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特許7405688情報処理装置、車両シェアリングシステム、情報処理方法、及びプログラム。
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  • 特許-情報処理装置、車両シェアリングシステム、情報処理方法、及びプログラム。 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両シェアリングシステム、情報処理方法、及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231219BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20231219BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020085469
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021179862
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】倉持 俊克
(72)【発明者】
【氏名】小野 惇也
(72)【発明者】
【氏名】石田 傑
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真弘
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雅紀
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-209960(JP,A)
【文献】特開2012-150630(JP,A)
【文献】特開2006-190187(JP,A)
【文献】特開2007-034382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報を格納する記録手段と、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザの、前記優先度情報についての希望を示す情報を取得する取得手段と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記希望を示す情報に応じた順序で表示部に表示させる提示手段と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記優先度情報は、前記1台の車両が前記他の車両に対して優先的に通行する場合に、前記1台の車両に乗車中のユーザが前記他の車両に乗車中のユーザに対して支払う対価と、前記他の車両が前記1台の車両に対して優先的に通行する場合に、前記1台の車両に乗車中のユーザが前記他の車両に乗車中のユーザから取得する対価と、の少なくともいずれかの対価を示す情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記1台の車両に乗車中又は乗車する予定のユーザの、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての希望を示す情報を取得する第2の取得手段をさらに備え、
前記1台の車両についての前記優先度情報は、前記希望を示す情報に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記1台の車両についての前記優先度情報は、前記1台の車両に対して予め設定されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記1台の車両についての前記優先度情報がどのように設定されているのかを前記表示部に表示させることをさらに特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提示手段は、前記1台の車両についての前記優先度情報が、前記1台の車両に対して予め設定されているか、前記1台の車両に乗車中又は乗車する予定のユーザの前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての希望を示す情報に基づいて設定されているか、を前記表示部に表示させることをさらに特徴とする、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザが、前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての前記ユーザの希望を示す情報を入力する入力手段と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す情報に応じた順序で表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項8】
複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムであって、
前記車両シェアリングシステムは、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザが使用する端末であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての前記ユーザの希望を示す情報を入力する入力手段と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す情報に応じた順序で表示する表示手段と、
を有する、端末と、
前記優先度情報を格納する記録手段と、
前記端末に対して、前記優先度情報に基づいて、前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す順序に応じた順序で前記表示手段に表示させる提示手段と、
を備えることを特徴とする、車両シェアリングシステム。
【請求項9】
複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理方法であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報を格納する工程と、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザの、前記優先度情報についての希望を示す情報を取得する工程と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記希望を示す情報に応じた順序で表示部に表示させる工程と、
を備えることを特徴とする、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか一項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シェアリングシステムに関わる情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マッチングの優先項目をユーザが指定することにより、利用者と車両とのマッチングを行うことができる利用者/車両マッチングシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1においては、マッチングした利用者と車両の対(ペア)を3次元のマップ上で容易に確認できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、マッチングについての優先項目として、到着時間優先又は利用料金優先などの設定を行うにとどまっている。すなわち、移動時間の短縮のために対価を支払って優先的な通行を獲得する、又は対価を支払ってより高効率な走行を実現する技術は考慮していなかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する車両シェアリングシステムにおいて、自身の価値観に適した設定の車両に乗車しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報を格納する記録手段と、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザの、前記優先度情報についての希望を示す情報を取得する取得手段と、
前記複数の車両に含まれる車両を、前記希望を示す情報に応じた順序で表示部に表示させる提示手段と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する車両シェアリングシステムにおいて、自身の価値観に適した設定の車両に乗車しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態1に係る交通システムの一例を示す図
図1B】実施形態1に係る交通システムを利用する際の経路設定用ユーザインタフェースの一例を説明する図
図2】実施形態1に係る交通システムの情報処理装置の機能構成例を示すブロック図
図3】実施形態1に係る交通システムの通信装置の機能構成例を示すブロック図
図4】実施形態1に係る交通システムのナビゲーション用情報処理サーバの機能構成例を示すブロック図
図5】実施形態1に係る交通システムの情報処理装置における点灯制御処理の一連の動作を示すフローチャート
図6】実施形態1に係る交通システムの情報処理装置における取引条件判定処理の一連の動作を示すフローチャート
図7A】実施形態1に係る交通システムにおける取引条件判定処理の例を説明する図
図7B】実施形態1に係る交通システムにおける対価の支払方法の例を説明する図
図8】実施形態1に係る交通システムにおける取引条件判定処理の例を説明する図
図9】実施形態1に係る交通システムの通信装置における車両制御処理の一連の動作を示すフローチャート
図10】本発明の実施形態1に係る交通システムの一例を示す図
図11】実施形態1に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図
図12】実施形態1に係る情報処理装置における車両検索処理の一連の動作を示すフローチャート
図13】本発明の実施形態2に係る交通システムの一例を示す図
図14】実施形態2に係る通信装置の機能構成例を示すブロック図
図15】実施形態2に係る車両シェアリングシステムを利用する際の希望条件設定ユーザインタフェースの一例を説明する図
図16】実施形態2に係る通信装置における車両制御処理の一連の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[実施形態1]
本実施形態に係る情報処理装置は、複数の車両をユーザがシェアする車両シェアリングシステムで用いられる。一実施形態に係る車両シェアリングシステムにおいては、複数の車両に含まれる1台の車両の、複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報が設定されている。まず、本実施形態に係る情報処理装置を適用可能な車両シェアリングシステムの例について説明する。なお、以下においては自動運転車両が車両シェアリングシステムにおいて用いられるものとして説明を行うが、例えば手動運転車両が用いられても構わない。
【0011】
[車両シェアリングシステム]
本実施形態に係る車両シェアリングシステムにおいては、ユーザは、乗車する車両が他の車両に対して優先的に通行する場合にその他の車両に対して対価を支払い、他の車両が乗車する車両に対して優先的に通行する場合にその他の車両のユーザから対価を受け取る。すなわち、優先度情報として、上述のような支払う対価(以下、支払対価)と受け取る対価(以下、要求対価)とが車両ごとに設定され、それらの対価の値に応じて、例えば信号などが制御されることにより、交差点を通過する車両の優先的な通行が制御される。以下、支払対価と要求対価との片方又は両方を指して対価と呼ぶものとする。また、車両シェアリングを行う車両を指してライドシェア車両と呼ぶものとする。
【0012】
なお、優先度情報として設定されるものは上述のような対価に限定されるわけではない。例えば、優先度情報として、その車両が到着時刻を重視する車両であるという情報、又はその車両が料金の安さを重視する車両であるという情報など、車両ごとに設定される優先項目を示す情報が設定されてもよい。到着時刻を重視する車両と料金の安さを重視する車両とが交差点で鉢合わせた場合には、到着時刻を重視する車両が料金の安さを重視する車両へと対価を支払って優先的な通行を行うことができる。
【0013】
また、優先度情報は車両ごとに予め設定されていてもよく、車両に乗車中又は乗車する予定のユーザの希望に従って設定されてもよく、優先度情報の設定方法は特に限定はされない。以下、優先度情報は基本的には予め設定されているものとして説明を行い、車両に乗車するユーザに希望に従う優先度情報の設定方法については図13を参照して後述する。
【0014】
[交通システムの構成]
まず、図1Aを参照して、本実施形態に係るライドシェア車両が利用する、交通システム100の構成について説明する。車両130は、例えば、自動運転走行が可能な電動自動車又は燃料を用いて走行可能な、車両シェアリングを行うことのできる車両である。車両130は、車内の様々なセンサによって車両内の状態を計測し、収集したデータをナビゲーション用情報処理サーバ150に送信可能である。このように収集されて送信されるデータは、一般にフローティングデータ、プローブデータ、又は交通情報などとも呼ばれる。このようなデータには、例えば、現在位置、車両の速度(車速)、車両の電池若しくは燃料の残量、又はカメラやLIDARによって得られた画像若しくは3次元データなどが含まれるが、他の情報を含んでいてもよい。これらのデータは、一定の間隔で又は特定のイベントが発生したことに応じてナビゲーション用情報処理サーバ150に送信される。また、車両130は、後述する優先的な通行に関する取引条件などの設定情報をナビゲーション用情報処理サーバ150に送信することができる。以下の説明では、車両130からナビゲーション用情報処理サーバ150に送信されるデータをまとめて車両情報という。車両情報は必要に応じて、その一部又は全部が車両130と関連付けられた通信装置140にも送信される。なお、以下の例では、通信装置140が例えばスマートフォンである場合を例に説明するが、これに限らず、車両130に組み込まれた車載装置であってもよく、パーソナルコンピュータ、又はタブレット端末などであってもよい。
【0015】
ナビゲーション用情報処理サーバ150は、1つ以上のサーバ装置で構成され、複数の車両130からの車両情報を順次取得して車両データベースに記録する。また、ナビゲーション用情報処理サーバ150は、(情報処理装置110からの)信号機120の情報も順次取得し、様々な経路の交通状況をほぼリアルタイムに把握することができる。ナビゲーション用情報処理サーバ150は、取得した情報を用いて、例えば、車両の通行する経路、及び通行のための所要時間を推定することができる。(図1Bを参照して後述するが)ナビゲーション用情報処理サーバ150は、その要求に応じて、推定した経路や対価を通信装置140に送信することができる。ユーザが所望の経路を選択すると、選択された経路が車両130に設定され、車両130は当該経路を例えば自動運転によって通行する。
【0016】
情報処理装置110は、信号機120の点灯を制御する。情報処理装置110は、信号機120の点灯を通常の点灯タイミングで切り替えるように制御するほか、所定の距離内の車両130と関連付けられた通信装置140と通信して、優先的な通行に関する取引条件に応じて信号機120の点灯を制御することができる。ここで、情報処理装置110は、車両130に関連付けられた、各ユーザが有する通信装置140全てと通信してもよく、親機として設定された代表の通信装置140とのみ通信してもよい。優先的な通行に関する取引条件に基づく制御については後述する。なお、本実施形態の例では、信号機120と情報処理装置110が別体である場合を例に説明しているが、情報処理装置110は信号機120内に内蔵されていてもよい。
【0017】
ネットワーク111は、例えばインターネットや携帯電話網などの通信網を含み、情報処理装置110やナビゲーション用情報処理サーバ150と、車両130や通信装置140との間の情報を伝送する。但し、ネットワーク111は必須ではなく、例えば、通信装置140と情報処理装置110とが直接無線通信を確立して通信を行ってもよい。
【0018】
通信装置140は、例えばBluetooth(登録商標)などの無線通信を介して車両130と通信したり、携帯通信網などのネットワーク111を介して情報処理装置110やナビゲーション用情報処理サーバ150と通信したりすることができる。通信装置140は、例えば、予め車両130とペアリングされることにより、車両130と関連付けられている。
【0019】
車両130のユーザが交通システム100を利用して目的地に到着するためには、例えば車両130に関連付けられている通信装置140を用いて、目的地までの経路を決定する。図1Bには、本実施形態の通信装置140における、経路設定用ユーザインタフェースの例を示している。通信装置140は、まず、目的地を設定するための目的地設定画面161を表示する。ユーザは通信装置140の後述する操作部303を介して目的地を入力する。目的地を入力した際に、予め、優先的な通行に関する取引条件が設定されている場合には、通信装置140は、設定された目的地と優先的な通行に関する取引条件の情報とをナビゲーション用情報処理サーバ150に送信する。なお、以下の説明では、優先的な通行に関する取引条件を単に「取引条件」と、優先的な通行に関する取引条件の情報を単に「取引条件の情報」という場合がある。
【0020】
一方、取引条件が設定されていない場合、通信装置140は、取引条件設定画面162を表示する。取引条件設定画面162は、取引条件を設定するための画面であり、例えば、他の車両に対して、自車両が優先的な通行が可能になった場合に支払う対価と、他の車両の優先的な通行を受け入れた場合に、他の車両の優先的な通行に対して要求する対価とを設定することができる。例えば、交差点に差し掛かる自車両が赤信号によって停止しようとしており、他方、交差する道路を青信号で通行しようとする他の車両が存在する状況があるとする。このとき、「自車両が優先的な通行が可能になった場合に支払う対価」は、目的地に早く到着したい等の理由により、移動時間の短縮のために支払っても構わない対価を表す。すなわち、交差点の例では、他の車両を赤信号で停止させ、自車両を青信号で通行できるように取引することを表す。反対に、「他の車両の優先的な通行に対して要求する対価」は、移動時間の延長の代償として受け取りを要求する対価を表す。すなわち、交差点の例では、自車両が青信号で通行しようとする場合に、他の車両の優先的な通行を受け入れて赤信号で停止するために、設定した対価を要求することを表す。通信装置140は、取引条件設定画面162において対価が決定されると、当該対価を優先的な通行に関する取引条件の情報として、ナビゲーション用情報処理サーバ150に送信する。このとき、目的地の情報も送信される。
【0021】
図1Bに示す例では、「自車両が優先的な通行が可能になった場合に支払う対価」と「他の車両の優先的な通行に対して要求する対価」とについて、仮想通貨を用いて、対価の額を設定する例を示している。しかし、対価の額は、例えば自国の通貨で換算した額を表示してもよい。対価の額を、例えば、時間あたりの給料に相当する額とすれば、時間の売買を現実的かつ直感的な尺度で表すことができる。また、「他の車両の優先的な通行に対して要求する対価」については、待ち時間を許容することができる時間の長さを設定するようにしてもよい。このように、取引条件設定では、移動時間にどれだけの価値を支払うことができるか、を設定することができる。
【0022】
ナビゲーション用情報処理サーバ150は、現在の交通状況、他の車両の目的地までの経路や取引条件を考慮して、車両130の経路検索結果を返信する。通信装置140は、受信した経路検索結果を経路検索結果画面163に表示する。経路検索結果画面163の表示には、「経路1」~「経路6」のように複数の経路の候補が含まれる。各経路には、ナビゲーション用情報処理サーバ150によって推定された、到着時刻および所要時刻が含まれる。また、各経路の候補には、対価が表示される。この対価は、目的地に到着するまでに得られる対価である。より多く他の車両の優先的な通行を受け入れれば、より多くの対価を獲得し、より多く他の車両より優先的に通行すれば、より多くの支払いが発生する。なお、対価は、通貨と交換可能であってよく、例えば、仮想通貨を用いて対価の算出や取引が行われてよい。なお、取引条件設定は、経路を設定する場合に限らず、車両の走行中に変更されてもよい。
【0023】
[情報処理装置110の構成]
次に、信号の点灯を制御する情報処理装置110の機能構成例について、図2を参照して説明する。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0024】
通信部201は、ネットワーク111を介して複数の通信装置140と通信する通信回路を含む。また、通信部201は、制御部202によって処理された情報を通信装置140等に送信してもよく、制御部202によって処理される情報を通信装置140等から受信してもよい。
【0025】
制御部202は、中央演算装置であるCPU210とRAM211とを含む。制御部202は、記録部203に記憶されたプログラムをRAM211に展開、実行することにより、制御部202内部の各部の動作を制御したり、情報処理装置110の各部の動作を制御したりする。また、制御部202は、信号機120の点灯制御処理を実行する。この点灯制御処理については後述する。RAM211は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、制御部202がプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。記録部203は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記録媒体を含み、情報処理装置110の動作に必要な設定値やプログラムを記憶する。
【0026】
制御部202は、情報取得部212、取引条件判定部213、通行制御部214、及び対価処理部215を有し、後述する取引条件設定部312が予め設定する対価の値に基づいて信号の制御を行う。以下、制御部202による交差点における信号の制御が行われる例について説明する。情報取得部212は、まず、信号機120の周辺(例えば所定の距離内)を通行する車両のうち、処理対象となる車両を特定し、その車両と関連付けられている通信装置140から取引条件の情報を取得する。取引条件判定部213は、1つ以上の通信装置140から取得された取引条件の情報に基づいて、優先的な通行に関する取引条件が満たされたかを判定する。取引条件判定部213が行う判定処理については図6を参照して後述する。
【0027】
通行制御部214は、取引条件判定部213における判定結果(すなわち優先的な通行に関する取引条件が満たされたか否か)に応じて、信号機120の点灯を制御する。対価処理部215は、取引条件判定部213による判定結果に基づいて信号機の点灯を制御した場合、満たされた取引条件に基づいて対価の支払いを処理(すなわち車両の支払う対価を確定)し、通信装置140に確定した対価の情報を送信する。
【0028】
[通信装置の構成]
次に、通信装置140の構成例について、図3を参照して説明する。図3に示す構成は、本実施形態の通信装置140の一例としてのスマートフォンを構成する機能ブロックを示している。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合され又は分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0029】
通信部301は、例えば通信用回路等を含み、必要なデータの送受信を行うために、例えばLTE等の移動体通信を介してインターネットに接続してもよく、Bluetooth(登録商標)通信を介して車両130と接続してもよい。
【0030】
操作部303は、通信装置140の備えるボタンやタッチパネルを含み、表示部305に表示される目的地設定画面161又は取引条件設定画面162等の、各種操作用のGUIに対する操作を行うことができる。表示部305は、例えばLCDやOLED等の表示パネルを含み、表示制御部314の指示に応じて、目的地設定画面161又は取引条件設定画面162等の各種操作用のGUIや、走行中の経路を確認可能なGUI等を表示する。センサ部304は、現在位置を特定するためのGPSのほか、通信装置140の使用者を特定するための生体認証用のセンサを含む。
【0031】
記録部306は、例えば半導体メモリ等の不揮発性メモリを含み、マップ情報や設定された取引条件の情報、制御部302が実行するプログラム等を記憶する。記録部306は、例えばブロックチェーン技術に用いられる分散型台帳のデータを保持する。本実施形態では、情報処理装置110から通知される対価に基づく、仮想通貨を用いたトランザクションが分散型台帳に記録される。例えば、通信装置140は、分散型台帳を管理する1つのノードとして機能し、制御部302が実行するプログラムには、仮想通貨を用いたトランザクションを処理するための、若しくは分散型台帳を管理するためのプログラム、又はスマートコントラクトのプログラムが含まれてよい。
【0032】
制御部302は、CPU310及びRAM311を含み、例えば記録部306に記録されたプログラムをCPU310が実行することにより、制御部302内の各機能ブロックや通信装置140内の各部の動作を制御する。
【0033】
取引条件設定部312は、取引条件の情報を設定する。本実施形態においては、支払対価と要求対価との値を車両ごとに設定する。ここで設定される対価の値には特に制限はなく、需要や交通状況などを考慮して任意の値として設定されてもよい。取引条件設定部312は、設定された取引条件の情報を記録部306に記録し、ナビゲーション用情報処理サーバ150又は周辺の情報処理装置110に通信部301を介して送信する。ナビゲーション情報取得部313は、ナビゲーション用情報処理サーバ150から経路検索結果の情報を取得する。
【0034】
表示制御部314は、目的地設定画面161又は取引条件設定画面162等の各種操作用のGUI等を表示するように、表示部305の表示を制御する。表示制御部314は、例えば、ユーザ操作及びナビゲーション用情報処理サーバ150から受信した経路検索結果の情報に基づいて、目的地設定画面161と経路検索結果画面163とを表示部305に表示させる。
【0035】
優先通行制御部315は、情報処理装置110によって信号機120の点灯が制御された場合、通行可能通知(すなわち優先的な通行が可能になったことを示す通知)、或いは、通行不可通知(他の車両の優先的な通行を受け入れたことを示す通知)を情報処理装置110から受信する。優先通行制御部315は、これらの通知を受信したことに応じて、交差点を優先的に通行させる、或いは停止させるための制御信号を、車両130に送信する。
【0036】
対価処理部316は、確定した対価の情報を情報処理装置110から受信する。対価処理部316は、確定した対価の情報に基づいて、対価の取引を行い、そのトランザクションを分散型台帳に記録する。
【0037】
[ナビゲーション用情報処理サーバの構成]
更に、本実施形態に係るナビゲーション用情報処理サーバ150の構成について、図4を参照して説明する。ナビゲーション用情報処理サーバ150は、1つ以上のサーバ装置で構成される。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0038】
通信部401は、ネットワーク111を介して通信装置140や車両130と通信する通信回路を含む。制御部402によって処理された情報を通信装置140等に送信したり、制御部402によって処理される情報を通信装置140等から受信したりする。
【0039】
制御部402は、中央演算装置であるCPU410とRAM411とを含む。制御部402は、記録部403に記憶されたプログラムをRAM411に展開、実行することにより、制御部402内部の各部の動作を制御したり、ナビゲーション用情報処理サーバ150の各部の動作を制御したりする。また、制御部402は、図1Bに示した経路検索結果を生成するための経路検索処理を実行する。RAM411は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、制御部402がプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。記録部403は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記録媒体を含み、ナビゲーション用情報処理サーバ150の動作に必要な設定値やプログラムを記憶する。
【0040】
記録部403は、例えば半導体メモリ等の不揮発性メモリを含み、通信装置140で実行されるアプリケーションプログラム或いは当該プログラムで用いられるデータ等を記憶する。
【0041】
車両設定情報取得部412は、複数の車両130から上述の車両情報(すなわち、現在位置や車速の情報、目的地の情報、取引条件の情報、又は優先度情報の設定方法等)を受信して、車両データベースに記録する。また、車両設定情報取得部412は、通信装置140から検索要求の情報(現在地、経路検索のための目的地、取引条件の情報、及び優先度情報の設定方法)を受信する。
【0042】
交通情報取得部413は、様々な地点に置かれている信号機の情報処理装置110から、信号機120の情報(例えば信号機の点灯状態や点灯タイミングの情報)を順次取得する。
【0043】
ナビゲーション情報生成部414は、通信装置140からの検索要求の情報に対して、経路検索結果を生成する。例えば、ナビゲーション情報生成部414は、現在地から目的地までの経路コストが少ない所定数の経路候補を決定したうえで、各経路候補を通行する際に所定の距離内に近づくことが予定される他の車両の取引条件の情報と、検索要求に含まれる取引条件の情報とを判定しながら、支払う対価と受け取る対価を算出する。また、ナビゲーション情報生成部414は、対価の支払いや受け取りによって変動する移動時間を算出する。また、充電や燃料補給が必要となる地点の周辺で、充電や補給施設に立ち寄るように経路候補を修正してもよい。ナビゲーション情報生成部414は、算出した経路候補を、例えば所要時間順にソートして、検索結果情報として通信装置140に送信する。検索結果情報は、上述の図1Bの経路検索結果画面163で示したように、経路、到着時間・所要時間、対価の情報を含む。
【0044】
[情報処理装置110における(信号機の)点灯制御処理の一連の動作]
次に、情報処理装置110における点灯制御処理の一連の動作について、図5を参照して説明する。なお、本処理は、制御部202のCPU210が記録部203に記録されるプログラムを実行することにより実現される。
【0045】
S501において、制御部202は、信号機120の周辺(例えば所定の距離内)を通行する車両から処理対象の車両を特定する。例えば、制御部202は、信号機120の周辺を通行する車両と関連付けられている通信装置140から車両の現在位置、移動方向、及び車速を取得して、信号機の点灯によって影響を受ける車両(すなわち処理対象の車両)であるかを判定する。制御部202は、例えば信号機の赤信号によって停止する車両や青信号で通過する車両を、点灯によって影響を受ける車両として特定する。
【0046】
S502において、制御部202の情報取得部212は、処理対象の車両に関連付けられた通信装置140から、当該通信装置140の取引条件の情報を取得する。
【0047】
S503において、取引条件判定部213は、処理対象として特定された車両が同一方向にのみ走行するかを判定する。具合的には、図7A(a)に示す例では、車両701と車両702(すなわち処理対象の車両)のみが交差点に差し掛かっており、車両701と車両702は、同一方向にのみ走行している。このように同一方向に通行する車両のみが交差点に差し掛かる場合には、信号機750を赤信号にして車両を停止させる必要はない。つまり、信号機750の点灯が赤信号になるタイミングである場合、信号機750の点灯を青信号に制御してこれらの車両を通行させれば、これらの車両は目的地へ早く到着することができる。なお、同一方向の判定において、車両701と車両702の対向車がいる場合、当該対向車も同一方向にのみ走行する車両とみなすことができる。また、処理対象の車両が1台のみである場合にも、同様に扱ってよい。
【0048】
例えば、取引条件判定部213は、通信装置140からの車両の現在位置、移動方向、及び車速に基づいて、処理対象として特定された車両が同一方向に通行すると判定した場合、処理をS506に進める。そうでない場合には、処理をS504に進める。
【0049】
S504において、取引条件判定部213は、処理対象の車両から受信した、取引条件の情報に基づいて、優先的な通行に関する取引条件が満たされるかを判定する。取引条件判定処理の詳細は、別途後述する。
【0050】
S505において、制御部202は、S504において取引条件が満たされた場合には、処理をS506に進め、取引条件が満たされなかった場合には、本一連の処理を終了する。制御部202は、例えば、後述する判定結果を示すフラグ値を参照して、取引条件が満たされたか否かを判定する。
【0051】
S506において、制御部202の通行制御部214は、信号機の点灯を制御する。通行制御部214は、一方の道路の信号機120の点灯を赤信号から青信号に制御して、対価を支払う側の車両が交差点を通行できるようにする。このとき、通行制御部214は、信号機120の点灯を制御したことに応じて、優先的な通行が可能になった車両の通信装置140に、通行可能通知を送信してもよい。このとき、他の車両の優先的な通行を受け入れた車両の通信装置140に、通行不可通知を送信してもよい。
【0052】
S507において、対価処理部215は、取引条件に基づいて対価の支払いを処理(すなわち車両の支払う対価を確定)し、通信装置140に確定した対価の情報を送信する。取引条件判定部213による取引条件の判定、及び、対価処理部215による対価の処理については、以下でより詳細に説明する。
【0053】
[取引判定処理の一連の動作]
次に、S504における取引判定処理の一連の動作について、図6を参照して説明する。なお、本処理は、図5の処理に引き続き、制御部202のCPU210が記録部203に記録されるプログラムを実行することにより実現される。
【0054】
S601において、取引条件判定部213は、優先的な通行が可能になった場合に支払う対価(支払対価)が最高額である車両を決定する。例えば、各車両の取引条件の情報に基づき、支払対価が最高額である車両を決定する。例えば、図7A(b)に示す例では、車両701~702と車両703~704とがそれぞれ別の方向に通行しながら交差点に差し掛かっている。このとき、信号機750は青信号、信号機751は赤信号である。この状況において、取引条件判定部213は、車両701~704の支払対価を比較して、支払対価が最高額である車両を車両704(支払対価が250)として決定する。
【0055】
S602において、取引条件判定部213は、S601で決定された車両と異なる方向に通行する車両について、優先的な通行に対して要求する対価(要求対価)の最高額を決定する。図7A(b)の例では、車両704と異なる方向に通行する車両701~702のうち、要求対価の最高額は車両702の200である。なお、対向車がいる場合には、同一方向の車両として考慮してよい。
【0056】
S603において、取引条件判定部213は、S601で決定した車両の支払対価(すなわち支払対価の最高額)が、S602で決定した要求対価(要求対価の最高額)以上であるかを判定する。取引条件判定部213は、支払対価が要求対価以上であると判定した場合、処理をS605に進め、そうでない場合には処理をS604に進める。
【0057】
S604において、取引条件判定部213は、支払対価の最高額が要求対価を下回った場合、優先的な通行に関する取引条件が満たされなかったと判定し、判定結果を示すフラグ値を、取引条件NGを表す0に設定する。
【0058】
一方、S605において、取引条件判定部213は、支払対価が要求対価以上である場合、優先的な通行に関する取引条件が満たしたと判定し、判定結果を示すフラグ値を、取引条件OKを表す0に設定する。取引条件判定部213は、その後、呼び出し元に戻る。
【0059】
[S507における対価の処理]
次に、S507における対価の処理について、図7A図7Bを参照して説明する。図7A(a)は、上述のように、車両が同一方向にのみを走行する例を示している。この場合、信号機は車両が通行できるように制御され、対価処理部215は、優先的な通行に対して車両701~702から対価が支払われないように対価の支払いを処理する。他方、車両が同一方向にのみ走行する場合であっても、信号機の点灯を青信号に制御した場合には、待ち時間の低減に対して支払い対価が支払われるようにしてもよい。
【0060】
また、図7A(b)に示す例は、異なる方向に通行する車両の間で取引条件が満たされた場合を示している。この場合、取引条件判定部213は、支払対価の最高額を設定した車両704から、(異なる方向の車両の)要求対価の最高額を設定した車両702へ、対価250が支払われるように対価を確定する。
【0061】
勿論、異なる方向に通行する車両の間で取引条件が満たされた場合の対価の処理は、これに限定されない。例えば、図7B(a)及び(b)に示すように、1対多の関係で支払いが処理されてもよい。図7B(a)の例では、取引条件判定部213は、支払対価の最高額を設定した車両704から、車両704の優先的な通行を受け入れた複数の車両のそれぞれに、支払対価の250が支払われるようにしている。一方、図7B(b)の例では、取引条件判定部213は、支払対価の最高額を設定した車両704から、車両704の優先的な通行を受け入れた複数の車両のそれぞれに、各車両の要求対価の額を支払うようにしている。
【0062】
更に、上述の例では、対価を支払う車両を1台に限定する場合を例に説明したが、対価の支払いが多対多になるように設定してもよい。すなわち、優先的に通行することが可能になった複数の車両から支払われる対価の合計が、優先的な通行を受け入れた複数の車両に分配されるようにしてもよい。
【0063】
なお、対価を支払う車両における各ユーザの対価の負担割合、及び対価を受け取る車両における各ユーザの対価の配分量は、特に限定はされない。例えば、対価を支払う車両に乗車するユーザは対価を等分して支払うことができる。また、対価を受け取る車両に乗車するユーザは対価を等分して受け取ることができる。
【0064】
このように、情報処理装置110における点灯制御処理では、処理対象の車両と関連付けられた通信装置140から取引条件の情報を取得して、取引条件の情報の支払対価の最高額と要求対価との関係に応じて取引条件の判定を行い、対価を処理するようにした。このようにすることで、移動時間の短縮のために対価を支払ったり、移動時間の延長の代償として対価を受け取ったりすることが可能になり、自身の都合に合わせて移動時間の価値を売買できるようになる。
【0065】
なお、上述の点灯制御処理では、取引条件を満たすか否かの判定に支払対価の最高額を用いたが、別の判定を用いてもよい。例えば、図8(a)に示すように、支払対価の額と要求対価の額との合計に基づいて、取引条件を満たすか否かを判定してもよい。この例では、支払対価の額と要求対価の額の合計額がより高い車両に、優先的な通行を可能にしている。支払対価がより高く、かつ、より高い対価の受け取りを設定している者は、より優先的に通行したいという意図が反映されていると考えられる。このため、支払対価の額と要求対価の額の合計額を用いれば、ユーザの強い意図に従った制御が可能になる。更に、例えば図8(b)に示すように、支払対価の額と要求対価の額との合計が同一となる場合、交差点からの車両までの距離に応じて、取引条件を判定してもよい。このようにすれば、取引条件で決着がつかない場合には、交差点をより早く抜けることが期待される車両を優先的に考慮することができる。
【0066】
[通信装置140における通信制御処理の一連の動作]
次に、通信装置140における通信制御処理の一連の動作について、図9を参照して説明する。なお、本処理は、制御部302のCPU310が記録部306に記録されるプログラムを実行することにより実現される。
【0067】
S901において、制御部302の取引条件設定部312は、取引条件の情報を設定しておく。取引条件設定部312は、設定された取引条件の情報を、記録部306に記録する。
【0068】
S902において、取引条件設定部312は、取引条件の情報を、周辺の情報処理装置110に通信部201を介して送信する。例えば、制御部202は、周辺の情報処理装置110と通信し、特定の情報処理装置110から、信号機の点灯によって影響を受ける車両(すなわち処理対象の車両)であると判定された場合に、当該情報処理装置110に取引条件の情報を送信する。
【0069】
S903において、優先通行制御部315は、情報処理装置110によって信号機120の点灯が制御された場合、通行可能通知、又は通行不可通知を情報処理装置110から受信する。ここでは、通行可能通知とは優先的な通行が可能になったことを示す通知であり、通行不可通知とは他の車両の優先的な通行を受け入れたことを示す通知である。
【0070】
S904において、優先通行制御部315は、受信した通知が優先的な通行が可能になったことを示すかを判定し、優先的な通行が可能であると判定した場合、処理をS905に進め、そうでない場合、処理をS906に進める。S905において、優先通行制御部315は、通行可能通知を受信したことに応じて、交差点を優先的に通行させるための制御信号を、車両130に送信する。一方、S906において、優先通行制御部315は、通行不可通知を受信したことに応じて、他の車両の優先的な通行を受け入れて停止するための制御信号を、車両130に送信する。S905又はS906の後、処理はS907へと進む。
【0071】
S907において、対価処理部316は、情報処理装置110から確定した対価の情報を受信し、当該確定した対価の情報に基づいて、対価の取引を行い、そのトランザクションを分散型台帳に記録する。制御部202は、その後、車両制御処理の一連の動作を終了する。
【0072】
[検索システムの構成]
上記のような車両シェアリングシステムを使用しようとするユーザは、まず、複数の車両のうち利用可能な車両(候補車両)を検索し、希望の取引条件に応じた順番で表示させることができる。以下、このために使用可能な、本実施形態に係る情報処理装置1010の構成について、図10を参照して説明する。情報処理装置1010は、車両シェアリングシステム(例えば交通システム100)を構成するサーバであってもよい。
【0073】
ユーザ1020は、交通システム100の適用下で車両シェアリングシステムの利用を希望するユーザである。通信装置1030は、例えばスマートフォンなどの機器であり、ユーザ1020による入力を情報処理装置1010へと送信し、情報処理装置1010から受信したデータを表示する。
【0074】
[情報処理装置1010の構成]
次に、優先度情報の設定と検索とを行う情報処理装置1010の機能構成例について、図11を参照して説明する。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合され又は分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0075】
通信部1101は、ネットワーク111を介して通信装置1030と通信する通信回路を含む。通信部1101は、検索部1102によって処理された情報を通信装置1030等に送信してもよく、検索部1102によって処理される情報を通信装置1030等から受信してもよい。
【0076】
検索部1102は、中央演算装置であるCPU1110とRAM1111とを含む。検索部1102は、記録部1103に記憶されたプログラムをRAM1111に展開、実行することにより、検索部1102内部の各部の動作を制御したり、情報処理装置1010の各部の動作を制御したりする。RAM1111は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、検索部1102がプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。記録部1103は、例えば半導体メモリ等の不揮発性の記録媒体を含み、情報処理装置1010の動作に必要な設定値やプログラムを記憶する。
【0077】
検索部1102は、対価設定部1112、希望取得部1113、車両検索部1114、及び情報送信部1115を有し、ユーザの入力に応じてシェアリングを行うための車両を検索して検索結果をユーザ端末に送信する。
【0078】
対価設定部1112は、車両ごとに設定される優先度情報を設定する。本実施形態においては、優先度情報として、例えば、その車両が到着時刻を重視する車両であるという情報、又はその車両が料金の安さを重視する車両であるという情報など、車両ごとに設定される優先項目を示す情報が設定されている。なお、優先度情報は、その優先度情報の設定方法も情報として有するものとする。
【0079】
希望取得部1113は、通信部1101を介して、通信装置1030を用いてユーザが入力する、ライドシェアを行う車両に関する希望の条件を取得する。希望取得部1113は、例えば、ユーザの現在地と、検索を行う範囲である、現在地からの所定の範囲の大きさと、を取得してもよい。
【0080】
車両検索部1114は、ユーザが入力した希望の条件に基づいて検索を行う。車両検索部1114は、例えばユーザによる候補車両の提示要求を取得した場合に検索を行う。車両検索部1114が検索を行う対象は特に限定されないが、以下においては説明のため、ナビゲーション用情報処理サーバ150が車両データベース上に車両情報を記録している車両のうちから検索を行うものとする。
【0081】
情報送信部1115は、車両検索部1114による検索結果として出力された車両の情報を通信装置1030へと送信し、ユーザに提示する。本実施形態に係る情報送信部1115は、車両の情報を、ユーザが入力した希望の条件に応じた順序で提示する。また、本実施形態においては、情報送信部1115は、検索結果の車両の情報として、その車両に設定された優先度情報を送信する。しかしながら、車両の情報として送信されるものは特にこれに限定されるわけではない。例えば、情報送信部1115は、優先度情報の設定方法を車両ごとに提示するように送信を行ってもよい。情報送信部1115は、希望の条件に応じた順序として、例えば希望の条件に近いものから順に、所定の数の車両の情報を提示してもよい。
【0082】
なお、本実施形態においては、情報送信部1115が、希望の条件に応じた順序に整列した車両の情報を通信装置1030へと送信するものとして説明を行ったが、処理がこのように限定されるわけではない、例えば、情報送信部1115は車両の情報を通信装置1030へと送信し、通信装置1030が受信した情報に基づいて希望の条件に応じた順序への整列及び表示を行ってもよい。
【0083】
このような構成によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおいて、ユーザの好み又はその時に置かれた状況などに応じてシェアリング用の車両を、希望の条件に応じた順序で表示することが可能となる。
【0084】
[検索システム]
上記のような車両シェアリングシステムを使用しようとするユーザは、本実施形態に係る情報処理装置を用いることにより、車両の通行の優先度についてのユーザの希望に合う候補車両を、希望に応じた順番で表示させることができる。以下、このために使用可能な、本実施形態に係る情報処理装置1010を備える検索システムの構成について説明する。
【0085】
本実施形態においては、ユーザ1020は車両に設定される対価に対する希望の値を通信装置1030へと入力し、候補車両の提示要求を送信する。次いで、入力した値に基づいた検索結果を取得する。以下、ユーザが入力する、車両に設定される対価に対する希望の値を、単に「希望値」と呼ぶものとする。表示1031は、通信装置1030の表示部に表示される希望値を設定する画面の一例であり、希望値を入力するGUIを示している。また、表示1032は、情報処理装置1010から取得したデータが通信装置1030の表示部に表示されている画面の一例であり、入力した希望値に基づく順序の検索結果を表示している。ここで、検索結果としては、例えば検索された1以上の候補車両に設定されている優先度情報とその優先度情報の設定方法と、が表示される。優先度情報の設定方法としては、例えば、予め設定されている場合には「固定」と表示され、乗車するユーザの希望に応じて設定される場合には「変動」と表示されるものとする。
【0086】
ナビゲーション用情報処理サーバ150は、上述のように複数の車両130からの車両情報を順次取得して車両データベースに記録する。
【0087】
情報処理装置1010は、車両ごとに設定される対価の値に応じて、ユーザが入力した希望値に基づいて候補車両の検索を行う。次いで、検索された候補車両について、ナビゲーション用情報処理サーバ150内に格納されている取引条件の情報を取得し、ユーザの希望に応じた順序でユーザへと提示する。
【0088】
ネットワーク1011は、例えばインターネットや携帯電話網などの通信網を含み、情報処理装置1010又はナビゲーション用情報処理サーバ150と、通信装置1030と、の間の情報を伝送する。但し、ネットワーク1011は必須ではなく、例えば、通信装置1030と情報処理装置1010とが直接無線通信を確立して通信を行ってもよい。
【0089】
通信装置1030は、通信装置140が有する通信部301、操作部303、センサ部304、表示部305、及び記録部306と同様の機能部を備える。以下においては通信装置1030がスマートフォンであるものとして説明を行うが、特にこれには限定されず、パーソナルコンピュータ又はタブレット端末などであってもよい。また、通信装置1030は、交通システム100における通信装置140と同一の装置であってもよい。
【0090】
なお、本実施形態においては、対価設定部1112は、取引条件設定部312が設定する取引条件の情報に基づいて対価の値を設定する。また、希望取得部1113は、通信部1101を介して、通信装置1030を用いてユーザが入力する希望値を取得する。さらに、車両検索部1114は、ユーザが入力した希望値に基づいて検索を行う。次いで、情報送信部1115は、車両検索部1114による検索結果として出力された車両の情報を通信装置1030へと送信し、希望に応じた順序でユーザに提示する。本実施形態においては、情報送信部1115は、検索結果の車両の情報として、その車両に設定された対価の情報と優先度情報の設定方法とを送信するものとする。
【0091】
本実施形態に係る車両検索部1114による検索の範囲は特に限定されない。例えば、車両検索部1114は、希望の支払対価の値から所定の範囲の支払対価が設定されている車両を検索してもよく、希望の要求対価の値から所定の範囲の要求対価が設定されている車両を検索してもよく、その両方を満たす車両を検索してもよい。具体的には、車両検索部1114は、例えば、希望の対価の値から±100円の範囲の対価が設定されている車両を検索してもよい。検索の範囲として設定される範囲は特に限定されず、予め所定の範囲として設定されていてもよく、ユーザによって所望の範囲が指定されてもよい。
【0092】
通信部1101は、ネットワーク111を介して通信装置1030と通信する通信回路を含む。通信部1101は、検索部1102によって処理された情報を通信装置1030等に送信してもよく、検索部1102によって処理される情報を通信装置1030等から受信してもよい。
【0093】
[検索部1102における検索処理の一連の動作]
次に、検索部1102における検索処理の一連の動作について、図12を参照して説明する。なお、本処理は、CPU1110が記録部1103に記録されるプログラムを実行することにより実現される。
【0094】
S1201において、対価設定部1112は、取引条件設定部312が設定する取引条件を取得し、車両に設定される対価の値として設定する。S1202において、希望取得部1113は、通信装置1030を介してユーザから入力される希望値を取得する。S1203において、車両検索部1114は、ナビゲーション用情報処理サーバ150の記録部403に格納されている車両データベースから、S1202で取得した希望値に基づいて、所定の検索条件で検索を行う。S1204において、車両検索部1114は、検索結果に該当する車両が存在しているかどうかを判定する。存在している場合は処理をS1205へと進め、検索された車両についての情報を取得して処理をS1206へと進める。S1206において、情報送信部1115は、検索結果の車両についての情報を通信装置1030へと送信して希望の条件に応じた順序で表示させ、処理を終了する。存在していない場合はその時点で処理を終了する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、情報処理装置110が、信号機から所定の距離内の車両130の通信装置140から取引条件の情報を取得し、取引条件が満たされたことに応じて、信号機の点灯を制御する。このとき、信号機の点灯が制御された場合には、優先的な通行が可能になった車両の側から、優先的な通行に対する対価を徴収するように対価の支払いを処理する。ここで、ユーザは、本実施形態に係る情報処理装置1010から、取引条件に付いて希望の条件に応じた順序で車両の情報を取得することにより、利用者の凡その価値観(金銭感覚)が自身と近しい車両を確認することができるようになる。
【0096】
[希望に応じた優先度情報の設定]
なお、上述のように、車両ごとの優先度情報は、車両に乗車中又は乗車予定のユーザの希望に基づいて設定されてもよい。以下、そのような優先度情報の設定方法を行う情報処理装置1320の構成について説明する。
【0097】
[交通システム1300の構成]
まず、図13を参照して、本実施形態に係る交通システム1300の構成について説明する。交通システム1300は、情報処理装置110及び通信装置140に代わって情報処理装置1310及び通信装置1320を備え、通信装置1320と通信する1つ以上の通信装置1340を備えることを除いて交通システム100と同様の構成を備える。したがって、重複する説明は省略する。また、ユーザ1330は各通信装置1340のユーザである。
【0098】
[通信装置1320の構成]
次に、ユーザが入力する希望値に基づいて対価の値を決定する通信装置1320の機能構成例について、図14を参照して説明する。通信装置1320は、通信装置1340からの受信した情報に基づいて車両130における対価の値を決定することを除き、通信装置140と同様の処理を行う。そのために、通信装置1320は、通信部1401と、制御部1402と、を備えることを除いて通信装置140と同様の構成を有するため、重複する説明は省略する。
【0099】
通信部1401は、通信装置1340とデータの送受信を行うことを除き通信部301と同様の処理を行う。通信部1401は、インターネットに接続して通信装置1340と通信を行ってもよく、Bluetooth(登録商標)通信を介して通信装置1340との通信を行ってもよい。
【0100】
制御部1402は、希望条件取得部1411及び取引条件決定部1412を有することを除き、制御部302と同様の構成を有する。希望条件取得部1411は、通信部1401を介して、通信装置1340へと入力されるユーザ1330による入力を取得する。希望条件取得部1411は、例えば、車両130に乗車中のユーザの希望値を取得してもよく、車両130に乗車予定のユーザの希望値を取得してもよい。また、ユーザ1330は、車両130での車両シェアリングを希望した際に希望値を入力してもよく、通信装置1340に予め設定した希望値を通信装置1320に取得させてもよい。
【0101】
取引条件決定部1412は、各ユーザから取得した希望値に基づいて、取引条件の情報を決定する。取引条件決定部1412による取引条件の情報の決定方法は特に限定されない。例えば、取引条件決定部1412は、ある車両に乗車する各ユーザから取得した希望値の平均値を、その車両に設定される対価の値としてもよい。このような処理によれば、平均値を算出することにより、ユーザ間の価値観の相違を考慮した対価の設定を行うことができ、価値観の相違がある場合であってもトラブルの発生を抑制することができる。また、取引条件決定部1412は、対価を更新する所定の条件を満たすたびに、その車両に設定される対価の値を更新してもよい。例えば、取引条件決定部1412は、一定の間隔で更新してもよく、希望条件取得部1411が希望値を取得するたびに更新してもよい。また、価値観が大きく異なる(すなわち、設定した希望値が大きく異なる)ユーザが乗車してきた場合には、車両に設定される対価の値が急激に変動することによってユーザ間のトラブルが発生する可能性がある。そのような観点から、取引条件決定部は、対価として決定する値に上限を設けてもよい。
【0102】
図15には、通信装置1320及び通信装置1340における、車両130の対価を決定するユーザインタフェースの例を示している。各通信装置1340の表示部は、まず、ユーザの希望値を取得するための希望条件設定画面1501~1503をそれぞれ表示する。ライドシェアを希望する各ユーザは、通信装置1340の操作部を介して希望値を入力する。次いで取引条件決定部1412は、入力された希望値に基づいて車両130に設定される対価の値を決定し、決定した結果を決定結果画面1504として通信装置1320の表示部305に表示する。このように決定された対価の値が、交通システム1300における信号機の点灯制御処理などに用いられる。なお、決定結果画面1504に表示される項目は特にこれには限定されない。例えば、表示部305は、表示される対価が最後に更新された時刻を表示してもよい。
【0103】
なお、通信装置1340は、通信装置1320が有する通信部301、操作部303、センサ部304、表示部305、及び記録部306と同様の機能部を備える。以下においては通信装置1340がスマートフォンであるものとして説明を行うが、特にこれには限定されず、パーソナルコンピュータ又はタブレット端末などであってもよい。また、通信装置1340は、交通システム1300における通信装置1320と同一の装置であってもよい。
【0104】
[対価決定処理の一連の動作]
次に、情報処理装置1310における対価決定処理の一連の動作について、図16を参照して説明する。なお、本処理は、通信装置1320のCPU310が記録部306に記録されるプログラムを実行することにより実現される。
【0105】
S1601で希望条件取得部1411は、ユーザが通信装置1340に入力した希望値を取得する。S1602で取引条件決定部1412は、希望条件取得部1411が取得した希望値に基づいて、車両に設定される対価の値を決定する。S1603で取引条件決定部1412は、対価の値を更新する条件が満たされているかどうかの判定を行う。満たされている場合、処理はS1601へと戻り、満たされていない場合には処理はS1604へと進む。S1604で取引条件決定部1412は、決定した対価の値を情報取得部212へと送信して処理を終了し、そうでない場合は処理をS1603へと戻す。
【0106】
情報処理装置1310における点灯制御処理及び取引判定処理は図5図9と同様に行われるため、詳細な説明は省略する。なお、上述の通り、通信装置1320においては、車両130における対価の値が、通信装置1340からの受信した情報に基づいて決定される。すなわち、S502で取得される取引条件の情報としての対価の値には、取引条件決定部1412が決定した値が用いられる。
【0107】
このような構成によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおけるライドシェア車両の対価の設定を、ユーザの価値観に応じて決定することができる。特に、対価を支払うことで優先的な通行を獲得する交通システムにおけるライドシェア車両の対価の設定を、ユーザの金銭感覚に応じて決定することができる。
【0108】
また、上述の実施形態では、情報処理装置が通信装置140又は1340から取引条件の情報を取得して、取引条件に応じて信号機の点灯を制御するようにしたが、この処理が、通信装置によって実行されてもよい。すなわち、所定の通信装置140又は1340が、周囲の通信装置から取引条件の情報を取得して取引条件を判定し、判定結果に応じて近傍にある信号機の点灯を制御するようにしてもよい。
【0109】
なお、上述の実施形態1~3においては、優先的な通行の制御として信号の制御についての説明を行ったが、特にこれに限定されるわけではない。例えば、情報処理装置は、高速道路などの追い越し可能な道路において優先的な通行を制御し、それに対する対価の受け渡し処理を行ってもよい。すなわち、優先的な通行として、追い越し可能な道路での追い越しを車両に行わせてもよく、他の車両の1台に自車の前方を走行させることによって走行時の空気抵抗を低減させてもよい。
【0110】
[実施形態のまとめ]
上記実施形態には少なくとも以下の情報処理装置、及び情報処理方法を開示している。
【0111】
1.上記実施形態の情報処理装置(例えば1010)は、
複数の車両をユーザ(例えば1020)がシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両(例えば130)の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報を格納する記録手段(例えば1112、S1201)と、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザの、前記優先度情報についての希望を示す情報(例えば141)を取得する取得手段(例えば1411、S1601)と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記希望を示す情報に応じた順序で表示部(例えば1030)に表示させる提示手段(例えば1115、S1206)と、
を備える。
この実施形態によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおいて、ユーザの好み又はその時に置かれた状況などに応じた順序でシェアリング用の車両を表示させることが可能となる。
【0112】
2.上記実施形態の情報処理装置では、
前記優先度情報は、前記1台の車両が前記他の車両に対して優先的に通行する場合に、前記1台の車両に乗車中のユーザが前記他の車両に乗車中のユーザに対して支払う対価と、前記他の車両が前記1台の車両に対して優先的に通行する場合に、前記1台の車両に乗車中のユーザが前記他の車両に乗車中のユーザから取得する対価と、の少なくともいずれかの対価を示す情報を含む。
この実施形態によれば、対価を支払って優先的な通行を獲得する交通システムにおけるライドシェア車両の優先度情報をユーザに送信することができる。
【0113】
3.上記実施形態の情報処理装置では、
前記1台の車両に乗車中又は乗車する予定のユーザの、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての希望を示す情報を取得する第2の取得手段をさらに備え、
前記1台の車両についての前記優先度情報は、前記希望を示す情報に基づいて決定される。
この実施形態によれば、ライドシェア車両に設定される優先度情報をユーザの価値観に基づいて決定することができる。
【0114】
4.上記実施形態の情報処理装置では、
前記1台の車両についての前記優先度情報は、前記1台の車両に対して予め設定されている。
この実施形態によれば、ライドシェア車両に設定される優先度情報を、予め定めておくことができる。
【0115】
5.上記実施形態の情報処理装置では、
前記提示手段は、前記1台の車両についての前記優先度情報がどのように設定されているのかを前記表示部に表示させる。
この実施形態によれば、ライドシェア車両に設定される優先度情報がどのように設定されているのかをユーザに提示することができる。
【0116】
6.上記実施形態の情報処理装置では、
前記提示手段は、前記1台の車両についての前記優先度情報が、前記1台の車両に対して予め設定されているか、前記1台の車両に乗車中又は乗車する予定のユーザの前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての希望を示す情報に基づいて設定されているか、を前記表示部に表示させる。
この実施形態によれば、ライドシェア車両に設定される優先度情報が固定されているのか変動するのかをユーザに提示することができる。
【0117】
7.上記実施形態の情報処理装置(例えば1030)は、
複数の車両をユーザ(例えば1020)がシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる車両(例えば130)に乗車を希望するユーザが、前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての前記ユーザの希望を示す情報を入力する入力手段と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す情報に応じた順序で表示する表示手段と、
を備える。
この実施形態によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおいて、ユーザの好み又はその時に置かれた状況などに応じた順序でシェアリング用の車両を表示させることが可能となる。
【0118】
8.上記実施形態の車両シェアリングシステムは、
複数の車両をユーザ(例えば1020)がシェアする車両シェアリングシステムであって、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザが使用する端末(例えば1030)であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報についての前記ユーザの希望を示す情報を入力する入力手段と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す情報に応じた順序で表示する表示手段と、
を有する、端末と、
前記優先度情報を格納する記録手段(例えば1112、S1201)と、
前記端末に対して、前記優先度情報に基づいて、前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記ユーザの希望を示す順序に応じた順序で前記表示手段に表示させる提示手段(例えば1115、S1206)と、
を備える。
この実施形態によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおいて、ユーザの好み又はその時に置かれた状況などに応じた順序でシェアリング用の車両を表示させることが可能となる。
【0119】
9.上記実施形態の情報処理方法は、
複数の車両をユーザ(例えば1020)がシェアする車両シェアリングシステムで用いられる情報処理装置であって、
前記複数の車両に含まれる1台の車両の、前記複数の車両に含まれる他の車両に対する通行の優先度を示す優先度情報を格納する工程(例えばS1201)と、
前記複数の車両に含まれる車両に乗車を希望するユーザの、前記優先度情報についての希望を示す情報を取得する工程(例えばS1202)と、
前記複数の車両に含まれる1以上の車両を、前記希望を示す情報に応じた順序で表示部に表示させる工程(例えばS1206)と、
を備える。
この実施形態によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する交通システムにおいて、ユーザの好み又はその時に置かれた状況などに応じた順序でシェアリング用の車両を表示させることが可能となる。
【0120】
10.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータを、上記情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムである。
この実施形態によれば、車両に設定される優先度情報に基づいて優先的な通行を獲得する車両シェアリングシステムにおいて、自身の価値観に適した設定の車両に乗車しやすくする情報処理装置を提供することができる。
【0121】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
1030:情報処理装置、1101:通信部、1102:検索部、1103:記録部、1110:CPU、1111:RAM、1112:対価設定部、1113:希望取得部、1114:車両検索部、1115:情報送信部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
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図7B
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16