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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】端末、通信方法、及び、集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04J 13/22 20110101AFI20231219BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20231219BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20231219BHJP
【FI】
H04J13/22
H04W16/28
H04W72/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019535001
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2018022309
(87)【国際公開番号】W WO2019031054
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2017153353
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【合議体】
【審判長】高野 洋
【審判官】丸山 高政
【審判官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】NTT DOCOMO, INC.,DMRS-based vs. Sequence-based PUCCH in short duration[online],3GPP TSG RAN WGl Meeting#88 R1-1702811,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88/Docs/R1-1702811.zip>,2017年02月17日
【文献】Panasonic,Discussion on 1-symbol NR-PUCCH for UCI of up to 2 bits[online],3GPP TSG RAN WG1 NR Ad-Hoc#2 R1-1711649,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1706/Docs/R1-1711649.zip>,2017年06月30日
【文献】Intel Corporation,2-symbol NR PUCCH[online],3GPP TSG RAN WG1 NR Ad-Hoc#2 R1-1710552,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1706/Docs/R1-1710552.zip>,2017年06月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J
H04W
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
12個の巡回シフト系列のうちの一部に制限された、2つの端末に割り当て可能な複数の巡回シフトの中から、上りリンク制御情報に応じて、巡回シフトを決定する回路と、
前記巡回シフトを用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、
を具備する、
端末。
【請求項2】
前記割り当て可能な複数の巡回シフトの数が制限される、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記割り当て可能な複数の巡回シフトの数は、12より小さい、
請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
前記上りリンク制御情報は、1ビット又は2ビットである、
請求項1から3のいずれかに記載の端末。
【請求項5】
前記上りリンク制御情報は、1シンボル又は2シンボルのShort PUCCHで送信される、
請求項1から4のいずれかに記載の端末。
【請求項6】
前記上りリンク制御情報は、ACK及びNACKの少なくとも一つを含み、前記回路は、前記ACK及びNACKの少なくとも一つに応じて、前記巡回シフトを決定する、
請求項1から5のいずれかに記載の端末。
【請求項7】
前記割り当て可能な複数の巡回シフトのそれぞれが、ACK及びNACKの少なくとも一つに対応付けられ、
前記割り当て可能な複数の巡回シフトのうち、隣接する2つの巡回シフトの一方に前記ACKが対応づけられ、他方に前記NACKが対応付けられる、
請求項1から6のいずれかに記載の端末。
【請求項8】
前記割り当て可能な複数の巡回シフトのうち、一つの端末に割り当てられる巡回シフトは、他の端末に割り当てられる巡回シフトに、所定のオフセットを加えたものである、
請求項1から7のいずれかに記載の端末。
【請求項9】
PUCCHリソースに関する情報を受信する受信機、
を具備し、
前記回路は、前記PUCCHリソースに関する情報に基づいて、前記巡回シフトを決定する、
請求項1から8のいずれかに記載の端末。
【請求項10】
前記回路は、初期アクセスの段階に設定された情報に基づいて、前記巡回シフトを決定する、
請求項1から9のいずれかに記載の端末。
【請求項11】
前記回路は、端末固有の信号に基づいて、前記巡回シフトを決定する、
請求項1から10のいずれかに記載の端末。
【請求項12】
12個の巡回シフト系列のうちの一部に制限された、2つの端末に割り当て可能な複数の巡回シフトの中から、上りリンク制御情報に応じて、巡回シフトを決定する工程と、
前記巡回シフトを用いて前記上りリンク制御情報を送信する工程と、
を具備する、
通信方法。
【請求項13】
12個の巡回シフト系列のうちの一部に制限された、2つの端末に割り当て可能な複数の巡回シフトの中から、上りリンク制御情報に応じて、巡回シフトを決定する処理と、
前記巡回シフトを用いて前記上りリンク制御情報を送信する処理と、
を制御する、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルブロードバンドを利用したサービスの普及に伴い、モバイル通信におけるデータトラフィックは指数関数的に増加を続けており、将来に向けてデータ伝送容量の拡大が急務となっている。また、今後はあらゆる「モノ」がインターネットを介してつながるIoT(Internet of Things)の飛躍的な発展が期待されている。IoTによるサービスの多様化を支えるには、データ伝送容量だけではなく、低遅延性及び通信エリア(カバレッジ)などのさまざまな要件について、飛躍的な高度化が求められる。こうした背景を受けて、第4世代移動通信システム(4G: 4th Generation mobile communication systems)と比較して性能及び機能を大幅に向上する第5世代移動通信システム(5G)の技術開発・標準化が進められている。
【0003】
3GPP(Third Generation Partnership Project)では、5Gの標準化において、LTE(Long Term Evolution)-Advanced(例えば、非特許文献1-3を参照)とは必ずしも後方互換性を持たない新しい無線アクセス技術(NR: New Radio)の技術開発を進めている。
【0004】
NRでは、端末(UE:User Equipment)が上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)を用いて、下りリンクデータの誤り検出結果を示す応答信号(ACK/NACK:Acknowledgement/Negative Acknowledgment又はHARQ-ACK)、下りリンクのチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)、及び、上りリンクの無線リソース割当要求(SR:Scheduling Request)等の上りリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)を基地局(eNG又はgNB)へ送信することが検討されている。
【0005】
また、NRでは、1~2ビットのUCIをPUCCHに含めて送信することが検討されている。
【0006】
また、NRでは、1スロット内の1シンボル又は2シンボルを用いてPUCCHを送信する「Short PUCCH」と、3シンボル以上(例えば、最小シンボル数を4シンボルとしてもよい)を用いてPUCCHを送信する「Long PUCCH」とがサポートされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.211 V13.4.0, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation (Release 13),"December 2016.
【文献】3GPP TS 36.212 V13.4.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding (Release 13)," December 2016.
【文献】3GPP TS 36.213 V13.4.0, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 13),"December 2016.
【文献】R1-1612228, "Proposal of subcell," Panasonic, RAN1#87, Nov. 2016.
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、1~2ビットのUCIを含むPUCCHにおいて干渉を制御する方法について十分に検討がなされていない。
【0009】
本開示の一態様は、1~2ビットのUCIを含むPUCCHにおいて干渉を適切に制御することができる端末及び通信方法の提供に資する。
【0010】
本開示の一態様に係る端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記系列は、端末が属するセルを識別するセル識別情報、及び、前記セルに含まれる少なくとも1つのサブセルに関するサブセル固有情報を用いて決定される。
【0011】
本開示の一態様に係る端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記上りリンク制御チャネルの1つのリソースブロック内に割り当て可能な前記系列の最大数が制限される。
【0012】
本開示の一態様に係る端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記上りリンク制御情報には、少なくともACK及びNACKが含まれ、前記系列に用いられる巡回シフトは、前記ACKに割り当てられる巡回シフトを含む第1領域と、前記NACKに割り当てられる巡回シフトを含む第2領域とに分離される。
【0013】
本開示の一態様に係る通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記系列は、端末が属するセルを識別するセル識別情報、及び、前記セルに含まれる少なくとも1つのサブセルに関するサブセル固有情報を用いて決定される。
【0014】
本開示の一態様に係る通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記上りリンク制御チャネルの1つのリソースブロック内に割り当て可能な前記系列の最大数が制限される。
【0015】
本開示の一態様に係る通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記上りリンク制御情報には、少なくともACK及びNACKが含まれ、前記系列に用いられる巡回シフトは、前記ACKに割り当てられる巡回シフトを含む第1領域と、前記NACKに割り当てられる巡回シフトを含む第2領域とに分離される。
【0016】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0017】
本開示の一態様によれば、1~2ビットのUCIを含むPUCCHにおいて干渉を適切に制御することができる。
【0018】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、sequence selection方式の一例を示す。
図2図2は、実施の形態1に係る端末の一部の構成を示す。
図3図3は、実施の形態1に係る基地局の構成を示す。
図4図4は、実施の形態1に係る端末の構成を示す。
図5図5は、実施の形態1に係る端末の処理を示す。
図6図6は、実施の形態1に係るsubcell IDを用いて系列IDを決定する方法の一例を示す。
図7図7は、実施の形態1に係るbeam IDを用いて系列IDを決定する方法の一例を示す。
図8図8は、実施の形態1に係るランダムアクセスリソースを用いて系列IDを決定する方法の一例を示す。
図9図9は、実施の形態2に係る1ビットUCIの巡回シフトパターンの決定例を示す。
図10図10は、実施の形態2に係る2ビットUCIの巡回シフトパターンの決定例を示す。
図11A図11Aは、実施の形態3に係る1ビットUCIの巡回シフトパターンの決定例を示す。
図11B図11Bは、実施の形態3に係る2ビットUCIの巡回シフトパターンの決定例を示す。
図12A図12Aは、実施の形態4に係るUCIのマッピング例を示す。
図12B図12Bは、実施の形態4に係るUCIのマッピング例を示す。
図13図13は、実施の形態4に係る1ビットUCIのマッピング例を示す。
図14図14は、実施の形態4に係る2ビットUCIのマッピング例を示す。
図15図15は、実施の形態5に係る1ビットUCIのマッピング例を示す。
図16図16は、実施の形態5に係る2ビットUCIのマッピング例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、Short PUCCHでは、1ビット又は2ビットのUCI、及び、SRの有無に基づいて、Short PUCCHの送信に使用される系列を選択する方法(以下、Sequence selection方式と呼ぶ)が検討されている。図1では、ACK/NACK及びSRの有無の組み合わせは、巡回シフト(巡回シフト量)に対応付けられている。例えば、図1に示すように、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto Correlation)符号系列又はCG(Computer Generated)系列の巡回シフトを系列選択に用いることができる。
【0022】
CAZAC符号系列又はCG系列からなるShort PUCCHを用いる際、異なる端末からそれぞれ送信されるPUCCHに用いられる系列(PUCCH系列と呼ぶこともある)が互いに異なる場合でも、それらの端末のPUCCH送信は完全には直交しないため、系列間の相互相関特性により干渉が生じる。例えば、セル間において異なる系列が割り当てられた場合に生じる干渉は「セル間干渉」となる。
【0023】
また、異なる端末から送信されるPUCCHに用いられる系列が同じである場合に、それらの端末から送信されるPUCCHに用いられる巡回シフトが互いに異なる場合、それらの端末間でPUCCH送信における時間及び周波数が同期していれば、それらの端末のPUCCH送信は完全に直交する。一方で、端末間の送信タイミングずれ又は周波数選択性フェージングチャネル等による影響がある場合には、各端末から送信されるPUCCHに用いられる系列が同じであり、かつ巡回シフトが異なる場合でも干渉が発生する。
【0024】
Short PUCCHに対しては、上述した干渉の影響を考慮した方がよい。
【0025】
ここで、LTEでは、30個のCG系列が定義されている。また、セル毎のPUCCHはセルを識別する識別情報(以下、「セルID」と呼ぶ)によって区別されている。セルIDが異なると、PUCCHに用いられるCG系列が異なる。
【0026】
また、LTEでは、干渉の影響をランダム化するために、ホッピングパターンに基づく、PUCCH用のCG系列の割り当て又はPUCCH用の巡回シフトパターンの決定が適用されている。セルIDが異なるとホッピングパターンを決定するランダム系列の初期値が異なる。また、LTEでは、PUCCHの信号系列を生成するための仮想的なセルIDを用いて、異なるセル間で同一のセルIDを設定することにより、CoMP(Coordinated Multiple Point transmission and reception)等セル間が同期している場合の干渉制御を行うことができる(例えば、非特許文献1を参照)。
【0027】
ところで、NRでは、同一セル内に複数のTRP(Transmission and Reception Point)が含まれる場合が想定される。この場合、同一セル内において異なるTRPと通信している端末からそれぞれ送信されるPUCCHに対しては、異なるPUCCHリソース(巡回シフト、時間又は周波数リソース)を用いることにより互いを区別する必要がある。
【0028】
しかしながら、上述したようなセルIDに基づくPUCCH系列の割り当てでは、異なるTRPと通信している端末のPUCCH送信に必要なPUCCHリソースが増加し、セル内の上りリンクの周波数利用効率が低下してしまう。
【0029】
また、上述したような仮想的なセルIDを用いて異なるTRPと通信している端末に異なるセルIDを割り当てることにより、セル内のPUCCHリソースを異なるCG系列に分散することもできる。しかしながら、仮想的なセルIDは、初期アクセス完了後に、端末固有の上位レイヤ信号を用いて通知される。このため、初期アクセス段階のPUCCH送信(例えば、message4に対するACK/NACK応答)では、仮想的なセルIDではなく、セルIDに基づくPUCCH系列の割り当てが必要になる。
【0030】
本開示の一態様では、Short PUCCHを送信する無線通信システムにおいて、干渉の影響を低減できる方法について説明する。
【0031】
以下、各実施の形態について、詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100及び端末200を備える。
【0033】
図2は、本開示の各実施の形態に係る端末200の一部の構成を示すブロック図である。図2に示す端末200において、制御部209は、上りリンク制御情報(UCI)に応じて、上りリンク制御チャネル(PUCCH)に用いられる系列(PUCCH系列)を決定し、送信部214は、上記系列を用いて上りリンク制御情報を送信する。ここで、上記系列は、端末200が属するセルを識別するセル識別情報(セルID)、及び、セルに含まれる少なくとも1つのサブセルに関するサブセル固有情報を用いて算出される。
【0034】
[基地局の構成]
図3は、本開示の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。図3において、基地局100は、制御部101と、データ生成部102と、符号化部103と、再送制御部104と、変調部105と、上位制御信号生成部106と、符号化部107と、変調部108と、下り制御信号生成部109と、符号化部110と、変調部111と、信号割当部112と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部113と、送信部114と、アンテナ115と、受信部116と、FFT(Fast Fourier Transform)部117と、抽出部118と、SR検出部119と、PUCCH復調・復号部120と、判定部121と、を有する。
【0035】
制御部101は、下りリンク信号(例えば、PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)に対する無線リソース割当を決定し、下りリンク信号のリソース割当を指示する下りリソース割当情報を下り制御信号生成部109及び信号割当部112へ出力する。
【0036】
また、制御部101は、下りリンク信号に対するHARQ-ACK信号及びSRの有無に応じたPUCCHリソース(時間、周波数、系列など)割当を決定し、PUCCHリソース割当に関する情報(PUCCHリソース割当情報)を上位制御信号生成部106(又は、下り制御信号生成部109)、及び、抽出部118へ出力する。
【0037】
このとき、制御部101は、PUCCHリソースとして、PUCCHの系列番号又は巡回シフトパターンをそれぞれ決定する。なお、PUCCHリソースの決定方法の詳細については後述する。
【0038】
データ生成部102は、端末200に対する下りリンクデータを生成し、符号化部103へ出力する。
【0039】
符号化部103は、データ生成部102から入力される下りリンクデータに対して誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ信号を再送制御部104へ出力する。
【0040】
再送制御部104は、初回送信時には、符号化部103から入力される符号化後のデータ信号を保持するとともに、変調部105へ出力する。また、再送制御部104は、後述する判定部121から、送信したデータ信号に対するNACKが入力されると、対応する保持データを変調部105へ出力する。一方、再送制御部104は、判定部121から、送信したデータ信号に対するACKが入力されると、対応する保持データを削除する。
【0041】
変調部105は、再送制御部104から入力されるデータ信号を変調して、データ変調信号を信号割当部112へ出力する。
【0042】
上位制御信号生成部106は、制御部101から入力される制御情報(例えば、PUCCHリソース割当情報等)を用いて、制御情報ビット列を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部107へ出力する。
【0043】
符号化部107は、上位制御信号生成部106から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部108へ出力する。
【0044】
変調部108は、符号化部107から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0045】
下り制御信号生成部109は、制御部101から入力される制御情報(例えば、下りリソース割当情報、PUCCHリソース割当情報等)を用いて、下り制御情報ビット列(例えば、DCI:Downlink Control Information)を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部110へ出力する。なお、制御情報が複数の端末向けに送信されることもあるため、下り制御信号生成部109は、各端末向けの制御情報に、各端末の端末IDを含めてビット列を生成してもよい。
【0046】
符号化部110は、下り制御信号生成部109から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部111へ出力する。
【0047】
変調部111は、符号部110から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0048】
信号割当部112は、変調部105から入力されるデータ信号を、制御部101から入力される下りリソース割当情報に示される無線リソースにマッピングする。また、信号割当部112は、変調部108又は変調部111から入力される制御信号を無線リソースにマッピングする。信号割当部112は、信号がマッピングされた下りリンクの信号をIFFT部113へ出力する。
【0049】
IFFT部113は、信号割当部112から入力される信号に対して、OFDM等の送信波形生成処理を施す。IFFT部113は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。IFFT部113は、生成した送信波形を送信部114へ出力する。
【0050】
送信部114は、IFFT部113から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ115を介して端末200に無線信号を送信する。
【0051】
受信部116は、アンテナ115を介して受信された端末200からの上りリンク信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、受信処理後の上りリンク信号波形をFFT部117に出力する。
【0052】
FFT部117は、受信部116から入力される上りリンク信号波形に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部117は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部118へ出力する。
【0053】
抽出部118は、制御部101から受け取る情報(PUCCHリソース割当情報等)に基づいて、FFT部117から入力される信号から、SR又はHARQ-ACKに対するPUCCHの無線リソース部分を抽出し、抽出した無線リソースの成分をSR検出部119及びPUCCH復調・復号部120へそれぞれ出力する。
【0054】
SR検出部119は、抽出部118から入力される信号に対して電力検出を行い、SRの有無を検出する。また、SR検出部119は、SRが有り、かつHARQ-ACKがSRリソースで送信されていることを検出した場合、抽出部118から入力される信号をPUCCH復調・復号部120へ出力する。
【0055】
PUCCH復調・復号部120は、抽出部118又はSR検出部119から入力されるPUCCH信号に対して、等化、復調、復号又は電力検出を行い、復号後のビット系列又は電力検出後の信号を判定部121へ出力する。
【0056】
判定部121は、PUCCH復調・復号部120から入力されるビット系列又は電力検出後の信号に基づいて、端末200から送信されたHARQ-ACK信号が、送信したデータ信号に対してACK又はNACKのいずれを示しているかを判定する。判定部121は、判定結果を再送制御部104に出力する。
【0057】
[端末の構成]
図4は、本開示の実施の形態1に係る端末200の構成を示すブロック図である。図40において、端末200は、アンテナ201と、受信部202と、FFT部203と、抽出部204と、下り制御信号復調部205と、上位制御信号復調部206と、下りデータ信号復調部207と、誤り検出部208と、制御部209と、SR生成部210と、HARQ-ACK生成部211と、信号割当部212と、IFFT部213と、送信部214と、を有する。
【0058】
受信部202は、アンテナ201を介して受信された基地局100からの下りリンク信号(データ信号及び制御信号)の信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、得られる受信信号(ベースバンド信号)をFFT部203に出力する。
【0059】
FFT部203は、受信部202から入力される信号(時間領域信号)に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部203は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部204へ出力する。
【0060】
抽出部204は、制御部209から入力される制御情報に基づいて、FFT部203から入力される信号から、下り制御信号を抽出し、下り制御信号復調部205へ出力する。また、抽出部204は、制御部209から入力される制御情報に基づいて、上位制御信号及び下りデータ信号を抽出し、上位制御信号を上位制御信号復調部206へ出力し、下りデータ信号を下りデータ信号復調部207へ出力する。
【0061】
下り制御信号復調部205は、抽出部204から入力される下り制御信号をブラインド復号して、自機宛ての制御信号であると判断した場合、当該制御信号を復調して制御部209へ出力する。
【0062】
上位制御信号復調部206は、抽出部204から入力される上位制御信号を復調し、復調後の上位制御信号を制御部209へ出力する。
【0063】
下りデータ信号復調部207は、抽出部204から入力される下りデータ信号を復調・復号し、復号後の下りリンクデータを誤り検出部208へ出力する。
【0064】
誤り検出部208は、下りデータ信号復調部207から入力される下りリンクデータに対して誤り検出を行い、誤り検出結果をHARQ-ACK生成部211へ出力する。また、誤り検出部208は、誤り検出の結果、誤り無しと判定した下りリンクデータを受信データとして出力する。
【0065】
制御部209は、下り制御信号復調部205から入力される制御信号に示される下りリソース割当情報に基づいて、下りデータ信号に対する無線リソース割当を算出し、算出した無線リソース割当を示す情報を抽出部204へ出力する。
【0066】
また、制御部209は、上位制御信号復調部206から入力される上位制御信号又は下り制御信号復調部205から入力される制御信号に示される、SR及びHARQ-ACKに対するPUCCHのリソース割当に関するPUCCHリソース割当情報に基づいて、SR及びHARQ-ACKを送信するPUCCHリソースを算出する。そして、制御部209は、算出したPUCCHリソースに関する情報を信号割当部212へ出力する。
【0067】
また、制御部209は、後述する方法により、端末200が実際にSR及びHARQ-ACKを送信するPUCCHに対する時間・周波数リソース及び系列を決定し、決定した情報を信号割当部212及び送信部214へ出力する。
【0068】
SR生成部210は、端末200が上りリンク伝送に対する無線リソースの割当を基地局100に要求する場合にSRを生成し、生成したSR信号を信号割当部212へ出力する。
【0069】
HARQ-ACK生成部211は、誤り検出部208から入力される誤り検出結果に基づいて、受信した下りリンクデータに対するHARQ-ACK信号(ACK又はNACK)を生成する。HARQ-ACK生成部211は、生成したHARQ-ACK信号(ビット系列)を信号割当部212へ出力する。
【0070】
信号割当部212は、SR生成部210から入力されるSR信号、又は、HARQ-ACK生成部211から入力されるHARQ-ACK信号を、制御部209から指示される無線リソースにマッピングする。信号割当部212は、信号がマッピングされた上りリンク信号(例えば、上りリンク制御情報(UCI))をIFFT部213へ出力する。
【0071】
IFFT部213は、信号割当部212から入力される信号に対して、OFDM等の送信波形生成処理を施す。IFFT部213は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。または、IFFT部213がシングルキャリア波形を生成する場合には、信号割当部212の前段にDFT(Discrete Fourier Transform)部が追加されてもよい(図示せず)。IFFT部213は、生成した送信波形を送信部214へ出力する。
【0072】
送信部214は、IFFT部213から入力される信号に対して、制御部209から入力される情報に基づく送信電力制御、D/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ201を介して基地局100に無線信号を送信する。
【0073】
[基地局100及び端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作について詳細に説明する。
【0074】
図5は、本実施の形態に係る端末200の処理のフローを示す。
【0075】
本実施の形態では、PUCCH系列(例えば、CG系列)の系列番号(系列ID)は、セルIDに加えて、追加の識別情報(識別ID)を用いて決定される。
【0076】
例えば、追加の識別情報は、サブセルに関連する情報(例えば、サブセルを識別するサブセルID)、ビームフォーミングを適用する無線通信システムではビームに関する情報(例えば、ビームを識別するビームID)、又は、初期アクセス(ランダムアクセス)に関連する情報等を用いてもよい。以下では、追加の識別情報を、サブセルに固有の情報である「サブセル固有情報」と呼ぶ。
【0077】
なお、「サブセル」とは、後述する図6に示すように、例えば、1つのセル内において1つまたは複数のTRP毎に形成されるセルである(例えば、非特許文献4を参照)。また、サブセルは、1つのセル(またはTRP)に形成される1つまたは複数ビーム毎に形成されるセルとすることもできる。また、サブセルは、1つのセル(またはTRP)でシステム帯域内に複数の異なるNumerologyを持つサブバンドが形成される場合、それぞれのサブバンド毎に形成されるセルとすることもできる。また、サブセルは、セル内のカバレッジに応じて設定されるセルとすることもできる。
【0078】
また、ランダムアクセスに関連する情報としては、例えば、ネットワークが端末200に対してランダムアクセスを要求する「PDCCH order」によって通知されるランダムアクセスリソースに関する情報でもよく、端末200からランダムアクセス手順が開始された場合には、端末200が実際に用いたランダムアクセスリソース(時間、周波数、符号系列)に関する情報でもよい。
【0079】
端末200は、端末200が属するセル(基地局100)のセルID、及び、サブセル固有情報を特定する(ST101)。例えば、端末200は、端末200と通信を行うTRPに対応するサブセルID(端末200が接続するサブセルのサブセルID)、端末200が通信に使用するビームのビームID、及び、端末200が通信に使用するランダムアクセスリソースを示す情報のうち少なくとも1つを特定する。
【0080】
次に、端末200は、セルID及びサブセル固有情報を用いて、PUCCH系列の系列番号を算出するための識別情報(以下、PUCCHに用いる識別IDと呼ぶ)を算出する(ST102)。そして、端末200は、算出したPUCCHに用いる識別IDに基づいて、PUCCHリソース(PUCCH系列の系列番号)を決定する。
【0081】
そして、端末200は、決定したPUCCHリソースにUCI(HARQ-ACK、SR等)を割り当て(ST103)、PUCCHを基地局100へ送信する(ST104)。
【0082】
上述したように、LTEでは、セルIDが異なると、PUCCH系列のホッピングパターンを決定するランダム系列の初期値が異なる。本実施の形態でも、LTEと同様、セルID及びサブセル固有情報に基づいて決定されるPUCCHに用いる識別IDが異なると、PUCCH系列のホッピングパターンを決定するランダム系列の初期値が異なり、PUCCH系列が異なる。
【0083】
すなわち、同一セル内(つまり、同一セルIDを用いる場合)の異なるTRPに対応するサブセル固有情報が互いに異なれば、これらの異なるTRPとの通信において使用されるPUCCH系列の系列番号を決定するための識別ID(セルID及びサブセル固有情報に基づいて決定する値)はそれぞれ異なり、PUCCH系列の系列番号を異ならせることができる。
【0084】
したがって、同一セル内で複数のTRPが運用されているような環境においても、異なるTRPと通信する端末200間では、異なるホッピングパターン(異なる系列番号)に基づいてPUCCH系列の割り当てを行うことができる。このため、各端末200からそれぞれ送信されるPUCCHにおいて、同一のPUCCH系列が連続して衝突したり、衝突する複数の系列が常に同一であり干渉に偏りが生じたりすることを防止することができる。つまり、Short PUCCHの送信において干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することにより、システム性能を向上することができる。
【0085】
次に、ある時間単位nにおいて割り当てられるPUCCH系列の系列番号iの決定方法の一例について具体的に説明する。
【0086】
ここでは、例えば、式(1)に従って、PUCCH系列の系列番号iが決定される。
i = f(n) mod Nsequence (1)
【0087】
式(1)において、f(n)はホッピングパターンである。f(n)は、例えば、非特許文献1の5.5.1.3節に示されるように、擬似ランダム系列を用いて生成される。また、Nsequenceは、PUCCH用に用意された系列数である(例えば、LTEでは30個)。
【0088】
また、f(n)の生成に使用される擬似ランダム系列の生成方法は、例えば、非特許文献1の7.2節に規定されている。擬似ランダム系列は、例えば、式(2)の初期値cintに従って、ある時間区間毎に初期化される。式(2)において、初期値cintが異なれば、生成される擬似ランダム系列は異なる。
【数1】
【0089】
式(2)において、nIDは、上述したPUCCHに用いる識別IDである。PUCCHに用いる識別ID(nID)は、端末固有の上位レイヤ信号によって端末200へ通知されてもよく、以下に示すようにセルID(nID cell)とサブセル固有情報(nID subcell、nID beam、norder RA、及び、nindex RAの少なくとも1つ)を用いて端末200で設定されてもよい。
nID= nID cell + nID subcell
nID= nID cell + nID beam
nID= nID cell + norder RA
nID= nID cell + nindex RA
【0090】
nID subcellはサブセルIDを示し、nID beamはビームIDを示し、norder RAはネットワークが端末200に対してランダムアクセスを要求するPDCCH orderにおいて通知されるランダムアクセスリソースに関する情報を示し、nindex RAは端末200が実際に用いたランダムアクセスリソース(時間、周波数、符号系列)の番号を示す。また、PUCCHに用いる識別IDは、上述したサブセル固有情報を複数用いて設定されてもよい。
【0091】
また、PUCCH系列をホッピングする時間単位nについては、シンボル単位、スロット単位、サブフレーム単位等などが一例として挙げられる。また、擬似ランダム系列を初期化する時間区間については、複数シンボル単位、スロット単位、複数スロット単位、サブフレーム単位、複数サブクレーム単位、無線フレーム単位等が一例として挙げられる。
【0092】
図6図7及び図8は、一例として、サブセル、ビーム及びランダムアクセスリソース(RAリソース)によって、PUCCHに用いる識別IDが設定される様子をそれぞれ示す。
【0093】
図6図7及び図8に示すように、端末200に対するPUCCHに用いる識別ID(nID)の設定に用いられるセルIDは、何れもセルAのセルID(nID cell A)である。
【0094】
例えば、図6に示すように、端末200は、サブセル1(サブセルID:nID subcell 1)に対応するTRP、サブセル2(サブセルID:nID subcell 2)に対応するTRP、及び、サブセル3(サブセルID:nID subcell 3)に対応するTRPのうち、端末200が通信するTRPに応じて、PUCCHに用いる識別ID(nID)を設定する。図6において、nID(subcell1)、nID(subcell2)、nID(subcell3)は互いに異なる値である。
【0095】
また、例えば、図7に示すように、端末200は、ビーム1(ビームID:nID beam 1)、ビーム2(ビームID:nID beam 2)、及び、ビーム3(ビームID:nID beam 3)のうち、端末200とTRPとの間の通信において使用されるビームに応じて、PUCCHに用いる識別ID(nID)を設定する。図7において、nID(beam1)、nID(beam2)、nID(beam3)は互いに異なる値である。
【0096】
また、例えば、図8に示すように、端末200は、RAリソース1(nID RA1)、RAリソース2(nID RA2)、及び、RAリソース3(nID RA3)のうち、端末200が通信するTRPとの間において実際に使用されたランダムアクセスリソースに応じて、PUCCHに用いる識別ID(nID)を設定する。図8において、nID(RA1)、nID(RA2)、nID(RA3)は互いに異なる値である。
【0097】
また、基地局100は、端末200と同様、端末200が通信するTRPに対応するサブセル固有情報を用いて、端末200から送信されるPUCCHが割り当てられるPUCCHリソース(PUCCH系列の系列番号)を特定する。そして、基地局100は、決定したPUCCHリソースで送信されたPUCCH(UCI)を受信する。
【0098】
このように、本実施の形態では、端末200は、UCI(ACK、NACK又はSR等)に応じて、PUCCHに用いられる系列(PUCCH系列)を決定し、PUCCH系列を用いてUCIを送信する。この際、PUCCH系列は、端末200が属するセルのセルID、及び、サブセル固有情報を用いて算出される。具体的には、サブセル固有情報は、PUCCH系列の系列番号のホッピングパターンに用いられる擬似ランダム系列の初期値の算出に使用される。
【0099】
例えば、図6図7図8に示すように、同一セル内(同一セルID(nID cell A))であっても、端末200は、端末200が通信するTRP(又はサブセル)に固有のサブセル固有情報を用いてPUCCH系列を決定することにより、同一セル内において異なるTRPと通信している端末200からそれぞれ送信されるPUCCHに対して、異なるPUCCHリソースを割り当てて互いを区別することができる。
【0100】
よって、本実施の形態によれば、同一セル内で複数のTRPが運用されているような環境でも、Short PUCCHの送信において干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することができる。すなわち、本実施の形態によれば、1~2ビットのUCIを含むPUCCHにおいて干渉を適切に制御することができる。
【0101】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0102】
実施の形態1では、サブセル固有情報に基づいて決定されるPUCCHリソースとして、PUCCH系列の系列番号iの設定方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、PUCCHリソースとして、PUCCH(PUCCH系列)の巡回シフトパターン(つまり、各UCI(ACK/NACK、SR)と系列(巡回シフト)とのマッピング)の設定方法について説明する。
【0103】
本実施の形態では、実施の形態1と同様にして、PUCCHの巡回シフトパターンは、セルIDに加えて、サブセル固有情報を用いて決定される。
【0104】
実施の形態1と同様、サブセル固有情報は、例えば、サブセルID、ビームID、又は、初期アクセス(ランダムアクセス)に関連する情報等を用いてもよい。また、実施の形態1と同様、ランダムアクセスに関連する情報としては、例えば、ネットワークが端末200に対してランダムアクセスを要求する「PDCCH order」によって通知されるランダムアクセスリソースに関する情報でもよく、端末200が実際に用いたランダムアクセスリソース(時間、周波数、符号系列)に関する情報でもよい。
【0105】
すなわち、端末200は、端末200が属するセル(基地局100)のセルID、及び、サブセル固有情報を特定し(図5に示すST101)、セルID及びサブセル固有情報を用いて、PUCCH系列(巡回シフトパターン)を算出するための識別情報(PUCCHに用いる識別ID)を算出し(図5に示すST102)、算出したPUCCHに用いる識別IDに基づいて、PUCCHリソース(PUCCHの巡回シフトパターン)を決定する。そして、端末200は、決定したPUCCHリソースにUCI(HARQ-ACK及び/又はSR)を割り当て(図5に示すST103)、PUCCHを基地局100へ送信する(図5に示すST104)。
【0106】
上述したように、LTEでは、セルIDが異なると、PUCCHの巡回シフトパターンに用いられるホッピングパターンを決定するランダム系列の初期値が異なる。本実施の形態でも、LTEと同様、セルID及びサブセル固有情報に基づいて決定されるPUCCHに用いる識別IDが異なると、上記ホッピングパターンを決定するランダム系列の初期値が異なり、巡回シフトパターンが異なる。
【0107】
すなわち、端末200は、通信するTRPに対応するサブセル固有情報に応じて、PUCCHに用いる巡回シフトパターンをシフトする。これにより、同一セル内(つまり、同一セルIDを用いる場合)の異なるTRPに対応するサブセル固有情報が互いに異なれば、これらの異なるTRPとの通信において使用されるPUCCHの巡回シフトパターンを決定するための識別ID(セルID及びサブセル固有情報に基づいて決定する値)はそれぞれ異なり、巡回シフトパターンを異ならせることができる。
【0108】
したがって、同一セル内で複数のTRPが運用されているような環境においても、異なるTRPと通信する端末200間では、異なるホッピングパターン(異なる巡回シフトパターン)に基づいてPUCCH系列の割り当てを行うことができる。このため、各端末200からそれぞれ送信されるPUCCHにおいて、同一の巡回シフトパターンが連続して衝突したり、衝突する複数の巡回シフトパターンが常に同一であり干渉に偏りが生じたりすることを防止することができる。つまり、Short PUCCHの送信において干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することにより、システム性能を向上することができる。
【0109】
次に、ある時間単位nにおいて割り当てられるPUCCHの巡回シフトパターンの決定方法の一例について具体的に説明する。
【0110】
なお、巡回シフトパターンは、例えば、図9(1ビットUCIの場合)及び図10(2ビットUCIの場合)に示すように、巡回シフトのオフセットとして与えられてもよい。例えば、図9の右側の巡回シフトパターンは、図9の左側の巡回シフトパターンに対してオフセット2を加えたパターンである。また、図10の右側の巡回シフトパターンは、図10の左側の巡回シフトパターンに対してオフセット7を加えたパターンである。
【0111】
PUCCHの巡回シフトパターンは、例えば、非特許文献1の5.4節に示されているように、擬似ランダム系列を用いて生成される。擬似ランダム系列の生成方法は、例えば、非特許文献1の7.2節に規定されている。具体的には、擬似ランダム系列は、式(3)の初期値cintに従って、ある時間区間毎に初期化される。式(3)において、初期値cintが異なれば、生成される擬似ランダム系列は異なる。
cint=nID (3)
【0112】
式(3)において、nIDは、上述したPUCCHに用いる識別情報である。式(3)において、PUCCHに用いる識別ID(nID)は、端末固有の上位レイヤ信号によって端末200へ通知されてもよく、以下に示すようにセルID(nID cell)とサブセル固有情報(nID subcell、nID beam、norder RA、及び、nindex RAの少なくとも1つ)を用いて端末200で設定されてもよい。
nID= nID cell + nID subcell
nID= nID cell + nID beam
nID= nID cell + norder RA
nID= nID cell + nindex RA
【0113】
nID subcellはサブセルIDを示し、nID beamはビームIDを示し、norder RAはネットワークが端末200に対してランダムアクセスを要求するPDCCH orderにおいて通知されるランダムアクセスリソースに関する情報を示し、nindex RAは端末200が実際に用いたランダムアクセスリソース(時間、周波数、符号系列)の番号を示す。また、PUCCHに用いる識別IDは、上述したサブセル固有情報を複数用いて設定されてもよい。
【0114】
また、PUCCHの巡回シフトパターンをホッピングする時間単位nについては、シンボル単位、スロット単位、サブフレーム単位等などが一例として挙げられる。また、擬似ランダム系列を初期化する時間区間については、複数シンボル単位、スロット単位、複数スロット単位、サブフレーム単位、複数サブクレーム単位、無線フレーム単位等が一例として挙げられる。
【0115】
このように、本実施の形態では、端末200は、UCI(ACK、NACK又はSR等)に応じて、PUCCHに用いられる系列(PUCCH系列)を決定し、PUCCH系列を用いてUCIを送信する。この際、PUCCH系列は、端末200が属するセルのセルID、及び、サブセル固有情報を用いて算出される。具体的には、サブセル固有情報は、PUCCH系列に用いられる巡回シフトパターンのホッピングに用いられる擬似ランダム系列の初期値の算出に使用される。
【0116】
例えば、同一セル内(同一セルID)であっても、端末200は、端末200が通信するTRP(又はサブセル)に固有のサブセル固有情報を用いてPUCCH系列の巡回シフトパターンを決定することにより、同一セル内において異なるTRPと通信している端末200からそれぞれ送信されるPUCCHに対して、干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することができる。すなわち、本実施の形態によれば、1~2ビットのUCIを含むPUCCHにおいて干渉を適切に制御することができる。
【0117】
なお、本実施の形態で説明した巡回シフトパターンのホッピングと、実施の形態1で説明したPUCCH系列のホッピング(系列ホッピング)とを併用してもよい。巡回シフトパターンのホッピングと、系列ホッピングとを併用した場合、系列ホッピングを適用する時間単位と、巡回シフトホッピングを適用する時間単位とは同一もよく、異なってもよい。例えば、系列ホッピングがスロット単位で行われ、巡回シフトホッピングがシンボル単位で行われてもよい。また、擬似ランダム系列を初期化する時間区間についても、系列ホッピングと巡回シフトホッピングとで同一でもよく、異なってもよい。また、PUCCHに用いる識別ID(nID)についても、系列ホッピングと巡回シフトホッピングとで同一でもよく、異なってもよい。これにより、同一セル内において異なるTRPと通信している端末200からそれぞれ送信されるPUCCHに対して、異なる系列番号又は異なる巡回シフトパターンを割り当てることができ、干渉の影響を低減することができる。
【0118】
(実施の形態3)
Sequence selection方式では、1ビットUCIの場合、端末毎に、ACK without SR、NACK without SR、ACK with SR、及び、NACK with SRを送信するためのPUCCHリソース(巡回シフト系列)がそれぞれ予め確保される。同一端末へ割り当てる系列が同一のPRB内に存在する場合、1PRBに割り当てることができる12個のPUCCHリソース(巡回シフト系列)のうち、4つのPUCCHリソースが1つの端末へ割り当てられることになる。
【0119】
同様に、2ビットUCIの場合、端末毎に、ACK/ACK without SR、ACK/NACK without SR、NACK/ACK without SR、NACK/NACK without SR、及び、ACK/ACK with SR、ACK/NACK with SR、NACK/ACK with SR、NACK/NACK with SRを送信するためのPUCCHリソース(巡回シフト系列)がそれぞれ確保される。そのため、1PRBに割り当てることができる12個のPUCCHリソース(巡回シフト系列)のうち、端末あたりに割り当てられるPUCCHリソースは8個である。
【0120】
すなわち、理論的には、1PRB内では、最大で12個の巡回シフト系列を利用して、例えば、1ビットUCIの場合には最大で3UEまで多重することができる。しかし、この場合、12個全ての巡回シフト系列が利用されるため、上述した巡回シフトホッピングが適用されても、干渉のランダム化の効果は低くなってしまう。
【0121】
そこで、本実施の形態では、1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)の最大数を制限することにより、干渉の影響を低減する方法について説明する。
【0122】
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1及び2に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0123】
図11A(1ビットUCIの場合)及び図11B(2ビットUCIの場合)は、1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)の最大数を8個に制限した場合の巡回シフトパターンの一例を示す。
【0124】
上述したように、1ビットUCIの場合、端末200あたりに割り当てられるPUCCHリソースは4個であるので、図11Aにでは、1PRB内に最大2端末が多重される。また、上述したように、2ビットUCIの場合、端末200あたりに割り当てられるPUCCHリソースは8個であるので、図11Bでは、1PRB内に最大1端末が多重される。
【0125】
すなわち、図11A及び図11Bでは、1PRB内の12個の巡回シフト系列のうち、4個の巡回シフト系列はPUCCH系列に使用されない。これにより、図11A及び図11Bに示す巡回シフトパターンでは、PUCCH系列に用いられる巡回シフト系列の間隔を空けることができる。よって、この場合には、上述した巡回シフトホッピングが適用されることで、異なる巡回シフトパターンを用いる端末200からそれぞれ送信されるPUCCHに対して異なる巡回シフト系列が割り当てられる可能性が高くなり、干渉のランダム化の効果を得ることができる。
【0126】
なお、1PRB内に割り当てる系列の最大数(図11A及び図11Bでは8個)を制限する代わりに、1PRB内に割り当てる端末数が制限されてもよい。例えば、図11Aでは、1PRB内に割り当て可能な端末の最大数が2端末に制限され、図11Bでは、1PRB内に割り当て可能な端末の最大数が1端末に制限されていると云える。
【0127】
また、1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)の最大数は8に限らず、例えば、端末多重数を1端末に制限してもよい。1ビットUCIの場合、1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)の最大数は4系列となり、2ビットUCIの場合、1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)の最大数は8系列となる。
【0128】
このように、本実施の形態によれば、巡回シフトパターンにおいて1PRB内に割り当て可能な系列(巡回シフト)(又は端末数)の最大数を制限することで、1PRB内の巡回シフトのうち、いくつかの巡回シフトはPUCCH系列として利用されない。PUCCH系列として利用されない巡回シフトは、異なる巡回シフトパターンにおけるPUCCH系列に対して利用することができる。よって、PUCCHリソースとして、同じ巡回シフトパターンを利用するPUCCH系列を削減することができる。これにより、本実施の形態によれば、干渉のランダム化の効果をより大きくできる。
【0129】
(実施の形態4)
本実施の形態では、ACK、NACK及びSR等の上り制御信号と、PUCCH(巡回シフト)とのマッピング設計に関して検討する。
【0130】
また、本実施の形態では、ACK、NACK及びSRの発生確率の違いに着目する。
【0131】
下りリンクHARQにおける初回パケット送信の目標誤り率は例えば10%程度である。このことから、確率的に、ACKの送信(発生確率)が多くなり、NACKの送信(発生確率)が少なくなる。そのため、NACKは、確率的に、多重される他の端末から送信されるACKによる悪影響を受けやすい。
【0132】
一例として、図11Aに示すマッピング方法では、ACKとNACKの発生確率から、端末1(UE1)がNACKを送信する場合、端末2(UE2)がACKを送信している確率が高い。そのため、基地局では、端末1から送信されたNACKは、端末2が送信する確率の高い巡回シフト(つまり、ACKに対応)と隣接する巡回シフトにマッピングされたACKとして誤って受信される確率が高くなる。
【0133】
このようなマッピング方法では、実施の形態2で説明したような巡回シフトパターンのシフトを適用しても、セル内の多重端末間の干渉の影響をランダム化することはできない。
【0134】
そこで、本実施の形態では、ACK/NACK又はSRが多重される端末間において、ACK、NACK及びSRと、PUCCH(巡回シフト)とのマッピングを異ならせる。このようにすることで、巡回シフト間で発生する多重端末からの干渉の影響をランダム化できる。
【0135】
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0136】
図12A及び図12Bは、ACK/NACK又はSRが多重される端末1,2(UE1,2)の各々における、ACK、NACK及びSRと、PUCCH(巡回シフト)とのマッピング方法の一例を示す。
【0137】
具体的には、図12A及び図12Bにおいて、端末1に対するマッピングは図11Aに示すマッピングと同一である。
【0138】
一方、図12Aでは、図11Aに示す端末2に対するACK with SR、ACK without SR、NACK with SR、及び、NACK without SRの巡回シフトパターンにオフセット3を加えた巡回シフトパターンを示す。また、図12Bは、図11Aに示す端末2に対するACK with SR、ACK without SR、NACK with SR、及び、NACK without SRの巡回シフトパターンにオフセット6(つまり、図12Aに示す巡回シフトパターンにオフセット3)を加えた巡回シフトパターンを示す。
【0139】
これにより、発生確率の高いACKは、発生確率の低いNACKがマッピングされる巡回シフトと隣接する巡回シフトにマッピングされる割合が高くなる。これにより、例えば、端末1(UE1)がNACKを送信する場合でも、基地局では、端末1から送信されたNACKが、端末2が送信する確率の高いACKに起因して、ACKとして誤って受信される確率が低くなる。
【0140】
次に、ACK、NACK及びSRの発生確率の違いを考慮した別のマッピング方法について説明する。具体的には、ACK、NACK及びSRの発生確率の違いを考慮して、上述した実施の形態2で説明した巡回シフトパターンのホッピングを適用する。
【0141】
例えば、図13又は図14に示すように、ACKに割り当てられる巡回シフトを含む領域(ACK領域)と、NACKに割り当てられる巡回シフトを含む領域(NACK領域)とを分離してもよい。
【0142】
この場合、巡回シフトパターンのホッピングは、ACK及びNACKの各々に対して行われる。すなわち、ACKに対してとりうる巡回シフトはACK領域内の巡回シフトであり、NACKに対してとりうる巡回シフトは、NACK領域内の巡回シフトである。
【0143】
また、図13又は図14に示すように、1PRB内に割り当て可能な12個の巡回シフト(0~11)において、ACK領域の割合をNACK領域の割合と比較して高く設定してもよい。
【0144】
1PRB内に割り当て可能な巡回シフトにおいて、ACKに割り当てることができる巡回シフトの割合を高くすることで、ACKに対する巡回シフトパターン数が多くなるので、送信される確率の高いACKが複数の端末200において同一の巡回シフトパターンで送信される確率を低減することができる。
【0145】
一方、1PRB内に割り当て可能な巡回シフトにおいて、NACKに割り当てることができる巡回シフトの割合が低くされると、NACKに対する巡回シフトパターン数が少なくなる。しかし、NACKが送信される確率は低いので、複数の端末200においてNACKが同一の巡回シフトパターンで同時に送信される確率は低く、NACKを含むPUCCH同士が衝突する確率は低いので、システム性能に与える影響は小さい。
【0146】
このように、本実施の形態によれば、PUCCHを用いて送信されるACK及びNACKの発生確率に応じて、PUCCH系列(巡回シフト)のマッピングを設定することにより、Short PUCCHの送信において干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することにより、システム性能を向上することができる。
【0147】
(実施の形態5)
本実施の形態では、ACK、NACK及びSRの目標誤り率の違いを考慮して、実施の形態2で説明した巡回シフトパターンのホッピングを適用する場合について説明する。
【0148】
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0149】
例えば、図15及び図16に示すように、ACKに割り当てる巡回シフトを含む領域(ACK領域)と、NACKに割り当てる巡回シフトを含む領域(NACK領域)とを分離する。
【0150】
この場合、巡回シフトパターンのホッピングは、ACK及びNACKの各々に対して行われる。すなわち、ACKに対してとりうる巡回シフトはACK領域内の巡回シフトであり、NACKに対してとりうる巡回シフトはNACK領域内の巡回シフトである。
【0151】
また、図15及び図16に示すように、1PRB内に割り当て可能な12個の巡回シフト(0~11)において、NACK領域の割合をACK領域の割合と比較して高く設定する。
【0152】
1PRB内に割り当て可能な巡回シフトにおいて、NACKに割り当てることができる巡回シフトの割合を高くすることで、NACKに対する巡回シフトパターン数が多くなるので、目標誤り率の要求条件が高いNACKが複数の端末200において同一の巡回シフトパターンで送信される確率を低減することができる。
【0153】
一方、1PRB内に割り当て可能な巡回シフトにおいて、ACKに割り当てることができる巡回シフトの割合が低くされると、ACKに対する巡回シフトパターン数が少なくなる。しかし、目標誤り率の要求条件が低いACKが複数の端末200において同一の巡回シフトパターンで送信され、ACKを含むPUCCH同士の衝突が発生しても、システムへの影響はNACKと比較して少ない。
【0154】
このように、本実施の形態によれば、PUCCHを用いて送信されるACK及びNACKの目標誤り率(送信の信頼性)に応じて、PUCCH系列(巡回シフト)のマッピングを設定することにより、Short PUCCHの送信において干渉をランダム化することができ、干渉の影響を低減することにより、システム性能を向上することができる。
【0155】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0156】
[他の実施の形態]
(1)上記実施の形態では、上記実施の形態では、端末200が送信する上りリンク制御情報(UCI)としてSR及びHARQ-ACKについて説明した。しかし、端末200が送信する上りリンク制御情報は、SR及びHARQ-ACKに限定されず、他の上りリンク制御情報(例えば、CSI等)でもよい。
【0157】
(2)上記実施の形態では、PUCCHに用いる識別ID(nID)の算出の際にセルIDに追加で用いる識別情報(サブセル固有情報)として、サブセルID、ビームID及びランダムアクセスに関連する情報を一例とする場合について説明した。しかし、PUCCHに用いる識別IDの算出の際にセルIDに追加で用いる識別情報としては、これらの情報に限定されず、TRP毎に異なる値を採りうる他の情報でもよい。さらに、PUCCHに用いる識別IDの算出の際にセルIDに追加で用いる識別情報としては、初期アクセス(ランダムアクセス)の段階において端末200に対して設定されている情報でもよい。
【0158】
(3)上記実施の形態では、Short PUCCHについて説明したが、上述した本開示の一態様は、Long PUCCHにおいて1~2ビットのUCIが送信される場合に適用されてもよい。
【0159】
(4)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0160】
本開示の端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記系列は、端末が属するセルを識別するセル識別情報、及び、前記セルに含まれる少なくとも1つのサブセルに関するサブセル固有情報を用いて決定される。
【0161】
本開示の端末において、前記サブセル固有情報は、前記端末が接続するサブセルを識別する情報、前記端末が通信に使用するビームを識別する情報、及び、前記端末が通信に使用するランダムアクセスリソースを示す情報のうち少なくとも1つを含む。
【0162】
本開示の端末において、前記サブセル固有情報は、前記系列の系列番号のホッピングに用いられる擬似ランダム系列の初期値の算出に使用される。
【0163】
本開示の端末において、前記サブセル固有情報は、前記系列に用いられる巡回シフトパターンのホッピングに用いられる擬似ランダム系列の初期値の算出に使用される。
【0164】
本開示の端末において、前記巡回シフトパターンは、端末毎に異なる。
【0165】
本開示の端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記上りリンク制御チャネルの1つのリソースブロック内に割り当て可能な前記系列の最大数が制限される。
【0166】
本開示の端末において、前記1つのリソースブロックは12サブキャリアで構成され、前記最大数は8個である。
【0167】
本開示の端末において、前記1つのリソースブロックは12サブキャリアで構成され、前記最大数は、前記上りリンク制御情報が1ビットの場合には4個であり、前記上りリンク制御情報が2ビットの場合には8個である。
【0168】
本開示の端末は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定する回路と、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信する送信機と、を具備し、前記上りリンク制御情報には、少なくともACK及びNACKが含まれ、前記系列に用いられる巡回シフトは、前記ACKに割り当てられる巡回シフトを含む第1領域と、前記NACKに割り当てられる巡回シフトを含む第2領域とに分離される。
【0169】
本開示の端末において、前記第1領域に含まれる巡回シフトの数は、前記第2領域に含まれる巡回シフトの数よりも多い。
【0170】
本開示の端末において、前記第2領域に含まれる巡回シフトの数は、前記第1領域に含まれる巡回シフトの数よりも多い。
【0171】
本開示の端末において、前記ACKに対する巡回シフトパターンのホッピングは前記第1領域に含まれる巡回シフトを用いて行われ、前記NACKに対する巡回シフトパターンのホッピングは前記第2領域に含まれる巡回シフトを用いて行われる。
【0172】
本開示の通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記系列は、端末が属するセルを識別するセル識別情報、及び、前記セルに含まれる少なくとも1つのサブセルに関するサブセル固有情報を用いて決定される。
【0173】
本開示の通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記上りリンク制御チャネルの1つのリソースブロック内に割り当て可能な前記系列の最大数が制限される。
【0174】
本開示の通信方法は、上りリンク制御情報に応じて、上りリンク制御チャネルに用いられる系列を決定し、前記系列を用いて前記上りリンク制御情報を送信し、前記上りリンク制御情報には、少なくともACK及びNACKが含まれ、前記系列に用いられる巡回シフトは、前記ACKに割り当てられる巡回シフトを含む第1領域と、前記NACKに割り当てられる巡回シフトを含む第2領域とに分離される。
【0175】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0176】
100 基地局
101,209 制御部
102 データ生成部
103,107,110 符号化部
104 再送制御部
105,108,111 変調部
106 上位制御信号生成部
109 下り制御信号生成部
112,212 信号割当部
113,213 IFFT部
114,214 送信部
115,201 アンテナ
116,202 受信部
117,203 FFT部
118,204 抽出部
119 SR検出部
120 PUCCH復調・復号部
121 判定部
200 端末
205 下り制御信号復調部
206 上位制御信号復調部
207 下りデータ信号復調部
208 誤り検出部
210 SR生成部
211 HARQ-ACK生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16