(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20231219BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231219BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620C
H02G3/04 068
(21)【出願番号】P 2020022742
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】木暮 直人
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038123(JP,A)
【文献】特開2017-222306(JP,A)
【文献】特開2019-047642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体とスライドドアとの間に配索されるワイヤハーネスであって、複数の電線と、前記電線の外周を覆うコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブの湾曲を規制する支持部材と、を有する前記ワイヤハーネスを、前記スライドドアに取り付けるためのドア側ユニットであって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部
が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を備え
、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ドア側ユニット。
【請求項2】
車両本体とスライドドアとの間に配索されるワイヤハーネスであって、複数の電線と、前記電線の外周を覆う管状のコルゲートチューブと、を備え、前記コルゲートチューブが、本体部と前記本体部よりも剛性の高い剛性部とが長手方向に並んで設けられた前記ワイヤハーネスを、前記スライドドアに取り付けるためのドア側ユニットであって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部
が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を備え
、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ドア側ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドア側ユニットであって、
前記付勢部材は、トーションバネから構成されている、
ドア側ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のドア側ユニットであって、
前記ドア側取付部は、
前記回転軸を有し、
前記ドア側固定部は、前記回転軸を回転自在に支持する軸受部を有し、
前記トーションバネは、前記回転軸に巻かれて配置されている、
ドア側ユニット。
【請求項5】
ワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと、
前記ワイヤハーネスをスライドドアに取り付けるドア側ユニットと、を備えたワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ドア側ユニットは、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部
が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を有
し、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ワイヤハーネスの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両本体とスライドドアとの間にワイヤハーネスを配索するワイヤハーネスの配索構造として、例えば、特許文献1、2に記載された給電装置が提案されている。
【0003】
特許文献1、2に記載された給電装置は、ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと、ワイヤハーネスをスライドドアに取り付けられるドア側ユニットと、から構成されている。本体側ユニットおよびドア側ユニット間の距離は、スライドドアが全閉状態および全開状態のとき最も離れ、ワイヤハーネスが張られる。また、本体側ユニットおよびドア側ユニット間の距離は、スライドドアが半開状態のときに最も近づき、ワイヤハーネスが弛む。
【0004】
上述した本体側ユニットはドア側ユニットよりも鉛直下側に設けられている。このため、ワイヤハーネスが弛んで、鉛直下側に垂れると、車両本体側に配置された周辺部品に干渉して、引っ掛かりや傷つきが発生してしまう、という問題があった。
【0005】
そこで、従来では、ワイヤハーネスを構成するコルゲートチューブや、コルゲートチューブの湾曲を規制するコルゲートガイド(支持部材)の剛性を高める必要があり、コルゲートチューブやコルゲートガイドが大型化してしまう、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-206051号公報
【文献】特開2017-222306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤハーネスの鉛直下側への垂れを抑制することができるドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造は、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
車両本体とスライドドアとの間に配索されるワイヤハーネスであって、複数の電線と、前記電線の外周を覆うコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブの湾曲を規制する支持部材と、を有する前記ワイヤハーネスを、前記スライドドアに取り付けるためのドア側ユニットであって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を備え、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ドア側ユニットであること。
[2]
車両本体とスライドドアとの間に配索されるワイヤハーネスであって、複数の電線と、前記電線の外周を覆う管状のコルゲートチューブと、を備え、前記コルゲートチューブが、本体部と前記本体部よりも剛性の高い剛性部とが長手方向に並んで設けられた前記ワイヤハーネスを、前記スライドドアに取り付けるためのドア側ユニットであって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を備え、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ドア側ユニットであること。
[3]
[1]又は[2]に記載のドア側ユニットであって、
前記付勢部材は、トーションバネから構成されている、
ドア側ユニットであること。
[4]
[3]に記載のドア側ユニットであって、
前記ドア側取付部は、前記回転軸を有し、
前記ドア側固定部は、前記回転軸を回転自在に支持する軸受部を有し、
前記トーションバネは、前記回転軸に巻かれて配置されている、
ドア側ユニットであること。
[5]
ワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを車両本体に取り付ける本体側ユニットと、
前記ワイヤハーネスをスライドドアに取り付けるドア側ユニットと、を備えたワイヤハーネスの配索構造であって、
前記ドア側ユニットは、
前記ワイヤハーネスに取り付けられるドア側取付部と、
前記ドア側取付部が有する回転軸を回転自在に支持すると共に前記スライドドアに固定されるドア側固定部と、
前記ドア側取付部および前記ドア側固定部間に設けられ、前記ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する付勢部材と、を有し、
前記ドア側取付部は、前記ワイヤハーネスの延在方向の一部分の外周を覆うように前記一部分を固定する筒状部を有し、
前記スライドドアの全閉状態及び全開状態と比べて前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの距離が近づくことで前記本体側ユニットと前記ドア側ユニットとの間の前記ワイヤハーネスが弛む前記スライドドアの半開状態において、前記ワイヤハーネスが前記本体側ユニットへ向けて延出する前記筒状部の一端部が前記回転軸よりも車両前側に位置し、且つ、前記付勢部材は、前記筒状部の一端部が鉛直上側に引き上げられる回転方向に、前記ドア側取付部を付勢する、
ワイヤハーネスの配索構造であること。
【0009】
上記[1]、[2]および[5]の構成のドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造によれば、ワイヤハーネスが弛むと、付勢部材の付勢力により、ワイヤハーネスが鉛直上側に引き上げられる回転方向に、ドア側取付部が回転する。これにより、ワイヤハーネスの鉛直下側への垂れを抑制することができる。
また、上記[1]の構成のドア側ユニットによれば、ワイヤハーネスの垂れの抑制を支持部材と付勢部材とに分散できるため、コルゲートガイドと付勢部材との小型化、簡素化を図ることができる。
また、上記[2]の構成のドア側ユニットによれば、ワイヤハーネスの垂れの抑制をコルゲートチューブと付勢部材とに分散できるため、コルゲートチューブと付勢部材との小型化、簡素化を図ることができる。
上記[3]の構成のドア側ユニットによれば、付勢部材がトーションバネから構成されている。これにより、付勢部材の構成を簡素にすることができる。
上記[4]の構成のドア側ユニットによれば、トーションバネが、ドア側取付部の回転軸に巻かれて配置されている。トーションバネの収容スペースを小さくすることができ、ドア側ユニットの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コルゲートチューブ、支持部材、付勢部材自体の小型化、簡素化を図りつつワイヤハーネスの鉛直下側への垂れを抑制するドア側ユニットおよびワイヤハーネスの配索構造を提供することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のワイヤハーネスの配索構造の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すワイヤハーネスを構成するコルゲートガイドの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す本体側ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すドア側ユニットの概略側面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すドア側ユニットを構成するロータリーインナの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5に示すドア側ユニットを構成するプロテクタの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5に示すドア側ユニットを構成するトーションバネの側面図である。
【
図10】
図10は、スライドドアが全閉状態のときのドア側ユニットのプロテクタとロータリーインナとの関係を示す図である。
【
図11】
図11は、スライドドアが半開状態のときのドア側ユニットのプロテクタとロータリーインナとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
本実施形態のワイヤハーネスの配索構造1(以下、「配索構造1」と略記する)は、車両本体と、車両本体にスライド自在に取り付けられるスライドドアと、の間にワイヤハーネス2を配索させるためのものである。
図1に示すように、配索構造1は、ワイヤハーネス2と、本体側ユニット3と、ドア側ユニット4と、を備える。
図1は、スライドドアの全閉状態、半開状態および全開状態のそれぞれにおけるワイヤハーネス2の様子を示している。
【0015】
ワイヤハーネス2は、車両本体からスライドドアに亘って設けられるものであって、複数の電線5と、電線5の外周を覆うコルゲートチューブ6と、コルゲートチューブ6の湾曲を規制するコルゲートガイド12(
図2)と、で構成されている。
【0016】
電線5は、車両本体に搭載されたバッテリに電気的に接続されるとともに、スライドドアに設けられた電装部品(スピーカやパワーウインドウ等)に電気的に接続され、バッテリから電装部品に電力を供給するように設けられる。なお、電線5は、コルゲートチューブ6よりも長く形成され、その両端がコルゲートチューブ6から引き出されて露出している。
【0017】
コルゲートチューブ6は、管状に形成され、管内側に電線5が配置される。このコルゲートチューブ6は、管状であれば、特に断面視して円形に構成されていてもよいし、楕円形や長円形等に構成されていてもよいし、多角形状に構成されていてもよい。また、コルゲートチューブ6は、電線5を投入するために長手方向に延びる切り欠きを備えていてもよいし、備えていなくともよい。本実施形態のコルゲートチューブ6は、合成樹脂から構成され、凹溝と凸条が交互に設けられた蛇腹状に設けられ、可撓性を有する。
【0018】
コルゲートガイド12(支持部材)は、適宜な弾性を有する部材(例えば合成樹脂等)によって形成され、
図2に示すように、帯板部121と、帯板部121における幅方向両側の端部から略垂直に立設された複数の規制部122と、を有する。コルゲートガイド12は、電線5と共にコルゲートチューブ6の内側に設けられ、帯板部121と規制部122とによって電線5を囲むとともに、電線5に沿って延びる。
【0019】
帯板部121は、面直方向の外力によって撓み変形するとともに、面内方向の外力によってはほとんど変形しない。また、複数の規制部122は、T字状かつ板状に形成され、点線で示すように、帯板部121が平板状となった際に隣り合うもの同士が互いに当接し、実線で示すように、帯板部121が面直方向の一方側(規制部122側)に向かって凸に撓み変形した際に隔離する。即ち、複数の規制部122は、帯板部121が面直方向の一方側に向かって凸に撓み変形することを許容し、他方側に向かって凸に撓み変形することを規制する。
【0020】
従って、コルゲートガイド12は、帯板部121の面直方向の一方側に向かう方向を、ワイヤハーネス2の屈曲を許容する屈曲許容方向とし、その反対側(他方側)に向かう方向をワイヤハーネス2の屈曲を規制する屈曲規制方向とする。尚、屈曲許容方向においても、帯板部121の弾性によってワイヤハーネス2が過度に屈曲しないようになっている。また、コルゲートガイド12はその他の方向において撓みや捻じれが生じにくく、ワイヤハーネス2がほとんど屈曲しないようになっている。
【0021】
本体側ユニット3は、ワイヤハーネス2の一端部を上下方向に沿った軸回りに回転自在に車両本体に取り付ける。ドア側ユニット4は、ワイヤハーネス2の他端部を車幅方向に沿った軸回りに回転自在にスライドドアに取り付ける。本体側ユニット3は、ドア側ユニット4よりも鉛直下側の例えば床部に配置されている。
【0022】
次に、上記本体側ユニット3の詳細について説明する。本体側ユニット3は、
図3に示すように、ワイヤハーネス2の一端部に取り付けられるロータリーインナ7と、ロータリーインナ7を軸回りに回転自在に支持すると共に車両本体に固定される本体側プロテクタ8と、を備えている。
【0023】
ロータリーインナ7は、
図4に示すように、ワイヤハーネス2の上下方向両側を挟んで取り付けられる下側ハウジング71、上側ハウジング72から構成されている。下側ハウジング71と上側ハウジング72とは、一部の構造を除いて共通の構造を有する。ここでは、まず、下側ハウジング71の構造について詳細に説明する。下側ハウジング71は、全体として中空の半球形状に形成されている。下側ハウジング71は、一端および他端が、平行な2つの平面で切り取られた切り欠きが設けられている。この下側ハウジング71の一端および他端に設けられた切り欠きからコルゲートチューブ6が引き出される。このような形状の下側ハウジング71は、複数のリブ711、係止突部712、係止凹部713、突柱714(
図3)を有する。
【0024】
複数のリブ711は、下側ハウジング71の一端および他端に設けられた切り欠きの縁部に沿って設けられている。また、複数のリブ711は、下側ハウジング71の一端および他端の間にも幅方向に並んで設けられている。これらリブ711は、上端が半円を描いており、この半円の半径は、コルゲートチューブ6の半径と同じ、あるいはやや小さい程度の寸法である。ロータリーインナ7をワイヤハーネス2に取り付けた際、リブ711はコルゲートチューブ6の外表面に当接する。このとき、リブ711がコルゲートチューブ6の半径と略同じ、あるいはやや小さい程度の寸法であることによって下側ハウジング71と上側ハウジング72とが互いに組付けられた場合には、リブ711がコルゲートチューブ6を押圧することになる。この結果、ワイヤハーネス2がロータリーインナ7に固定(支持)される。
【0025】
係止突部712は、下側ハウジング71の上端面から突出する係止突片712aと、係止突片712aを挟むように係止突片712aの幅方向に設けられて、下側ハウジング71の上端面から突出する2つのガイド突片712bと、を有する。また、係止凹部713は、下側ハウジング71の上端面から穿設された係止孔713aと、係止孔713aの幅方向に設けられて、下側ハウジング71の上端面から穿設されたガイド孔713bと、を有する。係止突片712aおよび係止孔713aは、互いに離間した位置にあり、進行方向(幅方向に直交する方向)の一方に係止突部712が位置し他方に係止凹部713が位置している。
【0026】
上側ハウジング72もまた、係止突部712の係止突片712a、ガイド突片712b、係止凹部713の係止孔713a、ガイド孔715bと同様の形状を有する(係止突部722の係止突片722a、ガイド突片722bが対応する、対応する係止孔、ガイド孔については図示せず)。下側ハウジング71と上側ハウジング72が互いに組付けられた場合には、ガイド突片712b、722bとガイド孔713bによってガイドされた係止突片712a、722aが係止孔713a内に誘導され互いの係止突片712a、722aと係止孔713aが係合し、かつ互いのガイド突片712b、722bとガイド孔713bが嵌りあう。
【0027】
また、上記リブ711の上端には、突起711aが設けられ、この突起711aが、コルゲートチューブ6の凹溝に入り込むことによって、コルゲートチューブ6により強い押力を作用することができる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ7により強固に固定される。
【0028】
突柱714は、
図3に示すように、下側ハウジング71の外表面における最深部に円柱状に突設されている。
【0029】
次に、上側ハウジング72の構造について詳細に説明する。上側ハウジング72は、複数のリブ721、係止突部722、係止凹部(図示せず)、突柱724を有する。これら上側ハウジング72のリブ721、係止突部722、係止凹部(図示せず)については、上述した下側ハウジング71のリブ711、係止突部712、係止凹部713の説明中の「上」を「下」に置き換えたものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0030】
突柱724は、
図3に示すように、上側ハウジング72の外表面における最頂部に円柱状に突設されている。上側ハウジング72の突柱724と下側ハウジング71の突柱714とは、プロテクタ8に設けられた溝(図示せず)に嵌め込まれ、ロータリーインナ7はワイヤハーネス2の周方向に回転自在にプロテクタ8に支持される。
【0031】
プロテクタ8は、
図3に示すように、車両本体に固定されるベース部81と、ベース部81に対して組付けられる蓋部82と、を有している。ベース部81は、ガイド部811と、ガイド部811の進行方向一方側から突設された車両本体に固定するための固定片812と、を有する。
【0032】
ガイド部811は、幅方向に長尺な底面部811aと、底面部811aの進行方向の両側の端部から立設した一対の立壁部811bと、底面部811aのスライドドアから離れた側の端部から立設した立壁部811cと、を有して上側及びスライドドア側に向かって開口している。ワイヤハーネス2は、スライドドア側の開口からガイド部811内に挿入される。また、一対の立壁部811cの一方には、切り欠き811dが設けられている。コルゲートチューブ6に挿入された電線5は、この切り欠き811dからガイド部811外に引き出される。また、これら立壁部811b、811cには、蓋部82と係止する係止凹部811eが設けられている。
【0033】
固定片812は、一対の立壁部811bの一方から進行方向に突出し、ボルトなどの固定部材が挿通される固定孔812aが形成されている。本実施形態では、固定片812は、幅方向に並べて2つ設けられている。
【0034】
蓋部82は、ベース部81の上側開口を覆う蓋部本体821と、蓋部本体821から突設された固定片822と、を有している。蓋部本体821には、ベース部81の係止凹部811eに挿入されて係止する係止突部821aが設けられている。固定片822は、ベース部81に向かって突設され、ボルトなどの固定部材が挿通される固定孔822aが形成されている。固定片812、822は、ベース部81と蓋部82とを組付けると互いに重ねられ、ボルトが挿通されて、車両本体に固定される。ベース部81及び蓋部82には各々、上述した下側ハウジング71、上側ハウジング72の突柱714、724が嵌め込まれる溝(図示せず)が設けられている。この溝にロータリーインナ7に設けた突柱714、724を嵌め込むことにより、プロテクタ8は、ワイヤハーネス2の周方向に回転自在にロータリーインナ7を支持する。
【0035】
次に、ドア側ユニット4の詳細について説明する。ドア側ユニット4は、
図5に示すように、ワイヤハーネス2に取り付けられるロータリーインナ(ドア側取付部)9と、ロータリーインナ9を幅方向に沿った軸回りに回転自在に支持すると共にスライドドアに固定されるプロテクタ10(ドア側固定部)と、ロータリーインナ9およびプロテクタ10間に設けられたトーションバネ11(付勢部材)と、を備えている。
【0036】
ロータリーインナ9は、
図6に示すように、ワイヤハーネス2の幅方向両側を挟んで取り付けられる第1ハウジング91、第2ハウジング92から構成されている。第1ハウジング91と第2ハウジング92とは、一部を除いて共通の構造を有する。ここでは、まず、第1ハウジング91の構造について詳細に説明する。第1ハウジング91は、底面部911、一対の立壁部912、複数のリブ913、係止突部914、係止凹部915、図示しない突柱、を有する。
【0037】
底面部911は、上下方向に長尺に設けられている。一対の立壁部912は、一対の底面部911の進行方向両側の端部から立設されている。一対の立壁部912は、底面部911の下端から上端に至る途中まで設けられている。即ち、底面部911の上端には一対の立壁部912は設けられていない。複数のリブ913は、進行方向に沿って延び、上下方向に複数並べて配置される。リブ913は、上端が半円を描いており、この半円の半径は、コルゲートチューブ6の半径と同じ、あるいはやや小さい程度の寸法である。ロータリーインナ9をコルゲートチューブ6に取り付けた際、リブ913はコルゲートチューブ6の外表面に当接する。このとき、リブ913がコルゲートチューブ6の半径と略同じ、あるいはやや小さい程度の寸法であることによって第1ハウジング91と第2ハウジング92とが互いに組付けられた場合には、リブ913がコルゲートチューブ6を押圧することになる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ9に固定(支持)される。
【0038】
係止突部914は、一対の立壁部912の一方から第2ハウジング92に向かって突出して設けられている。係止凹部915は、一対の立壁部912の他方に設けられている。第2ハウジング92もまた、係止突部914と、係止凹部915と同様の形状を有する(係止突部924が対応する。係止凹部については図示せず)。第1ハウジング91と第2ハウジング92とが組付けられた場合には、互いの係止突部914、924と係止凹部915が係合する。
【0039】
また、上記リブ913の上端には、突起913aが設けられ、この突起913aが、コルゲートチューブ6の凹溝に入り込むことによって、コルゲートチューブ6に、より強い押力を作用することができる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ9により強固に固定される。
【0040】
図示しない突柱は、底面部911から立壁部912とは逆側に円柱状に突設されている。
【0041】
次に、第2ハウジング92の構造について詳細に説明する。第2ハウジング92は、底面部921、立壁部922、複数のリブ(図示せず)、係止突部924、係止凹部(図示せず)、突柱926、突部927、を有する。これら第2ハウジング92の底面部921、立壁部922、複数のリブ(図示せず)、係止突部924、係止凹部(図示せず)、突柱926については、上述した第1ハウジング91の底面部911、立壁部912、複数のリブ913、係止突部914、係止凹部915、突柱(図示せず)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
突部927は、底面部921から外側に立設して、後述するトーションバネ11のアーム11Aと接触する。
【0043】
上記ロータリーインナ9は、第1ハウジング91の突柱(図示せず)と第2ハウジング92の突柱926とが回転軸となり、軸回りに回転自在にプロテクタ10に支持される。
【0044】
プロテクタ10は、
図7に示すように、スライドドア側に設けられる第3ハウジング101と、第3ハウジング101に重ねられる第4ハウジング102と、から構成されている。第3ハウジング101は、進行方向に長尺な底面部1011と、底面部1011の周縁から立設する周壁部1012と、を有し、幅方向のスライドドアから離れた側に向かって開口している。底面部1011は、スライドドアに重ねられる。底面部1011は、一対の固定孔1011aと、軸支孔1011b(軸受部)と、が設けられている。一対の固定孔1011aは、底面部1011の進行方向両側に貫通して設けられ、ボスなどの固定部材が通される。軸支孔1011bは、底面部1011の進行方向略中央を窪ませて設けられ、第1ハウジング91の図示しない突柱が挿入される。また、周壁部1012のうち上下方向に対向する部分には各々、切り欠き1012aが設けられている。この切り欠き1012aからロータリーインナ9の上下方向両端が突出される。
【0045】
第4ハウジング102は、進行方向に長尺な底面部1021と、底面部1021の進行方向両側から第3ハウジング101に向かって立設する中空状の円柱部1022と、突部1023と、を有している。底面部1021には、軸支孔1021a(軸受部)が設けられている。軸支孔1021aは、底面部1011の進行方向略中央を窪ませて設けられ、第2ハウジング92の突柱926が挿入される。また、円柱部1022の底面は、第3ハウジング101の固定孔1011aに重ねられ、ボスなどの固定部材が通される固定孔1022aが設けられる。
【0046】
突部1023は、底面部1021から内側に立設して、後述するトーションバネ11のアーム11Bと接触する。
【0047】
トーションバネ11は、
図8および
図9に示すように、一対のアーム11A、11Bと、その間のコイル11Cと、を備えている。トーションバネ11は、
図10および
図11に示すように、第2ハウジング92の突柱926にコイル11Cが巻かれる。また、トーションバネ11は、アーム11A、11Bに力が加わっていないと、
図9に示すように、アーム11A、11Bが一直線上になる。
図10、
図11に示すように、アーム11A、11Bは、互いに近づいた状態で、突部927、1023間に位置づけられる。これにより、アーム11Aが突部927に当接し、アーム11Bが突部1023に当接する。
【0048】
トーションバネ11には、
図9に示す状態に戻ろうと復元力が発生する。これにより、ロータリーインナ9は、トーションバネ11によって、突柱926を軸として反時計回りに回転する方向Dに付勢される。ロータリーインナ9が方向Dに回転すると、本体側ユニット3およびドア側ユニット4間に配索されたワイヤハーネス2が鉛直上側に引き上げられる。即ち、トーションバネ11は、ワイヤハーネス2が鉛直上側に引き上げられる回転方向Dに、ロータリーインナ9を付勢する。
【0049】
次に、上述した構成の配索構造1の組み立てについて説明する。まず、ワイヤハーネス2の上下方向(径方向)両側を下側ハウジング71と上側ハウジング72とで挟むようにして、下側ハウジング71と上側ハウジング72とを組み立てる。その後、ワイヤハーネス2に取り付けられたロータリーインナ7をプロテクタ8内に挿入する、このとき、ロータリーインナ7の突柱714、724がプロテクタ8の図示しない溝に挿入されるようにする。その後、ボスなどの固定部材をベース部81および蓋部82の固定片812、822に設けた固定孔812a、822aに通して、プロテクタ8を車両本体に固定する。
【0050】
また、ワイヤハーネス2の幅方向(径方向)両側を第1ハウジング91と第2ハウジング92とで挟むようにして、第1ハウジング91と第2ハウジング92とを組みつける。その後、ワイヤハーネス2に取り付けられたロータリーインナ9を第3ハウジング101と第4ハウジングとで挟む。このとき、ロータリーインナ9の突柱926がプロテクタ10の軸支孔1011b、1021aに挿入されるようにする。その後、ボスなどの固定部材をプロテクタ10の固定孔1011a、1022aに通して、プロテクタ10をスライドドアに固定する。
【0051】
次に、上述した構成の配索構造1において、スライドドアをスライドさせたときの動作について説明する。スライドドアを全閉状態にすると、本体側ユニット3とドア側ユニット4との距離が離れるため、ワイヤハーネス2が引っ張られる。また、進行方向において前側に本体側ユニット3が配置され、後ろ側にドア側ユニット4が配置される。このため、ワイヤハーネス2は、前側に引っ張られ、
図10に示すように、その引っ張り力により、ロータリーインナ9が時計回り回転して、トーションバネ11のアーム11A、11B同士が近づく。
【0052】
スライドドアが半開状態となると、本体側ユニット3とドア側ユニット4との距離が近づく。このため、ワイヤハーネス2が弛んで、トーションバネ11の復元力や、コルゲートチューブ6の剛性力などにより
図11に示すように、ロータリーインナ9が反時計回りに回転して、トーションバネ11のアーム11A、11B同士が離れる。トーションバネ11の復元力によりロータリーインナ9の反時計回りの回転量が多くなるため、トーションバネ11がない場合に比べてワイヤハーネス2を上側に引き上げることができる。
【0053】
スライドドアを全開状態にすると、本体側ユニット3とドア側ユニット4との距離が離れるため、ワイヤハーネス2が引っ張られる。また、進行方向において前側にドア側ユニット4が配置され、後ろ側に本体側ユニット3が配置される。このため、ワイヤハーネスは2、後ろ側にひっぱられ、この引っ張り力によりロータリーインナ9が反時計回りに回転する。
【0054】
上述した実施形態によれば、ワイヤハーネス2が弛むと、トーションバネ11の付勢力により、ワイヤハーネス2が鉛直上側に引き上げられる回転方向Dに、ロータリーインナ9が回転する。これにより、ワイヤハーネス2の鉛直下側への垂れを抑制することができる。また、ワイヤハーネス2の垂れの抑制をコルゲートガイド12とトーションバネ11とに分散できるため、コルゲートガイド12とトーションバネ11との小型化、簡素化を図ることができる。
【0055】
また、上述した実施形態によれば、ワイヤハーネス2は、コルゲートチューブ6を有している。これにより、ワイヤハーネス2を鉛直上側に引き上げる力を、トーションバネ11だけでなくコルゲートチューブ6の剛性力によっても発生させている。このため、トーションバネ11やコルゲートチューブ6の小型化(薄肉化)を図ることができる。
【0056】
また、上述した実施形態によれば、付勢部材がトーションバネ11から構成されている。これにより、付勢部材の構成を簡素にすることができる。
【0057】
また、上述した実施形態によれば、トーションバネ11が、ロータリーインナ9の回転軸となる突柱926に巻かれて配置されている。これにより、トーションバネ11の収容スペースを小さくすることができ、ロータリーインナ9の小型化を図ることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0059】
上述した実施形態によれば、ワイヤハーネス2は、電線5と、コルゲートチューブ6と、コルゲートガイド12と、から構成されていたが、これに限ったものではない。コルゲートガイド12を設けずに、コルゲートチューブ6を
図12に示すように、構成してもよい。
【0060】
コルゲートチューブ6は、
図2に示すように、蛇腹部61(本体部)と、剛性部62と、徐変部63と、が長手方向に並んで設けられている。なお、本実施形態では、徐変部63を有するコルゲートチューブ6を一例に挙げて説明するが、徐変部63を有することは必須ではなく、徐変部63はなくてもよい。
【0061】
蛇腹部61は、管の長手方向の一端側に形成された部位である。蛇腹部61は、管の周方向に延びる凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造とされている。凹凸構造において長手方向に並べられる複数の凹溝R、凸条Cは、互いに同じ高さに設けられている。また、凹溝R、凸条Cは、管の全周面に亘って同じ高さに設けられている。
【0062】
剛性部62は、管の長手方向の他端側に形成された部位である。剛性部62は、蛇腹部61よりも剛性が高くなるように設けられている。即ち、剛性部62は、蛇腹部61と同様に、管の周方向に延びる凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造を有している。剛性部62において凹凸構造は、管の全周面のうち一部の周面、本実施形態では境界線BLよりも上側の第1の半周部分64aにのみ設けられている。管の全周面のうち上記凹凸構造を除いた残りの周面である第2の半周部分64b(境界線BLよりも下側)は、凹溝R、凸条Cを有しないストレート構造とされている。
【0063】
ストレート構造の半径は、凹凸構造の凹溝Rの半径とほぼ同じに設けられている。ストレート構造を有することにより剛性部62の剛性を、蛇腹部61の剛性よりも高くすることができる。なお、剛性部62の凹凸構造と、蛇腹部61の凹凸構造とは、凸条Cの高さが同じで、かつ、ピッチも同じに設けられている。
【0064】
徐変部63は、剛性部62と蛇腹部61との間に形成された部位である。徐変部63は、剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に剛性が低くなるように設けられている。即ち、徐変部63は、凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造と、凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列し、凸条Cの高さが剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に高くなる徐変構造と、を有している。徐変部63において凹凸構造は、管の全周面のうち一部の周面、本実施形態では境界線BLよりも下側の第1の半周部分64aにのみ設けられている。徐変構造は、管の残りの第2の半周部分64bに設けられている。この徐変構造を有することにより徐変部63の剛性を剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に低くすることができる。
【0065】
このようなコルゲートチューブ6において、剛性部62は最も剛性が高く屈曲させたくない箇所に適している。また、蛇腹部61は、所定R以上に屈曲させたい箇所に適している。徐変部63は、所定R未満に屈曲させたい箇所に適している。また、このようなコルゲートチューブ6を用いることにより、ワイヤハーネス2の垂れの抑制をコルゲートチューブ6とトーションバネ11とに分散できるため、コルゲートチューブ6とトーションバネ11との小型化、簡素化を図ることができる。
【0066】
また、上述した実施形態によれば、付勢部材はトーションバネ11により構成されていたが、これに限ったものではない。付勢部材としては、板バネを用いてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態によれば、トーションバネ11のコイル11Cは、突柱926に巻かれていたが、これに限ったものではない。回転軸となる突柱926とは別の軸部に巻き付けてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態によれば、ワイヤハーネス2は、コルゲートチューブ6を有していたが、これに限ったものではない。コルゲートチューブ6は必須ではなく、なくてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ワイヤハーネスの配索構造
2 ワイヤハーネス
3 本体側ユニット
4 ドア側ユニット
5 電線
6 コルゲートチューブ
9 ロータリーインナ(ドア側取付部)
10 プロテクタ(ドア側固定部)
11 トーションバネ(付勢部材)
12 コルゲートガイド(支持部材)
61 蛇腹部(本体部)
62 剛性部
926 突柱(回転軸)
1011b 軸支孔(軸受部)
1021a 軸支孔(軸受部)