(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】移動体監視システム、及び移動体監視方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231219BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2020047009
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 茂
(72)【発明者】
【氏名】松永 英樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 成光
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢二
(72)【発明者】
【氏名】呉橋 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230665(JP,A)
【文献】特開2017-055177(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
H04M 3/00、3/16- 3/20、 3/38- 3/58、
7/00- 7/16、11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体のそれぞれに設けられる複数の端末装置と、当該
複数の端末装置それぞれの周囲の不識移動体に係る情報の収集を介して該不識移動体の監視を行う監視装置と、を備える移動体監視システムであって、
前記不識移動体とは、自移動体を含む所定の観測地点に係る死角領域にその一部が入っている他の移動体であり、
前記
複数の各端末装置は、
前記不識移動体の存否情報を含む不識移動体情報を取得する情報取得部と、
所定の監視領域に関する前記不識移動体の存否判定を行う端末側判定部と、
前記端末側判定部により前記監視領域に前記不識移動体が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域に関する不識移動体の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体に係る不在時間情報を生成する不在時間情報生成部と、
前記生成された不在時間情報を送信する端末側通信部と、を
それぞれ備え、
前記監視装置は、
前記
複数の各端末側通信部から
それぞれ送信されてきた
複数の不在時間情報を受信する集積側通信部と、
前記受信した
複数の不在時間情報に基づいて、前記時間情報に基づく時間帯において前記監視領域に関する不識移動体が不在である旨の判定を下す集積側判定部と、を備え、
前記集積側判定部は、前記受信した不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、前記不在情報の確度を設定する
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項2】
複数の移動体のそれぞれに設けられる複数の端末装置と、当該複数の端末装置それぞれの周囲の不識移動体に係る情報の収集を介して該不識移動体の監視を行う一つの監視装置と、を備える移動体監視システムであって、
前記不識移動体とは、自移動体を含む所定の観測地点に係る死角領域にその一部が入っている他の移動体であり、
前記複数の各端末装置は、
前記不識移動体の存否情報を含む不識移動体情報を取得する情報取得部と、
所定の監視領域に関する前記不識移動体の存否判定を行う端末側判定部と、
前記端末側判定部により前記監視領域に前記不識移動体が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域に関する不識移動体の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体に係る不在時間情報を生成する不在時間情報生成部と、
前記生成された不在時間情報を送信する端末側通信部と、をそれぞれ備え、
前記監視装置は、
前記複数の各端末側通信部からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する集積側通信部と、
前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、前記時間情報に基づく時間帯において前記監視領域に関する不識移動体が不在である旨の判定を下す集積側判定部と、を備え、
前記集積側判定部は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、前記不在情報の確度を設定する
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体監視システムであって、
前記監視装置は前記移動体に設けられ、
前記移動体に設けられた監視装置の前記集積側通信部は、前記複数の移動体のそれぞれに設けられた前記複数の端末装置との間で通信を行うことにより、前記複数の各端末側通信部からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体監視システムであって、
前記監視装置に備わる集積側通信部は、当該監視装置を搭載した監視移動体に係る死角領域の情報を送信する一方、
前記複数の各端末装置にそれぞれ備わる端末側通信部は、前記監視移動体に係る死角領域の情報を受信し、
前記複数の各端末装置にそれぞれ備わる前記端末側判定部は、前記受信した前記監視移動体に係る死角領域を、前記所定の監視領域として設定すると共に、当該設定された所定の監視領域に関する不識移動体の存否判定を行う
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の移動体監視システムであって、
前記監視装置に備わる集積側通信部は、前記不識移動体情報を指定時刻に取得すべき旨の要求を送信する一方、
前記複数の各端末装置にそれぞれ備わる前記情報取得部は、前記指定時刻に前記不識移動体情報を取得する
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項6】
請求項4に記載の移動体監視システムであって、
前記監視装置に備わる集積側判定部は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に、当該時間情報に基づく時間帯が重ならない不在時間情報の数を加えた総数に基づいて、前記不在情報の確度を設定する
ことを特徴とする移動体監視システム。
【請求項7】
複数の移動体の各々に備わる複数の端末装置と、当該複数の各移動体それぞれの周囲の不識移動体に係る情報の収集を介して該不識移動体の監視を行う一つの監視装置と、を備える移動体監視システムで用いられる移動体監視方法であって、
前記不識移動体とは、自移動体を含む所定の観測地点に係る死角領域にその一部が入っている他の移動体であり、
前記複数の各端末装置は、
前記不識移動体の存否情報を含む不識移動体情報を取得する工程と、
所定の監視領域に関する前記不識移動体の存否判定を行う工程と、
前記存否判定により前記監視領域に前記不識移動体が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域に関する不識移動体の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体に係る不在時間情報を生成する工程と、
前記生成された不在時間情報を送信する工程と、を有し、
前記監視装置は、
前記複数の各端末装置の側からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する工程と、
前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、前記時間情報に基づく時間帯において前記監視領域に関する不識移動体が不在である旨の判定を下す工程と、を有し、
前記時間情報に基づく時間帯において前記監視領域に関する不識移動体が不在である旨の判定を下す工程では、前記受信した複数の不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、前記不在情報の確度を設定する
ことを特徴とする移動体監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の監視を行う移動体監視システム、及び移動体監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近時、ドライバの運転負荷を軽減しつつ安全で快適な車両運行を実現するため、自動運転機能を有する自動運転車が徐々に普及している。
自動運転車の安全な運行を実現するには、自動運転車に備わる運転支援装置において、当該車両の周囲に存するガードレール、信号機、標識等の物標、並びに、他車両、オートバイ、自転車、歩行者等の交通参加者を含む物体の分布情報を正確に把握することが求められる。
【0003】
こうした要請に応えるために、例えば特許文献1には、障害物観測手段によって観測された障害物の情報を用いて、移動可能領域と、障害物占有領域と、死角領域とが表された障害物マップを生成する障害物マップ生成装置の発明が記載されている。
詳しく述べると、特許文献1に係る障害物マップ生成装置の発明は、障害物観測手段によって観測された障害物の情報を取得する障害物情報取得部と、障害物情報取得部によって取得された障害物の情報に基づき、障害物の位置を算出する算出部と、障害物観測手段が設置された位置とは異なる位置を仮想点として設定する仮想点設定部と、仮想点の位置及び障害物の位置に基づき、仮想点の位置を基点として移動可能領域及び死角領域を決定する仮想領域決定部と、を備える。
【0004】
特許文献1に係る障害物マップ生成装置によれば、障害物の分布情報に係る障害物マップを提供することによって自動運転車に係る安全運行の実現に貢献することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る障害物マップ生成装置の発明によっても、ある観測地点に係る死角領域での不識移動体に関する情報をもれなく正確に把握することは困難をきわめるという課題が依然として残されていた。また、不識移動体に関する情報の信憑性に疑問が残るという課題もある。
【0007】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、ある観測地点に係る死角領域での不識移動体に関する情報の確度を向上可能となる移動体監視システム、及び移動体監視方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明(1)に係る移動体監視システムは、複数の移動体のそれぞれに設けられる複数の端末装置と、当該複数の端末装置それぞれの周囲の不識移動体に係る情報の収集を介して該不識移動体の監視を行う監視装置と、を備える移動体監視システムであって、前記不識移動体とは、自移動体を含む所定の観測地点に係る死角領域にその一部が入っている他の移動体であり、前記複数の各端末装置は、前記不識移動体の存否情報を含む不識移動体情報を取得する情報取得部と、所定の監視領域に関する前記不識移動体の存否判定を行う端末側判定部と、前記端末側判定部により前記監視領域に前記不識移動体が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域に関する不識移動体の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体に係る不在時間情報を生成する不在時間情報生成部と、前記生成された不在時間情報を送信する端末側通信部と、をそれぞれ備え、前記監視装置は、前記複数の各端末側通信部からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する集積側通信部と、前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、前記時間情報に基づく時間帯において前記監視領域に関する不識移動体が不在である旨の判定を下す集積側判定部と、を備え、前記集積側判定部は、前記受信した不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、前記不在情報の確度を設定することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ある観測地点に係る死角領域での不識移動体に関する不在情報の確度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る移動体監視システムの概要を表す全体構成図である。
【
図2】端末装置を備える車載機の概略構成を表す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る移動体監視システムにおいて、端末装置から監視装置宛に送信される通信フレームの概略構成図である。
【
図4】監視装置の概略構成を表す機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る移動体監視システムにおいて、端末装置(応答側)及び監視装置(要求側)の各々で順次行われる情報処理手順を表す図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る移動体監視システムの概要を表す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る移動体監視システム、及び移動体監視方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、共通の機能を有しかつ相互に識別を要しない部材には、共通の参照符号を付するものとする。また、部材のサイズ及び形状は、説明の便宜のため、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
【0012】
〔移動体監視システム11の構成〕
はじめに、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11の概要を表す全体構成図である。
本発明の実施形態に係る移動体監視システム11は、
図1に示すように、車車間通信又は路車間通信を介して取得したそれぞれの検出地点での不識移動体13に関する不在情報を統合して不識移動体13の監視を行う監視機能を有する。
【0013】
前記監視機能を具現化するために、移動体監視システム11は、
図1に示すように、複数の車両15a~15gの各々に備わる複数の端末装置17a~17gと、一つの監視装置19と、を備えて構成される。
複数の車両15a~15gについて、特に差別化を要しない場合、これらを総称して単に車両15と呼ぶ。同様に、複数の端末装置17a~17gについて、特に差別化を要しない場合、これらを総称して単に端末装置17と呼ぶ。複数の車両15a~15gのそれぞれは、本発明の「移動体」に相当する。本発明の「移動体」としては、例えば、大型車・普通車・オートバイ・自転車・歩行者等の、移動可能なあらゆる物体を想定している。
監視装置19は、例えば路側機21に設けられている。監視装置19は、複数の端末装置17a~17gと協働して、複数の各車両15a~15gのそれぞれの周囲の不識移動体13の監視を行う機能を有する。
【0014】
ここで、不識移動体13とは、ある観測地点(
図1の例では車両15g)に係る死角領域18にその一部が入っている、例えば、自車両15の周囲に存する他車両、オートバイ、自転車、歩行者等の移動体である。特に、本発明では、不識移動体13とは、自車両15及びその周辺の他車両の速度(停車を含む)とは異なる速度で移動しているなど、不審な挙動を示す移動体全般を想定している。
ある観測地点に係る死角領域18とは、同観測地点からは直接見通せない領域であって、同観測地点の周囲に存する物体や標識を含む物標の背後に広がる領域である。
こうした不識移動体13を監視対象としたのは、本発明者らの知見によれば、かかる不識移動体13の存在は交通の流れを乱して交通事故を誘発する蓋然性が高い傾向があることに基づく。
【0015】
次に、各車両15に搭載された端末装置17及び監視装置19の設置環境に言及する。
図1には、T字路交差点5の付近を通る不識移動体13及び複数の車両15a~15gが示されている。
図1に示すT字路交差点5では、片側2車線の幹線道路7と、片側1車線の支線道路9とがT字形状に交差している。
【0016】
片側2車線の幹線道路7では、進行方向に向かって右側車線7aに3台の車両15b,15d,15fが、左側車線7bに3台の車両15a,15c,15eが、それぞれ徐行している。これら各車両15a~15fのそれぞれには、応答側の端末装置17a~17fが備わっている。応答側の端末装置17a~17fとは、不在時間情報の提供側を意味する。
要するに、
図1に示す幹線道路7には、右側車線7aに存する3台の車両15b,15d,15fのそれぞれに備わる3つの端末装置17b,17d,17fが、左側車線7bに存する3台の車両15b,15d,15fのそれぞれに備わる3つの端末装置17a,17c,17eが、それぞれ配設されている。
【0017】
また、片側1車線の支線道路9では、進行方向に向かって左側の走行車線9aに1台の車両15gが、停止線10で停車している。この車両15gには、要求側の端末装置17gが備わっている。要求側の端末装置17gとは、不在時間情報の提供を要求する側を意味する。
要するに、
図1に示す支線道路9には、走行車線9aに存する1台の車両15gに備わる1つの端末装置17gが設けられている。同車両15gの運転者は、優先道路である幹線道路7のうち右側車線7aにおける車両15b及び車両15dの車間間隙16への合流の機会をうかがっている。
【0018】
不識移動体13は、特に限定されないが、例えばオートバイである。不識移動体13は、幹線道路7の右側車線7aのうち、徐行中の車両15f,15dの進行方向に向かって左脇をすり抜けるように、周囲の車両15と比べて高い速度で走行している。
監視装置19は、
図1に示すT字路交差点5のうち支線道路9の進行方向に向かって左方角部に設けられている。
なお、このT字路交差点5は、特に限定されないが、例えば交通事故の多発地点である。
【0019】
本T字路交差点5における課題は、渋滞時には、死角に起因して幹線道路7を走行中の不識移動体13及び車両15を含む全ての障害物の動きを見通せない点である。
図1に示す例では、支線道路9の走行車線9aのうち停止線10で停車待機している車両15gの運転者から視て、車両15cの背後に死角領域18が存在する。この死角領域18に、車両15fの全体が、また、車両15dの後部が入っている。不識移動体13は、死角領域18に入っていない。
仮に、車両15gの運転者の死角領域18に不識移動体13の全体が入っており、かつ、不識移動体13が、車群を構成する複数の車両15同士の隙間から、同車両15と比べて高速でT字路交差点5に侵入しようとしたとする。
【0020】
こうしたケースでは、車両15gの運転者が、幹線道路7のうち右側車線7aの車両15b及び車両15dの車間間隙16に合流しようとして車両15dの動きのみに注意を払ってT字路交差点5に侵入すると、不識移動体13と出会い頭に衝突してしまうおそれがある。
【0021】
そこで、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11では、車車間通信又は路車間通信を介して取得したそれぞれの検出地点での不識移動体13に係る不在時間情報(詳しくは後記)を統合して車両15gにとっての死角領域18の監視を行うことによって、同死角領域18での不識移動体13に関する不在情報の確度を格段に向上することとした。
【0022】
〔端末装置17を備える車載機31の構成〕
次に、端末装置17を備える車載機31の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、端末装置17を備える車載機31の概略構成を表す機能ブロック図である。
【0023】
車載機31は、
図2に示すように、入出力装置33と、端末装置17及び運転支援装置34が備わる車両制御装置35とを備える。車両制御装置35には、運転装置37が接続されている。
【0024】
入出力装置33は、
図2に示すように、外界センサ41、ナビゲーション装置43、V2X通信機45、自車状態センサ47、及び、HMI(Human Machine Interface)49を備えて構成される。
【0025】
[外界センサ41]
外界センサ41は、自車両15の周囲の物体や標識を含む物標に関する外界情報を検知する機能を有する。外界センサ41は、カメラ51、レーダ53、及びライダ55を含んで構成されている。
カメラ51は、自車両前方の斜め下方に傾斜した光軸を有し、自車両15の進行方向画像を撮像する機能を有する。カメラ51としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラやCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を適宜用いることができる。カメラ51は、自車両15の車室内におけるバックミラー(不図示)近傍、及び自車両15の車室外における右側ドア前部・左側ドア前部などに設けられる。
【0026】
カメラ51は、基本的には、自車両15における進行方向前方・右後側方・左後側方・後方に係る外界画像を周期的に繰り返し撮像する。ただし、車両制御装置35からの移動体監視情報に係る取得要求が生じた場合、その取得要求に従うタイミングで前記外界画像を撮像する。
【0027】
本実施形態において、バックミラー近傍に設けたカメラ51は、例えば、一対の単眼カメラを並設してなる。ただし、カメラ51はステレオカメラであってもよい。
カメラ51により撮像された自車両15の進行方向前方・右後側方・左後側方・後方の画像情報は、車両制御装置35へ送られる。
【0028】
レーダ53は、自車両15の前方を走行する追従対象となる前走車を含む物標にレーダ波を照射する一方、物標で反射されたレーダ波を受信することにより、物標までの距離や物標の方位を含む物標の分布情報を取得する機能を有する。レーダ波としては、レーザ、マイクロ波、ミリ波、超音波などを適宜用いることができる。
レーダ53は、本実施形態において、例えば、フロント側に3つ、リア側に2つの都合5つ設けられている。レーダ53による物標の分布情報は、車両制御装置35へ送られる。
【0029】
ライダ55(LIDAR:Light Detection and Ranging)は、例えば、照射光に対する散乱光の検出に要する時間を計測することにより、物標の有無、及び物標までの距離を検知する機能を有する。ライダ55は、本実施形態において、例えば、フロント側に2つ、リア側に3つの都合5つ設けられている。ライダ55による物標の分布情報は、車両制御装置35へ送られる。
【0030】
[ナビゲーション装置43]
ナビゲーション装置43は、自車両15の現在位置を地図上にマッピングすると共に目的地までの経路案内等を行う機能を有する。ナビゲーション装置43は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ナビゲーション地図情報、ヒューマンマシンインターフェースとして機能するタッチパネル式の表示装置、スピーカ、マイク(いずれも不図示)等を備えて構成される。ナビゲーション装置43は、GNSS受信機によって自車両15の現在位置を割り出すと共に、現在位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導き出す。
ナビゲーション装置43により割り出された自車両15の現在位置、及びナビゲーション装置43により導出された目的地までの経路は、車両制御装置35に提供される。
【0031】
[V2X通信機45]
V2X通信機45は、自車両15を除く周辺車両15に対する車車間通信(V2V通信)、又は、自車両15の走行する幹線道路7に設置された路側機21に対する路車間通信(V2R通信)を、無線通信媒体を介して行う機能を有する。V2X通信機45の通信プロトコルとしては、特に限定されないが、例えば、TCP/IPを好適に用いることができる。
V2X通信機45は、不在時間情報生成部63(詳しくは後記)で生成された不在時間情報(
図3参照)を、自車両15を除く周辺車両15及び路側機21宛にブロードキャスト(同報送信)する。
【0032】
[自車状態センサ47]
自車状態センサ47は、自車両15の状態に関する自車状態情報を取得する機能を有する。自車状態センサ47で取得された自車状態情報は、車両制御装置35へ送られる。
自車状態センサ47としては、車両15の挙動を検出するための、例えば、速度センサ、加速度センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、位置センサ、方位センサを含む。また、自車状態センサ47としては、運転者の行動(よそ見)や生体情報(例えば、心拍数、覚醒度)を検出するセンサを含んでもよい。
【0033】
[HMI49]
HMI49は、運転操作系の構成部材と、非運転操作系の構成部材と、を備える。これらの境界は明確なものではなく、運転操作系の構成部材が非運転操作系の機能を備える構成(又はその逆)を採用しても構わない。
【0034】
HMI49は、運転操作系の構成部材として、例えば、アクセルペダル、アクセル開度センサ、及びアクセルペダル反力出力装置と、ブレーキペダル及びブレーキ踏量センサと、シフトレバー及びシフト位置センサと、ステアリングホイール、ステアリング操舵角センサ及びステアリングトルクセンサと、を含む。
【0035】
また、HMI49は、非運転操作系の構成部材として、例えば、コンソールに設けたマルチファンクションディスプレイ、スピーカ、各種操作スイッチと、シート及びシート駆動装置と、ウインドウガラス及びウインドウ駆動装置と、車室内カメラと、を含む。
【0036】
〔車両制御装置35の構成〕
次に、自車両15に搭載される車両制御装置35の内部構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図3は、本発明に係る移動体監視システム11において、端末装置17から監視装置19宛に送信される通信フレーム39の概略構成図である。
【0037】
車両制御装置35は、例えば、一以上のプロセッサ又は同等の機能を有するハードウェアにより実現される。車両制御装置35は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、記憶装置、及び通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU(Electronic Control Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)などが組み合わされた構成であってよい。
【0038】
詳しく述べると、車両制御装置35は、自車両15に搭載された外界センサ41によって自車両15の周囲の不識移動体13に関する不在時間情報を生成する機能、生成した不在時間情報を同報送信する機能、及び、自車両15の加減速・操舵を含む自車両15の運転支援を行う機能を有する。
前記機能を実現するために、車両制御装置35は、
図2に示すように、端末装置17、及び運転支援装置34を備える。
【0039】
〔端末装置17の構成〕
次に、車両制御装置35に備わる端末装置17について、
図2を参照して説明する。
車両制御装置35に備わる端末装置17は、
図2に示すように、情報取得部61、端末側判定部62、不在時間情報生成部63、及び、端末側通信部65を備えて構成されている。
【0040】
情報取得部61は、自車両15の周囲の不識移動体13に係る存否情報及び位置情報を含む不識移動体情報を取得する機能を有する。ただし、不識移動体13に係る位置情報は、不識移動体13が存する場合に取得される。
【0041】
不識移動体13に係る存否情報とは、自車両15の周囲に不識移動体13が存するか否かに関する情報である。また、不識移動体13に係る位置情報とは、外界センサ41により不識移動体13に関する情報を取得した時点の不識移動体13に係る位置情報(例えば、三次元座標)である。
不識移動体13が複数存する場合、不識移動体13に係る存否情報及び位置情報は、相互に異なる不識移動体13毎に対応付けて取得される。
不識移動体13に係る存否情報及び位置情報を含む不識移動体情報は、
図3に示すように、通信フレーム39の情報として用いられる。
【0042】
端末側判定部62は、所定の監視領域に関する不識移動体13の存否判定を行う機能を有する。本発明に係る実施形態において、所定の監視領域とは、ある(任意の)観測地点に係る死角領域18と同義である。
本発明に係る実施形態では、監視装置19の側から端末装置17の側に、所定の監視領域としてある観測地点に係る死角領域18を設定すべき旨の情報を送り、端末装置17の側では、所定の監視領域としてある観測地点に係る死角領域18を設定する構成を採用している。また、所定の監視領域に関する不識移動体13の存否判定を行うとは、ある観測地点に係る死角領域18における、不識移動体13の存否判定を行うことを意味する。これらについて、詳しくは後記する。
【0043】
不在時間情報生成部63は、
図3に示すように、端末側判定部62により監視領域(ある観測地点に係る死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体に係る不在時間情報を生成する機能を有する。
【0044】
当該判定した時点の時間情報とは、監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定を端末側判定部62が下した時点の時刻情報である。この時刻情報は、ある程度の時間幅をもたせても構わない。そのため、本発明に係る実施形態では、時刻情報をその上位概念である時間情報として定義している。
不識移動体に係る不在時間情報とは、要するに、監視領域(死角領域18)に不識移動体13が、ある時間帯において不在である旨を表す情報である。
【0045】
前記時刻情報は、絶対時刻で表現される。絶対時刻とは、協定世界時(UTC)における所定の時刻からの形式的な経過秒数(実質的な経過秒数から、その間に挿入された閏秒を引き、削除された閏秒を加えたもの)として表される時刻等、高精度で共有可能な時刻を意味する。
【0046】
不識移動体13に係る不在時間情報は、
図3に示すように、通信フレーム39の情報として用いられる。通信フレーム39に担持される情報として、不在時間情報の他に、自車識別情報、自車位置情報、及び送信時刻情報からなる自車情報、並びに、宛先情報(不図示)が含まれている。
自車識別情報とは、自車両15を一意に識別可能となる、自車両15に固有の情報である。具体的には、例えば、自車両15に付されているナンバープレート番号が、自車識別情報に相当する。
自車位置情報とは、外界センサ41により不識移動体13に関する情報を取得した時点の自車両15に係る位置情報(例えば、三次元座標)である。
送信時刻情報とは、端末装置17が通信フレーム39を監視装置19宛に送信した時刻(タイムスタンプ)である。
宛先情報とは、通信フレーム39の宛先に関する情報である。本発明に係る実施形態では、通信フレーム39の宛先情報は「ブロードキャスト」に設定されている。これは、本発明では、宛先情報を識らない複数の車両15が通行する交差点等において、複数の車両15宛に所要の情報を含む通信フレーム39を送信する必要があることに基づく。
【0047】
端末側通信部65は、不在時間情報生成部63により生成された不識移動体13に係る不在時間情報を含む通信フレーム39を、宛先情報(ブロードキャスト)に基づく所定の宛先に送信する機能を有する。
【0048】
端末装置17に備わる情報取得部61、端末側判定部62、不在時間情報生成部63、及び、端末側通信部65の各部の機能は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0049】
〔運転支援装置34の構成〕
車両制御装置35に備わる運転支援装置34は、
図2に示すように、外界情報取得部71、認識部73、運転支援制御部75、及び、走行・表示制御部77を備えて構成されている。
【0050】
外界情報取得部71は、自車両15の周囲の物体や標識を含む物標に関する外界情報を取得する機能を有する。外界情報取得部71により取得された外界情報は、認識部73に送られる。
【0051】
認識部73は、自車位置認識機能と、外界認識機能と、行動計画生成機能と、軌道生成機能と、等を有する。
自車位置認識機能では、自車両15の走行車線、及び走行車線に対する自車両15の相対位置を認識する。
外界認識機能では、周辺車両15の位置・車速・加速度を含む外界状態を認識する。
行動計画生成機能では、自動運転のスタート地点・目的地を設定する。
軌道生成機能では、行動計画生成機能によって生成された行動計画に基づいて、自車両15の走行すべき軌道を生成する。
認識部73により認識された自車位置情報・外界情報は、運転支援制御75に送られる。また、認識部73により設定された自動運転のスタート地点、及び/又は自動運転の目的地に関する情報は、運転支援制御75に送られる。さらに、認識部73により生成された自車両15が走行すべき軌道の情報は、運転支援制御75に送られる。
【0052】
運転支援制御部75は、運転者の操作や、行動計画生成機能により設定された自動運転のスタート地点・目的地、軌道生成機能により生成された自車両15の走行すべき軌道等に基づいて、駆動力制御・操舵制御・制動力制御を含む運転支援制御の指針を決定する機能を有する。運転支援制御部75により決定された運転支援制御の指針は、走行・表示制御部77に送られる。
【0053】
走行・表示制御部77は、運転支援制御部75により決定された運転支援の制御指針に従って、駆動力制御・操舵制御・制動力制御を含む自車両15の走行制御を行う。また、走行・表示制御部77は、自車両15に備わる表示装置の表示制御を行う。
【0054】
運転支援装置34に備わる外界情報取得部71、認識部73、運転支援制御部75、及び、走行・表示制御部77の各部の機能は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0055】
〔運転装置37の構成〕
運転装置37は、
図2に示すように、駆動装置81、操舵装置83、及び制動装置85を備えて構成されている。
【0056】
駆動装置81は、車両制御装置35に備わる運転支援装置34の制御指令に従って、自車両15が走行するための駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。
駆動装置81は、例えば、自車両15が内燃機関エンジンを動力源とした自動車である場合、内燃機関エンジン、変速機、及び内燃機関エンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit:いずれも不図示)を備える。
また、駆動装置81は、自車両15が電動機を動力源とした電気自動車である場合、走行用モータ及び走行用モータを制御するモータECU(いずれも不図示)を備える。
さらに、駆動装置81は、自車両15がハイブリッド自動車である場合、内燃機関エンジン、変速機、エンジンECU、走行用モータ、及びモータECU(いずれも不図示)を備える。
【0057】
操舵装置83は、例えば、ステアリングECUと、電動モータ(いずれも不図示)とを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車両制御装置35に備わる運転支援装置34の制御指令、又は、運転者のステアリング操作に基づく操舵角・操舵トルクの情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0058】
制動装置85は、例えば、ブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置(いずれも不図示)である。電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、車両制御装置35に備わる運転支援装置34の制御指令に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるように動作する。
【0059】
〔監視装置19の構成〕
次に、路側機21に備わる監視装置19について、
図4を参照して説明する。
図4は、監視装置19の概略構成を表す機能ブロック図である。
路側機21に備わる監視装置19は、例えば、一以上のプロセッサ又は同等の機能を有するハードウェアにより実現される。監視装置19は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、記憶装置、及び通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU(Electronic Control Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)などが組み合わされた構成であってよい。
【0060】
路側機21には、監視装置19の他に、GPS受信機90及び外界センサ41が備わっている。そこで、監視装置19の説明に先立って、GPS受信機90及び外界センサ41について説明する。
GPS受信機90は、複数のGPS衛星からの測位信号を受信し、これらの測位信号に基づいて、路側機21の絶対位置(緯度・経度・高度)を測定する機能を有する。
外界センサ41は、路側機21の周囲に存する物体や標識を含む物標に関する外界情報を検知・取得する機能を有する。
【0061】
さて、監視装置19は、
図4に示すように、集積側通信部91、及び集積側判定部93を備えて構成されている。
【0062】
集積側通信部91は、
図4に示すように、複数の各車両15にそれぞれ搭載された複数の各端末装置17に備わる各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不識移動体13に係る不在時間情報を受信する機能を有する。集積側通信部91により受信した複数の不識移動体13に係る不在時間情報は、集積側判定部93に送られる。
【0063】
集積側判定部93は、基本的には、集積側通信部91により受信した複数の不識移動体13に係る不在時間情報に基づいて、不識移動体13に係る存否判定を行う機能を有する。詳しく述べると、集積側判定部93は、集積側通信部91により受信した複数の不在時間情報に基づいて、不在判定時点の時刻情報(時間情報)に基づく時間帯において監視領域(視界領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す。
【0064】
前記機能を実現するために、集積側判定部93は、
図4に示すように、死角領域判定部95、及び確度決定部97を備えて構成されている。
【0065】
死角領域判定部95は、ある観測地点(
図1の例では車両15g)に係る死角領域18での不識移動体13の存否判定を行う機能を有する。
ある観測地点に係る死角領域18とは、前記したとおり、同観測地点からは直接見通せない領域であって、同観測地点の周囲に存する物体や標識を含む物標の背後に広がる領域を意味する。
【0066】
ある観測地点に係る死角領域18における不識移動体13の存否を判定するに当たっては、例えば、本願出願人による特許出願公開公報(国際公開番号:WO2018/216194)に記載された死角領域判定に関する技術を適宜採用すればよい。同公報に記載された死角領域判定に関する技術は、本引用によって本発明の記載事項の一部(ある観測地点に係る死角領域18での不識移動体13の存否判定技術)として取り込まれる。
【0067】
確度決定部97は、集積側通信部91により受信した複数の不在時間情報に関し、不在判定時点の時刻情報(時間情報)に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不識移動体13に係る不在情報の確度を設定する機能を有する。
不在情報の確度とは、不在時間情報に含まれる、監視領域(死角領域18)において所定の時間帯で不識移動体13が不在である旨の不在情報の確からしさを測る指標である。
不在情報の確度を設定する際のアルゴリズムは複数ある。これについて、詳しくは後記する。
【0068】
監視装置19に備わる集積側通信部91及び集積側判定部93の各部の機能は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0069】
[移動体監視システム11の動作]
次に、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11の動作について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11において、端末装置17(応答側)及び監視装置19(要求側)の各々で順次行われる情報処理手順を表す図である。
【0070】
前提として、移動体監視システム11では、
図1に示すようなT字路交差点5での交通環境下で、不識移動体13に関する不在時間情報の提供を要求する要求側の車載機(
図1に示す例では、車両15gに備わる端末装置17g)と、不識移動体13に係る不在時間情報を取得し応答する応答側の車載機(
図1に示す例では、複数の各車両15a~15fのそれぞれに備わる複数の各端末装置17a~17f)と、これら各間の情報交換を仲介する監視装置19(路側機21に備わる)とのそれぞれにおいて、不識移動体13に関する所要の情報処理を行うものとする。
【0071】
図5に示すステップS11において、車両15gに備わる要求側の端末装置17g(車載機31に備わる)は、不識移動体13に関する情報の提供を要求する旨の情報提供要求信号を、端末側通信部65及びV2X通信機45を介してブロードキャスト(同報送信)する。
なお、要求側の端末装置17gを搭載した車両15gは、支線道路9の停止線10の手前で一時停車している。同車両15gの運転者は、
図1に示す例では、幹線道路7のうち右側車線7aにおける車両15b及び車両15dの車間間隙16への合流の機会をうかがっている。
ただし、ステップS11の要求側の端末装置17gによる前記情報提供要求信号の送信は、これを省略することができる。
【0072】
ステップS12において、要求側の端末装置17gからの情報提供要求信号を受けた監視装置19は、不識移動体13に係る不在時間情報の応答を要求する旨の情報応答要求信号を、集積側通信部91を介してブロードキャスト(同報送信)する。この情報応答要求信号には、応答側の端末装置17a~17fにおいて不識移動体情報を取得すべき指定時刻の情報が含まれる。
【0073】
仮に、不識移動体情報を取得すべき指定時刻に1台の不識移動体13が存するケースにおいて、不識移動体情報を取得すべき時刻の指定を欠いた場合、相互に異なる時刻をもって取得した不識移動体情報では、それぞれの時刻に応じた相互に異なる位置に不識移動体13が存することになる。その結果、不識移動体情報の概念を含む不識移動体13に係る不在時間情報を統合して不識移動体13を同定することが困難になる。
【0074】
また、仮に、不識移動体情報を取得すべき指定時刻に不識移動体13が存しないケースにおいて、不識移動体情報を取得すべき時刻の指定を欠いた場合、監視装置19には、相互に異なる時刻をもって取得した不識移動体13に係る不在時間情報の応答が返ってくることになる。
すると、不在判定した時点の時間情報(時刻情報)に基づく時間帯が相互に重ならない複数の不在時間情報が監視装置19の元に集積される。この場合、不識移動体13に係る不在時間情報を統合分析した結果に基づいて不識移動体13に係る不在情報の確度を設定しようとしても、不在判定を下した時点の時間情報(時刻情報)に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の数が揃わない。その結果、前記統合分析した結果を、不識移動体13に係る不在情報の確度決定に役立てることが困難になる。
【0075】
なお、前記指定時刻は、情報応答要求信号の送信時刻に対して所定の遅延時間をもって設定される。応答側の端末装置17a~17fにおいて指定時刻に不識移動体情報を確実に取得するには、所定の遅延時間(準備期間)が必要だからである。
【0076】
ただし、ステップS11の要求側の端末装置17gによる前記情報提供要求信号の送信が省略された場合、監視装置19は、例えば、所定時間毎に、又は、路側機21に備わる外界センサ41によって把握したT字路交差点5での交通環境(特に、支線道路9の停止線10の手前で一時停車中の車両15の存否)に基づいて、不識移動体13に係る不在時間情報の応答を要求する旨の情報応答要求信号を、集積側通信部91を介してブロードキャスト(同報送信)すればよい。
【0077】
ステップS13において、応答側の各端末装置17a~17fは、情報応答要求信号に含まれる指定時刻に、不識移動体13に係る存否情報及び位置情報を含む不識移動体情報を取得する。本実施形態では、不識移動体13は不在であるとする。次いで、応答側の各端末装置17a~17fは、前記取得した不識移動体13の不在情報に、不在判定を下した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する。
【0078】
ステップS14において、応答側の各端末装置17a~17fは、不識移動体13に係る不在時間情報を応答する旨の情報応答信号(
図3に示す通信フレーム39参照)を、端末側通信部65及びV2X通信機45を介してブロードキャスト(同報送信)する。
【0079】
ステップS15において、応答側の各端末装置17a~17fからの情報応答信号を受けた監視装置19は、不識移動体13に係る不在時間情報を統合分析する。不識移動体13に係る不在時間情報を統合分析では、複数の不在時間情報に関し、不在判定を下した時点の時間情報(時刻情報)に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数がカウントされる。同時に、不在判定を下した時点の時間情報(時刻情報)に基づく時間帯が相互に重ならない不在時間情報の応答数もカウントされる。
【0080】
ステップS16において、監視装置19は、ステップS15の不在時間情報の統合分析結果に基づいて、不識移動体13に係る不在判定を行う。
【0081】
ステップS17において、監視装置19は、ステップS15の不在時間情報の分析結果(複数の不在時間情報に関し、不在判定を下した時点の時間情報(時刻情報)に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数)に基づいて、不識移動体13に係る不在情報の確度を設定する。
この場合、不識移動体13に係る不在情報の確度は、例えば、不在判定を下した時点の時間情報に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数が多いほど、不在情報の確度を高くする(死角領域18において所定の時間帯に所定の不識移動体13が不在である蓋然性を高くする)決定を行う。
【0082】
また、監視装置19は、ステップS15の不在時間情報の統合分析結果(複数の不在時間情報に関し、不在判定を下した時点の時間情報に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数、及び不在判定を下した時点の時間情報に基づく時間帯が相互に重ならない不在時間情報の応答数)に基づいて、不識移動体13に係る不在情報の確度を設定してもよい。
この場合、不識移動体13に係る不在情報の確度は、例えば、不在判定を下した時点の時間情報に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数が多いほど、かつ、不在判定を下した時点の時間情報に基づく時間帯が相互に重なる不在時間情報の応答数、及び前記時間帯が相互に重ならない不在時間情報の応答数の総数が大きいほど、不在情報の確度を高くする(死角領域18において所定の時間帯に所定の不識移動体13が不在である蓋然性を高くする)決定を行う。
【0083】
ステップS18において、監視装置19は、不識移動体13に係る不在情報の確度を含む不識移動体13に関する情報を提供する旨の情報提供信号を、集積側通信部91を介してブロードキャスト(同報送信)する。
路側機21からの情報提供信号を受けた要求側の端末装置17gは、不識移動体13に関する情報をマルチファンクションディスプレイに表示する等、不識移動体13に関する情報に基づく自車両15gの運転支援を実行する。
【0084】
〔本発明の実施形態に係る移動体監視システム11及び移動体監視方法の作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11及び移動体監視方法の作用効果について説明する。
(1)の観点に基づく移動体監視システム11は、端末装置17と、端末装置17の周囲の不識移動体13に係る情報の収集を介して不識移動体13の監視を行う監視装置19と、を備える移動体監視システム11が前提となる。
端末装置17は、不識移動体13の存否情報を含む不識移動体情報を取得する情報取得部61と、所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う端末側判定部62と、端末側判定部62により前記監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する不在時間情報生成部63と、前記生成された不在時間情報を送信する端末側通信部65と、を備える。
一方、監視装置19は、端末側通信部65から送信されてきた不在時間情報を受信する集積側通信部91と、前記受信した不在時間情報に基づいて、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す集積側判定部93と、を備える。集積側判定部93は、前記受信した不在時間情報に関し、前記時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、前記不在情報の確度を設定する構成を採用することとした。
【0085】
(1)の観点に基づく移動体監視システム11では、端末装置17において、情報取得部61は、不識移動体13の存否情報を含む不識移動体情報を取得する。端末側判定部62は、所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う。不在時間情報生成部63は、端末側判定部62により監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する。端末側通信部65は、前記生成された不在時間情報を送信する。
一方、監視装置19において、集積側通信部91は、端末側通信部65から送信されてきた不在時間情報を受信する。集積側判定部93は、前記受信した不在時間情報に基づいて、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す。
特に、集積側判定部93は、前記受信した不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不在情報の確度を設定する。
ここで、「不識移動体13に係る情報の収集を介して不識移動体13の監視を行う監視装置19」と表現したのは、「監視装置19」の機能として、不識移動体13の直接的な監視を行うことを要しないことを明確にする趣旨である。ただし、「監視装置19」の機能として、不識移動体13の直接的な監視を行う機能を与えても構わない。
「不在情報の確度を設定する」とは、不在情報の確度を、時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づく値をとるものとして取り扱う趣旨である。
端末装置17は、例えば、通信機能を有する移動体(車両15等)に設けてもよいし、通信機能を有する路側機21に設けても構わない。
監視装置19は、端末装置17と同様に、例えば、通信機能を有する移動体(車両15)に設けてもよいし、通信機能を有する路側機21に設けても構わない。
【0086】
(1)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、通信を介して取得した検出地点での不識移動体13に関する不在情報を統合して不識移動体13の監視を行うことによって、ある観測地点に係る死角領域18での不識移動体13に関する不在情報の確度を格段に向上することができる。
【0087】
(2)の観点に基づく移動体監視システム11は、複数の移動体(車両15)の各々に備わる複数の端末装置17と、複数の各移動体(車両15)それぞれの周囲の不識移動体13に係る情報の収集を介して不識移動体13の監視を行う一つの監視装置19と、を備える移動体監視システム11が前提となる。
複数の各端末装置17は、不識移動体13の存否情報を含む不識移動体情報を取得する情報取得部61と、所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う端末側判定部62と、端末側判定部62により前記監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する不在時間情報生成部63と、前記生成された不在時間情報を送信する端末側通信部65と、をそれぞれ備える。
一方、監視装置19は、複数の各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する集積側通信部91と、前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す集積側判定部93と、を備える。
集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不在情報の確度を設定する構成を採用することとした。
【0088】
(1)の観点に基づく移動体監視システム11と、(2)の観点に基づく移動体監視システム11との相違点は、後者(2)では、複数の移動体(車両15)の各々に備わる複数の端末装置17に対し、一つの監視装置19が対応付けられている点である。
【0089】
(2)の観点に基づく移動体監視システム11では、複数の移動体(車両15)の各々に備わる複数の端末装置17において、情報取得部61は、不識移動体13の存否情報を含む不識移動体情報を取得する。端末側判定部62は、所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う。不在時間情報生成部63は、端末側判定部62により監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する。端末側通信部65は、前記生成された不在時間情報を送信する。
一方、監視装置19において、集積側通信部91は、複数の各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する。集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す。
特に、集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不在情報の確度を設定する。
端末装置17は、(1)の観点に基づく移動体監視システム11の例と同様に、例えば、通信機能を有する移動体(車両15)に設けてもよいし、通信機能を有する路側機21に設けても構わない。
監視装置19は、(1)の観点に基づく移動体監視システム11の例と同様に、例えば、通信機能を有する移動体(車両15)に設けてもよいし、通信機能を有する路側機21に設けても構わない。
【0090】
(2)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、通信を介して取得した検出地点での不識移動体13に関する不在情報を統合して不識移動体13の監視を行うことによって、ある観測地点に係る死角領域18での不識移動体13に関する不在情報の確度を格段に向上することができる。
【0091】
(2)の観点に基づく移動体監視システム11では、監視装置19は、通信機能を有する車両15に設けてもよいし、通信機能を有する路側機21に設けても構わないとする上位概念の構成を採用している。
【0092】
これに対し、(3)の観点に基づく移動体監視システム11は、(2)の観点に基づく移動体監視システム11であって、
図6に示すように、複数の端末装置17は複数の車両15等の移動体にそれぞれ設けられる一方、監視装置19は車両15等の移動体に設けられ、移動体に設けられた監視装置19の集積側通信部91は、複数の移動体のそれぞれに設けられた複数の端末装置17との間で通信を行うことにより、複数の各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する構成を採用することとした。
【0093】
移動体(車両15)に設けられる監視装置19としては、
図4に示す構成を流用すればよい。ただし、
図4に示す構成の監視装置19を採用する場合において、外界センサ41は移動体(車両15)に搭載されたものを流用すると共に、GPS受信機99は移動体(車両15)に搭載されたナビゲーション装置43のものを流用すればよい。
【0094】
(2)の観点に基づく移動体監視システム11と、(3)の観点に基づく移動体監視システム11との相違点は、後者(3)では、監視装置19は移動体(車両15)に設けられている点である。
すなわち、(3)の観点に基づく移動体監視システム11では、移動体(車両15)に設けられた監視装置19の集積側通信部91は、複数の移動体(車両15)のそれぞれに設けられた複数の端末装置17との間で通信を行うことにより、複数の各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する。
【0095】
(3)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、複数の移動体(車両15)との間の通信を介してそれぞれ取得した複数の検出地点での不識移動体13に関する不在情報を統合して不識移動体13の監視を行うことによって、ある観測地点に係る死角領域18での不識移動体13に関する不在情報の確度を格段に向上することができる。
【0096】
(4)の観点に基づく移動体監視システム11は、(3)の観点に基づく移動体監視システム11であって、監視装置19に備わる集積側通信部91は、当該監視装置19を搭載した監視移動体(車両15)に係る死角領域18の情報を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる端末側通信部65は、監視移動体(車両15)に係る死角領域の情報を受信する。
複数の各端末装置17にそれぞれ備わる端末側判定部62は、前記受信した監視移動体(車両15)に係る死角領域18を、所定の監視領域として設定すると共に、当該設定された所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う構成を採用することとした。
【0097】
(4)の観点に基づく移動体監視システム11では、監視装置19に備わる集積側通信部91は、監視装置19を搭載した監視移動体(車両15)に係る死角領域18の情報を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる端末側通信部65は、監視移動体(車両15)に係る死角領域18の情報を受信する。
複数の各端末装置17にそれぞれ備わる端末側判定部62は、前記受信した監視移動体(車両15)に係る死角領域18を、所定の監視領域として設定すると共に、当該設定された所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う。
【0098】
(4)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、監視装置19に備わる集積側通信部91は、監視移動体(車両15)に係る死角領域18の情報を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる端末側判定部62は、監視装置19に備わる集積側通信部91から送信されてきた監視移動体(車両15)に係る死角領域18を、所定の監視領域として設定すると共に、当該設定された所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行うため、(3)の観点(監視装置19を移動体(車両15)に設けた)に基づく移動体監視システム11と比べて、監視装置19を搭載した監視移動体(車両15)において、監視移動体(車両15)の走行に伴って時々刻々と死角領域18の広狭が変化する場合であっても、死角領域18の広狭変化に応じた不識移動体13の存否判定を行うことができる。
その結果、死角領域18の広狭が時々刻々と変化する場合であっても、死角領域18での不識移動体13の不在情報を適時かつ適確に取得することができる。
【0099】
(5)の観点に基づく移動体監視システム11は、(1)~(4)のいずれか一の観点に基づく移動体監視システム11であって、監視装置19に備わる集積側通信部91は、不識移動体情報を指定時刻に取得すべき旨の要求を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる情報取得部61は、前記指定時刻に不識移動体情報を取得する構成を採用することとした。
【0100】
(5)の観点に基づく移動体監視システム11では、監視装置19に備わる集積側通信部91は、不識移動体情報を指定時刻に取得すべき旨の要求を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる情報取得部61は、前記指定時刻に不識移動体情報を取得する。
【0101】
(5)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、監視装置19に備わる集積側通信部91は、不識移動体情報を指定時刻に取得すべき旨の要求を送信する一方、複数の各端末装置17にそれぞれ備わる情報取得部61は、前記指定時刻に不識移動体情報を取得するため、(1)~(4)のいずれか一の観点に基づく移動体監視システム11と比べて、不識移動体情報の下位概念である不識移動体13に係る不在時間情報を取得・生成する処理を簡易かつ正確に行うことができる。
【0102】
(6)の観点に基づく移動体監視システム11は、(4)の観点に基づく移動体監視システム11であって、監視装置19に備わる集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に、当該時間情報に基づく時間帯が重ならない不在時間情報の数を加えた総数に基づいて、不在情報の確度を設定する構成を採用することとした。
【0103】
(6)の観点に基づく移動体監視システム11では、監視装置19に備わる集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に、当該時間情報に基づく時間帯が重ならない不在時間情報の数を加えた総数に基づいて、不在情報の確度を設定する。
ここで、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に、当該時間情報に基づく時間帯が重ならない不在時間情報の数を加えた総数とは、不識移動体13に関する不在情報を監視装置19宛に提供可能な端末装置17を備える移動体(車両15)の台数の情報(母数)に他ならない。
ところで、不在情報の確度は、統計的に処理すべきテーマである。この点、(6)の観点に基づく移動体監視システム11では、不在情報の確度を設定するに際し、不識移動体13に関する情報を監視装置19宛に提供可能な端末装置17を備える移動体(車両15)の台数の情報(母数)を参酌することができる。
【0104】
(6)の観点に基づく移動体監視システム11によれば、不在情報の確度を設定するに際し、不識移動体13に関する情報を監視装置19宛に提供可能な端末装置17を備える移動体(車両15)の台数の情報(母数)を参酌することができるため、(4)の観点に基づく移動体監視システム11と比べて、不在情報の確度を設定する際の精度向上を期待することができる。
【0105】
そして、(7)の観点に基づく移動体監視方法は、複数の移動体(車両15)の各々に備わる複数の端末装置17と、複数の各移動体(車両15)それぞれの周囲の不識移動体13に係る情報の収集を介して不識移動体13の監視を行う一つの監視装置19と、を備える移動体監視システム11で用いられる移動体監視方法が前提となる。
複数の各端末装置17は、不識移動体13の存否情報を含む不識移動体情報を取得する工程と、所定の監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の存否判定を行う工程と、前記存否判定により前記監視領域(死角領域18)に不識移動体13が不在である旨の判定が下された場合、当該監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13の不在情報に、当該判定した時点の時間情報を付加した不識移動体13に係る不在時間情報を生成する工程と、前記生成された不在時間情報を送信する工程と、を有する。
一方、監視装置19は、複数の各端末側通信部65からそれぞれ送信されてきた複数の不在時間情報を受信する工程と、前記受信した複数の不在時間情報に基づいて、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく所定の時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す工程と、を有する。
所定の時間帯において監視領域(死角領域18)に関する不識移動体13が不在である旨の判定を下す工程では、集積側判定部93は、前記受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不在情報の確度を設定する構成を採用することとした。
【0106】
(7)の観点に基づく移動体監視方法は、(2)の観点に基づく移動体監視システム11の構成を、方法クレームとして書き換えたものである。
【0107】
(7)の観点に基づく移動体監視方法によれば、(2)の観点に基づく移動体監視システム11と同様に、通信を介して取得した検出地点での不識移動体13に関する不在情報を統合して不識移動体13の監視を行うことによって、ある観測地点に係る死角領域18での不識移動体13に関する不在情報の確度を格段に向上することができる。
【0108】
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0109】
例えば、本発明の実施形態に係る移動体監視システム11の説明において、不在情報の確度を設定する際のアルゴリズムとして、確度決定部97は、集積側通信部91により受信した複数の不在時間情報に関し、(不在判定を下した時点の)時間情報に基づく時間帯が重なる不在時間情報の数に基づいて、不在情報の確度を設定する例をあげて説明したが、これ以外のアルゴリズムを採用しても構わない。
【0110】
最後に、本発明は、前記した実施形態に係る1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する形態でも実現することができる。また、1以上の機能を実現するハードウェア回路(例えば、ASIC)によって実現しても構わない。各機能を実現するプログラムを含む情報は、メモリ、ハードディスク等の記録装置、メモリカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
【符号の説明】
【0111】
11 移動体監視システム
13 不識移動体
15 車両(移動体)
17 端末装置
19 監視装置
21 路側機
61 情報取得部
62 端末側判定部
63 不在時間情報生成部
65 端末側通信部
91 集積側通信部
93 集積側判定部