(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、消色装置、及び消色方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20231219BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231219BHJP
B41J 29/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G03G21/00 574
G03G21/00 370
B41J29/38 601
B41J29/26 B
(21)【出願番号】P 2020019187
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克典
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032735(JP,A)
【文献】特開2015-069185(JP,A)
【文献】特開2014-137555(JP,A)
【文献】特開2007-307827(JP,A)
【文献】特開平11-202704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0156458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により消色が可能な画像が形成されたシートの
領域全体を複数に分けた分割領域のうち消色させる
前記分割領域を指定する領域指定情報と、前記
分割領域ごとの過去に前記消色が行われた回数を示す履歴情報とを、前記シートに付された無線タグから読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記領域指定情報に基づく前記
分割領域に対して加熱する加熱部と、
前記加熱部によって加熱された前記
分割領域に対応する、前記無線タグに記憶された前記履歴情報を更新する更新部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記領域指定情報に基づく前記
分割領域のうち少なくとも1つの
前記分割領域において、前記
分割領域に対応する前記消色が行われた回数が所定値に達している場合、前記加熱部は、前記シートに対して加熱をしない
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シートの全ての
前記分割領域のうち少なくとも1つの
前記分割領域において、前記
分割領域に対応する消色が行われた回数が所定値に達している場合、前記加熱部は、前記シートに対して加熱をしない
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記無線タグに前記領域指定情報が記憶されていない場合、前記加熱部は、前記シートの全ての前記
分割領域に対して加熱する
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
加熱により消色が可能な画像が形成されたシートの
領域全体を複数に分けた分割領域のうち消色させる
前記分割領域を指定する領域指定情報と、前記
分割領域ごとの過去に前記消色が行われた回数を示す履歴情報とを、前記シートに付された無線タグから読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた前記領域指定情報に基づく前記
分割領域に対して加熱する加熱部と、
前記加熱部によって加熱された前記
分割領域に対応する、前記無線タグに記憶された前記履歴情報を更新する更新部と、
を備える消色装置。
【請求項6】
加熱により消色が可能な画像が形成されたシートの
領域全体を複数に分けた分割領域のうち消色させる
前記分割領域を指定する領域指定情報と、前記
分割領域ごとの過去に前記消色が行われた回数を示す履歴情報とを、前記シートに付された無線タグから読み取り、
読み取られた前記領域指定情報に基づく前記
分割領域に対して加熱し、
加熱された前記
分割領域に対応する、前記無線タグに記憶された前記履歴情報を更新する
消色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、消色装置、及び消色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグが付されたシート(以下、「タグシート」という。)への画像の形成と、形成された画像に関する情報(以下、「タグ情報」という。)の無線タグへの書き込みとを行う画像形成装置がある。無線タグとは、例えばRF(Radio Frequency)タグである。また、消色可能な画像をシートに形成するだけでなく、形成された画像を消色することができる画像形成装置がある。消色可能な画像は、例えば加熱により消色する記録剤(例えば消色トナー)等を用いて形成される。しかしながら従来、画像の消色とタグ情報の更新とは別々の装置を用いて行われる必要があった。そのため、これらを一連の動作で行うことが困難であり、ユーザの手間が増大するという課題があった。また、タグシートに形成された画像とタグ情報との間で、誤った対応付けがなされるリスクが生じ易いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、タグシートに形成された画像とタグ情報との整合性を容易に高めることができる画像形成装置、消色装置、及び消色方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、読取部と、加熱部と、更新部と、を持つ。読取部は、加熱により消色が可能な画像が形成されたシートの各領域のうち消色させる領域を指定する領域指定情報と、前記シートの領域ごとの過去に前記消色が行われた回数を示す履歴情報とを、前記シートに付された無線タグから読み取る。加熱部は、前記読取部によって読み取られた前記領域指定情報に基づく前記領域に対して加熱する。更新部は、前記加熱部によって加熱された前記領域に対応する、前記無線タグに記憶された前記履歴情報を更新する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の画像形成装置100の概略構成図。
【
図2】実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成図。
【
図3】実施形態の定着装置30の構成例を示す模式図。
【
図4】実施形態の定着装置30におけるヒータ59の長手方向と交差する断面図。
【
図5】実施形態の画像形成装置100に給紙されるシートSの一例を示す図。
【
図6】実施形態の画像形成装置100による分割領域ごとの管理を説明するための模式図。
【
図7】実施形態の画像形成装置100によるシートSに対する加熱処理を説明するための模式図。
【
図8】実施形態の画像形成装置100による履歴情報の更新を説明するための模式図。
【
図9】実施形態の画像形成装置100に給紙されるシートSの一例を示す図。
【
図10】実施形態の画像形成装置100による分割領域ごとの管理を説明するための模式図。
【
図11】実施形態の画像形成装置100によるシートSに対する加熱処理を説明するための模式図。
【
図12】実施形態の画像形成装置100による履歴情報の更新を説明するための模式図。
【
図13】実施形態の画像形成装置100の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態の画像形成装置、消色装置、及び消色方法では、タグシートに形成された画像とタグ情報との整合性を容易に高めることが可能になる。以下、画像形成装置、消色装置、及び消色方法について詳細に説明する。
【0008】
まず、
図1を参照して実施形態の画像形成装置100の全体構成について説明する。
図1は、実施形態の画像形成装置100の概略構成図である。画像形成装置100は、例えば複合機(MFP)である。
【0009】
画像形成装置100は、例えばトナー及び消色トナー等の記録剤を用いてシートS上に画像を形成する。また、画像形成装置100は、例えば消色トナー等の記録剤によってシートS上に形成された画像を消色する。シートSは、例えば紙又はラベル用紙等である。但し、シートSは、その表面に画像形成装置100が画像を形成できるものであれば、どのようなものであってもよい。なお、画像形成装置100は、シートS上にトナー像を定着させる方式の画像形成装置であってもよいし、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【0010】
画像形成装置100は、ディスプレイ1と、スキャナ部2と、プリンタ部3と、シート供給部4と、搬送部5と、制御部6と、排紙トレイ7と、コントロールパネル8と、反転ユニット9と、ハウジング10とを備える。
【0011】
ディスプレイ1は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ1は、画像形成装置100に関する種々の情報を表示する。ディスプレイ1は、例えば、ユーザによって選択される画像形成装置100の動作モードを表示する。動作モードには、通常の画像形成動作を行う通常動作モードと、シートS上の消色トナーを消色する消色動作を行う消色モードとが含まれる。
【0012】
通常動作モードとは、例えばコピー、FAX、及びスキャン等の画像形成装置における通常の動作を実行するモードである。通常動作モードには、通常のトナー(非消色トナー)による画像形成を行う動作モードと、消色トナーによる画像形成を行う動作モードとが含まれていてもよい。消色モードは、画像形成装置100を、シートSに形成された画像に対する消色処理を実行する消色装置として機能させる。
【0013】
ディスプレイ1は、これらの動作モードを表示する。ユーザは、例えばコントロールパネル8が備える入力ボタン等を押下する操作入力を行うことにより、画像形成装置100の動作モードを指定する。又は、ユーザは、例えばディスプレイ1及びコントロールパネル8からなるタッチパネルに表示されたアイコン等をタップする操作入力を行うことにより、画像形成装置100の動作モードを指定するようにしてもよい。
【0014】
スキャナ部2は、読み取り対象の画像を光の明暗として読み取る。スキャナ部2は、読み取られた画像を示す画像情報を生成し記録する。スキャナ部2は、生成された画像情報をプリンタ部3へ出力する。なお、記録された画像情報は、ネットワークを介して外部の装置等へ送信されてもよい。
【0015】
プリンタ部3は、スキャナ部2又は外部の装置から取得した画像情報に基づいて、トナー等の記録剤により出力画像(以下、「トナー像」という。)を形成する。プリンタ部3は、トナー像をシートSの表面上に転写する。プリンタ部3は、シートSの表面上のトナー像を加熱及び加圧して、トナー像をシートSに定着させる。なお、シートSは、シート供給部4によって供給されるシートであってもよいし、手指しされたシートであってもよい。
【0016】
プリンタ部3は、複数の画像形成部25と、レーザ走査ユニット26と、中間転写ベルト27と、転写部28と、定着装置30とを備える。
【0017】
画像形成部25は、感光体ドラム250を備える。画像形成部25は、スキャナ部2又は外部の装置から取得した画像情報に応じたトナー像を感光体ドラム250に形成する。複数の画像形成部(画像形成部251,画像形成部252,画像形成部253,及び画像形成部254)は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーによるトナー像を形成する。
【0018】
感光体ドラム250の周囲には、帯電器(不図示)、現像器(不図示)等が配置される。帯電器は、感光体ドラム250の表面を帯電させる。現像器は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナーを含む記録剤を収容する。現像器は、感光体ドラム250上の静電潜像を現像する。この結果、感光体ドラム250上には、各色のトナーによるトナー像が形成される。
【0019】
レーザ走査ユニット26は、帯電した感光体ドラム250にレーザ光Lを走査して感光体ドラム250を露光する。レーザ走査ユニット26は、各色の画像形成部(画像形成部251,画像形成部252,画像形成部253,及び画像形成部254)の感光体ドラム250を、それぞれに対応するレーザ光(レーザ光LY,レーザ光LM,レーザ光LC,及びレーザ光LK)によって露光する。これにより、レーザ走査ユニット26は、感光体ドラム250に静電潜像を形成する。
【0020】
中間転写ベルト27には、感光体ドラム250の表面のトナー像が1次転写される。
転写部28は、中間転写ベルト27上に1次転写されたトナー像を2次転写位置においてシートSの表面上に転写する。
定着装置30は、シートSに転写されたトナー像を、後述されるヒータ59により加熱し、後述される加圧ローラ58によって加圧することによって定着させる。
【0021】
また、プリンタ部3は、前述の画像形成処理だけでなく、画像消色処理を行うことができる。プリンタ部3は、加熱により消色可能な消色トナー等の記録剤によってシートS上に形成されている画像を消色する。プリンタ部3は、シートSを加熱することにより消色を行う。加熱は、例えば、プリンタ部3の定着装置30によって行われる。定着装置30は、画像形成処理が実行される際の温度よりも高い温度でシートSを加熱することによって消色する。例えば、定着装置30の定着ベルト57は、画像形成処理が実行される際にはヒータ59により摂氏100度に加熱される。例えば、定着装置30の定着ベルト57は、画像消色処理が実行される際にはヒータ59により摂氏130度に加熱される。
【0022】
シート供給部4は、プリンタ部3がトナー像を形成するタイミングに合わせて、シートSを1枚ずつ搬送部5へ供給する。シート供給部4は、シート収容部20と、ピックアップローラ21と、を備える。シート収容部20は、所定のサイズ及び所定の種類のシートSを収納する。ピックアップローラ21は、シート収容部20からシートSを1枚ずつ取り出す。ピックアップローラ21は、取り出したシートSを搬送部5へ供給する。
【0023】
搬送部5は、シート供給部4から供給されるシートSをプリンタ部3へ搬送する。搬送部5は、搬送ローラ23と、レジストローラ24とを備える。搬送ローラ23は、ピックアップローラ21から供給されるシートSをレジストローラ24へ搬送する。搬送ローラ23は、シートSの搬送方向の先端をレジストローラ24のニップNに突き当てる。レジストローラ24は、ニップNにおいてシートSを撓ませることにより、搬送方向でのシートSの先端の位置を整える。レジストローラ24は、プリンタ部3がトナー像をシートSに転写するタイミングに応じてシートSを搬送する。
【0024】
また、搬送部5は、第1リードライト部40と、第2リードライト部41とを備える。
第1リードライト部40及び第2リードライト部41は、搬送部5において搬送されるシートSに付された無線タグTから送出される電波を検知する。第1リードライト部40及び第2リードライト部41は、無線タグTに記憶される情報の読み取り、及び書き込みを行う。第1リードライト部40及び第2リードライト部41は、例えばRFIDリーダライタである。
【0025】
第1リードライト部40は、搬送部5の入口となる位置に備えられる。
図1に示されるように、第1リードライト部40は、例えば、シート供給部4からシートSが供給される位置(例えば、搬送ローラ23とレジストローラ24との間)に備えられる。
第2リードライト部41は、搬送部5の出口となる位置に備えられる。
図1に示されるように、第2リードライト部41は、例えば、排紙トレイ7へシートが排出される位置(例えば、排紙トレイ7と反転ユニット9との間)に備えられる。
【0026】
制御部6は、画像形成装置100が備える各機能部の動作を制御する。
排紙トレイ7は、画像の形成又は消色が行われた後に搬送部5から排出されたシートSを載置する。
コントロールパネル8は、複数の入力ボタンを備える。コントロールパネル8は、ユーザによる操作入力を受け付ける。コントロールパネル8は、ユーザによって行われた操作入力に応じた信号を、画像形成装置100の制御部6へ出力する。
なお、ディスプレイ1とコントロールパネル8とは一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0027】
反転ユニット9は、シートSの裏面に画像を形成するためシートSを反転させる。反転ユニット9は、定着装置30から排出されるシートSを、スイッチバックにより表裏反転させる。反転ユニット9は、反転したシートSをレジストローラ24に向けて搬送する。
ハウジング10は、画像形成装置100の外形を形成する。
【0028】
次に、
図2を参照して画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成図である。
【0029】
画像形成装置100は、ディスプレイ1と、スキャナ部2と、プリンタ部3と、シート供給部4と、搬送部5と、制御部6と、コントロールパネル8と、反転ユニット9と、第1リードライト部40と、第2リードライト部41と、通信部90とを備える。各機能部は、互いにバスで接続されている。
【0030】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、補助記憶装置93を備える。なお、CPU91の代わりに他のプロセッサが用いられてもよい。CPU91は、例えば補助記憶装置93に記憶されたプログラムを読み出し、メモリ92にロードする。CPU91は、メモリ92にロードされたプログラムを実行することによって、画像形成装置100を、ディスプレイ1、スキャナ部2、プリンタ部3、シート供給部4、搬送部5、コントロールパネル8、反転ユニット9、第1リードライト部40、第2リードライト部41、及び通信部90を備える装置として機能させる。
【0031】
メモリ92及び補助記憶装置93は、各種の記憶媒体を含んで構成される。なお、メモリ92及び補助記憶装置93は、一体の記憶媒体によって構成されてもよい。
メモリ92は、画像形成装置100が備える各機能部によって用いられるデータ及びプログラムを一時的に記憶する。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を含んで構成される。
補助記憶装置93は、画像形成装置100が備える各機能部によって用いられるデータ及びプログラムを記憶する。補助記憶装置93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の組み合わせ等を含んで構成される。
【0032】
通信部90は、画像形成装置100を外部の装置と通信接続させるための通信インタフェースである。
【0033】
次に、定着装置30について詳細に説明する。
図3は、実施形態の定着装置30の構成例を示す模式図である。
図3は、後述する熱源ブロック群31(熱源ブロック311~熱源ブロック319)の配置、及び熱源ブロック311~熱源ブロック319とこれらの駆動回路との接続状態を示している。
図4は、実施形態の定着装置30におけるヒータ59の長手方向と交差(直交)する断面図である。
図4は、後述するホルダ61の断面を示している。
【0034】
図3及び
図4に示されるように、実施形態の定着装置30は、定着ベルト57と、加圧ローラ58と、ヒータ59とを備える。
【0035】
定着ベルト57は、可撓性を有する材料で、厚さの薄い円筒状に形成されている。定着ベルト57は、無端状のベルト状部材(フィルム状も含む)である。定着ベルト57は、円筒状の基材(不図示)と、基材の外周面に配置された離型層(不図示)とを有する。なお、基材と離型層との間に、ゴム等の材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
【0036】
定着ベルト57の軸方向の両端部には、支持部材(不図示)が嵌め合わせられている。支持部材は、円筒部を定着ベルト57の軸方向の端部内に挿入して支持する。支持部材は、定着ベルト57の軸方向の両端部の形状を保持している。一方で、定着ベルト57の軸方向の中間部は、支持部材が嵌め合わされていないことにより、変形しやすい。定着ベルト57は、支持部材に支持された状態で、定着ベルト57の軸周りに回転可能である。
【0037】
例えば、定着ベルト57及び加圧ローラ58は、水平面に沿って並んで配置されている。加圧ローラ58は、加圧手段(不図示)によって定着ベルト57側へ加圧され、定着ベルト57の外周面に接触している。加圧ローラ58の表層及び定着ベルト57が互いに押しつぶされることによって、加圧ローラ58と定着ベルト57とが圧接する部分にはニップNが形成されている。ニップNでは、加圧ローラ58と定着ベルト57との間にシートSが挟み込まれる。
【0038】
加圧ローラ58は、ハウジング10に設けられたモータ(不図示)等の駆動源によって回転駆動する。加圧ローラ58が回転駆動すると、加圧ローラ58の駆動力がニップNで定着ベルト57に伝達され、定着ベルト57が従動回転する。加圧ローラ58及び定着ベルト57の回転により、ニップNに挟み込んだシートSが搬送方向下流側に搬送される。このとき、定着ベルト57の熱により、シートSに転写されたトナー像がシートSに定着する。また、定着ベルト57の熱により、消色トナー等の記録剤によってシートS上に形成されている画像が消色する。
【0039】
ヒータ59は、定着ベルト57の内周側に配置され、シート幅方向に長手方向を向けて(平行にして)延びている。ヒータ59は、少なくとも定着装置30に通紙可能な最大幅のシートSの全幅以上の長さを有している。定着ベルト57は、少なくともヒータ59の長さ以上の幅を有している。定着ベルト57は、ヒータ59と対向する範囲において加熱される。
【0040】
ヒータ59は、長手方向に延びる帯板状をなしている。ヒータ59は、定着ベルト57の内周面に表裏一側面(
図4の上面)を対向させて配置されている。ヒータ59は、ハウジング10に設けられた電源部(不図示)により出力制御されて発熱し、定着ベルト57を加熱する。ヒータ59は、当該ヒータ59の長手方向に延びるホルダ61に保持されている。
【0041】
図3及び
図4に示されるように、実施形態の定着装置30は、分割ヒータ方式により定着ベルト57を加熱する。ヒータ59の母体(例えばセラミック系のヒータ基板)上には、シート搬送方向と垂直な方向(シート幅方向)で、複数(例えば9つ)に分割された熱源ブロック群31(熱源ブロック311~熱源ブロック319)(加熱部)が設けられている。
【0042】
定着装置30は、シートSの幅方向中央部がヒータ59の長手方向中央部(図中線CLで示す。)と重なるように、シートSのシート幅方向の位置合わせを行うことができる。すなわち、定着装置30は、シートSの幅方向中央部とヒータ59の長手方向中央部CLとを一致させた状態でシートSを搬送することができる。又は、定着装置30は、シート幅方向一側を基準にシートSのシート幅方向の位置合わせ(サイド合わせ)を行うこともできる。又は、定着装置30は、シート幅方向に任意の位置で、シートSのシート幅方向の位置合わせを行うこともできる。
【0043】
熱源ブロック311~熱源ブロック319には、交流電源65から交流を印加する入力側電極(共通電極)66、及び出力側電極(個別電極)671~出力側電極679がそれぞれ備えられている。各出力側電極671~679には、駆動IC68のスイッチング素子がそれぞれ接続されている。熱源ブロック311~熱源ブロック319への通電は、駆動IC68によって個別に制御される。これにより、熱源ブロック311~熱源ブロック319は、個別に温度制御可能に構成される。
例えば、入力側電極は、ヒータ59におけるシート搬送方向の上流側に配置されている。出力側電極は、ヒータ59におけるシート搬送方向の下流側に配置されている。なお、
図3では上流側に共通電極(入力側電極)が配置されているが、下流側に共通電極が配置されてもよい。
【0044】
図4に示されるように、ヒータ59及びホルダ61の断面視において、ヒータ59を支持するホルダ61は、定着ベルト57の内周側でフレーム62に支持されている。ホルダ61は、ヒータ59を表裏他側面(
図4の下面)側から支持している。以下、ヒータ59の表裏一側面をヒータ表面591、表裏他側面(被支持面)をヒータ裏面592ということがある。
【0045】
ヒータ表面591は、保護層(不図示)下に熱源ブロック311~熱源ブロック319を配置した加熱面である。ヒータ裏面592は、ヒータ59の厚さを経て熱源ブロック311~熱源ブロック319の熱が伝わる伝熱面である。
【0046】
ヒータ59は、ニップ上流側及びニップ下流側の両側において、ホルダ61に当接支持されている。ヒータ59は、ニップ上流側及びニップ下流側の間では、ホルダ61に当接せず、ホルダ61への伝熱を抑えている。
【0047】
ホルダ61は、フレーム62に支持される底壁部71と、底壁部71のニップ上流側から起立する上流側壁部72と、底壁部71のニップ下流側から起立する下流側壁部73と、を備えている。ホルダ61は、
図4の断面視で、底壁部71、上流側壁部72及び下流側壁部73を一体化したコ字状をなしている。ヒータ59は、上流側壁部72及び下流側壁部73の間に嵌まり込むように、ホルダ61に支持されている。
【0048】
ホルダ61は、ニップ上流側に、ヒータ59の上流側を支持する第一リブ(突条)74を備えるとともに、ニップ下流側に、ヒータ59の下流側を支持する第二リブ(突条)75を備えている。第一リブ74及び第二リブ75は、ホルダ61の底壁部71からヒータ59側へ、ヒータ59の表裏面と直交するように起立している。第一リブ74及び第二リブ75の起立高さは、上流側壁部72及び下流側壁部73の起立高さよりも低い。実施形態においては、第一リブ74はホルダ61の上流側壁部72に一体化され、第二リブ75はホルダ61の下流側壁部73に一体化されている。
【0049】
第一リブ74及び第二リブ75は、ヒータ59の長手方向(シート幅方向)に沿って延びている。第一リブ74及び第二リブ75は、ヒータ59の全長に渡るように延びている。第一リブ74及び第二リブ75は、ヒータ裏面592のニップ上流側及びニップ下流側の両側を、下方から当接支持している。ヒータ59のシート搬送方向の両側縁部593は、上流側壁部72及び下流側壁部73の内壁面に近接又は当接している。ヒータ59は、ホルダ61の第一リブ74及び第二リブ75、並びに上流側壁部72及び下流側壁部73に対して固定されている。
【0050】
ホルダ61は、第一リブ74及び第二リブ75の間では、ヒータ裏面592から離間している。なお、ホルダ61の第一リブ74及び第二リブ75の間において、ヒータ裏面592を部分的に支持するリブ等を設けてもよい。ホルダ61は、ニップ上流側及びニップ下流側の間において、ヒータ裏面592を避ける部位を備えていればよい。
【0051】
第一リブ74及び第二リブ75は、ヒータ裏面592に接触してヒータ59を支持する支持部610を構成している。第一リブ74及び第二リブ75は、ヒータ59の長手方向で部分的に切り欠かれている。すなわち、第一リブ74及び第二リブ75には、ヒータ裏面592と非接触となる切り欠き部(不図示)が部分的に形成されている。ヒータ裏面592と非接触となる退避部(不図示)は、リブに形成された切り欠き部に限らず、ヒータ裏面592との接触を避けた孔や凹部等でもよい。退避部が部分的であれば、ヒータ59の支持剛性は確保される。
【0052】
以下、実施形態の画像形成装置100による画像の消色方法について説明する。
画像形成装置100のシート収容部20には、加熱により消色が可能な画像が形成されシートSが給紙される。シートSは、無線タグTが付されたタグシートである。例えば、シート収容部20には、
図5に示されるような画像が形成されたシートSAが給紙されたものとする。
【0053】
図5は、実施形態の画像形成装置100に給紙されるシートSの一例を示す図である。
図5に示されるように、シートSAには、3つの図形(図形spa,図形spb,及び図形spc)を示す画像がそれぞれ形成されている。図形spa,図形spb,及び図形spcを示すそれぞれの画像は、いずれも加熱により消色可能な記録剤(例えば、消色トナー)によって形成された画像である。
【0054】
画像形成装置100は、シートS全体を複数の領域に分けて、領域ごとに情報を管理して消色に関する処理(以下、「消色処理」という。)を行う。例えば、画像形成装置100は、シートSA全体を
図6に示されるような複数の領域(以下、「分割領域」という。)に分けて情報を管理する。
【0055】
図6は、実施形態の画像形成装置100による分割領域ごとの管理を説明するための模式図である。
図6に示されるように、画像形成装置100は、シートSAを9行×24列からなる合計216個の分割領域に分割して情報を管理する。なお、以下の説明では、M行目かつN列目に相当する領域を(M,N)と記載する。
【0056】
画像形成装置100は、シートSAに形成された画像を消色する場合、シートS全体を加熱して画像を消色するのではなく、画像が含まれる分割領域のみを加熱して当該画像を消色する。例えば、
図6に示されるシートSAの場合、図形spaを示す画像が含まれる分割領域は、(3,4)、(3,5)、(3,6)、(4,3)、(4,4)、(4,5)、(4,6)、(5,3)、(5,4)、(5,5)、(6,3)、(6,4)、(6,5)、(7,3)、(7,4)、(7,5)、(8,3)、(8,4)、(8,5)、(8,6)、(9,4)、(9,5)、及び(9,6)である。
【0057】
このように、画像が形成された分割領域のみが加熱されることによって、画像形成装置100における消費電力の低減を図ることができる。また一般的に、シートの特性により、シートの同一箇所に対して加熱して消色を行うことができる回数には限りがある。本実施形態では、シートSの同一箇所に対して加熱して消色を行うことができる回数の上限値は10回であるものとする。画像が形成された領域のみが消色の対象となることによって、シートSの各分割領域における消色回数の増加を抑えることができるため、シートSが有効に活用される。
【0058】
図7は、実施形態の画像形成装置100によるシートSに対する加熱処理を説明するための模式図である。
図7に示されるように、画像形成装置100は、9個の熱源ブロック群31(熱源ブロック311~熱源ブロック319)を用いてシートSAに対する加熱処理を実行する。このように、画像形成装置100が備える熱源ブロックの個数は、分割領域の行数(9行)に相当する。
【0059】
熱源ブロック群31は、前述の定着装置30に備えられている。定着装置30は、消色装置としても機能する。定着装置30は、熱源ブロック311~熱源ブロック319をそれぞれ適宜加熱することにより、前述の定着ベルト57を加熱させる。そして、定着装置30は、前述の加圧ローラ58により、加熱された定着ベルト57に対してシートSが加圧されることによって、所望の分割領域を加熱させることができる。これにより、シートSに形成された画像が消色される。
【0060】
例えば、定着装置30は、熱源ブロック313を加熱することにより、3行目の分割領域(例えば(3,4)の分割領域)を加熱させることができる。なお、定着装置30が、所望の列の分割領域を加熱させる方法としては、次のような方法が考えられる。例えば、シートSが定着装置30へ搬送され、加熱対象の分割領域が加圧ローラ58の位置に位置付けられた時にのみ、加圧ローラ58がシートSに対する加圧を行う構成にしてもよい。又は、例えば、シートSが定着装置30へ搬送され、加熱対象の分割領域が加圧ローラ58の位置に位置付けられた時にのみ、定着ベルト57が加熱された状態となっているように制御される構成にしてもよい。
【0061】
画像形成装置100は、シートSの分割領域ごとに消色が実行された回数を管理する。シートSの各分割領域に対して過去に消色が行われたそれぞれの回数を示す情報(以下、「履歴情報」という。)は、シートSに付された無線タグTに予め記憶されている。なお、履歴情報は、例えばサーバ等の外部装置に記憶されている構成であってもよい。画像形成装置100は、シートSに形成された画像の消色を行った場合、履歴情報の値を更新する。画像形成装置100は、消色を行った分割領域に該当する履歴情報の値に対して加算を行う。
【0062】
図8は、実施形態の画像形成装置100による履歴情報の更新を説明するための模式図である。例えば、
図5に示されるシートSAに形成された画像に対して初めて消色が行われる場合、当該消色が行われる前の時点では、全ての分割領域において履歴情報の値は0[回]である。画像形成装置100は、シートSAに形成されている3つの図形(図形spa,図形spb,及び図形spc)の消色を行った場合、加熱が行われた各分割領域に対応するそれぞれの履歴情報の値に対して加算を行う。
図8に示されるように、画像形成装置100は、加熱された分割領域に対応する履歴情報の値にそれぞれ1を加算して、「0」から「1」に更新する。
【0063】
次に、画像形成装置100によって消色がなされた前述のシートSAに対し、画像形成装置100又は他の画像形成装置によって再び画像形成が行われたものとする。そして、例えば、シート収容部20から、
図9に示されるようなシートSAが給紙されるものとする。
【0064】
図9は、実施形態の画像形成装置100に給紙されるシートSの一例を示す図である。
図9に示されるように、シートSAには、3つの図形(図形spd,図形spe,及び図形spf)を示す画像がそれぞれ形成されている。図形spa,図形spb,及び図形spcを示すそれぞれの画像は、いずれも加熱により消色可能な記録剤(例えば、消色トナー)によって形成された画像である。図示されるように、
図5に示されるシートSA上に形成された画像(最初に形成された画像)の位置と、
図9に示されるシートS上に形成された画像(2回目に形成された画像)の位置とは互いに異なる。
【0065】
図10は、実施形態の画像形成装置100による分割領域ごとの管理を説明するための模式図である。画像形成装置100は、3つの図形(図形spd,図形spe,及び図形spf)を示す画像のいずれかが含まれる分割領域のみを加熱して、当該画像を消色する。例えば、
図10に示されるシートSAの場合、図形spdを示す画像が含まれる領域は、(4,6)、(4,7)、(4,8)、(5,5)、(5,6)、(5,7)、(6,5)、(6,6)、(6,7)、(7,5)、(7,6)、(7,7)、(8,5)、(8,6)、(8,7)、(9,6)、(9,7)、及び(9,8)である。
【0066】
図11は、実施形態の画像形成装置100によるシートSに対する加熱処理を説明するための模式図である。画像形成装置100は、9個の熱源ブロック群31(熱源ブロック311~熱源ブロック319)を用いてシートSAに対する加熱処理を実行する。
【0067】
画像形成装置100は、シートSの分割領域ごとに消色が実行された回数を管理する。前述の履歴情報は、シートSに付された無線タグTに予め記憶されている。具体的には、
図9に示されるシートSに付された無線タグTには、
図8に示されるような履歴情報が記憶されている。画像形成装置100は、シートSAに形成された画像の消色を再び行った後、履歴情報を更新する。画像形成装置100は、消色を行った分割領域に該当する履歴情報の値に対して加算を行う。
【0068】
図12は、実施形態の画像形成装置100による履歴情報の更新を説明するための模式図である。例えば、
図9に示されるシートSAに形成された画像に対して消色が行われる場合、消色が行われる前の時点では、各分割領域に対応する履歴情報の値は
図8に示されるような値となっている。画像形成装置100は、シートSAに形成されている3つの図形(図形spd,図形spe,及び図形spf)の消色を行った場合、加熱が行われた各分割領域に対応するそれぞれの履歴情報の値に対して加算を行う。
図12に示されるように、画像形成装置100は、加熱された分割領域に対応する履歴情報の値に対して、それぞれ1を加算するように更新する。
【0069】
図12に示されるように、初回の消色及び2回目の消色の双方の処理において加熱がなされた分割領域に対応する履歴情報の値は「2」となる。また、初回の消色及び2回目の消色のいずれか一方の処理において加熱がなされた分割領域に対応する履歴情報の値は「1」となる。このように、画像形成装置100は、分割領域ごとに消色が行われた回数を管理することができる。
【0070】
画像形成装置100は、シートSに形成された画像を消色する指示を受け付けた場合、当該シートSに付された無線タグTに記憶された履歴情報を読み取る。また、画像形成装置100は、シートSに付された無線タグTに記憶された、消色の対象である分割領域を指定する情報(以下、「領域指定情報」という。)を読み取る。消色の対象である分割領域とは、すなわち、消色トナー等によって形成された画像をが含まれる領域である。なお、領域指定情報は、例えばサーバ等の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0071】
画像形成装置100は、領域指定情報に基づいて指定された消色対象となる各分割領域に対応する、それぞれの履歴情報を参照する。画像形成装置100は参照された履歴情報のうち、予め定められた消色の回数の上限値(例えば10回)に達している履歴情報が存在するか否かを確認する。予め定められた消色の回数の上限値に達している履歴情報が存在する場合、画像形成装置100は、シートSAに形成された画像に対する消色処理を行わずに、当該シートSAを排出する。これにより、画像形成装置100は、消色の回数の上限値を超える回数の消色処理が行われないようにすることができる。
【0072】
なお前述の通り、本実施形態の画像形成装置100は、領域指定情報に基づいて指定された分割領域のうち少なくとも1つの分割領域において、消色が行われた回数が所定値に達している場合には、熱源ブロック群31に加熱をさせない構成である。但し、この構成に限られるものではなく、次のような構成であってもよい。画像形成装置100は、シートSに含まれる全ての分割領域のうち少なくとも1つの分割領域において、消色が行われた回数が所定値に達している場合には、熱源ブロック群31に加熱をさせないような構成であってもよい。すなわち、画像形成装置100は、今回消色対象となっている分割領域であるか否かに関わらず、消色が行われた回数が所定値に達している分割領域がシートS内に1つでもあるならば、消色処理を行わないような構成であってもよい。
【0073】
以下、実施形態の画像形成装置100の動作の一例について説明する。
図13は、実施形態の画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、画像形成装置100の制御部6に対して消色実行指示が出力された際に開始する。
【0074】
消色実行指示とは、画像形成装置100に、シートS上に形成された、加熱により消色が可能な画像を消色させるための指示である。消色実行指示は、ユーザがコントロールパネル8を用いて消色モードを指定し、消色処理を実行開始させるための操作入力を行った場合に、制御部6へ出力される。なお、消色実行指示は、例えばユーザがパソコン等の外部装置を用いて操作入力を行うことにより制御部6へ出力されてもよい。
【0075】
制御部6は、消色実行指示の入力を受け付ける(ACT001)。次に、制御部6は、シート供給部4及び搬送部5を制御し、シート収容部20に載置されたシートSを定着装置30に向けて給紙する(ACT002)。給紙されるシートSは、搬送部5の入口となる位置に設置された第1リードライト部40の近傍を通過する。第1リードライト部40(読取部)は、シートSに付された無線タグTから送出される電波を検知し、当該無線タグTに記憶された情報を読み取る(ACT003)。無線タグTに記憶された情報には、少なくとも前述の履歴情報が含まれる。また、無線タグに記憶された情報には、前述の領域指定情報が含まれていてもよい。
【0076】
第1リードライト部40は、読み取られた情報を制御部6へ出力する。制御部6は、第1リードライト部40から取得した情報を補助記憶装置93に格納する。制御部6は、補助記憶装置93に領域指定情報が格納されている場合、当該領域指定情報を参照し、消色対象の分割領域を特定する。なお、制御部6は、補助記憶装置93に領域指定情報が格納されていない場合には、シートSの全ての分割領域を消色対象として特定する。
【0077】
次に、制御部6は、補助記憶装置93に格納された履歴情報を参照し、特定された各分割領域にそれぞれ対応する消色回数を特定する。次に、制御部6は、特定された消色回数のうち1つでも所定の上限値に達しているならば(ACT004・Yes)、消色処理を実行させることなく搬送部5にシートSを排出させる(ACT010)。以上で、
図13のフローチャートが示す画像形成装置100の動作が終了する。
【0078】
制御部6は、特定された消色回数のいずれも所定の上限値に達していなく(ACT004・No)、かつ、補助記憶装置93に領域指定情報が格納されているならば(ACT005・Yes)、定着装置30を制御し、領域指定情報に基づいて指定された分割領域に該当する熱源ブロックを加熱させる(ACT006)。一方、制御部6は、特定された消色回数のいずれも所定の上限値に達していなく(ACT004・No)、かつ、補助記憶装置93に領域指定情報が格納されていないならば(ACT005・No)、定着装置30を制御し、全ての熱源ブロックを加熱させる(ACT007)。
【0079】
制御部6は、搬送部5を制御し、加熱によって画像の消色がなされたシートSを排紙トレイ7に向けて搬送させる(ACT008)。制御部6は、加熱を行った分割領域を示す加熱実施情報を第2リードライト部41へ出力する。第2リードライト部41は、制御部6から出力された加熱実施情報を取得する。
【0080】
搬送されるシートSは、搬送部5の出口となる位置に設置された第2リードライト部41の近傍を通過する。第2リードライト部41は、シートSに付された無線タグTから送出される電波を検知する。第2リードライト部41(更新部)は、無線タグTに記憶されたタグ情報を更新する(ACT009)。具体的には、第2リードライト部41は、制御部6から取得した加熱実施情報に基づく分割領域に対応する履歴情報の値に対して1を加算することにより、当該履歴情報を更新する。
【0081】
搬送部5は、シートSを排紙トレイ7に排出する(ACT010)。以上で、
図13のフローチャートが示す画像形成装置100の動作が終了する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置100は、過去に消色が行われた回数を、シートSの分割領域ごとに管理する。画像形成装置100は、過去に消色が行われた回数が所定の上限値に達している分割領域が存在するならば、消色処理を実行しない。また、画像形成装置100は、過去に消色が行われた回数が所定の上限値に達している分割領域が存在しないならば、消色処理を実行する。画像形成装置100は、消色処理を実行した場合、当該消色処理において加熱を行った分割領域に対応する回数の値に対して、1を加算する。これにより、画像形成装置100は、人手を介することなく、過去に消色が行われた回数を管理し、上限値を超える回数の消色処理を行わないようにすることができる。
【0083】
また、上記のような構成を備えることにより、本実施形態における画像形成装置100は、画像の消色とタグ情報の更新とを一連の動作で行うことができる。これにより、画像形成装置100は、タグシートに形成された画像とタグ情報との整合性を容易に高めることができる。
【0084】
上述した実施形態における画像形成装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1…ディスプレイ、2…スキャナ部、3…プリンタ部、4…シート供給部、5…搬送部、6…制御部、7…排紙トレイ、8…コントロールパネル、9…反転ユニット、10…ハウジング、20…シート収容部、21…ピックアップローラ、23…搬送ローラ、24…レジストローラ、25…画像形成部、250…感光体ドラム、26…レーザ走査ユニット、27…中間転写ベルト、28…転写部、30…定着装置、31…熱源ブロック群、40…第1リードライト部、41…第2リードライト部、57…定着ベルト、58…加圧ローラ、59…ヒータ、61…ホルダ、610…支持部、62…フレーム、65…交流電源、66…入力側電極、67…出力側電極、71…底壁部、72…上流側壁部、73…下流側壁部、74…第一リブ、75…第二リブ、90…通信部、91…CPU、92…メモリ、93…補助記憶装置、100…画像形成装置