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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20231219BHJP
【FI】
H01R12/58
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020006207
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021114399
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-273256(JP,A)
【文献】特開2008-053082(JP,A)
【文献】中国実用新案第205319367(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に設けられたスルーホールに圧入されて前記スルーホールの孔内面上の回路体に電気的に接続される端子であって、
当該端子の軸線に交差する幅方向に弾性変形して前記回路体に押圧接触することが可能な接点部と、
前記接点部よりも当該端子の先端側に設けられ、前記幅方向における大きさが前記接点部よりも小さく且つ前記軸線に沿って延びる幅狭部と、
前記接点部と前記幅狭部との間を繋ぐ中間部と、を備え、
前記中間部は、
前記接点部と当該中間部との境界箇所の前記幅方向における最端点と、当該中間部と前記幅狭部との境界箇所の前記幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線よりも、前記幅方向において前記軸線に近い側に当該中間部の全体が配置される、ように構成され
前記中間部の前記幅方向の両端面はそれぞれ、第1平面と、前記第1平面の前記端子の基端側に位置する第2平面と、により構成されており、
前記第1平面は、前記幅狭部と前記第1平面との第1境界箇所と、前記第1平面と前記第2平面との第2境界箇所とを繋ぐ平面であり、前記端子の基端側ほど前記軸線から遠ざかる向きに前記軸線に対して傾斜し、
前記第2平面は、前記接点部と前記第2平面との第3境界箇所と、前記第2境界箇所とを繋ぐ平面であり、前記端子の基端側ほど前記軸線から遠ざかる向きに前記軸線に対して傾斜し、
前記第2平面の前記軸線からの傾斜角度は、前記第1平面の前記軸線からの傾斜角度より大きい、
端子。
【請求項2】
請求項1に記載の端子において、
前記中間部は、
前記接点部と当該中間部との前記境界箇所の前記最端点と、前記軸線と、が属する断面において、当該中間部と前記スルーホールの前記孔内面とがなす角度が90度未満である、ように構成される、
端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に設けられたスルーホールに圧入されてスルーホールの孔内面上の回路体に電気的に接続される端子、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路基板のスルーホールに圧入される端子(以下「プレスフィット端子」という。)を用いて、回路基板と端子とを電気的に接続することが提案されている。従来のプレスフィット端子の一つは、スルーホールの孔内面に押圧接触するように幅方向に曲面状に膨らむ形状を有する接点部を有している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-133156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、回路基板およびスルーホールの孔内面に設けられる回路体(例えば、銅薄膜)を保護する等の観点から、回路体を覆うように保護膜が設けられる場合がある。この保護膜は、プリフラックス(OSP:Organic Solderability Preservative)とも呼ばれる。一方、上述した従来のプレスフィット端子は、この種のプリフラックスを考慮することなく設計されている。
【0005】
そのため、従来のプレスフィット端子をプリフラックスが設けられたスルーホールに圧入すると、プレスフィット端子の円弧状の接点部と、スルーホールの孔内面上の回路体と、の間にプリフラックスが挟み込まれる場合がある。プリフラックスは一般に絶縁性の材料から構成されるため、プリフラックスが挟み込まれた場合、接点部と回路体とが適正に導通されない可能性がある。端子と回路基板との電気的接続の信頼性を高める観点から、このようなプリフラックスの挟み込みは出来る限り避けることが望ましい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子と回路基板との電気的接続の信頼性を向上可能な端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子は、下記[1]~[2]を特徴としている。
[1]
回路基板に設けられたスルーホールに圧入されて前記スルーホールの孔内面上の回路体に電気的に接続される端子であって、
当該端子の軸線に交差する幅方向に弾性変形して前記回路体に押圧接触することが可能な接点部と、
前記接点部よりも当該端子の先端側に設けられ、前記幅方向における大きさが前記接点部よりも小さく且つ前記軸線に沿って延びる幅狭部と、
前記接点部と前記幅狭部との間を繋ぐ中間部と、を備え、
前記中間部は、
前記接点部と当該中間部との境界箇所の前記幅方向における最端点と、当該中間部と前記幅狭部との境界箇所の前記幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線よりも、前記幅方向において前記軸線に近い側に当該中間部の全体が配置される、ように構成され
前記中間部の前記幅方向の両端面はそれぞれ、第1平面と、前記第1平面の前記端子の基端側に位置する第2平面と、により構成されており、
前記第1平面は、前記幅狭部と前記第1平面との第1境界箇所と、前記第1平面と前記第2平面との第2境界箇所とを繋ぐ平面であり、前記端子の基端側ほど前記軸線から遠ざかる向きに前記軸線に対して傾斜し、
前記第2平面は、前記接点部と前記第2平面との第3境界箇所と、前記第2境界箇所とを繋ぐ平面であり、前記端子の基端側ほど前記軸線から遠ざかる向きに前記軸線に対して傾斜し、
前記第2平面の前記軸線からの傾斜角度は、前記第1平面の前記軸線からの傾斜角度より大きい、
端子であること。
[2]
上記[1]に記載の端子において、
前記中間部は、
前記接点部と当該中間部との前記境界箇所の前記最端点と、前記軸線と、が属する断面において、当該中間部と前記スルーホールの前記孔内面とがなす角度が90度未満である、ように構成される、
端子であること。
【0008】
上記[1]の構成の端子によれば、回路基板に保護膜(プリフラックス)が設けられている場合、端子の接点部を回路基板のスルーホールに圧入するとき、接点部が、保護膜を削り取るとともに保護膜が削り取られて露出した回路体に押圧接触する。更に、接点部よりも端子の先端側にある幅狭部と、接点部と、の間にある中間部は、上述した従来のプレスフィット端子とは異なり、端子の軸に近づく向きに窪んだ形状を有する。より詳細には、中間部は、接点部と中間部との境界箇所の幅方向における最端点と、中間部と幅狭部との境界箇所の幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線よりも、幅方向において軸線に近い側にある、ように構成される(例えば、図4参照)。中間部がこのような窪んだ形状を有することで、接点部によって削り取られた保護膜を、中間部の窪んだ領域に逃がして接点部から遠ざけることができる。その結果、削り取られた保護膜がスルーホールの孔内面の回路体と接点部との間に入り込むことが抑制される。したがって、本構成の端子は、端子と回路基板との電気的接続の信頼性を向上可能である。
【0009】
上記[2]の構成の端子によれば、中間部は、幅方向に沿う断面において中間部とスルーホールの孔内面とがなす角度が90度未満であるように構成される。中間部がこのような形状を有することで、端子をスルーホールに圧入する際、端子の中間部と接点部との境界箇所がスルーホールの周縁部などに引っ掛かることで圧入が妨げられることが抑制される。逆に言えば、このような形状を有する中間部は、端子をスルーホールの孔内に案内する働きを有する。したがって、本構成の端子は、回路基板への実装の作業性に優れる。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明によれば、端子と回路基板との電気的接続の信頼性を向上可能な端子を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る端子が設けられたコネクタと、回路基板と、を示す斜視図である。
図2図2は、回路基板のスルーホールへの端子の挿入が完了する前の段階を示す、図1のA-A断面に相当する図である。
図3図3は、回路基板のスルーホールへの端子の挿入が完了した状態における図2に対応する図である。
図4図4は、図3のB部の拡大図である。
図5図5(a)は、変形例に係る端子を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す端子についての図4に相当する図である。
図6図6(a)は、他の変形例に係る端子を示す正面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す端子についての図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る端子20について説明する。図1に示すように、端子20は、いわゆるプレスフィット端子であり、回路基板10に設けられたスルーホール12に圧入されるように用いられる。なお、端子20がスルーホール12に圧入されることで、回路基板10と端子20との接続構造1(図3も参照)が構成されることになる。
【0014】
以下、説明の便宜上、図1図3に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。上下方向は、端子20のスルーホール12への挿入方向と平行であり、「上」及び「下」はそれぞれ、挿入方向の「後方」及び「前方」と一致している(図2の白矢印も参照)。
【0015】
図1に示す例では、複数本の同形の端子20が、回路基板10に実装されることになる基板実装型の直方体状のコネクタ30に、幅方向に所定間隔をあけて並ぶように、且つ、コネクタ30の前端面から突出するように設けられている。
【0016】
図1に示すように、回路基板10は、矩形平板状の樹脂製の基板母材11を有する。基板母材11には、幅方向に並ぶ複数の端子20に対応して、複数のスルーホール12(上下方向に貫通する孔)が幅方向に並ぶように形成されている。
【0017】
図2に示すように、回路基板10には、スルーホール12の孔内面に位置する(換言すると、孔内面を覆う)導電性の回路体13が設けられている。回路体13は、典型的には、銅(Cu)製の薄膜で構成される。回路体13は、回路基板10の表面に設けられた所定の回路パターン(図示省略)を介して、回路基板10の表面に搭載されている複数の電子部品(図示省略)又はアースポイント(図示省略)と電気的に接続されている。回路体13の防食性やハンダ付けの際の濡れ性を高める等の観点から、回路体13は、保護膜として機能するプリフラックス14(OSP:Organic Solderability Preservative)で覆われている。
【0018】
図1に示すように、金属製の各端子20は、コネクタ30の前端面から前方に延びる基端部21と、基端部21の先端部(前端部)から下方に延びる先端部22と、からなるL字状の形状を有している。本例では、端子20の断面(延在方向に垂直な方向の断面)は、基端部21及び先端部22共に矩形状を有している。各端子20の先端部22が、回路基板10の対応するスルーホール12にそれぞれ圧入されることになる。
【0019】
図2に示すように、端子20の先端部22は、上下方向に延びる軸線CLに沿って、上下方向に延びている。端子20の先端部22には、幅方向両側に膨出する接点部23が形成されている。接点部23は、端子20(先端部22)のスルーホール12への圧入の際において回路体13に押圧接触する部分である。
【0020】
本例では、接点部23の幅方向両端面はそれぞれ、上下方向且つ前後方向に延びる平面(軸線CLに平行な単一の平面)で構成されている。他の態様として、接点部23の幅方向両端面は、例えば、幅方向両端面の前後方向の端部が面取りされることで複数の平面から構成されてもよいし、幅方向外側に向けて凸となるように湾曲する湾曲面で構成されてもよい。接点部23の幅方向寸法は、スルーホール12の幅方向寸法より若干大きい。なお、接点部23の前後方向寸法は、スルーホール12の前後方向寸法より若干小さい。
【0021】
端子20の先端部22には、接点部23に対応した上下方向位置にて、前後方向に貫通し且つ上下方向に延びる空洞部24が形成されている。空洞部24の形成により、接点部23は、幅方向に弾性変形可能となっている。なお、接点部23は、幅方向には膨出しているが、前後方向には膨出していない。
【0022】
端子20の先端部22における接点部23より下側(先端側)には、接点部23よりも幅方向寸法が小さい幅狭部25と、接点部23及び幅狭部25の間を繋ぐ中間部26と、が形成されている。本例では、幅狭部25は、均一な幅方向寸法で軸線CLに沿って延びている。
【0023】
図4に示すように、幅狭部25の幅方向両端面はそれぞれ、上下方向且つ前後方向に延びる平面(軸線CLに平行な平面)で構成されている。幅狭部25の下端箇所Dより下側の先端部22の先端箇所は、先端部22をスルーホール12に挿入し易くするため、下側ほど幅方向寸法が小さい形状(下窄まりの形状)となっている。
【0024】
図4に示すように、中間部26の幅方向両端面はそれぞれ、第1平面27と、第1平面27の上側に位置する第2平面28と、により構成されている。第1平面27は、幅狭部25と中間部26(第1平面27)との境界箇所C(幅狭部25の上端箇所)と、第1平面27と第2平面28との境界箇所Bとを繋ぐ平面であり、上側ほど軸線CLから遠ざかる向きに、軸線CLに対して傾斜している。第2平面28は、接点部23と中間部26(第2平面28)との境界箇所A(接点部23の下端箇所)と、境界箇所Bとを繋ぐ平面であり、上側ほど軸線CLから遠ざかる向きに、軸線CLに対して傾斜している。第2平面28の軸線CLからの傾斜角度は、第1平面27の軸線CLからの傾斜角度より大きい。
【0025】
第1平面27及び第2平面28(即ち、中間部26の幅方向端面)は、境界箇所Aの幅方向における最端点と、境界箇所Cの幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線Lよりも、幅方向において軸線CLに近い側にある。換言すれば、中間部26の幅方向両端面は、軸線CLに近づく向きに窪んだ形状を有している。このため、幅方向に沿う断面において、中間部26(第2平面28)とスルーホール12の孔内面とがなす角度αが、直線Lとスルーホール12の孔内面とがなす角度βより大きい。本例では、角度αは、90度未満である。
【0026】
なお、本例の端子20とは異なる構造を有する他の実施形態に係る端子については、図5及び図6を参照しながら後述される。
【0027】
本例の各端子20の先端部22の接点部23をスルーホール12に圧入する際には、複数の端子20の先端部22が、回路基板10の複数のスルーホール12の上方にそれぞれ位置するように、回路基板10の上方にコネクタ30を配置し、コネクタ30を回路基板10に向けて下方に近づけていく。この結果、複数の端子20の接点部23が、回路基板10の複数のスルーホール12に一度に挿入されていく。
【0028】
図2に示すように、端子20の接点部23が、回路基板10のスルーホール12に挿入される際、図3及び図4に示すように、接点部23の境界箇所A(図4参照)がプリフラックス14を削り取りながら下方(挿入方向の前方)に進む。そして、接点部23(の幅方向両端面)が、プリフラックス14が削り取られて露出した回路体13に接触する。
【0029】
ここで、上述したように、中間部26の幅方向両端面は、軸線CLに近づく向きに窪んでいる。このため、接点部23の境界箇所Aによって削り取られたプリフラックス14を、中間部26の窪んだ領域に逃がして接点部23から遠ざけることができる(図4参照)。その結果、削り取られたプリフラックス14がスルーホール12の孔内面の回路体13と接点部23との間に入り込むことが抑制される。
【0030】
端子20の先端部22がスルーホール12に対して図3に示す状態まで進行すると、端子20の圧入が完了する。これにより、回路基板と端子との接続構造1が得られると共に、コネクタ30の回路基板10への実装が完了する。この結果、コネクタ30に設けられた複数の端子20が、回路基板10の複数のスルーホール12を介して、回路基板10の表面に搭載されている複数の電子部品又はアースポイントと電気的に接続される。
【0031】
以上、本発明の実施形態に係る端子20によれば、回路基板10にプリフラックス14(プリフラックス)が設けられているので、端子20の接点部23を回路基板10のスルーホール12に圧入するとき、接点部23が、プリフラックス14を削り取るとともにプリフラックス14が削り取られて露出した回路体13に押圧接触する。更に、接点部23よりも端子20の先端側にある幅狭部25と、接点部23と、の間にある中間部26は、上述した従来のプレスフィット端子の接点部のように幅方向に曲面状に膨らむ場合とは異なり、端子20の軸線CLに近づく向きに窪んだ形状を有する。より詳細には、中間部26は、接点部23と中間部26との境界箇所Aの幅方向における最端点と、中間部26と幅狭部25との境界箇所Cの幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線Lよりも、幅方向において軸線CLに近い側にある、ように構成される(図4参照)。
【0032】
中間部26がこのような窪んだ形状を有することで、接点部23によって削り取られたプリフラックス14を、中間部26の窪んだ領域に逃がして接点部から遠ざけることができる。その結果、従来のプレスフィット端子に比べ、削り取られたプリフラックス14がスルーホール12の孔内面の回路体13と接点部23との間に入り込むことが抑制される。したがって、本実施形態に係る端子20は、端子20と回路基板10との電気的接続の信頼性を向上可能である。
【0033】
更に、本実施形態に係る端子20によれば、中間部26は、幅方向に沿う断面において中間部26とスルーホール12の孔内面とがなす角度α(図4参照)が90度未満であるように構成される。中間部26がこのような形状を有することで、端子20をスルーホール12に圧入する際、端子20の中間部26と接点部23との境界箇所Aがスルーホール12の周縁部などに引っ掛かることで、圧入が妨げられることが抑制される。逆に言えば、このような形状を有する中間部26は、端子20をスルーホール12の孔内に案内する働きを有する。したがって、本実施形態に係る端子20は、回路基板10への実装の作業性に優れる。
【0034】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0035】
例えば、上記実施形態では、端子20の接点部23の幅方向両端面はそれぞれ、上下方向且つ前後方向に延びる平面(軸線CLに平行な平面)で構成されている(図4参照)。これに対し、図5に示すように、端子20の幅方向外側に最も膨出する箇所のみ(図5(b)にて点Aで示す箇所のみ)が接点部23として機能するように、端子20が構成されてもよい。換言すると、端子20の接点部23の幅方向両端部がそれぞれ、前後方向に延びる直線状部分で構成されていてもよい。本例の場合、端子20の上下方向における一箇所のみ(図5(b)にて点Aで示す箇所のみ)が接点部23として機能することになる。なお、上述した実施形態と同様、本例においても、接点部23の前後方向の端部が面取りされることで接点部23が複数の直線状部分から構成されてもよいし、接点部23が幅方向外側に向けて凸となるように湾曲する曲線で構成されてもよい。
【0036】
更に、上記実施形態では、端子20の中間部26の幅方向両端面がそれぞれ、第1平面27と、第1平面27の上側に位置する第2平面28と、により構成されることで、中間部26の幅方向両端面が、軸線CLに近づく向きに窪んだ形状を有している(図4参照)。これに対し、図6に示すように、中間部26の幅方向両端面が曲面で構成されてもよい。換言すると、端子20の中間部26の幅方向両端面がそれぞれ、部分円筒面29により構成されることで、中間部26の幅方向両端面がそれぞれ、軸線CLに近づく向きに窪んだ形状を有していてもよい。
【0037】
更に、上記実施形態では、スルーホール12及び端子20の断面の双方が、矩形状であるが、スルーホール12及び端子20の断面の双方が、円形などの矩形状以外の形状であってもよい。
【0038】
ここで、上述した本発明に係る端子20の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
回路基板(10)に設けられたスルーホール(12)に圧入されて前記スルーホール(12)の孔内面上の回路体(13)に電気的に接続される端子(20)であって、
当該端子(20)の軸線(CL)に交差する幅方向に弾性変形して前記回路体(13)に押圧接触することが可能な接点部(23)と、
前記接点部(23)よりも当該端子(20)の先端側に設けられ、前記幅方向における大きさが前記接点部(23)よりも小さく且つ前記軸線に沿って延びる幅狭部(25)と、
前記接点部(23)と前記幅狭部(25)との間を繋ぐ中間部(26)と、を備え、
前記中間部(26)は、
前記接点部(23)と当該中間部(26)との境界箇所(A)の前記幅方向における最端点と、当該中間部(26)と前記幅狭部(25)との境界箇所(C)の前記幅方向における最端点と、を繋ぐ仮想的な直線(L)よりも、前記幅方向において前記軸線(CL)に近い側に当該中間部(26)の全体が配置される、ように構成される、
端子(20)。
[2]
上記[1]に記載の端子(20)において、
前記中間部(26)は、
前記接点部(23)と当該中間部(26)との前記境界箇所(A)の前記最端点と、前記軸線(CL)と、が属する断面において、当該中間部(26)と前記スルーホール(12)の前記孔内面とがなす角度(α)が90度未満である、ように構成される、
端子(20)。
【符号の説明】
【0039】
10 回路基板
12 スルーホール
13 回路体
14 プリフラックス(保護膜)
20 端子
23 接点部
25 幅狭部
26 中間部
27 第1平面(中間部)
28 第2平面(中間部)
L 仮想的な直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6