(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】保守員管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20231219BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20231219BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2019233060
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】余 光昇
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0370917(US,A1)
【文献】特開2005-293099(JP,A)
【文献】特開2006-106861(JP,A)
【文献】特開2019-008438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守員の携帯端末と、当該携帯端末から送信された情報に基づき保守作業を行う保守員と決定するサーバ装置とを備える保守員管理システムであって、
前記携帯端末は、
自装置の移動時間を測定する第1測定手段と、
保守対象機器から受信した情報に基づき保守作業の作業時間を測定する第2測定手段と、
保守員を識別可能な保守員コードと、前記移動時間と、前記作業時間とを送信する送信手段と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記保守員コードと、前記移動時間と、前記作業時間とを受信する受信手段と、
前記保守員コードごとに、複数の保守の其々にかかった前記移動時間及び前記作業時間が記録された累積時間情報に基づいて、
前記移動時間及び前記作業時間が閾値未満の保守員を、保守作業を行う前記保守員
に決定する決定手段と、
を備える保守員管理システム。
【請求項2】
前記決定手段は、保守作業の種別ごとに記録された、各保守員の前記作業時間の統計値に基づいて、保守作業を行う前記保守員を決定する、
請求項
1に記載の保守員管理システム。
【請求項3】
前記第2測定手段は、前記保守対象機器から可視光通信により送信された情報に基づき前記作業時間を測定する、
請求項1
又は2に記載の保守員管理システム。
【請求項4】
前記第1測定手段は、自装置の位置に基づき、前記移動時間を測定する、
請求項1乃至
3の何れか一項に記載の保守員管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保守員管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保守対象機器の保守員は、保守対象機器が設置された場所に出向き保守作業を行っている。このような保守において、特定の保守員に多くの保守作業が割り当てられてしまう場合がある。
【0003】
特定の保守員に負担が偏ってしまうことは不平等である。また、保守作業を分配する際には、より効率的に保守作業が行えるように分配することが求められている。そのため、各保守員に保守作業を均等に配分することが可能な技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、保守作業の分配を支援することができる保守員管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の保守員管理システムは、保守員の携帯端末と、当該携帯端末から送信された情報に基づき保守作業を行う保守員と決定するサーバ装置とを備える。前記携帯端末は、第1測定手段と、第2測定手段と、送信手段とを備える。前記第1測定手段は、自装置の移動時間を測定する。前記第2測定手段は、保守対象機器から受信した情報に基づき保守作業の作業時間を測定する。前記送信手段は、保守員を識別可能な保守員コードと、前記移動時間と、前記作業時間とを送信する。前記サーバ装置は、受信手段と、決定手段とを備える。前記受信手段は、前記保守員コードと、前記移動時間と、前記作業時間とを受信する。前記決定手段は、前記保守員コードごとに、複数の保守の其々にかかった前記移動時間及び前記作業時間が記録された累積時間情報に基づいて、前記移動時間及び前記作業時間が閾値未満の保守員を、保守作業を行う前記保守員に決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る保守員管理システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、POS端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、携帯端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、管理サーバのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、累積時間テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、作業別時間テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、保守員管理システムの各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本実施形態の保守員管理システムが実行する記録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態の保守員管理システムが実行する決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、保守員管理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、保守員管理システムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る保守員管理システム1の一例を示す説明図である。保守員管理システム1は、保守対象機器の保守を行う保守員を決定する管理するシステムである。保守員管理システム1は、複数のPOS(Point Of Sales)端末10と、複数の携帯端末20と、管理サーバ30とを備える。管理サーバ30と、複数の携帯端末20とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0009】
POS端末10は、本実施形態における保守対象機器である。本実施形態では、保守対象機器がPOS端末10の場合について説明する。しかしながら、保守対象機器は、POS端末10に限らず、他の装置であってもよい。POS端末10は、販売対象の商品を登録する商品登録処理と、商品登録処理により登録された商品の会計処理とを実行する装置である。また、POS端末10は、可視光通信により保守の作業開始及び作業終了を携帯端末20に通知する。
【0010】
携帯端末20は、各保守員が所持する携帯可能な端末である。例えば、携帯端末20は、スマートフォンや、タブレット端末等の端末である。携帯端末20は、自装置である携帯端末20の位置に基づいて、保守対象のPOS端末10が設置された場所への移動開始及び到着を検出する。また、携帯端末20は、保守対象のPOS端末10から可視光通信により送信された情報に基づいて、保守の作業開始及び作業終了を検出する。
【0011】
管理サーバ30は、保守員管理システム1を管理するサーバ装置である。また、管理サーバ30は、携帯端末20から送信された情報に基づき保守作業を行う保守員と決定する。具体的には、管理サーバ30は、携帯端末20から送信された保守作業の作業時間や、保守員の移動時間等に基づいて、保守を行う保守員を決定する。なお、管理サーバ30は、一台のサーバ装置に限らず、複数台のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0012】
次に、保守員管理システム1が備える各種装置のハードウェア構成について説明する。
【0013】
図2は、POS端末10のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。POS端末10は、制御部101と、記憶部102と、通信部103と、表示部104と、操作部105と、スキャナ106と、入出金部107と、カードリーダ108と、印字部109とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス110を介して相互に接続している。
【0014】
制御部101は、POS端末10の全体の動作を制御し、POS端末10が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、POS端末10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0015】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム111を記憶する。制御プログラム111は、オペレーティングシステムや、POS端末10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム111には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0016】
通信部103は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信部103は、POS端末10が設置された店舗内のネットワークに接続された装置との通信を実行する。
【0017】
表示部104は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。表示部104は、液晶の背面から照らすバックライト112を備えている。バックライト112は、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置である。そして、バックライト112は、可視光通信により各種情報を送信する。ここで、可視光通信とは、情報を含む可視光を放射することにより情報を送信する通信である。なお、本実施形態では、表示部104のバックライト112が、各種情報を含む可視光を放射する場合を例に説明する。しかしながら、POS端末10は、表示部104以外に設けられたLEDから各種情報を含む可視光を放射してもよいし、POS端末10以外の発光装置から各種情報を含む可視光を放射してもよい。
【0018】
操作部105は、表示部104の画面上のタッチ箇所を検出することで各種操作を受け付けるタッチパッド等の入力装置である。なお、操作部105は、ハードウェアボタン等であってもよい。
【0019】
スキャナ106は、商品に付されたバーコードを読み取ることで、商品を識別可能な商品コードを取得する。
【0020】
入出金部107は、会計処理等の処理において、貨幣の入金と出金とを実行する自動釣銭機である。入出金部107は、入金口から入金された硬貨や紙幣等の貨幣を収納部に収納する。また、入出金部107は、釣銭として硬貨や紙幣等の貨幣を収納部から出金口に出金する。
【0021】
カードリーダ108は、クレジットカード等のカードを読み取る。
【0022】
印字部109は、各種情報を印刷するプリンタである。
【0023】
図3は、携帯端末20のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。携帯端末20は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、表示部204と、操作部205と、撮像部206とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス207を介して相互に接続している。
【0024】
制御部201は、携帯端末20の全体の動作を制御し、携帯端末20が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部201は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、携帯端末20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。
【0025】
記憶部202は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部202は、制御プログラム208を記憶する。制御プログラム208は、オペレーティングシステムや、携帯端末20が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム208には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0026】
通信部203は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信部203は、管理サーバ30と通信するためのインタフェースである。
【0027】
表示部204は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部205は、表示部204の画面上のタッチ箇所を検出することで各種操作を受け付けるタッチパッド等の入力装置である。なお、操作部205は、ハードウェアボタン等であってもよい。
【0028】
撮像部206は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたカメラである。また、撮像部206は、POS端末10の表示部104を撮像することで、POS端末10が可視光通信により送信した情報を受信する。
【0029】
ここで、保守員は、POS端末10が設置された店舗のネットワークに携帯端末20を接続させるためには、店舗の許可を得る必要がある。しかし、携帯端末20は、POS端末10から可視光通信により情報を受信する場合には、店舗のネットワークに接続しない。よって、保守員は、可視光通信の場合、店舗の許可を得る必要がない。
【0030】
図4は、管理サーバ30のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。管理サーバ30は、制御部301と、記憶部302と、通信インタフェース303と、表示部304と、操作部305とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス306を介して相互に接続している。
【0031】
制御部301は、管理サーバ30の全体の動作を制御し、管理サーバ30が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部301は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、管理サーバ30の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部302等に格納されたプログラムを実行する。
【0032】
記憶部302は、HDDやSSDなどの記憶装置である。記憶部302は、制御プログラム307、累積時間テーブル308、作業別時間テーブル309、作業時間閾値310、及び移動時間閾値311を記憶する。累積時間テーブル308、作業別時間テーブル309、作業時間閾値310、及び移動時間閾値311は、管理サーバ30に限らず、他の装置に記憶されていてもよい。また、累積時間テーブル308、作業別時間テーブル309、作業時間閾値310、及び移動時間閾値311は、一台の装置に限らず、複数の装置に分散して記憶されていてもよい。
【0033】
制御プログラム307は、オペレーティングシステムや、管理サーバ30が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム307には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0034】
累積時間テーブル308は、各保守員の保守にかかった作業時間の合計値及び移動時間の合計値を有する累積時間情報である。ここで、
図5は、累積時間テーブル308のデータ構成の一例を示す図である。累積時間テーブル308は、保守員コードと、作業時間合計値と、移動時間合計値とが関連付けられている。保守員コードは、保守員を識別可能な識別情報である。作業時間合計値は、保守員の保守作業にかかった時間の合計値である。移動時間合計値は、保守員の移動にかかった時間の合計値である。また、作業時間合計値及び移動時間合計値は、一か月間の合計値であってもよいし、一年間の合計値であってもよいし、他の期間の合計値であってもよい。
【0035】
作業別時間テーブル309は、各保守員が各保守作業にかかる時間が示された情報テーブルである。ここで、
図6は、作業別時間テーブル309のデータ構成の一例を示す図である。作業別時間テーブル309は、保守員コードと、保守作業の種別ごとの統計作業時間とが関連付けられている。保守員コードは、保守員を識別可能な識別情報である。統計作業時間は、保守員の各保守作業にかかった時間の実績値に基づいて算出された値である。例えば、統計作業時間は、平均値であってもよいし、中央値であってもよいし、その他の方法により算出された値であってもよい。このように、保守員ごとに、各保守作業にかかる時間を記録することで、保守員が得意な保守作業であるかの識別に利用することができる。
【0036】
作業時間閾値310は、保守員に保守作業を割り当てるか否かの作業時間の閾値である。作業時間合計値が作業時間閾値310以上の保守員には、保守作業が割り当てられない。一方、作業時間合計値が作業時間閾値310未満の保守員には、保守作業が割り当てられる。作業時間閾値310は、事前に設定された値であってもよいし、各保守員の作業時間合計値の平均値や中央値等の算出された値であってもよいし、その他の方法により取得された値であってもよい。
【0037】
移動時間閾値311は、保守員に保守作業を割り当てるか否かの移動時間の閾値である。移動時間合計値が移動時間閾値311以上の保守員には、保守作業が割り当てられない。一方、移動時間合計値が移動時間閾値311未満の保守員には、保守作業が割り当てられる。移動時間閾値311は、事前に設定された値であってもよいし、各保守員の移動時間合計値の平均値や中央値等の算出された値であってもよいし、その他の方法により取得された値であってもよい。
【0038】
通信インタフェース303は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース303は、携帯端末20と通信するためのインタフェースである。
【0039】
表示部304は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部305は、例えばキーボードやマウス等の入力装置である。
【0040】
次に、保守員管理システム1の各装置が有する特徴的な機能について説明する。ここで、
図7は、保守員管理システム1の各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0041】
POS端末10の制御部101は、記憶部102に記憶された制御プログラム111をRAMに展開し、制御プログラム111に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、POS端末10の制御部101は、機能部として、モード制御部1001、表示制御部1002、及び可視光通信送信部1003を備える。
【0042】
モード制御部1001は、POS端末10のモード変更を制御する。POS端末10のモードには、通常モードと保守モードとが有る。通常モードは、販売対象の商品を登録する商品登録処理と、商品登録処理により登録された商品の会計処理とを実行するモードである。保守モードは、保守員が保守を実行する場合に設定されるモードである。モード制御部1001は、保守員コード、及び保守員コードに対応したパスワード等が入力された場合に、通常モードから保守モードに変更する。ここで、保守員コード、及びパスワードは、操作部105が入力を受け付けたてもよいし、カードリーダ108がカードを読み取ることで入力を受け付けても、他の方法により入力されてもよい。また、モード制御部1001は、保守モードにおいて保守を終了する操作が入力された場合に、保守モードから通常モードに変更する。
【0043】
表示制御部1002は、表示部104を制御して、各種画面を表示させる。例えば、表示制御部1002は、保守モードである場合に、各種保守を行うための画面を表示させる。
【0044】
可視光通信送信部1003は、表示部104のバックライト112を制御して、可視光通信により情報を送信する。すなわち、可視光通信送信部1003は、表示部104のバックライト112を高速で点滅させることにより情報を送信する。例えば、可視光通信送信部1003は、保守モードである場合に、保守が行われていることを通知する。そして、携帯端末20は、可視光通信により送信された情報に基づいて、保守作業にかかった作業時間を測定する。ここで、可視光通信送信部1003は、携帯端末20に作業時間を測定させるために、如何なる情報を送信してもよい。例えば、可視光通信送信部1003が保守モードであることを送信する場合、携帯端末20は、1回目の通知は作業開始であり、2回目の通知は作業終了であると解釈することで作業時間を測定することができる。または、可視光通信送信部1003は、作業開始及び作業終了を明示する情報を送信してもよい。この場合にも、携帯端末20は、作業時間を測定することができる。または、可視光通信送信部1003は、保守が終了した場合に作業時間を送信してもよい。この場合にも、携帯端末20は、作業時間を測定することができる。
【0045】
携帯端末20の制御部201は、記憶部202に記憶された制御プログラム208をRAMに展開し、制御プログラム208に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、携帯端末20の制御部201は、機能部として、通信制御部2001、測位制御部2002、移動時間測定部2003、可視光通信受信部2004、作業時間測定部2005、及び測定制御部2006を備える。
【0046】
通信制御部2001は、通信部203を制御して、管理サーバ30との通信を実行する。例えば、通信制御部2001は、保守対象機器であるPOS端末10が設置された店舗への移動時間、及び保守にかかった作業時間を送信する。例えば、通信制御部2001は、携帯端末20を所持している保守員を示す保守員コードと、保守対象機器であるPOS端末10が設置された店舗への移動時間とを関連付けて送信する。また、通信制御部2001は、携帯端末20を所持している保守員を示す保守員コードと、保守にかかった作業時間とを関連付けて送信する。
【0047】
測位制御部2002は、携帯端末20である自装置の位置を測位する。例えば、測位制御部2002は、GPS(Global Positioning Satellite)により、自装置の位置を測位する。すなわち、測位制御部2002は、自装置の位置を示す位置情報を取得することで、自装置の位置を測位する。なお、測位制御部2002は、GPSに限らず、他の方法により自装置の位置を測位してもよい。例えば、測位制御部2002は、携帯端末20が通信を行っている基地局がある位置に基づいて自装置の位置を測位してもよいし、携帯端末20が通信を行っている無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントがある位置に基づいて自装置の位置を測位してもよいし、他の方法により自装置の位置を測位してもよい。
【0048】
移動時間測定部2003は、自装置の移動時間を測定する。更に詳しくは、移動時間測定部2003は、自装置の位置に基づき、移動時間を測定する。具体的には、移動時間測定部2003は、保守員が待機する待機所から所定距離以上移動した場合に、保守対象機器であるPOS端末10から設置された店舗への移動開始と判定する。また、移動時間測定部2003は、POS端末10が設置された店舗に進入したと判定した場合に、移動終了と判定する。そして、移動時間測定部2003は、移動開始から移動終了までの時間を測定する。これにより、移動時間測定部2003は、自装置の移動時間を測定する。なお、移動時間測定部2003は、保守員が待機する待機場所から店舗に行く移動時間に限らず、店舗から待機場所に帰る移動時間も測定してもよい。
【0049】
可視光通信受信部2004は、POS端末10から放射された可視光を受光する撮像部206を制御して、可視光通信により送信された情報を受信する。
【0050】
作業時間測定部2005は、保守対象機器であるPOS端末10から受信した情報に基づき保守作業の作業時間を測定する。更に詳しくは、作業時間測定部2005は、保守対象機器であるPOS端末10から可視光通信により送信された情報に基づき作業時間を測定する。具体的には、作業時間測定部2005は、可視光通信受信部2004が1回目の情報を受信した場合に、保守の作業開始と判定する。また、作業時間測定部2005は、可視光通信受信部2004が2回目の情報を受信した場合に、保守の作業終了と判定する。そして、作業時間測定部2005は、作業開始から作業終了までの時間を測定する。これにより、作業時間測定部2005は、自装置の移動時間を測定する。なお、可視光通信受信部2004が作業開始及び作業終了を明示する情報を受信する場合には、作業時間測定部2005は、受信した情報に基づいて、作業開始及び作業終了を判定してもよい。
【0051】
測定制御部2006は、移動時間及び作業時間を管理サーバ30に送信する制御を実行する。更に詳しくは、測定制御部2006は、移動時間測定部2003が移動時間を測定した場合に、通信制御部2001に保守員コード及び移動時間を関連付けて送信させる。また、測定制御部2006は、作業時間測定部2005が作業時間を測定した場合に、通信制御部2001に保守員コード、及び作業時間を関連付けて送信させる。なお、測定制御部2006は、移動時間及び作業時間が測定された場合に限らず、移動時間及び作業時間を送信する操作を受け付けた場合に通信制御部2001に送信させてもよいし、他の要因に基づいて通信制御部2001に送信させてもよい。
【0052】
管理サーバ30の制御部301は、記憶部302に記憶された制御プログラム307をRAMに展開し、制御プログラム307に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、管理サーバ30の制御部301は、機能部として、通信制御部3001、保守対象特定部3002、移動時間管理部3003、作業時間管理部3004、及び保守員決定部3005を備える。
【0053】
通信制御部3001は、通信インタフェース303を制御して、携帯端末20との通信を実行する。例えば、通信制御部3001は、各携帯端末20から保守員コードに関連付けられた移動時間を受信する。また、通信制御部3001は、各携帯端末20から保守員コードに関連付けられた作業時間を受信する。
【0054】
保守対象特定部3002は、保守作業を行う保守対象機器であるPOS端末10及び、保守対象機器に対して実行する保守作業の種別を特定する。例えば、保守対象特定部3002は、操作部305が受け付けた操作に基づいて保守対象機器及び保守作業の種別を特定する。または、保守対象特定部3002は、通信制御部3001が受信した情報に基づいて保守対象機器及び保守作業の種別を特定する。
【0055】
移動時間管理部3003は、保守員ごとの移動時間を管理する。更に詳しくは、移動時間管理部3003は、通信制御部3001が保守員コードに関連付けられた移動時間を受信した場合に、累積時間テーブル308において、受信した保守員コードと同一の保守員コードに関連付けられた移動時間合計値に移動時間を加算する。
【0056】
作業時間管理部3004は、保守員ごとの作業時間を管理する。更に詳しくは、作業時間管理部3004は、通信制御部3001が保守員コードに関連付けられた作業時間を受信した場合に、累積時間テーブル308において、受信した保守員コードと同一の保守員コードに関連付けられた作業時間合計値に作業時間を加算する。
【0057】
また、作業時間管理部3004は、作業別時間テーブル309を更新する。更に詳しくは、作業時間管理部3004は、受信した保守員コードの保守員に割り当てた保守作業の種別を特定する。ここで、特定方法は限定しない。例えば、管理サーバ30が保守員に割り当てた保守作業の種別を記憶している場合には管理サーバ30から抽出してもよいし、携帯端末20に保守員に割り当てた保守作業の種別を送信させてもよいし、他の方法により特定してもよい。作業時間管理部3004は、特定した種別の保守作業について、受信した保守員コードの保守員の現在までの作業時間及び受信した作業時間に基づいて、統計作業時間を算出する。そして、作業時間管理部3004は、作業別時間テーブル309に算出した値を登録することで、作業別時間テーブル309を更新する。
【0058】
保守員決定部3005は、保守員コードごとに、複数の保守の其々にかかった移動時間及び作業時間が記録された累積時間テーブル308に基づいて、保守作業を行う保守員を決定する。更に詳しくは、保守員決定部3005は、移動時間及び作業時間が閾値未満の保守員を、保守作業を行う保守員に決定する。すなわち、保守員決定部3005は、移動時間が作業時間閾値310未満であって、且つ、作業時間が作業時間閾値310未満の保守員を、保守作業を行う保守員に決定する。
【0059】
また、保守員決定部3005は、保守作業の種別ごとに記録された、各保守員の作業時間の統計値に基づいて、保守作業を行う保守員を決定する。すなわち、保守員決定部3005は、実施予定の保守作業が得意な保守員を、保守作業を行う保守員を決定する。さらに詳しくは、保守員決定部3005は、作業別時間テーブル309に基づいて、複数の保守員のうち、実施予定の保守作業の統計作業時間が最も少ない保守員を選択する。保守員決定部3005は、選択した保守員の移動時間が作業時間閾値310未満であって、且つ、作業時間が作業時間閾値310未満である場合に、保守作業を行う保守員に決定する。選択した保守員の移動時間が作業時間閾値310以上、又は作業時間が作業時間閾値310以上である場合に、選択した保守員の次に実施予定の保守作業の統計作業時間が最も少ない保守員を選択する。そして、保守員決定部3005は、選択した保守員の移動時間が作業時間閾値310未満であって、且つ、作業時間が作業時間閾値310未満である場合に、保守作業を行う保守員に決定する。これを繰り返し実行することで、保守員決定部3005は、実施予定の保守作業が得意な保守員を選択することができる。
【0060】
次に、保守員管理システム1の動作について説明する。
【0061】
図8は、本実施形態の保守員管理システム1が実行する記録処理の一例を示すフローチャートである。記録処理は、保守員の移動時間及び作業時間を記録する処理である。
【0062】
携帯端末20の移動時間測定部2003は、測位制御部2002の測位結果に基づいて、保守員が移動開始したか否かを判定する(ステップS1)。待機所から所定距離未満の位置に携帯端末20があること測位結果が示している(ステップS1;No)、移動時間測定部2003は、移動開始していないと判定する。
【0063】
待機所から所定距離以上の位置に携帯端末20があること測位結果が示している場合に(ステップS1;Yes)、移動時間測定部2003は、移動開始したと判定する(ステップS2)。すなわち、移動時間測定部2003は、移動時間の測定を開始する。
【0064】
移動時間測定部2003は、測位制御部2002の測位結果に基づいて、保守員が移動終了したか否かを判定する(ステップS3)。保守対象機器であるPOS端末10が設置された店舗から所定距離以上の位置に携帯端末20があると測位結果が示している場合に(ステップS3;No)、移動時間測定部2003は、移動終了ではないと判定する。すなわち、移動時間測定部2003は、移動時間の測定を継続する。
【0065】
保守対象機器であるPOS端末10が設置された店舗から所定距離未満の位置に携帯端末20があると測位結果が示している場合に(ステップS3;Yes)、移動時間測定部2003は、移動終了であると判定する(ステップS4)。すなわち、移動時間測定部2003は、移動時間の測定を終了する。
【0066】
可視光通信受信部2004は、保守開始を示す可視光通信を受信したか否かを判定する(ステップS5)。保守開始を示す可視光通信を受信していない場合に(ステップS5;No)、可視光通信受信部2004は、待機する。
【0067】
保守開始を示す可視光通信を受信した場合に(ステップS5;Yes)、作業時間測定部2005は、作業開始であると判定する(ステップS6)。すなわち、作業時間測定部2005は、保守作業の作業時間の測定を開始する。
【0068】
可視光通信受信部2004は、保守終了を示す可視光通信を受信したか否かを判定する(ステップS7)。保守終了を示す可視光通信を受信していない場合に(ステップS7;No)、可視光通信受信部2004は、待機する。すなわち、作業時間測定部2005は、保守作業の作業時間の測定を継続する。
【0069】
保守終了を示す可視光通信を受信した場合に(ステップS7;Yes)、作業時間測定部2005は、作業終了であると判定する(ステップS8)。すなわち、作業時間測定部2005は、保守作業の作業時間の測定を終了する。
【0070】
通信制御部2001は、情報を送信する(ステップS9)。すなわち通信制御部2001は、保守員コードと、移動時間と、作業時間とを関連付けて管理サーバ30に送信する。
【0071】
管理サーバ30の通信制御部2001は、情報を受信する(ステップS10)。すなわち、通信制御部3001は、保守員コードと、移動時間と、作業時間とが関連付けられた情報を受信する。
【0072】
移動時間管理部3003は、累積時間テーブル308において、受信した保守員コードと同一の保守員コードに関連付けられた移動時間合計値に、受信した移動時間を加算する(ステップS11)。
【0073】
また、作業時間管理部3004は、作業別時間テーブル309の統計作業時間を更新する(ステップS12)。すなわち、作業時間管理部3004は、受信した保守員コードの保守員の現在までの作業時間及び受信した作業時間に基づいて、統計作業時間を算出する。そして、作業時間管理部3004は、作業別時間テーブル309に算出した値を登録することで、作業別時間テーブル309の統計作業時間を更新する。
【0074】
以上により、保守員管理システム1は、記録処理を終了する。
【0075】
図9は、本実施形態の保守員管理システム1が実行する決定処理の一例を示すフローチャートである。決定処理は、保守作業を行う保守員を決定する処理である。
【0076】
保守対象特定部3002は、保守作業を行う保守対象機器であるPOS端末10及び、保守対象機器に対して実行する保守作業の種別を特定する(ステップS21)。
【0077】
移動時間管理部3003は、各保守員の移動時間の合計値である移動時間合計値を累積時間テーブル308から取得する(ステップS22)。
【0078】
作業時間管理部3004は、各保守員の作業時間の合計値である作業時間合計値を累積時間テーブル308から取得する(ステップS23)。
【0079】
保守員決定部3005は、作業別時間テーブル309に基づいて、複数の保守員から、最も実施予定の保守作業が得意な保守員を選択する(ステップS24)。
【0080】
保守員決定部3005は、取得した作業時間合計値が、作業時間閾値310未満であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0081】
取得した作業時間合計値が、作業時間閾値310以上であることを条件に(ステップS25;No)、保守員決定部3005は、ステップS24に移行して、未だ選択していない保守員のうち、最も実施予定の保守作業が得意な保守員を選択する。
【0082】
取得した作業時間合計値が、作業時間閾値310未満であることを条件に(ステップS25;Yes)、保守員決定部3005は、取得した移動時間合計値が、移動時間閾値311未満であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0083】
取得した移動時間合計値が、移動時間閾値311以上であることを条件に(ステップS26;No)、保守員決定部3005は、ステップS24に移行して、未だ選択していない保守員のうち、最も実施予定の保守作業が得意な保守員を選択する。
【0084】
取得した作業時間合計値が、作業時間閾値310未満であることを条件に(ステップS26;Yes)、保守員決定部3005は、選択した保守員を、保守作業を行う保守員に決定する(ステップS27)。
【0085】
以上により、保守員管理システム1は、決定処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る保守員管理システム1によれば、携帯端末20は、保守員の移動時間を測定する。また、携帯端末20は、保守対象機器から受信した情報に基づき作業時間を測定するそして、携帯端末20は、移動時間と、作業時間とを管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、受信した移動時間及び作業時間が記録された累積時間情報に基づいて、保守作業を行う保守員を決定する。よって、保守員管理システム1は、保守作業の分配を支援することができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
また、上記実施形態では、携帯端末20の撮像部206が可視光通信を受信すると説明した。しかしながら、可視光通信は、他の装置が受信してもよい。そして、可視光通信を受信した他の装置が、携帯端末20に受信内容を送信してもよい。具体的には、監視カメラが可視光通信を受信してもよい。そして、監視カメラに接続された装置が、携帯端末20に受信内容を送信してもよい。
【0089】
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0090】
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 保守員管理システム
10 POS端末
20 携帯端末
30 管理サーバ
112 バックライト
206 撮像部
303 通信インタフェース
308 累積時間テーブル
309 作業別時間テーブル
310 作業時間閾値
311 移動時間閾値
1001 モード制御部
1002 表示制御部
1003 可視光通信送信部
2001、3001 通信制御部
2002 測位制御部
2003 移動時間測定部
2004 可視光通信受信部
2005 作業時間測定部
2006 測定制御部
3002 保守対象特定部
3003 移動時間管理部
3004 作業時間管理部
3005 保守員決定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【文献】特開2016-015601号公報
【文献】特開2002-203064号公報