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特許7405646本体側ユニットおよびコルゲートチューブの配索構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】本体側ユニットおよびコルゲートチューブの配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20231219BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231219BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02G11/00
H02G3/04 081
H02G3/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020035980
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021141670
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】友定 宏介
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-103381(JP,A)
【文献】特開2019-047642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
H02G 3/04
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体とスライドドアとの間に配索される管状のコルゲートチューブに取り付けられる本体側取付部と、
前記本体側取付部を回転自在に支持すると共に前記車両本体に固定される本体側固定部と、
を備えた本体側ユニットであって、
前記コルゲートチューブは、管の全周面のうち一部の周面が、管の周方向に延びる凹溝と凸条とを管長手方向に交互に配列した凹凸構造とされ、前記管の全周面のうち前記一部の周面を除いた残りの周面が、前記凹溝と前記凸条を有しないストレート構造とされる剛性部が設けられ、
前記本体側取付部は、前記凸条において前記周方向の両端面と係止する係止部を有
前記本体側取付部は、前記ストレート構造を覆う第1の部材と、前記凹凸構造を覆う第2の部材と、に2分割され、
前記第1の部材の周方向両端に、前記係止部が設けられた、
本体側ユニット。
【請求項2】
車両本体とスライドドアとの間に配索される管状のコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブをスライドドアに取り付けるドア側ユニットと、
前記コルゲートチューブに取り付けられる本体側取付部と、前記本体側取付部を回転自在に支持すると共に前記車両本体に固定される本体側固定部と、を有する本体側ユニットと、を備えたコルゲートチューブの配索構造であって、
前記コルゲートチューブは、管の全周面のうち一部の周面が、管の周方向に延びる凹溝と凸条とを管長手方向に交互に配列した凹凸構造とされ、前記管の全周面のうち前記一部の周面を除いた残りの周面が、前記凹溝と前記凸条を有しないストレート構造とされる剛性部が設けられ、
前記本体側取付部は、前記凸条において前記周方向の両端面と係止する係止部を有する、
コルゲートチューブの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体側ユニットおよびコルゲートチューブの配索構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両本体とスライドドアとの間に配索されるコルゲートチューブを車両本体に取り付ける本体側ユニットとして、例えば、特許文献1、2に記載された給電装置が提案されている。特許文献1、2に記載された給電装置は、コルゲートチューブに固定されるボール部(本体側取付部)と、ボール部を回転自在に支持し車両本体に固定されるベース部及び蓋部と、を有している。
【0003】
また、コルゲートチューブの屈曲させたくない箇所に凹凸構造とストレート構造とを有する剛性部を設け、屈曲させたい箇所に蛇腹部を設けたものが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-206051号公報
【文献】特開2017-222306号公報
【文献】特開2019-47642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したコルゲートチューブは、円管状に設けられているため、ボール部がコルゲートチューブに対して、管の周方向に回転してしまう。このため、スライドドアが全開位置から全閉位置へ移動する際にコルゲートチューブがスムースに動けなくなる、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体側取付部が、コルゲートチューブに対して、周方向の回転するのを抑制した本体側ユニットおよびコルゲートチューブの配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る本体側ユニット及び本体側取付部は、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
車両本体とスライドドアとの間に配索される管状のコルゲートチューブに取り付けられる本体側取付部と、
前記本体側取付部を回転自在に支持すると共に前記車両本体に固定される本体側固定部と、
を備えた本体側ユニットであって、
前記コルゲートチューブは、管の全周面のうち一部の周面が、管の周方向に延びる凹溝と凸条とを管長手方向に交互に配列した凹凸構造とされ、前記管の全周面のうち前記一部の周面を除いた残りの周面が、前記凹溝と前記凸条を有しないストレート構造とされる剛性部が設けられ、
前記本体側取付部は、前記凸条において前記周方向の両端面と係止する係止部を有
前記本体側取付部は、前記ストレート構造を覆う第1の部材と、前記凹凸構造を覆う第2の部材と、に2分割され、
前記第1の部材の周方向両端に、前記係止部が設けられた、
本体側ユニットであること。

車両本体とスライドドアとの間に配索される管状のコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブをスライドドアに取り付けるドア側ユニットと、
前記コルゲートチューブに取り付けられる本体側取付部と、前記本体側取付部を回転自在に支持すると共に前記車両本体に固定される本体側固定部と、を有する本体側ユニットと、を備えたコルゲートチューブの配索構造であって、
前記コルゲートチューブは、管の全周面のうち一部の周面が、管の周方向に延びる凹溝と凸条とを管長手方向に交互に配列した凹凸構造とされ、前記管の全周面のうち前記一部の周面を除いた残りの周面が、前記凹溝と前記凸条を有しないストレート構造とされる剛性部が設けられ、
前記本体側取付部は、前記凸条において前記周方向の両端面と係止する係止部を有する、
コルゲートチューブの配索構造であること。
【0008】
上記[1]および[]の構成の本体側ユニットによれば、本体側取付部は、コルゲートチューブの凹凸構造を構成する凸条の周方向両端面に係止する係止部を有する。これにより、本体側取付部が、コルゲートチューブに対して、周方向に回転するのを抑制することができる。
【0009】
更に、上記[]の構成の本体側ユニットによれば、本体側取付部は、凹凸構造を覆う第1の部材と、ストレート構造を覆う第2の部材と、に2分割され、第2の部材の周方向両端に、係止部が設けられる。これにより、簡単な構成で係止部を設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本体側取付部が、コルゲートチューブに対して、周方向に回転するのを抑制した本体側ユニットおよびコルゲートチューブの配索構造を提供することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明のコルゲートチューブの配索構造の一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すコルゲートチューブの部分側面図である。
図3図3は、図1に示す本体側ユニットの分解斜視図である。
図4図4は、図3に示すロータリーインナの拡大図である。
図5図5は、図3および図4に示すロータリーインナが取り付けられた状態のコルゲートチューブの断面図である。
図6図6は、図1に示すドア側ユニットを構成するロータリーインナの分解斜視図である。
図7図7は、図1に示すドア側ユニットを構成するプロテクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
本実施形態のコルゲートチューブの配索構造1は、車両本体と、車両本体にスライド自在に取り付けられるスライドドアと、の間にコルゲートチューブ6を配索させるためのものである。図1に示すように、配索構造1は、ワイヤハーネス2と、本体側ユニット3と、ドア側ユニット4と、を備える。図1は、スライドドアの全閉状態、半開状態および全開状態のそれぞれにおけるワイヤハーネス2の様子を示している。
【0015】
ワイヤハーネス2は、車両本体からスライドドアに亘って設けられるものであって、複数の電線5と、電線5の外周を覆うコルゲートチューブ6と、で構成されている。
【0016】
電線5は、車両本体に搭載されたバッテリに電気的に接続されるとともに、スライドドアに設けられた電装部品(スピーカやパワーウインドウ等)に電気的に接続され、バッテリから電装部品に電力を供給するように設けられる。なお、電線5は、コルゲートチューブ6よりも長く形成され、その両端がコルゲートチューブ6から引き出されて露出している。
【0017】
コルゲートチューブ6は、管状に形成され、管内側に電線5が配置される。このコルゲートチューブ6は、管状であれば、特に断面視して円形に構成されていてもよいし、楕円形や長円形等に構成されていてもよいし、多角形状に構成されていてもよい。また、コルゲートチューブ6は、電線5を投入するために長手方向に延びる切り欠きを備えていてもよいし、備えていなくともよい。
【0018】
このようなコルゲートチューブ6は、図2に示すように、蛇腹部61と、剛性部62と、徐変部63と、が長手方向に並んで設けられている。なお、本実施形態では、徐変部63を有するコルゲートチューブ6を一例に挙げて説明するが、徐変部63を有することは必須ではなく、徐変部63はなくてもよい。
【0019】
蛇腹部61は、管の長手方向の一端側に形成された部位である。蛇腹部61は、管の周方向に延びる凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造とされている。凹凸構造において長手方向に並べられる複数の凹溝R、凸条Cは、互いに同じ高さに設けられている。また、凹溝R、凸条Cは、管の全周面に亘って同じ高さに設けられている。
【0020】
剛性部62は、管の長手方向の他端側に形成された部位である。剛性部62は、蛇腹部61よりも剛性が高くなるように設けられている。即ち、剛性部62は、蛇腹部61と同様に、管の周方向に延びる凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造を有している。剛性部62において凹凸構造は、管の全周面のうち一部の周面、本実施形態では境界線BLよりも上側の第1の半周部分64aにのみ設けられている。管の全周面のうち上記凹凸構造を除いた残りの周面である第2の半周部分64b(境界線BLよりも下側)は、凹溝R、凸条Cを有しないストレート構造とされている。
【0021】
ストレート構造の半径は、凹凸構造の凹溝Rの半径とほぼ同じに設けられている。ストレート構造を有することにより剛性部62の剛性を、蛇腹部61の剛性よりも高くすることができる。なお、剛性部62の凹凸構造と、蛇腹部61の凹凸構造とは、凸条Cの高さが同じで、かつ、ピッチも同じに設けられている。
【0022】
徐変部63は、剛性部62と蛇腹部61との間に形成された部位である。徐変部63は、剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に剛性が低くなるように設けられている。即ち、徐変部63は、凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列した凹凸構造と、凹溝Rと凸条Cとを長手方向に交互に配列し、凸条Cの高さが剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に高くなる徐変構造と、を有している。徐変部63において凹凸構造は、管の全周面のうち一部の周面、本実施形態では境界線BLよりも下側の第1の半周部分64aにのみ設けられている。徐変構造は、管の残りの第2の半周部分64bに設けられている。この徐変構造を有することにより徐変部63の剛性を剛性部62から蛇腹部61に向かうに従って徐々に低くすることができる。
【0023】
このようなコルゲートチューブ6において、剛性部62は最も剛性が高く屈曲させたくない箇所に適している。また、蛇腹部61は、所定R以上に屈曲させたい箇所に適している。徐変部63は、所定R未満に屈曲させたい箇所に適している。本実施形態では、剛性部62に本体側ユニット3を取り付けて、本体側ユニット3を車両本体に固定している。剛性部62の剛性により、コルゲートチューブ6が弛むスライドドアの半開時に、本体側ユニット3から引き出されたコルゲートチューブ6が下側に撓むことを抑制できる。これにより、コルゲートチューブ6と車両本体のウェザーストリップ(W/S)との間の隙間を確保して、コルゲートチューブ6とW/Sとの干渉を抑制することができる。また、スライドドアの全開時には、徐変部63の剛性によって最小曲げを規制することで、コルゲートチューブ6の折れを防止して、コルゲートチューブ6とW/Sとの隙間を確保することができる。
【0024】
本体側ユニット3は、コルゲートチューブ6の周方向に回転自在となるように、剛性部62を車両本体に取り付ける。本体側ユニット3は、図3に示すように、剛性部62に取り付けられるロータリーインナ(本体側取付部)7と、ロータリーインナ7を回転自在に支持すると共に車両本体に固定される本体側プロテクタ8(本体側固定部)と、を備えている。
【0025】
ロータリーインナ7は、図4および図5に示すように、コルゲートチューブ6の上下方向両側を挟んで取り付けられる下側ハウジング71(第1の部材)、上側ハウジング72(第2の部材)から構成されている。下側ハウジング71と上側ハウジング72とは、一部の構造を除いて共通の構造を有する。ここでは、まず、下側ハウジング71の構造について詳細に説明する。
【0026】
下側ハウジング71は、全体として中空の半球形状に形成され、剛性部62のストレート構造を覆う。下側ハウジング71は、一端および他端が、平行な2つの平面で切り取られた切り欠きが設けられている。このような下側ハウジング71は、複数のリブ711、係止突部712、係止凹部713を有する。
【0027】
複数のリブ711は、一端および他端に設けられた切り欠きの縁部に沿って設けられている。また、複数のリブ711は、下側ハウジング71の一端および他端の間にも幅方向に並んで設けられている。これらリブ711は、上端に半円状の切り欠き714が設けられている。切り欠き714は、その半径が剛性部62のストレート構造の半径とほぼ同じ、あるいはやや小さい程度の寸法である。当然、切り欠き714の半径は、剛性部62における凹凸構造の凸条Cの半径よりも小さい。このため、下側ハウジング71には、図5に示すように、これらリブ711の周方向両端に、凹凸構造の凸条Cにおいて周方向の両端面と係止する係止部715が設けられる。
【0028】
ロータリーインナ7をコルゲートチューブ6に取り付けた際、リブ711は剛性部62のストレート構造に当接する。このとき、リブ711が剛性部62のストレート構造の半径と略同じ、あるいはやや小さい程度の寸法であることによって下側ハウジング71と上側ハウジング72とが互いに組付けられた場合には、リブ711がストレート構造を押圧することになる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ7に固定(支持)される。
【0029】
係止突部712は、下側ハウジング71の上端面から突出する係止突片712aと、係止突片712aを挟むように係止突片712aの幅方向に設けられて、下側ハウジング71の上端面から突出する2つのガイド突片712bと、を有する。また、係止凹部713は、下側ハウジング71の上端面から穿設された係止孔713aと、係止孔713aの幅方向に設けられて、下側ハウジング71の上端面から穿設されたガイド孔713bと、を有する。係止突部712および係止凹部713は、互いに離間した位置にあり、進行方向(幅方向に直交する方向)の一方に係止突部712が位置し他方に係止凹部713が位置している。
【0030】
上側ハウジング72もまた、係止突部712の係止突片712a、ガイド突片712b、係止凹部713の係止孔713a、ガイド孔713bと同様の形状を有する(係止突部722の係止突片722a、ガイド突片722bが対応する、対応する係止孔、ガイド孔については図示せず)。下側ハウジング71と上側ハウジング72が互いに組付けられた場合には、ガイド突片712b、722bとガイド孔713bによってガイドされた係止突片712a、722aが係止孔713a内に誘導され互いの係止突片712a、722aと係止孔713aが係合し、かつ互いのガイド突片712b、722bとガイド孔713bが嵌りあう。
【0031】
また、上記リブ711の上端には、突起711aが設けられ、この突起711aが、剛性部62のストレート構造に入り込むことによって、コルゲートチューブ6により強い押力を作用することができる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ7により強固に固定される。
【0032】
次に、上側ハウジング72の構造について詳細に説明する。上側ハウジング72は、全体として中空の半球形状に形成され、剛性部62の凹凸構造を覆う。上側ハウジング72は、一端および他端が、平行な2つの平面で切り取られた切り欠きが設けられている。このような形状の上側ハウジング72は、複数のリブ721、係止突部722、係止凹部(図示せず)を有する。
【0033】
複数のリブ721は、一端および他端に設けられた切り欠きの縁部に沿って設けられている。また、複数のリブ721は、上側ハウジング72の一端および他端の間にも幅方向に並んで設けられている。これらリブ721は、下端に半円状の切り欠き724が設けられており、この半円の半径は、剛性部62の凹凸構造を構成する凸条Cの半径とほぼ同じ、あるいはやや小さい程度の寸法である。
【0034】
ロータリーインナ7をコルゲートチューブ6に取り付けた際、リブ721は凹凸構造の凸条Cに当接する。このとき、リブ721が凹凸構造の凸条Cの半径と略同じ、あるいはやや小さい程度の寸法であることによって下側ハウジング71と上側ハウジング72とが互いに組付けられた場合には、リブ711が凸条Cを押圧することになる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ7に固定(支持)される。
【0035】
また、上側ハウジング72の係止突部722、係止凹部(図示せず)については、上述した下側ハウジング71の係止突部712、係止凹部713の説明中の「上」を「下」に置き換えたものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
プロテクタ8は、図3に示すように、車両本体に固定されるベース部81と、ベース部81に対して組付けられる蓋部82と、を有している。ベース部81は、ガイド部811と、ガイド部811の進行方向一方側から突設された車両本体に固定するための固定片812と、を有する。
【0037】
ガイド部811は、幅方向に長尺な底面部811aと、底面部811aの進行方向の両側の端部から立設した一対の立壁部811bと、底面部811aのスライドドアから離れた側の端部から立設した立壁部811cと、を有して上側及びスライドドア側に向かって開口している。コルゲートチューブ6は、スライドドア側の開口からガイド部811内に挿入される。また、一対の立壁部811cの一方には、切り欠き811dが設けられている。コルゲートチューブ6に挿入された電線5は、この切り欠き811dからガイド部811外に引き出される。また、これら立壁部811b、811cには、蓋部82と係止する係止凹部811eが設けられている。
【0038】
また、上記底面部811aからは一対のリブ811f,811fが立設されている。一対のリブ811f,811fは、幅方向に並んで設けられ、その間隔は球状のロータリーインナ7の径よりも小さく設けられている。また、一対のリブ811f,811fの上面には、半円状の切り欠き811gが設けられている。この切り欠き811gの半径は、ロータリーインナ7の径よりも小さく設けられている。この一対のリブ811f,811f上にロータリーインナ7を搭載することにより、ロータリーインナ7は、周方向に回転自在に支持される。
【0039】
固定片812は、一対の立壁部811bの一方から進行方向に突出し、ボルトなどの固定部材が挿通される固定孔812aが形成されている。本実施形態では、固定片812は、幅方向に並べて2つ設けられている。
【0040】
蓋部82は、ベース部81の上側開口を覆う蓋部本体821と、蓋部本体821から突設された固定片822と、を有している。蓋部本体821には、ベース部81の係止凹部811eに挿入されて係止する係止突部821aが設けられている。固定片822は、ベース部81に向かって突設され、ボルトなどの固定部材が挿通される固定孔822aが形成されている。固定片812、822は、ベース部81と蓋部82とを組付けると互いに重ねられ、ボルトが挿通されて、車両本体に固定される。この蓋部本体821にも、ロータリーインナ7を周方向に回転自在に支持するための図示しない一対のリブが立設されている。この図示しない一対のリブは、上述したリブ811fと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
ドア側ユニット4は、図6及び図7に示すように、蛇腹部61に取り付けられるロータリーインナ(ドア側支持部)9と、ロータリーインナ9を軸回りに回転自在に支持すると共にスライドドアに固定されるプロテクタ10と、を備えている。
【0042】
ロータリーインナ9は、図6に示すように、コルゲートチューブ6の幅方向両側を挟んで取り付けられる第1ハウジング91、第2ハウジング92から構成されている。第1ハウジング91と第2ハウジング92とは、一部を除いて共通の構造を有する。ここでは、まず、第1ハウジング91の構造について詳細に説明する。第1ハウジング91は、底面部911、一対の立壁部912、複数のリブ913、係止突部914、係止凹部915、図示しない突柱、を有する。
【0043】
底面部911は、上下方向に長尺に設けられている。一対の立壁部912は、一対の底面部911の進行方向両側の端部から立設されている。一対の立壁部912は、底面部911の下端から上端に至る途中まで設けられている。即ち、底面部911の上端には一対の立壁部912は設けられていない。複数のリブ913は、進行方向に沿って延び、上下方向に複数並べて配置される。リブ913は、上端が半円を描いており、この半円の半径は、コルゲートチューブ6において蛇腹部61の凸条Cの半径と同じ、あるいはやや小さい程度の寸法である。ロータリーインナ9をコルゲートチューブ6に取り付けた際、リブ913はコルゲートチューブ6の外表面に当接する。このとき、リブ913がコルゲートチューブ6の半径と略同じ、あるいはやや小さい程度の寸法であることによって第1ハウジング91と第2ハウジング92とが互いに組付けられた場合には、リブ913がコルゲートチューブ6を押圧することになる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ9に固定(支持)される。
【0044】
係止突部914は、一対の立壁部912の一方から第2ハウジング92に向かって突出して設けられている。係止凹部915は、一対の立壁部912の他方に設けられている。第2ハウジング92もまた、係止突部914と、係止凹部915と同様の形状を有する(係止突部924が対応する。係止凹部については図示せず)。第1ハウジング91と第2ハウジング92とが組付けられた場合には、互いの係止突部914、924と係止凹部915が係合する。
【0045】
また、上記リブ913の上端には、突起913aが設けられ、この突起913aが、蛇腹部61の凹溝Rに入り込むことによって、コルゲートチューブ6により強い押力を作用することができる。この結果、コルゲートチューブ6がロータリーインナ9により強固に固定される。
【0046】
図示しない突柱は、底面部911から立壁部912とは逆側に円柱状に突設されている。
【0047】
次に、第2ハウジング92の構造について詳細に説明する。第2ハウジング92は、底面部921、立壁部922、複数のリブ(図示せず)、係止突部924、係止凹部(図示せず)、突柱926、を有する。これら第2ハウジング92の底面部921、立壁部922、複数のリブ(図示せず)、係止突部924、係止凹部(図示せず)、突柱926については、上述した第1ハウジング91の底面部911、立壁部912、複数のリブ913、係止突部914、係止凹部915、突柱(図示せず)と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
上記ロータリーインナ9は、第1ハウジング91の突柱(図示せず)と第2ハウジング92の突柱926とが回転軸となり、軸回りに回転自在にプロテクタ10に支持される。
【0049】
プロテクタ10は、スライドドア側に設けられる第3ハウジング101と、第3ハウジング101に重ねられる第4ハウジング102と、から構成されている。第3ハウジング101は、進行方向に長尺な底面部1011と、底面部1011の周縁から立設する周壁部1012と、を有し、幅方向のスライドドアから離れた側に向かって開口している。底面部1011は、スライドドアに重ねられる。底面部1011は、一対の固定孔1011aと、軸支孔1011bと、が設けられている。一対の固定孔1011aは、底面部1011の進行方向両側に貫通して設けられ、ボスなどの固定部材が通される。軸支孔1011bは、底面部1011の進行方向略中央を窪ませて設けられ、第1ハウジング91の図示しない突柱が挿入される。また、周壁部1012のうち上下方向に対向する部分には各々、切り欠き1012aが設けられている。この切り欠き1012aからロータリーインナ9の上下方向両端が突出される。
【0050】
第4ハウジング102は、進行方向に長尺な底面部1021と、底面部1021の進行方向両側から第3ハウジング101に向かって立設する中空状の円柱部1022と、を有している。底面部1021には、軸支孔1021aが設けられている。軸支孔1021aは、底面部1011の進行方向略中央を窪ませて設けられ、第2ハウジング92の突柱926が挿入される。また、円柱部1022の底面は、第3ハウジング101の固定孔1011aに重ねられ、ボスなどの固定部材が通される固定孔1022aが設けられる。
【0051】
次に、上述した構成の配索構造1の組み立てについて説明する。まず、コルゲートチューブ6の剛性部62の上下方向(径方向)両側を下側ハウジング71と上側ハウジング72とで挟むようにして、下側ハウジング71と上側ハウジング72とを組み立てる。その後、剛性部62に取り付けられたロータリーインナ7をプロテクタ8内に挿入する。その後、ボスなどの固定部材をベース部81および蓋部82の固定片812、822に設けた固定孔812a、822aに通して、プロテクタ8を車両本体に固定する。
【0052】
また、コルゲートチューブ6の蛇腹部61の幅方向(径方向)両側を第1ハウジング91と第2ハウジング92とで挟むようにして、第1ハウジング91と第2ハウジング92とを組みつける。その後、蛇腹部61に取り付けられたロータリーインナ9を第3ハウジング101と第4ハウジングとで挟む。このとき、ロータリーインナ9の突柱926がプロテクタ10の軸支孔1011b、1021aに挿入されるようにする。その後、ボスなどの固定部材をプロテクタ10の固定孔1011a、1022aに通して、プロテクタ10をスライドドアに固定する。
【0053】
次に、上述したコルゲートチューブ6の配索構造1を用いた配索方法について説明する。剛性部62の長さは、コルゲートチューブ6を取り付ける車両によって異なる。即ち、車両の種類、サイズなどによって、本体側ユニット3とドア側ユニット4とを取り付ける位置が変動するからである。そこで、本実施形態では、コルゲートチューブ6を配索させる車両に合わせて、剛性部62の蛇腹部61から離れた端部からロータリーインナ7の取付位置までの距離を調整する。
【0054】
上述した実施形態によれば、コルゲートチューブ6の剛性部62の長さが異なるコルゲートチューブ6を車両毎に設けなくても、剛性部62の長さを車両に合わせることができる。複数の車両に対してコルゲートチューブ6を共通化することができる。
【0055】
また、上述した実施形態によれば、ロータリーインナ7は、コルゲートチューブ6の凹凸構造を構成する凸条Cの周方向両端面に係止する係止部715を有する。これにより、ロータリーインナ7がコルゲートチューブ6の周方向に回転するのを抑制できる。特に、本実施形態のように、スライドドアの移動に伴ってロータリーインナ7が、コルゲートチューブ6の周方向に回転する際に、効果的である。
【0056】
また、上述した実施形態によれば、ロータリーインナ7は、凹凸構造を覆う上側ハウジング72と、ストレート構造を覆う下側ハウジング71と、に2分割され、下側ハウジング71の周方向両端に、係止部715が設けられる。これにより、簡単な構成で係止部715を設けることができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0058】
上述した実施形態では、剛性部62において全周面の半分を凹凸構造、残りの半分をストレート構造に構成していたが、これに限ったものではない。全周面の半分以上または半分未満を凹凸構造、残りをストレート構造としてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、下側ハウジング71において、全てのリブ721に係止部715を設けていたが、これに限ったものではない。複数のリブ721の少なくとも1つに係止部715が設けられていてもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、上側ハウジング72において、全てのリブ721が凹凸構造の凸条Cに接触していたが、これに限ったものではない。リブ721は、凹凸構造の凹溝Rに接触するように切り欠き724を設けてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 コルゲートチューブの配索構造
3 本体側ユニット
4 ドア側ユニット
6 コルゲートチューブ
7 ロータリーインナ(本体側取付部)
8 本体側プロテクタ(本体側固定部)
62 剛性部
71 下側ハウジング(第1の部材)
72 上側ハウジング(第2の部材)
715 係止部
C 凸条
R 凹溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7