(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ライン構成計画装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20231219BHJP
B23Q 41/06 20060101ALI20231219BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20231219BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23Q41/06
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020066127
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梶田 大毅
(72)【発明者】
【氏名】榎本 敦子
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-171484(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146772(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B23Q 41/06
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ラインの構成を決定するライン構成計画装置であって、
1以上の記憶装置と、
1以上のプロセッサと、を含み、
前記1以上の記憶装置は、
工場の稼働条件を示す、稼働情報と、
生産対象製品の構成を示し、前記生産対象製品の各部品の種別、寸法、形状及び位置姿勢の情報を含む、製品構成情報と、
製品の
部品種別及び形状の各組み合わせに対して実行
される作業種別の組み合わせ及び実行順序を示す、作業情報と、
前記作業種別に関連付けられた作業者又は自動機による作業時間を示す、作業時間情報と
、
前記生産対象製品の生産量及び生産期間を示す、生産計画情報と、を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記製品構成情報
が示す前記生産対象製品の各部品の位置姿勢の情報から各部品の組付方向を決定し、
前記生産対象製品の各部品の位置姿勢の情報及び組付方向の情報から部品の組付順序を決定し、
前記製品構成情報が示す各部品の種別及び形状から、前記作業情報を参照して、各部品の作業種別の組み合わせ及び実行順序を決定し、
前記組付順序及び各部品の前記作業種別の組み合わせ及び実行順序から、前記生産対象製品の生産ラインにおける作業順序を決定し、
前記作業時間情報に基づき、
前記作業順序が示す作業それぞれの作業者又は自動機による作業時間を決定し、
前記生産計画情報に基づき
前記生産対象製品の所定期間の生産量を決定し、前記稼働情報に基づき前記所定期間の前記工場の稼働時間を決定し、前記稼働時間を前記生産量で割って、前記生産対象製品の生産
ラインに対する要求サイクルタイムを決定し
、
前記生産対象製品の生産
ラインにおける
各自動機又は各作業者により実行される一工程の最大作業時間を示す推定サイクルタイムが、前記要求サイクルタイム以下となる、
前記作業順序が示す作業それぞれの作業者及び自動機の
割当を示す割当案を生成し、
前記割当案の生成において、前記作業順序が示す作業それぞれの前記作業時間から前記推定サイクルタイムを決定する、ライン構成計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上の記憶装置は、
作業者及び設備の単価を示す、単価情報を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記割当案を含む複数の割当案を生成し、
前記複数の割当案それぞれのコストを、前記単価情報に基づき決定し、
前記複数の割当案のコストに基づき、前記複数の割当案から前記割当案を選択する、ライン構成計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上の記憶装置は、
作業者及び設備の能力を示す、能力情報を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記割当案を含む複数の割当案を生成し、
前記複数の割当案それぞれの作業品質を、前記能力情報に基づき決定し、
前記複数の割当案の作業品質に基づき、前記複数の割当案から前記割当案を選択する、ライン構成計画装置。
【請求項4】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上のプロセッサは、
前記生産対象製品の生産における作業に割り当てられる作業者及び設備を出力装置において提示する、ライン構成計画装置。
【請求項5】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上の記憶装置は、
作業者及び設備の単価を示す、単価情報を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記割当案のコストを、前記単価情報に基づき決定し、出力装置において提示する、ライン構成計画装置。
【請求項6】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上の記憶装置は、
作業者及び設備の能力を示す、能力情報を格納し、
前記1以上のプロセッサは、
前記割当案の作業品質を、前記能力情報に基づき決定し、出力装置において提示する、ライン構成計画装置。
【請求項7】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上のプロセッサは、前記割当案に基づいて、前記生産対象製品の生産における作業を実行する自動機のジョブを生成する、ライン構成計画装置。
【請求項8】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上のプロセッサは、前記割当案に基づいて、前記生産対象製品の生産における作業を実行する作業者の作業指示書を生成する、ライン構成計画装置。
【請求項9】
請求項1に記載のライン構成計画装置であって、
前記1以上のプロセッサは、
複数種類の生産対象製品それぞれの割当案を生成し、
前記割当案を組み合わせて、前記複数種類の生産対象製品を一つの生産ラインで生産するための割当案組合せを生成し、
前記割当案組合せの推定サイクルタイムは、前記複数種類の生産対象製品のそれぞれの要求サイクルタイム以下である、ライン構成計画装置。
【請求項10】
請求項1に記載のライン構成計画装置と、
生産管理装置と、を含み、
前記生産管理装置は、前記生産対象製品の受注情報に基づき前記生産計画情報を生成して、前記ライン構成計画装置に送信する、システム。
【請求項11】
ライン構成計画装置が生産ラインの構成を決定する方法であって、
前記ライン構成計画装置は、
工場の稼働条件を示す、稼働情報と
、
生産対象製品の構成を示し、前記生産対象製品の各部品の種別、寸法、形状及び位置姿勢の情報を含む、製品構成情報と、
製品の
部品種別及び形状の各組み合わせに対して実行
される作業種別
の組み合わせ及び実行順序を示す、作業情報と、
前記作業種別に関連付けられた作業者又は自動機による作業時間を示す、作業時間情報と
、
前記生産対象製品の生産量及び生産期間を示す、生産計画情報と、を格納し、
前記方法は、前記ライン構成計画装置が、
前記製品構成情報
が示す前記生産対象製品の各部品の位置姿勢の情報から各部品の組付方向を決定し、
前記生産対象製品の各部品の位置姿勢の情報及び組付方向の情報から部品の組付順序を決定し、
前記製品構成情報が示す各部品の種別及び形状から、前記作業情報を参照して、各部品の作業種別の組み合わせ及び実行順序を決定し、
前記組付順序及び各部品の前記作業種別の組み合わせ及び実行順序から、前記生産対象製品の生産ラインにおける作業順序を決定し、
前記作業時間情報に基づき、
前記作業順序が示す作業それぞれの作業者又は自動機による作業時間を決定し、
前記生産計画情報に基づき
前記生産対象製品の所定期間の生産量を決定し、前記稼働情報に基づき前記所定期間の前記工場の稼働時間を決定し、前記稼働時間を前記生産量で割って、前記生産対象製品の生産
ラインに対する要求サイクルタイムを決定し
、
前記生産対象製品の生産
ラインにおける
各自動機又は各作業者により実行される一工程の最大作業時間を示す推定サイクルタイムが前記要求サイクルタイム以下となる、
前記作業順序が示す作業それぞれの作業者及び自動機の
割当を示す割当案を生成
する、ことを含み、
前記割当案の生成において、前記作業順序が示す作業それぞれの前記作業時間から前記推定サイクルタイムを決定する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記ライン構成計画装置は、
作業者及び設備の単価を示す、単価情報を格納し、
前記方法は、前記ライン構成計画装置が、
前記割当案を含む複数の割当案を生成し、
前記複数の割当案それぞれのコストを、前記単価情報に基づき決定し、
前記複数の割当案のコストに基づき、前記複数の割当案から前記割当案を選択する、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記ライン構成計画装置は、
作業者及び設備の能力を示す、能力情報を格納し、
前記方法は、前記ライン構成計画装置が、
前記割当案を含む複数の割当案を生成し、
前記複数の割当案それぞれの作業品質を、前記能力情報に基づき決定し、
前記複数の割当案の作業品質に基づき、前記複数の割当案から前記割当案を選択する、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、
前記方法は、前記ライン構成計画装置が、
前記生産対象製品の生産における作業に割り当てられる作業者及び設備を出力装置において提示する、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、
前記ライン構成計画装置は、
作業者及び設備の単価を示す、単価情報を格納し、
前記方法は、前記ライン構成計画装置が、
前記割当案のコストを、前記単価情報に基づき決定し、出力装置において提示する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ライン構成計画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景技術として、特開2009-142949号公報(特許文献1)がある。特開2009-142949号公報は、「本生産システム1は、搬送用コンベア3で搬送される被組み付け品に対して組付作業または加工作業を行うエリアである人セルとロボットセルから成る複数の機能セルFCを備えたシステムであり、機能セルFCの稼働率を低下させることなく生産数量の増減に柔軟かつ容易に対応するために、各機能セルFCの機能変更や機能セルFCに配置される自動機A,B等の配置変えを行う。割当決定装置2は、人セル当たりの人数が設定付与された人セルMCの個数とロボットセルRC1等の個数入力に応じて、各機能セルFCにおける作業時間が均一化されるように組付作業または加工作業に要する時間が既知の機械特性を持つ自動機A,B等を選択して各機能セルFCに割り当てる。」と開示する(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産労働人口の減少に伴い、生産ライン設計者の経験に頼った生産ライン案作成が困難になりつつある。また、生産ライン設計者にとって、混流生産、生産量変動に対する最適ライン案の導出は、容易なことではない。したがって、経験の少ない生産ライン設計者であって、適切な生産ライン構成を短期間で導出可能な手法が望まれる。
【0005】
特許文献1は、機能セルにおける作業時間が均一化されるように自動機を機能セルに割り当てることを開示しているが、装置が製品生産のための作業を作業者及び自動機に対して割り当てる手法を開示していない。生産ライン構成の効率的な決定のためには、装置が自動で自動機及び作業者の適切な割当案を生成することができる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、生産ラインの構成を決定するライン構成計画装置であって、1以上の記憶装置と、1以上のプロセッサと、を含み、前記1以上の記憶装置は、工場の稼働条件を示す、稼働情報と、自動機を含む設備の構成を示す、設備構成情報と、製品の構成要素に対して実行する作業種別を示す、作業情報と、前記作業種別に関連付けられた作業者又は自動機による作業時間を示す、作業時間情報と、生産対象製品の構成を示す、製品構成情報と、前記生産対象製品の生産量及び生産期間を示す、生産計画情報と、を格納し、前記1以上のプロセッサは、前記製品構成情報、前記作業情報及び前記作業時間情報に基づき、前記生産対象製品の生産における作業順序及び作業それぞれの作業者又は自動機による作業時間を決定し、前記生産計画情報に基づき、前記生産対象製品の生産に対する要求サイクルタイムを決定し、決定された前記作業順序、前記作業時間及び前記要求サイクルタイムに基づき、前記生産対象製品の生産における推定サイクルタイムが前記要求サイクルタイム以下となる、作業者及び自動機の割当案を生成し、前記割当案及び前記設備構成情報に基づき、前記生産対象製品の生産ライン構成を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の代表的な一例によれば、生産ラインにおける作業者及び自動機への作業の割当を効率的に行うことができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ライン構成計画装置のハードウェア構成例を示す。
【
図11】ライン構成計画装置が実行する処理例のフローチャートを示す。
【
図12】生産条件情報を入力するためのGUI画面の例を示す。
【
図13】複数の割当案それぞれのリソース及びリソースそれぞれの作業時間を示す出力画面である。
【
図14】割当案それぞれの製造コストを示す出力画面である。
【
図15】割当案それぞれの作業品質を示す出力画面である。
【
図16】割当案それぞれの生産ラインレイアウトを示す出力画面である。
【
図17】自動機にインストールするジョブを生成する処理例のフローチャートを示す。
【
図18】作業者に提示する作業指示を生成する処理例のフローチャートを示す。
【
図19】選択されている、稼働情報、製品及び割当案を示し、その割当案の自動機(設備)それぞれの制御プログラムの出力画面である。
【
図20】出力画面は、選択されている、稼働情報、製品及び割当案を示し、その割当案の作業者それぞれの制御プログラムの出力画面である。
【
図21】ライン構成計画装置により、複数種類の製品を生産する生産ラインのリソース割当案を生成する処理例のフローチャートを示す。
【
図22】複数種類の製品を生産する生産ラインのリソース割当案組合せの情報の例を示す。
【
図23】ライン構成計画装置を含むシステムの構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。以下に説明する実施例において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下においては、生産ラインにおけるリソース割当案をライン構成計画装置が自動生成する方法を説明する。ライン構成計画装置は、作業者と自動機が協調作業する生産ラインにおいて、製品構成、生産計画、及び工場の稼働条件に基づいて、適切な生産ラインの構成案を生成することができる。これにより、新製品に対する新生産ラインの構成案や新製品を既存ラインで生産するためのライン構成変更案を生成できる。
【0010】
さらに、例えば、ライン構成計画装置は、作業者及び設備のコストの情報から生産ラインのリソース割当案のコストを算出することで、コストの点からより適切なリソース割当案を決定することが可能となる。また、ライン構成計画装置は、作業者及び設備の能力の情報から生産ラインのリソース割当案の作業品質を算出することで、作業品質の点からより適切なリソース割当案を決定することが可能となる。
【実施例1】
【0011】
図1はライン構成計画装置10の論理構成例を示す。ライン構成計画装置10は、制御部101、記憶部103、入力部105、出力部106及び通信部107を含む。制御部101は、製品を生産するためのラインレイアウトを生成するための様々な処理を実行する。
【0012】
記憶部103は、制御部101が参照する又は処理する情報(データ)を格納する。入力部105は、ユーザによる情報の入力を可能とし、出力部106は、ユーザに対して情報を提示する。情報の提示は、例えば画像を表示する。通信部107は、不図示のネットワークを介して、他の装置との間でデータを送受信する。
【0013】
制御部101は、作業順序算出部111、作業時間算出部112、サイクルタイム算出部113、リソース割当算出部114、製造コスト算出部115、作業品質算出部116、ラインレイアウト計画部117、自動機ジョブ生成部118、及び作業指示生成部119を含む。これら機能部の動作は後述する。記憶部103は、製品構成情報131、生産計画情報132、部品作業情報133、稼働情報134、単価情報135、標準作業時間情報136、及び設備構成情報137を格納している。記憶部103が格納している情報の詳細は後述する。
【0014】
図2は、ライン構成計画装置10のハードウェア構成例を示す。ライン構成計画装置10は、一般的な計算機構成を有することができる。ライン構成計画装置10は、プロセッサ201、メモリ(主記憶装置)202、補助記憶装置203、出力装置204、入力装置205、及び通信インタフェース(I/F)207を含む。上記構成要素は、バスによって互いに接続されている。メモリ202、補助記憶装置203又はこれらの組み合わせは記憶装置であり、
図1に示す記憶部103の一例である。
【0015】
メモリ202は、例えば半導体メモリから構成され、主に実行中のプログラムやデータを保持するために利用される。プロセッサ201は、メモリ202に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。プロセッサ201がプログラムに従って動作することで、様々な機能部が実現される。
図1に示す制御部101、入力部105、出力部106、及び通信部107は、例えば、プロセッサ201によって実現することができる。
【0016】
補助記憶装置203は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどの大容量の記憶装置から構成され、プログラムやデータを長期間保持するために利用される。ソフトウェアモジュールは、記憶装置内のいずれの領域に格納されていてもよい。
【0017】
プロセッサ201は、単一の処理ユニットまたは複数の処理ユニットで構成することができ、単一もしくは複数の演算ユニット、又は複数の処理コアを含むことができる。プロセッサ201は、1又は複数の中央処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロ計算機、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ステートマシン、ロジック回路、グラフィック処理装置、チップオンシステム、及び/又は制御指示に基づき信号を操作する任意の装置として実装することができる。
【0018】
補助記憶装置203に格納されたプログラム及びデータが起動時又は必要時にメモリ202にロードされ、プログラムをプロセッサ201が実行することにより、ライン構成計画装置10の各種処理が実行される。
【0019】
プロセッサ201は、特定のプログラムに従って動作することで、特定の機能部として機能する。例えば、プロセッサ201は、対応するプログラムに従って、作業順序算出部111、作業時間算出部112、サイクルタイム算出部113、リソース割当算出部114、製造コスト算出部115、作業品質算出部116、ラインレイアウト計画部117、自動機ジョブ生成部118、及び作業指示生成部119として機能する。したがって、以下において機能部が実行する処理は、プロセッサ201又はプログラムによる処理である。
【0020】
入力装置205は、ユーザがライン構成計画装置10に指示や情報などを入力するためのハードウェアデバイスである。出力装置204は、入出力用の各種画像を提示するハードウェアデバイスであり、例えば、表示デバイス又は印刷デバイスである。通信I/F207は、ネットワークとの接続のためのインタフェースである。入力装置205及び出力装置204は省略されてもよく、ライン構成計画装置10は、ネットワークを介して、端末からアクセスされてもよい。
【0021】
入力部105は、入力装置205を介してユーザ入力情報を取得する。出力部106は、出力装置204(例えば表示装置)において、ユーザに対して情報を提示する。通信部107は、通信I/F207を介して、他の装置と情報の送受信を行う。
【0022】
ライン構成計画装置10の機能は、1以上のプロセッサ及び非一過性の記憶媒体を含む1以上の記憶装置を含む1以上の計算機からなる計算機システムに実装することができる。複数の計算機はネットワークを介して通信する。例えば、ライン構成計画装置10の複数の機能の一部が一つの計算機に実装され、他の一部が他の計算機に実装されてもよい。
【0023】
以下において、ライン構成計画装置10が保持する情報を説明する。以下において、情報はテーブル形式で表されているが、ライン構成計画装置10は、任意の形式において、必要とする情報を保持することができる。
【0024】
図3は、製品構成情報131の構成例を示す。製品構成情報131は、生産対象の製品の構成についての情報である。製品構成情報131は、例えば、ライン構成計画を指示するユーザによって、入力装置205(入力部105)を介して入力され、補助記憶装置203(記憶部103)に格納される。
図3の例において、製品構成情報131は、製品を構成する部品(構成要素)それぞれについての情報を示す。
図3の例において、製品構成情報131は、製品欄311、部品欄312、部品種別欄313、寸法欄314、形状欄315、位置姿勢欄316を含む。
【0025】
図3は、製品構成情報をテーブル形式で示すが、他の例において、製品構成情報を3次元CADデータから抽出してもよい。3次元CADデータは、製品の構成の詳細情報を含んでおり、生産ライン構成計画のための必要十分な製品構成情報を容易に取得することができる。
【0026】
製品欄311は、製品の識別子を示す。部品欄312は、製品欄311が示す製品それぞれを構成する部品それぞれの識別子を示す。部品種別欄313は、部品欄312が示す部品それぞれの種別を示す。寸法欄314は、部品欄312が示す部品それぞれの寸法を示す。形状欄315は、部品欄312が示す部品それぞれの形状を示す。位置姿勢欄316は、部品欄312が示す部品の、製品内での位置姿勢を示す。位置及び姿勢は、それぞれ、所定の空間における3次元座標で表すことができる。
【0027】
図4は、生産計画情報132の構成例を示す。生産計画情報132は、生産対象製品の生産計画を示す。生産計画情報132は、例えば、ライン構成計画を指示するユーザによって、入力装置205(入力部105)を介して入力され、補助記憶装置203(記憶部103)に格納される。
図4の例において、生産計画情報は、製品の生産数及び生産期間を示す。具体的には、生産計画情報132は、製品欄321及び生産量欄322を含む。製品欄321は、生産対象製品の識別子を示す。生産量欄322は、製品欄321が示す製品それぞれの計画生産量を示す。
図4の例において、生産量欄322は、各年の月毎の計画生産量を示す。
【0028】
図5は部品作業情報133の構成例を示す。部品作業情報133は、製品の生産において部品に対して実行される作業を示す。一つの部品に対して、1又は複数の作業が実行される。部品作業情報133は、例えば、補助記憶装置203(記憶部103)内に格納されている。
図5の例において、部品作業情報133は、部品種別欄331、形状欄332、及び実行作業種別欄333を含む。部品種別欄331は部品の種別を示し、形状欄332は部品の形状を示す。実行作業種別欄333は、部品種別と形状の組み合わせに対して、実行される作業の種別の組み合わせ及び実行順序を示す。
【0029】
図6は自動機作業情報138の構成例を示す。自動機作業情報138は、自動機が実行可能な作業を示す。一つの自動機は、1以上の作業を実行し得る。自動機作業情報138は、自動機種別欄381及び実行可能作業種別欄382を含む。自動機種別欄381は、自動機の種別を示す。実行可能作業種別欄382は、自動機種別欄381が示す自動機種別が実行可能な作業を示す。製品の生産において実行される作業に対して、割り当てることができる自動機を決定するために参照される。
【0030】
図7は、稼働情報134の構成例を示す。稼働情報134は、製品を生産する拠点の稼働条件を示す。稼働情報134は、例えば、予め補助記憶装置203(記憶部103)内に格納されている。
図7の例において、稼働情報134は、生産拠点欄341、稼働条件欄342、稼働日数欄343、シフト欄344、勤務時間欄345、休憩時間欄346、及び稼働率欄347を含む。
【0031】
生産拠点欄341は、生産拠点の識別子を示す。稼働条件欄342は、生産拠点欄341が示す生産拠点それぞれにおける、採用され得る稼働条件の識別子を示す。稼働日数欄343は、各生産拠点の各稼働条件における、一月の稼働日数を示す。シフト欄344は、各生産拠点の各稼働条件における、一日のシフト数を示す。
【0032】
勤務時間欄345は、シフト当たりの勤務時間を示す。休憩時間欄346は、シフト当たりの休憩時間を示す。稼働率欄347は、各生産拠点の各稼働条件における、稼働率を示す。稼働率は、他の欄の情報から計算される名目稼働時間に対する、推定実稼働時間の割合を示す。後述する生産ライン構成計画における要求サイクルタイム(タクトタイム)や生産ライン割当案の推定サイクルタイムの計算において、推定実稼働時間が使用される。
【0033】
図8は、単価情報135の構成例を示す。単価情報は、後述する作業時間及び作業品質の計算において参照される。単価情報135は、例えば、予め補助記憶装置203(記憶部103)内に格納されている。単価情報135は、作業者の単価を示す情報350と、設備及び器具の単価を示す情報355とを含む。
【0034】
作業者の単価情報350は、生産拠点欄351、スキルレベル欄352、スキル係数欄353、及び人件費単価欄354を含む。生産拠点欄351は、生産拠点の識別子を示す。スキルレベル欄352は、各生産拠点の作業者に割り当てられ得るスキルレベルの識別子を示す。スキルレベルは、作業者の能力レベルを示す。
【0035】
スキル係数欄353は、各生産拠点のスキルレベル欄352が示すスキルレベルそれぞれに関連付けられる係数を示す。スキル係数は、後述する作業者による作業時間及び作業品質の計算において使用される係数である。スキルレベルが高いほど、短い作業時間で高品質の作業が実現されることが想定されている。人件費単価欄354は、各生産拠点のスキルレベル欄352が示すスキルレベルそれぞれに関連付けられる人件費単価を示す。
図7の例においては、人件費単価は、1分当たりの人件費(円/分)で表されている。
【0036】
設備及び器具の単価情報135は、生産拠点欄356、設備/器具種別欄357、スキル係数欄358、及び設備/器具単価欄359を含む。生産拠点欄355は、生産拠点の識別子を示す。設備/器具種別欄357は、各生産拠点で使用可能な設備及び器具を示す。設備は、工場フロアに設置される機器であり、作業者に代わり自動で作業を実行する機械である自動機や、作業者が作業を行うための手組作業台等を含む。単価情報135が示す器具は、自動機が利用する器具及び作業者が使用する器具を含む。器具は、例えば、設備に固定されて使用されてもよく、又は、作業者が手に持って使用してもよい。
【0037】
スキル係数欄358は、各生産拠点の設備種別及び器具種別それぞれに関連付けられる係数を示す。設備のスキル係数は設備の能力の係数であり、自動機による又は設備を使用した作業者による作業時間及び作業品質の計算において使用される係数である。器具のスキル係数は、器具を使用した自動機又は作業者による作業時間及び作業品質の計算において使用される係数であり。スキルレベルが高いほど、短い作業時間で高品質の作業が実現されることが想定されている。設備/器具単価欄359は、各生産拠点の設備/器具種別欄357が示す設備/器具種別それぞれに関連付けられる単価を示す。
図8の例において、設備/器具種別の単価は、1台当たりの費用(円/台)で表されている。
【0038】
図9は、標準作業時間情報136の構成例を示す。標準作業時間情報136は、作業者及び自動機の標準作業時間を示す。標準作業時間情報136は、例えば、予め補助記憶装置203(記憶部103)内に格納されている。作業者及び自動機の作業時間は、標準作業時間及びスキル係数に基づき計算される。
【0039】
図9の例において、標準作業時間情報136は、作業種別欄365、自動/手動欄366、及び作業時間欄367を含む。作業種別欄365は、製品の生産における作業の種別を示す。自動/手動欄366は、各エントリが、自動機による作業であるか(自動)、作業者による作業であるか(手動)、を示す。作業種別欄365は、各作業を、自動機又は作業者が実行したときの標準作業時間を示す。
【0040】
図10は、設備構成情報137の構成例を示す。設備構成情報137は、設備種別それぞれの構成を示し、生産ラインレイアウト(設備レイアウト)の設計において参照される。設備構成情報137は、例えば、予め補助記憶装置203(記憶部103)内に格納されている。
図10の例において、設備構成情報137は、生産拠点欄371、設備種別欄372、寸法欄373、製品搬送欄374、及び部品供給欄375を含む。
【0041】
生産拠点欄371は、生産拠点それぞれの識別子を示す。設備種別欄372は、各生産拠点における設備の種別を示す。
図10において、組立設備、溶接設備、塗装設備、外観検査設備は、自動機の例である。手組作業台は、自動機械以外の例であり、作業者によって使用される作業台である。寸法欄373は、各生産拠点の設備種別欄372が示す設備種別それぞれの寸法を示す。
【0042】
製品搬送欄374は、各生産拠点の設備種別欄372が示す設備種別それぞれの、生産対象の製品が前工程から搬入されて次工程に搬出される方向を示す。製品搬送欄374は、さらに、搬送形態を示す。部品供給欄375は、各生産拠点の設備種別欄372が示す設備種別それぞれの、部品供給方向を示す。設備が製品に取り付ける部品は、部品供給方向において当該設備に供給される。
【0043】
部品供給欄375は、さらに、在庫種類数を示す。在庫種類数は、在庫として設備が収容することができる部品種類の数を示す。生産ラインレイアウト案の作成において、製品の搬入及び搬出方向並びに部品供給方向により、当該設備の他の設備との位置関係及び当該設備の向きが限定される。
【0044】
図10は、設備構成情報をテーブル形式で示すが、他の例において、設備構成情報を3次元CADデータから抽出してもよい。3次元CADデータは、設備の構成の詳細情報を含んでおり、生産ライン構成計画のための必要十分な設備構成情報を容易に取得することができる。
【0045】
図11は、ライン構成計画装置10が実行する処理例のフローチャートを示す。
図11は、1種類の製品を生産するためのライン構成を計画する処理の例を示す。まず、ライン構成計画装置10は、生産ライン構成案を生成する生産条件のユーザによる入力を受け付ける(S101)。
【0046】
図12は、出力部106が出力装置204において表示する、生産条件情報を入力するためのGUI(Graphical User Interface)画面510の例を示す。入力部105は、入力装置205を介して入力された生産条件情報を、記憶部103に格納する。
【0047】
図12の例において、生産条件情報入力画面510は、生産条件を指定する複数のセクション511~514を含む。製品情報セクション511は、生産対象製品の指定を受け付ける。上述のように、本フローでは、指定された製品A及び製品Bそれぞれの生産ライン構成案を作成する。
【0048】
稼働情報セクション512は、生産ライン構成案を生成する生産拠点及びその稼働条件の指定を受け付ける。稼働条件は、稼働情報134に示されている。
図12の例において、稼働条件2での生産拠点Aと稼働条件1での生産拠点Bが指定されている。
【0049】
作業者セクション513は、生産ラインにおける作業者の条件の指定を受け付ける。
図12の例において、ユーザは、各生産拠点における、各スキルレベルを有する作業者の上限数を指定する。上限数に代えて、実際に生産ラインに配置される人数が指定されてもよい。例えば、生産拠点Aにおいて、スキルレベル1の作業者上限数は0、スキルレベル2の作業者数上限は2、スキルレベル3の作業者数上限は1である。
【0050】
設備情報セクション514は、各生産拠点において、生産ラインに設置される設備の種類の指定を受け付ける。以下に説明する例においては、指定された設備の設置数の限定はないが、例えば、上限数が指定可能であってもよい。
【0051】
図11に戻って、次に、作業順序算出部111は、記憶部103に格納されている製品構成情報131から、製品情報セクション511で指定された一つの生産対象製品の製品構成情報を読み込む(S102)。
【0052】
次に、作業順序算出部111は、製品構成情報に基づいて、生産対象製品の全部品それぞれの組付方向を順次算出する。具体的には、作業順序算出部111は、製品構成情報の位置姿勢欄316から、選択した部品の位置姿勢を抽出する(S103)。さらに、作業順序算出部111は、選択した部品の位置姿勢から、その部品の組付方向を算出する(S104)。
【0053】
次に、作業順序算出部111は、部品作業情報133を記憶部103から読み込む(S105)。さらに、作業順序算出部111は、作業順序を算出する(S106)。具体的には、作業順序算出部111は、部品の位置姿勢の情報と、ステップS103で算出した部品の組付方向の情報から、部品の組付順序を決定する。部品作業情報133を参照して、生産対象製品の部品それぞれの作業種別を決定する。作業順序算出部111は、部品の組付順序及び作業種別から、製品生産における作業順序を決定する。
【0054】
次に、作業時間算出部112は、標準作業時間情報136を記憶部103から読み込む(S107)。さらに、作業時間算出部112は、自動機作業情報138を記憶部103から読み込む(S108)。
【0055】
次に、作業時間算出部112は、生産対象製品の全部品それぞれの推定される作業時間を順次算出する。まず、作業時間算出部112は、選択した部品の作業を作業者が行った場合の作業時間(人手作業時間)を算出する(S109)。作業者は、いずれの作業を実行可能であるとする。
【0056】
具体的には、作業時間算出部112は、選択した部品の作業それぞれの作業者による標準作業時(手動標準作業時)を標準作業時間情報136から抽出して、当該部品の作業それぞれの人手標準作業時間と決定する。さらに、作業時間算出部112は、ユーザに指定された作業者のスキルレベル及び単価情報135が示すスキル係数に基づいて、当該部品の各作業の指定されたスキルレベル毎の人手作業時間を推定する。スキルレベルの人手作業時間は、人手標準作業時間にそのスキルレベルのスキル係数を掛けた値である。
【0057】
さらに、作業時間算出部112は、選択した部品の作業を、生産条件情報で指定された自動機が行った場合の作業時間(自動機作業時間)を算出する(S110)。具体的には、作業時間算出部112は、自動機作業情報138を参照して、生産条件情報において指定された自動機において、選択した部品の作業それぞれを実行する自動機を特定する。作業を実行可能な自動機が指定されていない場合、当該作業の自動機作業時間の算出は省略される。
【0058】
作業時間算出部112は、特定した自動機による標準作業時間(自動標準作業時)を標準作業時間情報136から抽出し、当該部品の各作業の自動機標準作業時間と決定する。さらに、作業時間算出部112は、単価情報135が示す自動機のスキル係数に基づいて、各作業の自動機作業時間を推定する。推定される自動機作業時間は、自動機標準作業時間にそれを実行する自動機のスキル係数を掛けた値である。
【0059】
次に、サイクルタイム算出部113は、生産計画情報132を記憶部103から読み込む(S111)。さらに、サイクルタイム算出部113は、稼働情報134を記憶部103から読み込む(S112)。
【0060】
次に、サイクルタイム算出部113は、生産計画情報132及び稼働情報134に基づいて、要求サイクルタイム(タクトタイム)を算出する(S113)。サイクルタイム算出部113は、例えば、最も生産量が多い年の生産計画に基づいて、製品の要求サイクルタイムを算出する。
【0061】
要求サイクルタイムは、一月(単位期間)の生産計画数と生産ラインの一月の稼働時間から計算される。サイクルタイム算出部113は、生産計画情報132から、製品の一月の生産計画数を取得する。サイクルタイム算出部113は、(稼働情報セクション512において)ユーザに指定された生産拠点及び稼働条件での一月の稼働時間を、稼働情報134を参照して算出する。
【0062】
一月の稼働時間は、例えば次のように計算できる。稼働時間[分/月]=(稼働日数[日/月]*シフト数[シフト/日]*(勤務時間[分/シフト]-休憩時間[分/シフト])*稼働率[%])。要求サイクルタイムは、算出された一月の稼働時間を一月の生産計画数で割った値(稼働時間[分/月]/生産計画数[台/月])である。
【0063】
次に、リソース割当算出部114は、指定された各生産拠点の生産ラインに対する、複数のリソース割当案(生産ライン構成案)を順次生成する。リソース割当案は、生産ラインにおいて、順次実行される作業に割り当てられた作業者及び自動機を示す。各リソース割当案の生成(S114)において、リソースとして使用できる各スキルレベルの作業者の上限数及び自動機種別は、上述のように生産条件情報で指定されている。生産条件情報が示す作業者条件及び設備条件を満たすように、リソース割当案は生成される。
【0064】
リソース割当算出部114は、リソース割当案の推定サイクルタイムが、ステップS110で算出した要求サイクルタイム以下となるように、リソース割当案を生成する。推定サイクルタイムは、一つの自動機又は作業者により実行される一つの工程の最大作業時間に相当する。一つの工程の作業時間は、例えば、一つの自動機又は作業者への作業対象物の搬入から作業後の作業対象物の搬出までの時間とすることができる。各工程の作業時間は、上記人手作業時間及び自動機作業時間から算出できる。
【0065】
次に、製造コスト算出部115は、記憶部103から、単価情報135を読み込む(S115)。製造コスト算出部115は、単価情報135に基づき、リソース割当案の製造コストを算出する(S116)。製造コストは、例えば、製品1台当たりのコストで表すことができる。作業者の人件費は、推定サイクルタイム[分/台]と当該作業者の人件費単価[円/分]の積とすることができる。設備や器具のコストは、例えば、それらの単価[円]を製品の総生産数[台]で割った値とすることができる。
【0066】
次に、作業品質算出部116は、リソース割当案の作業品質を算出する(S116)。作業品質算出部116は、単価情報135が示すスキル係数に基づいて、リソース割当案の作業品質を算出する。例えば、作業品質算出部116は、リソースそれぞれのスキル係数の積を、リソース割当案の作業品質とすることができる。
【0067】
例えば、リソース割当算出部114は、ユーザ指定された作業者条件及び設備条件、並びに推定サイクルタイムが要求サイクルタイム以下である、全てのリソース割当案を生成することができる。製造コスト算出部115及び作業品質算出部116は、それらリソース割当案の製造コスト及び作業品質を算出することができる。リソース割当案の情報は、記憶部103に格納される。
【0068】
リソース割当算出部114は、全ての割当案から、製造コスト及び/又は作業品質が予め設定された条件を満たすリソース割当案を、最終的な割当案として選択してもよい。例えば、リソース割当算出部114は、作業品質が閾値を超えているリソース割当案において、製造コストが最も低い案から所定数のリソース割当案を選択してもよい。なお、製造コスト及び/又は作業品質の算出は省略してもよい。
【0069】
次に、ラインレイアウト計画部117は、設備構成情報137を記憶部103から読み込む(S118)。ラインレイアウト計画部117は、設備構成情報137に基づいて、リソース割当算出部114により選択されたリソース割当案それぞれのラインレイアウトを生成する(S119)。設備は、隣接する設備の製品の搬送方向が一致し、設備の部品供給方向に部品供給を阻害する物がないように、配置される。また、設備は、それらの寸法に基づき、隣接する設備の間で適切に製品が搬送されるように配置される。生成されたラインレイアウトは、記憶部103に格納される。
【0070】
図13から16を参照して、出力部106によって出力装置204においてユーザに提示される、生産ライン構成の割当案についての出力情報の例を説明する。
図13の出力画面550は、複数の割当案それぞれのリソース及びリソースそれぞれの作業時間を示す。具体的には、出力画面550は、ユーザ指定された生産拠点及びその稼働条件における複数の割当案のリソース構成を示す。
図13の例において、出力画面550は、生産拠点Aの稼働条件2における三つの割当案を示す。
【0071】
出力画面550は、さらに、指定された作業者条件の情報及び指定された生産条件から決まる要求サイクルタイムを示す。
図13の例において、出力画面550は、作業者情報(作業者条件)として、スキルレベル2の作業者の上限数が2であり、スキルレベル3の作業者の上限数が1であり、他のスキルレベルの作業者が割り当てられないことを示す。出力画面550は、また、要求サイクルタイムが50秒/台であることを示す。
【0072】
生産対象製品の識別子、各製品を構成する部品、及びそれら部品の組立順序を示す。さらに、出力画面550は、各割当案の部品(の作業)それぞれに割り当てられているリソースの識別子及びリソースそれぞれの予定作業時間を示す。各リソースは、作業者又は自動機である。
【0073】
このように、割当案のリソース及び作業時間を示すことで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
図13の例の提示内容に加えて、割当案それぞれのコスト及び/又は作業品質を提示してもよい。これらは、ユーザによる実行すべき割当案の選択のさらに助けとなる。
【0074】
図14の出力画面570は、割当案それぞれの製造コストを示す。出力画面570のグラフの横軸は割当案それぞれの自動機の割合を示し、縦軸は割当案それぞれの製造コストを示す。全ての作業が自動機で実行される場合、横軸の値は100%を示す。
図14の例において、出力画面570は、生産拠点A及びBそれぞれの、三つの割当案の情報を示す。割当案の製造工ストをユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
【0075】
図15の出力画面590は、割当案それぞれの作業品質を示す。出力画面590のグラフの横軸は割当案それぞれの自動機の割合を示し、縦軸は割当案それぞれの作業品質を示す。全ての作業が自動機で実行される場合、横軸の値は100%を示す。
図15の例において、出力画面590は、生産拠点A及びBそれぞれの、三つの割当案の情報を示す。割当案の作業品質をユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
【0076】
図16の出力画面610は、割当案それぞれの生産ラインレイアウトを示す。
図16の例において、出力画面610は、表示している割当案の稼働情報及び、割当案それぞれの生産ラインレイアウトの模式図を示す。
図16の例は、生産拠点Aでの稼働条件2における、三つの割当案の生産ラインレイアウトを示す。各割当案の生産ラインレイアウトは、作業者及び設備の配置を示し、また、配置される作業者のスキルレベル及び設備の種類を示す。割当案の生産ラインレイアウトをユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
【0077】
以下において、ライン構成計画装置10による自動機にインストールするジョブ(プログラム)の生成及び作業者に提示する作業指示の生成の処理例を説明する。これにより、効率的にジョブ及び作業指示書を生成できる。
図17は、自動機にインストールするジョブ(プログラム)を生成する処理例のフローチャートを示す。自動機ジョブ生成部118が、ジョブを生成する。自動機は、ロボットや加工機等であり得る。
【0078】
図17を参照して、まず、自動機ジョブ生成部118は、割当案の設備リソースの情報を読み込む(S201)。自動機ジョブ生成部118は、割当案に含まれる全ての自動機(設備)それぞれのジョブを順次生成する。具体的には、自動機ジョブ生成部118は、選択した自動機の作業内容を割当案から抽出する(S202)。
【0079】
作業それぞれを実行するためのジョブ(制御プログラム)を生成する(S203)。自動機ジョブ生成部118は、各自動機に割り当てられた作業内容から、部品作業情報133を参照し、自動機が作業するためのジョブを生成する。ジョブの自動生成は公知の技術であり詳細説明を省略する。自動機ジョブ生成部118は、生成した制御プログラムを記憶部103に格納する(S204)。
【0080】
図18は、作業者に提示する作業指示を生成する処理例のフローチャートを示す。作業指示生成部119が、作業指示を生成する。作業指示生成部119は、割当案の作業者リソースの情報を読み込む(S211)。作業指示生成部119は、割当案に含まれる全ての作業者それぞれの作業指示書を順次生成する。
【0081】
具体的には、作業指示生成部119は、選択した作業者の作業内容を割当案から抽出する(S212)。作業指示生成部119は、作業内容を実行するための作業指示生成を生成する(S213)。作業指示生成部119は、製品構成情報131の該当部品についての情報から、作業指示書を生成することができる。作業指示生成部119は、例えば、製品の3DCADにおける該当部品を含む分解図を使用して、作業指示を生成することができる。作業指示生成部119は、生成し作業指示を記憶部103に格納する(S214)。
【0082】
図19及び20は、それぞれ、出力部106によって出力装置204においてユーザに提示される、割当案の自動機のジョブについての情報及び作業者の作業指示の例を示す。
図19において、出力画面630は、選択されている、稼働情報、製品及び割当案を示し、その割当案の自動機(設備)それぞれの制御プログラムを示す。
図19は、例として、生産拠点Aの稼働条件2における、製品Aの生産ラインの割当案1の組立設備1のジョブを示す。割当案のジョブをユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
【0083】
図20において、出力画面650は、選択されている、稼働情報、製品及び割当案を示し、その割当案の作業者それぞれの制御プログラムを示す。
図20は、例として、生産拠点Aの稼働条件2における、製品Aの生産ラインの割当案2の作業者1の作業指示を示す。割当案の作業指示をユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。なお、
図20は作業指示書を例に記載しているが、作業順序を提示する動画情報を生成してもよい。
【0084】
上述のように、1又は複数の割当案を生成し、割当案についての情報をユーザに提示することで、実際に適用する割当案をユーザが選択できるようにしてもよい。他の例において、ライン構成計画装置10が実際に適用するリソース割当を自動で決定し、割当案のジョブ及び作業指示書を生成してもよい。
【実施例2】
【0085】
上記実施例は、1種類の製品のみを生産する生産ラインのリソース割当案を生成する。以下に説明する実施例は、複数種類の製品を同時に生産する生産ラインのリソース割当案を生成する。
図21は、ライン構成計画装置10により、複数種類の製品を生産する生産ラインのリソース割当案を生成する処理例のフローチャートを示す。
図11に示すフローとの相違点を主に説明する。本実施例により、複数種類の製品を生産する生産ラインのリソース割当を効率的に行うことができる。
【0086】
上述のように、
図11を参照して説明した処理は、生産ラインにおいて1種類の製品を生産することを想定している。
図21に示す処理例は、複数種類の製品それぞれの割当案を、
図11を参照して説明したように生成し、それら割当案の組合せから、予め設定された条件の組合せを選択して、割当案としてユーザに提示する。
【0087】
図21を参照して、生産条件情報を受け付けた後(S101)、作業順序算出部111は、記憶部103に格納されている製品構成情報131から、生産ラインで生産する全ての生産対象製品の製品構成情報を読み込む(S301)。ライン構成計画装置10は、ステップS103からS117を生産する製品種類それぞれについて実行して、製品種類それぞれの割当案を生成する。
【0088】
ここで、要求サイクルタイムは、例えば、全ての製品種類の生産予定数の総計と生産ラインの稼働時間から決定することができる。この例では、要求サイクルタイムは、全ての製品種類に対して共通である。なお、要求サイクルタイムを製品種類ごとに決定してもよい。
【0089】
リソース割当算出部114は、全ての製品種類の割当案の組合せを検討して、予め設定された条件において、一部の割当案組合せを抽出する。割当案組合せにおいて、各設備及び作業者は、1又は複数種類の生産対象製品の作業を実行する。抽出される割当案組合せは、各スキルの作業者の上限数の条件を満たし、推定サイクルタイムが全ての生産対象製品の要求サイクルタイム以下であることが要求される。リソース割当算出部114は、
図11を参照して説明したように、製造工スト及び/又は作業品質について規定する条件に基づき、抽出する割当案組合せを抽出してもよい。
【0090】
図22は、出力部106によって提示される、複数種類の製品を生産する生産ラインのリソース割当案組合せの情報の例を示す。なお、一つのリソース割当案組合せは、生産ラインに対する一つのリソース割当案とみなすことができる。
【0091】
図22の出力画面670は、割当案組合せそれぞれの製造コストを示す。出力画面670のグラフの横軸は割当案組合せそれぞれの自動機の割合を示し、縦軸は割当案組合せそれぞれの製造コストを示す。全ての作業が自動機で実行される場合、横軸の値は100%を示す。
図22の例において、出力画面570は、製品A及び製品Bを生産する四つの割当案組合せの情報を示す。割当案の製造コストをユーザに提示することで、ユーザによる実行すべき割当案の選択を助けることができる。
【0092】
なお、出力部106は、実施例1の
図13、15、16に示す割当案についての情報を、複数種類の製品の生産ラインの割当案(の組合せ)についても生成及び提示することができる。また、
図19及び20を参照して説明した情報についても同様である。
【0093】
図23は、ライン構成計画装置10を含むシステムの構成例を示す。システムは、さらに、ライン構成計画装置10とネットワークを介して通信する生産管理装置70を含む。生産管理装置70は、様々な製品の生産全体を管理し、製品の受注(受注数や納期等)、生産拠点の稼働条件、製品の部品調達等についての情報を管理する。
【0094】
生産管理装置70は、管理している情報から、製品の生産計画を策定し、生産計画をライン構成計画装置10に送信する。ライン構成計画装置10は、受信した生産計画に基づいて、生産ラインのリソース割当案を生成する。生産管理装置70は、受注情報701、生産情報生成部702、稼働情報703、及び部品調達計画部704を含む。受注情報701は、製品の受注についての情報であり、例えば、受注した製品の種類、受注数、及び納期等の情報を含む。部品調達計画部704は、受注情報701と生産情報生成部702に基づいて、受注した製品を生産するための部品の調達方法を計画する。
【0095】
生産情報生成部702は、受注情報に基づき、製品それぞれの生産計画を生成する。生産計画は、ライン構成計画装置10の生産計画情報132と同様の構成を有してよい。ライン構成計画装置10の通信部107は、生産管理装置70から受信した生産計画を、生産計画情報132に含める。
【0096】
稼働情報703は様々な生産拠点の情報を含み、その一部又は全部は、ライン構成計画装置10が保持する稼働情報134と一致する。生産管理装置70は、稼働情報703から必要な情報を抽出して、ライン構成計画装置10に送信する。ライン構成計画装置10は、受信した情報を稼働情報134に含める。
【0097】
生産管理装置70は、ライン構成計画装置10と同様に、1以上のプロセッサ及び1以上の記憶装置を含む、1又は複数の計算機で構成することができる。生産管理装置70は、受注情報701及び稼働情報703を、その入力装置を介して、又は、ネットワークを介して通信する他の計算機から、受信することができる。取得された情報は、1以上の記憶装置に格納される。生産情報生成部702及び部品調達計画部704は、例えば、プログラムに従って動作する1以上のプロセッサにより実装される。上述のように、生産管理装置70とライン構成計画装置10との連携により、製品の効率的な生産が可能となる。
【0098】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に別の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0099】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、たとえば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に保存することができる。
【符号の説明】
【0100】
10 ライン構成計画装置
70 生産管理装置
101 制御部
103 記憶部
105 入力部
106 出力部
107 通信部
111 作業順序算出部
112 作業時間算出部
113 サイクルタイム算出部
114 リソース割当算出部
115 製造コスト算出部
116 作業品質算出部
117 ラインレイアウト計画部
118 自動機ジョブ生成部
119 作業指示生成部
131 製品構成情報
132 生産計画情報
133 部品作業情報
134 稼働情報
135 単価情報
136 標準作業時間情報
137 設備構成情報
138 自動機作業情報
201 プロセッサ
202 メモリ
203 補助記憶装置
204 出力装置
205 入力装置
550、570、590、610、630、650、670、 出力画面
701 受注情報
702 生産情報生成部
703 稼働情報
704 部品調達計画部