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特許7405641災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッド
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20231219BHJP
   A47C 19/00 20060101ALI20231219BHJP
   A47C 21/04 20060101ALI20231219BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
A47C19/00 Z
A47C21/04 D
F24F5/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020028124
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021131211
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝識
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 廣海
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-200866(JP,A)
【文献】特開2019-219092(JP,A)
【文献】登録実用新案第3168853(JP,U)
【文献】特開平02-219925(JP,A)
【文献】特開2014-044043(JP,A)
【文献】特開2015-142682(JP,A)
【文献】実表昭58-500002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
A47C 19/00
A47C 21/04
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置付きの災害時用簡易ベッドであって、
前記災害時用簡易ベッドは、
床面の上方に設けられ利用者が横たわる横たわり用シートと、
前記横たわり用シートの周囲および上方を覆う目隠し用シートとを備え、
前記空調装置は、
電源と、
冷却部材を内部に収納可能な収納部を有する収納ボックスと、
前記収納ボックスに設けられ前記電源から供給された電力により駆動される送風機と、
前記収納ボックスに設けられ前記送風機の駆動により前記収納ボックス内の空気を前記目隠し用シートの内側に供給する送風管と、
を備え
前記送風管の先部は、前記目隠し用シートの側面の下方をくぐらせて前記横たわり用シートの足側の箇所に下方から着脱可能に取り付けられている、
とを特徴とする空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項2】
前記電源は、一次電池または二次電池である、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項3】
前記電源は、一次電池または二次電池からなる電池部と、商用電源を用いた商用電源部と、それら電池部と商用電源部とを切り換えて前記送風機に接続する電源切り換え部とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項4】
前記送風管は、前記収納ボックスに着脱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項5】
前記冷却部材は、ペットボトルであり、
前記収納部は、複数のペットボトルを載置可能とし前記収納ボックスに対して出し入れ可能なトレーで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項6】
前記冷却部材は、水であり、
前記収納部は、水の収容を可能とし前記収納ボックスに対して出し入れ可能なトレーで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項7】
前記収納ボックスは、底面と、前記底面から起立する複数の側面と、前記側面の上端を接続する上面とを備え、
前記複数の側面のうちの一つの側面は開閉可能に設けられ、
前記底面に前記収納部が設けられ、
前記複数の側面のうちいずれか一つの側面に前記送風機が取り付けられ、前記送風機が設けられた側面と異なる側面に前記送風管が着脱可能に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【請求項8】
前記収納部は、前記底面の全域に設けられている、
ことを特徴とする請求項7に記載の空調装置付きの災害時用簡易ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、津波、地震、火山の噴火、大雨による土砂崩れなどの災害時、余儀なく自宅から離れなければならない場合、多くの人は体育館や学校などの避難所に避難する。
避難所では、単一の空間に多くの人が収容され、飲料水や食べ物が支給されると共に、就寝用のための毛布などが支給される。
このようなことから避難所では、プライバシーを保護する空間を確保できるように目隠し用シートを備える災害時用簡易ベッドが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-160030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、体育館や学校などの避難所は、上述したように多くの人が収容されるため、室温が上昇して不快に感じることがある。特に気温の高い夏場などでは、著しく室温が上昇してしまい不快感がさらに増してしまう。このような環境下において従来の災害時用簡易ベッドを使用すると、目隠し用シートが空気の流れを遮断するため災害時用簡易ベッドの内部の温度はさらに上昇してしまう。
このため、避難所と外部とを容易に往来できない病人や負傷者などは、常に災害時用簡易ベッドの内部に横たわることになるため、体調が悪化してしまうことが考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、災害時に避難所の災害時用簡易ベッドなどに横たわっている病人などの快適性を向上させ、病人などを保護する災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明は、電源と、冷却部材を内部に収納可能な収納部を有する収納ボックスと、前記収納ボックスに設けられ前記電源から供給された電力により駆動される送風機と、前記収納ボックスに設けられ前記送風機の駆動により前記収納ボックス内の空気を前記収納ボックス外に送り出す送風管とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、空調装置付きの災害時用簡易ベッドであって、前記災害時用簡易ベッドは、床面の上方に設けられ利用者が横たわる横たわり用シートと、前記横たわり用シートの周囲および上方を覆う目隠し用シートとを備え、前記空調装置は、電源と、冷却部材を内部に収納可能な収納部を有する収納ボックスと、前記収納ボックスに設けられ前記電源から供給された電力により駆動される送風機と、前記収納ボックスに設けられ前記送風機の駆動により前記収納ボックス内の空気を前記目隠し用シートの内側に供給する送風管とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
収納ボックスの内部で冷却部材により冷却された空気を送風管により送り出すことで、災害時に避難所の災害時用簡易ベッドなどに横たわっている病人などの快適性を向上させ、病人などを保護する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に示す災害時用の空調装置を災害時用簡易ベッドに用いた場合の斜視図である。
図2】第1の実施の形態に示す災害時用の空調装置の斜視図である。
図3】第1の実施の形態に示すコントローラの機能ブロック図である。
図4】第1の実施の形態に示す収納ボックスと送風管との連結部分の断面図である。
図5】第1の実施の形態に示す災害時用の空調装置による空気の流れを示す図である。
図6】第2の実施の形態に示す災害時用の空調装置の斜視図である。
図7】第3の実施の形態に示す災害時用の空調装置を災害時用簡易ベッドに用いた場合の斜視図である。
図8】第3の実施の形態に示す災害時用の空調装置による空気の流れを示す図である。
図9】第4の実施の形態に示す災害時用の空調装置を災害時用簡易ベッドに用いた場合の斜視図である。
図10】第4の実施の形態に示す災害時用の空調装置による空気の流れを示す図である。
図11】第4の実施の形態に示す災害時用の空調装置を災害時用簡易ベッドに用いた場合の斜視図である。
図12】第4の実施の形態に示す災害時用の空調装置による空気の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下に添付図面を参照して、災害時用の空調装置、空調装置付き災害時用簡易ベッドの実施の形態について説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態に示す災害時用の空調装置1は、電源70F(図3参照)と、収納ボックス40と、送風機46と、送風管60とを備え、本実施の形態では災害時用簡易ベッド10に用いることで空調装置付き災害時用簡易ベッドとなっている。
【0009】
災害時用簡易ベッド10は、パイプ材で形成されたフレーム12と、フレーム12で支持され床から上方に離れた箇所に設けられた利用者が横たわるための横たわり用シート16と、横たわり用シート16の周囲および上方を覆う目隠し用シート18とを備えている。
本実施の形態では、目隠し用シート18は4つの側面と、それら側面の上縁に接続された上面とを備え、4つの側面の一つに出入り口が設けられている。
なお、災害時用簡易ベッド10には、横たわり用シート16と目隠し用シート18とを備える従来公知の様々な災害時用簡易ベッドが適用可能である。
【0010】
収納ボックス40は、外部から空気を吸い込み、内部で空気を冷却して外部に送り出すものであり、図1、2に示すように、直方体の筐体42と、筐体42の内部に設けられるトレー44(収納部)とを含んで構成されている。
本実施の形態では、送風機46および送風管60が収納ボックス40に取り付けられている。
【0011】
筐体42は、底面4204と、底面4204から起立する4つの側面4206、4208、4210、4212と、側面4206、4208、4210、4212の上端を接続する上面4202とで構成された直方体形状の箱である。各面は、例えば樹脂製の板状の芯材を布やナイロンなど覆って板状に形成されている。
上面4202の上部には把持部4202Aが設けられ、収納ボックス40を容易に持ち運ぶことができ、収納ボックス40を所望の場所に容易に設置できる。
【0012】
側面4206は、底面4204に接続される一方の長辺4206Aを軸にして回動することで開閉可能に設けられ、側面4206が開くことで筐体42の内部空間が開放される。
本実施の形態では、側面4206と側面4210、4212とが接続される一対の短辺4206Bと、側面4206と上面4202とが接続される他方の長辺4206Cとに連続するファスナー48が設けられており、ファスナー48を開閉することで側面4206が一方の長辺4206Aを軸にして回動して開閉可能となっている。
また、側面4206の中央近傍には孔部4206Dが設けられており、孔部4206Dに取着された連結部50に送風管60の一方の端部が着脱可能に取り付けられている。
【0013】
トレー44は、上面が開放された樹脂製の直方体形状の容器であって、底面4204に載置されて設けられ収納ボックス40に対して出し入れ可能となっている。
トレー44は、筐体42の底面4204の全域に設けられているが、トレー44の底面は、筐体42の底面4204よりやや小さく形成されているため、側面4206を回動させ筐体42を開放してトレー44を底面4204の中央に載置した後に、側面4206を回動させ筐体42を閉じることが可能となっている。
トレー44の内部には、トレー44の上方の空気を気化熱により冷却するための冷却部材が収納されている。本実施の形態では、冷却部材として内部に水を詰めて冷凍した2本のペットボトルBが載置されている。
本実施の形態では、トレー44に内部の水を冷凍したペットボトルBが2本収納されているが本数は任意である。また、ペットボトル以外でも水に高吸水性ポリマーを含めて冷凍した保冷剤など、公知の他の冷却部材を用いてもよい。
【0014】
送風機46は、電源70Fから供給された電力により駆動することで羽根を回転させて空気を送り出すものであって、本実施の形態では、筐体42の外部から内部に向けて空気を送り出すように3つの送風機46が側面4208に取り付けられている。このため、本実施の形態では、送風機46の空気の吹き出し口側に冷却部材が収納されている。
送風機46は、空気を送り出すものであれば形状は問わず公知の他の送風機を用いてもよい。また、本実施の形態では、側面4208に3つの送風機46が設けられているが、筐体42の外部から内部に向けて空気を送り出すことができれば取り付ける個数については任意である。
送風機46を制御するコントローラ70は、ケーブル72により送風機46に接続され、側面4210に設けられた収納ポケット4210Aに取り出し可能に収納されている。
【0015】
コントローラ70は、送風機46を電力により駆動させるものであって、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
そして、CPUが制御プログラムを実行することにより、図3に示すように、入力受付部70A、電力制御部70B、風量調節部70C、タイマ部70D、表示制御部70Eとして機能し、コントローラ70の内部には電源70Fが収容されている。
【0016】
電源70Fは、送風機46の羽根を回転させるために送風機46に供給される電力を蓄えるものであって、本実施の形態では一次電池や二次電池を用いている。
なお、電源70Fは送風機46に電力を供給できればよく、コントローラ70の内部に保持された電池でなくとも、例えば、USB接続のモバイルバッテリや、AC電源からUSB変換した電源、ソーラー電源を用いてもよい。
また、例えば、電源70Fに代えて、一次電池または二次電池からなる電池部と、商用電源を用いた商用電源部と、それら電池部と商用電源部とを切り換えて前記送風機に接続する電源切り換え部とを備えた構成とし、災害などにより商用電源が使用できなくなった場合に商用電源部から電池部に切り換えるようにしてもよい。これにより、災害時に停電になった場合でもより長く空調装置を使用することができる。
【0017】
入力受付部70Aは、利用者によりコントローラ70の外部に設けられた各種入力ボタン(電源ボタン、風量設定ボタン、タイマ設定ボタン等)が操作されることで各種入力ボタンに対応する指示を受け付ける。
具体的には、入力受付部70Aは、電源ボタンが操作されることにより、送風機46へ電力を供給する電力供給開始指示、送風機46への電力の供給を停止する電力供給停止指示を受け付ける。
また、入力受付部70Aは、風量設定ボタンが操作されることにより、例えば、送風機46の風量を弱めにする弱風指示、風量を強めにする強風指示を受け付ける。
また、入力受付部70Aは、タイマ設定ボタンが操作されることにより、送風機46を停止させるまでの停止設定時間を受け付ける。
【0018】
電力制御部70Bは、電源70Fから送風機46への電力供給の有無、電力量を制御する。
すなわち、電力制御部70Bは、入力受付部70Aにより電源供給開始指示を受け付けた場合、電源70Fから送風機46への電力供給を開始する。
また、電力制御部70Bは、入力受付部70Aにより電源供給停止指示を受け付けた場合、電源70Fからの送風機46への電力供給を停止する。
【0019】
風量調節部70Cは、設定された風量に対応する量の電力を、電力制御部70Bを介して送風機46に供給する。
すなわち、入力受付部70Aにより弱風指示を受け付けた場合、弱めの風量を送り出すための電力量を電力制御部70Bを介して送風機46に供給する。
入力受付部70Aにより強風指示を受け付けた場合、強めの風量を送り出すための電力量を電力制御部70Bを介して送風機46に供給する。
【0020】
タイマ部70Dは、入力受付部70Aにより停止設定時間を受け付けた場合、設定された時間が経過した際に電力制御部70Bを介して送風機46への電力の供給を停止させる。
【0021】
表示制御部70Eは、送風機46の駆動状況や電源の有無を、コントローラ70の外部側の面に設けられた表示画面7002に表示するものである。
例えば、表示制御部70Eは、入力受付部70Aが電源供給開始指示を受け付けた場合はその旨(例えば「運転中」「電源ON」など)を表示し、設定された風量(例えば「弱風」「強風」など)を表示する。
また、表示制御部70Eは、例えば、入力受付部70Aが電源供給停止指示を受け付けた場合は、表示画面7002の表示をしないことで駆動していない旨を示す。
なお、表示制御部70Eは、表示画面7002に文字等を表示するだけでなく、ランプ(表示部)を点灯させる色などにより、送風機46の駆動状況や電源の有無などを表示する構成としてもよい。
【0022】
送風管60は、例えばポリ塩化ビニル製のフレキシブルな管であって、収納ボックス40に設けられ、送風機46の駆動により収納ボックス40内の空気を収納ボックス40外に送り出す。
本実施の形態では、送風管60の一方の端部は、筐体42の側面4206に設けられた孔部4206Dに着脱可能に取り付けられ、他方の端部(送風管の先部)は、目隠し用シート18の側面の下方をくぐらせて目隠し用シートの内側の床面上に載置され、収納ボックス40内の空気を目隠し用シートの内部に供給している。
【0023】
ここで、図4を参照して、送風管60の一方の端部が、側面4206の孔部4206Dに取着された連結部50に取り付けられる取り付け方法について説明する。
筐体42の側面4206には、連結管52の外周部に固着された固定具54が例えばねじ(不図示)により固定されることで連結部50が取着されており、固定具54には係止孔56が設けられている。本実施の形態では、連結管52および固定具54により連結部50が構成されている。
一方、送風管60の一方の端部の外周部には取り付け部材62が固着されており、取り付け部材62にはロック機構64が設けられている。
ロック機構64は、ラッチ6402をピン6404で取り付け部材62に回動可能に支持するとともに、ラッチ6402の突出部6402Aが送風管60の半径方向外側に向かって変位するようにスプリング6406でラッチ6402を付勢している。
送風管60を筐体42の連結部50へ取り付ける場合、送風管60の先端部60Aを連結部50に差し込み、ラッチ6402を固定具54の係止孔56に係合させる。
また、送風管60を筐体42の連結部50から取り外す場合、ラッチ6402の突出部6402Aを押圧することで、ラッチ6402と係止孔56との係合を解除し、送風管60を連結部50から引き抜く。
【0024】
送風管60と筐体42の取り付け方法は、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。
例えば、面ファスナーにより送風管60と筐体42を着脱可能に取り付けてもよい。具体的には、側面4206の孔部4206Dの周囲に環板状の面ファスナーのオス(フック側)を取り付け、送風管60の一方の端部の外周面から突出する環板状の突出部の端部側に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付け、面ファスナーのオスとメスの着脱により、送風管60と筐体42を着脱可能に取り付けてもよい。
【0025】
このように、送風管60の一方の端部は収納ボックス40に取り付けられ、送風管60の他方の端部は、横たわり用シート16より下方の目隠し用シート18の内側の床面上に載置されているため、図5の矢印で示すように、空調装置1は、送風機46により送り出された空気を、横たわり用シート16の下方で目隠し用シート18の側面により囲まれた空間に送り込む。
【0026】
以上のように構成された災害時用の空調装置1、空調装置付き災害時用簡易ベッド10を使用する場合について説明する。
冷却部材を収納したトレー44を筐体42に収納し、トレー44を収納した収納ボックス40を災害時用簡易ベッド10の外側に置く。
次に、送風管60の一方の端部を収納ボックス40に取り付け、他方の端部(先部)を目隠し用シート18の内側の床面上に載置する。
そして、利用者の操作によりコントローラ70から電源が投入され所望の風量が設定されると、送風機46により収納ボックス40の内部に空気が送り込まれ、収納ボックス40の内部で冷却部材(ペットボトルB)により冷却された空気が災害時用簡易ベッド10の横たわり用シート16の下方に送り込まれる。
【0027】
本実施の形態の災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッドによれば、送風機46により収納ボックス40の内部に空気が送り込まれ、収納ボックス40の内部で冷却部材(ペットボトルB)により冷却された空気を送風管60により災害時用簡易ベッド10の内側に送り出すことで、災害時に避難所の災害時用簡易ベッド10に横たわっている病人などの快適性を向上させ、病人などを保護する上で有利となる。
また、災害時用の空調装置1を、利用者が横たわるための横たわり用シート16と、横たわり用シート16の周囲および上方を覆う目隠し用シート18を有する災害時用簡易ベッド10に用いることで、避難所で横たわっている病人などのプライバシーを保護するとともに、快適性を向上させる上で有利となる。
【0028】
また、災害時用の空調装置1では、トレー44に収納されたペットボトルBを用いて気化熱により空気を冷却するため、簡易な構成により空気を冷却でき、空調装置を冷房として機能させることでより快適性を向上させる。
さらに、トレー55は、収納ボックス40(筐体42)の底面4204の全域に設けられているため、冷房としての能力を高める上で有利となる。
また、収納ボックス40は、筐体42の側面4208に送風機46が取り付けられ、側面4206に送風管60が着脱可能に取り付けられ、筐体42の内部に冷却部材が収納されるトレー44が設けられている。このため、取り外した送風管60を筐体42の内部に収容し、筐体42のファスナー48を閉めれば把持部4202Aを把持して持ち運び可能な箱となる。したがって、把持部4202Aを把持して持ち運ぶことで、所望の位置への載置が容易であり、利便性を向上させる上で有利となる。
また、送風管60の他方の端部が目隠し用シート18の側面の下方をくぐらせて目隠し用シートの内側の床面上に載置されるため、収納ボックス40において冷却され送り出された空気が、横たわり用シート16の下方で目隠し用シート18により囲まれた空間に送り込まれる。したがって、横たわっている利用者に直接冷却された空気が当たらないため、冷却された空気が直接当たり冷えすぎることを回避したい利用者にとって快適性を向上させる上で有利となる。
【0029】
また、電源として電池を用いているため、停電時が長期に続く場合であっても、快適性を向上させる上で有利となる。すなわち、例えば、気温の高い夏場の避難所では多くの人が収容されるため著しく室温が上昇し、目隠し用シートにより空気の流れが遮断されている災害時用簡易ベッドの内部はさらに温度が上昇してしまい、体温よりかなり高い40度以上になってしまうことも考えられる。このような環境下で、災害時用簡易ベッドに避難所と外部とを容易に往来できない病人などが横たわっていると、内部が高温になることで病状がさらに悪化してしまうことが想定される。本実施の形態では電源として電池を用いているため、停電になっても電池により災害時用の空調装置を駆動させ、災害時用簡易ベッドの内部に冷却部材により冷却された空気を送り込むとともに内部を換気することができる。したがって、災害時用簡易ベッドに横たわっている病人などの快適性を向上させ、病状の悪化を抑制して病人などの保護する上で有利となる。
【0030】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、冷却部材として内部に水を詰めて冷凍したペットボトルBを用いて空気を冷却していたのに対して、第2の実施の形態では、冷却部材として水を用いて空気を冷却している点が異なっている。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
【0031】
本実施の形態のトレー44は、水の収容を可能とし収納ボックス40に対して出し入れ可能となっている。したがって、本実施の形態の収納ボックス40では、図6に示すように、筐体42の底面4204に載置されたトレー44の内部に、トレー44の上方の空気を気化熱により冷却するための冷却部材として水Wが収容されている。
【0032】
本実施の形態の災害時用の空調装置、および空調装置付き災害時用簡易ベッドによれば、第1の実施の形態の効果と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態の収納ボックス40では、筐体42に載置されたトレー44の内部に収容される冷却部材として水Wを用いている。
したがって、避難所などでペットボトルや保冷剤等を冷凍できない場合や用意できない場合であっても水の気化熱により空気を冷却でき、さらに蒸発してもすぐに補充することができるため、容易に空気を冷却でき、快適性を向上させる上で有利となる。
また、断水時であっても、ペットボトルの水を利用でき、容易に空気を冷却し快適性を向上させる上で有利となる。
【0033】
なお、第1、2の実施の形態の災害時用の空調装置では、筐体42の側面4208に送風機46が取り付けられ、側面4208に対向する側面4206に送風管60が取り付けられているが、送風機46と送風管60とは異なる側面に設けられていればよい。つまり、隣り合う側面に取り付けられていても、トレー44の上方を空気が流れるため冷却部材により空気を冷却することができる。
例えば、送風管60を側面4212に取り付けた場合は、側面4206の開閉が容易となるが、対向する側面に送風機46および送風管60を取り付けたほうが冷却部材の上方を流れる空気が多くなるため空気の冷却機能を高める上では有利となる。
【0034】
また、第1、2の実施の形態の災害時用の空調装置によれば、冷却部材を送風機46の吹き出し口側に設けた構成となっているが、送風機の空気の吸い込み口側に設ける構成としてもよい。
送風機の吸い込み口側に冷却部材を設ける場合、例えば、冷却部材を収納した筐体の一つの側面をメッシュ素材などの空気が通過可能な構成とし、筐体の内部から外部に向けて空気を送り出すように送風機を取り付け、送風管を送風機の吹き出し口に取り付ければよい。
そうすると、送風機を駆動することで、空気の通過可能な一つの側面を介して空気が外部から筐体の内部へ入り込み、冷却部材により冷却された空気が送風機により外部に送り出され、吹き出し口に取り付けられた送風管により災害時用簡易ベッドの内部へ送り出されることになる。
【0035】
また、第1、2の実施の形態の災害時用の空調装置では、トレー44に冷却部材(ペットボトルBや水W)を収納して空気を冷却することで冷房として機能させ、災害時用簡易ベッド10の内部に冷却された空気を送り出していたが、冷却部材を収納しないで使用してもよい。この場合、換気機能を有する空調装置とすることができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態では、送風管60の他方の端部を目隠し用シート18の内側の床面上に載置していたのに対して、第3の実施の形態では、送風管60の他方の端部(送風管60の先部)が目隠し用シート18に取り付けられている点が異なっている。
また、第1の実施の形態では、収納ボックス40に載置されたトレー44に冷却部材(ペットボトルBなど)を収納していたのに対して、第3の実施の形態では、収納ボックス40に冷却部材を収納していない点が異なっている。
【0037】
図7に示すように、本実施の形態の送風管60の一方の端部は、第1の実施の形態と同様に、筐体42の側面4206に取り付けられているが、他方の端部は、横たわり用シート16の上方に位置する目隠し用シート18の側面の箇所に着脱可能に取り付けられている。
送風管60の他方の端部は、例えば面ファスナーを用いて目隠し用シート18に取り付けられている。具体的には、目隠し用シート18に設けられた孔部1802の周囲に環板状の面ファスナーのオス(フック側)を取り付けて補強し、送風管60の他方の端部の外周面から突出する環板状の突出部の端部側に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付ける。そして、面ファスナーのオスとメスの着脱により、送風管60と目隠し用シート18を着脱可能に取り付ける。
なお、送風管60と目隠し用シート18の取り付け方法は、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。
また、収納ボックス40には冷却部材が収納されていないため、送風機60により収納ボックス40の内部に流れた空気がそのまま送風管60により災害時用簡易ベッド10の内側に送り込まれる。
【0038】
このように、本実施の形態の災害時用の空調装置3は、収納ボックス40に冷却部材が収納されず、送風管60の他方の端部が、横たわり用シート16の上方に位置する目隠し用シート18の側面の箇所に着脱可能に取り付けられている。このため、図8の矢印で示すように、災害時用の空調装置3は、送風機46により送り出された災害時用簡易ベッド10の外側の空気を、横たわり用シート16の上方で目隠し用シート18に囲まれた空間に送り込む。
【0039】
本実施の形態の災害時用の空調装置、および空調装置付きの災害時用簡易ベッドによれば、送風機46により収納ボックス40の内部に空気が送り込まれた空気を送風管60により災害時用簡易ベッドの内側に送り出すことで、災害時用簡易ベッド10の内部を換気することができ、災害時に避難所の災害時用簡易ベッド10に横たわっている病人などの快適性を向上させ、病人などを保護する上で有利となる。
また、災害時用の空調装置3を、利用者が横たわるための横たわり用シート16と、横たわり用シート16の周囲および上方を覆う目隠し用シート18を有する災害時用簡易ベッド10に用いることで、避難所で横たわっている病人などのプライバシーを保護するとともに、快適性を向上させる上で有利となる。
【0040】
また、収納ボックス40は、筐体42の側面4208に送風機46が取り付けられ、側面4206に送風管60が着脱可能に取り付けられている。このため、取り外した送風管60を筐体42の内部に収容し、筐体42のファスナー48を閉めれば把持部4202Aを把持して持ち運び可能な箱となる。したがって、把持部4202Aを把持して持ち運ぶことで、所望の位置への載置が容易であり、利便性を向上させる上で有利となる。
【0041】
また、電源として電池を用いているため、停電時が長期に続く場合であっても、快適性を向上させる上で有利となる。すなわち、例えば、気温の高い夏場の避難所では多くの人が収容されるため著しく室温が上昇し、目隠し用シートにより空気の流れが遮断されている災害時用簡易ベッドの内部はさらに温度が上昇してしまい、体温よりかなり高い40度以上になってしまうことも考えられる。このような環境下で、災害時用簡易ベッドに避難所と外部とを容易に往来できない病人などが横たわっていると、内部が高温になることで病状がさらに悪化してしまうことが想定される。本実施の形態では電源として電池を用いているため、停電になっても電池により災害時用の空調装置を駆動させ、災害時用簡易ベッドの内部に災害時用簡易ベッドの外側の空気を送り込んで換気することができる。したがって、災害時用簡易ベッドに横たわっている病人などの快適性を向上させ、病状の悪化を抑制して病人などの保護する上で有利となる。
【0042】
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、送風管60の他方の端部を横たわり用シート16の上方に位置する目隠し用シート18の側面に取り付けていたのに対して、第4の実施の形態では、送風管60の他方の端部が横たわり用シート16より下方に位置する目隠し用シート18の側面に取り付けられている点が異なっている。
【0043】
図9に示すように、本実施の形態の送風管60の一方の端部は、第1の実施の形態と同様に、筐体42の側面4206に取り付けられているが、他方の端部は、横たわり用シート16の下方に位置する目隠し用シート18の側面の箇所に設けた孔部1804を介して着脱可能に取り付けられている。送風管60の他方の端部を目隠し用シート18に取り付ける方法は、第3の実施の形態と同様である。
【0044】
このように、本実施の形態の災害時用の空調装置4は、収納ボックス40に冷却部材が収納されず、送風管60の他方の端部が、横たわり用シート16の下方に位置する目隠し用シート18の側面の箇所に着脱可能に取り付けられている。このため、図10の矢印で示すように、空調装置4は、送風機46により送り出された災害時用簡易ベッド10の外側の空気を、横たわり用シート16の下方で目隠し用シート18に囲まれた空間に送り込む。
【0045】
本実施の形態の災害時用の空調装置、および空調装置付きの災害時用簡易ベッドによれば、第3の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態の送風管60の他方の端部は、横たわり用シート16より下方の目隠し用シート18に取り付けられ、横たわり用シート16の下方に空気が送り込まれる。したがって、横たわっている利用者に直接空気が当たらないため、空気が直接当たることを回避したい利用者にとって快適性を向上させる上で有利となる。
【0046】
(第5の実施の形態)
第3の実施の形態では、送風管60の他方の端部を横たわり用シート16の上方に位置する目隠し用シート18の側面に取り付けていたのに対して、第5の実施の形態では、送風管60の他方の端部が横たわり用シート16の足側に取り付けられている点が異なっている。
【0047】
図11に示すように、本実施の形態の送風管60の一方の端部は、第1の実施の形態と同様に、筐体42の側面4206に取り付けられているが、他方の端部は、目隠し用シート18の側面の下方をくぐらせて横たわり用シート16の足側の箇所に着脱可能に取り付けられている。
送風管60の他方の端部は、例えば面ファスナーを用いて横たわり用シート16に取り付けられている。具体的には、横たわり用シート16に設けられた孔部1602の周囲に環板状の面ファスナーのオス(フック側)を取り付けて補強し、送風管60の他方の端部の外周面から突出する環板状の突出部の端部側に面ファスナーのメス(ループ側)を取り付ける。そして、面ファスナーのオスとメスの着脱により、送風管60と横たわり用シート16を着脱可能に取り付ける。
なお、送風管60と横たわり用シート16の取り付け方法は、着脱可能であれば公知の様々な取り付け方法を用いることができる。
【0048】
このように、本実施の形態の災害時用の空調装置5は、収納ボックス40に冷却部材が収納されず、送風管60の他方の端部が、横たわり用シート16の足側に着脱可能に取り付けられている。このため、図12の矢印で示すように、空調装置5は、送風機46により送り出された災害時用簡易ベッド10の外側の空気を、横たわり用シート16の上方で目隠し用シート18に囲まれた空間に送り込む。
【0049】
本実施の形態の災害時用の空調装置、および空調装置付きの災害時用簡易ベッドによれば、第3の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態の送風管60の他方の端部は、横たわり用シート16の足側に下方から取り付けられ、足元から上方に向けて空気が送り込まれる。したがって、横たわっている利用者の顔に直接空気が当たりにくくなっているため、空気が顔に当たることを回避したい利用者にとって快適性を向上させる上で有利となる。
【0050】
上述した第3~5の実施の形態の災害用の空調装置では、収納ボックス40に冷却部材を収納せず、災害時用簡易ベッド10の内部に災害時用簡易ベッド10の外部の空気を送り込んで換気をしていたが、冷却部材を収納して使用してもよい。この場合、空調装置を冷房として機能させることができる。
【0051】
上述した第1~5の実施の形態の収納ボックスは、災害時用簡易ベッドの外側の近傍の床面に設置されているが、長い送風管を用いて収納ボックスを避難所などの建物の外部に設置してもよい。これにより、災害時用簡易ベッドの内部に外気を取り入れることができるため、避難所などの建物の内部に籠っている臭気を排出して外気により換気することができ、快適性を向上させることができる。
【0052】
また、第1~5の実施の形態の空調装置は、避難所などの災害時用簡易ベッドに用いた例を示したが、避難所の災害時用簡易ベッドに限定されず、自宅などに置かれている災害時用簡易ベッドに用いてもよい。
また、空調装置の用途は、災害時用簡易ベッドに限定されず、災害時の種々の状況に応じて使用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、3、4、5 空調装置
10 災害時用簡易ベッド
12 フレーム
16 横たわり用シート
1602 孔部
18 目隠し用シート
1802、1804 孔部
40 収納ボックス
42 筐体
4202 上面
4202A 把持部
4204 底面
4206、4208、4210、4212 側面
4206D 孔部
4210A 収納ポケット
44 トレー
46 送風機
48 ファスナー
50 連結部
52 連結管
54 固定具
56 係止孔
60 送風管
62 取り付け部材
64 ロック機構
6402 ラッチ
6402A 突出部
6404 ピン
6406 スプリング
70 コントローラ
7002 表示画面
70A 入力受付部
70B 電力制御部
70C 風量調節部
70D タイマ部
70E 表示制御部
70F 電源
72 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12