くの部分が露出する。
【0047】
図27及び
図28は、
図4~
図10に示したダイツール502のダイ第1部分512とダイ第2部分514の実施例を、それぞれ反対側から見た等角投影図であり、装置500における他の構成コンポーネント及び被覆マンドレルパッケージ100のコンポーネントは、すべて省略されている。
図27及び
図28に示すように、一実施例では、ダイ第1部分512は、所定数の第1噛合いフィンガ(first interleafing fingers)544(
図27)を含む。第1噛合いフィンガ544は、第1ツール面528から延出する。ダイ第2部分514は、所定数の第2噛合いフィンガ546(
図28)を含む。第2噛合いフィンガ546は、第2ツール面530から延出する。
【0048】
図27及び
図28に示すように、ダイ第1部分512の第1ツール面528とダイ第2部分514の第2ツール面530とによって、キャビティ504が画成される。ダイ第1部分512とダイ第2部分514が、例えば方向矢印522と方向矢印524に移動するなどして、互いに対して相対的に移動すると、それにともなって、第1噛合いフィンガ544と第2噛合いフィンガ546は、互い違いに重なり合って噛み合うように係合する。ダイ第1部分512及びダイ第2部分514が、
図4に示すように互いに接近するように移動すると、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の重なりが大きくなる(例えば、第1噛合いフィンガ544と第2噛合いフィンガ546の噛み合いが大きくなる)。例えば、ラッププライ102及びマンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれる際など、ダイ第1部分512とダイ第2部分514が、
図5に示すように互いに遠ざかるように移動すると、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の重なりが小さくなる(例えば、第1噛合いフィンガ544と第2噛合いフィンガ546の噛み合いが小さくなる)。換言すると、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の重なりは、ダイ第1部分512とダイ第2部分514が
図4に示す位置から
図5に示す位置に移動すると、小さくなる。反対に、ダイ第1部分512とダイ第2部分514の重なりは、ダイ第1部分512とダイ第2部分514が
図5に示す位置から
図4に示す位置に移動すると、大きくなる。
【0049】
一実施例では、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514のサイズは、被覆マンドレルレイアップ128のコンポーネント(
図9及び
図10)が、第1噛合いフィンガ544及び第2噛合いフィンガ546(
図27及び
図28)に接触することなく、第1ツール面528及び第2ツール面530のみに支持され、接触するように適切に設定されている。例えば、ラッププライ102及びマンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれて、ダイ第1部分512とダイ第2部分514が
図5に示すように互いに遠ざかる(例えば、キャビティ504が大きくなるように分離する)際は、第1ツール面528及び第2ツール面530のそれぞれが真空バギングフィルム506、ラッププライ102、及び、マンドレル104の第1側面108と第2側面110を支持するようになっている。この構成によれば、真空バギングフィルム506及びラッププライ102の一部が第1噛合いフィンガ544及び第2噛合いフィンガ546まで延出して、支持されていない状態になることを防止できるので、ブリッジング(bridging issue)の発生を回避することができる。
【0050】
詳細は後述するが、1つ以上の実施例では、装置500は、圧密化を行って被覆マンドレルパッケージ100を形成する際に、真空圧力を加えることを可能にする真空バギング機を含む。
図4及び
図5に示すように、そのような実施例では、真空バギングフィルム506は、キャビティ504上方であって、ラッププライ102とダイツール502との間に配置される。
図4に示すように、一実施例では、ウェッジ554は、キャビティ504上方に配置された真空バギングフィルム506の一部を支持し、真空バギングフィルム506がキャビティ504内に垂れ下がったり、たるんだりすることを防止する。一実施例では、真空バギングフィルム506は、ラッププライ102とダイ第1部分512の第1ツール面528との間、及び、ラッププライ102とダイ第2部分514の第2ツール面530との間に生じうる不要な摩擦を低減し、又は、排除することができる。一実施例では、真空バギングフィルム506と、第1ツール面528及び第2ツール面530との間の摩擦を制御することで、真空バギングフィルム506が変形したり、亀裂が入ったりすることを防止できる。
図5に示すように、一実施例では、真空バギングフィルム506、ラッププライ102、及び、マンドレル104が、キャビティ504の中に押し込まれると、真空バギングフィルム506の一部がラッププライ102と第3ツール面556との間に挟まれ、真空バギングフィルム506の別の一部がラッププライ102と第1ツール面528との間に挟まれ、真空バギングフィルム506の別の一部が、ラッププライ102と第2ツール面530との間に挟まれる。
【0051】
図1、
図4及び
図5に示すように、一実施例では、装置500は、プレスツール516を含む。プレスツール516は、ダイツール502に対して相対的に移動可能である。プレスツール516は、被覆マンドレルパッケージ100のラッププライ102と被覆マンドレルパッケージ100のマンドレル104をキャビティ504の中に押し込んで、ダイ第1部分512の第1ツール面528及びダイ第2部分514の第2ツール面530に当接させ、加えて、任意のコンポーネントであるウェッジ554が含まれる場合は、ウェッジ554の第3ツール面556にも当接させるよう構成されている。一実施例では、プレスツール516は、直線的に、例えば、方向矢印526方向に移動して、ラッププライ102及びマンドレル104をキャビティ504の中に押し込んで、ダイ第1部分512の第1ツール面528及びダイ第2部分514の第2ツール面530に当接させ、加えて、任意のコンポーネントであるウェッジが含まれる場合は、ウェッジ554の第3ツール面556にも当接させるよう構成されている。
【0052】
図5に示すように、プレスツール516がラッププライ102及びマンドレル104をキャビティ504の中に押し込むと、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514は、互いに遠ざかるように、例えば、方向矢印522及び方向矢印524の方向にそれぞれ移動して、マンドレル104を収容する。プレスツール516がラッププライ102及びマンドレル104をキャビティ504の中に押し込むと、ラッププライ102の一部がダイ第1部分512及びダイ第2部分514と接触して、マンドレル104の外表面126の一部に沿ってスイープされる。本明細書において、「スイープ」、「スイーピング」などの用語は、ある表面を、安定した運動動作で押し均す、或いは、連続的な移動で押し均すことを意味する。
【0053】
図4に示すように、一実施例では、ラッププライ102は、キャビティ504上方に配置されており、マンドレル104は、ラッププライ102上方に配置されている。プレスツール516がラッププライ102及びマンドレル104をキャビティ504の中に押し込むとともに、任意のコンポーネントであるウェッジ554の第3ツール面556に当接させると、マンドレル104の頂面106がラッププライ102に覆われる。
図5に示すように、一実施例では、プレスツール516がラッププライ102及びマンドレル104をキャビティ504の中にさらに押し込むと、ダイ第1部分512の第1ツール面528によって、ラッププライ102の第1部分がマンドレル104に沿ってスイーピングされて、マンドレル104の第2側面110を覆う。また、ダイ第2部分514の第2ツール面530によって、ラッププライ102の第2部分がマンドレル104に沿って上でスイーピングされて、マンドレル104の第1側面108を覆う。これにより、例えば、部分的に巻かれた被覆マンドレル146が形成される。
【0054】
図1、
図6A及び
図6Bに示す通り、一実施例では、装置500は、スイープアーム510(
図1)を含む。スイープアームは、
図6Aと
図6Bにおいては、それぞれ第1スイープアーム510A、第2スイープアーム510Bとして別個に示されている。スイープアーム510は、ダイツール502に対して相対的に移動可能である。スイープアーム510は、ラッププライ102の別の部分(例えば、残りの部分)を、マンドレル104の外表面126の別の部分(例えば、残りの部分)に沿ってスイーピングすることで、ラッププライ102をマンドレル104に巻き付けて、被覆マンドレル124を形成するよう構成されている。
【0055】
図6Aに示すように、一実施例では、第1スイープアーム510Aを、例えば、方向矢印534の方向に移動して、ラッププライ102の第1端部130に当接する。第1スイープアーム510Aは、第2アール部120に向かって、例えばその近傍まで、さらに移動し、これにより、ラッププライ102の第1端部130を、マンドレル104の底面112における第1部分に沿ってスイーピングする。
【0056】
次いで、
図6Bに示すように、第2スイープアーム510Bは、例えば、方向矢印536の方向に移動して、ラッププライ102の反対側の端部である第2端部132に当接する。第2スイープアーム510Bは、第1アール部118に向かって、例えばその近傍まで、さらに移動し、これにより、ラッププライ102の第2端部132を、マンドレル104の底面112における第2部分に沿ってスイーピングする。次いで、第2スイープアーム510Bを後退させる。
【0057】
一実施例では、各スイープアーム510は、丸端部542を有する板状部材を含み、この丸端部は、スイープアーム510がマンドレル104における反対側のアール部に向かって移動すると、ラッププライ102の一部に当接するよう構成されている。ラッププライ102は、折り曲げに抵抗する弾力性を性質として有するので、また、粘着性を有するので、スイープアーム510の端部542がラッププライ102に接触すると、ラッププライ102は実質的に把持されて引き動かされる。よって、スイープアーム510が移動することで、ラッププライ102が折り畳まれ、マンドレル104の底面112に沿ってスイーピングされる。別の実施例では、各スイープアーム510の端部542は、ラッププライ102を把持し、引き動かすよう構成された把持装置を含んでもよい。これにより、スイープアーム510が移動することで、ラッププライ102を折り畳み、マンドレル104の底面112に沿ってスイーピングすることができる。通常、スイープアーム510は、ラッププライ102に係合して(例えば、把持し、引き動して)、ラッププライ102を望ましい張り状態でマンドレル104の底面112に適切に巻き付けるよう構成されている。スイープアーム510は、後退する際に、再びラッププライ102に係合することのないように構成されており、これにより、スイープアーム510がマンドレル104からラッププライ102を引き剥がしてしまうことを防止できる。
【0058】
図6A及び
図6Bに示すように、一実施例では、ラッププライ102は、マンドレル104の底面112の一部分(例えば、略半分)を第1端部130が覆い、マンドレル104の底面112の残りの部分(例えば、残りの略半分)を第2端部132が覆って、ラッププライの両端部が互いに突合せ状態になるように配置されている。或いは、別の実施例では、ラッププライ102は、第1端部130の少なくとも一部分と、第2端部132の少なくとも一部分とが互いに重なり合って、例えば、第1端部130がマンドレル104の底面112の半分以上又はすべてを覆い、第2端部132が、第1端部130上で、マンドレル104の底面112の半分以上又はすべて覆うように配置されている。
【0059】
図1及び
図7に示すように、一実施例では、装置500は、アールフィラー配置機構518を含む。アールフィラー配置機構518は、ダイツール502に対して移動可能である。アールフィラー配置機構518は、被覆マンドレル124の第1アール部118において、或いは、これに沿って、被覆マンドレルパッケージ100の第1アールフィラー114を配置し、被覆マンドレル124の第2アール部120において、或いは、これに沿って、被覆マンドレルパッケージ100の第2アールフィラー116を配置するよう構成されている。一実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は自動で配置される。別の実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、手作業で配置される。
図7及び
図8は、アールフィラー配置機構518によって第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116が配置された後の状態であって、所定の位置に配置された第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116が示されている。
【0060】
一実施例では、アールフィラー配置機構518は、押出ディスペンサを備えるロボットの形態であってもよいし、そのようなロボットを含んでもよい。押出ディスペンサは、複合材料を吐出して、第1アール部118及び第2アール部120のそれぞれに沿って、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116を形成し、或いは、配置するよう構成されている。他の実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116を配置する機能を有する別の種類の装置を用いてもよく、また、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、押し出し成形以外の別の種類や構成も可能である。
【0061】
図1及び
図8に示すように、一実施例では、装置500は、複合材プライ配置機構538を含む。複合材プライ配置機構538は、ダイツール502に対して移動可能である。複合材プライ配置機構538は、被覆マンドレルパッケージ100の内側モールドラインプライ122を、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124上に配置するよう構成されている。一実施例では、内側モールドラインプライ122は、自動で配置される。別の実施例では、内側モールドラインプライ122は、手作業で配置される。
図8は、複合材プライ配置機構538によって内側モールドラインプライ122が配置された後の状態であって、所定の位置に配置された内側モールドラインプライ122が示されている。
【0062】
一実施例では、複合材プライ配置機構538は、複合材プライピックアンドプレース機の形態であってもよいし、これを含むものでもよい。別の実施例では、複合材プライ配置機構538は、ネットトリミング積層機(net trim laminator)の形態であってもよいし、これを含むものでもよい。別の実施例では、内側モールドラインプライ122を配置する機能を有する別の種類の装置を用いてもよい。
【0063】
図1、
図9及び
図10に示すように、一実施例では、装置500は、圧密化機構520を含む。
図9に示すように、一実施例では、圧密化機構520は、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102を圧密化して、或いは、マンドレル104に対して押し固めて、被覆マンドレルパッケージ100を形成するよう構成されている。
図10に示すように、別の実施例では、圧密化機構520は、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102を圧密化して、或いは、マンドレル104に対して押し固めて、被覆マンドレルパッケージ100を形成するよう構成されている。
【0064】
図9及び
図10に示すように、一実施例では、圧密化機構520は、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122から成る被覆マンドレルレイアップ128に真空圧力を加えて、被覆マンドレルパッケージ100を形成するよう構成されている。一実施例では、圧密化機構520は、真空バギングフィルム506及び支持プレート508を含む。一実施例では、真空バギングフィルム506は、可撓性を有する薄いゴム状の真空バッグである。一実施例では、支持プレート508は、剛性のベースプレートであり、真空バギングフィルム506に(例えば、所定数の封止部540を介して)封着されている。一実施例では、支持プレート508は、真空圧力を加えて被覆マンドレルレイアップ128を圧密化して被覆マンドレルパッケージ100を形成する際に、圧密化を行う面として機能する。
【0065】
図9に示すように、一実施例では、真空バギングフィルム506は、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116を含み、或いはこれらで形成される被覆マンドレルレイアップ128と、ダイツール502との間に配置されている。被覆マンドレルレイアップ128は、支持プレート508と真空バギングフィルム506との間に配置されている。次いで、支持プレート508は、真空バギングフィルム506に封着される。次いで、被覆マンドレルレイアップ128に真空圧力を加えて圧密化して、被覆マンドレルパッケージ100を形成する。
【0066】
任意の選択肢として、一実施例では、支持プレート508の配置及び真空圧力の印加の前に、さらに、材料プライ又は材料層(図示せず)ラッププライ102に追加することができる。このような実施例では、追加の材料プライ又は材料層は、圧密化の後の被覆マンドレルパッケージ100から支持プレート508を容易に取り外せるようにする機能を有するものでもよい。
【0067】
図10に示すように、別の実施例では、真空バギングフィルム506は、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122から成る被覆マンドレルレイアップ128と、ダイツール502との間に配置されている。被覆マンドレルレイアップ128は、支持プレート508と真空バギングフィルム506との間に配置されている。次いで、支持プレート508は、真空バギングフィルム506に封着される。次いで、被覆マンドレルレイアップ128に真空圧力を加えて圧密化して、被覆マンドレルパッケージ100を形成する。
【0068】
図4に示すように、一実施例では、真空バギングフィルム506は、ラッププライ102を配置する前に、ダイツール502のキャビティ504上方に配置される。ラッププライ102は、真空バギングフィルム506の上又はその上方に配置され、マンドレル104は、ラッププライ102の上又はその上方に配置される。
図5に示すように、一実施例では、真空バギングフィルム506、ラッププライ102、及び、マンドレル104は、例えば、プレスツール516によって、キャビティ504の中に押し込まれる。真空バギングフィルム506、ラッププライ102、及び、マンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれると、真空バギングフィルム506の一部がラッププライ102と第1ツール面528の間に挟まれ、真空バギングフィルム506の別の一部がラッププライ102と第2ツール面530との間に挟まれる。さらに、真空バギングフィルム506、ラッププライ102、及び、マンドレル104がキャビティ504の中に押し込まれると、真空バギングフィルム506の一部がラッププライ102とウェッジ554の第3ツール面556の間に挟まれる。
【0069】
したがって、一実施例では、真空バギングフィルム506は、
図9に示すように、ダイツール502と、被覆マンドレル124、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116と、の間に位置しており、被覆マンドレルレイアップ128の周縁の先まで延びている。別の実施例では、真空バギングフィルム506は、
図10に示すように、ダイツール502と、被覆マンドレル124、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122と、の間に位置しており、被覆マンドレルレイアップ128の周縁の先まで延びている。
【0070】
支持プレート508は、ダイツール502に対して相対的に移動可能であるとともに、真空バギングフィルム506に封着可能に構成されており、被覆マンドレルレイアップ128を圧密化するための真空圧力を加えて、被覆マンドレルパッケージ100を形成することができる。大気圧によって、被覆マンドレルレイアップ128が支持プレート508に押し付けられて保持される。支持プレート508と真空バギングフィルム506によって封止された真空チャンバが大気圧を大幅に下回るまで減圧されると、圧縮力が発生する。
【0071】
図9に示すように、一実施例では、支持プレート508は、被覆マンドレルレイアップ128の底部(例えば、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124)上方に配置されており、支持プレート508及び真空バギングフィルム506は、被覆マンドレルレイアップ128の周縁の先まで延びて封着されている。支持プレート508と真空バギングフィルム506とが互いに封着されると、被覆マンドレルレイアップ128(例えば、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、ラッププライ102、及び、マンドレル104)に真空圧力が加わり、被覆圧密化され、或いは、押し固められた被覆マンドレルパッケージ100が形成される。
【0072】
図10に示すように、別の実施例では、支持プレート508は、被覆マンドレルレイアップ128の底部(例えば、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124)上方に配置されており、支持プレート508と真空バギングフィルム506とは、被覆マンドレルレイアップ128の周縁の先まで延びて封着されている。支持プレート508と真空バギングフィルム506が(例えば、所定数の封止部540を介して)互いに封着されると、被覆マンドレルレイアップ128(例えば、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、ラッププライ102、及び、マンドレル104)に真空圧力が加わって、被覆圧密化され、或いは、押し固められた被覆マンドレルパッケージ100が形成される。
【0073】
一実施例では、真空バギングフィルム506及び支持プレート508によって、封止された真空チャンバが画成又は形成される。被覆マンドレルレイアップ128は、真空チャンバ内に封入される。真空バギングフィルム506と支持プレート508によって画成された真空チャンバは、支持プレート508を介して真空に減圧される。
【0074】
図9及び
図10に示すように、一実施例では、圧密化機構520は、所定数の封止部540を含む。一実施例では、所定数の封止部540は、支持プレート508の内表面に結合され(例えば、固定され)ており、真空バギングフィルム506に対して密閉可能に係合するよう構成されている。一実施例では、所定数の封止部540は、可撓性のリップシールの形態でもよいし、これを含むものでもよい。
【0075】
図9及び
図10は、真空バギングフィルム506に封着された支持プレート508を示しているが、真空圧力を加える前の状態である。なお、当然ながら、真空圧力を加えると、被覆マンドレルレイアップ128及び真空バギングフィルム506が支持プレート508の内表面に向かって引き寄せられて、接触する。真空圧力により、被覆マンドレルレイアップ128が真空バギングフィルム506と支持プレート508との間で圧縮され、被覆マンドレルレイアップ128のコンポーネントが圧密化されて、圧密化された被覆マンドレルパッケージ100が形成される。
【0076】
一実施例では、支持プレート508は、圧密化の後に、未硬化の圧密化被覆マンドレルパッケージ100を搬送する際にも有用である。一実施例では、圧密化の後の被覆マンドレルパッケージ100は、被覆マンドレルパッケージ100のコンポーネント同士が粘着して一体化されているだけであり、単に粘着によって一体化されているに過ぎないので、ある程度は脆弱である。一実施例では、真空バギングフィルム506及び支持プレート508は、圧密化の後も所定数の封止部540によって封着されたままの状態であると考えられる。よって、被覆マンドレルパッケージ100を搬送する際に、真空チャンバを真空に維持すれば、圧密化された状態を維持することができる。
【0077】
一実施例では、圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508に結合される。一実施例では、圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508に一時的に結合される。一実施例では、圧密化の際に、真空圧力によって被覆マンドレルパッケージ100が支持プレート508の内表面に押し付けられるので、未硬化の圧密化被覆マンドレルパッケージ100におけるコンポーネントを構成する複合材料自体が有する粘着性によって、被覆マンドレルパッケージ100は支持プレート508に固定される。別の実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508を介して積極的に真空を加え、或いは、使用することで、支持プレート508に固定される。
【0078】
一実施例では、圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100が支持プレート508に結合されたままの状態で、被覆マンドレルパッケージ100は、ダイツール502から取り外される。圧密化の後、被覆マンドレルパッケージ100がダイツール502から取り外されると、複合材構造200の形成に利用可能な被覆マンドレルパッケージ100が得られる。
【0079】
全体として
図1及び
図11~
図17を参照すると、一実施例では、複合材構造200は、複合材ストリンガ210(
図1)を含む。そのような実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、圧密化されたストリンガパッケージ206を形成するために用いられる。圧密化ストリンガパッケージ206は、その後、硬化されて、複合材ストリンガ210が形成される。
図11~
図16では、
図4~
図10に示した被覆マンドレルパッケージ100とは向きが反転した、つまり、180度回転した状態で、被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508を、示している。換言すると、
図11~
図17に示す被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508は、
図2及び
図3に示した被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508の実施例である。
図11及び
図13は、圧密化前の(即ち、圧密化の圧力が加えられる前の)ストリンガレイアップ204のコンポーネントの状態を示している。
図12及び
図14は、
図11及び
図13に示したコンポーネントで形成された圧密化構造体としての圧密化ストリンガパッケージ206を示している。
図15及び
図16は、ストリンガプリフォームの部品としての圧密化ストリンガパッケージ206を形成するためにストリンガレイアップ204を圧密化する技術の実施例を示している。
図17は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化して、複合材ストリンガ210を形成する技術の実施例を示している。
【0080】
図11~
図16を参照すると、一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、複合材チャージ202及び被覆マンドレルパッケージ100を含む。
図11及び
図13に示すように、複合材チャージ202は、被覆マンドレルパッケージ100上方に配置されて、ストリンガレイアップ204を形成する。複合材チャージ202に成形圧力又は成形力を加えることによって、複合材チャージ202が被覆マンドレルパッケージ100に沿って成形される。また、ストリンガレイアップ204に圧密化の圧力又は力を加えることによって、圧密化ストリンガパッケージ206が形成される。詳細については後述するが、1つ以上の実施例において、ストリンガレイアップ204上方に真空バッグ568(
図15及び
図16)を形成して、ストリンガレイアップ204の周縁の先で支持プレート508に封着することによって、或いは、ストリンガレイアップ204を高圧のオートクレーブに入れることによって、或いは、真空バッグ568と高圧オートクレーブとの両方を用いることによって、圧密化ストリンガパッケージ206が形成される。
【0081】
図12及び
図14に示すように、一実施例では、複合材チャージ202を被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508上方に形成する際に、複合材チャージ202が、アールフィラー(例えば、ヌードル)キャビティの残りの1つの側面である第3側面を形成するように、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116をストリンガプリフォームに封入してもよい。図示のように、アールフィラーキャビティの第1側面は、被覆マンドレル124によって形成され、アールフィラーキャビティの第2側面は、支持プレート508(例えば、
図12)によって、或いは、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122(例えば、
図14)によって形成されている。
【0082】
一実施例では、複合材チャージ202は、所定数の複合材プライ又はシートによって形成されている。各プライを構成する複合材料は、ポリマ樹脂マトリックスで結着された強化繊維を含む。複合材料に用いられる樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂がある。繊維は、一方向繊維でもよいし、織布や織物繊維の形態でもよい。複合材チャージ202における様々なプライを構成する複合材料の繊維は、同一の繊維配向であってもよいし、異なる繊維配向であってもよい。通常、複合材チャージ202のポリマ樹脂マトリックスは、第1アールフィラー114と第2アールフィラー116のポリマ樹脂マトリックス、ラッププライ102のポリマ樹脂マトリックス、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122のポリマ樹脂マトリックスに対する相溶性を有する。
【0083】
一実施例では、複合材チャージ202の複合材料の繊維と、ラッププライ102の複合材料の繊維と、内側モールドラインプライ122の複合材料の繊維とは、同じ繊維配向を有する。別の実施例では、複合材チャージ202の複合材料と、ラッププライ102の複合材料と、内側モールドラインプライ122の複合材料のうちの1つ以上における繊維は、異なる繊維配向を有する。
【0084】
図11~
図14に示すように、一実施例では、複合材チャージ202の一方又両方のエッジがテーパ付き部分を含み、例えば、複合材チャージ202は、斜面(scarf)を形成する端部を有する。このような実施例では、斜面を形成する端部は、複合材チャージ202を構成する複合材料のプライの数を順に減らすことによって形成することができる。
【0085】
一般的に、1つ以上の実施例では、ストリンガレイアップ204は、剛性のベース564上で形成される。
図11~
図14に示すように、一実施例では、剛性ベース564は、被覆マンドレルパッケージ100を形成する際に使用された支持プレート508である。換言すると、被覆マンドレルパッケージ100の形成に用いられて、被覆マンドレルパッケージ100に結合された支持プレート508上で、ストリンガレイアップ204は形成される。この構成によれば、圧密化された被覆マンドレルパッケージ100の全体をそのまま搬送して、被覆マンドレルパッケージ100が作製された、製造環境250における第1の場所から、ストリンガレイアップ204を形成するための、製造環境250における第2の場所に移動させることができるという効果が得られる。
【0086】
図12に示すように、一実施例では、複合材チャージ202を成形する際に、複合材チャージ202は、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、支持プレート508に接触する。
図14に示すように、別の実施例では、複合材チャージ202を成形する際に、複合材チャージ202は、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122に接触する。
【0087】
一実施例では、複合材チャージ202を被覆マンドレルパッケージ100上方に配置した後、ストリンガレイアップ204に圧力を加えることで、複合材チャージ202を被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508(例えば、剛性ベース564)に沿って成形する。この成形圧力は、圧密化ストリンガパッケージ206を、被覆マンドレルパッケージ100の断面形状と支持プレート508とに対して相補的な断面形状に成形するように設定されている。複合材チャージ202及び被覆マンドレルパッケージ100に加えられる圧力は、例えば、機械的圧力、真空圧力、又は、機械的圧力と真空圧力の組み合わせである。
【0088】
図1、
図15及び
図16に示すように、一実施例では、機械的圧力は、機械式成形ツール560を用いて加えられる。機械式成形ツール560は、任意の適当な構成を有する。一実施例では、機械式成形ツール560は、複数のメカニカルフィンガ566を有する。機械的圧力を加えることは、メカニカルフィンガ566を用いて、複合材チャージ202を被覆マンドレルパッケージ100に対して押圧することを含み、具体的には、メカニカルフィンガ566を被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508上の複合材チャージ202に沿ってスライドさせることを含む。
【0089】
図1、
図15及び
図16に示すように、一実施例では、真空圧力は、真空成形機器562を用いて供給される。真空成形機器562は、任意の所望の構成を取ることが可能である。一実施例では、真空成形機器562は、真空バッグ568、所定数の封止部570、配管、真空源のうちの少なくとも1つを含む。真空圧力を加えることで、真空バッグ568によってストリンガレイアップ204を支持プレート508に対して押し付けて、圧密化する。
【0090】
メカニカルフィンガ566は、任意の形状のものが可能であり、任意の所望の動力源で作動可能である。
図16に示すように、複合材チャージ202及び被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508(例えば、剛性ベース564)と真空バッグ568との間に配置されている。被覆マンドレルパッケージ100は、支持プレート508上で複合材チャージ202を成形するために含まれている。一実施例では、複合材チャージ202をメカニカルフィンガ566で成形する際は、特に反曲点(inflection point)228及び反曲点230(
図16)においてプライのブリッジングが発生しないようにする必要があり、特に、プライのブリッジングが反曲点228及び反曲点230を跨ぐことのないようにする必要がある。換言すると、被覆マンドレルパッケージ100に沿って複合材チャージ202を成形する際に、メカニカルフィンガ566のフィンガ先端部574を複合材チャージ202にスライドさせることで、複合材チャージ202と被覆マンドレルパッケージ100との間でプライのブリッジングを回避することができる。メカニカルフィンガ566は、複合材チャージ202を押し均して、反曲点228及び反曲点230に圧密化ストリンガパッケージ206の第1ウェブ212及び第2ウェブ214(
図12及び
図14)を形成することで、プライのブリッジングを回避する。
【0091】
図16は、ストリンガレイアップ204を圧密中の機械式成形ツール560の実施例を示す。この例示的な実施例では、ストリンガレイアップ204は、複合材チャージ202及び被覆マンドレルパッケージ100を含み、この被覆マンドレルパッケージは、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122を含む。なお、
図16に示す実施例のストリンガレイアップ204は、内側モールドラインプライ122を含むが、内側モールドラインプライ122は、任意のコンポーネントである。
【0092】
一実施例では、機械式成形ツール560によって機械的圧力を加えて複合材チャージ202を成形することで、ストリンガレイアップ204が形成され、次いで、真空成形機器562によって真空圧力を加えてストリンガレイアップ204を圧密化することで、圧密化ストリンガパッケージ206が形成される。別の実施例では、機械的圧力と真空圧力を、実質的に同時に加える。一実施例では、真空圧力は、機械的圧力よりも長くストリンガレイアップ204に残る。
図16に示すように、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508上に配置された複合材チャージ202に沿って、複数のメカニカルフィンガ566をスライドさせる。複合材チャージ202にメカニカルフィンガ566で機械的圧力を加えることで、複合材チャージ202が成形及び圧密化される。一実施例では、真空バッグ568の下に配置されたストリンガレイアップ204に、真空圧力が加えられる。
【0093】
図16は、被覆マンドレルパッケージ100に沿って複合材チャージ202を成形する過程の一部を担う機械式成形ツール560を示す。一実施例による成形及び圧密化処理では、先ず、複合材チャージ202が被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508上に配置される。次いで、真空バッグ568が複合材チャージ202上に配置される。
【0094】
一実施例では、次いで、機械式成形ツール560のキャップ形成部572を真空バッグ568と接触させて機械的圧力を加える。これにより、真空バッグ568の一部と複合材チャージ202の一部を、被覆マンドレルパッケージ100の頂面140に対して押圧する。換言すると、複合材チャージ202の一部が、真空バッグ568と被覆マンドレルパッケージ100との間に挟まれる。成形処理のこの過程で、真空バッグ568及び複合材チャージ202が被覆マンドレルパッケージ100の頂面140に沿って部分的に成形されて、圧密化ストリンガパッケージ206のキャップ部220(
図12及び
図14)に相当する部分が形成される。
【0095】
一実施例では、次いで、メカニカルフィンガ566のフィンガ先端部574を、真空バッグ568に接触させる。この際に、被覆マンドレルパッケージ100の頂部近傍において、例えば、被覆マンドレルパッケージ100の頂面140と第1側面142の間の反曲点、及び、被覆マンドレルパッケージ100の頂面140と第2側面144の間の反曲点の、両反曲点162の近傍において接触させる。成形処理のこの過程で、真空バッグ568及び複合材チャージ202のうち、被覆マンドレルパッケージ100の第1側面142と第2側面144上に位置する部分が部分的に成形されて、圧密化ストリンガパッケージ206において(
図12及び
図14)、キャップ部220と第1ウェブ212の間、及び、キャップ部と第2ウェブ214との間の両反曲点228(
図16)に相当する部分が形成される。
【0096】
一実施例では、次いで、メカニカルフィンガ566のフィンガ先端部574を、被覆マンドレルパッケージ100の第1側面142及び第2側面144に沿って下方外側にスライドさせて機械的圧力を加える。これにより、真空バッグ568の一部と複合材チャージ202の一部を、それぞれ被覆マンドレルパッケージ100の第1側面142と第2側面144に対して押圧する。換言すると、複合材チャージ202の一部が、真空バッグ568と、被覆マンドレルパッケージ100の第1側面142及び第2側面144と、の間に挟まれる。成形処理のこの過程で、真空バッグ568及び複合材チャージ202が第1側面142及び第2側面144に沿ってさらに成形されて、圧密化ストリンガパッケージ206の第1ウェブ212及び第2ウェブ214(
図12及び
図14)に相当する部分が形成される。
【0097】
一実施例では、メカニカルフィンガ566のフィンガ先端部574を、被覆マンドレルパッケージ100の第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116に向かって下方外側にさらにスライドさせて機械的圧力を加える。これにより、真空バッグ568の一部と複合材チャージ202の一部を、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116に対して押圧する。換言すると、複合材チャージ202の一部が、真空バッグ568と、被覆マンドレルパッケージ100の第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116と、の間に挟まれる。成形処理のこの過程において、真空バッグ568及び複合材チャージ202が第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116に沿ってさらに成形されて、圧密化ストリンガパッケージ206における(
図12及び
図14)第1ウェブ212と第1フランジ216との間、及び、第2ウェブ214と第2フランジ218との間に、反曲点230(
図16)に相当する部分が形成される。
【0098】
一実施例では、次いで、(例えば、所定数の封止部570を介して)封着された真空バッグ568と支持プレート508との間にあるストリンガレイアップ204に真空圧力を加えることで、真空バッグ568の一部と複合材チャージ202の一部を支持プレート508に対して押圧する。換言すると、複合材チャージ202の一部が、真空バッグ568と支持プレート508との間に挟まれる。或いは、
図16に示すように、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122がある場合は、複合材チャージ202の一部が、真空バッグ568と内側モールドラインプライとの間に挟まれる。成形処理のこの過程で、複合材チャージ202が支持プレート508に沿ってさらに成形されて、圧密化ストリンガパッケージ206の第1フランジ216及び第2フランジ218(
図12及び
図14)に相当する部分が形成される。
【0099】
上述の処理によれば、プライのしわをのばしつつ、また、反曲点228及び反曲点230(
図16)におけるブリッジングを防ぎつつ、被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508に沿って、ストリンガレイアップ204(又は、ストリンガプリフォーム)を成形することができる。また、この処理によれば、複合材チャージ202を成形する際に、真空バッグ568のしわをのばすように、真空バッグ568を適切に設置することが可能になる。
【0100】
図15及び
図16における機械式成形ツール560及び真空成形機器562の図示は、実施例の態様を物理的又は構造的に限定することを意図していない。一実施例では、機械式成形ツール560は、任意の所望の数及び形状のメカニカルフィンガ566を含んでもよい。一実施例では、機械式成形ツール560のキャップ形成部572は、別の形状であってもよい。一実施例では、機械式成形ツール560は、ストリンガレイアップ204に機械的圧力を加えるダイヤフラム又は膨張式被覆を含んでもよい。一実施例では、機械式成形ツール560は、より具体的には、メカニカルフィンガ566は、真空バッグ568の一部と複合材チャージ202の一部を支持プレート508に対して押圧する機械的圧力を加えるように構成されている。一実施例では、真空成形機器562は、様々な真空成形装置のうちの任意のものを含んでもよい。
【0101】
いくつかの実施例において、最終的に圧密化ストリンガパッケージ206を形成する、複合材チャージ202などの1つ以上のコンポーネントに機械的圧力及び真空圧力の少なくとも一方を加える処理は、は、周囲温度において行ってもよい。別の実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206の複合材チャージ202又はその他のコンポーネントに機械的圧力又は真空圧力の少なくとも一方を加える処理は、加熱しながら行ってもよい。
【0102】
一般的に、圧密化ストリンガパッケージ206の断面形状は、被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508の一部の断面形状によって画成される。
図12及び
図14に示すように、一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、例えばハット形状断面など、部分的に閉じた断面形状を有する。そのような実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、第1ウェブ212、第2ウェブ214、キャップ部220、第1フランジ216、及び、第2フランジ218を含む。キャップ部220は、第1ウェブ212と第2ウェブ214の間にあり、両ウェブを繋いている。第1ウェブ212と第2ウェブ214は、キャップ部220から見てそれぞれ反対の側に位置する。第1フランジ216は、第1ウェブ212に繋がっており、そこから延出する。第2フランジ218は、第2ウェブ214に繋がっており、そこから延出する。第1フランジ216と第2フランジ218は、キャップ部220から見てそれぞれ反対の側に位置する。
【0103】
概して、
図11~
図14に示すように、被覆マンドレルパッケージ100によって、キャップ部220、第1ウェブ212、及び、第2ウェブ214が成形され、支持プレート508によって、第1フランジ216及び第2フランジ218が成形される。例えば、キャップ部220は、キャップ成形面とも呼ぶ、被覆マンドレルパッケージ100の頂面140によって成形される。第1ウェブ212は、第1ウェブ成形面とも呼ぶ、被覆マンドレルパッケージ100の第1側面142によって成形される。第2ウェブ214は、第2ウェブ成形面とも呼ぶ、被覆マンドレルパッケージ100の第2側面144によって成形される。第1フランジ216及び第2フランジ218は、支持プレート508の表面532によって成形される。
【0104】
図12に示すように、一実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、複合材チャージ202と、被覆マンドレル124と、支持プレート508との間に配置される。第1アールフィラー114は、第1ウェブ212と、被覆マンドレル124と、支持プレート508の間の湾曲形状に適合して、順応する(例えば、3つの壁に囲まれた空間を埋める)。第2アールフィラー116は、第2ウェブ214と、被覆マンドレル124と、支持プレート508の間の湾曲形状に適合して、順応する(例えば、3つの壁に囲まれた空間を埋める)。ラッププライ102の一部は、第1アールフィラー114と第2アールフィラー116の間に延びており、つまり第1フランジ216と第2フランジ218を繋いている。一実施例では、ラッププライ102の一部、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116は、圧密化ストリンガパッケージ206の底部222を構成する。底部222は、第1フランジ216と第2フランジ218を繋ぐとともに、キャップ部220、第1ウェブ212、及び、第2ウェブ214の下側に延びている。
【0105】
図14に示すように、内側モールドラインプライ122を含む実施例では、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116は、複合材チャージ202と、被覆マンドレル124と、内側モールドラインプライ122と、の間に位置する。第1アールフィラー114は、第1ウェブ212と、被覆マンドレル124と、内側モールドラインプライ122の間の湾曲形状に適合して、順応する(例えば、3つの壁に囲まれた空間を埋める)。第2アールフィラー116は、第2ウェブ214と、被覆マンドレル124と、内側モールドラインプライ122の間の湾曲形状に適合して、順応する(例えば、3つの壁に囲まれた空間を埋める)。内側モールドラインプライ122は、第1アールフィラー114と第2アールフィラー116の先まで延びており、つまり第1フランジ216と第2フランジ218を繋いている。一実施例では、内側モールドラインプライ122は、圧密化ストリンガパッケージ206の底部222を構成する。底部222は、第1フランジ216と第2フランジ218を繋ぐとともに、キャップ部220、第1ウェブ212、及び、第2ウェブ214の下側に延びている。
【0106】
一実施例では、
図16に示すように、(例えば、複合材チャージ202を成形する機械的圧力を加える、或いは、ストリンガレイアップ204に真空圧力を加えるなど)圧力を加えると、複合材チャージ202は、被覆マンドレルパッケージ100のラッププライ102に付着する。圧力を加えると、複合材チャージ202は、第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116にも付着する(例えば、少なくとも、適切な位置で固定される)。内側モールドラインプライ122を含む実施例では、圧力を加えると、複合材チャージ202は内側モールドラインプライ122にも付着する(例えば、少なくとも、適切な位置で固定される)。
【0107】
成形及び圧密化が(例えば、機械的圧力及び/又は真空圧力を加えることによって)行われた後の圧密化ストリンガパッケージ206は、未硬化ではあるが、十分な剛性を有しているので、支持プレート508に載った状態で製造環境250(
図1)内で搬送されることができる。
【0108】
一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、支持プレート508(例えば、剛性ベース564)上で形成(例えば、成形及び圧密化)される。圧密化ストリンガパッケージ206が形成されると、圧密化ストリンガパッケージ206は、支持プレート508に載った状態で、硬化処理のため搬送される。この構成によれば、圧密化されたストリンガパッケージ206全体をそのまま搬送して、圧密化ストリンガパッケージ206が作製された、製造環境250における第2の場所から、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させて複合材ストリンガ210を形成するための、製造環境250における第3の場所へ移動させることができるという効果が得られる。
【0109】
図1及び
図17を参照すると、圧密化ストリンガパッケージ206は、硬化ツール550に設置される。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、硬化ツール550の空洞部552に設置される。空洞部552は、硬化ツール550における特異な位置である。空洞部552には、圧密化ストリンガパッケージ206が嵌るようになっている。通常、硬化ツール550の空洞部552の形状は、形成される複合材構造200に対応する。例えば、複合材構造200の幾何形状に基づいて、例えば、複合材ストリンガ210の幾何形状に基づいて、空洞部552の幾何形状が設計される。圧密化ストリンガパッケージ206及び空洞部552は、所望の幾何形状の複合材構造200が得られるように形成される。さらに、圧密化ストリンガパッケージ206は、空洞部552の湾曲に対して相補的な形状を有する。
【0110】
図17に示すように、一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化ツール550に設置した後、圧密化ストリンガパッケージ206上方に複合材外板208を配置する。次いで、複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206は、硬化ツール550上で共硬化されて、複合材構造200(
図1)が形成される。
図17は、硬化前の複合材構造200を構成する複合材レイアップのコンポーネントを示す。
【0111】
一実施例では、複合材構造200は、航空機用の外板パネルアセンブリの例である。複合材外板208は、航空機用の外板パネルアセンブリの外板の例である。圧密化ストリンガパッケージ206は、複合材ストリンガ210など、航空機用の外板パネルアセンブリにおけるスティフナの例である。したがって、
図17の例示的な実施例では、複合材外板208の表面224(例えば、外表面又は頂面)が外板パネルアセンブリの外側モールドライン(OML)を構成し、複合材外板208の表面226(例えば、内表面又は底面)が、外板パネルアセンブリの内側モールドライン(IML)を構成し、圧密化ストリンガパッケージ206と向い合せに配置される。
【0112】
図17に示す例示的な実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、複合材チャージ202、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122を含む。このような実施例では、複合材外板208は、内側モールドラインプライ122と向い合せに配置される。
図17に示す実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、
図14の圧密化ストリンガパッケージ206と同様のレイアップ構造(例えば、内側モールドラインプライ122が含まれている)を有するが、別の実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206のレイアップは、任意の所望の構造を有するものでもよい。例えば、圧密化ストリンガパッケージ206は、
図12に示した圧密化ストリンガパッケージ206と同様に、複合材チャージ202、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116を含むレイアップ構造のものでもよい。そのような実施例では、複合材外板208は、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116と向い合せに配置される。
【0113】
一実施例では、複合材外板208は、所定数の複合材プライ又はシートによって形成されている。各プライを構成する複合材料は、ポリマ樹脂マトリックスで結着された強化繊維を含む。複合材料に用いられる樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂がある。繊維は、一方向繊維でもよいし、織布や織物繊維の形態でもよい。複合材外板208の様々なプライを構成する複合材料の繊維は、同一の繊維配向であってもよいし、異なる繊維配向であってもよい。通常、複合材外板208のポリマ樹脂マトリックスは、複合材チャージ202のポリマ樹脂マトリックス、第1アールフィラー114と第2アールフィラー116のポリマ樹脂材料、ラッププライ102のポリマ樹脂マトリックス、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122のポリマ樹脂マトリックスに対する相溶性を有する。
【0114】
一実施例では、複合材外板208の複合材料の繊維と、複合材チャージ202の複合材料の繊維と、ラッププライ102の複合材料の繊維と、内側モールドラインプライ122の複合材料の繊維は、同じ繊維配向を有する。別の実施例では、複合材外板208の複合材料と、複合材チャージ202の複合材料と、ラッププライ102の複合材料と、内側モールドラインプライ122の複合材料の1つ以上は、異なる繊維配向を有する。一実施例では、各プライは、一方向性のトウやテープが隣接して構成されており、特定の配向の平行繊維を有するプライが形成されている。一実施例では、プライとプライおける繊維の配向は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0115】
一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、成形用マンドレルとして機能する。そのような実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206の形成後(例えば、成形及び圧密化の後)、圧密化ストリンガパッケージ206からマンドレル104を取り外す。マンドレル104を取り外した後も、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122は、圧密化ストリンガパッケージ206の一部として残っている。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206からマンドレル104を取り外した後、圧密化ストリンガパッケージ206を、硬化ツール550(
図17)に設置し、硬化させることで複合材ストリンガ210が形成される。そのような実施例では、真空バッグ、膨張式被覆、又は、その他の種類の加圧装置を用いて、硬化中の圧密化ストリンガパッケージ206を内側から支持する。硬化後の複合材チャージ202、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122によって、複合材ストリンガ210が構成される。
【0116】
したがって、マンドレル104を構成する材料としては、圧密化ストリンガパッケージ206の形成中は、圧密化ストリンガパッケージ206を支持し、その形状を維持可能であるとともに、形成後は、圧密化ストリンガパッケージ206から容易に取り外し可能な任意の材料で構成することができる。
【0117】
一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、成形用マンドレル及び硬化用マンドレルとして機能する。そのような実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させて複合材ストリンガ210を形成する間は、圧密化ストリンガパッケージ206の中に維持される。圧密化ストリンガパッケージ206の硬化、及び、複合材ストリンガ210の形成の後、マンドレル104は、複合材ストリンガ210から取り外される。硬化後の複合材チャージ202、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122によって、複合材ストリンガ210が構成される。マンドレル104を取り外した後も、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122は、複合材ストリンガ210の一部として残っている。
【0118】
したがって、マンドレル104を構成する材料としては、形成中及び硬化中は、圧密化ストリンガパッケージ206を支持し、その形状を維持可能であるとともに、複合材構造200(例えば、複合材ストリンガ210)の成形後は、複合材構造200から容易に取り外し可能な状態の任意の材料で構成することができる。マンドレル104の実施例は、中実マンドレル、中空マンドレル、折畳み式マンドレル(collapsible mandrel)、溶融可能マンドレル、又は、膨張式のマンドレルのうちの少なくとも1つを含む。
【0119】
一実施例では、折畳み式マンドレルは、フォーム材部分と剛性の中央部分とを含む。折畳み式マンドレルは、フォーム材部分を折り畳むことにより、マンドレル104を形成後の複合材構造200のその他の部分から取り外すことができる。折畳み式マンドレルの取出しを可能にするために縮小すべき体積の最小値は、複合材ストリンガ210の輪郭など、様々な要因に依存して決まる。
【0120】
一実施例では、膨張式マンドレルは、ポリマ材料、金属材料、その他の適当な気密性材料など、任意の所望の材料で構成された膨張式被覆を含む。膨張式マンドレルの膨張式被覆を収縮させることにより、マンドレル104を形成後の複合材構造200のその他の部分から取り外すことが可能になる。
【0121】
このような実施例では、マンドレル104の取り外しを圧密化ストリンガパッケージ206の硬化前に行う場合でも、硬化後に行う場合でも、被覆マンドレルパッケージ100は、取り外しのための手段又は機構を含む。一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、マンドレル104とラッププライ102の間に、1つ以上の追加の材料層を含む。1つ以上の追加の材料層は、ラッププライ102をマンドレル104に巻き付ける前に、マンドレル104に巻き付けられる。例えば、被覆マンドレルパッケージ100は、被覆マンドレルパッケージ100の圧密化中、圧密化ストリンガパッケージ206の圧密化中、及び/又は、圧密化ストリンガパッケージ206の硬化中に、ラッププライ102がマンドレル104に付着してしまうことを防止する離型プライ(図示せず)を含む。
【0122】
図示はしていないが、1つ以上の実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、複雑な輪郭(complex contour)を有する。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、その長さ方向に沿って、所定数の複雑な輪郭形状部分を含む。圧密化ストリンガパッケージ206の輪郭は、一定の形状であっても、不規則な形状であってもよい。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、XY平面の湾曲(curvature)、及び/又は、XZ平面の湾曲を含む。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、例えば、X軸に沿ってねじれた形状でもよい。圧密化ストリンガパッケージ206の輪郭は、一定の角度でねじれた形状でもよいし、変化する角度でねじれた形状でもよい。本開示においては、「湾曲」という用語は、主長手軸における屈曲(bend)又はジョグル(joggle)を意味する。また、本開示においては、「ねじれ(twist)」という用語は、長手軸に沿った回転を意味し、屈曲又はジョグルとは異なり、回転はしていても、概ね長手軸に沿って延びる。
【0123】
したがって、
図18~
図22に示すように、1つ以上の実施例において、被覆マンドレルパッケージ100は、複雑な輪郭を有し、この輪郭が、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成される圧密化ストリンガパッケージ206の輪郭を画成する。
図18~
図22に示すように、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、その主長手軸(即ち、その長さ)に沿って、所定数の複雑な輪郭形状部分を含む。被覆マンドレルパッケージ100の輪郭は、一定の形状であっても、不規則な形状であってもよい。輪郭は、1つ又は複数の屈曲、ジョグル、及び/又は、ねじれを含んでもよい。一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、XY平面の湾曲、及び/又は、XZ平面の湾曲を含む。一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、ねじれも有する。被覆マンドレルパッケージ100は、一定の角度でねじれた形状でもよいし、変化する角度θでねじれた形状でもよい(
図19及び
図20)。
【0124】
図18は、被覆マンドレルパッケージ100の複雑な輪郭(例えば、湾曲及びねじれ)を含む。
図19及び
図20は、被覆マンドレルパッケージ100におけるYZ平面のねじれを示す図である。
図21は、被覆マンドレルパッケージ100におけるXY平面のジョグルを示す図である。
図22は、被覆マンドレルパッケージ100におけるXZ平面の屈曲を示す図である。
【0125】
図18~
図22に示す実施例の被覆マンドレルパッケージ100は、
図3に示す被覆マンドレルパッケージ100と同様のレイアップ構造(例えば、内側モールドラインプライ122が含まれている)を有するが、別の実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、任意の所望のレイアップ構造を有するものでもよい。例えば、被覆マンドレルパッケージ100は、
図2に示す被覆マンドレルパッケージ100と同様のレイアップ構造を有するものでもよい。
【0126】
したがって、1つ以上の実施例において、圧密化ストリンガパッケージ206の被覆マンドレルパッケージ100は、XY軸、XZ軸、及び/又は、YZ軸の少なくとも1つに沿った輪郭を有する。通常、被覆マンドレルパッケージ100の輪郭は、形成すべき複合材ストリンガ210又は複合材構造200の所望の輪郭に対応する。例えば、複合材ストリンガ210の輪郭など、複合材構造200の輪郭によって、圧密化ストリンガパッケージ206の輪郭の設計が画成され、よって、被覆マンドレルパッケージ100の輪郭の設計が画成される。被覆マンドレルパッケージ100及び圧密化ストリンガパッケージ206は、複合材ストリンガ210などの複合材構造200を所望の輪郭に形成するのに適した輪郭に形成される。
【0127】
したがって、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100の湾曲によって、圧密化ストリンガパッケージ206の湾曲が形成される。YZ平面のねじれは、ロールとも言い、XZ平面の湾曲(例えば、屈曲又はジョグル)は、ピッチとも言い、XY平面の湾曲(例えば、屈曲又はジョグル)は、ヨーとも言う。
【0128】
被覆マンドレルパッケージ100が湾曲を有する実施例では、支持プレート508は、相補的な湾曲を有する。さらに、被覆マンドレルパッケージ100が湾曲を有する実施例では、ダイツール502のキャビティ504(
図4~
図10)を画成するダイ第1部分512及びダイ第2部分514のツール表面は、相補的な湾曲を有する。加えて、被覆マンドレルパッケージ100が湾曲を有し、よって、圧密化ストリンガパッケージ206も湾曲を有する実施例では、硬化ツール550の空洞部552(
図17)も、相補的な湾曲を有する。
【0129】
図1を参照すると、一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、複数の圧密化ストリンガパッケージのうちの1つである。したがって、複合材ストリンガ210は、複合材構造200における複数の複合材ストリンガのうちの1つである。一実施例では、航空機の胴体や翼の一部である複合材構造200を形成するためには、複数の圧密化ストリンガパッケージが形成される。複数の圧密化ストリンガパッケージは、圧密化ストリンガパッケージをいくつ含んでもよい。明示はしていないが、複数の圧密化ストリンガパッケージは、それぞれ複合材チャージを含み、各複合材チャージは、対応する被覆マンドレルパッケージに沿って形成された、部分的に閉じた断面形状(例えば、ハット形状断面)を有する。例えば、複数の圧密化ストリンガパッケージの各々は、複合材チャージ、複合材チャージに接触する第1アールフィラー、複合材チャージに接触する第2アールフィラー、及び、被覆マンドレルを含み、この被覆マンドレルは、キャップ部と、第1ウェブと、第2ウェブと、任意のコンポーネントであって、第1フランジと第2フランジの間に位置する内側モールドラインプライと、の内側に配置されている。
【0130】
そのような実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージを形成することは、複数の複合材チャージを、それぞれの被覆マンドレルパッケージ上方に配置することを含む。各被覆マンドレルパッケージは、それぞれ対応する剛性ベース(例えば、支持プレート)に対して相補的な湾曲を有する。
【0131】
一実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージ206は、複数の複合材ストリンガ210を形成するために硬化ツール550に設置される。一実施例では、各圧密化ストリンガパッケージ206は、硬化ツール550における特定の場所に対して相補的な湾曲を有する。各圧密化ストリンガパッケージ206が特定の場所に対して相補的な湾曲を有する場合は、各圧密化ストリンガパッケージ206は、それぞれ対応する被覆マンドレルパッケージ100と、それぞれ対応する支持プレート508(例えば、剛性ベース564)と、を有する。
【0132】
一実施例では、必要なすべての圧密化ストリンガパッケージ206を硬化ツール550に設置した後、これら圧密化ストリンガパッケージ206上方に1つ以上の複合材外板208を配置する。次いで、これらの複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206とを、硬化ツール550において共硬化させる。
【0133】
図1には示してないが、1つ以上の実施例において、製造環境250は、所定数の搬送機構(carrier)、所定数のシャトル、又は、複合材プライの移動及び配置用のその他の機器を含む。1つ以上の実施例において、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び/又は、内側モールドラインプライ122のうちの少なくとも1つは、被覆マンドレルパッケージ100を形成するための機器を用いて移動及び配置することができる。1つ以上の実施例において、複合材チャージ202、及び/又は、(例えば、支持プレート508上に支持された)被覆マンドレルパッケージ100の内の少なくとも1つは、圧密化ストリンガパッケージ206を形成するための機器を用いて移動及び配置することができる。1つ以上の実施例において、(例えば、支持プレート508上に支持された)圧密化ストリンガパッケージ206は、複合材ストリンガ210を形成するための機器を用いて移動及び配置することができる。別の実施例では、1つ以上のコンポーネントを手作業で移動又は配置してもよい。
【0134】
図1には示していないが、1つ以上の実施例では、製造環境250に加熱機器を含んでもよい。任意の形態の加熱機器を用いて、加熱を行うことができる。一実施例では、被覆マンドレルレイアップ128に真空圧力を加えて圧密化された被覆マンドレルパッケージ100を形成する際に、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122を加熱してもよい。一実施例では、加熱により、複合材料のプライに含まれる樹脂の粘着性を高めることができる。一実施例では、ストリンガレイアップ204に真空圧力を加えて圧密化ストリンガパッケージ206を形成する際に、ストリンガレイアップ204を加熱してもよい。ストリンガレイアップ204を加熱すると、室温時に比べて、ストリンガレイアップ204に含まれる複合材料の柔軟性が高まる。圧密化ストリンガパッケージ206を形成する際にストリンガレイアップ204を加熱することによって、圧密化ストリンガパッケージ206に生じうる欠陥(inconsistency)を減らすことができる。
【0135】
全体としては
図1及び
図2を参照し、具体的には、
図23を参照して、本開示は、複合材構造200の製造に用いられる被覆マンドレルパッケージ100を製造するための方法1000の実施例を提供する。概して、方法1000の実施例を用いれば、例えば、
図2に示した被覆マンドレルパッケージ100の実施例、及び/又は、
図3に示す被覆マンドレルパッケージ100の実施例など、本開示の被覆マンドレルパッケージ100の任意の実施例を形成することができる。
【0136】
全体としては
図4~
図10を参照し、具体的には、
図23を参照すると、一実施例では、方法1000は、
図4に示すように、ダイツール502のキャビティ504上方にラッププライ102を配置するステップ(ブロック1002)を含む(例えば、このステップで開始される)。方法1000は、
図4に示すように、ラッププライ102上にマンドレル104を配置するステップ(ブロック1004)を含む。方法1000は、
図5に示すように、マンドレル104及びラッププライ102をキャビティ504の中に押し込むステップ(ブロック1006)を含む。方法1000は、
図5及び
図6に示すように、ラッププライ102をマンドレル104に巻き付けるステップ(ブロック1008)を含み、これにより、被覆マンドレル124を形成する。方法1000は、
図7に示すように、第1アールフィラー114を被覆マンドレル124の第1アール部118に配置するステップ(ブロック1010)を含む。方法1000は、
図7に示すように、第2アールフィラー116を被覆マンドレル124の第2アール部120に配置するステップ(ブロック1012)を含む。方法1000は、
図9に示すように、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116を圧密化して、被覆マンドレルパッケージ100を形成するステップ(ブロック1014)を含む。一実施例では、方法1000は、この圧密化ステップ(ブロック1014)の後、終了する。
【0137】
全体として
図4及び
図5を参照し、具体的には
図23を参照すると、一実施例では、方法1000は、マンドレル104及びラッププライ102をキャビティ504の中に押し込むステップ(ブロック1006)の際に、ダイツール502のダイ第1部分512とダイツール502のダイ第2部分514を互いに対して相対的に移動させる(例えば、分離させる)ステップを含む。一実施例では、マンドレル104及びラッププライ102がキャビティ504の中に押し込まれると、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514は互いに遠ざかる(例えば、分離する)ように移動し、これにより、キャビティ504が大きくなる。
【0138】
一実施例では、方法1000は、ダイツール502のダイ第1部分512とダイツール502のダイ第2部分514を互いに対して相対的に(例えば、遠ざかるように、或いは、近づくように)移動させる際に、ダイ第1部分512の第1噛合いフィンガ544とダイ第2部分514の第2噛合いフィンガ546を互いに噛み合わせるステップを含む。例えば、ダイ第1部分512とダイ第2部分514を互いに対して相対的に移動させる(例えば、分離させる)ステップは、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514を互いに対して互い違いに噛合った状態で移動させる(例えば、分離させる)ステップを含む。
【0139】
全体として
図4を参照すると、一実施例では、方法1000は、キャビティ504の中に配置されたウェッジ554によってラッププライ102を支持するステップを含む。一実施例では、ラッププライ102をウェッジ554で支持することにより、ウェッジ554の第3ツール面556を用いて、ラッププライ102の中央部156をマンドレル104の頂面106に対して押圧する。
【0140】
図5を参照すると、一実施例では、方法1000は、マンドレル104及びラッププライ102をキャビティ504の中に押し込む際に、ウェッジ554を用いて、ダイ第1部分512及びダイ第2部分514を分離するように押し動かすステップを含む。
【0141】
全体として
図5、
図6A及び
図6Bを参照し、具体的には
図23を参照すると、一実施例では、方法1000によれば、ラッププライを巻き付けるステップ(ブロック1008)は、
図5に示すように、ダイツール502を用いて、ラッププライ102の第1中間部158をマンドレル104の外表面126の第2側面110に沿ってスイーピングするステップを含み、これにより、マンドレル104を部分的にラッププライ102で包んで、部分的に巻かれた被覆マンドレル146を形成する。一実施例では、ラッププライを巻き付けるステップ(ブロック1008)は、ダイツール502を用いて、ラッププライ102の第1中間部158をマンドレル104の外表面126の第2側面110に沿ってスイーピングするステップを含み、これにより、ラッププライ102でマンドレル104を部分的に包んで、部分的に巻かれた被覆マンドレル146を部分的に形成する。よって、
図5に示すような、部分的に巻かれた被覆マンドレル146が形成される。一実施例では、ラッププライを巻き付けるステップ(ブロック1008)は、
図6A及び
図6Bに示すように、スイープアーム510を用いて、ラッププライ102の第1端部130及び第2端部132をマンドレル104の外表面126の底面112に沿ってスイーピングするステップを含み、これにより、マンドレル104をラッププライ102で完全に包んで、被覆マンドレル124を形成する。
【0142】
一実施例では、方法1000は、圧密化のステップ(ブロック1014)の前に、
図8に示すように、内側モールドラインプライ122を被覆マンドレル124、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116上に配置するステップを含む。方法1000によれば、一実施例では、圧密化のステップ(ブロック1014)は、
図10に示すように、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122を圧密化して、被覆マンドレルパッケージ100を形成するステップを含む。
【0143】
方法1000によれば、一実施例では、圧密化のステップ(ブロック1014)は、真空圧力を加えるステップを含む。一実施例では、
図9に示すように、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)に、真空圧力が加えられる。別の実施例では、
図10に示すように、内側モールドラインプライ122、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、被覆マンドレル124(即ち、ラッププライ102で包まれたマンドレル104)に、真空圧力が加えられる。
【0144】
一実施例では、方法1000は、ラッププライ102を配置するステップ(ブロック1002)の前に、ダイツール502のキャビティ504に真空バギングフィルム506を配置するステップを含む。一実施例では、ラッププライ102は、真空バギングフィルム506上に、或いは、上方に配置される。方法1000によれば、一実施例では、真空バギングフィルム506は、ウェッジ554上に配置され、ラッププライ102は、真空バギングフィルム506上に配置される。換言すると、ラッププライ102を配置するステップ(ブロック1002)は、キャビティ504上方に位置する真空バギングフィルム506上にラッププライ102を配置するステップを含む。一実施例では、方法1000は、例えば、圧密化ステップ(ブロック1014)の際に真空圧力を加えるために、支持プレート508を真空バギングフィルム506に封着するステップを含む。
【0145】
一実施例では、方法1000は、圧密化ステップ(ブロック1014)に続いて、被覆マンドレルパッケージ100を支持プレート508に結合するステップと、被覆マンドレルパッケージ100をダイツール502のキャビティ504から取り外すステップとを含む。
【0146】
一実施例では、方法1000は、圧密化ステップ(ブロック1014)の際に、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116をラッププライ102に付着させるステップを含む。一実施例では、方法1000は、圧密化ステップ(ブロック1014)の際に、内側モールドラインプライ122を、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、ラッププライ102に付着させるステップを含む。
【0147】
全体としては
図11~
図17を参照し、具体的には、
図24を参照すると、本開示は、複合材構造200を製造するための方法2000の実施例を提供する。概して、方法2000の実施例を用いれば、本開示の複合材構造200の任意の実施例を形成することができ、例えば、複合材ストリンガ210の実施例、及び/又は、1つ以上の複合材ストリンガ210と1つ以上の複合材外板208を含む複合材構造200の実施例などを形成することができる。
【0148】
全体としては
図11~
図17を参照し、具体的には、
図24を参照すると、一実施例では、方法2000は、
図11及び
図13に示すように、被覆マンドレルパッケージ100上方に複合材チャージ202を配置するステップ(ブロック2002)を含む(例えば、そのステップで開始される)。一実施例では、方法2000は、
図16に示すように、複合材チャージ202を被覆マンドレルパッケージ100に沿って成形して、ストリンガレイアップ204を形成するステップ(ブロック2004)を含む。一実施例では、方法2000は、
図16に示すように、ストリンガレイアップ204を圧密化して、圧密化ストリンガパッケージ206(
図12及び
図14)を形成するステップ(ブロック2006)を含む。
【0149】
全体としては
図15及び
図16を参照し、具体的には
図24を参照すると、方法2000によれば、一実施例では、複合材チャージ202を成形するステップ(ブロック2004)は、被覆マンドレルパッケージ100及び支持プレート508に沿って複合材チャージ202を成形するように、機械的圧力を加えるステップ(ブロック2008)を含み、これにより、ストリンガレイアップ204を形成する。方法2000によれば、一実施例では、ストリンガレイアップ204を圧密化するステップ(ブロック2006)は、ストリンガレイアップに真空圧力を加えるステップ(ブロック2010)を含み、これにより、圧密化ストリンガパッケージ206(
図12及び
図14)を形成する。一実施例では、方法2000は、複合材チャージ202を成形するステップ(ブロック2004)及びストリンガレイアップ204を圧密化するステップ(ブロック2006)の後、終了する。
【0150】
方法2000によれば、一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、被覆マンドレル124を含む。被覆マンドレル124は、
図2及び
図3に示すように、マンドレル104と、マンドレル104に巻き付けられた、或いは、マンドレルを包むラッププライ102と、を含む。一実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、被覆マンドレル124の第1アール部118に結合された第1アールフィラー114、及び、被覆マンドレル124の第2アール部120に結合された第2アールフィラー116を含む。このような実施例では、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116が圧密化されて、被覆マンドレルパッケージ100が形成される。
【0151】
方法2000によれば、別の実施例では、被覆マンドレルパッケージ100は、被覆マンドレル124、第1アールフィラー114、及び、第2アールフィラー116に結合された内側モールドラインプライ122をさらに含む。このような実施例では、マンドレル104、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、内側モールドラインプライ122が圧密化されて、被覆マンドレルパッケージ100が形成される。
【0152】
一実施例では、方法2000は、複合材チャージ202を成形するステップ(ブロック2004)、及び/又は、ストリンガレイアップ204を圧密化するステップ(ブロック2006)のうちの少なくとも一方の際に、複合材チャージ202をラッププライ102に付着させるステップを含む。一実施例では、方法2000は、複合材チャージ202を成形するステップ(ブロック2004)、及び/又は、ストリンガレイアップ204を圧密化するステップ(ブロック2006)のうちの少なくとも一方の際に、複合材チャージ202を第1アールフィラー114及び第2アールフィラー116に付着させるステップを含む。内側モールドラインプライ122を含む実施例では、方法2000は、複合材チャージ202を成形するステップ(ブロック2004)、及び/又は、ストリンガレイアップ204を圧密化するステップ(ブロック2006)のうちの少なくとも一方の際に、複合材チャージ202を内側モールドラインプライ122に付着させるステップを含む。
【0153】
一実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化ツール550に設置するステップを含む。一実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させるステップ(ブロック2012)を含み、これにより複合材構造200を形成する。一実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させるステップの後、終了する。
【0154】
或いは、別の実施例では、方法2000は、複合材外板208を圧密化ストリンガパッケージ206上に配置するステップを含む。そのような実施例では、方法2000は、複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206を共硬化させるステップ(ブロック2014)を含み、これにより複合材構造200を形成する。一実施例では、方法2000は、複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206を共硬化させるステップの後、終了する。
【0155】
方法2000によれば、一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206は、支持プレート508上で形成された後、この支持プレートに支持されたままの状態の圧密化ストリンガパッケージ206を硬化ツール550に設置するステップが行われる。或いは、別の実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化ツール550に設置する前に、圧密化ストリンガパッケージ206を支持プレート508から取り外すステップを含む。
【0156】
一実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させるステップ、又は、複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206を共硬化させるステップの後に、マンドレル104を複合材構造200から取り外すステップを含む。一実施例では、方法2000は、マンドレル104を複合材構造200から取り外すステップの後、終了する。或いは、別の実施例では、方法2000は、圧密化ストリンガパッケージ206を硬化させるステップ、又は、複合材外板208と圧密化ストリンガパッケージ206を共硬化させるステップの前に、マンドレル104を圧密化ストリンガパッケージ206から取り外すステップを含む。
【0157】
一実施例では、マンドレル104を圧密化ストリンガパッケージ206から取り外した時点(例えば、硬化前)では、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122が、圧密化ストリンガパッケージ206の一部として残っている。一実施例では、マンドレル104を複合材ストリンガ210から取り外した時点(例えば、硬化後)では、ラッププライ102、第1アールフィラー114、第2アールフィラー116、及び、任意のコンポーネントである内側モールドラインプライ122が、複合材ストリンガ210(例えば、複合材構造200)の一部として残っている。
【0158】
一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206及び複合材ストリンガ210は、ハット形状断面など、部分的に閉じた断面形状を有する。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206及び複合材ストリンガ210は、被覆マンドレルパッケージ100によって成形されたキャップ部220、第1ウェブ212、及び、第2ウェブ214を含む。一実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206及び複合材ストリンガ210は、支持プレート508(例えば、剛性ベース564)によって成形された第1フランジ216及び第2フランジ218を含む。被覆マンドレルパッケージ100が内側モールドラインプライ122を含む実施例では、圧密化ストリンガパッケージ206及び複合材ストリンガ210は、第1フランジ216と第2フランジ218を繋ぐとともに、キャップ部220、第1ウェブ212及び第2ウェブ214の下側を延びる底部222を有する。
【0159】
本開示は、さらに、複数の圧密化ストリンガパッケージ206を製造し、よって複合材構造200における複数の複合材ストリンガ210を製造するための方法の実施例も提供する。本方法は、少なくとも1つの被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された少なくとも1つの圧密化ストリンガパッケージ206を用いて実行される。
【0160】
一実施例では、本方法は、複数の被覆マンドレルパッケージを用いて複数の圧密化ストリンガパッケージを形成するステップを含む。各圧密化ストリンガパッケージは、ハット形状断面の断面形状を有する複合材チャージと、複合材チャージに接する第1アールフィラーと、複合材チャージに接する第2アールフィラーと、圧密化ストリンガパッケージのハット形状断面におけるキャップ部、第1ウェブ、及び、第2ウェブの内側に配置された被覆マンドレルパッケージと、を含む。一実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージを形成するステップは、複数の複合材チャージの各々を、対応する被覆マンドレルパッケージ上方に配置し、各複合材チャージに機械的圧力を加えることで、被覆マンドレルパッケージとベースプレート(例えば、剛性のベース)に沿って成形して複数のストリンガレイアップを形成し、各ストリンガレイアップに真空圧力を加えて複数の圧密化ストリンガパッケージを形成するステップを含む。
【0161】
一実施例では、本方法は、複数の圧密化ストリンガパッケージを硬化ツールに設置するステップをさらに含む。一実施例では、本方法は、複数の圧密化ストリンガパッケージを硬化させるステップを含み、これにより複数の複合材ストリンガを形成する。一実施例では、本方法は、複数の複合材ストリンガの硬化後に、複数の被覆マンドレルパッケージの各々のマンドレルを、対応する複合材ストリンガから取り外すステップを含む。
【0162】
一実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージの各々は、硬化ツールにおける特定の場所に対して相補的な湾曲を有する。一実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージは、一度に1つずつ、硬化ツールに設置される。別の実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージは、略同時に硬化ツールに設置される。
【0163】
一実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージは、所定数の作業員によって硬化ツールに設置される。別の実施例では、複数の圧密化ストリンガパッケージは、所定数のロボットによって自動で硬化ツールに設置される。
【0164】
本開示が提供する実施例によれば、製造環境250内の第1の場所において、被覆マンドレルパッケージ100を支持プレート508上に形成し、次いで、圧密化された被覆マンドレルパッケージ100全体が一体として、支持プレート508に載った状態で製造環境250内の第2場所に搬送して、支持プレート508上で圧密化ストリンガパッケージ206を形成し、次いで、圧密化ストリンガパッケージ206全体が一体として支持プレート508に載った状態で製造環境250内の第3の場所に搬送して、複合材構造200の硬化及び成形を行うので、航空機作製のフロータイム及びワークフロー経路の効率を大幅に向上させことができる。本開示が提供する実施例によれば、ストリンガの作製及びストリンガの設置を自動処理で行うという柔軟性がもたらされる。本開示が提供する実施例は、相当量の作業を重要なフローパスから除外することができる。よって、本開示が提供する実施例によれば、複合材作製のフロータイムの削減及びプロセスの自動化が可能になる。
【0165】
1つ以上の実施例では、複合材構造200は、製造物品(manufactured article)、又は、製造物品の構成部品又は構成要素などの製造コンポーネントである。一実施例では、複合材構造200は、航空機などの輸送体である。一実施例では、複合材構造200は、航空機の胴体、翼、内装などの、航空機の小組立品(subassembly)である。一実施例では、複合材構造200は、輸送体のコンポーネント、又は、輸送体の小組立品などを含み、例えば、航空機の外板パネル(例えば、複合材外板208)、フレーム部材、補強部材(例えば、複合材ストリンガ210)、又は、内装などを含む。
【0166】
複合材構造200は、任意の適当な複合材料で構成することができる。一実施例では、複合材構造200は、例えば、ポリマ樹脂マトリックスで結着された強化繊維のように、2つ以上の機能性複合材料を組み合わせて形成してもよい。マトリックス材料は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ)、熱可塑性ポリマ(ポリエステル、ビニルエステル、ナイロンなど)、又は、他の種類のマトリックス材料を用いることができる。補強材としては、繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ほか)、又は、他の種類の補強材を用いることができる。繊維は、一方向繊維でもよいし、或いは、織られた、或いは、不織の布、ファブリック、又は、テープの形態であってもよい。繊維及び樹脂を配置し、硬化させることで、複合材構造200を形成することができる。
【0167】
複合材料は、航空機に用いることで、航空機の重量を低減することができる。このような重量の低減により、最大積載量及び燃料効率などの性能を向上させることができる。さらに、複合材料を用いることにより、航空機における様々なコンポーネントの耐用寿命を延ばすことができる。複合材料は、2つ以上の機能コンポーネントを組み合わせて構成される高強度かつ軽量な材料である。
【0168】
複合材ストリンガは、ファスナを用いて複合材外板に取り付けられるか、複合材ストリンガを硬化させることによって複合材外板に取り付けられるか、或いは、他の所望の方法により取り付けられる。ファスナは、航空機の重量を増やすことになる。本開示の1つ以上の実施例によれば、複合材ストリンガを硬化させて複合材外板に接合する望ましい方法で取り付けることが可能になる。
【0169】
本開示のシステム及び方法の実施例は、様々な用途における使用が期待でき、例えば、航空宇宙関連などの輸送産業における使用が特に期待できる。
図25及び
図26を参照すると、被覆マンドレルパッケージ100、圧密化ストリンガパッケージ206、複合材構造200、方法1000、及び、方法2000の実施例は、
図25に示す航空機1200、及び、
図26のフロー図に示す航空機製造及び使用方法1100に関連して使用することができる。本開示の実施例における航空機用途には、航空機の胴体の一部、翼の一部など、航空機の製造に必要な様々なコンポーネントを形成するために使用される複合材構造を形成することが含まれる。
【0170】
図25に示すように、一実施例では、航空機1200は、固定翼機である。航空機1200は、機体1202及び複数の高水準システム1204を含む。高水準システム1204の例としては、推進系1208、電気系1210、油圧系1212、環境系1214、及び、通信システム1216のうちの1つ以上が含まれる。他の実施例では、航空機1200は、他の種類のシステムをいくつ含んでもよい。
【0171】
一実施例では、機体1202は、航空機1200の胴体1218を構成する。胴体1218により、例えば、客室及び/又は貨物室を含む、航空機1200の内装1206が定まる。胴体1218は、航空機1200の本体部分であって、乗組員、1人又は複数の乗客、及び/又は、貨物を収容するよう構成された適切な中央構造を含む。この例示的な実施例では、胴体1218は、概ね円柱形で長状の胴体部である。航空機1200は、一対の翼1220(それぞれ個別に翼1220と記載する場合もある)をさらに含む。各翼1220は、胴体1218に結合されている。翼1220は、航空機1200の揚力を発生させるよう構成された任意の適当な翼型構造を有する。胴体1218は、航空機1200の前端のノーズ部と、航空機1200の後端のテール部1224を含む。なお、本明細書において、「前(forward)」及び「後(aft)」との用語は、当業者に認識されている通常の意味で用いられており、航空機1200の移動方向を基準にした位置に言及するものである。テール部1224は、垂直安定板1226、及び、少なくとも1つの水平安定板1228を含む。
【0172】
航空機1200は、航空機の実施例であり、本開示が提供する様々な実施例による被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された圧密化ストリンガパッケージ206を用いることで製造される。一実施例では、胴体1218は、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された圧密化ストリンガパッケージ206を用いることで製造される外板パネルアセンブリを含んでもよい。別の実施例では、翼1220は、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された圧密化ストリンガパッケージ206を用いることで製造される外板パネルアセンブリを含む。一実施例では、内装1206は、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された圧密化ストリンガパッケージ206を用いることで製造される外板パネルアセンブリを含む。
【0173】
図25では、スティフナ1230を露出させて示している。スティフナ1230は、複合材ストリンガ210の実施例であり、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成された圧密化ストリンガパッケージ206を用いることで製造される。航空機1200における他の所望の複合材コンポーネントも、被覆マンドレルパッケージ100を用いて製造することができる。
【0174】
航空機1200の図示は、様々な例示的な実施例を実施可能な一環境を説明する目的で提示したものである。
図25における航空機1200の図示は、様々な例示的な実施例を実施可能な態様について、何ら構造的な限定を示唆するものではない。例えば、航空機1200は、民間航空機として示されているが、自家用航空機、回転翼航空機、他の適当な種類の航空機など、別の種類の航空機にも、様々な例示的な実施例を適用可能である。
【0175】
1つ以上の実施例では、航空機1200の胴体1218及び/又は翼1220は、特定の輪郭を有する。被覆マンドレルパッケージ100及び圧密化ストリンガパッケージ206の1つ以上の実施例によれば、胴体1218及び/又は翼1220の輪郭に合致する輪郭形状の複合材ストリンガ210を提供できるという効果が得られる。
【0176】
従来は、硬化ツール上で複合材ストリンガを組み立てるには、所定の時間を要する多くのプロセスを実行する必要があった。典型的には、各ストリンガコンポーネントを硬化ツールにそれぞれ配置し、別個に圧密化するプロセスがある。複合材ストリンガの組み立てに関する各プロセスによって、全体の製造時間が長くなってしまう。製造時間は、製造される航空機の台数を制限する要因になる。大型の硬化ツールに複合材料を敷設することは、時間的制約を課すステップである。複合材料を敷設することは、積層プロセスである。本開示が提供する1つ以上の実施例によれば、硬化ツールとは別のところで複合材部品を形成することができ、製造時間を効果的に短縮できる。例えば、被覆マンドレルパッケージを用いて、硬化ツールとは別のところで複数の複合材ストリンガを形成すれば、製造時間を短縮できる。硬化の際には、複合材料の空洞部分が適切に支持される。例えば、硬化の際は、複合材料の空洞部分に剛性のツール、又は、被覆など、加圧された状態のツールが配置されている。硬化ステップ、圧密化ステップ、又は、レイアップステップなどを追加する必要を排除できれば、製造時間の短縮が可能になる。本開示が提供する1つ以上の実施例によれば、複数の複合材料層を同時に圧密化することができ、製造時間を短縮する効果が得られる。本開示が提供する1つ以上の実施例によれば、複数の目的に有用なツールを提供することができ、製造時間又は製造コストの少なくとも一方を低減することが可能である。
【0177】
図26に示すように、生産開始前において、例示的な方法1100は、航空機1200の仕様決定及び設計(ブロック1102)、材料調達(ブロック1104)と、を含む。航空機1200の生産中は、航空機1200の部品及び小組立品の製造(ブロック1106)及びシステム統合(ブロック1108)が行われる。その後、航空機1200は、例えば認証及び納品(ブロック1110)を経て、就航(ブロック1112)に入る。本開示のシステム及び方法は、部品及び小組立品の製造(ブロック1106)及び/又はシステム統合(ブロック1108)の一部を構成する。定例の整備及び保守(ブロック1114)は、航空機1200の1つ以上のシステムの変更、再構成、改装なども含みうる。
【0178】
図26に示す例示的な方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよく、その数は特に限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよく、その数は特に限定されない。オペレータは、例えば、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などを含む。
【0179】
本開示に図示及び記載した被覆マンドレルパッケージ100、圧密化ストリンガパッケージ206、複合材構造200(例えば、複合材ストリンガ210)、方法1000及び方法2000の実施例は、
図26のフロー図に示した製造及び使用方法1100における1つ以上の任意の段階で採用することができる。例えば、部品及び小組立品の製造(ブロック1106)において、被覆マンドレルパッケージ100を用いて形成される複合材構造200を含む部品及び小組立品は、航空機1200(
図25)の就航(ブロック1112)の期間中に製造される部品及び小組立品と同様に製造してもよい。また、本開示の1つ以上を、製造段階(ブロック1108及びブロック1110)において使用することができる。同様に、本開示における1つ以上の実施例を、限定するものではないが例えば、航空機1200の就航(ブロック1112)の期間中、及び、整備及び保守(ブロック1114)の際に用いてもよい。
【0180】
また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本開示の原理は、他の産業、例えば、自動車産業、宇宙産業、建築業、及び、他の設計及び製造産業に適用してもよい。したがって、本明細書に記載の原理は、航空機だけでなく、他の輸送体(例えば、陸上車両、船舶、宇宙船など)、及び、独立した構造体(stand-alone structure)に適用してもよい。
【0181】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品(article)、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指し、その特定の機能を実行するのに何らかの変更を要するものを指すのではない。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は設計されたものを指す。本明細書において、「構成されている」ということは、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、当該システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成されている」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、この記載に加えて、或いは、この記載に代えて、当該機能を行うように「適合化された(adapted to)」、及び/又は「動作可能な(operative to)」ものとして記載される場合もある。
【0182】
本明細書で用いられる場合、特に明記しない限り、「第1」、「第2」等の用語は、単に標識として用いられており、これらの用語で言及しているアイテムに対し、順序、位置、又は階層的な要件を課すものではない。また、例えば「第2の」アイテムについて言及することによって、例えば、より小さい序数のアイテム(例えば、「第1の」アイテム)、及び/又は、より大きい序数のアイテム(例えば、「第3の」アイテム)の存在を要件としたり排除したりするものではない。
【0183】
本開示において、「結合された(coupled)」、「結合」などの用語は、2つ以上の要素が互いに連結され、リンクされ、接合され、接続され、通信可能にされ、或いは、(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)関連付けられていることを指す。様々な実施例において、要素は、直接的に関連付けられてもよいし、間接的に関連付けられてもよい。例えば、要素Aは、要素Bに直接に関連付けられてもよい。別の例では、要素Aは、要素Bに、間接的に、例えば、別の要素Cを介して関連付けられてもよい。なお、開示されている様々な要素間の関連付けをすべて示しているとは限らない。したがって、図に示していない他の関連付けが含まれている場合もありうる。
【0184】
本開示において、「少なくとも1つ」との表現がアイテムの列挙と共に用いられている場合、列挙されたアイテムの1つ以上を含む様々な組み合わせを使用できることを意味し、列挙された各アイテムを1つのみが必要なこともある。例えば、「アイテムA、アイテムB、及び、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、限定するものではないが、アイテムAを、或いは、アイテムAとアイテムBを含みうる。この例は、さらに、アイテムAとアイテムBとアイテムCを、或いは、アイテムBとアイテムCを含みうる。別の例では、「少なくとも1つ」は、限定するものではないが、例えば、2個のアイテムAと、1個のアイテムBと、10個のアイテムCであってもよいし、4個のアイテムBと、7個のアイテムCであってもよいし、他の適当な組み合わせであってもよい。
【0185】
上記において参照した
図1に示すブロックは、コンポーネント及び/又はその一部を表す場合があり、様々な要素及び/又はコンポーネントを繋ぐ線が在る場合、それらは、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的、及び、その他の結合、及び/又は、その組み合わせを表す。また、図示していない他の結合が含まれている場合もありうる。様々な要素及び/又はコンポーネントを表すブロックを繋ぐ破線がある場合、これらは、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する連結を表す場合がある。ただし、破線で表した連結は、選択的に設けられるもの、或いは、本開示の代替的な実施例に関するものである場合がある。同様に、破線で表した要素及び/又はコンポーネントがある場合、これらは、本開示における代替的な実施例を表す場合がある。実線及び/又は破線で示した1つ又は複数の要素を、本開示の範囲から逸脱することなく、ある特定の実施例から省くこともできる。外部要素がある場合は、点線で表している。仮想上(想像上)の要素も、明確にするために図示している場合もある。当業者であればわかるように、
図1に示した特徴のいくつかを様々な方法で組み合わせることが可能であり、この際に、
図1や他の図面、及び/又は付随する開示に記載された他の特徴を含む必要はなく、そのような組み合わせが本開示に明確に示されていなくても可能である。同様に、提示の実施例に限定されない追加の特徴を、本明細書で図示及び説明した特徴のいくつか又はすべてと組み合わせることもできる。
【0186】
上述の説明で参照した
図23、
図24及び
図26において、ブロックは、工程及び/又はその一部を表す場合がある。ただし、様々なブロックを繋ぐ線は、それらの工程又はその一部の何らかの特定の順序又は従属関係を示唆するものではない。破線で示したブロックは、代替の工程及び/又はその一部を示す。ブロックを繋ぐ破線がある場合、これらは、工程又はその一部の代替的な従属関係を示す。なお、開示されている様々な工程間の従属関係をすべて示しているとは限らない。
図23、
図24及び
図26ならびに本明細書に記載の方法の工程を説明する付随の開示は、これらの工程が行われる順序を必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序を示しているに過ぎず、工程の順序は適宜変更可能である。したがって、図示の工程に対して、変更、追加、及び/又は、省略が可能であり、また、いくつかの工程を、異なる順序で、或いは同時に行うこともできる。また、当業者であればわかるように、記載したすべての工程を必ずしも行う必要はない。
【0187】
本開示は、下記の付記による実施形態も包含する。
【0188】
付記1:複合材構造(200)の製造に用いる被覆マンドレルパッケージ(100)を製造するための方法(1000)であって、
ダイツール(502)のキャビティ(504)上方にラッププライ(102)を配置することと、
前記ラッププライ(102)上にマンドレル(104)を配置することと、
前記マンドレル(104)及び前記ラッププライ(102)を前記キャビティ(504)の中に押し込むことと、
前記ラッププライ(102)を前記マンドレル(104)に巻き付けて、被覆マンドレル(124)を形成することと、
前記被覆マンドレル(124)の第1アール部(118)に第1アールフィラー(114)を配置することと、
前記被覆マンドレル(124)の第2アール部(120)に第2アールフィラー(116)を配置することと、
前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)を圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージ(100)を形成することと、の各ステップを含む方法(1000)。
【0189】
付記2:前記マンドレル(104)及び前記ラッププライ(102)を前記キャビティ(504)の中に押し込む際に、前記ダイツール(502)のダイ第1部分(512)と前記ダイツール(502)のダイ第2部分(514)とを、互いに対して相対的に移動させることをさらに含む、付記1に記載の方法(1000)。
【0190】
付記3:前記ダイ第1部分(512)と前記ダイ第2部分(514)とを互いに対して相対的に移動させる際に、前記ダイ第1部分(512)の第1噛合いフィンガ(544)と前記ダイ第2部分(514)の第2噛合いフィンガ(546)とを互いに噛合せることをさらに含む、付記2に記載の方法(1000)。
【0191】
付記4:前記キャビティ(504)の中に配置されたウェッジ(554)で前記ラッププライ(102)を支持することをさらに含む、付記2又は3に記載の方法(1000)。
【0192】
付記5:前記マンドレル(104)及び前記ラッププライ(102)を前記キャビティ(504)の中に押し込む際に、前記ウェッジ(554)を用いて、前記ダイ第1部分(512)と前記ダイ第2部分(514)とを押し動かして互いに遠ざけることをさらに含む、付記4に記載の方法(1000)。
【0193】
付記6:前記巻き付けるステップは、
前記ダイ第1部分(512)の第1ツール面(528)を用いて、前記ラッププライ(102)の第1中間部(158)を前記マンドレル(104)の第2側面(110)に沿ってスイーピングすることと、
前記ダイ第2部分(514)の第2ツール面(530)を用いて、前記ラッププライ(102)の第2中間部(160)を前記マンドレル(104)の第1側面(108)に沿ってスイーピングすることと、
スイープアーム(510)を用いて、前記ラッププライ(102)の第1端部(130)及び第2端部(132)を前記マンドレル(104)の底面(112)に沿ってスイーピングすることと、を含む、付記2~5のいずれかに記載の方法(1000)。
【0194】
付記7:前記圧密化ステップの間に、前記第1アールフィラー(114)及び前記第2アールフィラー(116)を前記ラッププライ(102)に付着させることをさらに含む、付記1~6のいずれかに記載の方法(1000)。
【0195】
付記8:前記被覆マンドレル(124)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)上に内側モールドラインプライ(122)を配置することをさらに含み、
前記圧密化ステップは、前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、及び、前記内側モールドラインプライ(122)を圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージ(100)を形成することを含む、付記1~7のいずれかに記載の方法(1000)。
【0196】
付記9:前記圧密化ステップの間に、前記内側モールドラインプライ(122)を、前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、及び、前記ラッププライ(102)に付着させることをさらに含む、付記8に記載の方法(1000)。
【0197】
付記10:前記圧密化ステップは、真空圧力を加えることを含む、付記1~9のいずれかに記載の方法(1000)。
【0198】
付記11:前記ラッププライ(102)を配置するステップの前に、前記ダイツール(502)の前記キャビティ(504)上方に真空バギングフィルム(506)を配置することをさらに含み、前記ラッププライ(102)は、前記真空バギングフィルム(506)上に配置される、付記10に記載の方法(1000)。
【0199】
付記12:前記真空圧力を加えるために、前記真空バギングフィルム(506)に支持プレート(508)を封着することをさらに含む、付記10又は11に記載の方法(1000)。
【0200】
付記13:前記被覆マンドレルパッケージ(100)を前記支持プレート(508)に一時的に結合させることと、
前記被覆マンドレルパッケージ(100)を前記ダイツール(502)の前記キャビティ(504)から取り外すことと、
をさらに含む、付記12に記載の方法(1000)。
【0201】
付記14:複合材構造(200)を製造する方法(2000)であって、
被覆マンドレルパッケージ(100)上方に複合材チャージ(202)を配置することと、
前記複合材チャージ(202)を前記被覆マンドレルパッケージ(100)に沿って成形して、ストリンガレイアップ(204)を形成することと、
前記ストリンガレイアップ(204)を圧密化して、圧密化ストリンガパッケージ(206)を形成することと、の各ステップを含む方法(2000)。
【0202】
付記15:前記複合材チャージ(202)を成形するステップは、前記複合材チャージ(202)に機械的圧力を加えて、前記複合材チャージ(202)を前記被覆マンドレルパッケージ(100)に沿って成形することを含む、付記14に記載の方法(2000)。
【0203】
付記16:前記ストリンガレイアップ(204)を圧密化するステップは、前記ストリンガレイアップ(204)に真空圧力を加えることを含む、付記14又は15に記載の方法(2000)。
【0204】
付記17:前記被覆マンドレルパッケージ(100)は、
マンドレル(104)、及び、前記マンドレル(104)を包むラッププライ(102)を含む被覆マンドレル(124)と、
前記被覆マンドレル(124)の第1アール部(118)に結合された第1アールフィラー(114)と、
前記被覆マンドレル(124)の第2アール部(120)に結合された第2アールフィラー(116)と、を含み、
前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、第2アールフィラー(116)は、圧密化されており、前記被覆マンドレルパッケージ(100)を形成している、付記14~16のいずれかに記載の方法(2000)。
【0205】
付記18:前記複合材チャージ(202)を成形するステップ、及び、前記ストリンガレイアップ(204)を圧密化するステップのうちの少なくとも一方の間に、前記複合材チャージ(202)を前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)に付着させることをさらに含む、付記17に記載の方法(2000)。
【0206】
付記19:前記被覆マンドレルパッケージ(100)は、前記被覆マンドレル(124)、前記第1アールフィラー(114)、及び、第2アールフィラー(116)に結合された内側モールドラインプライ(122)をさらに含む、付記17又は18に記載の方法(2000)。
【0207】
付記20:前記複合材チャージ(202)を成形するステップ、及び、前記ストリンガレイアップ(204)を圧密化するステップのうちの少なくとも一方の間に、前記複合材チャージ(202)を前記内側モールドラインプライ(122)に付着させることをさらに含む、付記19に記載の方法(2000)。
【0208】
付記21:前記圧密化ストリンガパッケージ(206)を硬化ツール(550)に設置することと、
前記圧密化ストリンガパッケージ(206)を硬化させて、前記複合材構造(200)を形成することと、
前記複合材構造(200)から前記マンドレル(104)を取り外すことと、をさらに含む、付記14~20のいずれかに記載の方法(2000)。
【0209】
付記22:前記圧密化ストリンガパッケージ(206)上に複合材外板(208)を配置することと、
前記複合材外板(208)と前記圧密化ストリンガパッケージ(206)を共硬化させて、前記複合材構造(200)を形成することと、をさらに含む、付記21に記載の方法(2000)。
【0210】
付記23:複合材構造(200)の製造に用いる被覆マンドレルパッケージ(100)であって、
マンドレル(104)と、
前記マンドレル(104)を包んで被覆マンドレル(124)を形成するラッププライ(102)と、
前記被覆マンドレル(124)の第1アール部(118)において、前記ラッププライ(102)に結合された第1アールフィラー(114)と、
前記被覆マンドレル(124)の第2アール部(120)において、前記ラッププライ(102)に結合された第2アールフィラー(116)と、を含み、
前記被覆マンドレルパッケージ(100)は、前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)が圧密化されて形成されたものである、被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0211】
付記24:前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)は、前記ラッププライ(102)に付着している、付記23に記載の被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0212】
付記25:前記被覆マンドレル(124)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)に結合された内側モールドラインプライ(122)をさらに含み、前記被覆マンドレルパッケージ(100)は、前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、及び、前記内側モールドラインプライ(122)が圧密化されて形成されたものである、付記22又は23に記載の被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0213】
付記26:前記内側モールドラインプライ(122)は、前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、及び、前記ラッププライ(102)に付着している、付記25に記載の被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0214】
付記27:前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、第2アールフィラー(116)は、圧密化されることによって支持プレート(508)に結合されている、付記23~26のいずれかに記載の被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0215】
付記28:前記被覆マンドレルパッケージ(100)と前記支持プレート(508)とは、互いに相補的な輪郭を有する、付記27に記載の被覆マンドレルパッケージ(100)。
【0216】
付記29:被覆マンドレルパッケージ(100)の製造に用いる装置(500)であって、
部分的に巻かれた被覆マンドレル(146)を形成するためのダイツール(502)と、
前記ダイツール(502)に対して相対的に移動可能であって、被覆マンドレル(124)を形成するためのスイープアーム(510)と、
前記被覆マンドレル(124)に第1アールフィラー(114)及び第2アールフィラー(116)を配置するためのアールフィラー配置機構(518)と、
前記被覆マンドレルパッケージ(100)を形成するための圧密化機構(520)と、を含む装置(500)。
【0217】
付記30:前記ダイツール(502)は、キャビティ(504)を形成し、
前記ダイツール(502)は、前記キャビティ(504)の中にラッププライ(102)及びマンドレル(104)が押し込まれると、前記ラッププライ(102)を前記マンドレル(104)に部分的に巻き付けて、前記部分的に巻かれた被覆マンドレル(146)を形成し、
前記スイープアーム(510)は、前記ラッププライ(102)を前記マンドレル(104)にさらに巻き付けて、前記被覆マンドレル(124)を形成する、付記29に記載の装置(500)。
【0218】
付記31:前記ダイツール(502)は、第1ツール面(528)を有するダイ第1部分(512)、及び、第2ツール面(530)を有するダイ第2部分(514)を含み、
前記第1ツール面(528)及び前記第2ツール面(530)によって前記キャビティ(504)が画成され、
前記第1ツール面(528)は、前記ラッププライ(102)及び前記マンドレル(104)が前記キャビティ(504)の中に押し込まれる際に、前記ラッププライ(102)の第1中間部(158)を前記マンドレル(104)の第2側面(110)に沿ってスイーピングし、
前記第2ツール面(530)は、前記ラッププライ(102)及び前記マンドレル(104)が前記キャビティ(504)の中に押し込まれる際に、前記ラッププライ(102)の第2中間部(160)を前記マンドレル(104)の第1側面(108)に沿ってスイーピングする、付記30に記載の装置(500)。
【0219】
付記32:前記ダイ第1部分(512)と前記ダイ第2部分(514)は、互いに対して相対的に移動可能であって、前記ラッププライ(102)及び前記マンドレル(104)を収容するために前記キャビティ(504)を大きくする、付記31に記載の装置(500)。
【0220】
付記33:前記ダイ第1部分(512)は、所定数の第1噛合いフィンガ(544)をさらに含み、
前記ダイ第2部分(514)は、所定数の第2噛合いフィンガ(546)をさらに含み、
前記ダイ第1部分(512)と前記ダイ第2部分(514)が互いに対して相対的に移動する際に、前記第1噛合いフィンガ(544)と前記第2噛合いフィンガ(546)が互いに噛合う、付記32に記載の装置(500)。
【0221】
付記34:前記キャビティ(504)の中に配置されたウェッジ(554)をさらに含み、前記ウェッジ(554)は、前記キャビティ(504)の中に押し込まれる前の前記ラッププライ(102)を支持する、付記32又は33に記載の装置(500)。
【0222】
付記35:前記ウェッジ(554)は、前記ラッププライ(102)及び前記マンドレル(104)が前記キャビティ(504)の中に押し込まれる際に、前記ダイ第1部分(512)と前記ダイ第2部分(514)とを押し動かして互いに遠ざける、付記34に記載の装置(500)。
【0223】
付記36:前記ラッププライ(102)及び前記マンドレル(104)を前記キャビティ(504)の中に押し込むよう構成されたプレスツール(516)をさらに含む、付記30~35のいずれかに記載の装置(500)。
【0224】
付記37:前記スイープアーム(510)は、前記ラッププライ(102)の第1端部(130)及び第2端部(132)を、前記マンドレル(104)の底面(112)に沿ってスイーピングするよう構成されている、付記30~36のいずれかに記載の装置(500)。
【0225】
付記38:前記アールフィラー配置機構(518)は、前記第1アールフィラー(114)を前記被覆マンドレル(124)の第1アール部(118)に配置するとともに、前記第2アールフィラー(116)を前記被覆マンドレル(124)の第2アール部(120)に配置するよう構成されている、付記30~37のいずれかに記載の装置(500)。
【0226】
付記39:前記圧密化機構(520)は、前記マンドレル(104)、前記ラッププライ(102)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)を圧密化して、前記被覆マンドレルパッケージ(100)を形成するよう構成されている、付記30~38のいずれかに記載の装置(500)。
【0227】
付記40:前記圧密化機構(520)は、
前記ダイツール(502)と、前記被覆マンドレル(124)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)と、の間に配置された真空バギングフィルム(506)と、
前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、前記ラッププライ(102)、及び、前記マンドレル(104)に真空圧力を加えるために、前記真空バギングフィルム(506)に封着されるよう構成された支持プレート(508)と、を含む、付記39に記載の装置(500)。
【0228】
付記41:前記キャビティ(504)と前記支持プレート(508)とは、互いに相補的な輪郭を有する、付記40に記載の装置(500)。
【0229】
付記42:前記被覆マンドレル(124)、前記第1アールフィラー(114)、及び、前記第2アールフィラー(116)の上方に、内側モールドラインプライ(122)が配置され、
前記支持プレート(508)は、前記内側モールドラインプライ(122)、前記第1アールフィラー(114)、前記第2アールフィラー(116)、前記ラッププライ(102)、及び、前記マンドレル(104)に真空圧力を加えるために、前記内側モールドラインプライ(122)上方の前記真空バギングフィルム(506)に封着されるよう構成されている、付記40又は41に記載の装置(500)。
【0230】
本開示のシステム及び方法について様々な実施例を図示及び記載したが、当業者が本明細書を読めば、様々な変形例を思いつくであろう。本願は、そのような変形も包含しており、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。