(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231219BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231219BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231219BHJP
F21V 29/77 20150101ALI20231219BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231219BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
F21S2/00 312
F21V23/00 160
F21S2/00 375
F21V29/503
F21V29/77
F21V23/00 117
F21Y115:10
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2020087422
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 竜男
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-104183(JP,U)
【文献】特開2004-006398(JP,A)
【文献】実開昭62-018902(JP,U)
【文献】実開昭53-158184(JP,U)
【文献】特開平10-241421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/77
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の器具本体と、
光源を取り付けるソケットと、
前記ソケットが一面側に取り付けられた状態で前記器具本体の内部に取り付けられるソケットベースと、を有し、
前記ソケットベースは、
前記ソケットの底面を覆い、前記ソケットベースの他面側に突出する底部と、
前記ソケットの側面を覆う側部と、
前記底部に設けられる開口部と、を有し、
前記ソケットから引き出された電線が、前記開口部を介して前記ソケットベースの他面側に案内され
、
前記ソケットベースに取り付けられ、周囲温度に応じて前記光源の電源の入り切りの制御を行うサーモスタットを有する、照明器具。
【請求項2】
前記ソケットベースは、前記側部の外側面に沿って設けられる複数のリブを有する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体は、前記ソケットベースの他面側に対向する位置決め部を有し、
前記ソケットベースは、
前記位置決め部に当接可能な第1当接部と、
前記第1当接部よりも前記他面側に突出し、前記位置決め部に当接可能な第2当接部と、を有し、
前記器具本体に対する前記ソケットベースの前記一面側から前記他面側に向かう方向の位置は、前記第1当接部が前記位置決め部に当接する第1位置又は前記第2当接部が前記位置決め部に当接する第2位置に択一的に位置決めされる、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有底円筒状の灯体に光源であるランプを収容できる照明装置が開示されている。この照明装置では、灯体内部の途中位置に灯体底部と平行な取付板が取り付けられ、取付板の開口側中央にはランプを取り付けるソケットが取り付けられている。そして、灯体の底部側には灯体を回動可能に支持する腕部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構成によれば、取付板は、回動する腕部と干渉しないように灯体底部から十分に離れた位置に設けられる。したがって、灯体が大型化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光源を取り付けるソケットを備えた器具本体を小型化することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、
有底筒状の器具本体と、
光源を取り付けるソケットと、
前記ソケットが一面側に取り付けられた状態で前記器具本体の内部に取り付けられるソケットベースと、を有し、
前記ソケットベースは、
前記ソケットの底面を覆い、前記ソケットベースの他面側に突出する底部と、
前記ソケットの側面を覆う側部と、
前記底部に設けられる開口部と、を有し、
前記ソケットから引き出された電線が、前記開口部を介して前記ソケットベースの他面側に案内され、
前記ソケットベースに取り付けられ、周囲温度に応じて前記光源の電源の入り切りの制御を行うサーモスタットを有するものである。
【0007】
上記の照明器具において、
前記ソケットベースは、前記側部の外側面に沿って設けられる複数のリブを有するようにしてもよい。
【0008】
上記の照明器具において、
前記器具本体は、前記ソケットベースの他面側に対向する位置決め部を有し、
前記ソケットベースは、
前記位置決め部に当接可能な第1当接部と、
前記第1当接部よりも前記他面側に突出し、前記位置決め部に当接可能な第2当接部と、を有し、
前記器具本体に対する前記ソケットベースの前記一面側から前記他面側に向かう方向の位置は、前記第1当接部が前記位置決め部に当接する第1位置又は前記第2当接部が前記位置決め部に当接する第2位置に択一的に位置決めされるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の照明器具によれば、光源を取り付けるソケットを備えた器具本体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図1の照明器具の右側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図1の照明器具の左側から見た分解斜視図である。
【
図9A】第1状態にあるアーム部の右側面図である。
【
図9B】第2状態にあるアーム部の右側面図である。
【
図10】小サイズの光源を装着した器具本体の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態では、本発明の一実施形態である照明器具10を例に説明する。照明器具10は、天井や壁面等の取付面に設置される照明器具であり、いわゆるスポットライトである。以下の説明では、
図1の状態にある照明器具10を基準として各方向を規定し、各構成部材の方向も
図1の状態にある照明器具10に組み付けられた状態を基準とする。
【0013】
具体的には、
図1における左側及び右側を照明器具10の左側及び右側、
図1における上側及び下側を照明器具10の上側及び下側、
図1における紙面手前側を照明器具10の前側(正面側)、
図1における紙面奥側を照明器具10の後側(背面側)と規定する。ソケットベース50の前面側はソケットベース50の一面側の一例であり、ソケットベース50の背面側はソケットベース50の他面側の一例である。
【0014】
図1から
図5に示すように、照明器具10は、器具本体20と、光源30と、ソケット40と、ソケットベース50と、サーモスタット70と、アーム部80と、ベース部100とを備える。
【0015】
図1及び
図2に示すように、器具本体20は、光源30、ソケット40、ソケットベース50及びサーモスタット70を収容し、その内部に保持する部材である。
図6及び
図7に示すように、器具本体20は有底筒状の部材である。器具本体20は、筒部21と、底部22と、第1開口部23と、第2開口部24と、周方向の位置決め部の一例としての突条部25と、前後方向の位置決め部の一例としての第1突出部26と、第1ネジ穴27と、第2突出部28と、第2ネジ穴29とを有する。本実施形態において、器具本体20は一体成形されている。なお、器具本体20は、複数の部材を組み付けて構成してもよい。
【0016】
本実施形態の器具本体20は、光源30、ソケット40、ソケットベース50及びサーモスタット70等を保持可能な耐久性を有する、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料を用いて作製することができる。器具本体20をアルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料を用いて作製した場合、熱伝導率が高いため照明器具11の放熱性を高めることができる。器具本体20を構成する材料としては、アルミニウム等の金属材料に限らず、例えば、鉄や鉄合金等その他の金属材料、樹脂材料、もしくはそれらの組み合わせなどとすることができる。
【0017】
筒部21は、光源30、ソケット40、ソケットベース50、サーモスタット70及びアーム部80の一部を収容可能な径及び長さ(奥行き)を有する円筒状の部材である。筒部21の内面は、前方へ向かって拡がるテーパー形状となっている。筒部21の形状は筒状であればよく、例えば、角筒状であってもよい。
【0018】
底部22は、筒部21の後端部を覆う上下左右方向に延びる略円板状の部材である。第1開口部23は、筒部21の前端部で形成される円形の部分である。光源30からの出射光は第1開口部23を通じて器具本体20の前面側に出射される。また、光源30は第1開口部23を通じて着脱される。
【0019】
第2開口部24は、筒部21の後上部から底部22の上部に亘って形成された切り欠きである。
図2に示すように、第2開口部24は、器具本体20からアーム部80を露出させるための開口であり、回動する器具本体20とアーム部80とが干渉しない大きさに形成される。
【0020】
図6及び
図7に示すように、突条部25は、ソケットベース50を周方向に位置決めする部材である。突条部25は、筒部21の内面における後下部に前後方向に延びて配置される。
【0021】
第1突出部26は、ソケットベース50の背面側に対向して設けられ、ソケットベース50を前後方向に位置決めする部材である。第1突出部26は、底部22の前面における中心より下側の領域から前方へ突出する部材である。本実施形態において、第1突出部26は左右対称に2つ設けられているが、その数には特に限定はなく1つ以上設けられていればよい。第1突出部26の前端面26Aが、ソケットベース50に当接してソケットベース50を前後方向に位置決めする当接面となる。
【0022】
第1ネジ穴27は、第1突出部26の前端面26Aに形成されたネジ穴である。第1ネジ穴27は、ソケットベース50を器具本体20にネジ止めするために用いられる。
【0023】
第2突出部28は、アーム部80を取り付け位置に支持する部材である。第2突出部28は、底部22の前面における中心より上側の領域から前方へ突出する部材である。本実施形態において、第2突出部28は左右対称に2つ設けられているが、その数には特に限定はなく1つ以上設けられていればよい。第2突出部28の前端面28Aが、アーム部80を支持する支持面となる。
【0024】
第2ネジ穴29は、第2突出部28の前端面28Aに形成されたネジ穴である。第2ネジ穴29は、アーム部80を器具本体20にネジ止めするために用いられる。
【0025】
図1から
図5に示すように、光源30は、ソケット40に取り付け可能な口金を有する電球等である。本実施形態では、光源30としてLED(Light Emitting Diode)電球を用いている。なお、光源30の種類には特に限定はなく、例えば、表面実装型やチップオンボード型のLED素子、有機EL素子などを搭載した発光モジュールを用いてもよい。
【0026】
ところで、光源30として用いられるLED電球には、
図1から
図5に示す大サイズ(例えば100W型)のものと、
図10に示す小サイズ(例えば60W型)のものといったサイズの異なるLED電球が存在する。詳しくは後述するが、本実施形態の照明器具10は、2種類のサイズの電球型の光源30を装着可能である。
図10に示すように、小サイズの光源30を装着する場合は、ソケットベース50を器具本体20に対して上下反転させて取り付ける。これにより、器具本体20内における小サイズの光源30の前端部の位置を大サイズの光源30の前端部の位置とほぼ同じ位置に配置することができる。
【0027】
図2から
図5に示すように、ソケット40は、光源30を取り付ける有底円筒状の部材である。ソケット40の底部からは外部電源に接続するための電線41が引き出されている。光源30は、ソケット40に螺合され、前端部が器具本体20の開口部23から突出しない位置で固定される。
【0028】
図2から
図5及び
図8に示すように、ソケットベース50は、ソケット40を支持するとともに、ヒートシンクとして機能する部材である。ソケットベース50は、ソケット40が前面側に取り付けられた状態で器具本体20の内部に取り付けられる。ソケットベース50は、側部51と、リブ52と、フランジ部53と、底部54と、電線用開口部55と、アーム用切欠部56と、第1位置決め用切欠部57と、第2位置決め用切欠部58と、第1当接部59と、第1取付穴60と、第2当接部61と、第2取付穴62と、サーモスタット用取付部63と、サーモスタット用切欠部64とを有する。
【0029】
本実施形態において、ソケットベース50は一体成形されている。なお、ソケットベース50は、複数の部材を組み付けて構成してもよい。ソケットベース50を構成する材料としては熱伝導率の高い材料が好ましく、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、鉄や鉄合金等の金属材料を用いることができる。
【0030】
光源30から発生した熱は、光源30の周辺の空気やソケット40に伝達する。ソケット40に伝達した熱は、ソケットベース50及び器具本体20に伝達する。器具本体20よりも周辺の温度が低い場合には、器具本体20及びソケットベース50の周辺の空気に伝達されて、光源30から発生した熱は放熱される。
【0031】
側部51は、ソケット40の外側面を覆う円筒状の部材である。側部51はヒートシンクとして機能し、光源30から発生してソケット40に伝達される熱の放熱性が高まる。なお、本実施形態の側部51はソケット40を全周に亘って覆っているが、ソケットベース50の側部としてはソケット40の少なくとも一部を覆っていればよい。
【0032】
リブ52は、側部51の外側面に設けられ、前後方向に延びる板状部材であり、側部51の外側面の周方向に沿って間隔を有して複数設けられる。リブ52はヒートシンクとして機能し、光源30から発生して側部51に伝達される熱の放熱性が高まる。
【0033】
フランジ部53は、側部51の後端部近傍の外側面から上下左右方向に延びる略円環状の部材である。フランジ部53の外径は、器具本体20の筒部21に嵌る大きさに形成される。
【0034】
底部54は、ソケット40の底面を覆い、フランジ部53よりも背面側に突出する部材である。底部54は、側部51の後端部を覆う上下左右方向に延びる略円板状の部材である。底部54はヒートシンクとして機能し、光源30から発生してソケット40に伝達される熱の放熱性が高まる。また、底部54がフランジ部53よりも背面側に突出していることにより、ソケット40が器具本体20の後端部に近づけて配置され、器具本体20の前後方向の長さを短くすることができる。すなわち、器具本体20を小型化することができる。
【0035】
電線用開口部55は、底部54に設けられる略楕円形の開口部である。
図2に示すように、ソケット40から引き出された電線41は、電線用開口部55を介してソケットベース50の背面側に案内される。
【0036】
図2及び
図8に示すように、アーム用切欠部56は、底部54の上部から側部51の後上部に亘って形成された切り欠きである。アーム用切欠部56は、
図2に二点鎖線で示すように器具本体20が略90°回動する際に、ソケットベース50がアーム部80に干渉しない大きさに形成されている。アーム用切欠部56を設けることにより、ソケットベース50を器具本体20の後端部に近づけて配置することで器具本体20の前後方向の長さを短くすることができる。すなわち、器具本体20を小型化することができる。
【0037】
第1位置決め用切欠部57は、フランジ部53の下端部に形成された切り欠きである。
図1及び
図2に示すように、第1位置決め用切欠部57は突条部25に挿嵌される。これにより、ソケットベース50は周方向に位置決めされる。
【0038】
図8及び
図10に示すように、第2位置決め用切欠部58は、フランジ部53の上端部に形成された切り欠きである。
図10に示すように、第2位置決め用切欠部58は、小サイズの光源30を用いる場合に突条部25に挿嵌される。これにより、ソケットベース50は周方向に位置決めされる。
【0039】
なお、器具本体20に対するソケットベース50の周方向の位置決めは、突条部25と第1位置決め用切欠部57及び第2位置決め用切欠部58とに替えて、ソケットベース50の外周に凸部を設け、筒部21の内面に溝部を設け、凸部を溝部に挿嵌する構成としてもよい。
【0040】
図2及び
図8に示すように、第1当接部59は、大サイズの光源30を使用する場合に前後方向の位置決め部である第1突出部26に当接する部材である。本実施形態において第1当接部59は、フランジ部53の背面における第1取付穴60の周囲部分で構成され、左右一対設けられる。なお、第1当接部59は、フランジ部53の背面から突出又は窪んだ形態であってもよい。第1当接部59が第1突出部26の前端面26Aに当接することにより、器具本体20に対してソケットベース50が前後方向における第1位置(
図2に示す位置)に位置決めされる。
【0041】
第1取付穴60は、フランジ部53における第1当接部59で囲まれる位置に形成された前後方向に貫通する穴である。ソケットベース50が第1位置にある状態において、第1取付穴60は第1ネジ穴27に重なる。ソケットベース50は、第1取付穴60を用いて第1ネジ穴27にネジ止めされることにより器具本体20に固定される。
【0042】
図8及び
図10に示すように、第2当接部61は、小サイズの光源30を使用する場合に第1突出部26に当接する部材である。第2当接部61は、第1当接部59よりも背面側に突出する突出部である。第2当接部61の後端面が第1突出部26の前端面26Aに当接することにより、器具本体20に対してソケットベース50が前後方向における第2位置(
図10に示す位置)に位置決めされる。
【0043】
第2取付穴62は、第2当接部61の後端面に形成された前後方向に貫通する穴である。ソケットベース50が第2位置にある状態において、第2取付穴62は第1ネジ穴27に重なる。ソケットベース50は、第2取付穴62を用いて第1ネジ穴27にネジ止めされることにより器具本体20に固定される。
【0044】
このように、第2位置にあるソケットベース50は、第1位置にあるときよりも前方に配置される。よって、器具本体20内における小サイズの光源30の前端部の位置を大サイズの光源30の前端部の位置とほぼ同じ位置に配置することができる。また、ソケットベース50が第2位置にある場合、ソケットベース50の後端部とアーム部80との間には十分な空間が形成されるため、器具本体20が略90°回動する際にソケットベース50がアーム部80に干渉することはない。また、ソケット40から引き出された電線41は、ソケットベース50の底部54の中央付近に設けられた電線用開口部55を介してソケットベース50の背面側に案内される。そのため、ソケットベース40を第1位置から第2位置に変更しても、電線41が引き出される位置は変更されにくい。したがって、器具本体20の上下方向における器具本体20内に支持されたアーム部80との位置関係に大きく影響を与えない。
【0045】
なお、器具本体20に対するソケットベース50の前後方向の位置決めは、第1突出部26に替えて、器具本体20の底部22である平坦面としてもよい。この場合、第1当接部59を後方へ突出する突出部とし、第2当接部61をさらに突出させればよい。
【0046】
このように、器具本体20におけるソケットベース50の固定部分を変更することにより、2種類のサイズの光源30に対応する照明器具10を提供することができる。なお、本実施形態においては、2種類のサイズに対応するようにソケットベース50を構成したが、これに限られない。ソケットベース50は、第1当接部59及び第2当接部61とは前後方向において異なる位置に第3当接部等をさらに設けることができ、器具本体20に対する取付可能な位置を増やすこともできる。これにより、器具本体20とソケットベース50を共通化させながら、複数のサイズの光源30に対応可能に構成することもできる。
【0047】
図3及び
図8に示すように、サーモスタット用取付部63は、側部51の外側面に設けられた突出部であり、その前端面にはサーモスタット70を保持する保持具71をネジ止めするネジ穴を有する。サーモスタット用切欠部64は、サーモスタット用取付部63の近傍のフランジ部53に形成された切り欠きである。サーモスタット用切欠部64は、サーモスタット70の電線をソケットベース50の背面側に導く切り欠きである。
【0048】
このようなソケットベース50によれば、ソケット40を支持して光源30から発生する熱を効率的に放熱し、器具本体20を小型化することができる。また、器具本体20とソケットベース50を共通化して、複数のサイズの光源30に対応できる構成を実現できる。
【0049】
図3に示すように、サーモスタット70は、周囲温度に応じて光源30の電源の入り切りの制御を行う部材である。サーモスタット70は、ソケットベース50に固定された保持具71に保持され、光源30付近に配置される。サーモスタット70を備えることにより、器具本体20が高温になる前に光源30の電源を切ることができるため、照明器具10の安全性を高めることができる。
【0050】
図2から
図5、
図9A及び
図9Bに示すように、アーム部80は、ベース部100と器具本体20とを連結し、器具本体20を鉛直面内及び水平面内で回動可能にする部材である。アーム部80は、アーム81と、取付具82とを有する。ここで、器具本体20が
図2の実線で示す位置にあるときのアーム部80の状態を第1状態(
図9Aに示す状態)とし、器具本体20が
図2の二点鎖線で示す位置にあるときのアーム部80の状態を第2状態(
図9Bに示す状態)とする。
【0051】
アーム81は、器具本体20の第2開口部24に挿通され、ベース部100と取付具82とを連結する部材である。アーム81は、上下方向に延びる筒状の棒状部材であり、上筒部83と、下筒部84とを有する。上筒部83は、円筒状の内面83Aを有する略四角筒状の部材である。内面83Aで囲まれる空間には電線41が挿通される。上筒部83は、ベース部100の孔部101に挿通されてナット等でベース部100に回動可能に固定される。これにより、アーム81はベース部100に対して水平面内で略360°回動可能となる。
【0052】
下筒部84は、上筒部83の下端部から下方へ延び、円筒状の内面84Aを有する略四角筒状の部材である。内面84Aで囲まれる空間には電線41が挿通される。下筒部84は、溝部85と、孔部86と、第1規制部87と、第2規制部88とを有する。溝部85、第1規制部87及び第2規制部88は、下筒部84の左右側面に左右対称に設けられる。
【0053】
溝部85は、下筒部84の左右側面の下端部周辺を段差を付けて凹ませた部分である。孔部86は、取付具82を回動可能に支持するボルトを挿通する貫通孔である。孔部86は、左右方向に延び、左右の溝部85を繋ぐ位置に形成される。
【0054】
第1規制部87は、アーム部80を第1状態に保持する際に取付具82を規制する部材である。第2規制部88は、アーム部80を第2状態に保持する際に取付具82を規制する部材である。第1規制部87及び第2規制部88は、溝部85の段差を用いて孔部86の径方向に沿って形成された面であり、第1規制部87と第2規制部88とは略90°の角度をなすように配置される。
【0055】
取付具82は、アーム81と器具本体20とを連結する部材である。取付具82は、板金部材であり、右前板部90と、左前板部91と、右板部92と、左板部93と、後板部94とを有する。右前板部90と左前板部91、右板部92と左板部93は、それぞれ左右対称に構成される。ここでは、アーム部80が
図9Aに示す第1状態にあるときの方向を基準に説明する。
【0056】
右前板部90及び左前板部91は、アーム81の右方及び左方に配置され、上下左右方向に延びる略矩形の板材であり、前後方向に貫通する孔部95を有する。孔部95は、器具本体20の第2ネジ穴29に重ねてネジ止めされる。
【0057】
右板部92は、右前板部90の左端部から後方へ延び、アーム81の右側の溝部85に重なる板材である。左板部93は、左前板部91の右端部から後方へ延び、アーム81の左側の溝部85に重なる板材である。後板部94は、右板部92の左端部と左板部93の右端部とを繋ぐ板材である。右板部92及び左板部93は、孔部96と、第1被規制部97と、第2被規制部98とを有する。
【0058】
孔部96は、左右方向に貫通する孔であり、アーム81の孔部86と重なる位置に形成される。孔部96は、アーム81の孔部86と重ねてボルト及びナットにより固定される。これにより、取付具82はアーム81に対して鉛直面内で回動可能となる。
【0059】
第1被規制部97は、アーム部80を第1状態に保持する際にアーム81の第1規制部87に規制される部材である。第2被規制部98は、アーム部80を第2状態に保持する際にアーム81の第2規制部88に規制される部材である。第1被規制部97及び第2被規制部98は、孔部96の径方向に沿って形成された突出片であり、第1被規制部97と第2被規制部98とは略180°の角度をなすように配置される。これにより、取付具82は、第1被規制部97が第1規制部87に当接する状態と、第2被規制部98が第2規制部88に当接する状態とに鉛直面内で略90°回動可能となる。このアーム部80の略90°の回動の規制は、アーム81及び取付具82によって行われる。そのため、器具本体20にアーム81が接触せず、アーム部80に対して負荷を与えにくい。
【0060】
このようなアーム部80によれば、器具本体20は水平面内で略360°、鉛直面内で略90°回動可能となり、光源30からの出射光を室内の所望するほぼすべての方向に照射することができる。
【0061】
図2から
図5に示すように、ベース部100は、照明器具10を取付面に固定し、電線41を外部電源に接続する部材である。ベース部100は、下面にアーム81を挿通して回動可能に支持するための孔部101を有する。
【0062】
以上、説明した本実施形態に係る照明器具10は、有底筒状の器具本体20と、光源30を取り付けるソケット40と、ソケット40が一面側に取り付けられた状態で器具本体20の内部に取り付けられるソケットベース50とを有する。ソケットベース50は、ソケット40の底面を覆い、ソケットベース50の他面側に突出する底部54と、ソケット40の側面を覆う側部51と、底部54に設けられる電線用開口部55とを有する。ソケット40から引き出された電線41が、電線用開口部55を介してソケットベース50の他面側に案内される。この構成によれば、底部54がフランジ部53よりも背面側に突出するため、ソケット40が器具本体20の後端部に近づけて配置され、器具本体20の前後方向の長さを短くすることができる。すなわち、器具本体20を小型化することができる。
【0063】
本実施形態に係る照明器具10によれば、ソケットベース50は、側部51の外側面に沿って設けられる複数のリブ52を有する。これにより、リブ52がヒートシンクとして機能し、光源30から発生して側部51に伝達される熱の放熱性が高まる。
【0064】
本実施形態に係る照明器具10によれば、器具本体20は、ソケットベース50の他面側に対向する第1突出部26を有する。ソケットベース50は、第1突出部26に当接可能な第1当接部59と、第1当接部59よりも他面側に突出し、第1突出部26に当接可能な第2当接部61とを有する。器具本体20に対するソケットベース50の一面側から他面側に向かう方向の位置は、第1当接部59が第1突出部26に当接する第1位置又は第2当接部61が第1突出部26に当接する第2位置に択一的に位置決めされる。これにより、器具本体20とソケットベース50を共通化させながら、複数のサイズの光源30に対応可能に構成することもできる。
【0065】
本実施形態に係る照明器具10は、ソケットベース50に取り付けられ、周囲温度に応じて光源30の電源の入り切りの制御を行うサーモスタット70を有する。これにより、器具本体20が高温になる前に光源30の電源を切ることができるため、照明器具10の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 照明器具
20 器具本体
26 第1突出部(位置決め部)
30 光源
40 ソケット
41 電線
50 ソケットベース
51 側部
52 リブ
54 底部
55 電線用開口部(開口部)
59 第1当接部
61 第2当接部
70 サーモスタット