(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】圧粉成形体、圧粉成形体の製造方法及び圧粉磁心の製造方法、
(51)【国際特許分類】
H01F 1/26 20060101AFI20231219BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20231219BHJP
B22F 1/102 20220101ALI20231219BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20231219BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20231219BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20231219BHJP
H01F 1/147 20060101ALI20231219BHJP
H01F 1/153 20060101ALI20231219BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20231219BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20231219BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20231219BHJP
C22C 19/03 20060101ALN20231219BHJP
C22C 45/02 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H01F1/26
B22F1/00 Y
B22F1/102 100
B22F3/00 B
B22F3/24 B
B22F1/14 500
H01F1/147 191
H01F1/153 133
H01F27/255
H01F41/02 D
C22C38/00 303S
C22C19/03 E
C22C45/02 A
(21)【出願番号】P 2020049333
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】大島 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 功太
(72)【発明者】
【氏名】深澤 真之
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192883(JP,A)
【文献】特開2013-65844(JP,A)
【文献】特開2017-48439(JP,A)
【文献】特開2010-27854(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152364(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/26
B22F 1/00
B22F 1/102
B22F 3/00
B22F 3/24
H01F 1/147
H01F 1/153
H01F 27/255
H01F 41/02
C22C 38/00
C22C 19/03
C22C 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性粉末と、
前記軟磁性粉末を被覆する被膜層と、
を備え、
前記被膜層は、シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂とを含む混合層であり、
前記ポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂は、前記軟磁性粉末の量に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の混合量で前記混合層に含まれること、
を特徴とする圧粉成形体。
【請求項2】
前記被膜層は、シランカップリング剤を更に含む混合層であること、
を特徴とする請求項1記載の圧粉成形体。
【請求項3】
前記軟磁性粉末を被覆する内層を更に備え、
前記被膜層は、前記内層の外側から前記軟磁性粉末を被覆すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の圧粉成形体。
【請求項4】
前記内層は、シリコーンオリゴマーを含むこと、
を特徴とする請求項3記載の圧粉成形体。
【請求項5】
前記軟磁性粉末は、非晶質軟磁性粉末、FeSiAl合金又はナノ結晶合金であること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の圧粉成形体。
【請求項6】
軟磁性粉末に対して、シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を添加及び混合する添加工程と、
前記添加工程を経た後、前記軟磁性粉末、シリコーンレジン、及びポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を含む混合物を乾燥させる被膜層形成工程と、
前記被膜層形成工程を経た前記軟磁性粉末を加圧成形するプレス工程と、
を含み、
前記被膜層形成工程では、前記シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂が混合して含まれる被膜層を前記軟磁性粉末の表面に形成し、
前記被膜層形成工程では、前記ポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を前記軟磁性粉末の量に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の割合で添加すること、
を特徴とする圧粉成形体の製造方法。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコール樹脂を添加する場合、前記添加工程では、前記ポリビニルアルコール樹脂の水溶液を添加すること、
を特徴とする請求項6記載の圧粉成形体の製造方法。
【請求項8】
ポリビニルブチラール樹脂を添加する場合、前記添加工程では、前記ポリビニルブチラール樹脂を有機溶媒に溶解させて添加すること、
を特徴とする請求項6又は7に記載の圧粉成形体の製造方法。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れかの製造方法によって作製された前記圧粉成形体を熱処理する熱処理工程を備えること、
を特徴とする圧粉磁心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧粉成形体、圧粉成形体の製造方法及び圧粉磁心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタ又はリアクトルとも呼ばれるコイルは、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品である。コイルは、電力用途では特にリアクトルとも呼ばれ、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車の駆動システム等をはじめ、OA機器、太陽光発電システム、自動車、無停電電源といった各種の分野で仕様されている。
【0003】
コイルには圧粉磁心のコアが多用されている。圧粉磁心は、圧粉成形体を焼鈍したものである。圧粉成形体は、軟磁性粉末単体又は表面に被膜層を付着させた軟磁性粉末を押し固めた加圧成形体である。一般的に、加圧成形工程では圧粉成形体に10~20ton/cm2という高い圧力がかけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い圧力で行う加圧成形では、軟磁性粉末間の結着力が弱いと、圧粉成形体に欠けやクラックが生じる。最悪の場合には、圧粉成形体の脚が完全に取れてしまうなど、所望の形状の圧粉成形体に成形できない虞がある。従来、軟磁性粉末の外周にシリコーンレジンの層を形成し、シリコーンレジンの層の外側にバインダーの層を形成し、軟磁性粉末を含めて3重層の粉末を作製し、この粉末を加圧成型していたが、圧粉成形体の欠けやクラックの発生を更に抑制した圧粉成形体が求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、軟磁性粉末間の結着力を高めて、圧粉成形体に欠けやクラックが発生することを抑制できる圧粉成形体、圧粉成形体の製造方法及び圧粉磁心の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る圧粉成形体は、軟磁性粉末と、前記軟磁性粉末を被覆する被膜層と、を備え、前記被膜層は、シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂とを含む混合層であり、前記ポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂は、前記軟磁性粉末の量に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の混合量で前記混合層に含まれること、を特徴とする。
【0008】
前記被膜層は、シランカップリング剤を更に含む混合層であるようにしてもよく、また前記軟磁性粉末を被覆する内層を更に備え、前記被膜層は、前記内層の外側から前記軟磁性粉末を被覆するようにしてもよく、前記内層は、シリコーンオリゴマーを含むようにしてもよい。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る圧粉成形体の製造方法は、軟磁性粉末に対して、シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を添加及び混合する添加工程と、前記添加工程を経た後、前記軟磁性粉末、シリコーンレジン、及びポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を含む混合物を乾燥させる被膜層形成工程と、前記被膜層形成工程を経た前記軟磁性粉末を加圧成形するプレス工程と、を含み、前記被膜層形成工程では、前記シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂が混合して含まれる被膜層を前記軟磁性粉末の表面に形成し、前記被膜層形成工程では、前記ポリビニルアルコール樹脂又はポリビニルブチラール樹脂を前記軟磁性粉末の量に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の割合で添加すること、を特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る圧粉磁心の製造方法は、前記圧粉成形体を熱処理する熱処理工程を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軟磁性粉末間の結着力が高まり、圧粉成形体に欠けやクラックが発生し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】軟磁性粉末の第1の構成を示す模式図である。
【
図2】軟磁性粉末の第2の構成を示す模式図である。
【
図3】圧粉成形体及び圧粉磁心の製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】プレス成形工程における第1のプレス方向を示す模式図である。
【
図5】プレス成形工程における第2のプレス方向を示す模式図である。
【
図6】プレス成形工程における第3のプレス方向を示す模式図である。
【
図7】実施例と比較例の系列別に保形性改善剤の添加量と粉砕量の関係を示すグラフである。
【
図8】実施例と比較例の系列別に保形性改善剤の添加量と密度の関係を示すグラフである。
【
図9】実施例と比較例の系列別に保形性改善剤の添加量と圧粉成形体の高さの関係を示すグラフである。
【
図10】従来の軟磁性粉末の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る圧粉成形体、圧粉磁心及び製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
【0014】
(構成)
図1に示すように、軟磁性粉末1は被膜層2によって被覆されている。被膜層2の外側からは更に潤滑剤が被覆している。被膜層2によって被覆された軟磁性粉末1を加圧成型することで、圧粉成形体が得られる。圧粉成形体は、圧粉磁心の製造工程中、焼鈍目的の熱処理工程前の成形体である。被膜層2による軟磁性粉末1の被覆態様としては、被覆される側の全表面を覆うように付着してもよく、一部の表面を覆うように付着していてもよい。即ち、被膜層2は、軟磁性粉末1の各粒子表面への付着、軟磁性粉末1の凝集体の表面への付着、又はこれらの両方の態様が混在するように、軟磁性粉末1に付着する。また被膜層2は、軟磁性粉末1の粒子表面又は凝集体表面の全周囲に付着し、点状に分散して付着し、塊状に分散して付着し、又はこれらの態様が混在する。
【0015】
軟磁性粉末1は鉄を主成分とする。軟磁性粉末1としては、純鉄粉、鉄を主成分とするパーマロイ(Fe-Ni合金)、Si含有鉄合金(Fe-Si合金)、センダスト合金(Fe-Si-Al合金)、アモルファス合金、ナノ結晶合金粉末、又はこれら2種以上の粉末の混合粉などが使用できる。
【0016】
Si含有鉄合金には、Co、Al、Cr又はMnが含まれていてもよい。パーマロイ(Fe-Ni合金)を用いる場合、Feに対するNiの比率は50:50や25:75が好ましいが、他の比率であってもよい。例えば、Fe-80Ni、Fe-36Niでもよい。FeとNiの他にSi、Cr、Mo、Cu、Nb、Ta等を含んでいても良い。Fe-Si合金粉末は、例えば、Fe-3.5%Si合金粉末、Fe-6.5%Si合金粉末が挙げられるが、Feに対するSiの比率は、3.5%や6.5%以外であっても良い。純鉄粉は、Feを99%以上含むものである。軟磁性粉末1は1種類でなく、2種類以上の混合粉でも良い。
【0017】
この軟磁性粉末1は、粉砕法により作製されたものでも、アトマイズ法により作製されたものでも良い。アトマイズ法は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、水ガスアトマイズ法のいずれでも良い。水アトマイズ法は、現状、もっとも入手性が良く低コストである。水アトマイズ法を使用した場合は、その粒子形状がいびつであるので、それを加圧成形した粉末成形体の機械的強度を向上させやすいため、好ましい。ガスアトマイズ法は、ヒステリシス損失を効果的に低減でき、好ましい。
【0018】
軟磁性粉末1としては、FeSiAl合金粉末、非晶質合金粉末又はナノ結晶合金粉末が好ましい。これらの粉末は保形性が良くないため、軟磁性粉末1間の結着力を高めて、圧粉成形体に欠けやクラックが発生することを抑制する効果を顕著に得られる。保形性とは、プレス成形後における圧粉成形体の粉砕し難さをいい、篩の上に載せた圧粉成形体を振動させた際に、篩の下に落ちた粉体の重量により定義される。この保形性を向上させることで、圧粉成形体に生じるクラックや圧粉成形体が欠けることを抑制することができる。
【0019】
被膜層2は、シリコーンレジンとポリビニルアルコール樹脂(以下、PVA樹脂という)又はポリビニルブチラール樹脂(以下、PVB樹脂という)とを含む混合層である。即ち、被膜層2は、シリコーンレジンとPVA樹脂との混合層、シリコーンレジンとPVB樹脂との混合層、又はシリコーンレジンとPVA樹脂とPVB樹脂との混合層である。混合層により成る被膜層2は、
図1に示すように、シリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂の存在位置が層状に区別されておらず、シリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂が混じり合って存在位置の区別がつかない単層を形成している状態をいう。
【0020】
被膜層2がシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂との混合層であることにより、圧粉成形体の密度(g/cc)は高まり、鉄損Pcv(kw/m3)が抑えられる。また、圧粉成形体の型内での流動性も良くなる。尚、この被膜層2はシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂の混合層であればよく、この被膜層2に他の材料が混合されていてもよい。例えば、被膜層2には、シランカップリング剤を更に加えてもよい。
【0021】
シリコーンレジンは、被膜層2に絶縁被膜としての機能を付与する。このシリコーンレジンは、シロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格に持つ樹脂である。シリコーンレジンを用いることで、被膜層2は可撓性に優れる。シリコーンレジンとしては、メチル系、メチルフェニル系、プロピルフェニル系、エポキシ樹脂変性系、アルキッド樹脂変性系、ポリエステル樹脂変性系、ゴム系等を用いることができる。この中でも特に、メチルフェニル系のシリコーンレジンを用いた場合、被膜層2は耐熱性に優れる。
【0022】
シリコーンレジンの添加量は、軟磁性粉末1に対して、1.0~2.0wt%であることが好ましい。添加量が1.0wt%より少ないと絶縁被膜として機能せず、渦電流損失が増加することにより磁気特性が低下する。添加量が2.0wt%より多いと圧粉磁心の密度低下を招く。
【0023】
PVA樹脂又はPVB樹脂は、一般的には軟磁性粉末1同士を付着させるための保形性改善剤である。但し、PVA樹脂又はPVB樹脂は、軟磁性粉末1に付着させたシリコーンレジンの被膜層2内に含まれる。また、PVA樹脂又はPVB樹脂は、軟磁性粉末1に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の割合で被膜層2内に含まれる。
【0024】
図10に示す軟磁性粉末1と本実施形態の軟磁性粉末1とを対比する。
図10に示す軟磁性粉末1の表面は、シリコーンレジンの被膜層2aで被覆され、更にシリコーンレジンの被膜層2aの表面はPVA樹脂又はPVB樹脂の被膜層2bで被覆されている。本実施形態のように、PVA樹脂又はPVB樹脂を、軟磁性粉末1に付着させたシリコーンレジンの被膜層2内に、軟磁性粉末1に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の割合で含ませると、このような軟磁性粉末1と比べて保形性に顕著な効果が見られる。但し、0.18wt%超では保形性の向上効果が薄くなる。また0.06wt%未満であると、保形性が悪化する。
【0025】
シランカップリング剤としては、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、イソシアヌレート系、エトキシシラン系、エメキシシラン系、メトキシシラン系を使用することができ、特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。シランカップリング剤の添加量としては、軟磁性粉末1に対して、0.25wt%以上、1.0wt%以下が好ましい。シランカップリング剤の添加量をこの範囲にすることで、軟磁性粉末1の流動性を向上させるとともに、成形された圧粉磁心の密度、磁気特性、強度特性を向上させることができる。
【0026】
潤滑剤は、軟磁性粉末1を被覆した被膜層2の表面を被覆する。潤滑剤としては、これに限定されないが、例えば、ステアリン酸及びその金属塩並びにエチレンビスステアルアミド、エチレンビスステアラマイド、エチレンビスステアレートアミドなどが挙げられる。潤滑剤の添加量は、軟磁性粉末1に対して、0.1wt%~0.6wt%程度であることが好ましい。さらに好ましくは、潤滑剤の添加量は、軟磁性粉末1に対して、0.2wt%~0.5wt%程度である。この範囲にすることで、軟磁性粉末1間の滑りをより向上させることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、被膜層2は、軟磁性粉末1の表面を被覆させているが、これに限定されない。例えば、
図2に示すように、軟磁性粉末1の表面をシリコーンオリゴマーなどによる被膜層3を形成させたうえで、被膜層3の表面をシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂との混合層である被膜層2で被覆するようにしてもよい。
【0028】
(製造方法)
次に、圧粉成形体及び圧粉磁心の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態の圧粉成形体及び圧粉磁心の製造工程を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施形態の圧粉成形体及び圧粉磁心の製造方法は、(1)添加工程、(2)被膜層形成工程、(3)潤滑剤混合工程、(4)プレス成形工程、(5)熱処理工程を有する。
【0029】
(1)添加工程
以下、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルブチラール樹脂を区別せずに保形性改善剤とも呼ぶ。添加工程は、軟磁性粉末1に対して、シリコーンレジン及び保形性改善剤を添加する工程である。ポリビニルアルコール樹脂は水溶性であり、水に溶解してから添加することが好ましい。ポリビニルブチラール樹脂は有機溶剤に溶解してから添加することが好ましい。有機溶剤としては、アセトン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、エタノールなどが挙げられる。
【0030】
添加工程において、保形性改善剤の添加のタイミングは、シリコーンレジンの添加直後、又はシリコーンレジンと同時添加が好ましい。即ち、シランカップリング剤を加える場合には、軟磁性粉末1に対して、シランカップリング剤、シリコーンレジン、保形性改善剤の順で順次添加して混合する。または、軟磁性粉末1に対して、シランカップリング剤の添加後、シリコーンレジンと保形性改善剤とを同時添加する。保形性改善剤の添加のタイミングをシリコーンレジンの添加直後、又はシリコーンレジンと同時添加とすると、軟磁性粉末1に対して保形性改善剤を均一に付着させることができ、保形性のいっそうの向上に繋がる。
【0031】
なお、軟磁性粉末1に対して保形性改善剤を均一に付着させる効果を最大限に引き出すためには、軟磁性粉末1に添加する前にシリコーンレジンと保形性改善剤の反応が進行し過ぎないように、予め混合しないようにするか、シリコーンレジンと保形性改善剤を予め混合しても時間を経過させないようにすることが望ましい。
【0032】
(2)被膜層形成工程
被膜層形成工程は、被膜層2を形成する工程である。添加工程によって添加・混合されたシランカップリング剤、シリコーンレジン及び保形性改善剤を乾燥させることで、被膜層2が形成される。乾燥温度は、100℃以上200℃以下であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、例えば、2時間である。尚、シランカップリング剤、シリコーンレジン及び保形性改善剤を1度の乾燥工程で乾燥されることができるため、材料毎に乾燥する場合と比べて、乾燥工程の合計数を削減できる。従って、圧粉成形体及び圧粉磁心の生産性を向上させるとともに、コスト削減を図ることができる。
【0033】
(3)潤滑剤混合工程
潤滑剤混合工程では、被膜層2で被覆された軟磁性粉末1に対し、潤滑剤を添加し、混合する工程である。潤滑剤を混合することにより、粉末同士の滑りをよくすることができるので、成形密度を高くすることができる。さらに、成形時の上パンチの抜き圧低減、金型と粉末の接触によるコア壁面の縦筋の発生を防止することが可能である。
【0034】
(4)プレス成形工程
プレス成形工程では、被膜層2が形成された軟磁性粉末1を加圧成形することにより、圧粉成形体を成形する工程である。成形時の圧力は10~20ton/cm2であり、平均で12~15ton/cm2程度が好ましい。本工程を経ることで、圧粉成形体が作製される。
【0035】
ここで、
図4に示すように、圧粉成形体の形状が概略E字型形状である場合、この圧粉成形体の保形性向上効果は大きくなる。概略E字型形状に圧粉成形体を成形するプレス成形工程では、
図4の矢印で示すように、圧粉成形体の脚の延び方向と同一の方向でプレスする。つまり、圧粉成形体のプレス面は、段差を有する。ここでいう段差とは、プレス面の凹凸のことであり、プレス成形後の圧粉成形体における凸部(プレス面間の長さが長い部分)の密度が低くなり、凹部(プレス面間の長さが短い部分)の密度が高くなる程度の凹凸のことを指す。また、プレス面とは、プレス方向と直交する圧粉成形体の端面であり、凹部、凸部ともにプレス面となる。
【0036】
プレス面に段差を有する場合、プレス面間の長さが短い部分は高密度になり、プレス面間の長さが長い部分は低密度になりやすい。そのため、低密度の場所と高密度の場所の境界にクラックが生じやすい。しかし、この圧粉成形体では、被膜層2が軟磁性粉末1間の結着力を向上させている。そのため、成形後の圧粉成形体の保形性を向上させることができるので、プレス面に段差を有する場合であっても、プレス成形工程後における圧粉成形体にクラックが生じることを抑制することができる。
【0037】
また、
図5に示すように、中脚の高さが外脚の高さよりも低い概略E字型形状の圧粉成形体の場合、
図5の矢印のように、圧粉成形体の脚の延び方向に直交する方向でプレスを行ってもよい。このプレス方向であっても、プレス面は段差を有することになる。
図6に示すように、所謂PQ型の圧粉成形体の場合については、
図6に示す矢印のようにプレスするとプレス面に段差を有する。
図5及び
図6のようにプレスする場合であっても、被膜層2を形成することで保形性が向上するため、圧粉成形体にクラックが生じることを抑制することができる。
【0038】
(5)熱処理工程
熱処理工程では、プレス成形工程を経た圧粉成形体に対して、窒素ガス中、窒素と水素の混合ガス等の非酸化性雰囲気中又は大気中にて、600℃以上且つ軟磁性粉末1に被覆した被膜層2が破壊される温度(例えば、900℃とする)よりも低い温度で、熱処理を行う。この熱処理工程を経ることで圧粉磁心が作製される。
【0039】
シリコーンオリゴマーの被膜層3を内層に形成する場合には、添加工程を行う前に、軟磁性粉末1に対して、シリコーンオリゴマーを添加、混合し、乾燥する。乾燥温度は、25℃~350℃が好ましく、乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、例えば、2時間である。これにより、軟磁性粉末1の表面に被膜層3が形成される。この工程を経た後、上記の添加工程以降の工程を順次行う。
【0040】
(実施例)
実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1-1乃至1-3及び比較例1-4)
実施例1-1乃至1-3に共通の製造方法は次の通りである。即ち、ガスアトマイズ法により製造された平均粒子径(メジアン径(D50))が24.5μmのFeSiAl合金粉末を用意した。このFeSiAl合金粉末に対して、シランカップリング剤を0.5wt%、シリコーンレジンを1.5wt%、PVA樹脂の水溶液をこの順番に添加し、混合した。
【0042】
FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤、シリコーンレジン及びPVA樹脂の混合物を乾燥温度150℃で、2時間乾燥させ、軟磁性粉末1の表面に被膜層2を形成した。被膜層2で被覆されたFeSiAl合金粉末を、凝集を解消する目的で目開き250μmの篩に通した。その後、潤滑剤(Acrawax(登録商標))を0.4wt%添加した。潤滑剤を添加したFeSiAl合金粉末を金型に充填し、プレス成形を行い、外径16.5mm、内径11.0mm、高さ5.0mmの各圧粉成形体を得た。プレス成形の圧力は、15ton/cm2で行った。
【0043】
ここで、実施例1-1の添加工程では、水溶液中に12wt%のPVA樹脂が溶解している12%水溶液を調製し、この12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して0.50wt%の割合で添加した。即ち、実施例1-1において、PVA樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.06wt%の割合で添加された。
【0044】
実施例1-2の添加工程では、12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して1.00wt%の割合で添加した。即ち、実施例1-2において、PVA樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.12wt%の割合で添加された。
【0045】
実施例1-3の添加工程では、12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して1.50wt%の割合で添加した。即ち、実施例1-3において、PVA樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.18wt%の割合で添加された。
【0046】
実施例1-1乃至1-3の添加量を超える比較例1-4も用意した。比較例1-4の圧粉樹脂では、12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して2.00wt%の割合で添加した。即ち、比較例1-4において、PVA樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.24wt%の割合で添加された。
【0047】
(実施例2-1乃至2-3及び比較例2-4)
保形性改善剤の種類が実施例1-1乃至1-3と異なる実施例2-1乃至2-3の圧粉成形体を用意した。保形性改善剤の種類が異なる以外は、実施例2-1乃至2-3は、実施例1-1乃至1-3と同一製造方法及び同一条件で製造された。
【0048】
実施例2-1乃至2-3において、保形性改善剤は、PVB樹脂である。平均粒子径(メジアン径(D50))が24.5μmのFeSiAl合金粉末に対して、シランカップリング剤を0.5wt%、シリコーンレジンを1.5wt%、PVB樹脂溶液をこの順番に添加し、混合した。
【0049】
実施例2-1の添加工程では、イソプロピルアルコール溶液中に12wt%のPVB樹脂が12%溶液を調製し、この12wt%溶液をFeSiAl合金粉末に対して0.50wt%の割合で添加した。即ち、実施例2-1において、PVB樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.06wt%の割合で添加された。
【0050】
実施例2-2の添加工程では、12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して1.00wt%の割合で添加した。即ち、実施例2-2において、PVB樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.12wt%の割合で添加された。
【0051】
実施例2-3の添加工程では、12wt%水溶液をFeSiAl合金粉末に対して1.50wt%の割合で添加した。即ち、実施例2-3において、PVB樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.18wt%の割合で添加された。
【0052】
実施例2-1乃至2-3の添加量を超える比較例2-4も用意した。比較例2-4の圧粉樹脂では、12wt%溶液をFeSiAl合金粉末に対して2.00wt%の割合で添加した。即ち、比較例2-4において、PVB樹脂は、FeSiAl合金粉末に対して0.24wt%の割合で添加された。
【0053】
(比較例3-1乃至3-5)
比較例3-1乃至3-5の圧粉成形体を更に用意した。比較例3-1乃至3-5の圧粉成形体は、組成及び組成比は同じであるが、製造工程が異なる。即ち、ガスアトマイズ法により製造された平均粒子径(メジアン径(D50))が24.5μmのFeSiAl合金粉末に対して、シランカップリング剤を0.5wt%及びシリコーンレジンを1.5wt%を添加し、混合した。FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥温度150℃で、2時間乾燥させた。
【0054】
FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥させた後に、PVA樹脂の水溶液を添加し、混合及び乾燥した。乾燥温度は110℃であり、乾燥時間は2時間である。即ち、
図10に示すように、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの被膜層2aとPVA樹脂の被膜層2bの層を別層とし、軟磁性粉末1の周りにシランカップリング剤及びシリコーンレジンの被膜層2aを形成し、被膜層2aの表面にPVA樹脂の被膜層2bを形成した。
【0055】
比較例3-1では、PVA樹脂を未添加とした。
【0056】
比較例3-2の添加工程では、水溶液中に12wt%のPVA樹脂が溶解している12%水溶液を調製した。FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥させた後に、混合及び乾燥済みの混合物に対して12wt%水溶液を0.50wt%の割合で添加した。即ち、比較例3-2では、シリコーンレジンと別層となるようにPVA樹脂を、FeSiAl合金粉末に対して0.06wt%の割合で添加された。
【0057】
比較例3-3の添加工程では、FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥させた後に、混合及び乾燥済みの混合物に対して12wt%水溶液を1.00wt%の割合で添加した。即ち、比較例3-3では、シリコーンレジンと別層となるようにPVA樹脂を、FeSiAl合金粉末に対して0.12wt%の割合で添加された。
【0058】
比較例3-4の添加工程では、FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥させた後に、混合及び乾燥済みの混合物に対して12wt%水溶液を1.50wt%の割合で添加した。即ち、比較例3-4では、シリコーンレジンと別層となるようにPVA樹脂を、FeSiAl合金粉末に対して0.18wt%の割合で添加された。
【0059】
比較例3-5の添加工程では、FeSiAl合金粉末、シランカップリング剤及びシリコーンレジンの混合物を乾燥させた後に、混合及び乾燥済みの混合物に対して12wt%水溶液を2.00wt%の割合で添加した。即ち、比較例3-5では、シリコーンレジンと別層となるようにPVA樹脂を、FeSiAl合金粉末に対して0.24wt%の割合で添加された。
【0060】
(試験)
各実施例及び比較例の密度、重量、高さ及び粉砕量を測定した。密度は、見かけ密度である。作製した圧粉成形体の外径、内径、及び高さを測定し、これらの値から各圧粉成形体の体積(cm3)を、π×(外径2-内径2)×高さに基づき算出した。そして、圧粉成形体の重量を測定し、重量を体積で除算することで、密度を算出した。尚、測定した重量は、プレス成形を経た後の重量であり、軟磁性粉末、シランカップリング剤、シリコーンレジン、保形性改善剤及び潤滑剤の合計の重量である。
【0061】
粉砕量は、振動ふるい機(KFC-500-1DC)を用い、目開き850μmの篩の上に圧粉成形体を載せて、30秒間振動させた際に、篩の下に落ちた重量を測定した。圧粉成形体の重量及び粉砕量の測定は、秤(AS PRO ASP123F)を用いた。振動は、電動機(200V、0.4kW)、周波数(50Hz)という条件で行った。
【0062】
また、各圧粉成形体を700℃で2時間熱処理を行い、各実施例及び比較例から各々の圧粉磁心を作製した。この圧粉磁心にφ0.5mmの銅線で1次巻線17ターン、2次巻線17ターンの巻線を巻回し、鉄損及び透磁率を測定した。透磁率及び鉄損の測定条件は、周波数100kHz、最大磁束密度Bm=100mTとした。
【0063】
鉄損については、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY-8219)を用いて算出した。この算出は、鉄損の周波数曲線を次の(1)~(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損失係数、渦電流損失係数を算出することで行った。
【0064】
Pcv =Kh×f+Ke×f2・・(1)
Ph =Kh×f・・(2)
Pe =Ke×f2・・(3)
Pcv:鉄損
Kh :ヒステリシス損失係数
Ke :渦電流損失係数
f :周波数
Ph :ヒステリシス損失
Pe :渦電流損失
【0065】
透磁率は、鉄損の測定時に最大磁束密度Bmを設定したときの振幅透磁率とし、LCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社製:4284A)を使用して算出した。透磁率は、直流を重畳させていない初透磁率(0kA/m)と、10kA/mの直流を重畳させた際の透磁率の両方を測定した。
【0066】
【0067】
また、表1の結果を
図7乃至9にまとめた。
図7は、実施例1-1乃至1-3及び比較例1-4の実施例1の系列、実施例2-1乃至2-3及び比較例2-4の実施例2の系列、並びに比較例3-1乃至3-5の比較例3の系列別に、保形性改善剤の添加量と粉砕量の関係を示すグラフである。
図8は、実施例1-1乃至1-3及び比較例1-4の実施例1の系列、実施例2-1乃至2-3及び比較例2-4の実施例2の系列、並びに比較例3-1乃至3-5の比較例3の系列別に、保形性改善剤の添加量と密度の関係を示すグラフである。
図9は、実施例1-1乃至1-3及び比較例1-4の実施例1の系列、実施例2-1乃至2-3及び比較例2-4の実施例2の系列、並びに比較例3-1乃至3-5の比較例3の系列別に、保形性改善剤の添加量と圧粉成形体の高さの関係を示すグラフである。
【0068】
表1及び
図7に示すように、保形性改善剤の添加量が0.06wt%以上0.18wt%以下の範囲では、比較例3の系列と比べて実施例1の系列及び実施例2の系列の粉砕量は少なかった。比較例3の系列は、シリコーンレジンの被膜層2aとポリビニルアルコール樹脂の被膜層2bとを別層に区分けして軟磁性粉末1を被覆している。これに対して、実施例1及び実施例2の系列は、被膜層2をシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂とを含む混合層として軟磁性粉末1を被覆したものである。
【0069】
これにより、被膜層2をシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂とを含む混合層として軟磁性粉末1を被覆し、保形性改善剤の添加量を軟磁性粉末1に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の範囲とすると、軟磁性粉末1間の結着力が効率良く高まり、圧粉成形体の保形性の劣化を効率良く抑制できることが確認された。従って、圧粉成形体に生じる欠けやクラックを効率良く抑制できる。
【0070】
しかも、表1及び
図8に示すように、実施例1及び実施例2の系列は、保形性改善剤の添加量が0.06以上0.18wt%以下の範囲を含んで、比較例3の系列よりも、圧粉成形体の密度が良好に保たれている。また、表1及び
図9に示すように、実施例1及び実施例2の系列は、保形性改善剤の添加量が0.06以上0.18wt%以下の範囲を含んで、比較例3と同等の圧粉成形体の高さを有している。そのため、例えば同じポリビニルアルコール樹脂を添加した実施例1と比較例3の系列を比べると、実施例1はヒステリシス損失が低減している。
【0071】
即ち、被膜層2をシリコーンレジンとPVA樹脂又はPVB樹脂とを含む混合層として軟磁性粉末1を被覆し、保形性改善剤の添加量を軟磁性粉末1に対して0.06wt%以上0.18wt%以下の範囲とすると、圧粉成形体が高くなっていることからわかるように、樹脂の流れ性がよくなる。これにより、圧粉成形体の密度が向上し、ヒステリシス損失を低減させることも確認された。
【0072】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 軟磁性粉末
2 被膜層
3 被膜層