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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020081837
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021177129
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】高野 真
(72)【発明者】
【氏名】大原 忍
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-112803(JP,A)
【文献】特開2013-210229(JP,A)
【文献】特開2008-241688(JP,A)
【文献】特開平11-326775(JP,A)
【文献】特開2004-070276(JP,A)
【文献】特開平11-305135(JP,A)
【文献】特開2004-126614(JP,A)
【文献】特開平11-194018(JP,A)
【文献】特開2019-168312(JP,A)
【文献】特開2014-021006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光で照明された検査対象からの光を受光する検査ヘッド部を備え、
前記検査ヘッド部は、
固定部と、
前記固定部と前記検査対象との間に配置され、前記光の光軸に沿って前記固定部に対して移動可能な可動部と、
を有し、
前記可動部は、
第1対物レンズと、
第2対物レンズと、
前記第1対物レンズを透過した前記光及び前記第2対物レンズを透過した前記光のうち、いずれかの前記光を検出器に検出させるように前記光の経路を切り替える切替部と、
を含み、
前記固定部は、
オートフォーカスに用いるAF光を生成するAF光源と、
前記検査対象の検査面における前記AF光のフォーカスを検出するAFセンサと、
前記AF光を前記検査面に導くとともに、前記検査面で反射した前記AF光を前記AFセンサに導くAF光学系と、
前記AF光の光路に配置され、前記第1対物レンズを使用する場合、及び、前記第2対物レンズを使用する場合に、前記AF光学系の焦点を、それぞれ、前記第1対物レンズ、及び、前記第2対物レンズの各瞳近傍に配置するように補正する光路差補正部と、
を含む、
検査装置。
【請求項2】
前記検査ヘッド部は、前記AFセンサが検出した前記フォーカスが合うように、前記固定部に対して、前記可動部を移動させる、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記光路差補正部は、レンズを含み、前記レンズの屈折率及び前記レンズの曲率半径を用いて補正する、
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記AF光学系は、直交する2つの軸を回転軸とした反射面で前記AF光を反射する2次元スキャナを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記切替部を収納する筐体を含み、
前記筐体は、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズが固定され、
前記切替部は、ミラー及び前記ミラーを前記光路に挿入する駆動部を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記検査対象は、前記検査面に直交する方向を、水平方向となるように配置させた、
請求項1~5のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査対象を水平方向に移動させる水平移動機構と、
前記照明光を出射する照明部を鉛直方向に移動させる第1鉛直移動機構と、
前記検査ヘッド部を鉛直方向に移動させる第2鉛直移動機構と、
をさらに備え、
前記照明部は、前記検査対象に対して、前記照明光を透過させる、
請求項6に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関するものであり、例えば、大型のフォトマスクを検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、大型のフォトマスクを検査する検査装置において、大型のフォトマスクにおける透過光及び反射光を用いて検査することが記載されている。
【0003】
特許文献2及び3には、鉛直方向に縦に配置した大型のフォトマスクを検査する検査装置において、大型のフォトマスクを水平方向に移動させる水平移動機構と、検査ヘッド部を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを用いて、マスク面を走査させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-206000号公報
【文献】特開2004-068940号公報
【文献】特開2006-023774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査装置における検査精度の向上が求められるなかで、検査対象からの透過光または反射光におけるフォーカスの精度が課題となっている。検査ヘッド部の重量が大きいと、検査ヘッド部を光軸に沿って移動させることによるフォーカスの追従性が低下し、フォーカスの精度を向上させることが困難となる。よって、検査装置における検査精度を向上させることが困難となっている。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、フォーカスの精度を向上させ、検査精度を向上させることができる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様に係る検査装置は、照明光で照明された検査対象からの光を受光する検査ヘッド部を備え、前記検査ヘッド部は、固定部と、前記固定部と前記検査対象との間に配置され、前記光の光軸に沿って前記固定部に対して移動可能な可動部と、を有し、前記可動部は、第1対物レンズと、第2対物レンズと、前記第1対物レンズを透過した前記光及び前記第2対物レンズを透過した前記光のうち、いずれかの前記光を検出器に検出させるように前記光の経路を切り替える切替部と、を含み、前記固定部は、オートフォーカスに用いるAF光を生成するAF光源と、前記検査対象の検査面における前記AF光のフォーカスを検出するAFセンサと、前記AF光を前記検査面に導くとともに、前記検査面で反射した前記AF光を前記AFセンサに導くAF光学系と、前記AF光の光路に配置され、前記第1対物レンズを使用する場合、及び、前記第2対物レンズを使用する場合に、前記AF光学系の焦点を、それぞれ、前記第1対物レンズ、及び、前記第2対物レンズの各瞳近傍に配置するように補正する光路差補正手段と、を含む。
【0008】
上記の検査装置では、前記検査ヘッド部は、前記AFセンサが検出した前記フォーカスが合うように、前記固定部に対して、前記可動部を移動させてもよい。
【0009】
上記の検査装置では、前記光路差補正手段は、レンズを含み、前記レンズの屈折率及び前記レンズの曲率半径を用いて補正してもよい。
【0010】
上記の検査装置では、前記AF光学系は、直交する2つの軸を回転軸とした反射面で前記AF光を反射する2次元スキャナを含んでもよい。
【0011】
上記の検査装置では、前記可動部は、前記切替部を収納する筐体を含み、前記筐体は、前記第1対物レンズ及び前記第2対物レンズが固定され、前記切替手段は、ミラー及び前記ミラーを前記光路に挿入する駆動部を含んでもよい。
【0012】
上記の検査装置では、前記検査対象は、前記検査面に直交する方向を、水平方向となるように配置させてもよい。
【0013】
上記の検査装置では、前記検査対象を水平方向に移動させる水平移動機構と、前記照明光を出射する照明部を鉛直方向に移動させる第1鉛直移動機構と、前記検査ヘッド部を鉛直方向に移動させる第2鉛直移動機構と、をさらに備え、前記照明部は、前記検査対象に対して、前記照明光を透過させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーカスの精度を向上させ、検査精度を向上させることができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る検査装置を例示した斜視図である。
図2】比較例に係る検査ヘッド部を例示した構成図である。
図3】実施形態に係る検査ヘッド部を例示した構成図である。
図4】実施形態に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
図5】実施形態に係るフォーカス調整方法を例示したフローチャート図である。
図6】実施形態に係る検査ヘッド部において、AF光の光路を例示した図である。
図7】実施形態に係る検査ヘッド部において、AF光の光路を例示した図である。
図8】実施形態に係る検査ヘッド部において、AF光の光路を例示した図である。
図9】実施形態に係る検査ヘッド部において、AF光の光路を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0017】
(実施形態)
実施形態に係る検査装置を説明する。まず、実施形態に係る検査装置の概要を説明し、その後、検査装置の各構成を説明する。そして、検査装置を用いた検査方法を説明する。
【0018】
<検査装置の概要>
図1は、実施形態に係る検査装置を例示した斜視図である。図1に示すように、検査装置1は、基台10、水平移動機構11a、水平移動機構11b、検査対象ホルダ12a、鉛直移動機構13、鉛直移動機構14、照明部15、外装部16、及び、検査ヘッド部20を備えている。検査装置1は、検査対象ホルダ12aに保持させた検査対象17を縦に置いて検査する。すなわち、検査対象17は、検査面18に直交する方向を、水平方向となるように配置されている。検査対象17は、例えば、フォトマスクであり、検査面18は、フォトマスクのパターンが形成されたマスク面である。なお、検査対象17は、フォトマスクに限らず、半導体基板等の他の部材でもよい。また、検査面18に直交する方向は、厳密に水平方向でなくてもよいし、さらに、検査面18に直交する方向を水平方向に限定するものではない。
【0019】
<基台>
基台10は、例えば、床面上に配置されている。基台10は、床面からの振動を除去する除振機能を有した除振台が好ましい。基台10は、例えば、上面を有する直方体状であり、上面上に、水平移動機構11a、水平移動機構11b、検査対象ホルダ12a、鉛直移動機構13、鉛直移動機構14等の部材を載置する。なお、基台10は、水平移動機構11a、水平移動機構11b、検査対象ホルダ12a、鉛直移動機構13及び14等の部材を載置することができれば、直方体状にこだわらない。
【0020】
ここで、検査装置1の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。基台10の上面を、便宜的に、XZ平面とする。例えば、XZ面は、水平面であり、Y軸方向は、鉛直方向である。+Y軸方向を上方とし、-Y軸方向を下方とする。
【0021】
<水平移動機構>
水平移動機構11aは、基台10上に配置されている。水平移動機構11aは、例えば、X軸方向に延びたレール状の部材である。水平移動機構11aは、例えば、レール、リニアモータ等のように、水平移動機構11aに取り付けられた部材をX軸方向にスライド移動させる機能を有している。
【0022】
水平移動機構11bは、基台10上に配置されている柱を介して検査対象ホルダ12aの+Y軸方向側に配置されている。水平移動機構11bは、例えば、X軸方向に延びたレール状の部材である。水平移動機構11bは、例えば、レール、リニアモータ等のように、水平移動機構11bに取り付けられた部材をX軸方向にスライド移動させる機能を有している。
【0023】
水平移動機構11aと11bには、検査対象ホルダ12aが取り付けられている。よって、水平移動機構11aと11bは、検査対象ホルダ12a及び検査対象ホルダ12aに保持された検査対象17を水平方向に移動させることができる。
【0024】
<検査対象ホルダ>
検査対象ホルダ12aは、左移動バー12b、右移動バー12c、左サポート12d、右サポート12eを装備している。左移動バー12b、右移動バー12c、左サポート12d、右サポート12eは、フォトマスク等の検査対象17の大きさに合わせて移動させることができる。
【0025】
検査対象17は、X軸方向における両辺を、左移動バー12b及び右移動バー12cによって保持される。検査対象17は、下辺の2か所を、左サポート12d及び右サポート12eによって保持される。したがって、検査対象17は、3辺周縁で保持される。
【0026】
具体的には、検査対象17がフォトマスクの場合には、検査対象17は、検査面18が+Z軸方向を向くように、左移動バー12b、右移動バー12c、左サポート12d及び右サポート12eを介して、検査対象ホルダ12aによって保持される。よって、検査対象17は、鉛直方向に縦に保持される。
【0027】
検査対象17の検査面18を+Z軸方向に向くように保持した場合に、検査対象ホルダ12aの-Y軸方向側の枠は、水平移動機構11aに取り付けられ、検査対象ホルダ12aの+Y軸方向側の枠は、水平移動機構11bに取り付けられている。よって、水平移動機構11a及び11bは、検査対象ホルダ12aに保持された検査対象17を、鉛直方向に立てた状態で、X軸方向に移動させることができる。
【0028】
<鉛直移動機構>
鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14は、基台10上に配置されている。鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14は、例えば、Y軸方向に延びた角柱状の部材である。よって、鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14は、鉛直方向に延びている。鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14は、基台10上において、水平移動機構11a及び11bを挟むように配置されている。よって、水平移動機構11a及び11bは、基台10上において、鉛直移動機構13と鉛直移動機構14との間に延びている。鉛直移動機構13は、水平移動機構11a及び11bの-Z軸方向側に配置され、鉛直移動機構14は、水平移動機構11a及び11bの+Z軸方向側に配置されている。
【0029】
鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14は、例えば、レール、リニアモータ等のように、鉛直移動機構13及び鉛直移動機構14に取り付けられた部材を鉛直方向にスライド移動させる機能を有している。鉛直移動機構13には、照明部15が取り付けられている。よって、鉛直移動機構13は、照明部15を鉛直方向に移動させることができる。鉛直移動機構14には、検査ヘッド部20が取り付けられている。よって、鉛直移動機構14は、検査ヘッド部20を鉛直方向に移動させることができる。
【0030】
<照明部>
照明部15は、鉛直移動機構13に取り付けられている。照明部15は、検査対象17を照明する照明光L10を出射する。照明部15は、例えば、キセノンランプである。なお、照明部15は、キセノンランプに限らず、検査対象17に応じて、水銀ランプ、白色光ランプ、LED等の光源に適宜変えてもよい。また、照明部15は、所定の位置に配置された光源から光ファイバ等で導いた照明光L10を出射してもよい。
【0031】
照明部15は、照明部15から+Z軸方向側に配置された検査対象17に対して、照明光L10を出射する。例えば、照明部15は、検査対象17における検査面18の反対側の裏面に照明光L10を入射させる。これにより、照明部15は、検査対象17に対して、照明光L10を透過させる。
【0032】
照明部15は、鉛直移動機構13によってY軸方向に移動する。検査対象17は、水平移動機構11a及び11bによって、X軸方向に移動する。これにより、照明部15は、検査対象17に対して、X軸方向及びY軸方向に照明光L10を走査させることができる。照明部15から出射された照明光L10は、検査対象17を透過する。検査ヘッド部20は、検査対象17を透過した透過光を受光する。よって、検査ヘッド部20は、検査対象17を透過した透過光を検出することにより、検査対象17を透過した透過光の画像を取得する。
【0033】
照明部15は、複数設けられてもよい。例えば、検査対象17の上部をスキャンして照明する上部照明部、及び、検査対象17の下部をスキャンして照明する下部照明部が設けられてもよい。なお、図が煩雑にならないように、いくつかの照明部15、照明光L10のみ符号を付し、いくつかの符号を省略している。
【0034】
また、図示しないが、照明部15は、鉛直移動機構14または検査ヘッド部20に配置されてもよい。例えば、鉛直移動機構14または検査ヘッド部20に光ファイバを導いて、+Z軸方向側から検査対象17の検査面18を照明光L10で照明してもよい。照明部15から出射された照明光L10は、検査対象17で反射する。検査ヘッド部20は、検査対象17で反射した反射光を受光してもよい。
【0035】
<外装部>
外装部16は、基台10、及び、基台10上に配置された水平移動機構11a及び11b、検査対象ホルダ12a、鉛直移動機構13、鉛直移動機構14、照明部15、検査ヘッド部20を囲んでいる。本実施形態の検査装置1は、例えば、検査対象17として、大型のフォトマスクを検査可能なものである。よって、検査装置1は大型である。それに対応して、外装部16は、例えば、幅が5[m]、奥行きが2[m]、高さが3[m]程度の大きさを有している。
【0036】
<検査ヘッド部の概要>
検査ヘッド部20は、鉛直移動機構14に取り付けられている。検査ヘッド部20は、照明光L10で照明された検査対象17からの光を受光する。検査対象17からの光は、照明光L10が検査対象17を透過した透過光、または、照明光L10が検査対象17で反射した反射光である。以下では、検査対象17からの光を、検査対象17を透過した透過光として説明する。なお、検査対象17からの光は、検査対象で反射した反射光でもよい。検査ヘッド部20は、-Z軸方向側に配置された検査対象17を透過した透過光を受光する。
【0037】
検査ヘッド部20は、鉛直移動機構14によってY軸方向に移動する。検査対象17は、水平移動機構11a及び11bによって、X軸方向に移動する。これにより、検査ヘッド部20は、検査対象17に対して、X軸方向及びY軸方向に走査させることができる。具体的には、照明部15が照明光L10を検査対象17に対してX軸方向及びY軸方向に走査させる動作に同期させて、検査ヘッド部20を走査させる。
【0038】
検査ヘッド部20は、複数設けられてもよい。例えば、検査対象17の上部をスキャンして透過光を受光する上部検査ヘッド部、及び、検査対象17の下部をスキャンして透過光を受光する下部検査ヘッド部が設けられてもよい。なお、図が煩雑にならないように、いくつかの検査ヘッド部20のみ符号を付し、いくつかの符号を省略している。
【0039】
<検査ヘッド部の構成>
次に、検査ヘッド部20の構成を説明する。本実施形態の検査ヘッド部20の構成を説明する前に、比較例に係る検査ヘッド部の構成を説明する。そして、比較例の検査ヘッド部の課題を説明する。その後、本実施形態の検査ヘッド部20の構成を、比較例と対比させて説明する。これにより、本実施形態の検査ヘッド部20の構成をより明確にする。
【0040】
<比較例の検査ヘッド部の構成>
比較例の検査ヘッド部を説明する。図2は、比較例に係る検査ヘッド部を例示した構成図である。図2に示すように、比較例の検査ヘッド部120は、筐体130、対物レンズ131、対物レンズ132、回転レボルバー133、検出器150を含んでいる。比較例の検査ヘッド部120は、透過光L20のフォーカスを合わせる場合に、一体として、Z軸方向に沿ってフォーカス動作する。例えば、フォーカス動作は、LM(Linear Motion)ガイド等で動作軌道を保持し、リニアモータやモータ及びカム等で駆動する。
【0041】
筐体130は、例えば、直方体状であり、検査対象17の+Z軸方向側に配置されている。なお、筐体130の形状は、直方体状に限らず、検査ヘッド部120を一体として、フォーカス動作できれば、光学定盤、円筒状等でもよく、形状はこだわらない。
【0042】
筐体130の検査対象17側の側面には、回転レボルバー133が取り付けられている。すなわち、回転レボルバー133は、筐体130の-Z軸方向側の側面に取り付けられている。回転レボルバー133は、Z軸方向に延びた回転軸の周りで回転する。
【0043】
対物レンズ131及び対物レンズ132は、光軸がZ軸方向になるように回転レボルバー133に取り付けられ、回転レボルバー133の回転によって回転する。例えば、筐体130の検査対象17側の側面には、貫通孔が形成され、回転レボルバー133の回転によって、対物レンズ131または対物レンズ132が貫通孔の-Z軸方向側の開口部に配置される。
【0044】
対物レンズ131及び対物レンズ132は、相互に異なる倍率を有している。例えば、対物レンズ131は、10倍に拡大する対物レンズであり、対物レンズ132は、20倍に拡大する対物レンズである。なお、対物レンズ131及び132の倍率は、10倍及び20倍に限らない。
【0045】
筐体130は、内部に、ミラー134、ミラー135、AF光源LAS、AF光学系141、AFセンサSENを含んでいる。
【0046】
ミラー134及びミラー135は、筐体130の-Z軸方向側に配置されている。ミラー134は、対物レンズ131または対物レンズ132を透過した透過光L20を反射するように配置されている。ミラー135は、ミラー134で反射した透過光L20を検出器150に導くように配置されている。
【0047】
AF光源LASは、オートフォーカスに用いる光を生成する。AF光源LASは、例えば、レーザである。オートフォーカス用の光を、AF光AFLと呼ぶ。AF光AFLは、例えば、レーザ光である。
【0048】
AF光学系141は、AF光AFLを検査対象17の検査面18に導くとともに、検査対象17の検査面18で反射したAF光AFLをAFセンサSENに導くように構成されている。AF光学系141は、ミラー142、2次元スキャナ143、レンズ144a、レンズ144b、ミラー145、レンズ146、結像レンズ146a、ミラー147、レンズ148を含んでいる。ミラー147は、例えば、ダイクロイックミラーである。
【0049】
AF光源LASから出射したAF光AFLは、ミラー142で反射する。ミラー142で反射したAF光AFLは、2次元スキャナ143に入射する。2次元スキャナ143は、AF光AFLの形状を調整する。2次元スキャナ143は、反射面及び反射面を回転させる回転モータを有している。
【0050】
2次元スキャナ143は、反射面を、回転軸に対して、垂直な面よりわずかに傾斜させることで、反射したAF光AFLに2次元のAF光AFL軌跡(この場合は、例えば、円形状)を描かせることができる。反射面の角度は、一定であり可変できない。その結果として,反射されるAF光AFLの反射角度は、一定であり可変できない。
【0051】
スキャナ143で反射したAF光AFLは、レンズ144a、144b、146、結像レンズ146aを通過する。途中、ミラー145、147で反射される。ミラー135、134で反射されたのち、対物レンズ131、および132のいずれかを介して、検査対象17の検査面18に達する。AF光AFLは、レンズ144a、144bによって、対物レンズ131および132の瞳面に焦点を結ぶように調整される。AF動作を行うためには、AF光AFLの焦点は必ず瞳近傍に存在しなければならない。
【0052】
検査対象17の検査面18で反射したAF光AFLは、2次元スキャナ143まで、光路を逆向きに戻る。すなわち、対物レンズ131及び対物レンズ132のいずれかを介して、ミラー134で反射し、ミラー135、結像レンズ146a、ミラー147、レンズ146、ミラー145、レンズ144b及びレンズ144aを介して、2次元スキャナ143に入射する。ただし、往路と復路とは、例えば、X軸方向の配置位置でずらすことにより、かわしてもよい。
【0053】
2次元スキャナ143で反射したAF光AFLは、レンズ148を介して、AFセンサSENに入射する。AFセンサSENは、検査対象17の検査面18におけるAF光AFLのフォーカスを検出する。
【0054】
検出器150上に検査面18の像を作るためには、検査面18と、対物レンズ131及び132との距離が設計値に保たれなければならない。AF光学系141は、検査面18と、対物レンズ131及び132とのZ軸方向の距離の変化を、AFセンサSENのセンサ面上でAF光AFLのフォーカスの光軸に直交する方向における位置変化に変換する。AFセンサSENは、AF光AFLのフォーカスの光軸に直交する方向における位置変化を検出する。例えば、検査面18と、対物レンズ131及び132との距離が設計値より短い場合、AF光AFLのフォーカスは、センサ面上で光軸に直交する方向に移動する。
【0055】
例えば、図示しない駆動部は、筐体130を+Z軸方向または-Z軸方向に移動させる。これにより、検査面18と、対物レンズ131及び132との距離を設計値に合うようにする。そうすると、検出器150で検出する透過光L20のフォーカスは検査面18に合うようになる。
【0056】
比較例の検査ヘッド部120においては、対物レンズ131から対物レンズ132、または、対物レンズ132から対物レンズ131に切り替える際に、回転レボルバー133を回転させるので、検査ヘッド部120の筐体130の内部におけるAF光AFLの光路長は、ほとんど変化しない。
【0057】
しかしながら、検査対象17を透過した透過光L20の焦点を合わせる場合に、AFセンサSENのセンシングに応じて、検査ヘッド部120全体を駆動させている。検査ヘッド部120全体としての重量は大きい。したがって、オートフォーカスさせる際に、検査ヘッド部120全体の重量のため、AFセンサSENのセンシングに応じた追随性は低下する。このようなオートフォーカスの追随性低下の観点から、オートフォーカスの精度を向上させることが困難である。
【0058】
また、オートフォーカスさせる際に、2次元スキャナ143を用いて、検査対象17の検査面18を、AF光AFLで2次元スキャンしている。検査対象17が、例えば、マスク面上にガラス面及びクロム面等を含むマスクの場合に、各面で反射率が異なる。このためスキャンを行なわず、反射率の異なる面の境界上でAF光AFLが反射され、AFセンサSEN上に達した場合、AF光AFLの位置変化を検出できない。スキャンを行うことで、境界の影響を受けずにオートフォーカス動作を行うことができる。
【0059】
<実施形態の検査ヘッド部の構成>
次に、本実施形態の検査ヘッド部を説明する。図3は、実施形態に係る検査ヘッド部20を例示した構成図である。
【0060】
図3に示すように、本実施形態の検査ヘッド部20は、可動部21及び固定部22を有している。可動部21及び固定部22は、検査対象17を透過した透過光L20の光軸に沿って並んで配置されている。すなわち、可動部21及び固定部22は、Z軸方向に沿って並んで配置され、可動部21は、固定部22の-Z軸方向側に配置されている。よって、可動部21は、固定部22と検査対象17との間に配置されている。
【0061】
可動部21及び固定部22は、鉛直移動機構13によって、Y軸方向に沿って移動する。一方、可動部21は、Z軸方向に沿って固定部22に対して移動可能である。検査対象17を透過した透過光L20の光軸をZ軸方向とすると、可動部21は、固定部22に対して、透過光L20の光軸方向に沿ったフォーカス動作を行う。例えば、フォーカス動作は、LMガイド等で動作軌道を保持し、リニアモータやモータ及びカム等で駆動する。
【0062】
可動部21は、筐体30、対物レンズ31、対物レンズ32、切替部33を含んでいる。固定部22は、筐体40、AF光源LAS、AF光学系41、AFセンサSEN、光路差補正部49、検出器50を含んでいる。
【0063】
筐体30は、例えば、直方体状であり、内部に、切替部33を含んでいる。なお、筐体30の形状は、内部に切替部33を含み、可動部21をフォーカス動作できれば、直方体状に限らず、光学定盤、円筒状等でもよく、形状はこだわらない。
【0064】
筐体30の検査対象17側の側面には、対物レンズ31及び対物レンズ32が取り付けられている。対物レンズ31及び対物レンズ32は、透過光L20の光軸に直交する方向に並んで取り付けられている。例えば、対物レンズ31及び対物レンズ32は、筐体30の-Z軸方向側の側面において、Y軸方向に並んで取り付けられている。対物レンズ31及び対物レンズ32のいずれかに入射した透過光L20は、それぞれ、対物レンズ31及び対物レンズ32のいずれかを介して、筐体30の内部に導かれる。
【0065】
対物レンズ31及び対物レンズ32は、相互に異なる倍率を有している。例えば、対物レンズ31は、10倍に拡大する対物レンズであり、対物レンズ32は、20倍に拡大する対物レンズである。なお、対物レンズ31及び32の倍率は、10倍及び20倍に限らない。
【0066】
切替部33は、対物レンズ31を透過した透過光L20及び対物レンズ32を透過した透過光L20のうち、いずれかの透過光L20を検出器50に検出させるように透過光L20の経路を切り替える。具体的には、切替部33は、検出器50に検出させる透過光L20を、対物レンズ31を透過したものにするか、対物レンズ32を透過したものにするか切り替える。切替部33は、例えば、ミラー34、ミラー35及び駆動部36を含んでいる。ミラー34は、対物レンズ31を透過した透過光L20を反射させる。
【0067】
ミラー35は、駆動部36によって移動可能である。駆動部36は、例えば、エアシリンダである。例えば、ミラー35は、位置P及び位置Qに配置できるように、駆動部36によって移動可能である。位置Pにおいて、ミラー35は、ミラー34で反射した透過光L20を検出器50に対して反射する。これにより、検出器50は、対物レンズ31によって集光された透過光L20を検出する。
【0068】
一方、位置Qにおいて、ミラー35は、対物レンズ32を透過した透過光L20を遮断しないようにし、対物レンズ32を透過した透過光L20を検出器50に入射させる。また、ミラー35は、対物レンズ31を透過した透過光L20であって、ミラー34で反射した透過光L20を検出器50に入射させないようにする。これにより、検出器50は、対物レンズ32によって集光された透過光L20を検出する。
【0069】
なお、切替部33は、検出器50に検出させる透過光L20を、対物レンズ31を透過した透過光L20にするか、対物レンズ32を透過した透過光L20にするか切り替えることができれば、ミラー34、ミラー35及び駆動部36の構成に限らず、他の光学部材を用いてもよい。
【0070】
このように、可動部21は、切替部33を収納する筐体30を含む。筐体30には、対物レンズ31及び対物レンズ32が固定されている。切替部33は、ミラー34及びミラー35を、透過光L20及びAF光AFLの光路に挿入する駆動部36を含む。
【0071】
筐体40は、例えば、直方体状であり、内部に、AF光源LAS、AF光学系41、AFセンサSEN、光路差補正部49を含んでいる。なお、筐体40の形状は、内部にAF光源LAS、AF光学系41、AFセンサSEN、光路差補正部49を含むことができれば、直方体状に限らず、例えば、光学定盤、円筒状等でもよく、形状はこだわらない。
【0072】
AF光源LASは、比較例の検査ヘッド部120におけるAF光源LASと同様に、オートフォーカスに用いるAF光AFLを生成する。AF光学系41は、AF光AFLを検査面18に導くとともに、検査面18で反射したAF光AFLをAFセンサSENに導く。AF光学系41は、ミラー42、2次元スキャナ43、レンズ44a、ミラー45、レンズ46、ミラー47、結像レンズ46a、レンズ48を含んでいる。光路差補正部49は、レンズ44b、レンズ44c及び駆動部44dを含んでいる。
【0073】
AF光源LASから出射したAF光AFLは、ミラー42で反射する。ミラー42で反射したAF光AFLは、2次元スキャナ43に入射する。2次元スキャナ43は、例えば、直交する2つの軸を回転軸とした反射面でAF光AFLを反射する。
【0074】
2次元スキャナ43は、反射面の角度を、連続的に可変させることにより、反射したAF光AFLにより、2次元のAF光AFL軌跡を描かせることができる。比較例の2次元スキャナ143と異なり、反射面の角度を一定の範囲で、外部からの指令などで可変させることができる。その結果として、反射されるAF光AFLの反射角度を可変させることができる。
【0075】
オートフォーカスさせる際に、2次元スキャナ43を用いて、検査対象17の検査面18上にAF光AFLを2次元スキャンしている。検査対象17が、例えば、マスク面上にガラス面及びクロム面等を含むマスクの場合に、各面で反射率が異なる。このためスキャンを行なわず、反射率の異なる面の境界上でAF光AFLが反射され、AFセンサSEN上に達した場合、AF光AFLの位置変化を検出できない。そこで、2次元スキャンを行うことで、境界の影響を受けずにオートフォーカス動作を行うことができる。
【0076】
また、検査対象のマスクの厚さに8[mm]~22[mm]等のバリエーションがある場合、薄いマスクに対しては可動部21が固定部22に対して-Z軸方向に、厚いマスクに対しては、+Z軸方向に位置して検査を行うこととなる。比較例で述べたように、2次元スキャナ43で2次元スキャンされたAF光AFLは、対物レンズ31及び32の瞳位置に焦点を結ぶように調整されなければならない。2次元スキャナ43の振動角を調整することで、AF光AFLの焦点を常に(どの厚さのマスクに対しても)、対物レンズ31及び32の瞳上に配置させることができる。
【0077】
2次元スキャナ43で反射したAF光AFLは、レンズ44aに入射する。レンズ44aは、入射したAF光AFLを平行光に変換する。平行光に変換されたAF光AFLは、レンズ44bで集光される。AF光AFLは、レンズ44a及びレンズ44b間において、平行光であり、平行光に変換されたAF光は、光径を絞られてもよい。なお、後述するように、光路差補正部49によって、例えば、レンズ44bの代わりに、レンズ44cが配置されてもよい。
【0078】
レンズ44bで集光されたAF光AFLは、ミラー45で反射し、レンズ46を介して、ミラー47で反射し、結像レンズ45aを通る。
【0079】
切替部33によって、透過光L20が対物レンズ31を通るように切り替えられている場合には、結像レンズ46aを通ったAF光AFLは、ミラー35及びミラー34で反射し、対物レンズ31を通る。そして、対物レンズ31を通ったAF光AFLは、検査対象17の検査面18で反射し、対物レンズ31に入射する。その後、AF光AFLは、逆向きの光路で、2次元スキャナ43まで戻る。すなわち、対物レンズ31を通ったAF光AFLは、ミラー34、ミラー35で反射し、結像レンズ46aを介してミラー47で反射し、レンズ46を介してミラー45で反射する。そして、ミラー45で反射したAF光AFLは、レンズ44b及びレンズ44aを介して、2次元スキャナ43まで戻る。2次元スキャナ43で反射したAF光AFLは、レンズ48を通って、AFセンサSENで検出される。
【0080】
一方、切替部33によって、透過光L20が対物レンズ32を通るように切り替えられている場合には、結像レンズ46aを通ったAF光AFLは、対物レンズ32を通る。そして、対物レンズ32を通ったAF光AFLは、検査対象17の検査面18で反射し、対物レンズ32に入射する。その後、AF光AFLは、逆向きの光路で、2次元スキャナ43まで戻る。すなわち、対物レンズ32を通ったAF光AFLは、結像レンズ46aを介してミラー47で反射し、レンズ46を介してミラー45で反射する。そして、ミラー45で反射したAF光AFLは、レンズ44b及びレンズ44aを介して、2次元スキャナ43まで戻る。2次元スキャナ43で反射したAF光AFLは、レンズ48を通って、AFセンサSENで検出される。
【0081】
AFセンサSENは、比較例の検査ヘッド部120におけるAFセンサSENと同様に、検査面18と、対物レンズ31及び32との距離が設計値に保たれているか検出する。しかしながら、検査面18と、対物レンズ31及び32との距離が設計値に保たれていない場合には、可動部21は、固定部22に対して、Z軸方向に沿って移動する。例えば、図示しない駆動部は、可動部21を+Z軸方向または-Z軸方向に移動させる。これにより、検査面18と、対物レンズ31及び32との距離が設計値に保たれるようにする。そうすることにより、検出器50で検出する透過光L20のフォーカスも検査面18に合うようになる。
【0082】
このように、実施形態の検査ヘッド部20は、AFセンサSENが検出したフォーカスが合うように、固定部22に対して、可動部21を移動させる。よって、可動部21は、フォーカス動作を行い、固定部22は、フォーカス動作を行わない。
【0083】
光路差補正部49は、AF光AFLの光路に配置され、対物レンズ31を介した場合と対物レンズ32を介した場合の光路長の差を補正する機能を持つ。比較例で述べたように、2次元スキャンされたAF光AFLの焦点は、必ず対物レンズ31及び32の瞳近傍に存在しなければならないが、対物レンズ31を介した場合と、対物レンズ32を介した場合では、光路長に数十mmの差があるため、片方しかこの条件を実現できないことになる。そこで、レンズ44bと44cを使い分けることで、両方の対物レンズ31及び32で、この条件を実現できる。例えば、対物レンズ31を使用する場合、光路差補正部49は、レンズ44bを使用する。対物レンズ32を使用する場合、駆動部44dによって、レンズ44cを移動させ、レンズ44bの代わりに、レンズ44cを光路に挿入することで、対物レンズ32の瞳近傍にAF光AFLの焦点を配置することができる。
【0084】
具体的には、例えば、切替部33によって、対物レンズ31を介した透過光L20が検出器50で検出されている場合に、光路差補正部49は、レンズ44bを配置させている。そして、切替部33によって、対物レンズ32を介した透過光L20が検出器50で検出されるように切り替えられた場合に、光路差補正部49は、レンズ44bをAF光AFLの光路から外して、レンズ44bの代わりにレンズ44cを光路上に配置させる。
【0085】
これにより、対物レンズ31を介した光路長と、対物レンズ32を介した光路長の差が補正され、AF動作が可能となる。この場合には、光路差補正部49は、レンズ44b及びレンズ44cを含み、レンズの屈折率及びレンズの曲率半径を用いて、光路差を補正する。
【0086】
対物レンズ31を介したAF光AFLの光路長と、対物レンズ32を介したAF光AFLの光路長との差は、例えば、ミラー34とミラー35との間の距離、対物レンズ31の厚さと対物レンズ32の厚さとの差、対物レンズ31の焦点距離と対物レンズ32の焦点距離との差、等による。なお、光路長の差は、これらのうちのいずれかを含んでもよいし、これら以外の原因を含んでもよい。
【0087】
<検査方法>
次に、実施形態に係る検査装置1を用いた検査方法及びフォーカス調整方法を説明する。まず、検査方法を説明する。図4は、実施形態に係る検査方法を例示したフローチャート図である。
【0088】
図4のステップS11に示すように、検査対象17を照明光で照明する。例えば、照明部15及び検査ヘッド部20を検査対象17の所定の検査領域に移動させる。照明部15及び検査ヘッド部20を所定の検査領域に移動させる際には、例えば、水平移動機構11を用いて、検査対象17をX軸方向に移動させ、鉛直移動機構13及び14を用いて、照明部15及び検査ヘッド部20をY軸方向に移動させる。
【0089】
また、ステップS12に示すように、検査対象17をAF光AFLでスキャンさせる。具体的には、AF光AFLを、対物レンズ31または対物レンズ32のいずれかを介して検査対象17の検査面18に対して照射させ、2次元スキャン43を用いて、検査面18を2次元スキャンさせる。
【0090】
次に、ステップS13に示すように、検査対象17からのAF光AFLをAFセンサSENで受光させる。
【0091】
次に、ステップS14に示すように、フォーカスを調整する。例えば、対物レンズ31等を切り替えた場合には、対物レンズ31を使用する場合、及び、対物レンズ32を使用する場合に、AF光学系41の焦点を、それぞれ、対物レンズ31、及び、対物レンズ32の各瞳近傍に配置するように補正する。そして、AFセンサSENで受光したAF光AFLに基づいて、可動部21をZ軸方向に沿って移動させることにより、透過光L20のフォーカスを調整する。
【0092】
次に、ステップS15に示すように、検査対象17からの光を正しく検出する。例えば、検査対象17を透過した透過光L20を検出器50で検出する。そして、検出した透過光L20から、検査対象17の検査面18のフォーカスが合った画像を取得する。これにより、検査対象17の検査面18を検査する。
【0093】
次に、ステップS16に示すように、検査が終了したか判断する。検査対象17において、検査すべき検査領域が残っている場合には、ステップS11に戻り、照明部15及び検査ヘッド部20を、次の検査領域に移動して、ステップS11~ステップS15を繰り返す。一方、検査対象17において、検査すべき検査領域をすべて検査した場合には、検査を終了する。
【0094】
<フォーカス調整方法>
次に、フォーカス調整方法を説明する。図5は、実施形態に係るフォーカス調整方法を例示したフローチャート図である。
【0095】
図5のステップS21に示すように、対物レンズを選択する。例えば、所望の対物レンズ31を透過した透過光L20を検出器50に検出させる。所望の対物レンズ31が選択されていない場合には、切替部33によって、対物レンズ31を透過した透過光L20を検出器50に検出させるように透過光L20の経路を切り替える。
【0096】
次に、ステップS22に示すように、光路差を補正する。例えば、対物レンズ31を介したAF光AFLの光路長と、対物レンズ32を介したAF光AFLの光路長の差によって起こるAF光AFLの焦点と対物レンズの瞳位置のずれを、光路差補正部49のレンズ44bと44cを切り替えることで補正する。これにより、検査面18と対物レンズ31または32との間のAF光AFLを平行にする。
【0097】
次に、ステップS23に示すように、フォーカスを合わせる。例えば、AF光源LASにより生成させたAF光AFLを、AF光学系41によって、検査面18に導くとともに、検査面18で反射したAF光AFLをAFセンサSENに導くようにする。そして、AFセンサSENが検出したフォーカスが合うように、可動部21を、固定部22に対して、Z軸方向に沿って移動させる。このようにして、検査対象17を透過した透過光L20のフォーカスを調整することができる。
【0098】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の検査装置1において、検査ヘッド部20は、可動部21及び固定部22を有している。検査ヘッド部20は、検査対象17を透過した透過光L20のフォーカスを合わせる場合に、AFセンサSENのセンシングに応じて、可動部21を駆動させている。検査ヘッド部20は、固定部22をフォーカス動作させていない。よって、重量が大きい検査ヘッド部120全体をフォーカス動作させる必要がない。これにより、フォーカス動作させる可動部21を軽量化することができ、オートフォーカスの追随性を向上させることができる。
【0099】
また、対物レンズ31及び対物レンズ32を切り替える際に、比較例と異なり、重量が大きい回転レボルバー133を用いていない。これにより、可動部21をさらに軽量化することができ、オートフォーカスの追随性を向上させることができる。
【0100】
また、検査ヘッド部20は、光路差補正部49を有している。よって、対物レンズ31を使用する場合、及び、対物レンズ32を使用する場合に、AF光学系41の焦点を、それぞれ、対物レンズ31、及び、対物レンズ32の各瞳近傍に配置するように補正する。これにより、対物レンズ31及び対物レンズ32を切り替える際に、AF光源LASからAFセンサSENに至るまでのAF光AFLの光路長を等しくすることができる。よって、オートフォーカスの精度を向上させることができる。以下で、光路差の補正の効果を、図を参照して説明する。
【0101】
図6図8は、実施形態に係る検査ヘッド部20において、AF光AFLの光路を例示した図である。AF光学系41の重要な点の一つは、対物レンズ31及び32と、検査面18との間で、AF光AFLが平行となることである。図6に示すように、例えば、AF光AFLは、対物レンズ32及び光路差補正部49のレンズ44bを通る状態とされている。この場合に、対物レンズ32と、検査面18との間のAF光AFLは、平行となっている。
【0102】
ここで、図7に示すように、対物レンズ32を対物レンズ31に切り替えた場合には、ミラー34とミラー35との間の距離Aの分だけ、光路が長くなるので、対物レンズ31と、検査面18との間のAF光AFLは、平行にならない。
【0103】
そこで、図8に示すように、光路差補正部49において、レンズ44bを外して、レンズ44cに切り替える。これにより、ミラー34とミラー35との間の距離Aの分を補正し、対物レンズ32と、検査面18との間のAF光AFLを平行にすることができる。
【0104】
また、オートフォーカスさせる際に、2次元スキャナ43を用いて、検査対象17の検査面18をAF光AFLでスキャンしている。2次元スキャナ43は、直交する2つの軸を回転軸とした反射面でAF光を反射する。オートフォーカス性能向上のためには、2次元スキャナ43は、各回転軸で振動する周波数が高いこと、平均化のためスキャンする距離がなるべく長いことが望ましい。
【0105】
図9は、実施形態に係る検査ヘッド部20において、AF光AFLの光路を例示した図である。図9に示すように、検査対象17がフォトマスクの場合に、マスクの厚さが変わると、距離Bが変化する。これによって、距離Bの変化分だけ、AF光AFLの焦点と、対物レンズ31または32の瞳がずれることになる。この場合には、距離Bの変化量が小さいため、レンズ44b及び44cを切り替えるのではなく、2次元スキャナ43の振動角を変更する。これにより、対物レンズ31または32と、検査面18との間のAF光AFLを、平行にすることができる。このように、2次元スキャナ43の振動角を調整することで、AF光AFLの焦点を常に(どの厚さのマスクに対しても)、対物レンズ31及び32の瞳上に配置させることができる。
【0106】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0107】
1 検査装置
10 基台
11a、11b 水平移動機構
12a 検査対象ホルダ
12b 左移動バー
12c 右移動バー
12d 左サポート
12e 右サポート
13 鉛直移動機構
14 鉛直移動機構
15 照明部
16 外装部
17 検査対象
18 検査面
20、120 検査ヘッド部
21 可動部
22 固定部
30、40 筐体
31、32 対物レンズ
33 切替部
34、35 ミラー
36 駆動部
41 AF光学系
42 ミラー
43 2次元スキャナ
44a、44b、44c、46、48 レンズ
44d 駆動部
45、47 ミラー
46a 結像レンズ
49 光路差補正部
50 検出器
130 筐体
131、132 対物レンズ
133 回転レボルバー
134、135 ミラー
141 AF光学系
142 ミラー
143 2次元スキャナ
144a、144b、146、148 レンズ
145、147 ミラー
146a 結像レンズ
150 検出器
AFL AF光
L10 照明光
L20 透過光
LAS AF光源
SEN AFセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9