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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20231219BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20231219BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/082
B23K26/03
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019236650
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104522
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雅紀
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036841(JP,A)
【文献】特開2018-098464(JP,A)
【文献】特開平04-051001(JP,A)
【文献】特開2017-006951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/082
B23K 26/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を生成する励起光生成部と、
前記励起光生成部により生成された励起光に基づいてレーザ光を生成するとともに、該レーザ光を出射するレーザ光出力部と、
回転可能な第1及び第2ミラーを有し、前記レーザ光出力部から出射されたレーザ光を、該第1及び第2ミラーを介して被加工物に照射するとともに、該第1及び第2ミラーの回転姿勢を調整することで該被加工物の表面上で2次元走査するレーザ光走査部と、
少なくとも前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部が内部に設けられた筐体と、を備えるレーザ加工装置であって、
前記筐体の内部に設けられ、所定の加工パターンを前記被加工物の表面上に投影するためのガイド光を出射するガイド光出射部と、
前記筐体の内部において前記レーザ光出力部から前記レーザ光走査部までのレーザ光路の途中に設けられ、前記ガイド光出射部から出射されたガイド光を前記レーザ光路に合流させるガイド光合流機構と、
前記筐体の内部に設けられ、前記レーザ光走査部によって2次元走査される測距光であって、前記レーザ加工装置から前記被加工物の表面までの距離を測定するための測距光を出射する測距光出射部と、
前記筐体の内部において前記レーザ光路のうち前記ガイド光合流機構と前記レーザ光走査部との間に設けられた光学部材を有し、該光学部材によって、前記測距光出射部から出射された測距光を前記ガイド光合流機構と前記レーザ光走査部との間で前記レーザ光路に合流させるとともに、前記レーザ光走査部により前記被加工物の表面上で2次元走査されて該被加工物の表面上で反射した後に前記レーザ光走査部を介して戻る測距光を反射又は透過する測距光合流機構と、
前記筐体の内部に設けられ、前記測距光出射部から出射された測距光であって、前記被加工物の表面上で2次元走査されて反射した後に前記レーザ光走査部及び前記測距光合流機構を介して戻った測距光を受光する測距光受光部と、
前記測距光受光部における測距光の受光位置に基づいて、前記レーザ加工装置から前記被加工物の表面までの距離を測定する距離測定部と、を備え
記光学部材は、前記レーザ光、前記ガイド光及び前記測距光それぞれの波長帯域のうち、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることにより、該測距光を前記測距光受光部まで導く
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたレーザ加工装置において、
前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させるよう、コーティング処理が施されている
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたレーザ加工装置において、
前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射する一方、前記レーザ光及び前記ガイド光それぞれの波長帯域を透過させる
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたレーザ加工装置において、
前記光学部材の表裏には、
前記レーザ光及び前記ガイド光が入射するレーザ光入射面と、
前記レーザ光入射面から入射した前記レーザ光及び前記ガイド光が、前記光学部材を透過して出射するレーザ光出射面と、が設けられ、
前記レーザ光出射面は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射し、
前記レーザ光入射面は、前記測距光の波長帯域を透過させるように構成されている
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載されたレーザ加工装置において、
前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に透過させる一方、前記レーザ光及び前記ガイド光それぞれの波長帯域を選択的に反射する
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載されたレーザ加工装置において、
前記筐体の内部に設けられ、前記レーザ光出力部から出射されたレーザ光の焦点位置を調整する焦点調整部を備え、
前記測距光合流機構は、前記レーザ光路において、前記焦点調整部と前記レーザ光走査部との間に配置される
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたレーザ加工装置において、
前記ガイド光合流機構は、前記レーザ光路において、前記レーザ光出力部と前記焦点調整部との間に配置される
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたレーザ加工装置において、
前記測距光及び前記ガイド光の波長帯域は、双方とも可視光域に設定され、
前記レーザ光の波長は、前記測距光及び前記前記ガイド光の波長よりも長い
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項9】
請求項8に記載されたレーザ加工装置において、
前記レーザ光の波長は、1064nm、532nm又は355nmに設定され、
前記測距光の波長帯域は、680nm以上695nm以下に設定され、
前記ガイド光の波長帯域は、645nm以上660nm以下に設定される
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、レーザマーキング装置等、被加工物にレーザ光を照射することによって加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物までの距離を測定可能なレーザ加工装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、レーザ光源から出射されたレーザ光(パルスレーザ光)を集光する対物集光用レンズと、この対物集光用レンズと被加工物(加工対象物)との間の距離を計測する測距センサと、この測距センサによる計測結果に基づき、レーザ光の焦点位置を調整するアクチュエータと、を備えたレーザ加工装置が開示されている。
【0004】
前記特許文献1に係る測距センサは、同文献に図示されているように、Z軸ステージによって支持されている。そのため、この測距センサは、測距位置が非可変であり、定点までの距離を測定するようになっている。
【0005】
また、レーザ加工装置においては、その加工内容等を予めユーザに視認させるべく、被加工物の表面上にガイド光を出射することで、その表面上に加工パターンを投影することも広く知られている。
【0006】
例えば、特許文献2に開示されているレーザ加工装置は、ガイド光を出射可能なガイド光出射部(ガイド光源)を備えた構成とされている。このガイド光出射部は、レーザ光走査系の光軸と同軸化されており、そのレーザ光走査系によってガイド光を走査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-315031号公報
【文献】特開2008-227377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1のように測距位置を非可変とした構成では、測距センサの使い勝手に改善の余地が残る。そこで、測距センサから出射される測距光の光軸と、加工用のレーザ光の光軸(特に、レーザ光走査系の光軸)と、を同軸にすることで、そのレーザ光走査系によって測距光を走査することが考えられる。
【0009】
しかしながら、前記特許文献2に開示されているレーザ加工装置のように、同軸化されたガイド光出射部を備えた装置において、さらに測距センサも同軸にしてしまうと、被加工物の表面上で反射された測距光の少なくとも一部が、測距センサではなくガイド光出射部へと戻ってしまい、測距センサでの受光量が減少してしまう可能性がある。測距センサでの受光量の減少は、測定精度の低下を招くため不都合である。
【0010】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガイド光及び測距光を加工用のレーザ光と同軸化しつつ、距離の測定精度を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
具体的に、本開示の第1の側面は、励起光を生成する励起光生成部と、前記励起光生成部により生成された励起光に基づいてレーザ光を生成するとともに、該レーザ光を出射するレーザ光出力部と、前記レーザ光出力部から出射されたレーザ光を被加工物に照射するとともに、該被加工物の表面上で2次元走査するレーザ光走査部と、少なくとも前記レーザ光出力部及び前記レーザ光走査部が内部に設けられた筐体と、を備えるレーザ加工装置に係る。このレーザ加工装置は、前記筐体の内部に設けられ、所定の加工パターンを前記被加工物の表面上に投影するためのガイド光を出射するガイド光出射部と、前記筐体の内部において前記レーザ光出力部から前記レーザ光走査部までのレーザ光路の途中に設けられ、前記ガイド光出射部から出射されたガイド光を前記レーザ光路に合流させるガイド光合流機構と、前記筐体の内部に設けられ、前記レーザ加工装置から前記被加工物の表面までの距離を測定するための測距光を出射する測距光出射部と、前記筐体の内部において前記レーザ光路のうち前記ガイド光合流機構と前記レーザ光走査部との間に設けられ、前記測距光出射部から出射された測距光を前記レーザ光路に合流させる測距光合流機構と、前記筐体の内部に設けられ、前記被加工物の表面上で反射されて前記レーザ光走査部及び前記測距光合流機構を介して戻った測距光を受光する測距光受光部と、前記測距光受光部における測距光の受光位置に基づいて、前記レーザ加工装置から前記被加工物の表面までの距離を測定する距離測定部と、を備える。
【0012】
そして、本開示の第1の側面によれば、前記測距光合流機構は、前記被加工物の表面上で反射された測距光を前記測距光受光部へ導く光学部材を有し、前記光学部材は、前記レーザ光、前記ガイド光及び前記測距光それぞれの波長帯域のうち、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることにより、該測距光を前記測距光受光部まで導く。
【0013】
この構成によれば、レーザ加工装置から被加工物の表面までの距離を測定する場合、測距光出射部が測距光を出射する。測距光出射部から出射された測距光は、測距光合流機構と、レーザ光走査部と、を順番に通過して被加工物に照射される。被加工物に照射された測距光は、被加工物によって反射された後、レーザ光走査部と、測距光合流機構と、を順番に戻って測距光受光部に至る。この測距光受光部における測距光の受光位置に基づいて、距離測定部が被加工物の表面までの距離を測定する。
【0014】
また、被加工物の表面にガイド光を照射する場合、ガイド光出射部がガイド光を出射する。ガイド光出射部から出射されたガイド光は、ガイド光合流機構と、測距光合流機構と、レーザ光走査部と、を順番に通過して被加工物に照射される。
【0015】
そして、前記の構成によれば、ガイド光出射部及び測距光出射部は、それぞれ加工用のレーザ光と同軸化され、ガイド光と測距光をレーザ光走査部によって走査することができるようになる。
【0016】
具体的に、ガイド光合流機構はレーザ光出力部からレーザ光走査部へ至るレーザ光路の途中に配置され、測距光合流機構は、そのレーザ光路におけるガイド光合流機構とレーザ光走査部との間に配置されている。このように配置した場合、被加工物の表面上で反射されてレーザ加工装置へ戻った測距光は、ガイド光合流機構に到達する前に、測距光合流機構に到達することになる。
【0017】
ここで、前記測距光合流機構を構成する光学部材は、加工用のレーザ光、ガイド光及び測距光それぞれの波長帯域のうち、測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることにより、該測距光を測距光受光部まで導くように構成されている。このように構成することで、ガイド光出射部への測距光(特に、測距光の反射光)の伝搬を抑制し、測距光受光部における受光量を高めることができる。これにより、測定精度の低下を抑制することができるようになる。
【0018】
また、本開示の第2の側面によれば、前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させるよう、コーティング処理が施されている、としてもよい。
【0019】
この構成によれば、選択的な反射又は透過に適した光学部材を構成することができる。
【0020】
また、本開示の第3の側面によれば、前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射する一方、前記レーザ光及び前記ガイド光それぞれの波長帯域を透過させる、としてもよい。
【0021】
この構成によれば、測定精度の低下を抑制する上で有利になる。
【0022】
また、本開示の第4の側面によれば、前記光学部材の表裏には、前記レーザ光及び前記ガイド光が入射するレーザ光入射面と、前記レーザ光入射面から入射した前記レーザ光及び前記ガイド光が、前記光学部材を透過して出射するレーザ光出射面と、が設けられ、前記レーザ光出射面は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に反射し、前記レーザ光入射面は、前記測距光の波長帯域を透過させるように構成されている、としてもよい。
【0023】
この構成によれば、光学部材におけるレーザ光出射面は、測距光を反射させ、その測距光をレーザ光走査部又は測距光受光部へと導くことができる。しかしながら、レーザ光出射面の反射率を厳密に100%に設定するのは、技術的に容易ではない。そのため、レーザ光出射面に入射した測距光のうちの一部は、レーザ光出射面によって反射されずに、このレーザ光出射面を通り抜けることになる。レーザ光出射面を通り抜けた測距光は、光学部材の内部を屈折しつつ通過して、レーザ光入射面へ至る。
【0024】
そうしてレーザ光入射面に至った測距光が、仮にレーザ光入射面で反射されて測距光受光部まで戻ってしまうと、測距光受光部には、レーザ光出射面とレーザ光入射面とによって反射された測距光が両方とも戻ることになる。この場合、測距光受光部における受光位置がぼやけてしまう可能性がある。このことは、測定精度の低下を招くため望ましくない。こうした問題は、レーザ光出射面での反射率が低い場合に、より顕著となる。
【0025】
そこで、前記の構成のように、レーザ光入射面は、測距光の波長帯域を反射せずに透過させる。これにより、レーザ光出射面を通り抜けてレーザ光入射面に至った測距光は、レ-ザ光入射面での反射が抑制されて、レ-ザ光入射面から外部に出射されるようになる。これにより、測距光受光部における受光位置のぼやけを抑制し、測定精度の低下を抑制することができる。
【0026】
また、本開示の第5の側面によれば、前記光学部材は、前記測距光の波長帯域のみを選択的に透過させる一方、前記レーザ光及び前記ガイド光それぞれの波長帯域を選択的に反射する、としてもよい。
【0027】
この構成によれば、測定精度の低下を抑制する上で有利になる。
【0028】
また、本開示の第6の側面によれば、前記レーザ加工装置は、前記筐体の内部に設けられ、前記レーザ光出力部から出射されたレーザ光の焦点位置を調整する焦点調整部を備え、前記測距光合流機構は、前記レーザ光路において、前記焦点調整部と前記レーザ光走査部との間に配置される、としてもよい。
【0029】
この構成によれば、測距光合流機構は、焦点調整部とレーザ光走査部との間に配置され、測距光出射部から出射された測距光と、焦点調整部を通過したレーザ光とを同軸にする。よって、測距光が、レーザ光走査部よりも上流側の光路において同軸化されることになるから、レーザ光走査部を作動させることで、測距光を走査することができる。
【0030】
それと同時に、測距光は、焦点調整部よりも下流側の光路において同軸化されることにもなる。したがって、焦点調整部の開口を過度に大きくせずとも、測距光による測定分解能を確保することができる。
【0031】
また、前記の構成によれば、測距光出射部から出射される測距光ばかりでなく、被加工物により反射されて測距光受光部により受光される測距光も焦点調整部を通過しない。よって、測距光出射部と測距光受光部を近接して配置することができ、温度変化に起因した筐体の歪み等の影響を抑制することが可能になる。このことは、距離測定部による測定精度を確保する上で有効である。
【0032】
また、本開示の第7の側面によれば、前記ガイド光合流機構は、前記レーザ光路において、前記レーザ光出力部と前記焦点調整部との間に配置される。
【0033】
この構成によれば、ガイド光出射部から出射されたガイド光は、ガイド光合流機構と、焦点調整部と、測距光合流機構と、レーザ光走査部と、を順番に通過して被加工物に照射される。
【0034】
ここで、ガイド光合流機構は、レーザ光出力部と焦点調整部との間に設けられており、ガイド光出射部から出射されたガイド光と、レーザ光出力部から出射されたレーザ光と、を同軸にする。よって、ガイド光とレーザ光が、焦点調整部よりも上流側の光路において合流することになるから、焦点調整部を作動させることで、ガイド光の焦点位置を調整することができる。これにより、ガイド光の視認性を高めることが可能になる。
【0035】
また、本開示の第8の側面によれば、前記測距光及び前記ガイド光の波長帯域は、双方とも可視光域に設定され、前記レーザ光の波長は、前記測距光及び前記ガイド光の波長よりも長い、としてもよい。
【0036】
この構成によれば、測距光とガイド光をユーザに視認させることができる。
【0037】
また、本開示の第9の側面によれば、前記レーザ光の波長は、1064nm、532nm又は355nmに設定され、前記測距光の波長帯域は、680nm以上695nm以下に設定され、前記ガイド光の波長帯域は、645nm以上660nm以下に設定される、としてもよい。
【0038】
この構成によれば、測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、前記レーザ加工装置によれば、ガイド光と測距光をそれぞれ加工用のレーザ光と同軸化しつつ、距離の測定精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、レーザ加工システムの全体構成を例示する図である。
図2図2は、レーザ加工装置の概略構成を例示するブロック図である。
図3A図3Aは、マーカヘッドの概略構成を例示するブロック図である。
図3B図3Bは、マーカヘッドの概略構成を例示するブロック図である。
図4図4は、マーカヘッドの外観を例示する斜視図である。
図5図5は、レーザ光走査部の構成を例示する図である。
図6図6は、レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットの構成を例示する図である。
図7図7は、レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットを結ぶ光路を例示する断面図である。
図8図8は、レーザ光案内部、レーザ光走査部及び測距ユニットを結ぶ光路を例示する斜視図である。
図9図9は、三角測距方式について説明する図である。
図10図10は、ワークの加工手順を例示するフローチャートである。
図11図11は、下流側合流機構の構成を後方から見て例示する斜視図である。
図12図12は、下流側合流機構の構成を前方から見て例示する斜視図である。
図13A図13Aは、第1実施形態に係るレーザ光入射面の反射率を例示する図である。
図13B図13Bは、第1実施形態に係るレーザ光出射面の反射率を例示する図である。
図14A図14Aは、下流側合流機構における近赤外レーザ光及びガイド光の光路を例示する図である。
図14B図14Bは、下流側合流機構における測距光の光路を例示する図である。
図15A図15Aは、レーザ加工装置の第2実施形態に係るマーカヘッドを例示する図3A対応図である。
図15B図15Bは、レーザ加工装置の第2実施形態に係るマーカヘッドを例示する図3B対応図である。
図16A図16Aは、第2実施形態に係るレーザ光入射面の反射率を例示する図13A対応図である。
図16B図16Bは、第2実施形態に係るレーザ光出射面の反射率を例示する図13B対応図である。
図17A図17Aは、第2実施形態における近赤外レーザ光及びガイド光の光路を例示する図14A対応図である。
図17B図17Bは、第2実施形態における測距光の光路を例示する図14B対応図である。
図18図18は、近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光が取り得る波長の組み合わせを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0042】
すなわち、本明細書では、レーザ加工装置の一例としてのレーザマーカについて説明するが、ここに開示する技術は、レーザ加工装置及びレーザマーカという名称に拘わらず、レーザ応用機器一般に適用することができる。
【0043】
また、本明細書においては、加工の代表例として印字加工について説明するが、印字加工に限定されず、画像のマーキング等、レーザ光を使ったあらゆる加工処理において利用することができる。
【0044】
《第1実施形態》
まず、レーザ加工装置Lの第1実施形態を含んでなるレーザ加工システムSについて説明する。以下の説明においては、第1実施形態に特有の構成であることを強調する場合を除き、第1実施形態を単に本実施形態という。
【0045】
<全体構成>
図1はレーザ加工システムSの全体構成を例示する図であり、図2はレーザ加工システムSにおけるレーザ加工装置Lの概略構成を例示する図である。図1に例示するレーザ加工システムSは、レーザ加工装置Lと、これに接続される操作用端末800及び外部機器900と、を備えている。
【0046】
そして、図1及び図2に例示するレーザ加工装置Lは、マーカヘッド1から出射されたレーザ光を、被加工物としてのワークWへ照射するとともに、そのワークWの表面上で3次元走査することによって加工を行うものである。なお、ここでいう「3次元走査」とは、レーザ光の照射位置をワークWの表面上で走査する2次元的な動作(いわゆる「2次元走査」)と、レーザ光の焦点位置を調整する1次元的な動作と、の組み合わせを総称した概念を指す。
【0047】
特に、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、ワークWを加工するためのレーザ光として、1064nm付近の波長を有するレーザ光を出射することができる。この波長は、近赤外線(Near-InfraRed:NIR)の波長域に相当する。そのため、以下の記載では、ワークWを加工するためのレーザ光を「近赤外レーザ光」と呼称して、他のレーザ光と区別する場合がある。もちろん、他の波長を有するレーザ光を、ワークWの加工に用いてもよい。
【0048】
具体的に、ワークWの加工に用いるレーザ光の波長は、1064nm以外の選択肢としては、例えば、532nm又は355nmに設定することができる。532nmの波長は、緑色の可視光域に相当し、355nmの波長は、近紫外線(Near-UltraViolet:NUV)の波長域に相当する。
【0049】
また、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、マーカヘッド1に内蔵された測距ユニット5を介してワークWまでの距離(高さ)を測定するとともに、その測定結果を利用して近赤外レーザ光の焦点位置を調整することができる。
【0050】
図1及び図2に示すように、レーザ加工装置Lは、レーザ光を出射するためのマーカヘッド1と、マーカヘッド1を制御するためのマーカコントローラ100と、を備えている。
【0051】
マーカヘッド1及びマーカコントローラ100は、この実施形態においては別体とされており、電気配線を介して電気的に接続されているとともに、光ファイバーケーブルを介して光学的に結合されている。
【0052】
より一般には、マーカヘッド1及びマーカコントローラ100の一方を他方に組み込んで一体化することもできる。この場合、光ファイバーケーブル等を適宜省略することができる。
【0053】
操作用端末800は、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリを有しており、マーカコントローラ100に接続されている。この操作用端末800は、印字設定など、種々の加工条件を設定するとともに、レーザ加工に関連した情報をユーザに示すための端末として機能する。この操作用端末800は、ユーザに情報を表示するための表示部801と、ユーザによる操作入力を受け付ける操作部802と、種々の情報を記憶するための記憶装置803と、を備えている。
【0054】
具体的に、表示部801は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELパネルにより構成されている。表示部801には、レーザ加工に関連した情報として、レーザ加工装置Lの動作状況及び加工条件等が表示される。一方、操作部802は、例えばキーボード及び/又はポインティングデバイスにより構成されている。ここで、ポインティングデバイスには、マウス及び/又はジョイスティック等が含まれる。操作部802は、ユーザによる操作入力を受け付けるように構成されており、マーカコントローラ100を介してマーカヘッド1を操作するために用いられる。
【0055】
上記のように構成される操作用端末800は、ユーザによる操作入力に基づいて、レーザ加工における加工条件を設定することができる。この加工条件には、例えば、ワークWに印字されるべき文字列、並びに、バーコード及びQRコード(登録商標)等の図形の内容(マーキングパターン)、レーザ光に求める出力(目標出力)、及び、ワークW上でのレーザ光の走査速度(スキャンスピード)が含まれる。
【0056】
また、本実施形態に係る加工条件には、前述の測距ユニット5に関連した条件及びパラメータ(以下、これを「測距条件」ともいう)も含まれる。そうした測距条件には、例えば、測距ユニット5による検出結果を示す信号と、ワークWの表面までの距離と、を関連付けるデータ等が含まれる。
【0057】
操作用端末800により設定される加工条件は、マーカコントローラ100に出力されて、その条件設定記憶部102に記憶される。必要に応じて、操作用端末800における記憶装置803が加工条件を記憶してもよい。
【0058】
なお、操作用端末800は、例えばマーカコントローラ100に組み込んで一体化することができる。この場合は「操作用端末」ではなく、コントロールユニット等の呼称が用いられることになるが、少なくとも本実施形態においては、操作用端末800とマーカコントローラ100は互いに別体とされている。
【0059】
外部機器900は、必要に応じてレーザ加工装置Lのマーカコントローラ100に接続される。図1に示す例では、外部機器900として、画像認識装置901及びプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)902が設けられている。
【0060】
具体的に、画像認識装置901は、例えば製造ライン上で搬送されるワークWの種別及び位置を判定する。画像認識装置901として、例えばイメージセンサを用いることができる。PLC902は、予め定められたシーケンスに従ってレーザ加工システムSを制御するために用いられる。
【0061】
レーザ加工装置Lには、上述した機器や装置以外にも、操作及び制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を接続することもできる。この場合の接続は、例えば、IEEE1394、RS-232、RS-422及びUSB等のシリアル接続、又はパラレル接続としてもよい。あるいは、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T等のネットワークを介して電気的、磁気的、又は光学的な接続を採用することもできる。また、有線接続以外にも、IEEE802等の無線LAN、又は、Bluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続でもよい。さらに、データの交換や各種設定の保存等を行うための記憶装置に用いる記憶媒体としては、例えば、各種メモリカード、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等を利用することができる。
【0062】
以下、マーカコントローラ100及びマーカヘッド1それぞれのハード構成に係る説明と、マーカコントローラ100によるマーカヘッド1の制御に係る構成と、について順番に説明をする。
【0063】
<マーカコントローラ100>
図2に示すように、マーカコントローラ100は、上述した加工条件を記憶する条件設定記憶部102と、これに記憶されている加工条件に基づいてマーカヘッド1を制御する制御部101と、レーザ励起光(励起光)を生成する励起光生成部110と、を備えている。
【0064】
(条件設定記憶部102)
条件設定記憶部102は、操作用端末800を介して設定された加工条件を記憶するとともに、必要に応じて、記憶された加工条件を制御部101へと出力するように構成されている。
【0065】
具体的に、条件設定記憶部102は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等を用いて構成されており、加工条件を示す情報を一時的又は継続的に記憶することができる。なお、操作用端末800をマーカコントローラ100に組み込んだ場合には、記憶装置803が条件設定記憶部102を兼用するように構成することができる。
【0066】
(制御部101)
制御部101は、条件設定記憶部102に記憶された加工条件に基づいて、少なくとも、マーカコントローラ100における励起光生成部110、並びに、マーカヘッド1におけるレーザ光出力部2、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4、測距ユニット5、及び、後述の広域カメラ(非同軸カメラ)6を制御することにより、ワークWの印字加工等を実行する。
【0067】
具体的に、制御部101は、CPU、メモリ、入出力バスを有しており、操作用端末800を介して入力された情報を示す信号、及び、条件設定記憶部102から読み込んだ加工条件を示す信号に基づいて制御信号を生成する。制御部101は、そうして生成した制御信号をレーザ加工装置Lの各部へと出力することにより、ワークWに対する印字加工、及び、ワークWまでの距離の測定を制御する。
【0068】
例えば制御部101は、ワークWの加工を開始するときには、条件設定記憶部102に記憶された目標出力を読み込んで、その目標出力に基づき生成した制御信号を励起光源駆動部112へと出力し、レーザ励起光の生成を制御する。
【0069】
また制御部101は、実際にワークWを加工する際には、例えば条件設定記憶部102に記憶されている加工パターン(マーキングパターン)を読み込むとともに、その加工パターンに基づき生成した制御信号をレーザ光走査部4へと出力し、近赤外レーザ光を2次元走査する。近赤外レーザ光の2次元走査を制御しているという点で、制御部101は、本実施形態における「走査制御部」を例示している。
【0070】
(励起光生成部110)
励起光生成部110は、駆動電流に応じたレーザ光を生成する励起光源111と、その励起光源111に駆動電流を供給する励起光源駆動部112と、励起光源111に対して光学的に結合された励起光集光部113と、を備えている。励起光源111と励起光集光部113は、不図示の励起ケーシング内に固定されている。詳細は省略するが、この励起ケーシングは、熱伝導性に優れた銅等の金属で構成されており、励起光源111から効率よく放熱させることができる。
【0071】
以下、励起光生成部110の各部について順番に説明する。
【0072】
励起光源駆動部112は、制御部101から出力された制御信号に基づいて、励起光源111へ駆動電流を供給する。詳細は省略するが、励起光源駆動部112は、制御部101が決定した目標出力に基づいて駆動電流を決定し、そうして決定した駆動電流を励起光源111へ供給する。
【0073】
励起光源111は、励起光源駆動部112から駆動電流が供給されるとともに、その駆動電流に応じたレーザ光を発振する。例えば、励起光源111は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成されており、複数のLD素子を直線状に並べたLDアレイやLDバーを用いることができる。励起光源111としてLDアレイやLDバーを用いた場合、各素子から発振されるレーザ光は、ライン状に出力されて励起光集光部113に入射する。
【0074】
励起光集光部113は、励起光源111から出力されたレーザ光を集光するとともに、レーザ励起光(励起光)として出力する。例えば、励起光集光部113は、フォーカシングレンズ等で構成されており、レーザ光が入射する入射面と、レーザ励起光を出力する出射面と、を有している。励起光集光部113は、マーカヘッド1に対し、前述の光ファイバーケーブルを介して光学的に結合されている。よって、励起光集光部113から出力されたレーザ励起光は、その光ファイバーケーブルを介してマーカヘッド1へ導かれることになる。
【0075】
なお、励起光生成部110は、励起光源駆動部112、励起光源111及び励起光集光部113を予め組み込んだLDユニットあるいはLDモジュールとすることができる。また、励起光生成部110から出射される励起光(具体的には、励起光集光部113から出力されるレーザ励起光)は、無偏光とすることができ、これにより偏光状態の変化を考慮する必要がなく、設計上有利となる。特に、励起光源111周辺の構成については、複数のLD素子を数十個配列したLDアレイから各々得られる光を光ファイバーでバンドルして出力するLDユニット自体に、出力光を無偏光とする機構を備えることが好ましい。
【0076】
(他の構成要素)
マーカコントローラ100はまた、測距ユニット5を介してワークWまでの距離を測定する距離測定部103を有している。距離測定部103は、測距ユニット5と電気的に接続されており、測距ユニット5による測定結果に関連した信号(少なくとも、測距光受光部5Bにおける測距光の受光位置を示す信号)を受信可能とされている。
【0077】
また、後述のように、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、ワークWの表面を撮像するための、広域カメラとしての非同軸カメラ6を備えている。マーカコントローラ100における制御部101は、非同軸カメラ6によって撮像された画像に基づく処理を行うことができる。
【0078】
マーカコントローラ100はまた、マーキングパターンに係る情報を設定する設定部107を備えている。設定部107における設定内容は、走査制御部としての制御部101が読み込んで使用する。
【0079】
なお、距離測定部103及び設定部107は、制御部101によって構成してもよい。例えば、制御部101が、距離測定部103及び設定部107のうちの少なくとも一方を兼用してもよい。
【0080】
距離測定部103及び設定部107の詳細は、後述する。
【0081】
<マーカヘッド1>
前述のように、励起光生成部110により生成されたレーザ励起光は、光ファイバーケーブルを介してマーカヘッド1へ導かれる。このマーカヘッド1は、レーザ励起光に基づいてレーザ光を増幅・生成して出力するレーザ光出力部2と、レーザ光出力部2から出力されたレーザ光をワークWの表面へ照射して2次元走査を行うレーザ光走査部4と、レーザ光出力部2からレーザ光走査部4へ至る光路を構成するレーザ光案内部3と、レーザ光走査部4を介して投光及び受光した測距光に基づいてワークWの表面までの距離を測定するための測距ユニット5と、を備えている。
【0082】
ここで、本実施形態に係るレーザ光案内部3は、単に光路を構成するばかりでなく、レーザ光の焦点位置を調整するZスキャナ(焦点調整部)33、及び、ガイド光を出射するガイド光源など、複数の部材が組み合わされてなる。
【0083】
また、レーザ光案内部3はさらに、レーザ光出力部2から出力される近赤外レーザ光とガイド光源36から出射されるガイド光を合流せしめる上流側合流機構(ガイド光合流機構)31と、レーザ光走査部4へ導かれるレーザ光と測距ユニット5から投光される測距光を合流せしめる下流側合流機構(測距光合流機構)35と、を有している。
【0084】
図3A図3Bはマーカヘッド1の概略構成を例示するブロック図であり、図4はマーカヘッド1の外観を例示する斜視図である。図3A図3Bのうち、図3Aは近赤外レーザ光を用いてワークWを加工する場合を例示し、図3Bは測距ユニット5を用いてワークWの表面までの距離を測定する場合を例示している。
【0085】
図3A図4に例示するように、マーカヘッド1は、少なくともレーザ光出力部2、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5が内部に設けられた筐体10を備えている。この筐体10は、図4に示すような略直方状の外形を有している。筐体10の下面は、板状の底板10aによって区画されている。この底板10aには、マーカヘッド1から該マーカヘッド1の外部にレーザ光を出射するための、透過窓部としての透過ウインドウ19が設けられている。透過ウインドウ19は、底板10aを板厚方向に貫く貫通孔に対し、近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光を透過可能な板状の透明部材を嵌め込むことによって構成されている。
【0086】
なお、以下の記載では、図4における筐体10の長手方向を単に「長手方向」又は「前後方向」と呼称したり、同図における筐体10の短手方向を単に「短手方向」又は「左右方向」と呼称したりする場合がある。同様に、図4における筐体10の高さ方向を単に「高さ方向」又は「上下方向」と呼称する場合もある。
【0087】
図5は、レーザ光走査部4の構成を例示する斜視図である。また、図6はレーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5の構成を例示する断面図であり、図7はレーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5を結ぶ光路を例示する断面図であり、図8はレーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5を結ぶ光路を例示する斜視図である。
【0088】
図5図6に例示するように、筐体10の内部には仕切部11が設けられている。筐体10の内部空間は、この仕切部11によって長手方向の一側と他側に仕切られている。
【0089】
具体的に、仕切部11は、筐体10の長手方向に対して垂直な方向に延びる平板状に形成されている。また、仕切部11は、筐体10の長手方向においては、同方向における筐体10の中央部に比して、長手方向一側(図4における前側)に寄せた配置とされている。
【0090】
よって、筐体10内の長手方向一側に仕切られるスペースは、長手方向他側(図4における後側)に仕切られるスペースよりも、長手方向の寸法が短くなっている。以下、筐体10内の長手方向他側に仕切られるスペースを第1スペースS1と呼称する一方、その長手方向一側に仕切られるスペースを第2スペースS2と呼称する。
【0091】
この実施形態では、第1スペースS1の内部には、レーザ光出力部2と、レーザ光案内部3における一部の部品と、レーザ光走査部4と、測距ユニット5が配置されている。一方、第2スペースS2の内部には、レーザ光案内部3における主要な部品が配置されている。
【0092】
詳しくは、第1スペースS1は、略平板状のベースプレート12によって、短手方向の一側(図4の左側)の空間と、他側(図4の右側)の空間と、に仕切られている。前者の空間には、主に、レーザ光出力部2を構成する部品が配置されている。
【0093】
さらに詳しくは、レーザ光出力部2を構成する部品のうち、光学レンズや光学結晶など、可能な限り気密状に密閉することが求められる光学部品21については、第1スペースS1における短手方向一側の空間において、ベースプレート12等によって包囲された収容空間の内部に配置されている。
【0094】
対して、レーザ光出力部2を構成する部品のうち、電気配線や、図5に示すヒートシンク22など、必ずしも密閉することが求められない部品については、光学部品21に対し、ベースプレート12を挟んで反対側(第1スペースS1における短手方向他側)に配置されている。
【0095】
また、図5及び図6に例示するように、レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2における光学部品21と同様に、ベースプレート12を挟んで短手方向の一側に配置することができる。具体的に、この実施形態に係るレーザ光走査部4は、長手方向においては前述の仕切部11に隣接するとともに、上下方向においては筐体10の内底面に沿って配置されている。
【0096】
また、図6に示すように、測距ユニット5は、レーザ光出力部2におけるヒートシンク22と同様に、第1スペースS1における短手方向他側の空間に配置されている。
【0097】
また、レーザ光案内部3を構成する部品は、主に第2スペースS2に配置されている。この実施形態では、レーザ光案内部3を構成する大部分の部品は、仕切部11と、筐体10の前面を区画するカバー部材17と、により包囲された空間に収容されている。
【0098】
なお、レーザ光案内部3を構成する部品のうち、下流側合流機構35については、第1スペースS1における仕切部11付近の部位に配置されている(図5を参照)。すなわち、この実施形態では、下流側合流機構35は、第1スペースS1と第2スペースS2との境界付近に位置することになる。
【0099】
またベースプレート12には、該ベースプレート12を板厚方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成されている。この貫通孔を通じて、レーザ光案内部3及びレーザ光走査部4と、測距ユニット5とが光学的に結合されることになる。ベースプレート12は、高い剛性を有しており、長年の使用を経たとしても、筐体10と比べて変形が生じにくい。よって、例えばネジ等の締結部材を用いて、筐体10ではなくベースプレート12に測距ユニット5を固定することにより、測距ユニット5の姿勢が長年の使用でずれることを防ぎ、ひいては測距精度の低下を防ぐことができる。
【0100】
以下、レーザ光出力部2、レーザ光案内部3、レーザ光走査部4及び測距ユニット5の構成について順番に説明をする。
【0101】
(レーザ光出力部2)
レーザ光出力部2は、励起光生成部110により生成されたレーザ励起光に基づいて印字加工用の近赤外レーザ光を生成するとともに、その近赤外レーザ光をレーザ光案内部3へと出力するように構成されている。
【0102】
具体的に、レーザ光出力部2は、レーザ励起光に基づき所定の波長を有するレーザ光を生成するとともに、これを増幅して近赤外レーザ光を出射するレーザ発振器21aと、レーザ発振器21aから発振された近赤外レーザ光の一部を分離させるためのビームサンプラー21bと、ビームサンプラー21bによって分離せしめた近赤外レーザ光が入射するパワーモニタ21cと、を備えている。
【0103】
詳細は省略するが、本実施形態に係るレーザ発振器21aは、レーザ励起光に対応した誘導放出を行ってレーザ光を出射するレーザ媒質と、レーザ媒質から出射されるレーザ光をパルス発振するためのQスイッチと、Qスイッチによりパルス発振されたレーザ光を共振させるミラーと、を有している。
【0104】
特に本実施形態では、レーザ媒質としてロッド状のNd:YVO(イットリウム・バナデイト)が用いられている。これにより、レーザ発振器21aは、レーザ光として、1064nm付近の波長を有するレーザ光(前述の近赤外レーザ光)を出射することができる。ただし、この例に限らず、他のレーザ媒質として、例えば希土類をドープしたYAG、YLF、GdVO等を用いることもできる。レーザ加工装置Lの用途に応じて、様々な固体レーザ媒質を用いることができる。
【0105】
また、固体レーザ媒質に波長変換素子を組み合わせて、出力されるレーザ光の波長を任意の波長に変換することもできる。また、固体レーザ媒質としてバルクに代わってファイバーを発振器として利用した、いわゆるファイバーレーザを利用してもよい。
【0106】
さらには、Nd:YVO等の固体レーザ媒質と、ファイバーとを組み合わせてレーザ発振器21aを構成してもよい。その場合、固体レーザ媒質を用いたときのように、パルス幅の短いレーザを出射してワークWへの熱ダメージを抑制する一方で、ファイバーを用いたときのように、高出力化を実現してより早い印字加工を実現することが可能となる。
【0107】
パワーモニタ21cは、近赤外レーザ光の出力を検出する。パワーモニタ21cは、マーカコントローラ100と電気的に接続されており、その検出信号を制御部101等へ出力することができる。
【0108】
(レーザ光案内部3)
レーザ光案内部3は、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光をレーザ光走査部4へと案内するレーザ光路Pの少なくとも一部を形成する。レーザ光案内部3は、そうしたレーザ光路Pを形成するためのベンドミラー34に加えて、Zスキャナ(焦点調整部)33及びガイド光源(ガイド光出射部)36等を備えている。これらの部品は、いずれも筐体10の内部(主に第2スペースS2)に設けられている。
【0109】
レーザ光出力部2から入射した近赤外レーザ光は、ベンドミラー34によって反射され、レーザ光案内部3を通過する。ベンドミラー34へ至る途中には、近赤外レーザ光の焦点位置を調整するためのZスキャナ33が配置されている。Zスキャナ33を通過してベンドミラー34によって反射された近赤外レーザ光が、レーザ光走査部4に入射することになる。
【0110】
レーザ光案内部3により構成されるレーザ光路Pは、焦点調整部としてのZスキャナ33を境として2分することができる。詳しくは、レーザ光案内部3により構成されるレーザ光路Pは、レーザ光出力部2からZスキャナ33へ至る上流側光路Puと、Zスキャナ33からレーザ光走査部4へ至る下流側光路Pdと、に区分することができる。
【0111】
さらに詳しくは、上流側光路Puは、筐体10の内部に設けられており、レーザ光出力部2から、前述の上流側合流機構31を経由してZスキャナ33に至る。
【0112】
一方、下流側光路Pdは、筐体10の内部に設けられており、Zスキャナ33から、ベンドミラー34と、前述の下流側合流機構35と、を順番に経由してレーザ光走査部4における第1スキャナ41に至る。
【0113】
このように、筐体10の内部においては、上流側光路Puの途中に上流側合流機構31が設けられているとともに、下流側光路Pdの途中に下流側合流機構35が設けられている。
【0114】
以下、レーザ光案内部3に関連した構成について順番に説明をする。
【0115】
-ガイド光源36-
ガイド光源36は、筐体10内部の第2スペースS2に設けられており、所定の加工パターンをワークWの表面上に投影するためのガイド光を出射する。そのガイド光の波長帯域は、可視光域に収まるように設定されている。その一例として、本実施形態に係るガイド光源36は、ガイド光として、655nm付近の波長を有する赤色レーザ光を出射する。よって、マーカヘッド1からガイド光が出射されると、使用者は、そのガイド光を視認することができる。
【0116】
具体的に、本実施形態におけるガイド光の波長帯域は、好ましくは、645nm以上660nm以下に設定される。よって、ガイド光の波長帯域は、近赤外レーザ光波長帯域とはオーバーラップしない。
【0117】
このように、本実施形態では、ガイド光の波長は、少なくとも近赤外レーザ光の波長とは相違するように設定されている。また後述のように、測距ユニット5における測距光出射部5Aは、ガイド光及び近赤外レーザ光とは異なる波長を有する測距光を出射する。よって、測距光と、ガイド光と、レーザ光と、は互いに異なる波長を有しており、測距光、ガイド光及びレーザ光それぞれの波長帯域は、互いにオーバーラップしない。
【0118】
また、ガイド光源36は、第2スペースS2において上流側合流機構31と略同じ高さに配置されており、筐体10の短手方向の内側に向かって可視光レーザ(ガイド光)を出射することができる。ガイド光源36はまた、該ガイド光源36から出射されるガイド光の光軸と、上流側合流機構31と、が交わるような姿勢とされている。
【0119】
なお、ここでいう「略同じ高さ」とは、筐体10の下面をなす底板10aから見て、高さ位置が実質的に等しいことを指す。他の記載においても、底板10aから見た高さを指す。
【0120】
よって、例えば近赤外レーザ光による加工パターンを使用者に視認させるべく、ガイド光源36からガイド光が出射されると、そのガイド光は、上流側合流機構31へ至る。上流側合流機構31は、光学部品としてのダイクロイックミラー(不図示)を有している。後述のように、このダイクロイックミラーは、ガイド光を透過させつつも、近赤外レーザ光を反射させる。これにより、ダイクロイックミラーを透過したガイド光と、同ミラーにより反射された近赤外レーザ光とが合流して同軸になる。
【0121】
なお、本実施形態に係るガイド光源36は、制御部101から出力された制御信号に基づいて、ガイド光を出射するように構成されている。
【0122】
-上流側合流機構31-
上流側合流機構31は、筐体10の内部においてレーザ光出力部2を始点とし、レーザ光出力部2からレーザ光走査部4までのレーザ光路Pの途中に設けられる。上流側合流機構31は、本実施形態における「ガイド光合流機構」の例示である。
【0123】
詳しくは、本実施形態に係る上流側合流機構31は、レーザ光路Pにおいて、レーザ光出力部2と、焦点調整部としてのZスキャナ33と、の間の部位(具体的には、前述の上流側光路Pu)に配置される。
【0124】
上流側合流機構31は、ガイド光出射部としてのガイド光源36から出射されたガイド光を、レーザ光路Pにおける上流側光路Puに合流させる。上流側合流機構31を設けることで、ガイド光源36から出射されたガイド光と、上流側光路Puにおける近赤外レーザ光と、を同軸にすることができる。
【0125】
前述のように、ガイド光の波長帯域は、少なくとも近赤外レーザ光の波長帯域とはオーバーラップしないように設定されている。そのため、上流側合流機構31は、前述のように、例えばダイクロイックミラーを用いて構成することができる。このダイクロイックミラーによって同軸化された近赤外レーザ光及びガイド光は、下方に向かって伝搬し、Zスキャナ33を通過してベンドミラー34へ至る。
【0126】
-Zスキャナ33-
焦点調整部としてのZスキャナ33は、レーザ光案内部3が構成する光路の途中に配置されており、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光の焦点位置を調整することができる。
【0127】
具体的に、Zスキャナ33は、筐体10の内部において、レーザ光路Pのうち、ガイド光合流機構としての上流側合流機構31からレーザ光走査部4までの光路の途中に設けられている。
【0128】
詳しくは、本実施形態に係るZスキャナ33は、図3A図3Bに示すように、レーザ光出力部2から出射された近赤外レーザ光を透過させる入射レンズ33aと、入射レンズ33aを通過した近赤外レーザ光を通過させるコリメートレンズ33bと、入射レンズ33a及びコリメートレンズ33bを通過した近赤外レーザ光を通過させる出射レンズ33cと、入射レンズ33aを移動させるレンズ駆動部33dと、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b、出射レンズ33cを収容するケーシング33eと、を有している。
【0129】
入射レンズ33aは平凹レンズからなり、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは平凸レンズからなる。入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは、各々の光軸が互いに同軸になるように配置されている。
【0130】
また、Zスキャナ33においては、レンズ駆動部33dが光軸に沿って入射レンズ33aを移動させる。これにより、Zスキャナ33を通過する近赤外レーザ光に対し入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33c各々の光軸を同軸に保ちつつ、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの相対距離を変更することができる。そのことで、ワークWに照射される近赤外レーザ光の焦点位置が変化する。
【0131】
以下、Zスキャナ33を構成する各部について、より詳細に説明する。
【0132】
ケーシング33eは、略円筒形状を有している。図3A図3Bに示すように、ケーシング33eの両端部には、近赤外レーザ光を通過させるための開口33fが形成されている。ケーシング33eの内部では、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cが、この順番で上下方向に並んでいる。
【0133】
そして、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cのうち、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cは、ケーシング33eの内部に固定されている。一方、入射レンズ33aは、上下方向に移動可能に設けられている。レンズ駆動部33dは、例えばモータを有しており、入射レンズ33aを上下方向に移動させる。これにより、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの相対距離が変更される。
【0134】
例えば、レンズ駆動部33dによって、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの間の距離が、相対的に短く調整されたものとする。この場合、出射レンズ33cを通過する近赤外レーザ光の集光角が相対的に小さくなるため、近赤外レーザ光の焦点位置は、マーカヘッド1の透過ウインドウ19から遠ざかることになる。
【0135】
一方、レンズ駆動部33dによって、入射レンズ33aと出射レンズ33cとの間の距離が、相対的に長く調整されたものとする。この場合、出射レンズ33cを通過する近赤外レーザ光の集光角が相対的に大きくなるため、近赤外レーザ光の焦点位置は、マーカヘッド1の透過ウインドウ19に近付くことになる。
【0136】
なお、Zスキャナ33においては、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cのうち、入射レンズ33aをケーシング33eの内部に固定して、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cを上下方向に移動可能としてもよい。あるいは、入射レンズ33a、コリメートレンズ33b及び出射レンズ33cを全て、上下方向に移動可能としてもよい。
【0137】
こうして、焦点調整部としてのZスキャナ33は、近赤外レーザ光を上下方向に走査するための手段として機能することになる。以下、Zスキャナ33による走査方向を「Z方向」と呼称する場合がある。
【0138】
なお、Zスキャナ33を通過する近赤外レーザ光は、前述のように、ガイド光源36から出射されるガイド光と同軸とされている。そのため、Zスキャナ33を作動させることにより、近赤外レーザ光ばかりでなく、ガイド光の焦点位置も併せて調整することができる。
【0139】
なお、本実施形態に係るZスキャナ33、特にZスキャナ33におけるレンズ駆動部33dは、制御部101から出力された制御信号に基づいて作動するように構成されている。
【0140】
-ベンドミラー34-
ベンドミラー34は、下流側光路Pdの途中に設けられており、該光路Pdを折り曲げて後方に指向させるように配置されている。図6に示すように、ベンドミラー34は、下流側合流機構35における光学部材35aと略同じ高さに配置されており、Zスキャナ33を通過した近赤外レーザ光及びガイド光を反射することができる。
【0141】
ベンドミラー34によって反射された近赤外レーザ光及びガイド光は、後方に向かって伝搬し、下流側合流機構35を通過してレーザ光走査部(具体的には第1スキャナ41)4へ至る。
【0142】
-下流側合流機構35-
下流側合流機構35は、筐体10の内部において、レーザ光路Pにおいて、ガイド光合流機構としての上流側合流機構31と、レーザ光走査部4と、の間に設けられる。下流側合流機構35は、「測距光合流機構」の例示である。
【0143】
詳しくは、本実施形態に係る下流側合流機構35は、レーザ光路Pにおいて、焦点調整部としてのZスキャナ33と、レーザ光走査部4と、の間の部位(具体的には、前述の下流側光路Pd)に配置される。
【0144】
下流側合流機構35は、測距ユニット5における測距光出射部5Aから出射された測距光を、レーザ光路Pにおける中途の部位に合流させることができる。その中途の部位に合流した測距光は、レーザ光走査部4を介してワークWの表面へと導かれることになる。
【0145】
加えて、下流側合流機構35は、ワークW(特に、ワークWの表面)により反射されて、レーザ光走査部4を介して下流側光路Pdを戻る測距光を、測距ユニット5における測距光受光部5Bへと導くことができる。
【0146】
下流側合流機構35を設けることで、測距光出射部5Aから出射された測距光と、下流側光路Pdにおける近赤外レーザ光及びガイド光と、を同軸にすることができる。それと同時に、下流側合流機構35を設けることで、マーカヘッド1から出射されてワークWにより反射された測距光のうち、マーカヘッド1に戻った測距光を測距光受光部5Bまで導くことができる。
【0147】
下流側合流機構35の構成については、後述する。
【0148】
(レーザ光走査部4)
図3Aに示すように、レーザ光走査部4は、レーザ光出力部2から出射されてレーザ光案内部3により案内されたレーザ光(近赤外レーザ光)をワークWへ照射するとともに、そのワークWの表面上で2次元走査するように構成されている。
【0149】
図5に示す例では、レーザ光走査部4は、いわゆる2軸式のガルバノスキャナとして構成されている。すなわち、このレーザ光走査部4は、レーザ光案内部3から入射した近赤外レーザ光を第1方向に走査するための第1スキャナ41と、第1スキャナ41により走査された近赤外レーザ光を第2方向に走査するための第2スキャナ42と、を有している。
【0150】
ここで、第2方向は、第1方向に対して略直交する方向を指す。よって、第2スキャナ42は、第1スキャナ41に対して略直交する方向に近赤外レーザ光を走査することができる。本実施形態では、第1方向は前後方向(筐体10の長手方向)に等しく、第2方向は左右方向(筐体10の短手方向)に等しい。以下、第1方向を「X方向」と呼称し、これと直交する第2方向を「Y方向」と呼称する。X方向とY方向は、双方とも前述のZ方向と直交している。
【0151】
第1スキャナ41は、その先端に第1ミラー41aを有している。第1ミラー41aは、ベンドミラー34及び光学部材35aと略同じ高さ位置で、かつ光学部材35aの後方に配置されている。よって、図5に示すように、ベンドミラー34と、光学部材35aと、第1ミラー41aは、前後方向(筐体10の長手方向)に沿って一列に並ぶようになっている。
【0152】
第1ミラー41aはまた、第1スキャナ41に内蔵されたモータ(不図示)によって回転駆動される。このモータは、上下方向に延びる回転軸まわりに第1ミラー41aを回転させることができる。第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで、第1ミラー41aによる近赤外レーザ光の反射角を調整することができる。
【0153】
同様に、第2スキャナ42は、その先端に第2ミラー42aを有している。第2ミラー42aは、第1スキャナ41における第1ミラー41aと略同じ高さ位置でかつ、この第1ミラー41aの右方に配置されている。よって、図6に示すように、第1ミラー41aと、第2ミラー42aは、左右方向(筐体10の短手方向)に沿って並ぶようになっている。
【0154】
第2ミラー42aはまた、第2スキャナ42に内蔵されたモータ(不図示)によって回転駆動される。このモータは、前後方向に延びる回転軸まわりに第2ミラー42aを回転させることができる。第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、第2ミラー42aによる近赤外レーザ光の反射角を調整することができる。
【0155】
よって、下流側合流機構35からレーザ光走査部4へ近赤外レーザ光が入射すると、その近赤外レーザ光は、第1スキャナ41における第1ミラー41aと、第2スキャナ42における第2ミラー42aとによって順番に反射され、透過ウインドウ19を介してマーカヘッド1の外部へ出射することになる。
【0156】
そのときに、第1スキャナ41のモータを作動させて第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で近赤外レーザ光を第1方向に走査することが可能となる。それと同時に、第2スキャナ42のモータを作動させて第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で近赤外レーザ光を第2方向に走査することが可能になる。
【0157】
また前述のように、レーザ光走査部4には、近赤外レーザ光ばかりでなく、下流側合流機構35の光学部材35aを通過したガイド光、又は、同部材35aによって反射された測距光も入射することになる。本実施形態に係るレーザ光走査部4は、第1スキャナ41及び第2スキャナ42をそれぞれ作動させることで、そうして入射したガイド光又は測距光を2次元走査することができる。
【0158】
なお、第1ミラー41a及び第2ミラー42aが取り得る回転姿勢は、基本的には、第2ミラー42aによって近赤外レーザ光が反射されたときに、その反射光が透過ウインドウ19を通過するような範囲内に設定される(図7図8も参照)。
【0159】
こうして、本実施形態に係るレーザ光走査部4は、走査制御部としての制御部101によって電気的に制御されることにより、ワークWの表面上に設定される加工領域に近赤外レーザ光を照射して、その加工領域内に所定の加工パターン(マーキングパターン)を形成することができる。
【0160】
(測距ユニット5)
図3Bに示すように、測距ユニット5は、レーザ光走査部4を介して測距光を投光し、それをワークWの表面に照射する。測距ユニット5はまた、ワークWの表面により反射された測距光を、レーザ光走査部4を介して受光する。
【0161】
測距ユニット5は、主に、測距光を投光するためのモジュールと、測距光を受光するためのモジュールと、に大別される。具体的に、測距ユニット5は、測距光を投光するためのモジュールとして構成された測距光出射部5Aと、測距光を受光するためのモジュールとして構成された測距光受光部5Bと、を備えている。
【0162】
このうち、測距光出射部5Aは、筐体10の内部に設けられており、レーザ加工装置Lにおけるマーカヘッド1からワークWの表面までの距離を測定するための測距光を、レーザ光走査部4に向けて出射する。
【0163】
一方、測距光受光部5Bは、測距光出射部5Aと同様に筐体10の内部に設けられており、ワークWの表面上で反射されてレーザ光走査部4及び下流側合流機構35を介して戻った測距光を受光する。
【0164】
さらに、測距ユニット5は、測距光出射部5A及び測距光受光部5Bを下方から支持する支持台50を備えており、この支持台50を介して筐体10の内部に固定されている。
【0165】
前述のように、測距ユニット5は、第1スペースS1における短手方向他側の空間に設けられている。図7に示すように、測距ユニット5は、筐体10の長手方向に沿って前方に測距光を出射するとともに、同長手方向に沿って略後方に伝搬する測距光を受光する。
【0166】
また、測距ユニット5は、前述の光学部材35aを介してレーザ光案内部3と光学的に結合される。前述のように、測距ユニット5は、筐体10の長手方向に沿って測距光を投光する。それに対し、光学部材35aは、筐体10の長手方向ではなく、その短手方向に沿って伝搬した測距光を反射するようになっている。
【0167】
そこで、測距ユニット5と光学部材35aを結ぶ光路を構成するべく、筐体10の内部にはベンドミラー59が設けられている(図6及び図7を参照)。
【0168】
よって、測距光出射部5Aからベンドミラー59に入射した測距光は、同ミラー59によって反射された光学部材35aに入射する。一方、レーザ光走査部4に戻って光学部材35aによって反射された測距光は、ベンドミラー59に入射するとともに、同ミラー59によって反射されて測距光受光部5Bに入射する。
【0169】
以下、測距ユニット5を成す各部の構成について、順番に説明をする。
【0170】
-測距光出射部5A-
測距光出射部5Aは、筐体10の内部に設けられており、レーザ加工装置Lにおけるマーカヘッド1から、ワークWの表面までの距離を測定するための測距光を出射するよう構成されている。
【0171】
具体的に、測距光出射部5Aは、前述の測距光源51及び投光レンズ52と、これらを収容するケーシング53と、投光レンズ52によって集光された測距光を案内する一対のガイドプレート54L、54Rと、を有している。測距光源51、投光レンズ52及びガイドプレート54L、54Rは筐体10の後側から順番に並んでおり、それらの並び方向は、筐体10の長手方向と実質的に等しい。
【0172】
ケーシング53は、筐体10及び支持台50の長手方向に沿って延びる筒状に形成されており、同方向における一側、すなわち筐体10の後側に対応する一端部には測距光源51が取り付けられている一方、筐体10の前側に対応する他端部には投光レンズ52が取り付けられている。測距光源51と投光レンズ52との間の空間は、略気密状に密閉されている。
【0173】
測距光源51は、制御部101から入力された制御信号に従って、筐体10の前側に向かって測距光を出射する。詳しくは、測距光源51は、測距光として、可視光域にあるレーザ光を出射することができる。特に、本実施形態に係る測距光源51は、測距光として、690nm付近の波長を有する赤色レーザ光を出射する。
【0174】
具体的に、本実施形態における測距光の波長帯域は、好ましくは、680nm以上695nm以下に設定される。よって、測距光の波長帯域は、近赤外レーザ光及びガイド光の波長帯域とはオーバーラップしない。
【0175】
測距光源51はまた、測距光として出射される赤色レーザ光の光軸Aoが、ケーシング53の長手方向に沿うような姿勢で固定されている。よって、測距光の光軸Aoは、筐体10及び支持台50の長手方向に沿うこととなり、投光レンズ52の中央部を通過してケーシング53の外部に至る。
【0176】
投光レンズ52は、支持台50の長手方向においては、測距光受光部5Bにおける一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、の間に位置している。投光レンズ52は、測距光の光軸Aoが通過するような姿勢とされている。
【0177】
投光レンズ52は、例えば平凸レンズとすることができ、球面状の凸面をケーシング53の外部に向けた姿勢で固定することができる。投光レンズ52は、測距光源51から出射された測距光を集光し、ケーシング53の外部に出射する。ケーシング53の外部に出射された測距光は、ガイドプレート54L、54Rの間に至る。
【0178】
ガイドプレート54L、54Rは、支持台50の短手方向に並んだ一対の部材として構成されており、それぞれ、支持台50の長手方向に延びる板状体とすることができる。一方のガイドプレート54Lと、他方のガイドプレート54Rとの間には、測距光を出射するためのスペースが区画される。ケーシング53の外部に出射された測距光は、そうして区画されたスペースを通過して出力される。
【0179】
よって、測距光源51から出射された測距光は、ケーシング53内部の空間、投光レンズ52の中央部、ガイドプレート54L、54Rの間のスペースを通過して、測距ユニット5の外部に出力される。そうして出力された測距光は、ベンドミラー59と、下流側合流機構35における光学部材35aと、によって反射されて、レーザ光走査部4に入射する。
【0180】
レーザ光走査部4に入射した測距光は、第1スキャナ41の第1ミラー41aと、第2スキャナ42の第2ミラー42aと、によって順番に反射され、透過ウインドウ19からマーカヘッド1の外部へ出射することになる。
【0181】
レーザ光走査部4の説明に際して記載したように、第1スキャナ41の第1ミラー41aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で測距光を第1方向に走査することができる。それと同時に、第2スキャナ42のモータを作動させて第2ミラー42aの回転姿勢を調整することで、ワークWの表面上で測距光を第2方向に走査することが可能になる。
【0182】
そうして走査された測距光は、ワークWの表面上で反射される。そうして反射された測距光の一部(以下、これを「反射光」ともいう)は、透過ウインドウ19を介してマーカヘッド1の内部に入射する。マーカヘッド1の内部に入射した反射光は、レーザ光走査部4を介してレーザ光案内部3に戻る。反射光は、測距光と同じ波長を有することから、レーザ光案内部3における下流側合流機構35の光学部材35aによって反射され、ベンドミラー59を介して測距ユニット5に入射する。
【0183】
-測距光受光部5B-
測距光受光部5Bは、筐体10の内部に設けられており、測距光出射部5Aから出射されてワークWにより反射された測距光(前述の「反射光」に等しい)を受光するよう構成されている。
【0184】
具体的に、測距光受光部5Bは、一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、を有している。一対の受光素子56L、56Rは、それぞれ支持台50の後端部に配置されている一方、受光レンズ57は、それぞれ支持台50の前端部に配置されている。したがって、一対の受光素子56L、56Rと、受光レンズ57と、は実質的に筐体10及び支持台50の長手方向に沿って並ぶようになっている。
【0185】
一対の受光素子56L、56Rは、筐体10の内部において、測距光出射部5Aにおける測距光の光軸Aoを挟むように各々の光軸が配置されている。一対の受光素子56L、56Rは、レーザ光走査部4へ戻った反射光をそれぞれ受光する。
【0186】
詳しくは、一対の受光素子56L、56Rは、測距光出射部5Aの光軸Aoに直交する方向に並んでいる。この実施形態では、一対の受光素子56L、56Rの並び方向は、筐体10及び支持台50の短手方向、すなわち左右方向に等しい。同方向において、一方の受光素子56Lが測距光源51の左側に配置され、他方の受光素子56Rが測距光源51の右側に配置されている。
【0187】
そして、一対の受光素子56L、56Rは、それぞれ、斜め前方に指向せしめた受光面を有しており、各受光面における反射光の受光位置を検出し、その検出結果を示す信号(検出信号)を出力する。各受光素子56L、56Rから出力される検出信号は、マーカコントローラ100に入力されて距離測定部103に至る。
【0188】
各受光素子56L、56Rとして使用可能な素子としては、例えば、相補型MOS(Complementary MOS:CMOS)から成るCMOSイメージセンサ、電荷結合素子(Charge-Coupled Device:CCD)から成るCCDイメージセンサ、光位置センサ(Position Sensitive Detector:PSD)等が挙げられる。
【0189】
本実施形態では、各受光素子56L、56Rは、CMOSイメージセンサを用いて構成されている。この場合、各受光素子56L、56Rは、反射光の受光位置ばかりでなく、その受光量分布(受光波形)を検出することができる。すなわち、CMOSイメージセンサを用いて各受光素子56L、56Rを構成した場合、各々の受光面には、少なくとも左右方向に画素が並ぶことになる。この場合、各受光素子56L、56Rは、画素毎に信号を読み出して増幅し、外部に出力することができる。各画素における信号の強度は、反射光が受光面上でスポットを形成したときに、そのスポットにおける反射光の強度に基づき決定される。
【0190】
なお、CMOSイメージセンサのように、受光量分布(受光波形)を検出可能な素子を用いて各受光素子56L、56Rを構成した場合、各受光素子56L、56Rにおける受光量の大きさは、測距光の強度、すなわち測距光出射部5Aから出射される測距光の強度(以下、これを「投射光量」ともいう)と、画素毎に信号を増幅する際のゲイン(以下、これを「受光ゲイン」ともいう)と、を用いて調整することができる。また、ゲインの他にも、各受光素子56L、56Rにおける露光時間を用いて調整することができる。
【0191】
本実施形態に係る一対の受光素子56L、56Rは、少なくとも、反射光の受光位置を示すピーク位置と、その反射光の受光量を検出することができる。受光量を示す指標としては、例えば、反射光の受光量分布における、ピークの高さを用いることができる。これに代えて、受光量分布の合算値、平均値、積分値を用いてもよい。
【0192】
また、反射光の受光位置を示す指標としては、本実施形態では受光量分布のピーク位置(スポットのピーク位置)を用いているが、これに代えて、受光量分布の重心位置を用いてもよい。
【0193】
受光レンズ57は、筐体10の内部において一対の受光素子56L、56Rそれぞれの光軸が通過するように配置されている。受光レンズ57はまた、下流側合流機構35から一対の受光素子56L、56Rまでの光路の途中に設けられており、下流側合流機構35を通過した反射光を、一対の受光素子56L、56Rそれぞれの受光面に集光させることができる。
【0194】
受光レンズ57は、レーザ光走査部4へ戻った反射光を集光し、各受光素子56L、56Rの受光面上に反射光のスポットを形成させる。各受光素子56L、56Rは、そうして形成されたスポットのピーク位置と、受光量を示す信号を距離測定部103に出力する。
【0195】
レーザ加工装置Lは、基本的には、受光素子56L、56R各々の受光面における反射光の受光位置(本実施形態ではスポットのピークの位置)に基づいて、ワークWの表面までの距離を測定することができる。距離の測定手法としては、いわゆる三角測距方式が用いられる。
【0196】
-距離の測定手法について-
図9は、三角測距方式について説明する図である。図9においては、測距ユニット5のみが図示されているが、以下の説明は、前述のようにレーザ光走査部4を介して測距光が出射される場合にも共通である。
【0197】
図9に例示するように、測距光出射部5Aにおける測距光源51から測距光が出射されると、その測距光は、ワークWの表面に照射される。ワークWによって測距光が反射されると、その反射光(特に拡散反射光)は、仮に正反射の影響を除いたならば、略等方的に伝搬することになる。
【0198】
そうして伝搬する反射光には、受光レンズ57を介して受光素子56Lに入射する成分が含まれるものの、マーカヘッド1とワークWとの距離に応じて、その入射光の受光素子56Lへの入射角が増減することになる。受光素子56Lへの入射角が増減すると、その受光面56aにおける受光位置が変位することになる。
【0199】
このように、マーカヘッド1とワークWとの距離と、受光面56aにおける受光位置と、は所定の関係を以て関連付いている。したがって、その関係を予め把握しておくとともに、例えばマーカコントローラ100に記憶させておくことで、受光面56aにおける受光位置から、マーカヘッド1とワークWとの距離を算出することができる。このような算出方法は、いわゆる三角測距方式を用いた手法に他ならない。
【0200】
すなわち、前述の距離測定部103が、測距光受光部5Bにおける測距光の受光位置に基づいて、三角測距方式によりレーザ加工装置LからワークWの表面までの距離を測定する。
【0201】
具体的に、前述の条件設定記憶部102には、受光面56aにおける受光位置と、マーカヘッド1からワークWの表面までの距離との関係が予め記憶されている。一方、距離測定部103には、測距光受光部5Bにおける測距光の受光位置、詳しくは測距光の反射光が、受光面56a上に形成するスポットのピークの位置を示す信号が入力される。
【0202】
距離測定部103は、そうして入力された信号と、条件設定記憶部102が記憶している関係と、に基づいて、ワークWの表面までの距離を測定する。そうして得られた測定値は、例えば制御部101に入力されて、制御部101によるZスキャナ33等の制御に用いられる。
【0203】
例えば、レーザ加工装置Lは、ワークWの表面のうち、マーカヘッド1による加工対象となる部位(印字点)を自動又は手動で決定する。続いて、レーザ加工装置Lは、印字加工を実行するに先だって、各印字点(より正確には、印字点周辺に設定した測距点)までの距離を測定するとともに、測定された距離に見合う焦点位置となるようにZスキャナ33の制御パラメータを決定する。レーザ加工装置Lは、そうして決定された制御パラメータに基づいてZスキャナ33を作動させた後に、近赤外レーザ光によってワークWに印字加工を施す。
【0204】
<ワークWの加工手順について>
以下、近赤外レーザ光、測距光及びガイド光の具体的な使用例として、レーザ加工装置LによるワークWの加工手順について説明する。図10は、ワークWの加工手順を例示するフローチャートである。
【0205】
図10に例示する制御プロセスは、励起光生成部110、レーザ光出力部2、Zスキャナ33、レーザ光走査部4、測距光出射部5A及びガイド光源36を制御可能な制御部101によって実行可能である。
【0206】
まず、ステップS101において、ユーザが操作用端末800を操作することにより、レーザ加工における加工条件が設定される。ステップS101において設定される加工条件には、例えばワークWの表面上に印字されるべき文字列及び図形の内容(マーキングパターン)、及び、そうした文字列等のレイアウトが含まれる。
【0207】
続くステップS102において、制御部101は、ステップS101において設定された加工条件に基づき、ワークWの表面のうち、マーカヘッド1からの距離を測定するべき箇所(以下、「測定箇所」ともいう)を複数箇所にわたり決定する。
【0208】
続くステップS103において、制御部101は、測距光出射部5Aを制御することにより、レーザ加工装置LからワークWの表面までの距離を、距離測定部103を介して測定する。
【0209】
具体的に、このステップS103において、制御部101は、ステップS102において決定された各測定箇所に対し、測距光出射部5Aから測距光を出射させ、その反射光を測距光受光部5Bにより受光させる。そして、測距光受光部5Bにおける反射光の受光位置を示す信号が距離測定部103に入力されて、距離測定部103がワークWの表面までの距離を測定する。距離測定部103は、そうして測定された距離を示す信号を制御部101へと入力する。
【0210】
続くステップS104において、制御部101は、ステップS103における測定結果、つまり各測定箇所における距離の測定値に基づいて、それぞれの測定値に見合う焦点位置となるようにZスキャナ33の制御パラメータを決定する。
【0211】
具体的に、このステップS104において、制御部101は、各測定箇所におけるレンズ駆動部33dの制御パラメータ、すなわち各測定箇所における入射レンズ33aと出射レンズ33cとの相対距離を決定する。
【0212】
なお、上流側合流機構31及び下流側合流機構35は、双方とも、レーザ光出力部2からレーザ光走査部4へと至る途中に配置されている。そして、上流側合流機構31は、ガイド光及び近赤外レーザ光それぞれの光軸を同軸化し、下流側合流機構35は、測距光及び近赤外レーザ光それぞれの光軸を同軸化する。よって、制御部101がレーザ光走査部4を制御することで、近赤外レーザ光ばかりでなく、ガイド光及び測距光を2次元走査することもできる。
【0213】
レーザ光走査部4によるガイド光の2次元走査の一例として、制御部101は、ステップS104から続くステップS105を実行する。具体的に、このステップS105において、制御部101は、Zスキャナ33を介して各測定箇所における焦点位置を調整するとともに、Zスキャナ33により焦点位置を調整した後に、ガイド光源36を介してワークWの表面へガイド光を照射させる。それとともに、制御部101は、レーザ光走査部4を制御することにより、ガイド光源36から照射されるガイド光によってマーキングパターンをトレースする。
【0214】
なお、近赤外レーザ光にガイド光を合流させる上流側合流機構31は、Zスキャナ33の上流側に設けられている。そのため、Zスキャナ33によって近赤外レーザ光の焦点位置を調整することで、近赤外レーザ光ばかりでなく、ガイド光の焦点位置を併せて調整することができる。
【0215】
また、ガイド光によるマーキングパターンのトレースは、レーザ光走査部4を適宜制御することにより、繰り返し行われるようになっている。これにより、人間の目の残像作用により、ワークWの表面にはマーキングパターンが連続表示される。この際、残像作用による連続表示を有効なものとするためには、ガイド光の走査速度を残像現象が生じる最低速度以上に設定することが考えられる。一方、ワークWの材料、近赤外レーザ光の出力等の条件によっては、印字加工の際に近赤外レーザ光の走査速度が過度に遅くなる可能性がある。これを受けて、ガイド光の走査速度は、近赤外レーザ光の走査速度よりも速い速度、つまり残像現象が生ずる最低速度以上の速度に設定される。
【0216】
続くステップS106において、制御部101は、マーキングパターンに係る設定を完了し、その設定に基づいて印字加工を実行する。なお、このステップS106に代えて、マーキングパターンに係る設定を条件設定記憶部102又は操作用端末800に転送し、これを保存させてもよい。
【0217】
既に説明したように、本実施形態に係るレーザ加工装置Lは、ガイド光と測距光を双方ともレーザ光路Pと同軸にすることで、近赤外レーザ光に加えて、ガイド光及び測距光の2次元走査を可能にしている。
【0218】
ところが、ガイド光源36をレーザ光路Pと同軸にした状態で、測距ユニット5もさらに同軸にしてしまうと、ワークWの表面上で反射された測距光の少なくとも一部が、測距ユニット5ではなくガイド光源36へと戻ってしまい、測距ユニット5における測距光受光部5Bでの受光量が減少してしまう可能性がある。そうした受光量の減少は、測定精度の低下を招くため不都合である。
【0219】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、測距光と、ガイド光及び近赤外レーザ光と、が合流する測距光合流機構としての下流側合流機構35の構成に工夫を凝らすことで、前述した不都合を克服するに至った。
【0220】
以下、下流側合流機構35の構成について、詳細に説明する。
【0221】
<下流側合流機構35の構成について>
図11は、下流側合流機構35の構成を後方から見て例示する斜視図であり、図12は、下流側合流機構35の構成を前方から見て例示する斜視図である。また、図13Aは、第1実施形態に係るレーザ光入射面351の反射率を例示する図であり、図13Bは、第1実施形態に係るレーザ光出射面352の反射率を例示する図である。また、図14Aは、下流側合流機構35における近赤外レーザ光及びガイド光の光路を例示する図であり、図14Bは、下流側合流機構35における測距光の光路を例示する図である。
【0222】
前述のように、測距光の波長帯域は、近赤外レーザ光及びガイド光の波長帯域とはオーバーラップしないように設定されている。そのため、下流側合流機構35は、上流側合流機構31と同様に、ダイクロイックミラー等からなる光学部材35aを用いて構成することができる。
【0223】
具体的に、測距光上流合流機構としての下流側合流機構35は、主たる構成要素として、ワークWの表面上で反射された測距光を測距光受光部5Bへ導く光学部材35aと、この光学部材35aを保持し、筐体10に固定されるホルダ35bと、を有している。
【0224】
そして、下流側合流機構35をなす光学部材35aは、近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光それぞれの波長帯域のうち、測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることにより、該測距光を測距光受光部5Bまで導くことができる。
【0225】
詳しくは、光学部材35aは、略円盤状のガラスから構成されていて、そのガラスの表面には、測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させるよう、コーティング処理が施されてなる。ここで、光学部材35aの表裏には、図14A及び図14Bに例示するように、近赤外レーザ光及びガイド光が入射するレーザ光入射面351と、レーザ光入射面351から入射した近赤外レーザ光及びガイド光が、光学部材35aを透過して出射するレーザ光出射面352と、が設けられる。
【0226】
前述したコーティング処理は、例えば蒸着処理からなり、レーザ光入射面351とレーザ光出射面352との双方に施されている。このコーティング処理によって、本実施形態(特に、第1実施形態)に係る光学部材35aは、測距光のみを選択的に反射する一方、近赤外レーザ光及びガイド光それぞれの波長帯域を透過させることができる。
【0227】
また、ホルダ35bは、略筒状に形成されており、略円盤状の光学部材35aを嵌め込んで、これを固定することができる。図6及び図7に例示するように、ホルダ35bは、仕切部11に設けられた貫通孔11aに嵌め込まれるようになっている。この貫通孔11aは、第2スペースS2と第1スペースS1とを連通させており、その貫通孔11aにホルダ35bを嵌め込むことで、レーザ光案内部3とレーザ光走査部4を光学的に結合することができる。
【0228】
より詳細には、ホルダ35bは、第2ベンドミラー34と略同じ高さ位置で、かつ第2ベンドミラー34の後方に配置されており、ベースプレート12に設けた貫通孔12aに対して筐体10の短手方向の左側に配置される。
【0229】
ホルダ35bはまた、図6等に示すように、光学部材35aの光軸を右斜め後方に傾斜させた姿勢(特に、前後方向に対して45度傾斜させた姿勢)で固定されている。これにより、光学部材35aにおける一方側の鏡面(後述のレーザ光入射面351)は、第2ベンドミラー34に向けられるとともに、光学部材35aにおける他方側の鏡面(後述のレーザ光出射面352)は、ベースプレート12の貫通孔12aに向けられるようになっている。
【0230】
よって、図14A及び図14Bに示すように、光学部材35aにおける一方側の鏡面(レーザ光入射面351)には、仕切部11の貫通孔11aを介して近赤外レーザ光及びガイド光が入射する一方、他方側の鏡面(レーザ光出射面352)には、貫通孔12aを介して測距光が入射することになる。
【0231】
光学部材35aの具体的な反射率は、図13A及び図13Bに例示する通りである。各図において破線で囲った部分は、ガイド光、測距光及び近赤外レーザ光(印字用レーザ光)の波長帯域を例示している。
【0232】
図13A及び図13Bに示すように、第1実施形態に係るレーザ光入射面351及びレーザ光出射面352は、双方とも、ガイド光及び近赤外レーザ光の波長帯域を透過させるように構成されている。
【0233】
具体的に、第1実施形態に係る光学部材35aは、ガイド光及び近赤外レーザ光それぞれの波長帯域に対応した反射率が、レーザ光入射面351とレーザ光出射面352との双方において、実質的に0%に設定される。このように設定すると、レーザ光入射面351に入射したガイド光及び近赤外レーザ光は、レーザ光入射面351を通り抜けることになる。レーザ光入射面351を通り抜けたガイド光及び近赤外レーザ光は、光学部材35aの内部を屈折しつつ通過して、レーザ光出射面352へ至る。レーザ光出射面352に至ったガイド光及び近赤外レーザ光は、レーザ光入射面351を通り抜けて外部に出射されることになる(図14Aを参照)。そうして出射されたガイド光及び近赤外レーザ光は、レーザ光走査部4を介してワークWの表面に照射される。
【0234】
一方、第1実施形態に係るレーザ光出射面352は、図13Bに示すように、測距光の波長帯域のみを選択的に反射する。対して、第1実施形態に係るレーザ光出射面352は、図13Aに示すように、測距光の波長帯域を透過させるように構成されている。
【0235】
具体的に、第1実施形態に係る光学部材35aは、測距光の波長帯域に対応した反射率が、レーザ光出射面352においては実質的に100%(より詳細には、95%以上100%未満)に設定される。このように設定すると、レーザ光出射面352に入射した測距光のうちの大部分は、レーザ光出射面352によって反射されることになる(図14Bを参照)。そうして反射された測距光は、ガイド光及び近赤外レーザ光と同軸になり、レーザ光走査部4を介してワークWの表面に照射される。その表面によって反射された測距光は、レーザ光走査部4を介して光学部材35aまで戻り、そのレーザ光出射面352によって再度反射されて測距ユニット5へと戻る。
【0236】
しかしながら、レーザ光出射面352の反射率を厳密に100%に設定するのは、技術的に容易ではない。そのため、レーザ光出射面352に入射した測距光のうちの極一部は、レーザ光出射面352によって反射されずに、レーザ光出射面352を通り抜けることになる。レーザ光出射面352を通り抜けた測距光は、光学部材35aの内部を屈折しつつ通過して、レーザ光入射面351へ至る。
【0237】
ここで、第1実施形態に係る光学部材35aは、測距光の波長帯域に対応した反射率が、レーザ光入射面351においては実質的に0%(より詳細には、0%以上5%未満)に設定される。このように設定すると、レーザ光出射面352を通り抜けてレーザ光入射面351に至った測距光は、レーザ光入射面351での反射が抑制されて、レーザ光入射面351から外部に出射されるようになる。
【0238】
なお、測距ユニット5からレーザ光出射面352に入射する測距光、及び、レーザ光出射面352によって反射されて測距ユニット5に戻る測距光は、図7等に示すように、双方とも、筐体10を平面視したときの左右方向(筐体10の短手方向)に沿って伝搬するようになっている。この伝搬方向は、レーザ光案内部3からレーザ光走査部4へと伝搬する近赤外レーザ光及びガイド光の伝搬方向と直交することになる。
【0239】
<下流側合流機構35が奏する効果について>
以上説明したように、ガイド光及び測距光は、それぞれ加工用の近赤外レーザ光と同軸化され、ガイド光と測距光をレーザ光走査部4によって走査することができるようになっている。
【0240】
具体的に、ガイド光合流機構としての上流側合流機構31はレーザ光出力部2とレーザ光走査部4とを結んだレーザ光路Pの途中に配置されており、測距光合流機構としての下流側合流機構35は、そのレーザ光路Pにおける上流側合流機構31とレーザ光走査部4との間に配置されている。このように配置した場合、ワークWの表面上で反射されてマーカヘッド1へ戻った測距光は、上流側合流機構31に到達する前に、下流側合流機構35に到達することになる。
【0241】
ここで、図13Bに例示するように、下流側合流機構35を構成する光学部材35aは、加工用の近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光それぞれの波長帯域のうち、測距光の波長帯域のみを選択的に反射又は透過させることにより、該測距光を測距光受光部5Bまで導くように構成されている。このように構成することで、ガイド光源36への測距光(特に、測距光の反射光)の伝搬を抑制し、測距光受光部5Bにおける受光量を高めることができる。これにより、測定精度の低下を抑制することができるようになる。
【0242】
また、図14Bに例示するように、光学部材35aにおけるレーザ光出射面352は、測距光を反射させ、その測距光をレーザ光走査部4又は測距光受光部5Bへと導くことができる。しかしながら、レーザ光出射面352の反射率を厳密に100%に設定するのは、図13Bに例示するように、技術的には容易ではない。そのため、レーザ光出射面352に入射した測距光のうちの極一部は、レーザ光出射面352によって反射されずに、このレーザ光出射面352を通り抜けることになる。レーザ光出射面352を通り抜けた測距光は、光学部材35aの内部を屈折しつつ通過して、レーザ光入射面351へ至る。
【0243】
そうしてレーザ光入射面351に至った測距光が、仮にレーザ光入射面351で反射されて測距光受光部5Bまで戻ってしまうと、測距光受光部5Bには、レーザ光出射面352とレーザ光入射面351とによって反射された測距光が両方とも戻ることになる。この場合、測距光受光部5Bにおける受光位置がぼやけてしまう可能性がある。このことは、測定精度の低下を招くため望ましくない。
【0244】
そこで、図13Aに例示するように、レーザ光入射面351は、測距光の波長帯域を反射せずに透過させる。これにより、レーザ光出射面352を通り抜けてレーザ光入射面351に至った測距光は、レーザ光入射面351での反射が抑制されて、レーザ光入射面351から外部に出射されるようになる。これにより、測距光受光部5Bにおける受光位置のぼやけを抑制し、測定精度の低下を抑制することができる。
【0245】
また、図3A及び図3Bに例示するように、下流側合流機構35は、Zスキャナ33とレーザ光走査部4との間に配置され、測距光出射部5Aから出射された測距光と、Zスキャナ33を通過したレーザ光とを同軸にする。よって、測距光が、レーザ光走査部4よりも上流側の光路において同軸化されることになるから、レーザ光走査部4を作動させることで、測距光を走査することができる。
【0246】
それと同時に、測距光は、Zスキャナ33よりも下流側の光路において同軸化されることにもなる。したがって、Zスキャナ33の開口を過度に大きくせずとも、測距光による測定分解能を確保することができる。
【0247】
また、図3Bに例示するように、測距光出射部5Aから出射される測距光ばかりでなく、ワークWにより反射されて測距光受光部5Bにより受光される測距光もZスキャナ33を通過しない。よって、測距光出射部5Aと測距光受光部5Bを近接して配置することができ、温度変化に起因した筐体の歪み等の影響を抑制することが可能になる。このことは、距離測定部103による距離の測定精度を確保する上で有効である。
【0248】
また、図3Aに例示するように、ガイド光源36から出射されたガイド光は、上流側合流機構31と、Zスキャナ33と、下流側合流機構35と、レーザ光走査部4と、を順番に通過してワークWに照射される。
【0249】
ここで、上流側合流機構31は、レーザ光出力部2とZスキャナ33との間に設けられており、ガイド光源36から出射されたガイド光と、レーザ光出力部2から出射されたレーザ光と、を同軸にする。よって、ガイド光とレーザ光が、Zスキャナ33よりも上流側の光路において合流することになるから、Zスキャナ33を作動させることで、ガイド光の焦点位置を調整することができる。これにより、ガイド光の視認性を高めることが可能になる。
【0250】
《第2実施形態》
まず、レーザ加工装置Lの第1実施形態を含んでなるレーザ加工システムSについて説明する。以下の説明においては、第2実施形態に特有の構成であることを強調する場合を除き、第2実施形態を単に本実施形態という。また、第1実施形態と共通の構成については、適宜、説明を省略する。
【0251】
図15Aは、レーザ加工装置Lの第2実施形態に係るマーカヘッド1’を例示する図3A対応図であり、図15Bは、レーザ加工装置Lの第2実施形態に係るマーカヘッド1’を例示する図3B対応図である。また、図16Aは、第2実施形態に係るレーザ光入射面351’の反射率を例示する図13A対応図であり、図16Bは、第2実施形態に係るレーザ光出射面352’の反射率を例示する図13B対応図である。また、図17Aは、第2実施形態における近赤外レーザ光及びガイド光の光路を例示する図14A対応図であり、図17Bは、第2実施形態における測距光の光路を例示する図14B対応図である。
【0252】
第2実施形態に係る光学部材35aは、測距光の波長帯域のみを選択的に透過させる一方、近赤外レーザ光及びガイド光それぞれの波長帯域を選択的に反射する。その結果、図15A及び図15Bに例示するように、第2実施形態に係る下流側合流機構35’においては、測距光がなす光路と、ガイド光及び近赤外レーザ光がなす光路と、は第1実施形態とは互い違いとなる。
【0253】
具体的に、第2実施形態に係る光学部材35a’は、測距光の波長帯域に対応した反射率が、第2実施形態に係るレーザ光入射面351’とレーザ光出射面352’との双方において、実質的に0%に設定される(図16A及び図16Bを参照)。このように設定すると、レーザ光出射面352’に入射した測距光は、そのレーザ光出射面352’を通り抜けることになる。レーザ光出射面352’を通り抜けた測距光は、光学部材35aの内部を屈折しつつ通過して、レーザ光入射面351’から外部に出射されることになる(図17Bを参照)。
【0254】
一方、第2実施形態に係るレーザ光入射面351’は、図16Aに示すように、ガイド光及び近赤外レーザ光の波長帯域を選択的に反射する。対して、第1実施形態に係るレーザ光出射面352’は、図16Bに示すように、ガイド光及び近赤外レーザ光の波長帯域を透過させる。
【0255】
このように設定すると、レーザ光入射面351’に入射したガイド光及び近赤外レーザ光のうちの大部分は、レーザ光入射面351’によって反射されることになる。レーザ光入射面351’に入射したガイド光及び近赤外レーザ光のうちのごく一部は、レーザ光入射面351’によって反射されずに、レーザ光出射面352’から外部に出射される(図17Aを参照)。
【0256】
第2実施形態に係る光学部材35a’は、第1実施形態に係る光学部材35aと同様に、ガイド光源36への測距光(特に、測距光の反射光)の伝搬を抑制することができる。これにより、ガイド光及び測距光を双方とも近赤外レーザ光と同軸にしつつ、測距光受光部5Bにおける受光量を高め、ひいては、測定精度の低下を抑制することができるようになる。
【0257】
《他の実施形態》
前記実施形態では、加工用のレーザ光(印字用レーザ光)として、近赤外レーザ光を例示したが、その波長帯域は、これに限定されない。また、そうした印字用レーザ光の波長帯域と、ガイド光の波長帯域と、測距光の波長帯域と、の大小関係は、適宜、変更することができる。
【0258】
図18は、近赤外レーザ光、ガイド光及び測距光が取り得る波長の組み合わせを網羅的に例示した図である。例えば図18の最上段に示す構成は、前記第1及び第2実施形態における波長の設定を例示している。
【0259】
これに対し、上から2段目の変形例1は、例えば、印字用レーザ光の波長を532nm又は355nmに変更し、ガイド光及び測距光の波長を前記第1及び第2実施形態と同様に設定した場合に相当する。
【0260】
また、上から3段目の変形例2は、例えば、ガイド光の波長帯域を近赤外域における低波長側(例えば、750nm以上950nm以下)に変更し、印字用レーザ光及び測距光の波長を前記第1及び第2実施形態と同様に設定した場合に相当する。
【0261】
また、上から4段目の変形例3は、例えば、印字用レーザ光の波長を532nmに変更し、ガイド光の波長を紫外域から青の可視光域(400nm付近)に変更し、測距光の波長を前記第1及び第2実施形態と同様に設定した場合に相当する。
【0262】
また、上から5段目の変形例4は、例えば、印字用レーザ光の波長を532nm又は355nmに変更し、ガイド光の波長を近赤外域(750nm以上)に変更し、測距光の波長を前記第1及び第2実施形態と同様に設定した場合に相当する。
【0263】
また、上から6段目の変形例5は、例えば、ガイド光の波長を前記第1及び第2実施形態と同様に設定し、印字用レーザ光の波長を532nmに変更し、測距光の波長を紫外域から青の可視光域(400nm付近)に変更した場合に相当する。
【0264】
また、図18に示した各組み合わせにおいて、光学部材における測距光の反射率を実質的に100%に設定し、かつガイド光及び印字用レーザ光の反射率を実質的に0%に設定するか、あるいは、光学部材における測距光の反射率を実質的に0%に設定し、ガイド光及び印字用レーザ光の反射率を実質的に100%に設定するか、を選択することで、前述した第1及び第2実施形態に相当する構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0265】
1 マーカヘッド
10 筐体
2 レーザ光出力部
3 レーザ光案内部
31 上流側合流機構(ガイド光合流機構)
33 Zスキャナ(焦点調整部)
35 下流側合流機構(測距光合流機構)
35a 光学部材
351 レーザ光入射面
352 レーザ光出射面
36 ガイド光源(ガイド光出射部)
4 レーザ光走査部
5 測距ユニット
5A 測距光出射部
5B 測距光受光部
100 マーカコントローラ
103 距離測定部
110 励起光生成部
S レーザ加工システム
W ワーク(被加工物)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18