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特許7405611作業機械の制御システム、作業機械、作業機械の制御方法、及び作業機械の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム、作業機械、作業機械の制御方法、及び作業機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20231219BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E02F9/22 Q
F15B11/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019239546
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107654
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祐志
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-021804(JP,A)
【文献】実公昭58-025126(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
E02F 3/42- 3/43; 3/84- 3/85; 9/20- 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから供給された作動油に基づいて作業機要素を可動範囲で動作させる油圧シリンダと、
前記油圧ポンプに接続される第1流路と、
前記第1流路から分岐する第2流路と、
前記第1流路を介して前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する流量制御弁と、
前記第2流路を介してタンクに排出される作動油の流量を調整するブリード弁と、
前記可動範囲における前記作業機要素の姿勢を検出する姿勢センサと、
前記姿勢センサの検出データに基づいて、前記作業機要素が前記可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在すると判定した場合、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する第1制御指令及び前記タンクに排出される作動油の流量を調整する第2制御指令を出力する制御装置と、を備え
前記制御装置は、
前記作業機要素が前記端部区間に存在すると判定した場合、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量が少なくなるように前記第1制御指令を出力し、前記タンクに排出される作動油の流量が多くなるように前記第2制御指令を出力する、
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記流量制御弁を作動するための操作指令を生成する操作装置を備え、
前記制御装置は、前記作業機要素が前記端部区間に存在し、かつ前記作業機要素が端部位置に向かうように前記操作指令が出力されていると判定した場合、
前記油圧シリンダに供給される前記作動油の流量が、前記操作指令により指定された前記作動油の流量よりも少なくなるように、前記第1制御指令を出力し、
前記タンクに排出される前記作動油の流量が、前記操作指令により指定された前記作動油の流量よりも多くなるように、前記第2制御指令を出力する、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記作業機要素は、ブームと、前記ブームに連結されるアームと、前記アームに連結されるバケットと、を含み、
前記油圧シリンダは、前記ブームを動作させるブームシリンダと、前記アームを動作させるアームシリンダと、前記バケットを動作させるバケットシリンダと、を含み、
前記アームは、前記アームシリンダによりダンプ動作及び掘削動作し、
前記アームの端部区間は、前記アームが前記ダンプ動作を終了したときの前記アームのダンプ側の端部位置を含むダンプ側端部区間と、前記アームが前記掘削動作を終了したときの前記アームの掘削側の端部位置を含む掘削側端部区間とを含み、
前記制御装置は、前記アームが前記掘削側端部区間に存在し、かつ前記アームが前記掘削側の端部位置に向かうように前記操作指令が出力されていると判定した場合、
前記油圧シリンダに供給される前記作動油の流量が、前記操作指令により指定された前記作動油の流量よりも少なくなるように、前記第1制御指令を出力し、
前記タンクに排出される前記作動油の流量が、前記操作指令により指定された前記作動油の流量よりも多くなるように、前記第2制御指令を出力する、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記油圧シリンダから排出される前記作動油の圧力を検出する圧力センサを備え、
前記制御装置は、前記圧力センサの検出データに基づいて、前記第2制御指令を出力する、
請求項又は請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記圧力センサの検出データに基づいて、前記油圧シリンダから排出される前記作動油の圧力が閾値以下であると判定した場合、前記作業機要素が前記端部区間に存在し、かつ前記作業機要素が前記端部位置に向かうように前記操作指令が出力されていると判定しても、前記タンクに排出される前記作動油の流量が少なくなるように、前記第2制御指令を出力する、
請求項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記流量制御弁のスプールは、前記油圧シリンダのボトム室に作動油を供給する第1作動位置と、前記油圧シリンダのロッド室に作動油を供給する第2作動位置と、前記第1作動位置と前記第2作動位置との間に配置され作動油を流通させない停止位置とに移動し、
前記第2流路は、前記油圧ポンプと前記流量制御弁との間の前記第1流路から分岐する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
複数の作業機要素を含む作業機と、
複数の前記作業機要素のそれぞれを動作させる複数の油圧シリンダと、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の作業機械の制御システムと、を備える、
作業機械。
【請求項8】
油圧シリンダにより作業機要素を可動範囲で動作させることと、
可動範囲における前記作業機要素の姿勢を検出することと、
前記作業機要素の姿勢の検出データに基づいて、前記作業機要素が前記可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在すると判定した場合、油圧ポンプに接続された第1流路を介して前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整し、前記第1流路から分岐する第2流路を介してタンクに排出される作動油の流量を調整することと、を含
前記作業機要素が前記端部区間に存在すると判定した場合、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量が少なくなるように調整し、前記タンクに排出される作動油の流量が多くなるように調整する、
作業機械の制御方法。
【請求項9】
前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整するための操作指令を取得することを含み、
前記作業機要素が前記端部区間に存在し、かつ前記作業機要素が前記端部位置に向かうように前記操作指令が出力されていると判定した場合、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を少なくし、前記タンクに排出される作動油の流量を多くする、
請求項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項10】
前記油圧シリンダから排出される前記作動油の圧力を検出することを含み、
前記圧力の検出データに基づいて、前記油圧シリンダから排出される前記作動油の圧力が閾値以下であると判定した場合、前記作業機要素が前記端部区間に存在し、かつ前記作業機要素が前記端部位置に向かうように前記操作指令が出力されていると判定されても、前記タンクに排出される前記作動油の流量を少なくする、
請求項に記載の作業機械の制御方法。
【請求項11】
油圧シリンダにより可動範囲で動作する作業機要素の姿勢の検出データを取得する姿勢データ取得部と、
前記作業機要素の姿勢の検出データに基づいて、前記作業機要素が前記可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在するか否かを判定するストロークエンド判定部と、
前記作業機要素が前記端部区間に存在すると判定された場合、油圧ポンプに接続された第1流路を介して前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する流量制御弁制御部と、
前記第1流路から分岐する第2流路を介してタンクに排出される作動油の流量を調整するブリード弁制御部と、を備え
記作業機要素が前記端部区間に存在すると判定された場合、前記流量制御弁制御部は、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量が少なくなるように調整し、前記ブリード弁制御部は、前記タンクに排出される作動油の流量が多くなるように調整する、
作業機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム、作業機械、作業機械の制御方法、及び作業機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなクッション制御が知られている。クッション制御とは、油圧シリンダのピストンがストロークエンドに接近したときにピストンを減速させる制御をいう。クッション制御により、油圧シリンダのピストンがストロークエンドに到達したときの衝撃が緩和される。特許文献1において、制御弁は、中立位置と中間位置と作動位置とに移動する。制御弁が中立位置に配置されると、油圧ポンプと油圧シリンダとを接続する供給流路が閉じられ、油圧ポンプとタンクとを接続するブリード通路が開かれる。制御弁が中間位置に配置されると、油圧ポンプからの作動油がブームシリンダとタンクとに分配される。制御弁が作動位置に配置されると、供給流路が開かれ、ブリード通路が閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-169796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御弁にフローフォースが作用する可能性がある。フローフォースとは、制御弁のスプールに作用する作動油の流体力をいう。制御弁にフローフォースが作用すると、作業機の速度を高精度に制御することが困難となる可能性がある。クッション制御において、ピストンがストロークエンドに接近したときに制御弁にフローフォースが作用すると、適正なクッション効果が得られない可能性がある。適正なクッション効果が得られないと、作業機の操作性が悪化する。
【0005】
本開示は、クッション制御において適正なクッション効果を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給された作動油に基づいて作業機要素を可動範囲で動作させる油圧シリンダと、前記油圧ポンプに接続される第1流路と、前記第1流路から分岐する第2流路と、前記第1流路を介して前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する流量制御弁と、前記第2流路を介してタンクに排出される作動油の流量を調整するブリード弁と、前記可動範囲における前記作業機要素の姿勢を検出する姿勢センサと、前記姿勢センサの検出データに基づいて、前記作業機要素が前記可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在すると判定した場合、前記油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する第1制御指令及び前記タンクに排出される作動油の流量を調整する第2制御指令を出力する制御装置と、を備える、作業機械の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、クッション制御において適正なクッション効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機の動作を説明するための模式図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機要素の可動範囲を説明するための模式図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の制御システムを示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る作業機械の制御システムを示す模式図である。
図7図7は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る作業機要素が中間区間に存在する場合の制御装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る作業機要素及び油圧シリンダの動作を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る作業機要素及び油圧シリンダの動作を説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械100を示す斜視図である。実施形態においては、作業機械100が油圧ショベルである例について説明する。以下の説明において、作業機械100を適宜、油圧ショベル100、と称する。
【0011】
図1に示すように、油圧ショベル100は、作業機1と、油圧シリンダ2と、旋回体3と、走行体4と、操作装置5とを備える。
【0012】
旋回体3は、作業機1を支持する。旋回体3は、旋回軸RXを中心に旋回する。旋回体3は、旋回モータ(不図示)が発生する動力により旋回する。旋回体3は、運転室6と、機械室7とを有する。油圧ショベル100の運転者は、運転室6に搭乗する。運転者が着座する運転席6Sが運転室6に設けられる。
【0013】
走行体4は、旋回体3を支持する。走行体4は、一対の履帯4Cを有する。履帯4Cは、走行モータ(不図示)が発生する動力により回転する。履帯4Cの回転により油圧ショベル100が走行する。なお、走行体4は、車軸に装着されたタイヤを有してもよい。
【0014】
作業機1は、旋回体3に支持される。作業機1は、相対移動可能な複数の作業機要素を含む。作業機1の作業機要素は、旋回体3に連結されるブーム11と、ブーム11に連結されるアーム12と、アーム12に連結されるバケット13とを含む。
【0015】
ブーム11と旋回体3とはブームピンを介して連結される。ブーム11は、回転軸AX1を中心に回転可能に旋回体3に支持される。
【0016】
ブーム11とアーム12とはアームピンを介して連結される。アーム12は、回転軸AX2を中心に回転可能にブーム11に支持される。
【0017】
アーム12とバケット13とはバケットピンを介して連結される。バケット13は、回転軸AX3を中心に回転可能にアーム12に支持される。
【0018】
回転軸AX1と、回転軸AX2と、回転軸AX3とは、平行である。回転軸AX1と、旋回軸RXと平行な軸とは、直交する。以下の説明においては、旋回軸RXと平行な方向を適宜、旋回体3の上下方向、と称し、回転軸AX1と平行な方向を適宜、旋回体3の車幅方向又は左右方向、と称し、回転軸AX1及び旋回軸RXの両方と直交する方向を適宜、旋回体3の前後方向、と称する。旋回軸RXを基準として作業機1が存在する方向が前方向である。旋回軸RXを基準として機械室7が存在する方向が後方向である。
【0019】
油圧シリンダ2は、作動油に基づいて作業機要素を動作させる。油圧シリンダ2は、複数の作業機要素のそれぞれを動作させるために複数設けられる。油圧シリンダ2は、ブーム11を動作させるブームシリンダ21と、アーム12を動作させるアームシリンダ22と、バケット13を動作させるバケットシリンダ23とを含む。
【0020】
操作装置5は、油圧ショベル100の運転者に操作される。操作装置5は、作業機1及び旋回体3を動作させるために操作される。操作装置5は、運転室6に配置される。操作装置5は、複数の操作レバーを含む。操作装置5が操作されることにより、作業機1及び旋回体3が動作する。
【0021】
図2は、実施形態に係る油圧ショベル100を模式的に示す側面図である。図2に示すように、油圧ショベル100は、作業機要素の姿勢を検出する姿勢センサ8と、制御装置9とを備える。
【0022】
作業機要素の姿勢は、作業機要素の角度を含む。姿勢センサ8は、作業機要素の角度を検出する。姿勢センサ8は、回転軸AX1を中心とするブーム11の角度θ11を検出するブーム姿勢センサ81と、回転軸AX2を中心とするアーム12の角度θ12を検出するアーム姿勢センサ82と、回転軸AX3を中心とするバケット13の角度θ13を検出するバケット姿勢センサ83とを含む。実施形態において、ブーム11の角度θ11は、旋回体3の旋回軸RXとブーム11とがなす角度である。アーム12の角度θ12は、ブーム11とアーム12とがなす角度である。バケット13の角度θ13は、アーム12とバケット13とがなす角度である。
【0023】
実施形態において、姿勢センサ8は、油圧シリンダ2に配置されたストロークセンサである。油圧シリンダ2は、シリンダチューブと、シリンダチューブの内側で移動するピストンと、ピストンに接続されるロッドを有する。ストロークセンサは、ロッドの移動距離を示す油圧シリンダ2のストローク長を検出する。ストローク長は、油圧シリンダ2のストロークエンドからの移動距離である。ストロークエンドとは、ロッドの可動範囲の端部位置をいう。すなわち、ストロークエンドは、油圧シリンダ2が最も縮んだ状態のロッドの位置又は油圧シリンダ2が最も伸びた状態のロッドの位置である。
【0024】
制御装置9は、コンピュータシステムを含む。姿勢センサ8の検出データは、制御装置9に出力される。制御装置9は、姿勢センサ8の検出データに基づいて、作業機要素の角度を算出する。作業機要素の角度と油圧シリンダ2のストローク長とは相関する。制御装置9は、姿勢センサ8の検出データに基づいて演算処理を実施して、作業機要素の角度を算出することができる。
【0025】
ブーム姿勢センサ81は、ブームシリンダ21に配置されたストロークセンサである。ブームシリンダ21に配置されたストロークセンサは、ブームシリンダ21のストローク長を検出する。制御装置9は、ブーム姿勢センサ81の検出データに基づいて演算処理を実施して、旋回体3に対するブーム11の角度θ11を算出することができる。
【0026】
アーム姿勢センサ82は、アームシリンダ22に配置されたストロークセンサである。アームシリンダ22に配置されたストロークセンサは、アームシリンダ22のストローク長を検出する。制御装置9は、アーム姿勢センサ82の検出データに基づいて演算処理を実施して、ブーム11に対するアーム12の角度θ12を算出することができる。
【0027】
バケット姿勢センサ83は、バケットシリンダ23に配置されたストロークセンサである。バケットシリンダ23に配置されたストロークセンサは、バケットシリンダ23のストローク長を検出する。制御装置9は、バケット姿勢センサ83の検出データに基づいて演算処理を実施して、アーム12に対するバケット13の角度θ13を算出することができる。
【0028】
また、制御装置9は、姿勢センサ8の検出データに基づいて、油圧シリンダ2のピストンとは反対側のロッドの端部の位置を示すシリンダ位置を算出することができる。シリンダ位置は、ストロークエンドに対するロッドの相対位置である。制御装置9は、ブーム姿勢センサ81の検出データに基づいて演算処理を実施して、ブームシリンダ21のシリンダ位置を算出することができる。制御装置9は、アーム姿勢センサ82の検出データに基づいて演算処理を実施して、アームシリンダ22のシリンダ位置を算出することができる。制御装置9は、バケット姿勢センサ83の検出データに基づいて演算処理を実施して、バケットシリンダ23のシリンダ位置を算出することができる。
【0029】
また、制御装置9は、姿勢センサ8の検出データに基づいて、油圧シリンダ2のシリンダチューブに対するロッドの速度を示すシリンダ速度を算出することができる。制御装置9は、ブーム姿勢センサ81の検出データに基づいて演算処理を実施して、ブームシリンダ21のシリンダ速度を算出することができる。制御装置9は、アーム姿勢センサ82の検出データに基づいて演算処理を実施して、アームシリンダ22のシリンダ速度を算出することができる。制御装置9は、バケット姿勢センサ83の検出データに基づいて演算処理を実施して、バケットシリンダ23のシリンダ速度を算出することができる。
【0030】
すなわち、実施形態において、姿勢センサ8は、作業機要素の角度センサ、油圧シリンダ2のストローク長センサ、油圧シリンダ2のシリンダ位置センサ、及び油圧シリンダ2のシリンダ速度センサとして機能することができる。
【0031】
なお、姿勢センサ8は、ポテンショメータのような作業機要素の角度を検出可能な角度センサを含んでもよい。
【0032】
[作業機の動作]
図3は、実施形態に係る作業機1の動作を説明するための模式図である。操作装置5は、作業機1及び旋回体3を動作させるために操作される。操作装置5が操作されることにより、油圧シリンダ2又は旋回モータ(不図示)が駆動する。油圧シリンダ2が駆動することにより、作業機1が動作する。旋回モータが駆動することにより、旋回体3が動作する。操作装置5が操作されることにより、ブーム11の上げ動作、ブーム11の下げ動作、アーム12の掘削動作、アーム12のダンプ動作、バケット13のダンプ動作、及びバケット13の掘削動作が実施される。操作装置5が操作されることにより、旋回体3の旋回動作が実施される。
【0033】
ブームシリンダ21が伸びることにより、ブーム11は上げ動作する。ブームシリンダ21が縮むことにより、ブーム11は下げ動作する。
【0034】
アームシリンダ22が伸びることにより、アーム12は掘削動作する。アームシリンダ22が縮むことにより、アーム12はダンプ動作する。
【0035】
バケットシリンダ23が伸びることにより、バケット13は掘削動作する。バケットシリンダ23が縮むことにより、バケット13はダンプ動作する。
【0036】
旋回モータが駆動することにより、旋回体3は旋回動作する。
【0037】
[作業機要素の可動範囲]
図4は、実施形態に係る作業機要素の可動範囲を説明するための模式図である。作業機要素は、油圧シリンダ2のストロークにより定められる可動範囲において移動することができる。作業機要素の可動範囲は、油圧シリンダ2のロッドの可動範囲に基づいて一義的に定められる。作業機要素の可動範囲の端部位置は、油圧シリンダ2のストロークエンドに基づいて規定される。油圧シリンダ2がストロークエンドに到達すると、作業機要素は可動範囲の端部位置に到達する。実施形態においては、作業機要素の可動範囲において、端部位置を含む所定の区間を適宜、端部区間、と称し、端部区間とは異なる区間を適宜、中間区間、と称する。
【0038】
可動範囲に対する端部区間の長さの比率は、任意に設定可能である。端部区間は、可動範囲の1[%]以上20[%]以下の任意の比率でもよい。また、端部区間の長さの比率は、操作装置5の操作量に関わらず固定値であってもよいし、操作量に応じて変化する変数値であってもよい。
【0039】
[制御システム]
図5は、実施形態に係る油圧ショベル100の制御システム10を示す模式図である。図5に示すように、制御システム10は、エンジン30と、動力伝達機構31と、油圧ポンプ32と、第1流路33と、第2流路34と、タンク35と、油圧シリンダ2と、流量制御弁40と、ブリード弁50と、制御装置9とを備える。エンジン30、動力伝達機構31、油圧ポンプ32、及びタンク35のそれぞれは、旋回体3の機械室7に配置される。
【0040】
エンジン30は、油圧ショベル100の動力源である。エンジン30として、ディーゼルエンジンが例示される。
【0041】
動力伝達機構31は、エンジン30が発生した動力を油圧ポンプ32に伝達する。実施形態において、油圧ポンプ32は複数設けられる。図5に示す例において、油圧ポンプ32は、6つ設けられる。動力伝達機構31は、エンジン30が発生した動力を複数の油圧ポンプ32に分配する。
【0042】
油圧ポンプ32は、動力伝達機構31から伝達された動力により駆動する。油圧ポンプ32は、作動油を吐出する。実施形態において、油圧ポンプ32は、可変容量型油圧ポンプである。
【0043】
油圧シリンダ2は、油圧ポンプ32から供給された作動油に基づいて作業機要素を可動範囲で動作させる。上述のように、油圧シリンダ2は、ブーム11を動作させるブームシリンダ21と、アーム12を動作させるアームシリンダ22と、バケット13を動作させるバケットシリンダ23とを含む。
【0044】
油圧シリンダ2は、ボトム室2Aとロッド室2Bとを有する。ボトム室2Aに作動油が供給されることにより、油圧シリンダ2は伸びる。ロッド室2Bに作動油が供給されることにより、油圧シリンダ2は縮む。
【0045】
第1流路33は、油圧ポンプ32の吐出口に接続される。図5に示す例において、第1流路33は、2つの油圧ポンプ32の吐出口のそれぞれに接続される。油圧ポンプ32の吐出口から吐出された作動油は、第1流路33を流通することができる。油圧ポンプ32から吐出され、第1流路33を流通した作動油は、油圧シリンダ2に供給される。
【0046】
第2流路34は、第1流路33から分岐するように設けられる。油圧ポンプ32の吐出口から吐出された作動油は、第2流路34を流通することができる。油圧ポンプ32から吐出され、第2流路34を流通した作動油は、タンク35に排出される。
【0047】
流量制御弁40は、第1流路33を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整する。油圧シリンダ2のボトム室2Aは、ボトム流路36を介して流量制御弁40に接続される。油圧シリンダ2のロッド室2Bは、ロッド流路37を介して流量制御弁40に接続される。
【0048】
流量制御弁40は、ブームシリンダ21に供給される作動油の流量を調整するブーム流量制御弁41と、アームシリンダ22に供給される作動油の流量を調整するアーム流量制御弁42と、バケットシリンダ23に供給される作動油の流量を調整するバケット流量制御弁43とを含む。油圧ポンプ32から第1流路33に吐出された作動油は、ブーム流量制御弁41、アーム流量制御弁42、及びバケット流量制御弁43のそれぞれに供給される。
【0049】
実施形態において、ブーム流量制御弁41、アーム流量制御弁42、及びバケット流量制御弁43のそれぞれは、複数設けられる。図5に示す例において、ブーム流量制御弁41は、3つ設けられる。アーム流量制御弁42は、3つ設けられる。バケット流量制御弁43は、3つ設けられる。
【0050】
ブームシリンダ21のボトム室2Aは、ボトム流路36を介して、3つのブーム流量制御弁41のそれぞれに接続される。ブームシリンダ21のロッド室2Bは、ロッド流路37を介して、3つのブーム流量制御弁41のそれぞれに接続される。
【0051】
アームシリンダ22のボトム室2Aは、ボトム流路36を介して、3つのアーム流量制御弁42のそれぞれに接続される。アームシリンダ22のロッド室2Bは、ロッド流路37を介して、3つのアーム流量制御弁42のそれぞれに接続される。
【0052】
バケットシリンダ23のボトム室2Aは、ボトム流路36を介して、3つのバケット流量制御弁43のそれぞれに接続される。バケットシリンダ23のロッド室2Bは、ロッド流路37を介して、3つのバケット流量制御弁43のそれぞれに接続される。
【0053】
油圧ポンプ32は、第1流路33を介して、ブーム流量制御弁41、アーム流量制御弁42、及びバケット流量制御弁43のそれぞれに作動油を供給することができる。ブーム流量制御弁41、アーム流量制御弁42、及びバケット流量制御弁43のそれぞれに、供給流路33Aが接続される。第1流路33は、3つの供給流路33Aのそれぞれと接続される。油圧ポンプ32から第1流路33に吐出された作動油は、供給流路33Aを介して、ブーム流量制御弁41、アーム流量制御弁42、及びバケット流量制御弁43のそれぞれに供給される。
【0054】
ブリード弁50は、第2流路34を介してタンク35に排出される作動油の流量を調整する。ブリード弁50は、第2流路34に配置される。油圧ポンプ32は、第2流路34を介して、ブリード弁50に作動油を供給することができる。第2流路34は、油圧ポンプ32と流量制御弁40との間の第1流路33から分岐する。油圧ポンプ32から第2流路34に吐出された作動油は、流量制御弁40に供給されることなく、ブリード弁50に供給される。
【0055】
図6は、実施形態に係る油圧ショベル100の制御システム10を示す模式図である。図6は、図5の一部を抽出した図に相当する。図5に示す例では、タンデムに配置された2つの油圧ポンプ32からの作動油を合流させて、パラレルに配置された複数の流量制御弁40(41、42、43)に供給しているが、図6に示す例では、油圧ポンプ32は1つとしている。油圧ポンプ32の数は任意である。図5に示す例では、複数の油圧ポンプ32が動力伝達機構31に接続される。タンデムに配置された油圧ポンプ32から吐出された作動油が、1つの流量制御弁40を流通した後に合流して、1つの油圧シリンダ2に供給される。1つの油圧シリンダ2に供給される作動油が流通する油圧回路は、複数設けられる。図5に示す例では、それぞれの油圧回路に設けられた3つの流量制御弁40(例えば41、41、41)からの作動油を合流させて、1つの油圧シリンダ2(例えばブームシリンダ21)に供給しているが、図6に示す例では、1つの油圧シリンダ2に1つの流量制御弁40から作動油を供給するようにしている。1つの油圧シリンダ2に作動油を供給する流量制御弁40の数は任意である。
【0056】
図6に示すように、制御システム10は、油圧ポンプ32と、油圧ポンプ32から供給された作動油に基づいて作業機要素を可動範囲で動作させる油圧シリンダ2と、油圧ポンプ32に接続される第1流路33と、第1流路33から分岐する第2流路34と、第1流路33を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整する流量制御弁40と、第2流路34を介してタンク35に排出される作動油の流量を調整するブリード弁50とを備える。第2流路34は、油圧ポンプ32と流量制御弁40との間の第1流路33から分岐する。
【0057】
図6に示すように、流量制御弁40は、ポンプポートPaと、ボトムポートPbと、ロッドポートPcと、タンクポートPdとを有する。
【0058】
ポンプポートPaは、供給流路33A及び第1流路33を介して油圧ポンプ32に接続される。油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第1流路33及び供給流路33Aを流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁40に流入することができる。
【0059】
ボトムポートPbは、ボトム流路36を介して油圧シリンダ2のボトム室2Aに接続される。ボトムポートPbから流出した作動油は、ボトム流路36を流通した後、油圧シリンダ2のボトム室2Aに流入することができる。また、油圧シリンダ2のボトム室2Aから流出した作動油は、ボトム流路36を流通した後、ボトムポートPbから流量制御弁40に流入することができる。
【0060】
ロッドポートPcは、ロッド流路37を介して油圧シリンダ2のロッド室2Bに接続される。ロッドポートPcから流出した作動油は、ロッド流路37を流通した後、油圧シリンダ2のロッド室2Bに流入することができる。また、油圧シリンダ2のロッド室2Bから流出した作動油は、ロッド流路37を流通した後、ロッドポートPcから流量制御弁40に流入することができる。
【0061】
タンクポートPdは、排出流路38を介してタンク35に接続される。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路38を流通した後、タンク35に排出される。
【0062】
流量制御弁40は、ロッド状のスプールを移動させて油圧シリンダ2に供給される作動油の流量及び方向を切り換えるスライドスプール方式の流量制御弁である。スプールが軸方向に移動することにより、ボトム室2Aに対する作動油の供給とロッド室2Bに対する作動油の供給とが切り換わる。また、スプールの移動量に基づいて、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が調整される。
【0063】
実施形態において、流量制御弁40のスプールは、油圧シリンダ2のボトム室2Aに作動油を供給する第1作動位置P1と、油圧シリンダ2のロッド室2Bに作動油を供給する第2作動位置P2と、第1作動位置P1と第2作動位置P2との間に配置され作動油を流通させない停止位置P3とに移動する。
【0064】
流量制御弁40のスプールが第1作動位置P1に配置されると、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第1流路33及び供給流路33Aを流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁40に流入し、ボトムポートPbから流出する。ボトムポートPbから流出した作動油は、ボトム流路36を流通した後、油圧シリンダ2のボトム室2Aに流入する。これにより、油圧シリンダ2は、伸びる。油圧シリンダ2が伸びると、ロッド室2Bから作動油が流出する。油圧シリンダ2のロッド室2Bから流出した作動油は、ロッド流路37を流通した後、ロッドポートPcから流量制御弁40に流入し、タンクポートPdから流出する。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路38を介してタンク35に排出される。
【0065】
流量制御弁40のスプールが第2作動位置P2に配置されると、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第1流路33及び供給流路33Aを流通した後、ポンプポートPaから流量制御弁40に流入し、ロッドポートPcから流出する。ロッドポートPcから流出した作動油は、ロッド流路37を流通した後、油圧シリンダ2のロッド室2Bに流入する。これにより、油圧シリンダ2は、縮む。油圧シリンダ2が縮むと、ボトム室2Aから作動油が流出する。油圧シリンダ2のボトム室2Aから流出した作動油は、ボトム流路36を流通した後、ボトムポートPbから流量制御弁40に流入し、タンクポートPdから流出する。タンクポートPdから流出した作動油は、排出流路38を介してタンク35に排出される。
【0066】
流量制御弁40のスプールが停止位置P3に配置されると、作動油は、流量制御弁40を流通することができない。
【0067】
流量制御弁40は、スプールの移動量により、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を制御する。スプールの移動量により、流量制御弁40において作動油が流通するポートの開口率が調整される。流量制御弁40の開口率が調整されることにより、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が調整される。流量制御弁40の開口率とは、ポートの大きさの最大値に対するポートの大きさの割合をいう。開口率が100[%]であるとき、流量制御弁40のポートの大きさが最大になり、最大流量で油圧シリンダ2に作動油が供給される。流量制御弁40の開口率が0[%]であるとき、流量制御弁40のポートが閉じられ、油圧シリンダ2に対する作動油の供給が停止される。実施形態においては、1つの流量制御弁40の開口率を調整している。複数の流量制御弁40が用いられている場合、所望の作動油の流量を確保するために、各流量制御弁40から供給される作動油の流量を算出すればよい。
【0068】
ブリード弁50は、第2流路34を介してタンク35に排出される作動油の流量を調整する。
【0069】
ブリード弁50は、流入ポートPeと、流出ポートPfとを有する。
【0070】
流入ポートPeは、第2流路34を介して油圧ポンプ32に接続される。油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第2流路34を流通した後、流入ポートPeからブリード弁50に流入することができる。
【0071】
流出ポートPfは、タンク流路39を介してタンク35に接続される。流出ポートPfから流出した作動油は、タンク流路39を流通した後、タンク35に排出される。
【0072】
ブリード弁50のスプールは、タンク35に作動油を排出する排出位置P4と、作動油を流通させない停止位置P5とに移動する。
【0073】
ブリード弁50のスプールが排出位置P4に配置されると、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第2流路34を流通した後、流入ポートPeからブリード弁50に流入し、流出ポートPfから流出する。流出ポートPfから流出した作動油は、タンク流路39を流通した後、タンク35に排出される。
【0074】
ブリード弁50のスプールが停止位置P5に配置されると、作動油は、ブリード弁50を流通することができない。
【0075】
ブリード弁50は、スプールの移動量により、タンク35に排出される作動油の流量を制御する。スプールの移動量により、ブリード弁50において作動油が流通するポートの開口率が調整される。ブリード弁50の開口率が調整されることにより、タンク35に排出される作動油の流量が調整される。開口率が100[%]であるとき、ブリード弁50のポートの大きさが最大になり、最大流量でタンク35に作動油が排出される。開口率が0[%]であるとき、ブリード弁50のポートが閉じられ、タンク35に対する作動油の排出が停止される。
【0076】
なお、供給流路33Aには、ポンプポートPaから油圧ポンプ32に作動油が逆流することを抑制するチェック弁55が設けられる。また、第1流路33から分岐する排出流路33Bが設けられる。排出流路33Bは、第2流路34と油圧ポンプ32との間の第1流路33から分岐する。排出流路33Bは、タンク35に接続される。排出流路33Bには、第1流路33の圧力が過度に上昇したときに圧力を解放するためのリリーフ弁56が設けられる。
【0077】
また、制御システム10は、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力を検出する圧力センサ60を備える。圧力センサ60は、ブームシリンダ21から排出される作動油の圧力を検出するブーム圧力センサ61と、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力を検出するアーム圧力センサ62と、バケットシリンダ23から排出される作動油の圧力を検出するバケット圧力センサ63とを含む。
【0078】
実施形態において、圧力センサ60は、ボトム流路36及びロッド流路37のそれぞれに設けられる。油圧シリンダ2が伸びて、ロッド室2Bから作動油が排出される場合、ロッド流路37に設けられている圧力センサ60が、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力を検出する。油圧シリンダ2が縮んで、ボトム室2Aから作動油が排出される場合、ボトム流路36に設けられている圧力センサ60が、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力を検出する。なお、圧力センサ60は、ボトム室2A及びロッド室2Bのそれぞれに設けられてもよい。
【0079】
[制御装置]
図7は、実施形態に係る制御装置9を示す機能ブロック図である。制御装置9は、操作装置5、姿勢センサ8、及び圧力センサ60のそれぞれと通信回線を介して接続される。また、制御装置9は、流量制御弁40及びブリード弁50のそれぞれと制御線を介して接続される。
【0080】
制御装置9は、操作指令取得部91と、姿勢データ取得部92と、圧力データ取得部93と、ストロークエンド判定部94と、圧力判定部95と、流量制御弁制御部96と、ブリード弁制御部97と、相関データ記憶部98と、閾値記憶部99とを有する。
【0081】
操作指令取得部91は、操作装置5から操作指令を取得する。操作装置5は、流量制御弁40を作動させるために運転者に操作される。操作装置5は、運転者に操作されることにより、流量制御弁40を作動するための操作指令を生成する。すなわち、操作装置5は、運転者に操作されることにより、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整するための操作指令を生成する。操作装置5により生成された操作指令は、制御装置9に出力される。操作指令取得部91は、操作装置5の操作により生成された操作指令を取得する。実施形態においては、1つの油圧シリンダ2に対し、1つの流量制御弁40が接続されている。1つの油圧シリンダ2に対し、複数の流量制御弁40が接続されている場合、複数の流量制御弁40から供給される作動油の合計の流量が調整される。
【0082】
姿勢データ取得部92は、姿勢センサ8の検出データを取得する。姿勢センサ8は、作業機要素の可動範囲における作業機要素の姿勢を検出する。ブーム姿勢センサ81は、ブーム11の可動範囲におけるブーム11の姿勢を検出する。アーム姿勢センサ82は、アーム12の可動範囲におけるアーム12の姿勢を検出する。バケット姿勢センサ83は、バケット13の可動範囲におけるバケット13の姿勢を検出する。姿勢データ取得部92は、ブーム姿勢センサ81の検出データ、アーム姿勢センサ82の検出データ、及びバケット姿勢センサ83の検出データのそれぞれを取得する。
【0083】
圧力データ取得部93は、圧力センサ60の検出データを取得する。圧力センサ60は、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力を検出する。ブーム圧力センサ61は、ブームシリンダ21から排出される作動油の圧力を検出する。アーム圧力センサ62は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力を検出する。バケット圧力センサ63は、バケットシリンダ23から排出される作動油の圧力を検出する。圧力データ取得部93は、ブーム圧力センサ61の検出データ、アーム圧力センサ62の検出データ、及びバケット圧力センサ63の検出データのそれぞれを取得する。
【0084】
ストロークエンド判定部94は、姿勢データ取得部92により取得された姿勢センサ8の検出データに基づいて、作業機要素が可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在するか否かを判定する。作業機要素の可動範囲の端部位置は、油圧シリンダ2のストロークエンドに基づいて規定される。作業機要素の可動範囲の端部区間は、油圧シリンダ2のストローク長に基づいて規定される。ストロークエンド判定部94は、姿勢センサ8の検出データに基づいて、作業機要素が可動範囲の端部区間に存在するか否かを判定することができる。
【0085】
圧力判定部95は、圧力データ取得部93により取得された圧力センサ60の検出データに基づいて、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力が閾値以下であるか否かを判定する。閾値は予め定められた値であり、閾値記憶部99に記憶されている。実施形態において、閾値は、タンク35の圧力と等しい値に定められる。タンク35の圧力は、例えば大気圧である。
【0086】
流量制御弁制御部96は、流量制御弁40を制御するための第1制御指令を出力する。流量制御弁制御部96は、流量制御弁40に第1制御指令を出力することにより、第1流路33を介して流量制御弁40から油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整する。流量制御弁40は、スプールの移動量により、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を制御する。スプールは、パイロットラインと接続される。スプールは、パイロットラインのパイロット圧により移動する。パイロット圧は、パイロットラインに配置される電磁比例制御弁(不図示)により調整される。流量制御弁制御部96は、第1制御指令として、電磁比例制御弁に指令電流を出力する。電磁比例制御弁に指令電流が出力されると、スプールにパイロット圧が付与され、スプールが移動する。電磁比例制御弁に出力される指令電流値が調整されることにより、パイロット圧が調整され、スプールの移動量が調整される。スプールの移動量が調整されることにより、流量制御弁40から油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が調整される。
【0087】
流量制御弁制御部96は、ブーム流量制御弁41を制御するための第1制御指令、アーム流量制御弁42を制御するための第1制御指令、及びバケット流量制御弁43を制御するための第1制御指令を出力することができる。流量制御弁制御部96は、ブーム流量制御弁41に第1制御指令を出力することにより、ブーム流量制御弁41からブームシリンダ21に供給される作動油の流量を調整することができる。流量制御弁制御部96は、アーム流量制御弁42に第1制御指令を出力することにより、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に供給される作動油の流量を調整することができる。流量制御弁制御部96は、バケット流量制御弁43に第1制御指令を出力することにより、バケット流量制御弁43からバケットシリンダ23に供給される作動油の流量を調整することができる。
【0088】
流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94により作業機要素が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91により作業機要素が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整する第1制御指令を流量制御弁40に出力する。流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94によりブーム11が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりブーム11が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、ブームシリンダ21に供給される作動油の流量を調整する第1制御指令をブーム流量制御弁41に出力する。流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、アームシリンダ22に供給される作動油の流量を調整する第1制御指令をアーム流量制御弁42に出力する。流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94によりバケット13が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりバケット13が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、バケットシリンダ23に供給される作動油の流量を調整する第1制御指令をバケット流量制御弁43に出力する。
【0089】
ブリード弁制御部97は、ブリード弁50を制御するための第2制御指令を出力する。ブリード弁制御部97は、ブリード弁50に第2制御指令を出力することにより、第2流路34を介してブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量を調整する。ブリード弁50は、スプールの移動量により、タンク35に排出される作動油の流量を制御する。スプールは、パイロットラインと接続される。スプールは、パイロットラインのパイロット圧により移動する。パイロット圧は、パイロットラインに配置される電磁比例制御弁(不図示)により調整される。ブリード弁制御部97は、第2制御指令として、電磁比例制御弁に指令電流を出力する。電磁比例制御弁に指令電流が出力されると、スプールにパイロット圧が付与され、スプールが移動する。電磁比例制御弁に出力される指令電流値が調整されることにより、パイロット圧が調整され、スプールの移動量が調整される。スプールの移動量が調整されることにより、ブリード弁50からタンク35に供給される作動油の流量が調整される。
【0090】
ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94により作業機要素が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91により作業機要素が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量を調整する第2制御指令をブリード弁50に出力する。ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94によりブーム11が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりブーム11が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量を調整する第2制御指令をブリード弁50に出力する。ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量を調整する第2制御指令をブリード弁50に出力する。ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94によりバケット13が可動範囲の端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりバケット13が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量を調整する第2制御指令をブリード弁50に出力する。
【0091】
相関データ記憶部98は、操作装置5の操作指令と流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量との関係を示す第1相関データを記憶する。また、相関データ記憶部98は、操作装置5の操作指令とブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量との関係を示す第2相関データを記憶する。操作装置5の操作指令は、操作装置5の操作量を含む。操作装置5が操作レバーを含む場合、操作装置5の操作量は、操作レバーの傾斜角度を含む。第1相関データ及び第2相関データのそれぞれは、予め定められる。
【0092】
閾値記憶部99は、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力に係る閾値を記憶する。上述のように、閾値は予め定められた値である。実施形態において、閾値は、タンク35の圧力と等しい値に定められる。タンク35の圧力は、例えば大気圧である。
【0093】
[制御装置の動作]
次に、実施形態に係る制御装置9の動作について説明する。上述のように、作業機要素の可動範囲は、端部区間と中間区間とを含む。図8は、実施形態に係る作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合の制御装置9の動作を説明するための図である。
【0094】
作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合、流量制御弁制御部96は、操作指令取得部91により取得された操作装置5の操作指令と、相関データ記憶部98に記憶されている第1相関データとに基づいて、流量制御弁40に第1制御指令を出力する。また、作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合、ブリード弁制御部97は、操作指令取得部91により取得された操作装置5の操作指令と、相関データ記憶部98に記憶されている第2相関データとに基づいて、ブリード弁50に第2制御指令を出力する。
【0095】
図8に示すように、操作装置5の操作指令と流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量との関係を示す第1相関データが予め定められている。また、操作装置5の操作指令とブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量との関係を示す第2相関データが予め定められている。第1相関データ及び第2相関データは、相関データ記憶部98に記憶されている。
【0096】
上述のように、操作装置5の操作指令は、操作装置5の操作量を含む。操作装置5の操作量が最大値を示す場合、操作量は100[%]である。操作装置5が操作されていない場合、操作量は0[%]である。
【0097】
流量制御弁制御部96は、操作装置5の操作量と相関データ記憶部98に記憶されている第1相関データとに基づいて、流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整するための第1制御指令を出力する。上述のように、第1制御指令は、流量制御弁40のスプールの移動量を調整する電磁比例制御弁に出力する指令電流値を含む。
【0098】
図8に示すように、第1相関データは、操作装置5の操作量が小さいほど指令電流値が小さくなり、操作装置5の操作量が大きいほど指令電流値が大きくなるように定められる。すなわち、第1相関データは、操作装置5の操作量が小さいほど流量制御弁40の開口率が小さくなり、操作装置5の操作量が大きいほど流量制御弁40の開口率が大きくなるように定められる。換言すれば、第1相関データは、操作装置5の操作量が小さいほど流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が少なくなり、操作装置5の操作量が大きいほど流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が多くなるように定められる。実施形態においては、1つの流量制御弁40の開口率を示している。複数の流量制御弁40が用いられている場合、所望の作動油の流量を確保するように、各流量制御弁40の開口率を制御すればよい。
【0099】
作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合、流量制御弁制御部96は、操作装置5の操作量と第1相関データとに基づいて、操作装置5の操作量が小さいほど流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が少なくなり、操作装置5の操作量が大きいほど流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が多くなるように、第1制御指令として指令電流値を出力する。
【0100】
ブリード弁制御部97は、操作装置5の操作量と相関データ記憶部98に記憶されている第2相関データとに基づいて、ブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量を調整するための第2制御指令を出力する。上述のように、第2制御指令は、ブリード弁50のスプールの移動量を調整する電磁比例制御弁に出力する指令電流値を含む。
【0101】
図8に示すように、第2相関データは、操作装置5の操作量が小さいほど指令電流値が大きくなり、操作装置5の操作量が大きいほど指令電流値が小さくなるように定められる。すなわち、第2相関データは、操作装置5の操作量が小さいほど流量制御弁40の開口率が大きくなり、操作装置5の操作量が大きいほど流量制御弁40の開口率が小さくなるように定められる。換言すれば、第2相関データは、操作装置5の操作量が小さいほどブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が多くなり、操作装置5の操作量が大きいほどブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように定められる。
【0102】
作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合、ブリード弁制御部97は、操作装置5の操作量と第2相関データとに基づいて、操作装置5の操作量が小さいほどブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が多くなり、操作装置5の操作量が大きいほどブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように、第2制御指令として指令電流値を出力する。
【0103】
作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れる方向に動く場合、操作装置5の操作量が小さいほど、流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が少なくなり、ブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が多くなるように、流量制御弁40及びブリード弁50のそれぞれが制御される。作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部から離れる方向に動く場合において、操作装置5の操作量が小さい場合、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、専らタンク35に排出される。そのため、油圧ポンプ32から吐出された作動油の圧力を示すポンプ圧が過度に上昇することが抑制される。また、操作装置5の操作量が0[%]である場合、流量制御弁40の開口率は0[%]になり、ブリード弁50の開口率は100[%]になる。そのため、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、油圧シリンダ2には供給されず、第2流路34及びブリード弁50を介してタンク35に排出される。
【0104】
作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部から離れる方向に動く場合、操作装置5の操作量が大きいほど、流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が多くなり、ブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように、流量制御弁40及びブリード弁50のそれぞれが制御される。作業機要素が中間区間に存在する場合、及び作業機要素が端部区間に存在し、かつ端部から離れる方向に動く場合において、操作装置5の操作量が大きい場合、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、専ら油圧シリンダ2に供給される。また、操作装置5の操作量が100[%]である場合、流量制御弁40の開口率は100[%]になり、ブリード弁50の開口率は0[%]になる。そのため、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、タンク35には排出されず、第1流路33及び流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される。
【0105】
図9は、実施形態に係る作業機要素及び油圧シリンダ2の動作を説明するための図である。図9を用いる説明においては、作業機要素がアーム12であり油圧シリンダ2がアームシリンダ22である例について説明する。なお、作業機要素がブーム11又はバケット13の場合も同様である。
【0106】
図9は、操作装置5の操作量が100[%]のときのアーム12の可動範囲においてアーム12が端部位置に向かうときのアーム12の位置と作動油の流量との関係を示す。また、図9は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値を上回っているときのアーム12の可動範囲における位置と作動油の流量との関係を示す。
【0107】
アーム12は、アームシリンダ22によりダンプ動作及び掘削動作する。アーム12の可動範囲は、端部区間と、端部区間とは異なる中間空間とを含む。アーム12の端部区間は、アーム12がダンプ動作を終了したときのアーム12のダンプ側の端部位置を含むダンプ側端部区間と、アーム12が掘削動作を終了したときのアーム12の掘削側の端部位置を含む掘削側端部区間とを含む。
【0108】
流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が中間区間に存在すると判定された場合、及びアーム12が端部区間に存在し、かつ操作指令取得部91により端部位置から離れるように操作指令が出力されていると判定された場合、操作装置5の操作指令と第1相関データとに基づいて、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に供給される作動油の流量が調整されるように、第1制御指令を出力する。図9に示す例においては、操作装置5の操作量は100[%]であるため、流量制御弁制御部96は、アーム流量制御弁42の開口率が100[%]になるように、第1制御指令を出力する。アーム流量制御弁42の開口率が100[%]に調整されるので、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に最大流量で作動油が供給される。
【0109】
ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が中間区間に存在すると判定された場合、及びアーム12が端部区間に存在し、かつ操作指令取得部91により端部位置から離れるように操作指令が出力されていると判定された場合、操作装置5の操作指令と第2相関データとに基づいて、ブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量が調整されるように、第2制御指令を出力する。図9に示す例においては、操作装置5の操作量は100[%]であるため、ブリード弁制御部97は、ブリード弁50の開口率が0[%]になるように、第2制御指令を出力する。ブリード弁50の開口率が0[%]に調整されるので、ブリード弁50からタンク35に作動油は排出されない。
【0110】
流量制御弁制御部96は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が端部区間(ダンプ側端部区間及び掘削側端部区間)に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に供給される作動油の流量が少なくなるように、第1制御指令を出力する。
【0111】
流量制御弁制御部96は、アーム12が端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、アームシリンダ22に供給される作動油の流量が、操作装置5の操作指令により指定された作動油の流量よりも少なくなるように、第1制御指令を出力する。図9に示す例においては、操作装置5の操作量が100[%]であるものの、アーム12が端部区間に存在し、かつアーム12が端部位置に向かうように動いていると判定された場合、流量制御弁制御部96は、アームシリンダ22に供給される作動油の流量が最大流量よりも少なくなるように、第1制御指令を出力する。流量制御弁制御部96は、アーム12が端部区間に存在し、かつアーム12が端部位置に向かうように動いていると判定された場合、アーム流量制御弁42の開口率が例えば100[%]から0[%]まで徐々に小さくなるように、第1制御指令を出力する。なお、開口率の減少率は、操作装置5の操作量に関わらず固定値であってもよいし、操作量に応じて変化する変数値であってもよい。
【0112】
すなわち、流量制御弁制御部96は、操作装置5の操作量が一定である場合において、アーム12が端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合の作動油の流量が、アーム12が中間区間に存在する場合、及びアーム12が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れるように操作指令が出力されていると判定された場合の作動油の流量よりも少なくなるように、第1制御指令を出力する。つまり、操作装置5の操作量が100[%]で一定であっても、アーム12が端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、流量制御弁制御部96は、アームシリンダ22に供給される作動油の流量が最大流量よりも少なくなるように、第1制御指令を出力する。
【0113】
アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に供給される作動油の流量が少なくなるように第1制御指令が出力されることにより、アームシリンダ22のロッド(ピストン)がストロークエンドに接近したときにロッドが減速される。すなわち、アーム12が端部区間に存在し、かつアーム12が端部位置に向かう方向に動いていると判定された場合、クッション制御が実施される。クッション制御が実施されることにより、アームシリンダ22のロッドがストロークエンドに到達したときの衝撃が緩和される。
【0114】
ブリード弁制御部97は、ストロークエンド判定部94によりアーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつ操作指令取得部91によりアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、ブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量が多くなるように、第2制御指令を出力する。
【0115】
ブリード弁制御部97は、アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量が、操作装置5の操作指令により指定された作動油の流量よりも多くなるように、第2制御指令を出力する。図9に示す例においては、操作装置5の操作量が100[%]であるものの、アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、ブリード弁制御部97は、タンク35に排出される作動油の流量がゼロよりも多くなるように、第2制御指令を出力する。ブリード弁制御部97は、アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、ブリード弁50の開口率が例えば100[%]になるように、第2制御指令を出力する。
【0116】
すなわち、ブリード弁制御部97は、操作装置5の操作量が一定である場合において、アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合の作動油の流量が、アーム12が中間区間に存在する場合、及びアーム12が端部区間に存在し、かつ端部位置から離れるように操作指令が出力されていると判定された場合の作動油の流量よりも多くなるように、第2制御指令を出力する。つまり、操作装置5の操作量が100[%]で一定であっても、アーム12が掘削側端部区間に存在すると判定され、かつアーム12が掘削側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、ブリード弁制御部97は、タンク35に排出される作動油の流量がゼロよりも多くなるように、第2制御指令を出力する。
【0117】
ブリード弁50の開口率が0[%]の状態でクッション制御が実施されると、油圧ポンプ32から吐出された作動油の圧力を示すポンプ圧が急激に上昇する可能性がある。ポンプ圧が急激に上昇すると、アーム流量制御弁42にフローフォースが作用する可能性がある。アーム流量制御弁42にフローフォースが作用すると、クッション制御において、アーム流量制御弁42からアームシリンダ22に供給される作動油が目標値とは異なる流量で供給されてしまう可能性がある。その結果、アーム12が目標値とは異なる速度で動作してしまう可能性があり、適正なクッション効果が得られない可能性がある。適正なクッション効果が得られないと、作業機1の操作性が悪化する。
【0118】
特に、アーム12は、掘削動作するとき、アームシリンダ22の動力のみならず、重力の作用(自重)によっても、中間区間から掘削側端部区間に向かって移動する。そのため、ポンプ圧が急激に上昇し易くなるため、アーム流量制御弁42にフローフォースが作用する可能性が高くなる。
【0119】
実施形態においては、クッション制御が実施されるとき、すなわち、アーム12が掘削側端部区間に移動してアームシリンダ22に供給される作動油の流量が少なくなるときに、ブリード弁制御部97は、ブリード弁50の開口率を大きくする。これにより、油圧ポンプ32から吐出された作動油の少なくとも一部は、ブリード弁50を介してタンク35に排出される。そのため、ポンプ圧が急激に上昇することが抑制される。したがって、アーム流量制御弁42にフローフォースが作用することが抑制され、適正なクッション効果が得られる。適正なクッション効果が得られるので、作業機1の操作性の悪化が抑制される。
【0120】
なお、図9に示す例においては、ブリード弁制御部97は、アーム12がダンプ側端部区間に存在し、かつアーム12がダンプ側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、操作装置5の操作指令と第2相関データとに基づいて、第2制御指令を出力する。なお、ブリード弁制御部97は、アーム12がダンプ側端部区間に存在し、かつアーム12がダンプ側の端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定された場合、タンク35に排出される作動油の流量が、操作装置5の操作指令により指定された流量よりも多くなるように、第2制御指令を出力してもよい。また、図9に示す例においては、操作装置5の操作量が100[%]の場合の指令電流値を示した。操作量が100[%]以外の場合、指令電流値は、図9に示した値よりも小さい値となる。
【0121】
図10は、実施形態に係る作業機要素及び油圧シリンダ2の動作を説明するための図である。図10を用いる説明においては、作業機要素がアーム12であり油圧シリンダ2がアームシリンダ22である例について説明する。
【0122】
図10は、操作装置5の操作量が100[%]のときのアーム12の可動範囲における位置と作動油の流量との関係を示す。また、図10は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下であるときのアーム12の可動範囲における位置と作動油の流量との関係を示す。
【0123】
アーム圧力センサ62は、アームシリンダ22から排出された作動油の圧力を検出する。圧力データ取得部93は、アーム圧力センサ62の検出データを取得する。ブリード弁制御部97は、圧力データ取得部93により取得されたアーム圧力センサ62の検出データに基づいて、ブリード弁50に第2制御指令を出力する。
【0124】
ブリード弁制御部97は、アーム圧力センサ62の検出データに基づいて、圧力判定部95によりアームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下であると判定された場合、アーム12が端部区間に存在するとストロークエンド判定部94に判定され、かつ操作指令取得部91によりアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定されても、ブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように、第2制御指令を出力する。
【0125】
ブリード弁制御部97は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下であると判定された場合、アーム12が端部区間に存在し、かつアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定されても、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値を上回ると判定されたときにブリード弁50からタンク35に排出される作動油の流量よりも少なくなるように、第2制御指令を出力する。ブリード弁制御部97は、ブリード弁50の開口率が例えば0[%]になるように、第2制御指令を出力する。
【0126】
例えば、作業機1を用いる作業を実施する前に、作動油を暖める処理が実施される場合がある。作動油を暖める処理は、アームシリンダ22を含む全ての油圧シリンダ2のロッドをストロークエンドに配置し、アーム流量制御弁42を含む全ての流量制御弁40を停止位置P3に配置した状態で、油圧ポンプ32を駆動させて、作動油を油圧ポンプ32と排出流路33Bとタンク35との間で循環させる処理を含む。したがって、作動油を暖める処理を実施する場合、排出流路33Bに配置されるリリーフ弁56が開くように、ポンプ圧を上昇させる必要がある。作動油を暖める処理を実施するときに、ブリード弁50が開いていると、ポンプ圧を上昇させることが困難となる。
【0127】
作動油を暖める処理が実施されるとき、流量制御弁40が停止位置P3に配置される。そのため、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力は低下し、例えばタンク35の圧力と同等になる。ブリード弁制御部97は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下であると判定された場合、ブリード弁50を閉じるように、第2制御指令を出力する。ブリード弁50が閉じることにより、作動油を暖める処理を実施する場合において、ポンプ圧は上昇する。そのため、作動油を暖める処理は、円滑に実施される。
【0128】
また、作業機1を用いる作業において、アーム12が掘削側端部区間に配置された状態で、掘削動作を実施する場合、ブリード弁50の開口率が100[%]であると、ポンプ圧が低下し過ぎてしまい、アーム流量制御弁42を介してアームシリンダ22に供給される作動油の流量が不足する可能性がある。その結果、アーム12の掘削力が低下する可能性がある。
【0129】
アームシリンダ22に供給される作動油の流量が不足し、アーム12の掘削力が低下すると、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が低下する。
【0130】
アーム12を掘削側端部区間で動作させるときにおいて、アームシリンダ2から排出される作動油の圧力が閾値以下になり、アーム12の掘削力が低下する可能性があると判定された場合、ブリード弁制御部97は、ブリード弁50を閉じるように、第2制御指令を出力する。ブリード弁50が閉じることにより、ポンプ圧は上昇する。そのため、アーム流量制御弁42を介してアームシリンダ22に作動油が十分に供給される。したがって、アーム12の掘削力の低下が抑制される。
【0131】
[作業機械の制御方法]
図11は、実施形態に係る油圧ショベル100の制御方法を示すフローチャートである。図11を用いる説明においては、主にアーム12及びアームシリンダ22の制御方法について説明する。
【0132】
運転者は、操作装置5を操作して、アームシリンダ22を駆動させる。アームシリンダ22は、アーム12を可動範囲で動作させる。
【0133】
アーム姿勢センサ82は、可動範囲におけるアーム12の姿勢を検出する。姿勢データ取得部92は、アーム姿勢センサ82の検出データを取得する(ステップS11)。アーム圧力センサ62は、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力を検出する。圧力データ取得部93は、アーム圧力センサ62の検出データを取得する(ステップS12)。操作指令取得部91は、操作装置5の操作指令を取得する(ステップS13)。
【0134】
ストロークエンド判定部94は、アーム姿勢センサ82の検出データに基づいて、アーム12が端部区間に存在するか否かを判定する(ステップS20)。
【0135】
ステップS20において、アーム12が端部区間に存在しないと判定された場合(ステップS20:No)、流量制御弁制御部96は、操作装置5の操作指令と第1相関データとに基づいて、アーム12が操作装置5の操作指令に従って動作するように、アーム流量制御弁42に第1制御指令を出力する。また、ブリード弁制御部97は、操作装置5の操作指令と第2相関データとに基づいて、ブリード弁50に第2制御指令を出力する(ステップS30)。
【0136】
ステップS20において、アーム12が端部区間に存在すると判定された場合(ステップS20:Yes)、操作指令取得部91は、アーム12を端部位置に向かって動かす操作指令が操作装置5から出力されているか否かを判定する(ステップS25)。
【0137】
ステップS25において、アーム12を端部位置に向かって動かす操作指令が出力されていないと判定された場合(ステップS35:No)、流量制御弁制御部96は、操作装置5の操作指令と第1相関データとに基づいて、アーム12が操作装置5の操作指令に従って動作するように、アーム流量制御弁42に第1制御指令を出力する。また、ブリード弁制御部97は、操作装置5の操作指令と第2相関データとに基づいて、ブリード弁50に第2制御指令を出力する(ステップS30)。
【0138】
ステップS25において、アーム12を端部位置に向かって動かす操作指令が出力されていると判定された場合(ステップS25:Yes)、流量制御弁制御部96は、アーム流量制御弁42を介してアームシリンダ22に供給される作動油の流量が、操作装置5の操作指令により指定された作動油の流量よりも少なくなるように、アーム流量制御弁42に第1制御指令を出力する(ステップS40)。
【0139】
圧力判定部95は、アーム圧力センサ62の検出データに基づいて、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下か否かを判定する(ステップS50)。
【0140】
ステップS50において、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下ではないと判定された場合(ステップS50:No)、ブリード弁制御部97は、ブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が、操作装置5の操作指令により指定された作動油の流量よりも多くなるように、ブリード弁50に第2制御指令を出力する(ステップS60)。
【0141】
ステップS50において、アームシリンダ22から排出される作動油の圧力が閾値以下である判定された場合(ステップS50:Yes)、ブリード弁制御部97は、アーム12が端部区間に存在し、かつ操作指令取得部91によりアーム12が端部位置に向かうように操作指令が出力されていると判定されても、ブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように、ブリード弁50に第2制御指令を出力する。ブリード弁制御部97は、ブリード弁50の開口率が0[%]になるように、第2制御指令を出力する(ステップS70)。
【0142】
[コンピュータシステム]
図12は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置9は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置9の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0143】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、油圧シリンダ2により作業機要素を可動範囲で動作させることと、可動範囲における作業機要素の姿勢を検出することと、作業機要素の姿勢の検出データに基づいて、作業機要素が可動範囲の端部位置を含む端部区間に存在すると判定した場合、油圧ポンプに接続された第1流路を介して油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整し、第1流路から分岐する第2流路を介してタンクに排出される作動油の流量を調整することと、を実行することができる。
【0144】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、油圧ポンプ32に接続する第1流路33と、第1流路33から分岐する第2流路34とが設けられる。流量制御弁40が第1作動位置P1又は第2作動位置P2に配置されることにより、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第1流路33を介して油圧シリンダ2に供給される。流量制御弁40が停止位置P3に配置されることにより、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、第2流路34を介してタンク35に排出される。油圧ポンプ32から吐出された作動油をタンク35に排出する場合、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、流量制御弁40に供給されることなく、ブリード弁50を介してタンク35に排出される。
【0145】
作業機要素が端部区間に存在する場合、流量制御弁40を介して油圧シリンダ2に供給される作動油の流量を調整する第1制御指令及びブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量を調整する第2制御指令が制御装置9から出力される。第1制御指令が出力されることにより、クッション制御が実施される。油圧シリンダ2に供給される作動油の流量に基づいて適正な流量の作動油がタンク35に排出されるように第2制御指令が出力されることにより、流量制御弁40に作用するフローフォースを抑制することができる。クッション制御において、流量制御弁40にフローフォースが作用することが抑制されるので、適正なクッション効果を得ることができる。適正なクッション効果が得られることにより、作業機1の操作性の悪化が抑制される。
【0146】
作業機要素が端部区間に存在し、かつ作業機要素が端部位置に向かう場合、油圧シリンダ2に供給される作動油の流量が少なくなるように第1制御指令が出力されることにより、適正なクッション効果を得ることができる。油圧シリンダ2に供給される作動油の流量の減少に同期して、タンク35に排出される作動油の流量を増加させることにより、流量制御弁40に作用するフローフォースを効果的に抑制することができる。
【0147】
制御装置9は、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力に基づいて、第2制御指令を出力する。そのため、作業機要素が端部区間に存在する場合において、油圧ポンプ32のポンプ圧を適正な値に調整することができる。
【0148】
制御装置9は、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力が閾値以下である場合、作業機要素が端部区間に存在しても、ブリード弁50を介してタンク35に排出される作動油の流量が少なくなるように、第2制御指令を出力する。これにより、作業機要素を端部区間で動作させる場合において、作業機要素は十分な掘削力を発揮することができる。また、作動油を暖める処理は円滑に実行される。
【0149】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、油圧シリンダ2から排出される作動油の圧力が閾値を上回る場合において、アーム12の掘削動作側の端部区間である掘削側端部区間にアーム12が存在するときに、ブリード弁50の開口率を大きくすることとした。アーム12のダンプ動作側の端部区間であるダンプ側端部区間にアーム12が存在するときに、ブリード弁50の開口率を大きくしてもよい。また、ブーム11の上げ動作側の端部区間及びブーム11の下げ動作側の端部区間の少なくとも一方にブーム11が存在するときに、ブリード弁50の開口率を大きくしてもよい。また、バケット13のダンプ動作側の端部区間及びバケット13の掘削動作側の端部区間の少なくとも一方にバケット13が存在するときに、ブリード弁50の開口率を大きくしてもよい。
【0150】
上述の実施形態においては、作業機械100が油圧ショベルであることとした。作業機械100は、作業機1を有する機械であればよく、ホイールローダでもよいし、ブルドーザでもよい。
【0151】
上述の実施形態においては、油圧シリンダ2に、複数の流量制御弁40から作動油が供給されてもよいこととした。その場合、複数の流量制御弁40の開口率を同じにしてもよいし、流量制御弁40に優先順位を設けて、優先順位の高い流量制御弁40の開口率を大きくするように、開口率を異ならせてもよい。また、それぞれの流量制御弁40に接続する複数の油圧ポンプ32から作動油の吐出量を異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…作業機、2…油圧シリンダ、2A…ボトム室、2B…ロッド室、3…旋回体、4…走行体、4C…履帯、5…操作装置、6…運転室、6S…運転席、7…機械室、8…姿勢センサ、9…制御装置、10…制御システム、11…ブーム、12…アーム、13…バケット、21…ブームシリンダ、22…アームシリンダ、23…バケットシリンダ、30…エンジン、31…動力伝達機構、32…油圧ポンプ、33…第1流路、33A…供給流路、33B…排出流路、34…第2流路、35…タンク、36…ボトム流路、37…ロッド流路、38…排出流路、39…タンク流路、40…流量制御弁、41…ブーム流量制御弁、42…アーム流量制御弁、43…バケット流量制御弁、50…ブリード弁、55…チェック弁、56…リリーフ弁、60…圧力センサ、61…ブーム圧力センサ、62…アーム圧力センサ、63…バケット圧力センサ、81…ブーム姿勢センサ、82…アーム姿勢センサ、83…バケット姿勢センサ、91…操作指令取得部、92…姿勢データ取得部、93…圧力データ取得部、94…ストロークエンド判定部、95…圧力判定部、96…流量制御弁制御部、97…ブリード弁制御部、98…相関データ記憶部、99…閾値記憶部、100…油圧ショベル(作業機械)、Pa…ポンプポート、Pb…ボトムポート、Pc…ロッドポート、Pd…タンクポート、Pe…流入ポート、Pf…流出ポート、P1…第1作動位置、P2…第2作動位置、P3…停止位置、P4…排出位置、P5…停止位置、RX…旋回軸。
図1
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