(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】パネル体の取付け構造および取付け方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20231219BHJP
E04B 2/90 20060101ALI20231219BHJP
E04F 13/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E04F13/08 101B
E04B2/90
E04F13/10 A
E04F13/08 N
(21)【出願番号】P 2020008092
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】517165999
【氏名又は名称】三和システムウォール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】池田 潤也
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-025910(JP,A)
【文献】特開2013-113029(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053673(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04B 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状をしたパネル体の複数枚を、躯体側部材に対して左右方向一連状に取付けるように構成したパネル体の取付け構造において、
前記パネル体
を、パネル体と躯体側部材との取付け間隔の調整ができる連結手段を介して取付け
るにあたり、
パネル体は、表面材と、該表面材の裏面に設けられ、表面材の少なくとも左右何れかの外端縁部よりも左右方向外方に突出する突出部を有した補強材とを備えて構成され、
連結手段は、補強材の突出部に設けられるネジ受け部材と、先端側が該ネジ受け部材側に向けて突出する状態で躯体側部材に回転自在に設けられるネジ部材とを備え、該ネジ部材は、突出部のパネル体表面側からネジ部材先端部に差し込まれる工具により回転して前記ネジ受け部材に出没自在に螺入することを特徴とするパネル体の取付け構造。
【請求項2】
表面材の左右端縁部には、隣接する表面材との端縁部同士が前後に互いに重合する状態で連結するための表面材用連結部が設けられていることを特徴とする請求項
1記載のパネル体の取付け構造。
【請求項3】
表面材は、長尺状の平板材の複数枚を一連状に連結することで形成され、該平板材には、隣接する平板材との端縁部同士が前後に互いに重合する状態で連結するための平板材用連結部が設けられていることを特徴とする請求項
1または2記載のパネル体の取付け構造。
【請求項4】
複数枚のパネル体のうちの左右両端側のパネル体に設けられる補強材
の突出部には、表面材の左右方向外端縁部と突出部との正面部位を塞ぐ塞ぎ材が取付けられることを特徴とする請求項
1乃至3の何れか1記載のパネル体の取付け構造。
【請求項5】
隣接するパネル体のうちの一方のパネル体に設けられる補強材には、他方のパネル体側に向けて突出していて躯体側部材に固定される突出部が設けられ、該固定される突出部に、他方のパネル体における一方のパネル体側の端縁部が支持されることを特徴とする請求項
1乃至4の何れか1記載のパネル体の取付け構造。
【請求項6】
左右両端側パネル体の表面材は、少なくとも一方の左右外端縁部が切断可能に構成されていることを特徴とする請求項
1乃至5の何れか1記載のパネル体の取付け構造。
【請求項7】
パネル体は、上下両端縁部に左右方向に長い上下枠が設けられ、該上下枠は、隣接するパネル体同士を連結した状態で連結端縁部間に隙間を有するものであり、該隙間は、スペーサを介して塞がれることを特徴とする請求項1乃至
6の何れか1記載のパネル体の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の室内や廊下等の空間を仕切る壁面等の仕切り面に設けられる腰壁等のパネル体の取付け構造および取付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、室内や廊下等の壁部の表面部材として平板状のパネル体を取付けることがあるが、このようなパネル体が例えば腰壁である場合に、該腰壁は、壁部の下半部の低い部位(例えば床面から1m)に設けられるものとし、壁部の上半部とは異なる仕様のものにすることで、壁部を上下異なる仕様にして変化性を持たせた構成にすることがある。
そしてこのような腰壁を形成する場合に、パネル体として、木材を利用することが昔から試みられ、また近時においては木材を率先して利用することが推奨されている(例えば「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(木材利用促進法)」)。
このように木材をパネル体として用いる場合に、従来、所定寸法に切断した長尺状の平板材のそれぞれを、下地材等の躯体側部材に表面側から釘打ちすることで組付けるようにすることが試みられているが、このものでは、釘の頭部が外部から視認されると共に、平板材間を隙間のない状態で一連状に組付けるには高度の熟練を要するだけでなく、作業が面倒かつ煩雑になるという問題がある。
そこで平板材を、両端縁部に互いに雄雌嵌合する凸状部、凹状部が形成されたものとして、隣接する平板材同士を、隙間が生じない状態で一連状に連結して平板状のパネル体を取付けるようにするものが提唱されている。そしてこのように取付けたパネル体を躯体側部材に取付ける場合に、該躯体側部材に固定した金具とパネル体に固定した金具とを互いに突き合わせた状態でボルト固定するようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3053673号公報
【文献】特公平8-26637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがパネル体を躯体側部材に取付ける場合に、該躯体側部材の表面が平面ではなく凹凸があったりして連結位置が前後方向同位置に揃っていない場合があり、このような連結位置が不揃いな躯体側部材にパネル体をそのまま取付けた場合に、該取付けたパネル体は、各パネル体ごとに向きが異なって取付けられてしまうことがあり、このような場合の最悪のものとしては、パネル体の躯体側部材への取付け自体ができない場合が発生することにもあり、これを修正するには面倒かつ煩雑な現場作業が強いられることになって作業性が損なわれる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、平板状をしたパネル体の複数枚を、躯体側部材に対して左右方向一連状に取付けるように構成したパネル体の取付け構造において、前記パネル体を、パネル体と躯体側部材との取付け間隔の調整ができる連結手段を介して取付けるにあたり、パネル体は、表面材と、該表面材の裏面に設けられ、表面材の少なくとも左右何れかの外端縁部よりも左右方向外方に突出する突出部を有した補強材とを備えて構成され、連結手段は、補強材の突出部に設けられるネジ受け部材と、先端側が該ネジ受け部材側に向けて突出する状態で躯体側部材に回転自在に設けられるネジ部材とを備え、該ネジ部材は、突出部のパネル体表面側からネジ部材先端部に差し込まれる工具により回転して前記ネジ受け部材に出没自在に螺入することを特徴とするパネル体の取付け構造である。
請求項2の発明は、表面材の左右端縁部には、隣接する表面材との端縁部同士が前後に互いに重合する状態で連結するための表面材用連結部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のパネル体の取付け構造である。
請求項3の発明は、表面材は、長尺状の平板材の複数枚を一連状に連結することで形成され、該平板材には、隣接する平板材との端縁部同士が前後に互いに重合する状態で連結するための平板材用連結部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のパネル体の取付け構造である。
請求項4の発明は、複数枚のパネル体のうちの左右両端側のパネル体に設けられる補強材の突出部には、表面材の左右方向外端縁部と突出部との正面部位を塞ぐ塞ぎ材が取付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のパネル体の取付け構造である。
請求項5の発明は、隣接するパネル体のうちの一方のパネル体に設けられる補強材には、他方のパネル体側に向けて突出していて躯体側部材に固定される突出部が設けられ、該固定される突出部に、他方のパネル体における一方のパネル体側の端縁部が支持されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載のパネル体の取付け構造である。
請求項6の発明は、左右両端側パネル体の表面材は、少なくとも一方の左右外端縁部が切断可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のパネル体の取付け構造である。
請求項7の発明は、パネル体は、上下両端縁部に左右方向に長い上下枠が設けられ、該上下枠は、隣接するパネル体同士を連結した状態で連結端縁部間に隙間を有するものであり、該隙間は、スペーサを介して塞がれることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載のパネル体の取付け構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、前後に位置ずれした躯体側部材にパネル体を取付ける場合に、該パネル体を前後方向位置調整して取付けることで垂直姿勢での取付けが簡単にできることになる。また、パネル体は、補強材が設けられることにより強度的に有利なものとなりながら、補強材と躯体側部材との間に連結手段が設けられたものとなるため、構造の簡略化が図れることになる。さらに、連結手段が、ネジ部材とネジ受け部材とによって構成されるため、構造簡単なものとすることができる。
請求項2の発明とすることにより、表面材同士が隣接した場合に、端縁部同士が互いに前後に重合することになる結果、表面材同士のあいだを通して内側への視認を遮断することが簡単になって外観性が向上する。
請求項3の発明とすることにより、表面材は、平板材を一連状に連結することで形成されることになるが、その場合に、平板材同士が前後に重合する状態で連結することになる結果、平板材同士のあいだを通して内側への視認を遮断することが簡単になって外観性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、左右両端側のパネル体については、パネル体の端縁部から突出した補強材の突出部が設けられ、該突出部に、表面材の端縁部との間を塞ぐ塞ぎ材が取付けられていることになる結果、これらのあいだを塞ぐことが簡単になって外観性が向上する。
請求項5の発明とすることにより、隣接するパネル体のうちの他方のパネル体は、該他方のパネル体における一方のパネル体側の端縁部が、躯体側部材に固定されることになる一方のパネル体の補強材突出部に支持されることになるため、一方のパネル体側とは逆側に突出する補強材の突出部を躯体部材側に支持するという片持ち支持でも十分な支持強度を持たせたものとして取付けることができ、作業性が向上する。
請求項6の発明とすることにより、現場において寸法が長すぎた場合の対応が簡単にできることになる。
請求項7の発明とすることにより、パネル体に設けられる上下枠同士を左右に隣接した場合に、これらのあいだに隙間を設けることによって長短の寸法調整が簡単にできることになり、しかも該隙間は、スペーサによって塞がれるため視認性が損なわれることもない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)(B)は右側パネル体の正面図、平面図である。
【
図4】(A)(B)は中間側パネル体の正面図、平面図である。
【
図5】(A)(B)は左側パネル体の正面図、平面図である。
【
図8】パネル体の連結部位の拡大平面断面図である。
【
図9】(A)(B)はパネル体の上側コーナー部位の正面図、上端部位の縦断面図である。
【
図10】(A)(B)はパネル体の下側コーナー部位の正面図、側面図である。
【
図11】(A)(B)は上枠間部位の正面図、下枠間部位の正面図である。
【
図12】第二の実施の形態を示す腰壁部位の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は本発明のパネル体2を用いて組み立てられた腰壁であって、該腰壁1は、複数枚のパネル体2を躯体側縦部材の一例である左右支柱3のあいだに左右方向に一連状に連結して取付けられたものであるが、パネル体2は、上下方向に長尺となった平板材(縦板材)4の複数枚を左右方向に一連状に連結することで形成された表面材(パネル材)2aを備えて構成されたものであり、この様に一連状に連結された表面材2aの上端縁には上枠(腰見切り)6が設けられ、下端縁には下枠(巾木)7が設けられたものとなっていると共に、裏面には左右方向に長い横桟(本発明の「補強材」に相当する。)5が上下に複数設けられたものとなっており、このような構成のパネル体2が基本的なものとなっており、そしてここまでが工場において製造され、現場搬送されるようになっている。
【0009】
尚、平板材4、上下枠6、7は、本実施の形態では何れも木材を用いて形成されている。また上下枠6、7は、平板材4の上下端縁部に表面(正面)側から覆い被さる構成になっていて、平板材4の上下端縁(切断面)が表面からは視認できないようになっている。因みに表面材2aは、本実施の形態のものでは平板材4を左右方向に連結したものとなっているが、これに限定されず、左右方向に長い平板材を上下方向の一連状に連結したものであってもよく、さらには一枚板状のものをそのまま採用したものであってもよいことは勿論である。
【0010】
前記平板材4は、左右両端縁部に凸状部4aと凹状部4bとが形成されたものであり、そして隣接する平板材4同士は、隣接する凹状部4a、凸状部4bを互いに雄雌嵌合することで左右方向に一連状に連結されたものとなって前記表面材2aが形成され、このようにして形成された表面材2aの裏面に、縦断面ハット型の横桟5の複数本が上下に間隔を存する状態で取付けられる。
【0011】
そして前記横桟5のうち上下方向中間部位の横桟5は、凹溝状になった上下両脚部5aおよびそのあいだの跨部5bと、両脚部5aの上下端縁から上下方向に延びる縁状部(鍔状部)5cと、該縁状部5cの上下端縁から裏面(背面)方向に延出する延出部5dとによって形成され、そして縁状部5cが前記平板状に形成された表面材2aの裏面に当接した状態で、該縁状部5c側(裏面側)から螺入したビス(固定具)5eによって固定されるようになっており、このようにすることでビス5eの頭部が表面側からは視認できないように配慮されている。
また最上端の横桟5は、前記中間部位の横桟5と同一形状のものが用いられているが、跨部5bが表面材2aの上端部に前後方向に対向する状態で上側の縁状部5cが上枠6にビス5eを介して固定され、下側の縁状部5cが表面材2aにビス5eを介して固定されている。
これに対して最下端の横桟5は、上側の縁状部5fが他の横桟5の場合と異なっていて上下方向に長い(幅広の)ものとなっており、そして跨部5bが下枠7の裏面に対向する状態で上側縁状部5fが下枠7と表面材2aの裏面にビス5eを介して固定され、下側縁状部5cが下枠7にビス5eを介して固定されている。
【0012】
そしてこのように構成されたパネル体2の複数枚が左右支柱3のあいだに左右方向一連状に連結して取付けられることになるが、隣接する左右パネル体2同士の連結は、各パネル体2の左右両端縁部に設けられる平板材4に形成の凸状部4a、凹状部4bを雄雌嵌合することにより左右方向一連状に連結される構成になっている。
【0013】
次に、パネル体2を取付けて腰壁とする現場での取付け作業手順の一例について説明するが、本発明は、該手順に拘泥されるものでないことは勿論である。
いま、前記パネル体2の複数毎を、右側支柱3から左側支柱3に向けて順次取付ける、という設定にした場合に、該取付け始めとなる右端側のパネル体2Rは、横桟5については、左右両端縁部が表面材2aの左右端縁から左右方向外方に突出する突出部5gを有するようにして設けられている一方、右端側の平板材4については、右端縁に設けられる凸状部4a部位が切断されていて無い構成になっているが、左端側の平板材4については、左端縁に設けられる凹状部4bをそのまま有する状態となっていて、パネル体2同士の連結に利用される構成になっている。因みに、右端縁が凸状部4aではなく凹状部4bであった場合に、該凹状部4bが無い構成になる。そして横桟5の突出部5g部位の跨部5bに、後述する連結手段を構成するナット8が固定(固定は、例えば溶着による。)状態で設けられている。
【0014】
これに対し、左右両側にパネル体2が連結される中間側のパネル体2Mは、横桟5については、左端部側が前記右端側パネル体2の場合と同様、突出部5gが設けられると共に該突出部5g部位の跨部5bに、本発明の連結手段を構成するナット8が固着された構成になっているが、右端側部5hについては、少なくとも隣接するパネル体2に設けられる横桟突出部5gの突出長さを越えた長さ分だけ短くなる設定になっており、これによってパネル体2同士を連結した場合に、隣接する横桟5同士は、端縁が当接するか僅かな間隙を存する状態で直線状(一連状)に連結するように設定されている。一方、隣接する表面材2a同士については、凸状部4a、凹状部4bが互いに雄雌嵌合して連結する構成になっている。
また左端側のパネル体2Lは、横桟5については左右両端側とも中間側パネル体2Mに設けた横桟5と同様の構成になっている一方、左端側の平板材4については、凹状部4bが切断されてない設定になっている。
【0015】
そしてこのように構成された各パネル体2を左右の支柱3間に配する状態で躯体側部材の一例である下地材としての壁面Wに取付けることになるが、この場合に、壁面Wが下側ほど前方にはみ出た平面状でないものとなったものに設定されている。
前記壁面Wには、ボルト(ネジ)9aを介して支持具(本発明の「躯体側部材」に相当する。)9が固定されるが、該支持具9には、本発明の連結手段を構成するボルト10が支持具9からは抜止めされる状態(例えばボルト頭側等の基端側が支持具9に係止することで抜け止めされる)で回転自在に支持されている。そして前記パネル体2は、該ボルト10を前記ナット8に螺入することで躯体側に取付けられることになるが、このような作業としては例えば、ボルト10が先端部に六角穴が形成されたものにし、そして図示しない六角レンチ(工具)を六角穴に差し込んで回転させることでボルト10をナット8に螺入させることができることになる。そしてボルト10のナット8への螺入量を調整することで、パネル体2の前後方向の位置調整ができることになって該パネル体2を垂直姿勢に取付けることができる設定になっている。
【0016】
そして本実施の形態においては、右端側パネル体2Rは、横桟5の右端側突出部5gが右側支柱3に対して間隙Sを存する状態で取付けられることになり、この結果、パネル体2は、表面材2aの右端縁と右側支柱3とのあいだに隙間Sを存するものとして取付けられることになり、そこで本実施の形態では、縦枠材(縦見切り)11を用いてこの隙間Sを塞ぐようにしているが、該縦枠材11は、前記表面材2aを構成する右端側平板材4の正面に対向(当接)して該右端側平板材4の右端側縁部を覆う表面材側片材11aと、表面材2aと右側支柱3との対向間隙に入り込んで横桟突出部5gの表面に対向(当接)する横桟側片部11bとを有したL字形のものに形成されている。
そして縦枠材11は、右端側パネル体2の右端縁部に隣接して前記間隙Sを埋設する状態で配設され、横桟側片部11bに正面側から螺入したビス11cにより横桟突出部5gに固定されるようになっている。尚、縦枠材11には、ビス11cを挿入するための挿入孔11dが設けられるが、該挿入孔11dは、塞ぎ体11eにより塞がれる設定になっている。
また、縦枠材11の上端部と上端側横材5の右端部とのあいだのコーナー部については、コーナー部材12が設けられており、これによって該コーナー部の仕上げがなされるようになっている。
そしてこのような縦枠材11、コーナー部材12については、腰壁1の右側端部だけでなく、左側端部についても同様の構成による取付けがなされるようになっている。
さらにまた、上枠6同士のあいだ、下枠7同士のあいだには隙間S1が設けられる構成になっているが、この隙間S1についてはスペーサ13、14が設けられることで塞がれる構成になっており、また下枠7と縦枠材11との間にも隙間S2が設けられ、該隙間S2はスペーサ13aが設けられることで塞がれる構成になっている(
図10、11参照)。そしてこのように構成することで、上下枠6、7については、隣接するもの同士のあいだの隙間S1により、左右方向長短の寸法調整ができることになり、取付け作業の作業性の向上を図れるが、この隙間S1はスペーサ13、14によって塞がれるため、視認性が損なわれることがない。
【0017】
このようにしてパネル体2を躯体側部材に取付けることができるが、次に、パネル体2を右側支柱3から左側支柱3に至る取付け手順について説明をする。因みに、各パネル体2は、平板材4、横桟5、上下枠6、7までが組付けられたものが工場出荷されるものとなり、これらが現場搬入されて躯体側への取付けがなされるように構成されている。
まず右端側パネル体2Rを取付けることになるが、該右端側パネル体2Rについては、横桟5を対応する支持具9位置に当てがい、ボルト10をナット8に螺入させることで、垂直姿勢に位置調整した状態にして取付けることになる。
【0018】
次に中間側パネル体2Mの取付け(組立て)であるが、該中間側パネル体2Mについても、右端側パネル体2Rの場合と同様、横桟5を対応する支持具9位置に当てがい、ボルト10をナット8に螺入することで取付けられることになるが、この場合に、前回取付けられた既設のパネル体2(右端側パネル体2Rの場合、または中間側パネル体2Mの場合がある。)における左端側平板材4の凹状部4bに、取付けようとする中間側パネル体2Mにおける右端側平板材4の凸状部4aを雄雌嵌合すると共に、既設のパネル体2の横桟5の左端側平板材4から突出した突出部5gに、新設する中間側パネル体2Mの右端側平板材4の裏面(背面)を当てがった対向状態で、ボルト10をナット8に螺入することで該中間側パネル体2Mの横桟5を支持具9に取付け固定される。この場合に、左右に隣接する横桟5同士は、対向間に隙間ができる設定になっている。
そして中間側パネル体2Mについては必要な枚数を既設のパネル体2に対して左側に一連上に連結する状態で取付けていくことになる。
【0019】
このようにして中間側パネル体2Mの取付けが終了(中間側パネル体2Mが設けられない場合には右端側パネル体2Rの取付けが終了)した後、最後として左端側パネル体2Lを取付けることになるが、該左端側パネル体2Lについては、中間側パネル体2Mを取付ける場合と同様、前回取付けられたパネル体2(右端側パネル体2Rの場合、または中間側パネル体2Mの場合がある。)における左端側平板材4の凹状部4bに、左端側パネル体2Lにおける右端側平板材4の凸状部4aを雄雌嵌合すると共に、既設のパネル体2の横桟5の左端側平板材4から突出した突出部5gに、左端側パネル体2Lの右端側平板材4の裏面(背面)を当てがった対向状態で、ボルト10をナット8に螺入することで該左端側パネル体2Lの壁面Wへの取付け固定ができるように設定される。
【0020】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、複数枚のパネル体2を用いて腰壁1を取付けることになるが、この場合において、隣接するパネル体2同士は、左右両端縁部に形成された凸状部4aと凹状部4bとを雄雌嵌合することにより左右方向に一連状に連結して取付けることで腰壁1を取付けることになるが、この場合に、壁面Wに凹凸があることでそのまま取付けたのでは面一状の腰壁1にならないとき、パネル体2の壁面Wへの連結手段を構成するボルト10、ナット8の螺入調整をする状態で該パネル体2を壁面Wに取付けることで、面一状の腰壁1を取付けることができる。この結果、パネル体2の現場での取付け作業が簡略化することになって作業性が向上する。
そしてこのように前後方向位置調整された状態で取付けられるパネル体2は、本実施の形態のものは右側から左側に向けて順次取付けられることになって腰壁1を構成することになる。
【0021】
しかもこの場合に、パネル体2は、平板状の表面材2aと該表面材2aの裏面に設けられる横桟5とを備えて構成されたものであり、しかも連結手段を構成するボルト10は壁面Wに回転自在に設けられ、ナット8は横桟5に固定された状態で設けられ、そしてボルト10を回転操作してナット8に対する螺入量の調整をすることで、パネル体2は前後方向位置調整自在に壁面Wに連結固定されることになってパネル体2を鉛直姿勢に取付けることが簡単にできることになる。
【0022】
その場合に、パネル体2に設けられる表面材2aは、縦方向に長く、左右両端縁部に互いに雄雌嵌合可能な凸状部4aと凹状部4bとが形成された平板材4の複数枚を左右に一連状に連結したもので構成されるため、表面材2aを、木製の平板材4を用いて形成したときに隣接する平板材4同士の間に隙間がない取付け作業を現場で行うことなく、工場で予めできることになり、現場作業の簡略化が図れることになる。
【0023】
そのうえこのものにおいては、左右に隣接するパネル体2のうちの一方の(先行して取付けられる)パネル体2に設けられる横桟5の突出部5gは前述したように壁面Wに取付け固定されるが、該突出部5gは、次に取付けられる他方のパネル体2の該パネル体側短縁部の裏面に向けて当接対向するよう突出していて、他方のパネル体2の一方のパネル体2側端縁部が支持されることになり、この結果、パネル体2は、突出部5gが配される一端側を躯体側となる壁面Wに対して、該突出部5gを取付け固定した片持ち状の取付けをしたとしても、該パネル体2の隣接するパネル体2側は、該隣接するパネル体2側の突出部5gを介して躯体側に支持されることになって、取付け強度が確保されるものでありながら取付け作業の作業性が向上する。
【0024】
そのうえこのものにおいては、左右両端側のパネル体2L、2Rに設けられる横桟5は、該パネル体2L、2Rの左右方向外端縁部よりも左右方向外方に突出する突出部5dが設けられることになり、この結果、該左右両端側のパネル体2L、2Rの左右方向外端縁部と支柱3とのあいだに間隙Sを存したものとなるが、該間隙Sには、表面材2aの正面に対向する表面材側片部11aと、横桟5の正面に対向する横桟側片部11bとを備えたL字形の縦枠材11がパネル体2L、2Rに隣接する状態で設けられるため、これらパネル体2L、2Rの端縁が、納まり寸法を調整するため切断された切断面を有するものであっても、該端縁を隠す状態での取付けが縦枠材11を用いて簡単にできることになる。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、例えば
図12以降に示される第二の実施の形態のものとしても本発明を実施することができる。このものは、パネル体2を構成するための表面材2aを、左右方向に長尺となった平板材(横板材)15の複数枚を上下方向に一連状に連結して平板状に形成されたものとし、この様に一連状に連結された表面材2aの上端縁には上枠(腰見切り)6が設けられ、下端縁には下枠(巾木)7が設けられたものとなっていると共に、左右端縁部の裏面には上下方向に長い縦桟16、17が設けられたものとなっており、このような構成のパネル体2が、前記実施の形態の場合と同様、工場において製造され、現場搬送されて取付けられるようになっている。
【0026】
この場合に、平板材15同士の連結は、前記第一の実施の形態の場合と同様、上下両端縁部に凸状部15aと凹状部15bとが形成されたもの(最上段の平板材15は下端縁部に凹状部15bのみが形成され、最下段の平板材15は上端縁部に凸状部15aのみが形成されたものとなっている。)であり、そして隣接する平板材15同士は、隣接する凸状部15a、凹状部15bを互いに雄雌嵌合することで上下方向に一連状に連結されたものとなって前記表面材2aが形成される。
【0027】
一方、縦桟16、17のうち、一方の縦桟16は、左右両端縁側のパネル体2R、2Lの左右方向外端縁部に設けられる端部用のものであり、他方の縦桟17は、隣接するパネル体2の連結部に設けられる連結用のものである。
そして端部用縦桟16は、左右両端側のパネル体2R、2Lの左右方向外端縁部に設けられるものであって、左右方向外側半部に前側開口部16a、内側半部に後側開口部16bが形成されたものであり、後側開口部16bの跨片部16eがビス16fを介して平板材15の後面に固定されるまでが工場での組み立てとなる。さらに前側開口部16aの左右方向外側脚片部16cの前端縁から左右方向内側に向けて切曲片部16dが形成され、現場において該切曲片部16dに縦枠材11がビス11cを介して固定されるようになっている。
【0028】
また連結用縦桟17は、左右に隣接するパネル体2同士の連結端縁部において、いずれか一方のパネル体2側に設けられるものであって、本実施の形態では、右側に隣接するパネル体2の左側端縁部に取付けられる構成になっている。そして連結用縦桟17は、左右方向中央部に前側開口部17a、左右方向両側に後側開口部17b、17cが形成されたものであり、右側の後側開口部17cの跨片部17dがビス17eを介して平板材15の裏面に固定されるまでが工場での組み立てとなる。さらに左側の後側開口部17bの跨片部17fが、現場において隣接するパネル体2の後面にビス17gを介して固定されるようになっている。
【0029】
そしてこのように構成されたパネル体2の複数枚が左右支柱3のあいだに左右方向一連状に連結して取付けられることになるが、隣接する左右パネル体2同士の連結は、前述したように、右側のパネル体2の左端縁部に設けた連結部用縦桟17のパネル体2から突出する左側の後側開口部17bの跨片部17fにビス17gを介して隣接するパネル体2の右側端縁部の後面に固定することで左右方向一連状に連結される構成になっている。
またこの場合に、隣接するパネル体2の左右方向端縁部同士は、一方が前側に凸状部15cが形成され、他方が後側に凸状部15dが形成された所謂相決り構造となっており、これによって隣接するパネル体2との端縁部同士が前後に互いに重合する状態で連結する構成になっている。そしてこのような相決り構造を、隣接する平板材15(若しくは平板材4)同士の雄雌嵌合による連結に代えて実施できることは言うまでもない。
【0030】
さらに本実施の形態において躯体側部材である壁面Wへのパネル体2の取付けをする際に用いられる連結手段として、有底円筒形状をし、底面部18aが壁面Wにビス18bを用いて固定される受け部材18と、該受け部材18にネジ嵌合することで前後方向位置調整がなされる嵌合部材19とを用いたもので構成し、そして壁面Wに固定した受け部材18に対して前後方向位置調整された嵌合部材19の前面部19aに、前記縦桟16、17の前側開口部16a、17aの跨片部16g、17hをビス19bを介して固定することで、パネル体2を垂直状に取り付けることができるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、建物の室内や廊下等の空間を仕切る壁面等の仕切り面に設けられる腰壁等のパネル体の取付けに利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 腰壁
2 パネル体
2a 表面材
4 平板材
4a 凸状部
4b 凹状部
5 横桟
5a 上下両脚部
5b 跨部
5e ビス
5g 突出部
8 ナット
9 支持具
10 ボルト
11 縦枠材
W 壁面